(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グレーティングに対する前記第2光信号の前記基板の主面での伝搬方向と、前記第1光信号の前記主面での伝搬方向が、非平行であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光素子。
前記グレーティングに対する前記第2光信号の前記基板の主面での伝搬方向と、前記第1光信号の前記主面での伝搬方向が、平行であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光素子。
前記第2光信号が入力される入力端に、前記第2光信号のスポットサイズを変更するためのスポットサイズ変換器を備えることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の光素子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。なお、各図では構成要素の形状、大きさ及び配置関係を、この発明が理解できる程度に概略的に示している。また、以下の各実施形態は、この発明の一好適例であり、各構成要素の材質や数値的条件なども、好適な場合の例示に過ぎない。従って、この発明は、以下の各実施形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
【0017】
[実施形態1]
図1及び
図2を参照して、実施形態1の光素子(以下、第1光素子とも称する。)について説明する。
図1は、第1光素子の概略的な構造を示す平面図である。
図2は、
図1のI−I線に沿った切断端面図である。なお、
図1では、グレーティングや、PD等は、波長フィルタブロックに覆われているために直接目視することができないが、強調のために実線で示す。
【0018】
まず、
図1を参照して、以下の説明で用いる方向及び寸法を定義する。
図1に示したような右手系の直交座標系を考え、X方向を図が描かれた紙面の左から右に向かう方向とし、長さ方向とも称する。また、Z方向を図が描かれた紙面の裏面から表面に向かう方向とし、高さ方向又は厚み方向とも称する。また、Y方向を図が描かれた紙面の下方から上方に向かう方向とし、幅方向とも称する。そして、X方向に沿って測った幾何学的長さを「長さ」とも称し、Y方向に沿って測った幾何学的長さを「幅」とも称し、Z方向に沿って測った幾何学的長さを「高さ」又は「厚さ」とも称する。また、伝搬光IN及びOUTの伝搬する方向に沿った方向を光伝搬方向とする。また、所定の構造体の光伝搬方向に垂直な断面のことを「横断面」と称する。また、この例では、基板の主面は、XY平面(紙面)に平行に延在する。
【0019】
(構造)
まず、
図1及び
図2を参照して、第1光素子10の構造について説明する。なお、ここでは、第1光素子10が、加入者系システムのONUで用いられる場合について例示する。
図1に示すように、第1光素子10は、第1〜第N受光素子4
1〜4
N(Nは1以上の整数)と、グレーティング3Gと、波長フィルタブロック6(以下、単にブロック6とも称する。)と、反射部材としての全反射膜11とを備える。これらの構成要素は、全て共通の基板1に集積されている。なお、第1〜第N受光素子4
1〜4
Nを総称する場合は、単に「受光素子4」とも称する。さらに第1光素子10は、任意的な構成として、基板1の主面1a側に集積された発光素子5を備える。
【0020】
第1光素子10には、局側から送信された第1光信号INが、互いに波長(λ
1〜λ
N)の異なる第1〜第N成分光を含む下り信号として、光ファイバ12を通じて入力される。また、第1光素子10からは、発光素子5から出射された上り信号である第2光信号OUTが、第1〜第N成分光と同経路を逆方向に伝搬して光ファイバ12を介して局側へと出力される。
【0021】
第2光信号OUTの波長λ
0と、第1光信号INを構成する第1〜第N成分光の波長λ
1〜λ
Nとは、それぞれ異なっている。以降、第2光信号及び第1〜第N成分光を、それぞれの波長λ
0〜λ
Nを用いて、「第2光信号λ
0」及び「第i成分光λ
i」(iは1〜Nの整数)とも表す。
【0022】
図1を参照すると、第1〜第N受光素子4
1〜4
Nは、主面1a上において、第1光信号INの入射方向D
INに沿った直線上に等間隔に配置されている。第1〜第N受光素子4
1〜4
Nは、波長多重された第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nをそれぞれ受光する位置に設けられている。受光素子4は、例えば、基板1がシリコンの場合、主面1a上にGe(ゲルマニウム)を結晶成長することで形成される。受光素子4において光を受光する領域は、直径約10μmの円形である。なお、主面1a上において、第1光信号INの伝搬方向D
INと、後述する第2光信号OUTの伝播方向D
OUTは非平行、つまり、交差している。
【0023】
