特許第5983467号(P5983467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5983467地図情報配信システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983467
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】地図情報配信システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   G06F13/00 520C
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-44917(P2013-44917)
(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-174655(P2014-174655A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100117466
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 渉
(72)【発明者】
【氏名】永田 頼之
(72)【発明者】
【氏名】大下 裕一
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−267104(JP,A)
【文献】 特開2007−212173(JP,A)
【文献】 特開平11−355346(JP,A)
【文献】 特開2004−038616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付ける配信要求受付手段と、
地図情報配信処理の負荷を時刻毎に示す負荷情報を取得する負荷情報取得手段と、
前記配信対象端末が稼働中である時刻の傾向を示す傾向情報を取得する傾向情報取得手段と、
前記傾向情報に基づいて前記配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻を特定し、特定された時刻の中から前記地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を前記負荷情報に基づいて選択し、選択された時刻において前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信する制御を行うことにより、前記配信要求に応じて前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信するタイミングを制御する配信タイミング制御手段と、
を備えることを特徴とする地図情報配信システム。
【請求項2】
前記配信タイミング制御手段は、
前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に前記配信要求を行った前記配信対象端末が、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にある場合、前記配信対象端末が次回起動された場合に再度配信要求を行うように前記配信対象端末を制御する、
請求項1に記載の地図情報配信システム。
【請求項3】
前記配信タイミング制御手段は、
前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻において前記配信要求を受け付けたか否か判定し、
前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻において前記配信要求を受け付けた場合、前記負荷情報および前記傾向情報に基づいて、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻において前記配信対象端末が稼働中である傾向にあるか否か判定し、
前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻において前記配信対象端末が稼働中である傾向にある場合、前記配信対象端末が次回起動された場合に再度配信要求を行うように前記配信対象端末を制御する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の地図情報配信システム。
【請求項4】
前記配信タイミング制御手段は、
前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に前記配信要求を行った前記配信対象端末が、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻まで継続して稼働中である傾向にある場合、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さくなると推定される時刻に再度配信要求を行うように前記配信対象端末を制御する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の地図情報配信システム。
【請求項5】
前記配信タイミング制御手段は、
前記負荷情報に基づいて、前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻において前記配信要求を受け付けたか否か判定し、
前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻において前記配信要求を受け付けた場合、前記負荷情報および前記傾向情報に基づいて、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻まで継続して前記配信対象端末が稼働中である傾向にあるか否かを判定し、
前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻まで継続して前記配信対象端末が稼働中である傾向にある場合、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さくなると推定される期間待機した後に再度配信要求を行うように前記配信対象端末を制御する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の地図情報配信システム。
【請求項6】
前記配信タイミング制御手段は、
前記地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に前記配信要求を行った前記配信対象端末が、前記地図情報配信処理の負荷が前記所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にない場合、前記配信対象端末が稼働中である傾向にある複数の時刻のいずれかを選択し、選択された時刻において前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信する制御を行う、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の地図情報配信システム。
【請求項7】
前記配信要求受付手段は、複数の前記配信対象端末から前記新規地図情報の前記配信要求を受け付け、
前記傾向情報取得手段は、複数の前記配信対象端末のそれぞれについての前記傾向情報を取得し、
前記配信タイミング制御手段は、前記複数の時刻に稼働中である傾向にあるとともに前記複数の時刻が重複している前記配信対象端末を選択し、選択された前記配信対象端末に対して前記新規地図情報を配信するタイミングを重複した前記複数の時刻のいずれかに分散させる、
請求項6に記載の地図情報配信システム。
【請求項8】
前記配信タイミング制御手段は、前記複数の時刻の中で相対的に前記地図情報配信処理の負荷が大きい時刻においては、前記複数の時刻の中で相対的に前記地図情報配信処理の負荷が小さい時刻よりも、相対的に少ない台数の前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信するように、選択された前記配信対象端末に対して前記新規地図情報を配信するタイミングを分散させる、
請求項7に記載の地図情報配信システム。
【請求項9】
配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付ける配信要求受付工程と、
地図情報配信処理の負荷を時刻毎に示す負荷情報を取得する負荷情報取得工程と、
前記配信対象端末が稼働中である時刻の傾向を示す傾向情報を取得する傾向情報取得工程と、
前記傾向情報に基づいて前記配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻を特定し、特定された時刻の中から前記地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を前記負荷情報に基づいて選択し、選択された時刻において前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信する制御を行うことにより、前記配信要求に応じて前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信するタイミングを制御する配信タイミング制御工程と、
