特許第5983497号(P5983497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000002
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000003
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000004
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000005
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000006
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000007
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000008
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000009
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000010
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000011
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000012
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000013
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000014
  • 特許5983497-画像読取装置及び媒体搬送装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983497
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】画像読取装置及び媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20160818BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B65H5/06 D
   B65H5/06 F
   H04N1/00 108Q
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-70762(P2013-70762)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-193757(P2014-193757A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】中山 大介
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−100115(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0197770(US,A1)
【文献】 特開2002−145476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/06、29/20−29/22
B41J11/00、13/00
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1媒体を案内するとともに、前記第1媒体より幅狭、かつ肉厚である第2媒体を案内する搬送経路を構成する搬送ガイド部を有する筐体と、
前記第1媒体及び前記第2媒体を前記搬送ガイド部において搬送する搬送部と、
前記搬送ガイド部において搬送される前記第1媒体及び前記第2媒体の画像を読み取る読取部とを備え、
前記第2媒体は、前記搬送ガイド部における幅方向の一端側に位置する搬送領域において案内され、
前記搬送部は、前記搬送領域において前記第2媒体を協働して搬送する第1ローラ、第2ローラ、当接部及び搬送ローラ対を有し、
前記第1ローラは、前記幅方向と平行な第1軸心周りに回転駆動され、
前記第2ローラは、前記第1軸心と平行、かつ前記搬送経路を挟んで前記第1軸心と反対側に位置する第2軸心周りに回転可能に配され、
前記第2軸心は、前記第1軸心に対し、前記第1ローラの半径と前記第2ローラの半径との和よりも大きな一定距離だけ離れ、
前記当接部は、前記搬送経路を挟んで前記第1軸心と反対側に位置し、前記第1ローラの外周から離間し、
前記第2ローラ及び前記当接部の一方は、前記第2媒体の搬送方向において前記第1軸心より上流側に位置し、
前記第2ローラ及び前記当接部の他方は、前記搬送方向において前記第1軸心より下流側に位置し、
前記搬送ローラ対は、回転駆動される駆動ローラと、前記搬送経路を挟んで前記駆動ローラと対向し、前記駆動ローラに接触する従動ローラとを有し、前記搬送方向において前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記当接部よりも下流側に位置することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1軸心に沿った方向に見て、前記第1ローラと前記第2ローラとは第1間隔離間し、
前記第1軸心に沿った方向に見て、前記第1ローラと前記当接部とは第2間隔離間し、
前記第1軸心に沿った方向に見て、前記第2ローラと前記当接部とに接する第2接線と、前記第1ローラに接し、かつ前記第2接線と平行な第1接線とは、第3間隔離間し、
前記第3間隔は、前記第1間隔及び第2間隔よりも小さくされている請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記第1軸心と平行、かつ前記搬送経路を挟んで前記第1軸心と反対側に位置する第3軸心周りに回転可能に配された第3ローラであり、
前記第3軸心は、前記第1軸心に対し、前記第1ローラの半径と前記第3ローラの半径との和よりも大きな一定距離だけ離れている請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
第1媒体を案内する第1搬送経路を構成する第1ガイド部と、前記第1媒体より幅狭、かつ肉厚である第2媒体を案内する第2搬送経路を構成し、前記第1ガイド部よりも幅方向に狭い第2ガイド部とを有する筐体と、
前記第1媒体を前記第1搬送経路に沿って搬送し、前記第2媒体を前記第2搬送経路に沿って前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との合流位置まで搬送する搬送部と、