グレーティング3Gは、平面型回折格子であり、発光素子5から主面1aに平行に出射される第2光信号OUTを光ファイバ12に結合可能な、主面1aに対して傾いた、第1光信号INと同じ経路に変更する。また、発光素子5から出射される第2光信号OUTのスポットサイズを、光導波路14のスポットサイズに合わせるために、第2光信号OUTの入力端には、スポットサイズ変換器31が設けられている。スポットサイズ変換器31は公知であるし、この発明の要旨とは直接関係しないので、これ以上の説明を省略する。また、スポットサイズ変換器31とグレーティング3Gとの間には、テーパ部3が設けられている。
【0024】
なお、グレーティング3G、スポットサイズ変換器31、及びテーパ部3は、何れも、コア14aが、コア14aよりも屈折率が小さいクラッド14bで囲まれた光導波路14として構成されている。
【0025】
この例では、クラッド14bは、主面1a上に形成された約3μmの一様な膜厚を有する膜体であり、屈折率が約1.45のSiO
2が材料である。また、コア14aは、屈折率が約3.47のSiを材料とし、厚みが約200〜300nmである。このように、クラッド14bの屈折率をコア14aの屈折率の71.4%未満とすることにより、コア14aへの光の閉じ込め能力が向上し、小さい曲率半径の湾曲光導波路を形成することができる。
【0026】
また、光導波路14を伝搬する光の基板1への不所望な結合を防ぐためには、コア14aと基板1との間に1μm以上の厚みのクラッド14bを介在させることが好ましい。この例では、主面1aとコア14aの下面との間に、約1.5μmのクラッド14bを介在させている。なお、この例では、基板1の材料はSiである。
【0027】
ブロック6は、主に、第1光信号INに含まれる第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nを波長分離して、それぞれ、第1〜第N受光素子4
1〜4
Nに入力させる機能を有する。ブロック6は、平行平板なブロック本体6aと、ブロック本体6aの一面である下面6cに、場所により透過波長が異なる波長フィルタ膜7を備える。
【0028】
ここで、
図2を参照して、ブロック6及び全反射膜11の構成について詳細に説明する。ブロック本体6aは、光学的に透明な物質が材料であり、この例では、厚みが約1mmのガラス基板を用いている。このように、ブロック本体6aの厚みが、伝搬する光の波長に対して十分に大きいので、ブロック本体6a中を伝搬する光の挙動は幾何光学的に扱うことができる。波長フィルタ膜7は、下面6cに形成された平面的な膜体である。波長フィルタ膜7はグレーティング3Gからの距離に応じて透過波長が変化するように構成された第0〜第N領域7
0〜7
Nを有している。より詳細には、第0領域7
0は、波長λ
0の第2光信号OUTを透過するように構成され、第1〜第N領域7
1〜7
Nは、それぞれ、波長λ
1〜λ
Nの第1〜第N成分光を透過させるように構成されている。
【0029】
ここで、波長フィルタ膜7の第j領域(jは0〜Nの整数)は、グレーティング3Gからの距離と共に透過波長が長波長側へと変化するように構成されている。例えば、第2光信号λ
0(上り信号)が波長1.31μmであり、第1光信号(下り信号)の第1成分光λ
1が波長1.49μmであり、第2成分光λ
2が波長1.55μmの場合を考える。この場合、グレーティング3Gと重複して存在する第0領域7
0は、第2光信号λ
0(1.31μm)を透過できるように構成されている。そして、第0領域7
0に隣接する第1領域7
1は、次に波長の長い波長1.49μmの第1成分光λ
1を透過できるように構成される。そして、第1領域7
1に隣接する第2領域7
2は、次に波長の長い1.55μmの第2成分光λ
2が透過できるように構成される。
【0030】
波長フィルタ膜7の各領域7
1〜7
Nで、このように透過波長を変更するには、例えば、第2光信号と、第1光信号の各成分光の波長λ
jをjと共に長くし、これに対応して第j領域7
jの透過波長を変化させていけば良い。つまり、第k領域7
k(kは0〜N−1の整数)と、第k領域7
kに隣接しグレーティング3Gからの距離が遠い第k+1領域7
k+1とを考え、第k領域7
kは、波長がλ
kの波長を透過して、それ以外の波長(≠λ
k)の光を反射するように構成する。同様に、第k+1領域7
k+1では、λ
k+1の波長を透過し、λ
k+1とは異なる波長の光を反射するように構成する。
【0031】
なお、波長フィルタ7には、従来公知の誘電体多層膜を用いることができる。すなわち、低屈折率膜と、この低屈折率膜よりも屈折率が大きい高屈折率膜とを交互に複数段に渡り積層する。そして、各領域7
0〜7
Nで、透過波長範囲を変更するために、低屈折率膜の膜厚及び屈折率の何れか一方と、高屈折率膜の膜厚及び屈折率の何れか一方とを互いに異ならせている。
【0032】
全反射膜11は、波長フィルタ膜7を本体6aの厚み方向に挟んで対向する他面である上面6bに形成されている。全反射膜11は、全ての波長の光を反射する例えば金属薄膜として構成されている。そして、波長フィルタ膜7、ブロック本体6a、及び全反射膜11が相俟って、入力される第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nの波長分離を行う。
【0033】
(動作)
以下、
図2を参照して、ブロック6の波長分離動作について説明する。
【0034】
