(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るオゾン発生素子について説明する。
【0010】
(オゾン発生素子の構成)
以下に、一実施形態に係るオゾン発生素子の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態に係るオゾン発生素子10aの分解斜視図である。
図2は、
図1のオゾン発生素子10aの放電電極18、誘導電極20及びヒータ電極22を重ねて表示した図である。
図3は、
図1のオゾン発生素子10aのA−Aにおける断面構造図である。
図1ないし
図3において、オゾン発生素子10aの積層方向を上下方向と定義する。上側から平面視したときにオゾン発生素子10aの長辺が延在している方向を前後方向と定義する。上側から平面視したときにオゾン発生素子10aの短辺が延在している方向を左右方向と定義する。
【0011】
オゾン発生素子10aは、
図1に示すように、本体12、放電電極18、誘導電極20、ヒータ電極22、接続導体24,26、外部電極30a〜30c及びビアホール導体v1〜v4,v11〜v13,v21を備えている。
【0012】
本体12は、長方形状をなす板状のLTCCの積層体であり、保護層17a、誘電体層16a〜16d及び保護層17bが上側から下側へとこの順に積層されて構成されている。誘電体層16a〜16dは、長方形状をなしており、ガラス(CaO−Al
2O
3−B
2O
3−SiO
2)粉末とアルミナ(Al
2O
3)フィラーとが混合されたガラスセラミックにより作製されている。また、保護層17a,17bは、長方形状をなしており、誘電体層16a〜16dと同様に、ガラスセラミックにより作製されている。以下では、本体12、誘電体層16a〜16d及び保護層17a,17bの上側の面を表面と呼び、本体12、誘電体層16a〜16d及び保護層17a,17bの下側の面を裏面と呼ぶ。
【0013】
放電電極18は、
図1に示すように、誘電体層16aの表面上に設けられたAgからなる線状の電極である。なお、Agのほかに、Cu、Pd、RuO
2等が用いられてもよい。放電電極18は、誘電体層16aの中央(対角線の交点)付近から左側の長辺近傍まで引き出された後に、左側の長辺に沿って後ろ側の短辺近傍まで引き出され、更に、右側に向かって引き出されている。以下では、放電電極18において、誘電体層16aの中央近傍に位置している端部を一端と呼び、誘電体層16aの右後ろ側の角近傍に位置している端部を他端と呼ぶ。
【0014】
誘導電極20は、
図1に示すように、誘電体層16bの表面上に設けられたAgからなる線状の電極である。なお、Agのほかに、Cu、Pd、RuO
2等が用いられてもよい。誘導電極20は、誘電体層16bの右前の角から右側の長辺に沿って後ろ側の短辺近傍まで引き出され、更に、左側に向かって引き出されている。これにより、
図2に示すように、放電電極18において誘電体層16aの左側の長辺から右側(放電電極18の他端)に向かって引き出されている部分と、誘導電極20において誘電体層16bの右側の長辺から左側に向かって引き出されている部分とは、誘電体層16aを介して対向している。以下では、誘導電極20において、誘電体層16bの右前側の角近傍に位置している端部を一端と呼び、誘電体層16bの左後ろ側の角近傍に位置している端部を他端と呼ぶ。
【0015】
ヒータ電極22は、
図1に示すように、放電電極18及び誘導電極20が設けられている誘電体層16a,16bとは異なる誘電体層16dの表面上に設けられたニクロムやRuO
2等からなる線状の電極である。よって、ヒータ電極22の材料は、放電電極18及び誘導電極20の材料よりも大きな電気抵抗率を有している。なお、ニクロムやRuO
2のほかに、Ag、Cu、Pd等が用いられてもよい。ヒータ電極22は、誘電体層16dの後ろ側の短辺に沿って延在している。ヒータ電極22は、
図2に示すように、誘導電極20において誘電体層16bの右側の長辺から左側(誘導電極20の他端)に向かって引き出されている部分と誘電体層16b,16cを介して対向している。すなわち、上側から平面視したときに、放電電極18において誘電体層16aの左側の長辺から右側(放電電極18の他端)に向かって引き出されている部分と、誘導電極20において誘電体層16bの右側の長辺から左側(誘導電極20の他端)に向かって引き出されている部分と、ヒータ電極22とは重なっている。以下では、ヒータ電極22の左側の端部を一端と呼び、ヒータ電極22の右側の端部を他端と呼ぶ。
【0016】
また、