を含むことを特徴とする地図情報配信方法。
【請求項10】
配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付ける配信要求受付機能と、
地図情報配信処理の負荷を時刻毎に示す負荷情報を取得する負荷情報取得機能と、
前記配信対象端末が稼働中である時刻の傾向を示す傾向情報を取得する傾向情報取得機能と、
前記傾向情報に基づいて前記配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻を特定し、特定された時刻の中から前記地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を前記負荷情報に基づいて選択し、選択された時刻において前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信する制御を行うことにより、前記配信要求に応じて前記配信対象端末に前記新規地図情報を配信するタイミングを制御する配信タイミング制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする地図情報配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の地図情報を配信対象端末に配信する地図情報配信システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信を利用して地図情報を配信する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−180187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術のように、無線通信を利用して地図情報を配信するシステムにおいては、多くの場合、規定のタイミング、例えば、配信対象端末の電源がオンにされたタイミングで新規の地図情報の有無を地図情報配信システムに問い合わせる。従って、多くの配信対象端末における規定のタイミングが特定の時間帯に集中する場合、配信対象端末が多くなり、地図情報配信処理の負荷が一時的に増加して通信が滞ってしまう。例えば、配信対象端末が車両で利用される場合には、通勤時間帯に多くの配信対象端末の電源がオンにされ、このタイミングで多くの配信対象端末が新規の地図情報の有無を地図情報配信システムに問い合わせる。そして、新規の地図情報が存在する場合、多くの配信対象端末に対する地図情報配信処理が開始され、通信が滞ってしまう。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、地図情報配信処理の負荷を分散させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明においては、配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付ける配信要求受付手段と、地図情報配信処理の負荷を時刻毎に示す負荷情報を取得する負荷情報取得手段と、配信対象端末が稼働中である時刻の傾向を示す傾向情報を取得する傾向情報取得手段と、負荷情報と傾向情報とに基づいて、配信要求に応じて配信対象端末に新規地図情報を配信するタイミングを制御する配信タイミング制御手段と、が構成される。
【0006】
すなわち、地図情報配信システムが稼働している状態において地図情報配信処理の負荷を時刻毎に記録しておき、負荷情報として取得すれば、地図情報配信処理の負荷が大きい時刻や負荷が小さい時刻を特定することが可能になる。また、配信対象端末が稼働中である時刻の傾向を特定し、傾向情報として取得すれば、将来において稼働中である可能性が高い時刻を特定することが可能になる。従って、負荷情報と傾向情報とに基づいて配信対象端末に新規地図情報を配信するタイミングを制御することで、地図情報配信処理の負荷が大きい時刻において配信が行われる頻度を抑制し、地図情報配信処理の負荷が小さい時刻において配信が行われる頻度を増大させるように配信タイミングを制御することができる。
【0007】
ここで、配信要求受付手段は、配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付けることができればよく、配信対象端末に未配信の新規地図情報を配信できるように定義された情報を受け付けることで配信要求を受け付ける。すなわち、配信対象端末を特定するための情報や新規地図情報の有無を特定するための情報を含む配信要求を受け付ける。むろん、新規地図情報の有無を特定するための情報が、配信対象端末を特定するための情報で構成されても良い。すなわち、地図情報配信システムにおいて、配信対象端末毎に配信済の地図情報を特定するための情報を保持しておき、配信対象端末を特定するための情報に基づいて配信対象端末に配信済の地図情報を特定すれば、新規地図情報(未配信の地図情報)が存在するか否かを特定することが可能になる。
【0008】
負荷情報取得手段は、地図情報配信処理の負荷を時刻毎に示す負荷情報を取得することができればよく、負荷情報が示す負荷が各時刻において再現し得るように当該負荷情報を定義すれば良い。例えば、一日における時刻毎の負荷のログを複数の日について取得し、時刻毎の負荷の値を統計解析(例えば、平均値や中央値を取得する処理)して時刻毎の負荷を決定して負荷情報とするような構成を採用可能である。
【0009】
なお、負荷は、配信対象端末による配信要求から新規地図情報の配信完了までにかかる期間の平均が長いほど大きくなるように定義されていれば良い。地図情報配信処理によって配信要求から新規地図情報の配信完了までにかかる1配信対象端末あたりの期間が長いほど多くなるように定義されていれば良い。従って、地図情報配信処理を実行するハードウェア資源、例えば、CPUやメモリの占有率が大きいほど負荷が大きくなるように定義されていても良いし、地図情報配信システムにおいて処理を行っている命令数や処理対象となっている配信対象端末が多いほど負荷が大きくなるように定義されていても良い。また、地図情報配信処理のボトルネックを形成し得るいかなる要素も負荷となり得る。例えば、地図情報配信システムが利用する通信回線の容量に対する占有率によって負荷を定義しても良い。むろん、複数の要素の組み合わせによって負荷を定義しても良い。
【0010】
傾向情報取得手段は、配信対象端末が稼働中である時刻の傾向を示す傾向情報を取得することができればよい。傾向情報は、配信対象端末が稼働中であるか否かを予測できるように定義された情報であればよく、稼働中である可能性を時刻毎に示す情報であってもよいし、ある程度の確からしさで稼働中であることが期待される時間帯を定義した情報であっても良い。前者としては、例えば、配信対象端末の起動と起動の終了が行われた時刻のログ等が挙げられ、後者としては、例えば、配信対象端末の起動と起動の終了が行われた時刻のログに基づいて所定の頻度以上で稼働中である時間帯を特定した情報であっても良い。なお、負荷情報と傾向情報における時刻は、任意の長さによって定義可能であり、例えば、分単位であっても良いし、時間単位であっても良い。
【0011】
配信タイミング制御手段は、傾向情報と負荷情報とに基づいて、配信対象端末に新規地図情報を配信するタイミングを制御することができればよい。ここでは、負荷情報と傾向情報とに基づいて新規地図情報を配信するタイミングを分散させることができればよく、配信対象端末が今回行った配信要求に対して新規地図情報の配信を行う場合と、配信対象端末が次回以降行うであろう配信要求に対して新規地図情報の配信を行う場合とに新規地図情報を配信するタイミングを分散させて配信のタイミングを制御することができればよい。
【0012】
さらに、新規地図情報を配信するタイミングを制御するための具体的な構成として、配信タイミング制御手段が、傾向情報に基づいて配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻を特定し、特定された時刻の中から地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を負荷情報に基づいて選択し、選択された時刻において配信対象端末に新規地図情報を配信する制御を行う構成であっても良い。
【0013】
すなわち、傾向情報によれば、配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻を特定することができ、現在時刻以後において配信対象端末が稼働中である可能性が高い時刻を特定することができる。また、負荷情報によれば、地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を容易に特定することができ、配信タイミングを分散させるための時刻として適切な時刻を容易に特定することができる。従って、傾向情報から特定された時刻から負荷が相対的に小さい時刻を選択すれば、負荷が相対的に小さい時刻であって、将来、配信対象端末が稼働中である可能性が高い時刻を特定することができ、負荷が相対的に小さい時刻に配信が行われるように制御することが可能になる。