を備え、
前記第2搬送経路は、前記第2ガイド部における前記第2媒体の搬送方向の上流から前記合流位置までとされ、
前記搬送部は、
前記第1搬送経路において前記合流位置よりも前記第2媒体の搬送方向の下流に設けられ、前記幅方向と平行な第1軸心周りに回転駆動され、前記第2媒体の第1面に当接可能な第1ローラと、
前記第1軸心と平行な第2軸心周りに回転可能に配され、前記第1ローラから離間し、前記第2媒体の前記第1面とは反対側の第2面に当接可能な第2ローラと、
前記第1ローラから離間し、前記第2媒体の前記第2面に当接可能な当接部とを有し、
前記第2ローラ及び前記当接部の一方は、前記第1搬送経路の前記搬送方向において前記第1軸心より下流側に位置し、
前記第2ローラ及び前記当接部の他方は、前記第2搬送経路に位置していることを特徴とする媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置及び媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の例が開示されている。この画像読取装置は、筐体と搬送部と読取部とを備えている。筐体は、搬送ガイド部を有している。搬送ガイド部は、第1媒体を案内するとともに、第1媒体より幅狭、かつ肉厚である第2媒体を案内する搬送経路を構成している。搬送部は、第1媒体及び第2媒体を搬送ガイド部において搬送する。読取部は、搬送ガイド部において搬送される第1媒体及び第2媒体の画像を読み取る。第2媒体は、搬送ガイド部における幅方向の一端側に位置する搬送領域において案内される。
【0003】
搬送部は、搬送領域において第2媒体を協働して搬送する第1ローラ及び第2ローラを有している。第1ローラは、幅方向と平行な第1軸心周りに回転駆動され、第2媒体の第1面に当接可能である。第2ローラは、第1軸心と平行、かつ搬送経路を挟んで第1軸心と反対側に位置する第2軸心周りに回転可能に配されている。第2軸心は、第1軸心に対し、第1ローラの半径と第2ローラの半径との和よりも大きな距離だけ離れている。第2ローラは付勢バネにより第1ローラに接近するように付勢されており、第1軸心と第2軸心との距離が変動する。第2ローラは、第2媒体の第1面とは反対側の第2面に当接可能である。第2ローラは、第2媒体の搬送方向において第1ローラの第1軸心と同じ位置にある。
【0004】
この画像読取装置では、第1ローラに最も接近した第2ローラと第1ローラとの間隔は、第1媒体の厚みよりも大きくされている。これにより、搬送ガイド部において搬送される第1媒体は、第1ローラと第2ローラとにニップされずに、第1ローラと第2ローラとの間を通過する。このため、この画像読取装置では、搬送ガイド部において搬送される第1媒体に対し、回転駆動される第1ローラから搬送力が付与され難くなっており、第1媒体の幅方向における搬送力のばらつきが抑制される。その結果、この画像読取装置では、第1媒体の斜行を抑制できる。
【0005】
また、この画像読取装置では、第1ローラが搬送ガイド部において搬送される第2媒体の第1面に当接しつつ回転駆動され、付勢バネに付勢された第2ローラが第2媒体の第2面に当接しつつ従動回転することにより、第1ローラから第2媒体に搬送力が付与される。その結果、この画像読取装置では、第2媒体を良好に搬送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−285259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の画像読取装置では、第1ローラに接近するように付勢された第2ローラを採用していることから、第2ローラを付勢する付勢バネや、第2ローラを案内するためのガイド部材等を設けなければならず、製造コストの低廉化が難しい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、第1媒体の斜行を抑制しつつ第2媒体を良好に搬送できるとともに、製造コストの低廉化を実現できる画像読取装置及び媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像読取装置は、第1媒体を案内するとともに、前記第1媒体より幅狭、かつ肉厚である第2媒体を案内する搬送経路を構成する搬送ガイド部を有する筐体と、
前記第1媒体及び前記第2媒体を前記搬送ガイド部において搬送する搬送部と、
前記搬送ガイド部において搬送される前記第1媒体及び前記第2媒体の画像を読み取る読取部とを備え、
前記第2媒体は、前記搬送ガイド部における幅方向の一端側に位置する搬送領域において案内され、
前記搬送部は、前記搬送領域において前記第2媒体を協働して搬送する第1ローラ、第2ローラ、当接部及び搬送ローラ対を有し、
前記第1ローラは、前記幅方向と平行な第1軸心周りに回転駆動され、
前記第2ローラは、前記第1軸心と平行、かつ前記搬送経路を挟んで前記第1軸心と反対側に位置する第2軸心周りに回転可能に配され、
前記第2軸心は、前記第1軸心に対し、前記第1ローラの半径と前記第2ローラの半径との和よりも大きな一定距離だけ離れ、
前記当接部は、前記搬送経路を挟んで前記第1軸心と反対側に位置し、前記第1ローラの外周から離間し、
前記第2ローラ及び前記当接部の一方は、前記第2媒体の搬送方向において前記第1軸心より上流側に位置し、
前記第2ローラ及び前記当接部の他方は、前記搬送方向において前記第1軸心より下流側に位置し、
前記搬送ローラ対は、回転駆動される駆動ローラと、前記搬送経路を挟んで前記駆動ローラと対向し、前記駆動ローラに接触する従動ローラとを有し、前記搬送方向において前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記当接部よりも下流側に位置することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像読取装置では、第1ローラと第2ローラとの間の第1間隔及び第1ローラと当接部との間の第2間隔は、第1媒体の厚みより大きく設定されている。これにより、搬送ガイド部において搬送される第1媒体は、第1ローラと第2ローラとの間、及び第1ローラと当接部との間の少なくとも一方を通過する際、第1ローラと第2ローラとにニップされず、また、第1ローラと当接部とにニップされない。このため、この画像読取装置では、搬送ガイド部において搬送される第1媒体に対して、回転駆動される第1ローラから搬送力が付与され難くなっており、第1媒体の幅方向における搬送力のばらつきが抑制される。その結果、この画像読取装置では、第1媒体の斜行を抑制できる。