図3に示すように、放電電極18とヒータ電極22との最短距離は、放電電極18と誘導電極20との最短距離よりも長い。すなわち、誘導電極20は、ヒータ電極22よりも放電電極18の近くに設けられている。また、誘導電極20及びヒータ電極22は、放電電極18に対して積層方向の一方側(すなわち、下側)に設けられている。
【0017】
接続導体24は、
図1に示すように、誘電体層16dの表面上に設けられたAgからなる線状の電極であり、ヒータ電極22の一端に接続されている。なお、Agのほかに、Cu、Pd、RuO
2等が用いられてもよい。接続導体24は、ヒータ電極22の一端から誘電体層16dの左側の長辺に沿って前側の短辺近傍まで引き出された後、前側の短辺に沿って右側に向かって引き出されている。
【0018】
接続導体26は、
図1に示すように、誘電体層16dの表面上に設けられたAgからなる線状の電極であり、ヒータ電極22の他端に接続されている。なお、Agのほかに、Cu、Pd、RuO
2等が用いられてもよい。接続導体26は、ヒータ電極22の他端から誘電体層16dの右側の長辺に沿って前側の短辺近傍まで引き出されている。
【0019】
外部電極30aは、誘電体層16dの裏面の中央近傍に設けられている。外部電極30b,30cは、誘電体層16dの裏面の前側の短辺近傍に設けられている。ただし、外部電極30cは、外部電極30bに対して右側に設けられている。外部電極30a〜30cは、例えば、防錆のために、Agからなる下地電極上にRuO
2からなる抵抗ペーストが塗布されて構成されている。なお、RuO
2からなる抵抗ペーストの塗布の代わりに、Niめっき及びSnめっき等が施されてもよいが、めっきの場合は腐食によりオゾンの発生量が低下するおそれがあるので、抵抗ペーストの塗布が好ましい。
【0020】
また、保護層17bには、開口Op1〜Op3が設けられている。開口Op1〜Op3はそれぞれ、外部電極30a〜30cと重なっている。これにより、外部電極30a〜30cはそれぞれ外部に露出している。
【0021】
ビアホール導体v1〜v4はそれぞれ、誘電体層16a〜16dを上下方向に貫通している。ビアホール導体v1〜v4は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成しており、放電電極18の一端と外部電極30aとを接続している。
【0022】
ビアホール導体v11〜v13はそれぞれ、誘電体層16b〜16dを上下方向に貫通している。ビアホール導体v11〜v13は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成しており、誘導電極20の一端と外部電極30cとを接続している。更に、ビアホール導体v13は、接続導体26と外部電極30cとを接続している。これにより、ヒータ電極22の他端と外部電極30cとが電気的に接続されている。
【0023】
ビアホール導体v21は、誘電体層16dを上下方向に貫通しており、接続導体24と外部電極30bとを接続している。これにより、ヒータ電極22の一端と外部電極30bとが電気的に接続されている。ビアホール導体v1〜v4,v11〜v13,v21は、誘電体層16a〜16dに形成されたスルーホールにAg等を主成分とする導電性ペーストが充填されることにより構成されている。なお、Agのほかに、Cu、Pd、RuO
2等が用いられてもよい。
【0024】
以上のように構成されたオゾン発生素子10aでは、放電電極18では、一端のみが外部電極30aに電気的に接続されている。同様に、誘導電極20では、一端のみが外部電極30cに電気的に接続されている。一方、ヒータ電極22では、両端が外部電極30b,30cに電気的に接続されている。
【0025】
なお、一実施形態に係るオゾン発生素子10aにおいては、放電電極18の一端に電気的に接続されている外部電極30aが、特許請求の範囲の「第1の外部電極」に相当し、誘導電極20の一端及びヒータ電極22の他端(特許請求の範囲の「第1の端部」に相当)側に電気的に接続されている外部電極30cが、特許請求の範囲の「第2の外部電極」に相当し、ヒータ電極22の一端(特許請求の範囲の「第2の端部」に相当)側に電気的に接続されている外部電極30bが、特許請求の範囲の「第3の外部電極」に相当する。
【0026】
以上のように構成されたオゾン発生素子10aにおいて、外部電極30aには、交流高電圧が印加され、外部電極30cが、接地電位に保たれる。この交流高電圧としては、例えば、周波数が20kHz〜50kHzであって、電圧のピークツーピークが4kV〜7kVである交流電圧が挙げられる。また、外部電極30bには、12V程度の比較的に低い直流電圧が印加される。
【0027】