【0014】
さらに、新規地図情報を配信するタイミングを制御するための具体的な構成として、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末が、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が稼働中である傾向にある場合、配信対象端末が次回起動された場合に再度配信要求を行うように前記配信対象端末を制御する構成としても良い。すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求が行われた場合、新規地図情報を即時配信すると地図情報配信処理の負荷がより増大し、過負荷となり得る。従って、負荷が所定の負荷より小さくなるまで新規地図情報を配信するタイミングを先送りすることが好ましい。
【0015】
そして、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が稼働中である傾向にある場合、配信対象端末が次回起動された場合に再度配信要求を行うように配信対象端末を制御すれば、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が配信要求を行うまで新規地図情報を配信するタイミングの先送りが続けられる。以上の構成によれば、新規地図情報を配信するタイミングを先送りすることによって、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信要求が行われる可能性を高めることができ、負荷を効果的に分散することができる。むろん、ここで、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が配信要求を行った場合には、新規地図情報を配信するタイミングを先送りせずに、新規地図情報を即時配信する。なお、所定の負荷は、地図情報配信処理の負荷を分散させるべきであるか否かを規定するための負荷として予め決められていれば良い(以下同様)。
【0016】
さらに、新規地図情報を配信するタイミングを制御するための具体的な構成として、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末が、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻まで継続して稼働中である傾向にある場合、時間経過によって地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さくなると推定される時刻に再度配信要求を行うように配信対象端末を制御する構成としても良い。すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求が行われた場合、負荷が所定の負荷より小さくなるまで新規地図情報を配信するタイミングを先送りすることが好ましい。
【0017】
そして、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻まで継続して稼働中である傾向にある場合、時間経過によって地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さくなると推定される時刻に再度配信要求を行うように配信対象端末を制御すれば、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が稼働中である状況になるまで新規地図情報を配信するタイミングの先送りが続けられる。以上の構成によれば、新規地図情報を配信するタイミングを先送りすることによって、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信要求が行われる可能性を高めることができ、負荷を効果的に分散することができる。むろん、ここでも、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が配信要求を行った場合には、新規地図情報を配信するタイミングを先送りせずに、新規地図情報を即時配信する。
【0018】
さらに、新規地図情報を配信するタイミングを制御するための具体的な構成として、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末が、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にない場合、配信対象端末が稼働中である傾向にある複数の時刻のいずれかを選択し、選択された時刻において配信対象端末に新規地図情報を配信する制御を行う構成としても良い。すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末が、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が稼働中である傾向にない場合、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷よりも小さい時刻まで新規地図情報を配信するタイミングを先送りできる可能性は小さい。
【0019】
そこで、配信対象端末が稼働中である傾向にある複数の時刻のいずれかを選択し、選択された時刻において配信対象端末に新規地図情報を配信する制御を行う。この結果、配信対象端末が稼働中である傾向にある複数の時刻の中の特定の時刻に負荷が集中することを防止することができる。また、分散対象となる複数の時刻は、配信対象端末が配信要求を行う可能性が高い時刻であるため、新規地図情報を配信するタイミングを先送りしたことによって新規地図情報が配信される機会が失われる可能性が小さくなるように負荷を分散することができる。
【0020】
さらに、複数の配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付けた場合に、複数の配信対象端末のそれぞれについての傾向情報を取得し、取得した傾向情報に基づいて複数の配信対象端末への新規地図情報の配信タイミングを分散させても良い。例えば、複数の時刻に稼働中である傾向にあるとともに稼働中である複数の時刻が重複している配信対象端末を選択し、選択された配信対象端末に対して新規地図情報を配信するタイミングを重複した複数の時刻のいずれかに分散させる構成としても良い。
【0021】
すなわち、重複した複数の時刻において稼働中である傾向にある複数の配信対象端末で配信タイミングを分散させれば、重複した複数の時刻のいずれかに複数の配信対象端末に対する配信処理が集中することを防止することができる。なお、複数の配信対象端末が稼働中である傾向が複数の時刻において重複する状況としては、往復の通勤時間が重複する状況が想定される。そして、往復の通勤時間が重複する状況は非常に多くの配信対象端末において発生し得るため、これらの配信対象端末において配信タイミングを分散させると、簡易な構成によって地図情報配信システムの全体としての負荷を効果的に分散させることができる。
【0022】
さらに、配信タイミングを分散させる比率は種々の要素によって構成可能であり、例えば、複数の時間の中で相対的に地図情報配信処理の負荷が大きい時刻においては、複数の時間の中で相対的に地図情報配信処理の負荷が小さい時刻よりも、相対的に少ない台数の配信対象端末に新規地図情報を配信するように、選択された配信対象端末に対して新規地図情報を配信するタイミングを重複した複数の時刻のいずれかに分散させる構成としても良い。以上の構成によれば、地図情報配信システムの負荷のピークを効果的に抑制することができる。
【0023】
さらに、本発明のように、地図情報配信システムの負荷と配信対象端末が稼働中である傾向とに基づいて新規地図情報を配信するタイミングを制御する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、他の装置と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えた地図情報配信システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】地図情報配信システムを示すブロック図である。
図2】(2A)は負荷情報の例、(2B)(2C)(2D)は傾向情報の例を示す図である。
図3】地図情報配信処理を示すフローチャートである。
図4】配信要求処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)地図情報配信システムの構成:
(2)地図情報配信処理:
(3)他の実施形態:
【0026】
(1)地図情報配信システムの構成:
図1は、地図情報の管理センタに設置された地図情報配信システム10の構成を示すブロック図である。地図情報配信システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、制御部20は当該記録媒体30やROMに記録されたプログラムを実行することができる。さらに、地図情報配信システム10は通信部22を備えている。通信部22は、無線通信を行うための回路にて構成され、制御部20は通信部22を制御して配信対象端末Nと通信を行うことができる。なお、本実施形態において、配信対象端末Nは車両に搭載されるナビゲーション端末である。
【0027】
地図情報配信システム10の記録媒体30には、地図情報30aが記録されている。地図情報30aには、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、走行予定経路の目的地となり得る施設を示す施設データ等が含まれている。また、本実施形態において地図情報30aは更新され得る。すなわち、新規道路が建設され、また、道路の改修等によって既存道路が新規道路になった場合など、既存の地図情報30aが示す道路や施設が現実と異なる状態となった場合、新規の地図情報(ノードデータ、形状補間データ、リンクデータ、施設データ等)が作成され、地図情報30aに追加される。本実施形態においては、当該新規の地図情報を新規地図情報と呼ぶ。新規地図情報は、配信対象端末NのIDを対応づけることが可能であり、新規地図情報が特定のIDの配信対象端末Nに配信済みである場合、当該IDが配信済みの新規地図情報に対応づけられる。
【0028】
本実施形態において制御部20は、地図情報配信プログラム21を実行可能であり、制御部20は、当該地図情報配信プログラム21の処理により、配信対象端末Nから新規地図情報の配信要求を受け付け、配信要求を行った配信対象端末Nに対して未配信の新規地図情報を地図情報30aから抽出し、配信対象端末Nに対して配信する。この機能を実現するため、地図情報配信プログラム21は、配信要求受付部21aと負荷情報取得部21bと傾向情報取得部21cと配信タイミング制御部21dとを備えている。
【0029】
配信要求受付部21aは、配信対象端末から新規地図情報の配信要求を受け付ける機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態においては、配信対象端末Nが起動された場合(すなわち、車両のイグニションがオンにされた場合)に配信要求を行うように構成されている。制御部20は、配信対象端末Nを特定するためのIDを含む配信要求を受け付けることによって、配信対象端末Nに対して未配信の新規地図情報特定し、配信する。すなわち、本実施形態にかかる地図情報配信システム10においては、特定のIDの配信対象端末Nに新規地図情報を配信済みである場合、当該IDが配信済みの新規地図情報に対応づけられる。従って、制御部20は、配信要求に含まれるIDをキーにして地図情報30aを参照することにより、配信対象端末N毎に未配信の新規地図情報を特定することが可能になる。
【0030】
なお、本実施形態においては、配信対象端末Nの稼働期間のログを記録できるようにするため、配信要求とともに今回配信対象端末Nが起動された時刻(稼働開始時刻)と前回の稼働の終了時刻とを示す情報が配信要求とともに送信される。制御部20は、今回配信対象端末Nが起動された時刻と前回の稼働の終了時刻とを示す情報を記録媒体30に記録することで、配信対象端末Nの稼働期間のログを収集している。
【0031】
配信タイミング制御部21dは、負荷情報と傾向情報とに基づいて、配信対象端末に新規地図情報を配信するタイミングを制御する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールであり、配信対象端末Nが今回行った配信要求に対して新規地図情報の配信を行う場合と、配信対象端末Nが次回以降行うであろう配信要求に対して新規地図情報の配信を行う場合とに新規地図情報を配信するタイミングを分散させて配信のタイミングを制御する。
【0032】
具体的には、配信対象端末Nからの配信要求がなされた時刻における地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷より小さければ、制御部20は、配信タイミングを遅延させることなく配信対象端末Nに対してすぐに新規地図情報を配信する。一方、配信対象端末Nからの配信要求がなされた場合の地図情報配信システムの負荷が所定の負荷以上であれば、制御部20は、地図情報配信システムの負荷が分散されるように新規地図情報を配信するタイミングを制御する。
【0033】
本実施形態において、新規地図情報を配信するタイミングの制御は、負荷情報および傾向情報に基づいて実施される。すなわち、地図情報配信システム10が稼働している状態において地図情報配信処理の負荷を時刻毎に記録しておき、負荷情報として取得すれば、地図情報配信処理の負荷が大きい時刻や負荷が小さい時刻を特定することが可能になる。また、配信対象端末Nが稼働中である時刻の傾向を特定し、傾向情報として取得すれば、将来において稼働中である可能性が高い時刻を特定することが可能になる。従って、負荷情報と傾向情報とに基づいて配信対象端末Nに新規地図情報を配信するタイミングを制御することで、地図情報配信処理の負荷が大きい時刻において配信が行われる頻度を抑制し、地図情報配信処理の負荷が小さい時刻において配信が行われる頻度を増大させるように配信タイミングを制御することができる。
【0034】
そこで、本実施形態においては、制御部20が負荷情報取得部21bと傾向情報取得部21cと配信タイミング制御部21dとによる処理を行うことによって地図情報配信システムの負荷を分散している。具体的には、負荷情報取得部21bは、地図情報配信処理の負荷を時刻毎に示す負荷情報を取得する処理を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。ここで、負荷情報は、当該負荷情報が示す負荷が各時刻において再現し得るように定義されていれば良い。例えば、一日における時刻毎の負荷のログを複数の日について取得し、時刻毎の負荷の値を統計解析(例えば、平均値や中央値を取得する処理)して時刻毎の負荷を決定して負荷情報とするような構成を採用可能である。
【0035】
図2Aは、負荷情報の例を示す図であり、同図2Aは横軸を時刻、縦軸を負荷として地図情報配信システム10における地図情報配信処理の24時間の負荷を時刻毎に示している。本実施形態においては、当該負荷情報が予め取得され、記録媒体30に負荷情報30bとして記録された状態において地図情報配信処理が行われることになる。なお、負荷は、配信対象端末による配信要求から新規地図情報の配信完了までにかかる期間の平均が長いほど大きくなるように定義されていれば良く、本実施形態においては、CPUの占有率である。本実施形態においては、以上のような負荷情報が記録媒体30に記録されており(負荷情報30b)、制御部20は、任意のタイミングで負荷情報30bを参照して地図情報配信システム10の負荷を特定することができる。
【0036】
傾向情報取得部21cは、配信対象端末Nが稼働中である時刻の傾向を示す傾向情報を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。ここで、傾向情報は、配信対象端末Nが稼働中であるか否かを予測できるように定義されていれば良い。本実施形態において制御部20は、配信対象端末の起動と起動の終了とが行われた時刻のログを配信対象端末N毎に記録し続ける。そして、制御部20は、当該ログに基づいて所定の頻度以上で稼働中であった時間帯を配信対象端末N毎に特定することにより、ある程度の確からしさで稼働中であることが期待される時間帯を定義して配信対象端末N毎の傾向情報とする。
【0037】
図2B図2C図2Dは、傾向情報の定義を説明するための図であり、同図2B図2C図2Dは横軸を時刻、縦軸を稼働中であった頻度としたグラフである。なお、当該頻度は、所定期間(例えば1ヶ月)で規格化してもよい。当該頻度は、上述のログを解析して同一時刻において稼働中であった頻度を計測することによって測定される。例えば、稼働期間が6:00〜7:00、6:15〜7:00、6:18〜7:00であることを示すログが蓄積されていた場合において、1分ごとに頻度を集計するのであれば6:00〜6:14についての頻度が1,6:15〜6:17についての頻度が2,6:18〜7:00についての頻度が3などとされる。本実施形態においては、頻度が所定の閾値Th1以上である場合に、配信対象端末Nが稼働中である可能性が高いとみなし、配信対象端末Nが稼働中である可能性が高い時刻(時間帯)を特定して傾向情報とする。例えば、図2Bに示す頻度で配信要求を行った配信対象端末N1においては期間T1および期間T2を示す情報が傾向情報となり、稼働中であった頻度が図2Cに示すような配信対象端末N2においては期間T3を示す情報が傾向情報となり、図2Dに示すような配信対象端末N3においては期間T4および期間T5を示す情報が傾向情報となる。
