(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー部が、略直角三角形状として、前記エアバッグの膨張完了時の状態で、前後方向の端縁側の部位の上端側を、前記中央側縦セル部の上下の中央より上方に位置させるように、構成されていることを特徴とする請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の頭部保護エアバッグ装置では、2つの縦セル部を、上下の全域にわたって相互に連結させた状態で、単に車内外方向(車幅方向)で重ねるように折り返して、エアバッグを車両に搭載させていることから、車内側に配置される縦セル部が、斜突時に、斜め後方から移動してくる乗員の頭部を受け止めた際に、車外側に配置される縦セル部とずれて、乗員の頭部を的確に保護できない場合があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、前後方向の端縁側に配置される縦セル部によって、斜突時に乗員の頭部を的確に保護可能な頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、窓の車内側における上縁側に折り畳まれて収納されるエアバッグを備え、
エアバッグが、上縁側を車両のボディ側に取付固定されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて窓の車内側を覆うよう展開膨張する膨張遮蔽部を、備える構成とされて、
膨張遮蔽部が、窓の車内側を覆う主膨張部と、膨張遮蔽部における前後方向の少なくとも一方の端縁側において主膨張部に隣接される2つの縦セル部と、を備え、
2つの縦セル部が、それぞれ、上端側の部位のみで他の部位と連通され、エアバッグの下縁から上方に延びる区画部によって、主膨張部若しくは他方の縦セル部と、区画されて、膨張完了形状を、上下方向に略沿った棒状として構成されるとともに、エアバッグの膨張完了時に、車内外方向側で重なるように配置される頭部保護エアバッグ装置であって、
エアバッグが、2つの縦セル部を、前後方向の中央側の主膨張部と隣接して配置される中央側縦セル部と、前後方向の端縁側に配置される端側縦セル部として、前後方向に並設させた状態のエアバッグ構成体から、構成され、
エアバッグ構成体が、区画部における中央側縦セル部と主膨張部との間の中央側区画部、及び、中央側縦セル部と端側縦セル部との間の端側区画部に、上下方向に延びる切れ目を備え、
エアバッグが、
エアバッグ構成体における主膨張部若しくは端側縦セル部における車内側若しくは車外側となる位置に、上端側と下端側とを主膨張部若しくは端側縦セル部に結合させた状態で、中央側縦セル部を配置させるとともに、
中央側区画部と端側区画部とを、2つの切れ目をまたいで連結させて、主膨張部と端側縦セル部とを前後方向に並設させることにより、形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、主膨張部と端側縦セル部との間に配置される中央側縦セル部は、エアバッグの膨張完了時に、エアバッグの車内側あるいは車外側において、主膨張部と端側縦セル部との間の凹んだ領域に入り込むようにして、配置されることから、中央側縦セル部を車内側に配置させる場合には、斜突時に、車外側となる斜め前方あるいは斜め後方に向かって移動してくる乗員の頭部を、中央側縦セル部によって受け止めた際に、中央側縦セル部が前後にずれ難く、また、中央側縦セル部の車外側を、端側縦セル部によって、的確に支持させることができて、端側縦セル部のクッション作用を加味して、中央側縦セル部によって乗員の頭部を的確に拘束することができる。また、中央側縦セル部を車外側に配置させる場合には、斜突時に車外側となる斜め前方あるいは斜め後方に向かって移動してくる乗員の頭部を、中央側縦セル部によって押し出されて車内側に突出している主膨張部における前後方向の端縁側の部位により受け止めることとなり、この主膨張部の前後方向の端縁側の部位は、車外側を、中央側縦セル部によって支持されることから、中央側縦セル部のクッション作用を加味して、この主膨張部の前後方向の端縁側の部位によって、乗員の頭部を的確に拘束することができる。
【0008】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、中央側縦セル部は、上端側と下端側とを主膨張部若しくは端側縦セル部に結合させ、上下の中間部位を、主膨張部及び端側縦セル部から分離させて構成されていることから、上下の中間部位を、自由膨張させるような態様となり、この中間部位を略円柱状に大きく膨張させることができて、大きく膨張した中央側縦セル部によって、乗員の頭部を円滑に保護することができる。
【0009】
したがって、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、前後方向の端縁側に配置される縦セル部によって、斜突時に乗員の頭部を的確に保護することができる。