【0011】
また、この画像読取装置では、第2ローラと当接部とは、第2媒体の搬送方向において第1ローラの第1軸心より上流側と下流側とに位置している。そして、第1間隔及び第2間隔が上記のように設定されている。また、第2媒体は、第1媒体より肉厚であるので、第1媒体と比較して曲り難い。これにより、この画像読取装置では、第2媒体が搬送ガイド部において搬送される際に、第1ローラが第1面に当接すると同時に第2ローラ及び当接部が第2面に当接することで、第1ローラから第2媒体に搬送力が好適に付与される。その結果、この画像読取装置では、第2媒体を良好に搬送できる。
【0012】
さらに、この画像読取装置では、第1ローラの第1軸心と第2ローラの第2軸心との距離が一定であるので、第2ローラを筐体に対して固定できる。このため、この画像読取装置では、第2ローラを付勢する付勢バネや、第2ローラを案内するためのガイド部材等を設けなければならない上記従来の画像読取装置と比較して、製造コストの低廉化を実現できる。
【0013】
したがって、本発明の画像読取装置では、第1媒体の斜行を抑制しつつ第2媒体を良好に搬送できるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【0014】
本発明の媒体搬送装置は、第1媒体を案内する第1搬送経路を構成する第1ガイド部と、前記第1媒体より幅狭、かつ肉厚である第2媒体を案内する第2搬送経路を構成し、前記第1ガイド部よりも幅方向に狭い第2ガイド部とを有する筐体と、
前記第1媒体を前記第1搬送経路に沿って搬送し、前記第2媒体を前記第2搬送経路に沿って前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との合流位置まで搬送する搬送部と、
を備え、
前記第2搬送経路は、前記第2ガイド部における前記第2媒体の搬送方向の上流から前記合流位置までとされ、
前記搬送部は、
前記第1搬送経路において前記合流位置よりも前記第2媒体の搬送方向の下流に設けられ、前記幅方向と平行な第1軸心周りに回転駆動され、前記第2媒体の第1面に当接可能な第1ローラと、
前記第1軸心と平行な第2軸心周りに回転可能に配され、前記第1ローラから離間し、前記第2媒体の前記第1面とは反対側の第2面に当接可能な第2ローラと、
前記第1ローラから離間し、前記第2媒体の前記第2面に当接可能な当接部とを有し、
前記第2ローラ及び前記当接部の一方は、前記第1搬送経路の前記搬送方向において前記第1軸心より下流側に位置し、
前記第2ローラ及び前記当接部の他方は、前記第2搬送経路に位置していることを特徴とする媒体搬送装置。
【0015】
本発明の媒体搬送装置は、本発明の画像読取装置について上述した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0016】
したがって、本発明の媒体搬送装置では、第1媒体の斜行を抑制しつつ第2媒体を良好に搬送できるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1の画像読取装置に係り、シートトレイを開いた状態の前方を主に示す斜視図である。
図2】実施例1の画像読取装置に係り、シートトレイを閉じた状態の後方を主に示す斜視図である。
図3】実施例1の画像読取装置に係り、シートトレイを閉じた状態の前方を主に示す斜視図である。
図4】実施例1の画像読取装置に係り、シートトレイを開いた状態を示す模式上面図である。
図5】実施例1の画像読取装置に係り、図4のA−A断面を示す断面図である。
図6】実施例1の画像読取装置に係り、図4のB−B断面であって、シートトレイを閉じた状態を示す断面図である。
図7】実施例1の画像読取装置に係り、第1シュート部材を揺動させた状態を示す斜視図である。
図8】実施例1の画像読取装置に係り、分離ローラ及び駆動軸を主に示す分解斜視図である。
図9】実施例1の画像読取装置に係り、第1ローラ、第2ローラ及び第3ローラの相対位置関係を説明する模式図である。
図10】実施例1の画像読取装置に係り、第1ローラと第2ローラとの間、及び第1ローラと第3ローラとの間を通過する第1媒体を示す模式図である。
図11】実施例1の画像読取装置に係り、第1ローラ、第2ローラ及び第3ローラによって搬送される第2媒体を示す模式図である。
図12】実施例2の画像読取装置に係り、図6と同様の断面を示す部分断面図である。
図13】実施例3の画像読取装置に係り、図6と同様の断面を示す部分断面図である。
図14】実施例4の画像読取装置に係り、図6と同様の断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像読取装置及び媒体搬送装置を具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置及び媒体搬送装置の具体的態様の一例である。図1では、排出口13側を装置の前側と規定し、排出口13に対向した場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0020】
<構成>
図1図8に示すように、画像読取装置1は、筐体30と、シートトレイ36とを備えている。筐体30は、第1シュート部材31と、第2シュート部材32と、一対のサイドフレーム33L、33Rとが組み合わされてなる。
【0021】
上側に位置する第1シュート部材31と、下側に位置する第2シュート部材32とは、上下方向の間隔を有して互いに対向している。左側のサイドフレーム33L及び右側のサイドフレーム33Rは、第1シュート部材31及び第2シュート部材32を左右方向の外側から挟んでいる。
【0022】
図1及び図5図7に示すように、第1シュート部材31は、上面31A、前面31B及び上側案内面31G等を有している。上面31Aは、上方を向く平面である。上面31Aは、後方から前方に向かって下り傾斜している。上面31Aの中央には、タッチパネル70が設けられている。前面31Bは、前方を向く平面である。前面31Bは、上面31Aの前端縁に連続し、下方に向かって垂直に延びている。上側案内面31Gは、下方を向く屈曲平面である。上側案内面31Gは、上面31Aの後端縁の下側から前方に向かって下り傾斜している。上側案内面31Gは、第1シュート部材31における前後方向の略中央において前方に向きを変える。上側案内面31Gは、前方に向かって略水平に延びて、前面31Bの下端縁31BAに連続している。要するに、第1シュート部材31は、後方から前方に向かって下り傾斜している。
【0023】