【0038】
従って、図2Bに示す傾向情報の配信対象端末N1は、朝7:00頃および夜19:00頃に稼働中である傾向にあり、一般的な通勤時間に車両が利用される頻度が高いと推定される。一方、図2Cに示すに示す傾向情報の配信対象端末N2は、夜20:00頃に稼働中である傾向にあり、朝に起動される頻度は少ないので、一般的な通勤時間と異なる時間帯に車両が利用される頻度が高いと推定される。さらに、図2Dに示すに示す傾向情報の配信対象端末N3は、朝7:00頃および夜23:00頃に稼働中である傾向にあり、朝における一般的な通勤時間に車両が利用される頻度が高く、夜における一般的な通勤時間と異なる時間帯に車両が利用される頻度が高いと推定される。
【0039】
本実施形態においては、以上のような傾向情報が配信対象端末NのIDに対応づけられて記録媒体30に記録されており(傾向情報30c)、制御部20は、任意のタイミングで傾向情報30cを参照して任意の配信対象端末Nの傾向情報30cを特定することができる。なお、負荷情報30bと傾向情報30cにおける時刻は、任意の長さによって定義可能であり、分単位であっても良いし、時間単位であっても良い。
【0040】
制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、以上のような負荷情報30bと傾向情報30cとに基づいて、新規地図情報を配信するタイミングを分散させる。具体的には、制御部20が、傾向情報30cに基づいて配信対象端末Nが稼働中である傾向にある時刻を特定し、負荷情報30bに基づいて当該時刻の中から地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を選択し、選択された時刻において配信対象端末Nに新規地図情報を配信する制御を行う。すなわち、傾向情報30cによれば、配信対象端末Nが稼働中である傾向にある時刻を特定することができ、配信対象端末が稼働中である可能性が高い時刻を特定することができる。例えば、配信要求を行った端末が配信対象端末N1であれば、稼働中である傾向にある時刻が時間帯T1,時間帯T2であることが図2Bに基づいて特定され、これらの時間帯が、配信対象端末が稼働中である可能性が高い時刻であるとみなされる。
【0041】
また、負荷情報30bによれば、地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を容易に特定することができ、配信タイミングを分散させるための時刻として適切な時刻を容易に特定することができる。例えば、図2Aにおいて、地図情報配信処理の負荷が所定の閾値Th2以下である場合に他の負荷と比較して相対的に負荷が小さいと見なせば、時間帯T6に含まれる時刻が配信タイミングを分散させるために適切な時刻として特定される。従って、傾向情報30cから特定された時刻から負荷が相対的に小さい時刻を選択すれば、負荷が相対的に小さい時刻であって、将来、配信対象端末が稼働中である可能性が高い時刻を特定することができ、負荷が相対的に小さい時刻に配信が行われるように制御することが可能になる。なお、所定の閾値Th2は、地図情報配信処理の負荷を分散させるべきであるか否かを規定するための負荷として予め決められていれば良い。
【0042】
以上のように、配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻から、地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を選択可能である状況としては、配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻の少なくとも1個において地図情報配信処理の負荷が相対的に小さくなる状況と、配信対象端末が稼働中である期間が長いことにより配信対象端末の稼働中に地図情報配信処理の負荷が相対的に小さくなる状況とが挙げられる。前者としては例えば図2Dが挙げられ、後者としては例えば図2Cが例として挙げられる。すなわち、図2Dに示す例において、期間T4は地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上である期間(図2Aに示す期間T7)、期間T5は地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい期間(図2Aに示す期間T6)である。また、図2Cに示す例において、期間T3の初期は地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上である期間(図2Aに示す期間T7)、期間T3の後期は地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい期間(図2Aに示す期間T6)である。
【0043】
本実施形態において制御部20は、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末Nが、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にあるか否かを判定することで図2Dのような状況であるか否かを判定し、図2Dのような状況であれば、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、配信対象端末Nが次回起動された場合に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御する。すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求が行われた場合、新規地図情報を即時配信すると地図情報配信処理の負荷がより増大し、過負荷となり得る。そこで、制御部20は、負荷が所定の負荷より小さくなるまで新規地図情報を配信するタイミングを先送りする。
【0044】
そして、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にある場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、配信対象端末Nが次回起動された場合に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御する。この結果、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末Nが配信要求を行うまで新規地図情報を配信するタイミングの先送りが続けられる。
【0045】
例えば、図2Dに示す時刻Tr3において配信対象端末N3が起動され、当該時刻Tr3における負荷が所定の負荷以上であった場合、制御部20は、図2Dに示す傾向情報に基づいて、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻t9において配信対象端末N3が稼働中である傾向にあると判定する。
【0046】
従って、制御部20は、配信対象端末N3が次回起動された場合に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御する。そして、配信対象端末N3図2Dに示すとおりの傾向で、例えば、時刻t9で起動されることによって配信要求が行われると、当該時刻t9は地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻であるため、制御部20は、新規地図情報を配信するタイミングを先送りせずに、新規地図情報を即時配信する。以上の構成によれば、新規地図情報を配信するタイミングを先送りすることによって、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信要求が行われる可能性を高めることができ、負荷を効果的に分散することができる。
【0047】
さらに、本実施形態において制御部20は、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末Nが、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻まで継続して起動され続ける傾向にあるか否かを判定することで図2Cの様な状況であるか否かを判定し、図2Cのような状況であれば、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、時間経過によって地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さくなると推定される時刻に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御する。すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求が行われた場合、負荷が所定の負荷より小さくなるまで新規地図情報を配信するタイミングを先送りする。
【0048】