【0010】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグを、膨張完了時に、
中央側縦セル部を、主膨張部若しくは端側縦セル部の車内側に突出するように、配置させ、
可撓性を有したシート体から構成されるカバー部を、膨張完了時の中央側縦セル部の車内側を覆うように、配置させる構成として、
カバー部を、エアバッグの膨張完了時の状態で、上縁側を、エアバッグにおける前後方向の中央側に向かって下向きに、前後方向に対して傾斜させて構成するとともに、エアバッグにおける前後方向の端縁側の縁部を、中央側区画部と端側区画部との連結部位付近に結合させ、エアバッグにおける前後方向の中央側の縁部を、主膨張部の下縁側に結合させて構成することが、好ましい。
【0011】
頭部保護エアバッグ装置を上記構成とすれば、エアバッグの膨張完了時に、車内側に突出して配置される中央側縦セル部の車内側が、カバー部により押えられることから、中央側縦セル部に乗員の頭部が接触した際に、切れ目間の中央側縦セル部の部位が、主膨張部から離れるように前後方向の端縁側に移動することを抑制できてずれず、端側縦セル部と主膨張部とに支持される中央側縦セル部によって、乗員の頭部を的確に受け止めることができる。
【0012】
さらに、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、カバー部を、略直角三角形状として、エアバッグの膨張完了時の状態で、前後方向の端縁側の部位の上端側を中央側縦セル部の上下の中央より上方に位置させるように、構成すれば、カバー部によって、中央側縦セル部の下側の領域を上下に広く覆うことができることから、乗員の頭部を受け止めた際の中央側縦セル部のずれを、カバー部自体によって、一層確実に防止することが可能となって、好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、
図1に示すように、2つの窓(サイドウィンド)W1,W2を有した二列シートタイプの車両Vに搭載されている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、エアバッグ19と、インフレーター14と、取付ブラケット11,15と、エアバッグカバー9と、を備えて構成されている。エアバッグ19は、
図1に示すように、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、折り畳まれて収納されている。
【0015】
エアバッグカバー9は、
図1,8,9に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁から、構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ1(車体)側のインナパネル2における車内側に、取付固定されている。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ19の車内側を覆って、展開膨張時のエアバッグ19を車内側へ突出可能とするために、エアバッグ19に押されて開き可能に構成されている。
【0016】
インフレーター14は、エアバッグ19に膨張用ガスを供給するもので、
図1に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター14は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ19の後述するガス流入口部25に挿入させ、ガス流入口部25の後端25a外周側に配置されるクランプ17を利用して、エアバッグ19に対して連結されている。また、インフレーター14は、
図1に示すように、インフレーター14を保持する取付ブラケット15と、取付ブラケット15をボディ(車体)1側のインナパネル2に固定するためのボルト16と、を利用して、インナパネル2においてセンターピラー部CPの上方となる位置に、取り付けられている。インフレーター14は、図示しないリード線を介して、車両Vの図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置が車両Vの側面衝突や斜突を検知した際に、制御装置からの作動信号を入力させて、作動するように構成されている。
【0017】
取付ブラケット11は、2枚の板金製のプレートから構成されるもので、エアバッグ19の後述する各取付部37,42aを挟むようにして、各取付部37,42aに取り付けられ、取付ボルト12を利用して、各取付部37,42aを、ボディ1側のインナパネル2に取付固定している(
図1,9参照)。
【0018】
エアバッグ19は、
図1の二点鎖線及び