図1図2及び図5図7に示すように、第2シュート部材32は、前面32B、下側案内面32G及び後面32Cを有している。前面32Bは、前方を向く平面である。前面32Bの上端縁32BAは、前面31Bの下端縁31BAに対して、隙間を有して下側に離間している。前面32Bは、下方に向かって垂直に延びている。下側案内面32Gは、上方を向く屈曲平面である。下側案内面32Gは、後面32Cの上端縁の上側から上側案内面31Gに沿うように、前方に向かって下り傾斜している。下側案内面32Gは、第2シュート部材32における前後方向の中央において前方に向きを変える。下側案内面32Gは、前方に向かって水平に延びて、前面32Bの上端縁32BAに連続している。後面32Cは、後方を向く平面である。後面32Cは、下方に向かって略垂直に延びている。
【0024】
図6及び図8等に示すように、第2シュート部材32は、下側カード案内面32J及び上側カード案内面32Hを有している。下側カード案内面32Jは、下側案内面32Gの水平部分における右端部に連続し、後方に向かって水平に延びて後面32Cまで達している。上側カード案内面32Hは、下側カード案内面32Jに対して上方に離間している。上側カード案内面32Hは、下側カード案内面32Jと平行に、後方に向かって水平に延びて後面32Cまで達している。図6に示すように、上側カード案内面32Hの上下方向の高さは、上側案内面31Gの水平部分の上下方向の高さとほぼ同じである。
【0025】
なお、上側案内面31G、下側案内面32G、上側カード案内面32H、下側カード案内面32Jは、平滑な平面からなる構成に限定されず、複数のリブの先端縁等によって構成されていてもよい。
【0026】
図4及び図6に示すように、下側カード案内面32Jが下側案内面32Gの水平部分における右端部に連続する位置を合流位置J1とする。
【0027】
図1及び図5等に示すように、筐体30には、第1導入口11と、排出口13とが形成されている。
【0028】
第1導入口11に、シートSHが挿入される。シートSHは、例えば、用紙やOHPシート等である。シートSHは、本発明の「第1媒体」の一例である。
【0029】
より詳しくは、図5に示すように、第1導入口11は、第1シュート部材31と第2シュート部材32との間に形成されている。第1導入口11は、上側案内面31Gの後端縁31GAと、下側案内面32Gの後端縁32GAとの隙間である。図1に示すように、第1導入口11は、左側のサイドフレーム33Lの近傍から右側のサイドフレーム33Rの近傍まで、左右方向に延びている。第1導入口11の左右方向の長さは、シートSHの幅よりも長くされている。
【0030】
図1及び図5に示すように、排出口13から、シートSHが排出される。排出口13は、第1シュート部材31と第2シュート部材32との間に形成されている。より詳しくは、排出口13は、前面31Bの下端縁31BAと、前面32Bの上端縁32BAとの隙間である。排出口13は、左側のサイドフレーム33Lの近傍から右側のサイドフレーム33Rの近傍まで、左右方向に延びている。排出口13の左右方向の長さは、第1導入口11と同様、シートSHの幅よりも長くされている。
【0031】
図4図6に示すように、画像読取装置1は、搬送ガイド部10を備えている。搬送ガイド部10は、第1シュート部材31の上側案内面31Gと、第2シュート部材32の下側案内面32Gとに上下方向から挟まれてなる通路により、第1搬送経路P1を形成している。搬送ガイド部10は、第1搬送経路P1に沿って、シートSHを第1導入口11から排出口13へ案内する。第1搬送経路P1は、本発明の「搬送経路」の一例である。搬送ガイド部10の幅方向である左右方向は、本発明の「幅方向」の一例である。また、本実施例において、幅方向の一端側は右端側であり、幅方向の他端側は左端側である。
【0032】
搬送ガイド部10は、第1導入口11から前方に向かって下り傾斜している。そして、搬送ガイド部10は、筐体30における前後方向の中央において前向きに屈曲し、排出口13まで水平に延びている。
【0033】
図7に示すように、第1シュート部材31は、回動軸心X31周りに筐体30に揺動可能に組み付けられている。回動軸心X31は、第1シュート部材31の前面31Bの下端縁31BA側に位置して左右方向に延びている。第1シュート部材31が第2シュート部材32に対して上方に離間するように揺動することにより、搬送ガイド部10が開放される。
【0034】
図4に示すように、搬送ガイド部10において、合流位置J1より排出口13側、かつ右端側に位置する領域は、カード搬送領域29とされている。カード搬送領域29は、本発明の「搬送領域」の一例である。
【0035】
図2及び図6等に示すように、筐体30には、第2導入口12が形成されている。第2導入口12に、シートSHより幅狭であるカードCAが挿入される。カードCAは、シートSHより小面積の枚葉である。カードCAは、例えば、名刺、キャッシュカード、会員証又は免許証等である。カードCAの短辺の長さは、例えば、国際標準化機構(ISO)/国際電気標準会議(IEC)による国際規格ID−1の53.98mmである。カードCAの長辺の長さは、例えば、国際標準化機構(ISO)/国際電気標準会議(IEC)による国際規格ID−1の85.60mmである。カードCAは、シートSHより肉厚であるとともに剛性が高い。カードCAも、本発明の「第2媒体」の一例である。
【0036】
より詳しくは、図6に示すように、第2導入口12は、第2シュート部材32に形成されている。第2導入口12は、後面32Cにおける上下方向の中間部、かつ右側のサイドフレーム33R側に開口している。第2導入口12は、左右方向に延びている。第2導入口12の左右方向の長さは、第1導入口11の左右方向の長さよりも小さく形成されている。また、第2導入口12の左右方向の長さは、カードCAの幅よりも長くされている。第2導入口12の上下方向の高さは、搬送ガイド部10の水平部分及び排出口13の上下方向の高さとほぼ同じである。第2導入口12は、第1導入口11の右端側と上下方向において重なる位置にある。
【0037】
図3及び図6に示すように、排出口13の右端側から、カードCAが排出される。要するに、排出口13からは、第1導入口11から挿入されたシートSH及び第2導入口12から挿入されたカードCAが共通して排出される。
【0038】
図4図6及び図8に示すように、画像読取装置1は、第2搬送ガイド部20を備えている。第2搬送ガイド部20は、第2シュート部材32の上側カード案内面32Hと下側カード案内面32Jとに上下方向から挟まれてなる通路により、図6に示す第2搬送経路P2を形成している。第2搬送ガイド部20は、合流位置J1において、搬送ガイド部10に合流する。第2搬送ガイド部20は、第2搬送経路P2に沿って、第2導入口12から挿入されたカードCAを搬送ガイド部10に合流するように案内する。