そして、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻まで継続して起動され続ける傾向にある場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、時間経過によって地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さくなると推定される時刻に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御する。この結果、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末Nが稼働中である状況になるまで新規地図情報を配信するタイミングの先送りが続けられる。
【0049】
例えば、図2Cに示す時刻Tr2において配信対象端末N2が起動されることによって配信要求が行われ、当該時刻Tr2における負荷が所定の負荷以上であった場合、制御部20は、図2Cに示す傾向情報に基づいて配信対象端末N2が地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻t11まで継続して起動され続ける傾向にあると判定する。
【0050】
従って、制御部20は、時刻t11に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御する。そして、配信対象端末N2図2Cに示すとおりの傾向であり、例えば、時刻t11において稼働中であれば、配信対象端末N2がから配信要求が行われる。この場合、当該時刻t11は地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻であるため、制御部20は、新規地図情報を配信するタイミングを先送りせずに、新規地図情報を即時配信する。以上の構成によれば、新規地図情報を配信するタイミングを先送りすることによって、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信要求が行われる可能性を高めることができ、負荷を効果的に分散することができる。
【0051】
一方、配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻から、地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を選択可能でない場合、配信タイミングを地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻に分散させることはできない。すなわち、配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻の全てが、地図情報配信処理の負荷が相対的に大きい時刻に属している場合、配信対象端末が稼働中である傾向にある時刻から、地図情報配信処理の負荷が相対的に小さい時刻を選択することはできない。例えば、図2Bに示す例において、期間T1,T2の双方ともに地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上である期間(図2Aに示す期間T7)に属している。
【0052】
そこで、制御部20は、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末Nが、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にないか否かを判定することで図2Bのような状況であるか否かを判定し、図2Bのような状況であれば、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、稼働中である傾向にある複数の時刻のいずれかを選択し、選択された時刻において配信対象端末N1に新規地図情報を配信する制御を行う。すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻に配信要求を行った配信対象端末Nが、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において稼働中である傾向にない場合、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷よりも小さい時刻まで新規地図情報を配信するタイミングを先送りできる可能性は小さい。
【0053】
そこで、制御部20は、稼働中である傾向にある複数の時刻のいずれかを選択し、選択された時刻において配信対象端末N1に新規地図情報を配信する制御を行う。例えば、図2Bに示す時刻Tr1において配信対象端末N1が起動されることによって配信要求が行われ、当該時刻Tr1における負荷が所定の負荷以上であった場合、制御部20は、図2Bに示す傾向情報に基づいて、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい期間T6(時刻T11〜翌日のT12)に配信対象端末N1が稼働中である傾向にはない判定する。
【0054】
従って、制御部20は、稼働中である傾向にある複数の時刻(期間T1、期間T2)からいずれかの時刻を選択し、選択された時刻において配信対象端末N1に新規地図情報を配信する制御を行う。この結果、稼働中である傾向にある複数の時刻の中の特定の時刻に負荷が集中することを防止することができる。また、分散対象となる複数の時刻は、配信対象端末Nが配信要求を行う可能性が高い時刻であるため、新規地図情報を配信するタイミングを先送りしたことによって新規地図情報が配信される機会が失われる可能性が小さくなるように負荷を分散することができる。
【0055】
(2)地図情報配信処理:
次に、地図情報配信処理の例を詳細に説明する。図3は、制御部20が実行する地図情報配信処理を示すフローチャートであり、図4は、配信対象端末Nが実行する配信要求処理を示すフローチャートである。本実施形態においては、配信対象端末Nが起動されると当該配信対象端末Nが配信要求処理を実行する。当該配信要求処理において、配信対象端末Nは、まず、現在時刻が配信時刻であるか否かを判定する(ステップS200)。すなわち、本実施形態においては、配信対象端末Nが今回起動される前に新規地図情報を配信する時刻である配信時刻を受信している場合があり、ここでは、まず、現在時刻が当該配信時刻に含まれるか否かを判定する。
【0056】
ステップS200において、現在時刻が配信時刻であると判定された場合、すぐに新規地図情報の配信を受けるために、配信対象端末Nは、配信時刻が到来したことによる配信要求を出力する(ステップS201)。すなわち、配信対象端末Nは、当該配信対象端末NのIDおよび配信時刻到来による配信要求であることを示す情報とともに新規地図情報を送信させるための要求を地図情報配信システム10に対して出力する。
【0057】
一方、地図情報配信システム10においては、制御部20が配信要求受付部21aの処理により、通信部22を介して配信対象端末Nからの配信要求があったか否かを常時監視している(ステップS100)。そして、ステップS100において、配信対象端末Nからの配信要求があったと判定された場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、ステップS100における配信要求が配信時刻到来による配信要求であったか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、制御部20は、配信対象端末Nからの配信要求に、配信時刻到来による配信要求であることを示す情報が含まれている場合、配信時刻到来による配信要求であったと判定する。
【0058】
そして、ステップS101において、配信要求が配信時刻到来による配信要求であったと判定された場合、制御部20は、配信対象端末NのIDに基づいて当該配信対象端末Nに対して未配信の地図情報30aを取得し、新規地図情報として配信対象端末Nに対して送信する(ステップS102)。配信対象端末Nは、当該ステップS102にて送信された新規地図情報を取得する(ステップS202)。このように、配信時刻到来による配信要求に対しては即座に新規地図情報が配信され、これにより、配信タイミングが分散される。なお、配信タイミングが分散される原理は後に詳述する。
【0059】
一方、ステップS200において、現在時刻が配信時刻であると判定されない場合、配信対象端末Nは、(配信時刻到来による配信要求ではない通常の)配信要求を出力する(ステップS204)。すなわち、配信対象端末Nは、当該配信対象端末NのIDとともに新規地図情報を送信させるための要求を地図情報配信システム10に対して出力する。
【0060】