図2に示すように、ブロック6には、光ファイバ12から、基板1の主面1aに対して傾いた方向から第1光信号INが入射し、同経路を逆方向に第2光信号OUTが出射される。波長フィルタ膜7は、上述した第2光信号λ
0を透過させる第0領域7
0と、第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nとを透過させる第1〜第N領域と7
1〜7
Nに区画されている。第0領域7
0は、グレーティング3Gと重複するように設けられている。
【0035】
まず、第1光素子10から出射される波長λ
0の第2光信号OUTについて説明する。発光素子5から主面1aに対して平行に出射された第2光信号OUTは、グレーティング3Gにより回折されて、伝搬経路が主面1aに対して斜めに変更され、波長フィルタ膜7の第0領域7
0に入射する。ところで、第0領域7
0は、波長λ
0の光を透過させ、λ
0以外の波長の光(λ
1〜λ
N)を反射するように構成されている。よって、波長λ
0の第2光信号OUTは、第0領域7
0とブロック本体6aを透過し、全反射膜11が設けられていない上面6bの領域から第1光信号INと同経路を逆方向に出射され、光ファイバ12へと結合される。
【0036】
次に、第1光素子10に入射する第1光信号INについて説明する。光ファイバ12から出射された第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nを含む第1光信号INは、第2光信号OUTと同経路を逆方向に伝播して、ブロック本体6aを経て第0領域7
0へと入射する。第0領域7
0は、波長λ
0以外の光を反射するので、第1光信号INは、その入射方向に沿って、波長フィルタ膜7と全反射膜11との間のブロック本体6aを言わばジグザグに伝播し、その過程で各成分光λ
1〜λ
Nが、次々と波長分離されていく。
【0037】
より詳細には、第1光信号INは、λ
0以外の波長の光を反射する第0領域7
0に入射して、全成分光λ
1〜λ
Nが全反射膜11方向へと反射される。そして、全反射膜11により、波長フィルタ膜7方向に再度反射されて、第1領域7
1へと入射する。ところで、第1領域7
1は、波長λ
1の光を透過させ、λ
1以外の波長の光(λ
2〜λ
N)を反射するように構成されている。
【0038】
よって、波長λ
1の第1成分光は、第1領域7
1を透過して、第1領域7
1の下側に設けられた第1受光素子4
1で受光される。一方、第2〜第N成分光λ
2〜λ
Nは、第1領域7
1で、全反射膜11に向かって反射され、全反射膜11に至ると波長フィルタ膜7方向に再度反射されて、第2領域7
2へと入射する。
【0039】
以下同様であり、成分光λ
i〜λ
Nを含む第1光信号INは、全反射膜11により、波長フィルタ膜7方向に再度反射されて、第i領域7
iへと入射する。ところで、第i領域7
iは、波長λ
iの光を透過させ、λ
i以外の波長の光(λ
i+1〜λ
N)を反射するように構成されている。よって、波長λ
iの第i成分光は、第i領域7
iを透過して、第i領域7
iの下側に設けられた第i受光素子4
iで受光される。一方、第(i+1)〜第N成分光λ
i+1〜λ
Nは、第i領域7
iで、全反射膜11に向かって反射され、全反射膜11に至ると波長フィルタ膜7方向に再度反射されて、第i+1領域7
i+1へと入射する。
【0040】
このようにして、第1光信号に含まれる第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nは、成分光毎に波長分離されて、それぞれ受光素子4
1〜4
Nで受光される。
【0041】
(第1光素子10の製造方法)
第1光素子10は、通常のSi半導体製造プロセス技術を用いて製造可能であるので、全体的な素子の製造方法の説明を省略し、以下に、波長フィルタ膜7と光導波路14の製造方法のみを説明する。
【0042】
場所により透過波長が異なる波長フィルタ膜7の製造方法の一例について説明する。上述のように波長フィルタ膜7は、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に積層されている。よって、場所により透過波長を変化させるためには、この低屈折率膜と高屈折率膜の膜厚を、連続的に変化させていけば良い。
【0043】
このような成膜が可能な手法としては、真空蒸着法又はスパッタリング成膜法が挙げられる。例えば、スパッタリング成膜法の場合には、低屈折率膜と同材料の第1スパッタリングターゲットと、高屈折率膜と同材料の第2スパッタリングターゲットとを準備する。そして、被成膜面であるブロック6の下面6cを、これらのターゲットの中心軸からずれた位置に配置するとともに、ターゲットに対して傾けて配置する。
【0044】
そして、第1及び第2スパッタリングターゲットを交互に切り替えながらスパッタリング成膜を行う。これにより、ターゲットの遠くに位置する下面6cでは高屈折率膜及び低屈折率膜の膜厚が薄くなり、逆に、ターゲットの近くに位置する下面6cでは高屈折率膜及び低屈折率膜の膜厚が厚くなる。つまり、ターゲットからの距離と共に、下面6c上に成膜される波長フィルタ膜7の透過波長が徐々に短くなっていく。ここで、低屈折率膜及び高屈折率膜の材料としては、それぞれ、屈折率が1.47のSiO
2や、屈折率が2.15のTa
2O
5等の公知の誘電体を用いることができる。