【0039】
第2搬送ガイド部20が搬送ガイド部10に合流する合流位置J1は、上側案内面31G及び下側案内面32Gの前方から後方に向かって下り傾斜する部分から水平に向きを変える部分に設定されている。これにより、第2搬送ガイド部20と、搬送ガイド部10の右端側に位置するカード搬送領域29とは、後方の第2導入口12から前方の排出口13の右端側まで水平に延びている。第2搬送ガイド部20とカード搬送領域29とは、第2導入口12から排出口13の右端側へカードCAを案内する。
【0040】
図1に示すように、シートトレイ36は、基部36A、中間部36B及び先端部36Cを有している。基部36Aは、左右方向に延びる回動軸心X36A周りに回動可能に両サイドフレーム33L、33Rに支持されている。中間部36Bは、基部36Aの回動軸心X36Aから遠い端縁側において、基部36Aに連結されている。先端部36Cは、中間部36Bの基部36Aから遠い端縁側において、中間部36Bに連結されている。中間部36Bの中央には、操作開口39が矩形状に開口している。
【0041】
図1及び図5に示すように、シートトレイ36が開いた状態では、基部36A、中間部36B及び先端部36Cが下側案内面32Gの傾斜部分に連続するように後方に向かって上り傾斜し、第1導入口11を開放している。シートトレイ36には、1枚又は複数枚のシートSHが載置される。シートトレイ36は、左右一対の幅規制ガイド36Wを有している。幅規制ガイド36Wは、シートトレイ36に載置されるシートSHを左右方向の外側から挟んで左右方向の位置決めを行う。シートトレイ36に載置されたシートSHは、第1導入口11に挿入され、搬送ガイド部10により排出口13へ案内される。
【0042】
図2図3及び図6に示すように、シートトレイ36が閉じた状態では、基部36Aが垂直になって第2シュート部材32の後面32Cと面一になり、中間部36Bが第1シュート部材31の上面31Aを上方から覆い、先端部36Cが第1シュート部材31の前面31Bを前方から覆っている。図2及び図3に示すように、操作開口39は、シートトレイ36が閉じた状態でタッチパネル70を外部に露出させている。
【0043】
図4図6等に示すように、画像読取装置1は、制御基板54と、駆動源40Mと、搬送部40と、読取部55とを備えている。読取部55は、本発明の「処理部」の一例である。
【0044】
図5及び図6に示すように、制御基板54は、第2シュート部材32の底部に配されている。図示は省略するが、制御基板54は、CPU、ROM及びRAM等を備える扁平な電子回路基板である。制御基板54には、ACアダプタ及び給電コードを介して、家庭用コンセントから電力が供給される。制御基板54は、駆動源40M、読取部55、タッチパネル70等に電気的に接続され、適宜それらに電力を供給して制御を行う。
【0045】
図4に示すように、駆動源40Mは、筐体30内における左側のサイドフレーム33L側に設けられている。駆動源40Mは、図示しないモータ及び伝達ギヤ群を有している。駆動源40Mは、そのモータが制御基板54に制御されることにより、駆動力を発生する。
【0046】
図4図8に示すように、搬送部40は、分離ローラ48、分離パッド49、上流側搬送部41及び下流側搬送部42を有している。読取部55は、第1読取部55A及び第2読取部55Bを有している。これらは、搬送ガイド部10において、第1導入口11から排出口13に向かってシートSHが搬送される搬送方向の上流側から下流側に向かって、分離ローラ48及び分離パッド49、上流側搬送部41、第2読取部55B、第1読取部55A、下流側搬送部42という順番で配されている。また、分離ローラ48及び分離パッド49は、合流位置J1よりも第1導入口11側に配され、上流側搬送部41、第2読取部55B、第1読取部55A及び下流側搬送部42は、合流位置J1よりも排出口13側に配されている。以下、この順番で、これらの構成を説明する。なお、合流位置J1よりも排出口13側において、シートSHが搬送される搬送方向とカードCAが搬送される搬送方向とは、同じである。
【0047】
図5及び図8等に示すように、分離ローラ48は、第2シュート部材32内に回転可能に支持されている。分離ローラ48の上部は、下側案内面32Gの傾斜部分から搬送ガイド部10に露出している。
【0048】
図4及び図8に示すように、分離ローラ48は、搬送ガイド部10における左右方向の中央部に位置している。分離ローラ48は、駆動軸48Sにより、駆動源40Mに連結されている。駆動軸48Sは、分離ローラ48と同軸上に配されて左右方向に延びている。駆動軸48Sの右端部は、分離ローラ48の右端面48Rより僅かに右方に突出し、第2シュート部材32により回転可能に支持されている。駆動軸48Sの右端部は、カード搬送領域29より左側で途切れている。すなわち、駆動軸48Sは、分離ローラ48の右端面48Rの近傍より左端側のみに配されている。駆動軸48Sは、駆動源40Mから分離ローラ48に駆動力を伝達する。
【0049】
分離ローラ48は、制御基板54が駆動源40Mを制御することにより、駆動軸48Sを介して駆動源40Mに駆動される。そして、図5に示すように、分離ローラ48は、シートトレイ36に載置されたシートSHに当接しつつ回転することにより、そのシートSHを搬送ガイド部10に送り出す。
【0050】
図7に示すように、分離パッド49は、第1シュート部材31に組み付けられている。図5に示すように、分離パッド49は、上側案内面31Gにおいて搬送ガイド部10に露出している。分離パッド49は、ゴムやエラストマー等の摩擦部材からなる板状体である。分離パッド49は、図示しない付勢部材に付勢されて、分離ローラ48に押し付けられている。これにより、分離ローラ48と分離パッド49とは、搬送ガイド部10において搬送されるシートSHを挟んで一枚ずつ分離し得る。
【0051】
図4図8に示すように、上流側搬送部41は、第1搬送ローラ対41A、41Bと、第2搬送ローラ対41Dとを備えている。第1搬送ローラ対41A、41B及び第2搬送ローラ対41Dは、搬送方向において同じ位置に配されている。第1搬送ローラ対41A、41Bはそれぞれ、駆動源40Mに駆動されて回転する駆動ローラと、その駆動ローラと対向する従動ローラとからなる。第2搬送ローラ対41Dは、駆動源40Mに駆動されて回転する第1ローラ110と、第1ローラ110と対向する第2ローラ120及び第3ローラ130とを有している。第2搬送ローラ対41Dの具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0052】