配信対象端末Nから当該通常の配信要求が出力された場合、地図情報配信システム10においては、ステップS100を経てステップS101において、配信要求が配信時刻到来による配信要求であったと判定されない。この場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、新規地図情報があるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、配信対象端末NのIDをキーにして地図情報30aを参照することにより、配信対象端末Nに対して未配信の地図情報30aが存在するか否かを判定し、未配信の地図情報30aが存在する場合、新規地図情報があると判定する。ステップS105において、新規地図情報があると判定されない場合、制御部20は、ステップS100以降の処理を繰り返す。
【0061】
ステップS105において、新規地図情報があると判定された場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、新規地図情報の存在を示す情報を送信する(ステップS110)。新規地図情報の存在を示す情報が送信された場合、配信対象端末NはステップS205において新規地図情報があると判定し、配信対象端末Nにおいては、ステップS210の判定を行う状態となる。一方、ステップS105において、新規地図情報があると判定されない場合ステップS110は実行されず、ステップS205において新規地図情報があるとされない。この場合、配信対象端末Nは、配信要求処理を終了する。すなわち、配信対象端末Nの配信要求に対して地図情報の配信が行われることはない。
【0062】
地図情報配信システム10においては、ステップS110の後、制御部20が配信タイミング制御部21dの処理により、地図情報配信システム10の現在の負荷(すなわち、配信要求を受け付けた時刻における負荷)が所定の負荷以上であるか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻において配信要求を受け付けたと判定されたか否かを判定する。ステップS115において、地図情報配信システム10の現在の負荷が所定の負荷以上であると判定されない場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、即時取得指示とともに新規地図情報を送信する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、配信対象端末Nに新規地図情報を即時取得させるための指示を送信し、ステップS110にて特定した新規地図情報を配信対象端末Nに対して送信する。
【0063】
配信対象端末Nは、ステップS210において、即時取得指示があったか否かを判定しており、即時取得指示があった場合にはステップS215において、新規地図情報を取得する。従って、本実施形態においては、地図情報配信システム10の現在の負荷が所定の負荷よりも小さい場合には、配信要求に対して新規地図情報がすぐに送信され、配信対象端末Nにおいて新規地図情報がすぐに取得されることによって配信要求処理は終了する。
【0064】
一方、ステップS115において、地図情報配信システム10の現在の負荷が所定の負荷以上であると判定された場合、すなわち、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷以上の時刻において配信要求を受け付けたと判定された場合、制御部20は、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷よりも小さい状態で配信対象端末Nが稼働中である傾向にあるか否かを判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、負荷情報取得部21bの処理により負荷情報30bを取得し、傾向情報取得部21cの処理により配信要求を行った配信対象端末NのIDが対応づけられた傾向情報30cを取得する。さらに、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、当該負荷情報30bおよび傾向情報30cに基づいて、現在以後において配信対象端末Nの稼働が一旦停止した後、再度稼働し、かつ、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻において配信対象端末が稼働中である傾向にあるか否か判定する。
【0065】
例えば、図2Dに示す時刻Tr3において配信対象端末Nが起動され、当該時刻Tr3における負荷が所定の負荷以上であった場合、制御部20は、負荷情報30bに基づいて時刻t11〜翌日の時刻t12であれば地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さいことを特定する。そして、図2Dに示す例においては、時刻t〜時刻t10にて配信対象端末Nが稼働中である傾向にあるため、制御部20は、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻である時刻t〜時刻t10において配信対象端末が稼働中である傾向にあると判定することになる。
【0066】
ステップS125において、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷よりも小さい状態で配信対象端末Nが稼働中である傾向にあると判定された場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、次回の起動時に新規地図情報を取得する指示である次回取得指示を配信対象端末Nに対して送信する(ステップS130)。本実施形態においては、この処理により、配信対象端末Nが次回起動された場合に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御することとなる。
【0067】
すなわち、配信対象端末Nは、ステップS220において次回取得指示があったか否かを判定しており、ステップS130において次回取得指示が送信された場合、配信対象端末Nは、ステップS220の判定を経て配信要求処理を終了する。この結果、配信対象端末Nは、新規地図情報を取得することなく配信要求処理を終了するが、仮に、図2Dに示す時刻t9において当該配信対象端末Nが起動された場合、ステップS204において配信要求処理が実行され、この配信要求に呼応してステップS100〜S110が実行され、さらにステップS115において地図情報配信システム10の現在の負荷が所定の負荷以上であると判定されないため、ステップS120において、即時取得指示とともに新規地図情報が送信される。この結果、配信対象端末Nにおいては、ステップS210,S215が実行され、新規地図情報が取得される。従って、時刻Tr3において出力された配信要求に対する地図情報配信処理が、負荷が小さい時刻t9に分散されたことになる。
【0068】
一方、ステップS125において、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷よりも小さい状態で配信対象端末Nが稼働中である傾向にあると判定されない場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷よりも小さい状態まで継続して配信対象端末Nが稼働中である傾向があるか否かを判定する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、負荷情報30bおよび配信対象端末Nの傾向情報30cに基づいて、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻まで継続して配信対象端末が稼働中である傾向にあるか否か判定する。例えば、図2Cに示す時刻Tr2において配信対象端末Nが起動され、当該時刻Tr2における負荷が所定の負荷以上であった場合、制御部20は、負荷情報30bに基づいて時刻t11〜翌日の時刻t12であれば地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さいことを特定する。そして、図2Cに示す例においては、時刻t11以降においても配信対象端末Nが稼働中である傾向にあるため、制御部20は、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻まで継続して配信対象端末が稼働中である傾向にあると判定することになる。
【0069】
ステップS135において、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷よりも小さい状態まで継続して配信対象端末Nが稼働中である傾向があると判定された場合、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻となるまで配信対象端末を待機させるための待機指示とともに、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さい時刻となるまでの待機期間を送信する(ステップS140)。本実施形態においては、この処理により、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さくなると推定される期間待機した後に再度配信要求を行うように配信対象端末Nを制御することとなる。