【0045】
グレーティング3G、テーパ部3及びスポットサイズ変換器31等の光導波路14は、Si基板上にSiO
2層とSi層とがこの順序で積層されたSOI(Si On Insulator)基板を利用して作成される。すなわち、最上層のSi層を利用して、上述したグレーティング3G、テーパ部3及びスポットサイズ変換器31のコア14aをドライエッチング等で形成する。その際、BOX(Buried−OXide)層であるSiO
2層をクラッド14bの下層に利用する。そして、このコア14aを埋め込むように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で、クラッド14bの上層に対応するSiO
2層を形成する。これにより、光導波路14が形成される。
【0046】
(効果)
第1光素子10では、ブロック6と全反射膜11とにより、Si光導波路を用いずに、光ファイバ12から出射される第1光信号INを、成分光λ
1〜λ
N毎に受光素子4
1〜4
Nでまで伝搬して、受光させる。つまり、第1光素子10では、光ファイバ12から出射される第1光信号INのスポットサイズ(約10μmφ)を変更することなく、同等のサイズの受光部を有する受光素子4に受光させることができる。
【0047】
その結果、Si光導波路から受光素子4へ光を結合する際の、1/2〜1/3にも及ぶ強度ロスを回避することができる。これにより、受光素子4が受光する第1光信号INの光強度を、Si光導波路と受光素子4とを接続した従来例に比べて2倍〜3倍まで高めることができ、第1光信号INのS/N比が大幅に改善する。その結果、第1光素子10が受信できる通信速度を従来比で約10〜40倍の10〜40Gbpsにまで高めることができる。
【0048】
また、
図1に示すように、グレーティング3Gの回折効率を上回ったため回折されずに直進する第2光信号由来の迷光OUTxの伝搬経路と非平行に受光素子4
1〜4
Nが設けられている。これにより、迷光OUTxに由来する消光比の悪化を防止することができる。
【0049】
(変形例)
この例では、発光素子5が、他の部材とともに共通の基板1に集積されている場合について説明した。しかし、発光素子5は、基板1の主面1aに平行に光を出射するものであれば、基板1とは別に設けられていてもよい。
【0050】
この例では、ブロック6としてガラス基板を用いた場合について説明した。しかし、ブロック6は、第1及び第2光信号IN及びOUTに対して透明であれば、特に材質や屈折率等に制限はない。例えば、アクリル樹脂等の光学樹脂を用いても良い。
【0051】
また、この例では、ブロック6の厚みを約1mmとしたが、ブロック6の厚みは、第1及び第2光信号IN及びOUTの波長に対して十分に大きく、これらの光信号を幾何光学的に扱えるような厚みであれば良い。換言すれば、ブロック6は、第1及び第2光信号IN及びOUTの回折現象を無視できる厚みであれば特に制限はない。
【0052】
また、ブロック6は、隣接するサブブロック間の境界で生じる光の反射や回折等のロスを許容できれば、屈折率が異なるサブブロックを、Z方向に積層したり、XY平面内で組み合わせて構成しても良い。
【0053】
また、この例では、第2光信号OUTの伝搬方向を主面1aに平行な方向から光ファイバ12に向かう方向に変更するために、グレーティング3Gを用いた場合について説明した。しかし、第2光信号OUTの伝搬方向の変更には、主面1aに対して所定の角度に傾斜した反射面を有するミラーを用いても良い。
【0054】
[実施形態2]
続いて、
図3(A)を参照して、実施形態2の光素子(以下、第2光素子とも称する。)について説明する。
図3(A)は、第2光素子の概略的な構造を示す平面図である。
【0055】
第2光素子30は、発光素子5と、グレーティング3Gとの間に、光回路35が設けられている点、グレーティング3Gと受光素子4との間に遮光領域32が設けられている点を除いて、第1光素子10と同様に構成されている。従って、主に、これらの相違点について説明する。
【0056】
第2光素子30は、発光素子5から出射されたレーザ光を光回路35で加工した上で、第2光信号OUTとして出力する。すなわち、第2光素子30には、発光素子5の第2光信号OUTの出射端に対向して、スポットサイズ変換器31が設けられており、第2光信号OUTのスポットサイズを、チャネル型光導波路36を伝搬するために適切な径にまで変換する。
【0057】
スポットサイズ変換器31とグレーティング3Gとの間には、光回路35が設けられている。光回路35は、外部共振器としてのリング共振器33と、外部変調器34と、各構成要素を接続するチャネル型光導波路36とを備えている。
【0058】
リング共振器33は、発光素子5から出力されるレーザ光の波長を変更するためのものである。また、外部変調器34は、上り信号である第2光信号OUTで、高速変調を行い、通信速度を高めるためのものである。
【0059】
また、遮光領域32は、基板1の主面1aに設けられており、クラッド14bの厚みと等しい厚みを有するGe等の金属膜で構成される。遮光領域32は、第2光信号OUT由来の迷光(例えばOUTx等)を受光素子4
1〜4
Nから遮蔽する機能を有する。遮光領域32を設けることにより、発光素子5由来の迷光をさらに低減でき、各受光素子4