第1搬送ローラ対41A、41Bは、カード搬送領域29外に位置し、搬送ガイド部10においてシートSHをニップして搬送する。第2搬送ローラ対41Dは、カード搬送領域29内に位置し、搬送ガイド部10のカード搬送領域29においてカードCAをニップして搬送する。
【0053】
第2読取部55Bは、第2シュート部材32に組み付けられている。より具体的には、第2読取部55Bは、Contact Image Sensor(以後、「CIS」と略す)、CISホルダ及びコンタクトガラス等を備える。第2読取部55Bの上面は、下側案内面32Gの水平部分において搬送ガイド部10に露出している。
【0054】
第1読取部55Aは、第1シュート部材31に組み付けられている。より具体的には、第1読取部55Aは、CIS、CISホルダ及びコンタクトガラス等を備える。第1読取部55Aの下面は、上側案内面31Gの水平部分において搬送ガイド部10に露出している。
【0055】
第1読取部55A及び第2読取部55Bは、第1読取部55Aが排出口13に対して第2読取部55Bよりも近い位置にある状態で、カード搬送領域29を含む搬送ガイド部10全体を上下方向から挟むように対向している。
【0056】
上記構成により、第1読取部55A及び第2読取部55Bは、シートSHが搬送ガイド部10において搬送される場合、そのシートSHの両面の画像を読み取る。また、第1読取部55A及び第2読取部55Bは、第2搬送ガイド部20に案内されて搬送ガイド部10に合流したカードCAがカード搬送領域29において搬送される場合、そのカードCAの両面の画像を読み取る。
【0057】
下流側搬送部42は、第1搬送ローラ対42A、42B、42Cと、第2搬送ローラ対42Dとを備えている。第1搬送ローラ対42A、42B、42C及び第2搬送ローラ対42Dは、搬送方向において同じ位置に配されている。第1搬送ローラ対42A、42B、42C及び第2搬送ローラ対42Dはそれぞれ、駆動源40Mに駆動されて回転する駆動ローラと、その駆動ローラと対向する従動ローラとからなる。
【0058】
第1搬送ローラ対42A、42B、42Cは、カード搬送領域29外に位置し、搬送ガイド部10において搬送されるシートSHをニップして回転し、シートSHを排出口13から筐体30の外部に排出する。第2搬送ローラ対42Dは、カード搬送領域29内に位置し、カード搬送領域29において画像が読み取られたカードCAをニップして回転し、カードCAを排出口13の右端側から筐体30の外部に排出する。
【0059】
図1及び図5に示すように、タッチパネル70は、第1シュート部材31の内部における上面31A側に組み付けられている。タッチパネル70は、上面31Aにくり抜かれた矩形状のタッチパネル用開口31Hにより外部に露出している。タッチパネル70は、液晶パネルと、液晶パネルの背面側から光を照射する蛍光ランプやLED等の光源と、液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜とを有している。
【0060】
タッチパネル70は、制御基板54に制御されて、画像読取動作の処理状況やエラー状況等である画像読取装置1の稼働状況等を表示する。また、タッチパネル70は、外部からの操作を受け付ける。具体的には、タッチパネル70は、例えば、画像読取を開始するためのボタンや、設定入力用のボタン等の各種のボタンを表示する。そして、ユーザがいずれかのボタンに対応する処理の実行指示や設定入力を行うために、タッチパネル70に触れると、タッチパネル70は、その操作を受け付けて、制御基板54に伝達する。
【0061】
<シート及びカードの画像読取動作>
この画像読取装置1では、以下のようにして、シートSH及びカードCAの画像が読み取られる。
【0062】
図1及び図5に示すように、シートSHの画像が読み取られる場合、ユーザにより、シートトレイ36が開いた状態とされる。シートトレイ36が開いた状態であれば、その状態が維持される。そして、ユーザにより、シートトレイ36にシートSHが載置される。制御基板54は、タッチパネル70からシートSHの読取指示があった場合、図示しないシート検出センサによってシートトレイ36にシートSHが載置されていることを確認した上で、シートSHの画像読取動作を開始する。
【0063】
そうすると、制御基板54は、駆動源40Mに駆動力を発生させるように制御する。そうすると、まず、分離ローラ48が分離パッド49とシートSHを挟みながら回転する。分離ローラ48は、シートトレイ36上のシートSHを第1導入口11から導入し、シートSHを搬送ガイド部10に送り出す。この際、複数枚のシートSHが重なった状態で搬送されようとしている場合、分離パッド49とシートSHとの間の摩擦力などにより、シートSHが一枚ずつ分離され得る。
【0064】
次に、上流側搬送部41の第1搬送ローラ対41A、41Bによって、分離ローラ48に送り出されたシートSHを搬送ガイド部10において搬送する。搬送ガイド部10において搬送されるシートSHの両面の画像が第1読取部55A及び第2読取部55Bにより読み取られる。画像が読み取られたシートSHは、下流側搬送部42の第1搬送ローラ対42A、42B、42Cによって、排出口13から筐体30の外部に排出される。
【0065】
一方、図2図3及び図6に示すように、カードCAの画像が読み取られる場合、ユーザにより、シートトレイ36が閉じた状態とされる。シートトレイ36が閉じた状態であれば、その状態が維持される。そして、図2に示すように、ユーザにより、カードCAが筐体30の後方から第2導入口12に差し込まれる。そうすると、カードCAは、第2搬送ガイド部20を通過し、その先端がカード搬送領域29に到達する。制御基板54は、タッチパネル70からカードCAの読取指示があった場合、図示しないカード検出センサによって第2導入口12からカードCAが挿入されていることを確認した上で、カードCAの画像読取動作を開始する。
【0066】
そうすると、制御基板54は、駆動源40Mに駆動力を発生させるように制御する。そうすると、上流側搬送部41の第2搬送ローラ対41Dによって、カード搬送領域29においてカードCAを搬送する。カード搬送領域29において搬送されるカードCAの両面の画像が第1読取部55A及び第2読取部55Bにより読み取られる。図3に示すように、画像が読み取られたカードCAは、下流側搬送部42の第2搬送ローラ対42Dによって、排出口13から筐体30の外部に排出される。
【0067】
<上流側搬送部41の第2搬送ローラ対41Dの具体的構成>
図4図6図7及び図9に示す第2搬送ローラ対41Dは、以下のようにして、第1ローラ110、第2ローラ120及び第3ローラ130により、カード搬送領域29においてカードCAを協働して搬送する。