【0070】
すなわち、配信対象端末Nは、ステップS225において待機指示があったか否かを判定しており、ステップS140において待機指示が送信された場合、配信対象端末Nは、ステップS225の判定を経て指示期間待機する(ステップS230)。すなわち、配信対象端末Nは、ステップS140において送信された待機期間を取得し、当該待機期間が経過するまで処理を中断する。そして、指示期間待機した後、配信対象端末NはステップS204以後の処理を繰り返す。
【0071】
この結果、仮に、図2Cに示す時刻Tr2で配信対象端末Nから配信要求が出力された後に、待機期間待機した後の時刻t11において配信対象端末Nが稼働中であり、地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さければ、再度ステップS204にて配信要求処理が実行された場合に、これに呼応してステップS100〜S110が実行され、さらにステップS115において地図情報配信システム10の現在の負荷が所定の負荷以上であると判定ないため、ステップS120において、即時取得指示とともに新規地図情報が送信される。この結果、配信対象端末Nにおいては、ステップS210,S215が実行され、新規地図情報が取得される。従って、時刻Tr2において出力された配信要求に対する地図情報配信処理が、負荷が小さい時刻t11に分散されたことになる。なお、待機期間は、配信要求が行われた時刻から地図情報配信処理の負荷が所定の負荷より小さくなる時刻までの期間(図2Cに示す例であれば、時刻Tr2〜時刻t11までの期間)とすれば良い。
【0072】
一方、ステップS135において、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷よりも小さい状態まで継続して配信対象端末Nが稼働中である傾向があると判定されない場合、制御部20は、配信要求を受け付けた複数の配信対象端末Nのそれぞれについての傾向情報30cを取得し、取得した傾向情報30cに基づいて複数の配信対象端末Nへの新規地図情報の配信タイミングを分散させる。このために、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、傾向情報30cに基づいて同じ傾向の配信対象端末Nを選択する(ステップS145)。すなわち、記録媒体30には、過去に地図情報配信システム10に配信要求を行った複数の配信対象端末Nの傾向情報30cが記録されている。
【0073】
そこで、制御部20は、複数の時刻に稼働中である傾向にあるとともに複数の時刻が重複している配信対象端末Nを同じ傾向の配信対象端末として選択する。例えば、図2Bに示す例において配信対象端末N1は期間T1および期間T2において稼働中である傾向にあるため、当該配信対象端末N1が配信要求を行った場合であれば、期間T1および期間T2と重複した時刻において稼働中である傾向にある他の配信対象端末が選択される。なお、重複の度合いは、分散対象とすべき配信対象端末Nの数等に応じて調整可能であり、例えば、他の配信対象端末において稼働中である傾向にある複数の期間のそれぞれと、期間T1および期間T2とが所定比率以上で重複している場合に、当該他の配信対象端末を選択する構成等を採用可能である。
【0074】
次に、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、配信対象端末への配信時刻を特定する(ステップS150)。すなわち、制御部20は、ステップS145において選択された配信対象端末に対して新規地図情報を配信するタイミングを、選択された配信対象端末が重複して稼働中である傾向にある複数の時刻のいずれかに分散させる。例えば、図2Bに示す例においては、期間T1および期間T2で稼働中である傾向にある複数の配信対象端末が選択された状態において、配信要求を行った配信対象端末Nへの配信時刻が期間T1内の時刻あるいは期間T2内の時刻とされる。
【0075】
なお、本実施形態においては、配信対象端末が重複して稼働中である傾向にある複数の時刻の中で相対的に地図情報配信処理の負荷が大きい時刻においては、複数の時刻の中で地図情報配信処理の負荷が小さい時刻よりも、相対的に少ない台数の配信対象端末Nに新規地図情報を配信するように、選択された配信対象端末に対して新規地図情報を配信するタイミングを分散させる。例えば、図2Bに示す例において、期間T1内の時刻および期間T2内の時刻に配信タイミングを分散させる場合、制御部20は、図2Aに示される負荷情報30bを参照し、期間T1の方が期間T2よりも相対的に負荷が大きいと判定する。従って、期間T1内の時刻においては、期間T2内の時刻よりも相対的に少ない台数の配信対象端末に対して新規地図情報を配信する。以上の構成によれば、地図情報配信システム10の負荷のピークを効果的に抑制することができる。
【0076】
複数の配信対象端末が稼働中である傾向が複数の時刻において重複する状況としては、図2Bに示すような状況、すなわち、往復の通勤時間が重複する状況が想定される。そして、往復の通勤時間が重複する状況は非常に多くの配信対象端末Nにおいて発生し得るため、これらの配信対象端末Nにおいて配信タイミングを分散させると、簡易な構成によって地図情報配信システム10の全体としての負荷を効果的に分散させることができる。
【0077】
ステップS150において、配信時刻が特定されると、制御部20は、配信タイミング制御部21dの処理により、通信部22を介してステップS150にて特定された配信時刻を送信する(ステップS155)。なお、配信時刻は1時点を示していてもよいが、むろん、所定の長さを有する時間帯によって配信時刻を指定しても良い。配信対象端末Nにおいては、ステップS225において待機指示があったと判別されない場合に、配信時刻を取得する処理を行う(ステップS240)。配信対象端末Nにおいて、配信時刻が取得されると、図示しない記録媒体に記録され、少なくとも新規地図情報が取得されるまで保持される。
【0078】
以上の処理によれば、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷以上の状態においてのみ配信対象端末Nが稼働中である傾向にある場合において、複数の時刻に配信タイミングが分散されるように配信時刻が特定される。そして、配信対象端末Nが当該配信時刻において起動された場合には、上述のステップS200,S201,S202,S100,S101,S102の処理により、即座に新規地図情報が配信される。従って、地図情報配信システム10の負荷が所定の負荷以上の状態においてのみ配信対象端末Nが稼働中である傾向にある場合においても負荷を分散させることができる。
【0079】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、地図情報配信システムの負荷と配信対象端末が稼働中である傾向とに基づいて新規地図情報を配信するタイミングを制御する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、負荷情報30bは、地図情報配信処理を実行するCPU以外のハードウェア資源、例えば、メモリの占有率が大きいほど負荷が大きくなるように定義されていても良いし、地図情報配信システム10において処理を行っている命令数や処理対象となっている配信対象端末Nが多いほど負荷が大きくなるように定義されていても良い。また、地図情報配信処理のボトルネックを形成し得るいかなる要素も負荷となり得る。例えば、地図情報配信システム10が利用する通信回線の容量に対する占有率によって負荷を定義しても良い。むろん、複数の要素の組み合わせによって負荷を定義しても良い。
【0080】
傾向情報30cは、時刻毎に配信対象端末が稼働中である可能性を示す情報であってよく、配信対象端末の起動と起動の終了とが行われた時刻のログで構成されていても良い。さらに、負荷情報30bは地図情報配信処理の負荷を示し、傾向情報30cは配信対象端末の稼働傾向を示していれば良く、集計期間を調整しても良い。例えば、曜日毎や季節毎に負荷情報30b、傾向情報30cを集計し、配信要求が行われた時刻や新規地図情報が配信される時刻が属する集計期間に応じた負荷情報30b、傾向情報30cを参照するように構成しても良い。
【0081】
さらに、本実施形態における配信対象端末は、起動後に配信要求を行う仕様であったが、むろん、配信対象端末が稼働中である場合に稼働している時刻のいずれかで配信要求を行う構成であっても良い。
【符号の説明】
【0082】
10…地図情報配信システム、20…制御部、21…地図情報配信プログラム、21a…配信要求受付部、21b…負荷情報取得部、21c…傾向情報取得部、21d…配信タイミング制御部、22…通信部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…負荷情報、30c…傾向情報
図1
図2
図3
図4