1〜4
Nが受光する第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nの消光比をより一層高めることができる。
【0060】
また、チャネル型光導波路36は、この例では、小さい曲率半径の湾曲部を形成できるSi光導波路とする。
【0061】
このように、遮光領域32を有する第2光素子30は、第1光素子10よりも消光比が向上することから、より高速に変調されたな各成分光λ
1〜λ
Nを受信できる。
【0062】
また、発光素子5とグレーティング3Gとの間に光回路35を備えるので、第2光素子30から出力される第2光信号OUTに種々の処理を行うことができる。
【0063】
[実施形態3]
図3(B)を参照して、実施形態3の光素子(以下、第3光素子とも称する。)について説明する。
図3(B)は、第3光素子の概略的な構造を示す平面図である。
【0064】
第3光素子40は、主面1a上での第1及び第2光信号IN及びOUTの伝搬方向が平行である点を除いて第1光素子10と略同様に構成されている。従って、主に、これらの相違点について説明する。
【0065】
図3(B)に示すように、第3光素子40は、グレーティング3Gの格子溝の延在方向を調整することにより、発光素子5、グレーティング3G、及び受光素子4
1〜4
Nを直線状に配置している。そして、グレーティング3Gで回折出来なかった迷光OUTxを遮蔽するために、遮光領域32が設けられている。
【0066】
第3光素子40は、全ての構成要素を直線状に配列しているので、第1光素子10に比べてより小型化することが可能である。
【0067】
[実施形態4]
図4を参照して、実施形態4の光素子(以下、第4光素子とも称する。)について説明する。
図4は、第4光素子の概略的な構造を示す端面図であり、
図2のI−I線と同様の線に沿った端面図である。
【0068】
第4光素子50は、以下の点が、第1光素子10と異なっている。
【0069】
(1)ブロック6の上面6bに第2波長フィルタ膜7bを有している点
(2)各成分光を反射する反射部材としての反射鏡8
1〜8
Nが、ブロック6の上面6b側に設けられている点
以下これらの点について主に説明する。
【0070】
ブロック6の上面6bに設けられた第2波長フィルタ膜7bは、第0領域7
0bを有さない以外は、第1光素子10の波長フィルタ膜7と同様に構成されている。つまり、第2波長フィルタ膜7bは、各成分光λ
1〜λ
Nをそれぞれ透過する第1〜第N領域7
1b〜7
Nbに区画されている。なお、この実施形態では、ブロックの下面6cに設けられた波長フィルタ膜7を、便宜的に第1波長フィルタ膜7aと称する。
【0071】
第2波長フィルタ膜7bは、第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nを反射する第0領域7
0bを備えていない。つまり、第1及び第2光信号IN及びOUTが入出射する上面6bの部分ではブロック6の上面6bが露出している。これは、この部分に第0領域7
0bを設けると、第1〜第N成分光λ
1〜λ
Nが反射されてしまい、ブロック6中に入力されないからである。
【0072】
また、ブロック6の上面6b側には、第2波長フィルタ膜7bの第i領域7
ibを透過した各成分光λ
iを反射するための反射鏡8
iを含むMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー装置8が設けられている。以下、このMEMSミラー装置8について詳細に説明する。
【0073】
MEMSミラー装置8は、各成分光λ
1〜λ
Nに対応して設けられる反射鏡8
1〜8
Nと、これらの反射鏡8
1〜8
Nの傾斜角をそれぞれ制御するための制御駆動部8aとを備える。
【0074】
反射鏡8
iは、第2波長フィルタ膜7bの第i領域7
ibの上側に設けられており、制御駆動部8aの制御を受けて、Y軸方向に延在する回転軸の周りで、傾斜角を変更可能に構成されている。
【0075】
次に、
図4を参照して、第4光素子50の動作について説明する。発光素子5から出射される第2光信号OUTの挙動は、第1光素子10と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
光ファイバ12から出力された第1光信号INは、第2波長フィルタ膜7bが設けられていない上面6bからブロック6内に入射し、ブロック6中を伝搬して、第1波長フィルタ膜7aの第0領域7
0aに到達する。
【0077】
そして、第1光信号INは、第0領域7
0aで反射され、ブロック本体6aを横切って、第2波長フィルタ膜7bの第1領域7
1bに入射する。この第1領域7
1bは、波長λ
1の第1成分光を透過するので、第1成分光λ
1は、第1領域7
1bを透過して、上面6bの上方に設けられた反射鏡8
1に入射する。
【0078】
一方、第1成分光λ
1以外の第2〜第N成分光λ
2〜λ
Nは、第1領域7
1bで反射されて、ブロック本体6aを横切って、第1波長フィルタ膜7aの第1領域7
1aに入射する。そして、第1領域7
1aで再反射されて、第2波長フィルタ膜7bの第2領域7
2bに入射する。この第2領域7
2bは、波長λ
2の第2成分光を透過するので、第2成分光λ