【0068】
図6に示すように、第1ローラ110は、第2シュート部材32内に回転可能に支持されている。第1ローラ110の上部は、下側案内面32Gの水平部分における合流位置J1の近傍から搬送ガイド部10に露出している。
【0069】
図4に示すように、第1ローラ110は、駆動軸41Sにより、駆動源40Mに連結されている。駆動軸41Sは、第1搬送ローラ対41A、41Bの駆動ローラ及び第1ローラ110と同軸上に配されて左右方向に延びている。駆動軸41Sは、駆動源40Mから、第1搬送ローラ対41A、41Bの駆動ローラ及び第1ローラ110に駆動力を伝達する。
【0070】
図6に示すように、第1ローラ110は、制御基板54が駆動源40Mを制御することにより、左右方向と平行な第1軸心X1周りに回転駆動される。
【0071】
図10に示すように、第1ローラ110は、シートSHの下面SH1に当接可能である。また、図11に示すように、第1ローラ110は、カードCAの下面CA1に当接可能である。下面CA1は、本発明の「第1面」の一例である。
【0072】
図6及び図7に示すように、第2ローラ120は、左右方向と平行な第2軸心X2周りに回転可能に第1シュート部材31に支持されている。第3ローラ130は、左右方向と平行な第3軸心X3周りに回転可能に第1シュート部材31に支持されている。第2ローラ120及び第3ローラ130は、上側案内面31Gの水平部分における合流位置J1の近傍から搬送ガイド部10に露出している。
【0073】
図6に示すように、カード搬送領域29において合流位置J1から排出口13に向けて搬送されるカードCAの搬送方向において、第2ローラ120は第1軸心X1より上流側、すなわち、合流位置J1側に位置し、第3ローラ130は第1軸心X1より下流側、すなわち、排出口13側に位置している。
【0074】
要するに、第2ローラ120は、第1軸心X1と平行、かつ第1搬送経路P1を挟んで第1軸心X1と反対側に位置する第2軸心X2周りに回転可能に配されている。第3ローラ130は、第1軸心X1と平行、かつ第1搬送経路P1を挟んで第1軸心X1と反対側に位置する第3軸心X3周りに回転可能に配されている。第3ローラ130は、本発明の「当接部」の一例である。
【0075】
図10に示すように、第2ローラ120及び第3ローラ130は、シートSHの上面SH2に当接可能である。また、図11に示すように、第2ローラ120及び第3ローラ130は、カードCAの上面CA2に当接可能である。上面CA2は、本発明の「第2面」の一例である。
【0076】
図9に示すように、第2軸心X2は、第1軸心X1に対し、第1ローラ110の半径R1と第2ローラ120の半径R2との和よりも大きな一定距離L1だけ離れている。第1軸心X1に沿った方向に見て、すなわち、図9のように見て、第1ローラ110と第2ローラ120との間に、一定の第1間隔W1が確保されている。このため、第2ローラ120は、第1シュート部材31に対して固定されている。
【0077】
第3軸心X3は、第1軸心X1に対し、第1ローラ110の半径R1と第3ローラ130の半径R3との和よりも大きな一定距離L2だけ離れている。第1軸心X1に沿った方向に見て、すなわち、図9のように見て、第1ローラ110と第3ローラ130との間に、一定の第2間隔W2が確保されている。このため、第3ローラ130は、第1シュート部材31に対して固定されている。
【0078】
第1間隔W1及び第2間隔W2は、シートSHの厚みT1より大きく設定されている。また、図11に示すように、第1間隔W1及び第2間隔W2は、カードCAが搬送ガイド部10において搬送される際に、第1ローラ110が下面CA1に当接すると同時に第2ローラ120及び第3ローラ130が上面CA2に当接可能な大きさに設定されている。具体的には、図9に示すように、第1軸心X1に沿った方向に見て、第2ローラ120と第3ローラ130とに接する接線を第2接線S2とし、第1ローラ110に接し、かつ第2接線S2と平行な接線を第1接線S1とする。そうすると、第1間隔W1及び第2間隔W2は、第2接線S2と第1接線S1との第3間隔W3がカードCAの厚みT2より小さくなるように設定されている。
【0079】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1では、図9に示すように、第1間隔W1及び第2間隔W2は、シートSHの厚みT1より大きく設定されている。このような第1間隔W1及び第2間隔W2の設定により、図10に示すように、搬送ガイド部10において搬送されるシートSHは、第1ローラ110と第2ローラ120との間を通過する際、第1ローラ110又は第2ローラ120に当接するとしても、第1ローラ110と第2ローラ120とにニップされない。また、そのシートSHは、第1ローラ110と第3ローラ130との間を通過する際、第1ローラ110又は第3ローラ130に当接するとしても、第1ローラ110と第3ローラ130とにニップされない。このため、この画像読取装置1では、搬送ガイド部10において搬送されるシートSHの右端縁側に対して、回転駆動される第1ローラ110から搬送力が付与され難くなっており、シートSHの左右方向における搬送力のばらつきが抑制される。その結果、この画像読取装置1では、シートSHの斜行を抑制できる。
【0080】
また、この画像読取装置1では、図9に示すように、第2ローラ120は、カードCAの搬送方向において第1ローラ110の第1軸心X1より上流側、すなわち合流位置J1側に位置している。第3ローラ130は、カードCAの搬送方向において第1軸心X1より下流側、すなわち排出口13側に位置している。そして、第1間隔W1及び第2間隔W2は、第1軸心X1に沿った方向に見て、第2接線S2と第1接線S1との第3間隔W3がカードCAの厚みT2より小さくなるように設定されている。これにより、図11に示すように、カードCAが搬送ガイド部10において搬送される際に、第1ローラ110がカードCAの下面CA1に当接すると同時に第2ローラ120及び第3ローラ130がカードCAの上面CA2に当接可能となっている。また、カードCAは、シートSHより肉厚であるとともに剛性が高い。このため、カードCAが同時に第1ローラ110、第2ローラ120及び第3ローラ130に当接して撓むと、カードCAに、平坦な状態に戻ろうとする復元力が蓄えられる。この復元力により、カードCAと、第1ローラ110、第2ローラ120及び第3ローラ130との間に押圧力が好適に作用するので、駆動源40Mによって回転駆動される第1ローラ110からカードCAに搬送力が好適に付与される。その結果、この画像読取装置1では、カードCAを良好に搬送できる。