交流高電圧が外部電極30aに印加されると、放電電極18の外縁近傍に交流高電圧の交流周期に合わせて強い電界が形成される。この際、誘導電位により放電電極18の外縁近傍に位置する保護層17aの表面から電子が放出されて誘導電極20の外縁近傍に位置する保護層17aの表面に付与される現象と、その電子が誘導電極20の外縁近傍に位置する保護層17aの表面から放電電極18の外縁近傍に位置する保護層17aの表面に戻る現象とが繰り返し発生する。これにより、放電電極18の外縁近傍に位置する保護層17aの表面の周辺には、放電が発生し、放電電極18の外縁近傍に位置する保護層17aの表面を通過する酸素からオゾンが生成される。
【0028】
また、ヒータ電極22には直流電圧が印加されるので、ヒータ電極22が発熱する。これにより、放電電極18の周囲の温度が上昇し、放電電極18の周囲の湿度が低下する。よって、放電電極18の周囲において結露が発生することが抑制される。
【0029】
(オゾン発生素子の製造方法)
次に、オゾン発生素子10aの製造方法について
図1を参照しながら説明する。なお、以下では、一つのオゾン発生素子10aの製造方法について説明を行うが、実際には、大判のマザーセラミックグリーンシートが積層されてマザー積層体が作製され、更に、マザー積層体がカットされることにより、複数の積層体が同時に作製される。
【0030】
まず、誘電体層16a〜16d及び保護層17a,17bとなるべきセラミックグリーンシートを準備する。具体的には、ガラス粉末とアルミナフィラーとの混合物からなるガラスセラミックスラリーを作製する。そして、得られたガラスセラミックスラリーをドクターブレード法により、PETのキャリアフィルム上にシート状に形成して乾燥させ、誘電体層16a〜16d及び保護層17a,17bとなるべきセラミックグリーンシートを作製する。
【0031】
次に、誘電体層16a〜16dとなるべきセラミックグリーンシートのそれぞれに、ビアホール導体v1〜v4,v11〜v13,v21を形成する。具体的には、誘電体層16a〜16dとなるべきセラミックグリーンシートにレーザービームを照射してビアホールを形成する。更に、ビアホールに対して、Ag等の導体材料を含むペーストを印刷塗布などの方法により充填して、ビアホール導体v1〜v4,v11〜v13,v21を形成する。
【0032】
次に、保護層17bとなるべきセラミックグリーンシートに対してパンチ等によって打ち抜き加工を施して開口Op1〜Op3を形成する。
【0033】
次に、
図1に示すように、誘電体層16a,16b,16dとなるべきセラミックグリーンシートの表面上に、例えば、Ag等を含む導電性材料からなるペーストをスクリーン印刷法により塗布することにより、放電電極18、誘導電極20及び接続導体24,26を形成する。導電性材料からなるペーストは、例えば、Ag粉末等の金属粉末に、ワニス及び溶剤が加えられたものである。
【0034】
次に、
図1に示すように、誘電体層16dとなるべきセラミックグリーンシートの表面上に、例えば、RuO
2等を含む導電性材料からなるペーストをスクリーン印刷法により塗布することにより、ヒータ電極22を形成する。導電性材料からなるペーストは、例えば、RuO
2粉末等の金属粉末に、ワニス及び溶剤が加えられたものである。
【0035】
次に、
図1に示すように、誘電体層16dとなるべきセラミックグリーンシートの裏面上に、Ag等を含む導電性材料からなるペーストをスクリーン印刷法により塗布することにより、外部電極30a〜30cの下地電極となるAg電極を形成する。導電性材料からなるペーストは、例えば、Ag粉末に、ワニス及び溶剤が加えられたものである。
【0036】
次に、保護層17a,誘電体層16a〜16d,保護層17bとなるべきセラミックグリーンシートを上下方向の上側から下側へとこの順に並ぶように1枚ずつ積層及び仮圧着して、未焼成のマザー積層体を形成する。この後、マザー積層体に対して熱圧着により本圧着を行う。
【0037】
次に、マザー積層体を個別の未焼成の本体12にカットする。
【0038】
次に、未焼成の本体12に、脱バインダー処理及び焼成を施す。これにより、誘電体層16a〜16d及び保護層17a,17bが同時に焼成される。
【0039】
最後に、外部電極30a〜30cとなるAg電極の表面に、RuO
2からなる高抵抗ペーストを塗布して焼成することにより、外部電極30a〜30cを形成する。以上の工程により、オゾン発生素子10aが完成する。
【0040】
(効果)
前記オゾン発生素子10aによれば、以下に説明するように、ヒータ電極22の配置の自由度を高くすることができる。より詳細には、ヒータ電極22は、放電電極18が設けられている誘電体層16a及び誘導電極20が設けられている誘電体層16bとは異なる誘電体層16dに設けられている。これにより、上側から平面視したときに、ヒータ電極22と放電電極18及び誘導電極20とが近接して配置されたとしても、これらの間でショートが発生しにくい。よって、オゾン発生素子10aでは、ヒータ電極22の配置の自由度が高くなる。