2は、第2領域7
2bを透過して、上面6bの上方に設けられた反射鏡8
2に入射する。
【0079】
一方、波長がλ
3〜λ
Nの第3〜第N成分光は、第2波長フィルタ膜7bの第2領域7
2bと、第1波長フィルタ膜7aの第2領域7
2aでブロック本体6aをジグザクに横断するように反射されて第2波長フィルタ膜7bの第3領域7
3bに入射する。そして、上述と同様に、波長λ
3の第3成分光は、第3領域7
3bを透過して反射鏡8
3に取り出され、それ以外の波長の成分光は、第1及び第2波長フィルタ膜7a及び7bの間を往復反射される過程で、1波長ずつ取り出されて、対応する反射鏡に入射する。
【0080】
次に反射鏡8
iに入射した第i成分光λ
iの挙動について、第1成分光λ
1を例に挙げて説明する。第1成分光λ
1は、反射鏡8
1で、ブロック6の下側に位置する受光素子4
1に向けて反射される。反射鏡8
1から受光素子4
1までの経路に設けられる第1及び第2波長フィルタ膜7a及び7bは、何れも第1領域7
1a及び7
1bであるので、第1成分光λ
1は、ブロック6と、第1及び第2波長フィルタ膜7a及び7bを透過して、受光素子4
1に受光される。
【0081】
第4光素子50は、第1及び第2光素子10及び30と同様の効果に加えて、更に以下のような2種の効果を奏する。
【0082】
ブロック6の寸法誤差、波長フィルタ膜7a及び7bの反射波長の誤差や、第1光信号INの波長ズレ等により、ブロック6での第i成分光λ
iの反射挙動が微妙に変化する場合がある。このように反射挙動が変化すると、第i成分光λ
iのビームスポット(約10μmφ)が、受光素子4
iの受光部(約10μmφ)からずれてしまい、受光強度が低下する場合がある。しかし、第4光素子50のように、反射鏡8
iを設ければ、第i成分光λ
iの入射角度を、受光素子4
iの受光部に正確に一致させることができ、受光強度を高めることができる。例えば、ビームスポットと受光部の位置ズレが大きい場合、反射鏡8
iにより第i成分光λ
iの伝搬方向を調整することにより、受光素子4
iにおける受光強度を2〜3dB程度向上できる。
【0083】
さらに、WDM−PONでは、局と加入者との距離が異なる複数の成分光を含む第1光信号INが、1本の光ファイバ12に含まれることがある。この場合、加入者との距離が近い局から送信された成分光は非常に強度が強い。このように強度が強い成分光を受光すると、受光素子4の受光能力が飽和してしまい、光信号を正確に受信できなくなる。このような場合には、反射鏡8により、成分光のビームスポットを故意に受光部からずらしてやることで、成分光の強度を、受光素子4の受光能力の範囲内まで弱め、正確な光信号を受信することができる。
【0084】
なお、この例では、第4光素子50に遮光領域32が設けられていない場合について説明したが、グレーティング3Gと受光素子4
1〜4
Nの間に遮光領域32を設けてもよい。このようにすることにより、第2光信号OUT由来の迷光が受光素子4
1〜4
Nに入射してノイズとなることを防ぐことができる。
【0085】
また、この例では、第i成分光λ
iは、受光素子4
iで受光されるまでに、第2波長フィルタ膜7bの第i領域7
ibを2回透過し、更に、第1波長フィルタ膜7aの第i領域7
iaを1回透過する。つまり、第i成分光λ
iは、合計3回波長フィルタ膜7a及び7bによる波長選択を受けることになる。よって、波長フィルタ膜7の透過回数が1回である第1光素子10に比較して、波長選択性を高めることができる。具体的には、第i成分光λ
iの波長軸に関する半値幅を第1光素子10よりも狭くでき、不要波長の光に由来するノイズを低減できる。
【0086】
また、第2光素子30の場合と同様に、発光素子5とグレーティング3Gとの間に、例えば、外部変調器や、外部共振器等の光回路を設けても良い。
【0087】
[実施形態5]
図5を参照して、実施形態5の光素子(以下、第5光素子とも称する。)について説明する。
図5は、第5光素子の概略的な構造を示す端面図であり、
図2のI−I線と同様の線に沿った端面図である。
【0088】
第5光素子60は、反射部材が、全反射膜11と反射鏡8
1〜8
Nで構成されている点が、第1光素子10と異なっている。以下これらの点について主に説明する。
【0089】
第5光素子60は、言わば、第1光素子10のクラッド14b中に反射鏡8
1〜8
Nが設けられた構造を有する。反射部材を構成する一方の部材である全反射膜11は、第1光素子10と同様にブロック6の上面6b上に設けられている。また、反射部材を構成する他の部材である反射鏡8
1〜8
Nは、クラッド14b中に設けられている。より詳細には、反射鏡8
1は、グレーティング3Gと受光素子4
1の間に設けられており、反射鏡8
2は、受光素子4
1と4
2の間に設けられている。同様に、反射鏡8
iは、受光素子4
i−1と4
iの間に設けられている。
【0090】
これらの反射鏡8
1〜8
Nは、不図示の制御駆動装置により、個々の傾斜角を変更可能に構成されている。
【0091】
次に、
図5を参照して、第5光素子60の動作について説明する。発光素子5から出射される第2光信号OUTの挙動は、第1光素子10と同様であるので、その説明を省略する。
【0092】