【0081】
さらに、この画像読取装置1では、図9に示すように、第1ローラ110の第1軸心X1と第2ローラ120の第2軸心X2との距離L1が一定である。また、第1ローラ110の第1軸心X1と第3ローラ130の第3軸心X3との距離L2が一定である。これにより、第2ローラ120及び第3ローラ130は、第1シュート部材31に対して固定されている。このため、この画像読取装置1では、上記従来の画像読取装置と異なり、第2ローラ120及び第3ローラ130を第1ローラ110に向けて付勢する付勢バネや、第2ローラ120及び第3ローラ130を案内するためのガイド部材等を設ける必要がないので、製造コストの低廉化を実現できる。
【0082】
したがって、実施例1の画像読取装置1では、シートSHの斜行を抑制しつつカードCAを良好に搬送できるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【0083】
また、この画像読取装置1では、当接部としての第3ローラ130が回転しながらカードCAの上面CA2に当接するので、カードCAに対して搬送抵抗が作用し難いとともに、カードCAに擦り傷が付き難い。
【0084】
(実施例2)
図12に示すように、実施例2の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第3ローラ130の代わりに、当接部230を採用している。実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0085】
当接部230は、第1シュート部材31から第3ローラ130を取り除き、第3ローラ130が設置されていた箇所に設けられたリブである。当接部230は、第1軸心X1に沿った方向に見て、すなわち、図12のように見て、下向きに膨らむ円弧状の輪郭を有している。当接部230の輪郭は、実施例1の第3ローラ130の外周面の下側の輪郭とおおよそ一致するように形成されている。当接部230の輪郭の下端は、図9に示す第2接線S2に接っている。すなわち、実施例1における第2間隔W2及び第3間隔W3は、第3ローラ130を当接部230に置き換えても維持されている。
【0086】
このような構成である実施例2の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1と同様、シートSHの斜行を抑制しつつカードCAを良好に搬送できるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【0087】
(実施例3)
図13に示すように、実施例3の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1における第2ローラ120を図9に示す第2接線S2に接したままで合流位置J1よりも第2導入口12側に移動させている。実施例3のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0088】
実施例3では、第2ローラ120は、第2シュート部材32の上側カード案内面32Hに回転可能に支持されている。第1ローラ110と第2ローラ120との間の第1間隔は、第2ローラ120を移動させたことにより、実施例1における第1間隔W1より大きくなっている。その一方、第2ローラ120は、図9に示す第2接線S2に接したままで移動しているので、実施例1における第3間隔W3は、第2ローラ120を移動させても維持されている。
【0089】
このような構成である実施例3の画像読取装置では、実施例1、2の画像読取装置1と同様、シートSHの斜行を抑制しつつカードCAを良好に搬送できるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【0090】
また、この画像読取装置では、図13に示すように、搬送ガイド部10において搬送されるシートSHは、第1ローラ110と第2ローラ120との間を通過しない。このため、この画像読取装置では、搬送ガイド部10において搬送されるシートSHの右端縁側に対して、回転駆動される第1ローラ110から搬送力が一層付与され難くなっており、シートSHの左右方向における搬送力のばらつきが一層抑制される。その結果、この画像読取装置1では、シートSHの斜行を一層抑制できる。
【0091】
(実施例4)
図14に示すように、実施例4の画像読取装置では、実施例3の画像読取装置における移動後の第2ローラ120の代わりに、当接部430を採用している。実施例4のその他の構成は、実施例3と同様である。このため、実施例3と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0092】
当接部430は、実施例3における第2ローラ120を第2シュート部材32から取り除き、その第2ローラ120が設置されていた箇所に設けられたリブである。当接部430は、第1軸心X1に沿った方向に見て、すなわち、図14のように見て、下向きに膨らむ略円弧状の輪郭を有している。当接部430の輪郭は、実施例3における第2ローラ120の外周面の下側の輪郭とおおよそ一致するように形成されている。当接部430の輪郭のうちの第2導入口12側は、カードCAが引っ掛からないように前方に向かって緩やかに下り傾斜している。そして、当接部430の輪郭の下端は、図9に示す第2接線S2に接している。すなわち、実施例1における第3間隔W3は、実施例3における第2ローラ120を当接部430に置き換えても維持されている。
【0093】
このような構成である実施例4の画像読取装置では、実施例3と同様の作用効果を奏することができる。
【0094】
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…画像読取装置(媒体搬送装置)
SH…シート(第1媒体)、CA…カード(第2媒体)
CA1…第2媒体の第1面(下面)、CA2…第2媒体の第2面(上面)
30…筐体、10…搬送ガイド部、P1…搬送経路(第1搬送経路)
40…搬送部、55…読取部(処理部)、29…搬送領域(カード搬送領域)
110…第1ローラ、120…第2ローラ
130、230、430…当接部(130…第3ローラ)
X1…第1軸心、X2…第2軸心、X3…第3軸心
L1…第1軸心と第2軸心との距離、L2…第1軸心と第3軸心との距離
R1…第1ローラの半径、R2…第2ローラの半径、R3…第3ローラの半径
W1…第1間隔、W2…第2間隔、W3…第3間隔
S1…第1接線、S2…第2接線、T1…第1媒体の厚み、T2…第2媒体の厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14