【0041】
また、オゾン発生素子10aでは、前記の通り、ヒータ電極22と放電電極18及び誘導電極20とを近接して配置することができるので、オゾン発生素子10aの小型化を図ることができる。
【0042】
また、オゾン発生素子10aによれば、より安定して放電を発生させることが可能となる。より詳細には、放電電極18及び誘導電極20の周囲の湿度が高くなると、放電電極18と誘導電極20との間においてリーク電流が発生しやすくなる。そのため、放電電極18と誘導電極20との間において放電が発生しにくくなる。
【0043】
そこで、オゾン発生素子10aでは、ヒータ電極22が設けられている。これにより、放電電極18及び誘導電極20の周囲の湿度の低下が図られ、放電電極18と誘導電極20との間でのリーク電流の発生が抑制されている。そして、オゾン発生素子10aでは、前記の通り、ヒータ電極22は、放電電極18が設けられている誘電体層16a及び誘導電極20が設けられている誘電体層16bとは異なる誘電体層16dに設けられている。そのため、ヒータ電極22は、上側から平面視したときに、放電電極18と重なることができる。これにより、より効果的に放電電極18の周囲の湿度の低下が図られるようになる。以上より、オゾン発生素子10aによれば、より安定して放電を発生させることが可能となる。
【0044】
また、オゾン発生素子10aでは、放電電極18とヒータ電極22との最短距離は、放電電極18と誘導電極20との最短距離よりも長い。これにより、放電電極18と誘導電極20との間で放電が発生し、放電電極18とヒータ電極22との間で放電が発生することが抑制されるようになる。
【0045】
また、オゾン発生素子10aでは、放電電極18と誘導電極20とヒータ電極22とが異なる誘電体層16a,16b,16dの表面に設けられている。よって、放電電極18と誘導電極20とヒータ電極22との間でショートが発生しにくい。
【0046】
また、オゾン発生素子10aでは、放電電極18と誘導電極20とヒータ電極22とが本体12内に設けられており、外部に露出していない。よって、放電電極18、誘導電極20又はヒータ電極22が、オゾン発生素子10aの周囲に存在する導体物と接触することが抑制される。
【0047】
また、オゾン発生素子10aでは、誘電体層16a,16b,16dに放電電極18、誘導電極20、ヒータ電極22及び接続導体24,26を形成後、誘電体層16a〜16d及び保護層17a,17bを積層し、本体12を焼成している。すなわち、本体12の焼成の際に、放電電極18、誘導電極20、ヒータ電極22及び接続導体24,26を焼成している。これにより、放電電極18、誘導電極20、ヒータ電極22及び接続導体24,26の焼成と本体12の焼成とを同時に行うことが可能となる。よって、オゾン発生素子10aの製造工程数を低減できる。
【0048】
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係るオゾン発生素子10bについて図面を参照しながら説明する。
図4は、第1の変形例に係るオゾン発生素子10bの分解斜視図である。
図5は、
図4のオゾン発生素子10bの放電電極18、誘導電極20及びヒータ電極32を重ねて表示した図である。
【0049】
オゾン発生素子10bは、ヒータ電極22の代わりにヒータ電極32が設けられている点においてオゾン発生素子10aと相違する。以下では、かかる相違点を中心にオゾン発生素子10bについて説明する。
【0050】
ヒータ電極32は、
図4に示すように、誘電体層16dの表面上に設けられている。ヒータ電極32は、誘電体層16dの右側の長辺に沿って延在している。ただし、ヒータ電極32は、
図5に示すように、上側から平面視したときに、誘導電極20において誘電体層16bの右側の辺に沿って延在している部分よりも左側に設けられている。これにより、ヒータ電極32は、上側から平面視したときに、放電電極18の一端と誘導電極20において誘電体層16bの右側の辺に沿って延在している部分との間に設けられている。また、ヒータ電極32は、接続導体24,26を介して外部電極30b,30cに電気的に接続されている。
【0051】
以上のように構成されたオゾン発生素子10bによれば、安定して放電を発生させることが可能となる。より詳細には、放電電極18の一端と誘導電極20において誘電体層16bの右側の辺に沿って延在している部分とは近接しているので、これらの間においてリーク電流が発生するおそれがある。そこで、オゾン発生素子10bでは、上側からの平面視における、放電電極18の一端と誘導電極20の誘電体層16bの右側の辺に沿って延在している部分との間においてヒータ電極32が設けられている。これにより、これらの間においてリーク電流が発生することが抑制される。その結果、オゾン発生素子10bにおいて、安定して放電を発生させることが可能となる。