光ファイバ12から出射された第1光信号INは、全反射膜11が設けられていない上面6bからブロック6内に入射し、ブロック6中を伝搬して、波長フィルタ膜7の第0領域7
0に到達する。
【0093】
そして、第1光信号INは、第0領域7
0で反射された後に上面6bの全反射膜11で再反射され、ブロック本体6aをジグザグに横切って第1領域7
1に入射する。この第1領域7
1は、波長λ
1の第1成分光を透過するので、第1成分光λ
1は、第1領域7
1を透過して、下面6cの下側に設けられた反射鏡8
1に入射する。
【0094】
一方、第1成分光λ
1以外の第2〜第N成分光λ
2〜λ
Nは、第1領域7
1で反射された後に上面6bの全反射膜11で再反射され、ブロック本体6aをジグザグに横切って第2領域7
2に入射する。この第2領域7
2は、波長λ
2の第2成分光を透過するので、第2成分光λ
2は、第2領域7
2を透過して、下面6cの下側に設けられた反射鏡8
2に入射する。
【0095】
以下、同様であり、第i領域7
iを透過しなかった第i成分光λ
i以外の第i+1〜第N成分光λ
i+1〜λ
Nは、第i+1〜第N領域7
i+1〜7
Nと、全反射膜11との間をジグザグに伝搬する過程で、対応する波長λ
m(mはi+1〜Nの整数)を透過する第m領域7
mを透過して、反射鏡8
mに入射する。
【0096】
次に反射鏡8
iに入射した第
i成分光λ
iの挙動について、第1成分光λ
1を例に挙げて説明する。第1成分光λ
1は、反射鏡8
1で反射されて全反射膜11に至り、さらに全反射膜11で反射されて受光素子4
1で受光される。反射鏡8
1から受光素子4
1までの経路に存在する波長フィルタ膜7は、第1成分光λ
1を透過する第1領域7
1であるので、第1成分光λ
1は、波長フィルタ膜7で反射されること無く、受光素子4
1で受光される。
【0097】
第5光素子60は、第1及び第2光素子10及び30と同様の効果に加えて、第4光素子50と同様の効果を奏する。
【0098】
なお、この例では、第4光素子50と同様の理由により、第5光素子60にも遮光領域32を設けてもよい。
【0099】
また、この例では、第i成分光λ
iは、受光素子4
iで受光されるまでに、波長フィルタ膜7の第i領域7
iを3回透過する。つまり、第i成分光λ
iは、3回にわたり、波長選択を受けることになる。よって、第4光素子50と同様の理由により、不要波長の光に由来するノイズを低減できる。
【0100】
また、第2光素子30の場合と同様に、発光素子5とグレーティング3Gとの間に、例えば、外部変調器や、外部共振器等の光回路を設けても良い。
【0101】
[実施形態6]
図6を参照して、実施形態6の光素子(以下、第6光素子とも称する。)について説明する。
図6は、第6光素子の概略的な構造を示す端面図であり、
図2のI−I線と同様の線に沿った端面図である。
【0102】
第6光素子70は、以下の点が、第5光素子60と異なっている。
【0103】
(1)受光素子4
1〜4
Nが、ブロック6の上面6b側に設けられている点
(2)ブロック6の上面6bに、全反射膜11に代えて、第2波長フィルタ膜7bを有している点
以下これらの点について主に説明する。
【0104】
ブロック本体6aの上面6bに設けられた第2波長フィルタ膜7bは、第1及び第2光信号IN及びOUTが入出射される領域を除いて、第1波長フィルタ膜7aと同様に、第0〜第N領域7
0b〜7
Nbを備えている。第1及び第2光信号IN及びOUTの入出射領域を上面6bに設けた結果、第1及び第2波長フィルタ膜7a及び7bは、対応する各領域7
ja及び7
jbが、X方向に互いにズレた位置に設けられる。
【0105】
また、第6光素子70では、受光素子4
1〜4
Nが、基板1の主面1a上ではなく、ブロック本体6aの上面6b側に設けられている。
【0106】
次に、
図6を参照して、第6光素子70の動作について説明する。発光素子5から出射される第2光信号OUTの挙動は、第1光素子10と同様であるので、その説明を省略する。
【0107】
光ファイバ12から出力された第1光信号INは、第2波長フィルタ7bが設けられていない上面6bからブロック6内に入射し、ブロック6中を伝搬して、第1波長フィルタ膜7aの第0領域7
0aに到達する。
【0108】
そして、第1光信号INは、第0領域7
0aで反射され、ブロック本体6aを横切って、第2波長フィルタ膜7bの第0領域7
0bで再び反射され、ブロック本体6aを再び横切って、第1波長フィルタ膜7aの第1領域7
1aに到達する。
【0109】
この第1領域7
1aは、波長λ
1の第1成分光を透過するので、第1成分光λ
1は、第1領域7
1aを透過して、下面6cの下方に設けられた反射鏡8
1に入射する。
【0110】
一方、第2〜第N成分光λ
2〜λ
Nは、第1波長フィルタ膜7aの第1領域7
1aと、第2波長フィルタ膜7bの第1領域7
1bとの間をジグザグに2往復した後に、第1波長フィルタ膜7aの第2領域7
2aに到達する。この第2領域7
2aは、波長λ
2の第2成分光を透過するので、第2成分光λ
2は、第2領域7
2aを透過して、下面6cの下方に設けられた反射鏡8
2に入射する。
【0111】
一方、第3〜第N成分光λ
3〜λ
Nは、第1波長フィルタ膜7aの第1領域7
2aと、第2波長フィルタ膜7bの第2領域7
2bとの間をジグザグに2往復した後に、第1波長フィルタ膜7aの第3領域7
3aに到達する。そして、上述と同様に、波長λ
3の第3成分光は、第3領域7
3aを透過して反射鏡8
3に取り出され、それ以外の波長の成分光は、第1及び第2波長フィルタ膜7a及び7bの間を往復反射される過程で、1波長ずつ取り出されて、対応する反射鏡に入射する。
【0112】
次に反射鏡8
iに入射した第i成分光λ
iの挙動について、第1成分光λ
1を例に挙げて説明する。第1成分光λ
1は、反射鏡8
1で、ブロック6の上側に位置する受光素子4
1に向けて反射される。反射鏡8
1から受光素子4
1までの経路に設けられる第1及び第2波長フィルタ膜7a及び7bは、何れも第1領域7
1a及び7
1bであるので、第1成分光λ
1は、ブロック6を透過して、受光素子4
1に受光される。
【0113】
第6光素子70は、第5光素子60と同様の効果に加えて、更に、受光素子4を第6光素子70の製造工程の最後に形成できるので、製造条件上の制約が少なく、より容易に第6光素子70を作成できる。例えば、第6光素子70では、市販の受光素子4をブロック6の上面6bに貼り付けることによっても製造できる。
【0114】
[実施形態7]
図7を参照して、実施形態7の光素子(以下、第7光素子とも称する。)について説明する。
図7は、第7光素子の概略的な構造を示す端面図であり、
図2のI−I線と同様の線に沿った端面図である。
【0115】
第7光素子80は、透過波長が異なる波長フィルタ膜9
1〜9
NをZ方向に積層しており、一枚の波長フィルタ膜7に透過波長が異なる領域7
1〜7
Nを設けた第1光素子10(
図2)とは、この点が異なっている。以下、この相違点について主に説明する。
【0116】
第7光素子80は、クラッド14bの上面に、分離すべき成分光の個数(N)に対応する波長フィルタブロック6
1〜6
Nがこの順で積層されている。そして、これらのブロック6
1〜6
Nのそれぞれの上面6
1b〜6
Nbに、各成分光λ
1〜λ
Nを反射し、λ
1〜λ
Nを超える波長の光を透過する波長フィルタ膜9
1〜9
Nが設けられている。以降、ブロック6
1〜6
Nを総称する場合には、単に「ブロック6」とも称する。同様に、波長フィルタ膜9
1〜9
Nを総称する場合には、単に「波長フィルタ膜9」とも称する。
【0117】
各ブロック6
1〜6
Nは、内部を伝搬する光を幾何光学的に扱えるように、各成分光λ
1〜λ
Nの波長に対して十分に大きい、mmオーダの厚みを有する。また、各ブロック6
iの上面には、各成分光λ
iの波長の光を反射し、λ
iを超える波長の光を透過するように設計された誘電体多層膜からなる波長フィルタ膜9
iが製膜されている。
【0118】
また、クラッド14bの上面の、第1及び第2光信号IN及びOUTが入射する領域には、波長フィルタ膜13が設けられている。この波長フィルタ膜13は、発光素子5から出射される波長λ
0の第2光信号OUTのみを透過し、第1光信号INに含まれる成分光λ
1〜λ
Nを反射するように構成されている。
【0119】
また、クラッド14bの上面には、各波長フィルタ膜9
1〜9
Nで反射された成分光λ
1〜λ
Nをコリメートして受光素子4
1〜4
Nに入力するためのレンズ15
1〜15
Nが設けられている。
【0120】
次に、
図7を参照して、第7光素子80の動作について説明する。発光素子5から出射される波長λ
0の第2光信号OUTは、グレーティング3Gにより伝搬方向が主面1aに対して傾いた方向に変更され、波長フィルタ膜13を透過して、光ファイバ12に結合される。
【0121】
一方、光ファイバ12から出力された波長λ
1〜λ
Nの第1光信号INは、ブロック6
1〜6
N中を伝搬して、波長フィルタ膜13で反射される。反射された第1光信号INの中で、波長λ
1の第1成分光は、ブロック6
1の波長フィルタ膜9
1で、受光素子4
1方向に反射される。それ以外の第2〜第N成分光λ
2〜λ
Nは、波長フィルタ膜9
1を透過して、次のブロック6
2に入射する。
【0122】
そして、第2〜第N成分光λ
2〜λ
Nの内、波長がλ
2の第2成分光は、ブロック6
2の波長フィルタ膜9
2で、受光素子4
2方向に反射される。波長λ
2よりも大きい波長を有する第3〜第N成分光λ
3〜λ
Nは、波長フィルタ膜9
2を透過して、次のブロック6
3に入射する。以下同様にして、各ブロック6
iの波長フィルタ膜9
iで第i成分光が受光素子4
i方向に反射される。
【0123】
次に波長フィルタ膜9
iに入射した第i成分光λ
iの挙動について、第2成分光λ
2を例に挙げて説明する。第2成分光λ
2は、波長フィルタ膜9
2で、受光素子4
2に向けて反射される。波長フィルタ膜9
2から受光素子4
2までの経路に設けられる第1波長フィルタ膜9
1は、波長λ
1を超える波長の第2成分光λ
2を透過させるので、第2成分光λ
2は、レンズ15
2でコリメートされて、受光素子4
2に受光される。
【0124】
第7光素子80は、第1光素子10と同様の効果を奏するが、第1光素子10とは異なり、一枚の波長フィルタ膜7の内部で透過波長を変更する必要がなく、波長フィルタ膜9
iを容易に作成することができる。