【0052】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係るオゾン発生素子10cについて図面を参照しながら説明する。
図6は、第2の変形例に係るオゾン発生素子10cの分解斜視図である。
図7は、
図6のオゾン発生素子10cの放電電極18、誘導電極20及びヒータ電極22,32を重ねて表示した図である。
【0053】
オゾン発生素子10cは、ヒータ電極22を更に備えている点においてオゾン発生素子10bと相違する。以下では、かかる相違点を中心にオゾン発生素子10cについて説明する。
【0054】
オゾン発生素子10cのヒータ電極22は、オゾン発生素子10aのヒータ電極22と同じ構成を有している。また、オゾン発生素子10cのヒータ電極32は、オゾン発生素子10bのヒータ電極32と同じ構造を有している。また、ヒータ電極22,32は、接続導体24,26を介して外部電極30b,30cに接続されている。
【0055】
以上のように構成されたオゾン発生素子10cによれば、オゾン発生素子10a,10bと同様に、安定して放電を発生させることが可能となる。
【0056】
(第3の変形例)
以下に、第3の変形例に係るオゾン発生素子10dについて図面を参照しながら説明する。
図8は、第3の変形例に係るオゾン発生素子10dの分解斜視図である。
図9は、
図8のオゾン発生素子10dの放電電極18、誘導電極20及びヒータ電極22,42を重ねて表示した図である。
【0057】
オゾン発生素子10dは、ヒータ電極32の代わりにヒータ電極42が設けられている点においてオゾン発生素子10cと相違する。以下では、かかる相違点を中心にオゾン発生素子10dについて説明する。
【0058】
ヒータ電極42は、
図8に示すように、誘電体層16dの表面上に設けられている。ヒータ電極42は、上側から平面視したときに、外部電極30aと外部電極30b,30cとの間において左右方向に延在している。また、ヒータ電極42は、接続導体24,26を介して外部電極30b,30cに電気的に接続されている。
【0059】
以上のように構成されたオゾン発生素子10dによれば、安定して放電を発生させることが可能となる。より詳細には、外部電極30aには交流高電圧が印加され、外部電極30bには直流電圧が印加され、外部電極30cは接地電位に保たれる。そのため、外部電極30aと外部電極30b,30cとの間には大きな電位差が生じる。よって、外部電極30aと外部電極30b,30cとの間の湿度が高くなると、これらの間においてリーク電流が発生するおそれがある。
【0060】
そこで、ヒータ電極42は、上側から平面視したときに、外部電極30aと外部電極30b,30cとの間に設けられている。これにより、外部電極30aと外部電極30b,30cとの間の湿度が高くなることが抑制され、これらの間においてリーク電流が発生することが抑制される。すなわち、オゾン発生素子10dによれば、安定して放電を発生させることが可能となる。
【0061】
なお、ヒータ電極42は、外部電極30aと外部電極30bとの間に設けられていてもよいし、外部電極30aと外部電極30cとの間に設けられていてもよい。
【0062】
(その他の実施形態)
本発明に係る放電素子は、オゾン発生素子10a〜10dに限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0063】
なお、オゾン発生素子10a〜10dの構成は、放電によって空気分子をイオン化するイオン発生素子にも適用することができる。
【0064】
なお、オゾン発生素子10a〜10dは、給水装置や冷蔵庫等に適用することが望ましい。オゾン発生素子10a〜10dが給水装置に用いられる場合には、ヒータ電極22が発生した熱により、給水装置内の水を蒸発させる加湿機能を給水装置に持たせることができる。更に、オゾン発生素子10a〜10dは、ガラスセラミックにより作製されているので、鉛や他の金属、有機物質が水に接触することがない。そのため、衛生面において優れた給水装置を得ることができる。また、オゾン発生素子10a〜10dが冷蔵庫に用いられた場合にも、冷蔵庫に加湿機能を持たせることができる。これにより、冷蔵庫内の野菜の保湿及び鮮度維持を図ることができる。また、ヒータ電極22が発生した熱により加湿を行うので、加湿に用いられる水分に加熱による殺菌処理が施される。そのため、衛生面において優れた冷蔵庫を得ることができる。