図8に示すように、インフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2や、窓W1,W2の間に配置されるセンターピラー部CPのセンターピラーガーニッシュ6、及び、窓W2の後側に配置されるリヤピラー部RPのリヤピラーガーニッシュ7の車内側を覆うように、展開膨張する構成とされている。実施形態の場合、エアバッグ19は、
図2に示すように、膨張完了時に窓W1,W2の車内側を覆うように膨張する膨張遮蔽部20と、膨張遮蔽部20の上縁20a側において前後方向に沿って複数配設される取付部37と、を備える構成であり、膨張遮蔽部20は、膨張完了時に、窓W1からセンターピラー部CP及び窓W2を経てリヤピラー部RPの前側にかけての車内側を覆い可能に、膨張完了形状を、長手方向を前後方向に略沿わせた略長方形板状とされている。なお、実施形態の場合、膨張遮蔽部20は、エアバッグ19において、取付部37とガス流入口部25とを除いた領域から構成される。
【0019】
また、実施形態の場合、エアバッグ19は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって製造されるエアバッグ構成体22と、エアバッグ構成体22と別体の連結布42と、から、構成されている(
図2,7参照)。エアバッグ構成体22は、
図7に示すように、膨張完了時に車内側Iに位置する車内側壁部23aと車外側Oに位置する車外側壁部23bとを離すようにしてインフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて膨張するガス流入部23と、膨張用ガスを流入させない非流入部35と、から構成されている。
【0020】
ガス流入部23は、実施形態の場合、膨張遮蔽部20におけるガス案内流路24及び保護膨張部26と、膨張遮蔽部20の上縁20a側から突出するように形成されるガス流入口部25と、を備えて構成されている。
【0021】
ガス案内流路24は、
図2,7に示すように、膨張遮蔽部20の上縁20a側において、前後方向に略沿って延びるように、前後の略全域にわたって配設されるもので、インフレーター14から吐出される膨張用ガスを、ガス案内流路24の下方に配置される保護膨張部26の領域に、案内する構成である。なお、実施形態の場合、ガス案内流路24は、エアバッグ19として車両Vに搭載させた状態で膨張させた際に、車内側Iに突出するように配置される後述する中央側縦セル部31に合わせて、中央側縦セル部31の上方に位置する部位を、部分的に、車内側に突出させるようにして、配置されることとなる(
図6参照)。また、実施形態において、ガス案内流路24の前後の中央付近には、インフレーター14と接続されるガス流入口部25が、ガス案内流路24と連通されて、ガス案内流路24(膨張遮蔽部20)から上方に突出するように、配設されている。実施形態の場合、ガス流入口部25は、ガス案内流路24に対して後上がりに傾斜して形成されて、後端25a側を、インフレーター14を挿入可能に開口させている。そして、ガス流入口部25は、インフレーター14に外装された状態で、クランプ17を利用して、インフレーター14に連結されることとなる。
【0022】
保護膨張部26は、
図2,7に示すように、前席の側方の窓W1の車内側を覆うように膨張する前席用膨張部27と、後席の側方の窓の車内側を覆うように配置される後席用膨張部28と、を備えている。各前席用膨張部27,後席用膨張部28は、
図7に示すように、内部領域を後述する区画部39,40によって区画されて、膨張完了時の厚さを規制されている。平らに展開させたエアバッグ構成体22の状態では、前席用膨張部27は、区画部39,40により区画された5つの縦セル27a,27b,27c,27d,27eを、前後で並設させて構成され、後席用膨張部28は、区画部39により区画された2つの縦セル28a,28bを、前後で並設させて構成されている。これらの縦セル27a,27b,27c,27d,27e,28a,28bは、エアバッグ19の膨張完了時に、それぞれ、上下方向に略沿った棒状に膨らむ構成とされている。
【0023】
そして、実施形態のエアバッグ構成体22では、前席用膨張部27の前側に配置される2つの縦セル27a,27bが、膨張遮蔽部20の前端側に配置される2つの縦セル部(端側縦セル部30,中央側縦セル部31)を構成し、膨張遮蔽部20において縦セル27a,27b以外の部位が、膨張完了時に窓W1,W2の車内側を覆う主膨張部32を、構成している。すなわち、実施形態では、縦セル27bが、主膨張部32と隣接して配置される中央側縦セル部31を構成し、前端側に配置される縦セル27aが、中央側縦セル部31と隣接されて前端側に配置される端側縦セル部30を、構成している。端側縦セル部30と中央側縦セル部31とは、それぞれ、膨張遮蔽部20の下縁20bから上方に延びる区画部39A,39Bによって区画され、膨張完了形状を、上下方向に略沿った棒状として構成されている。実施形態の場合、端側縦セル部30と中央側縦セル部31とは、平らに展開した状態の前後方向の幅寸法を、略一致させて構成されている。また、端側縦セル部30及び中央側縦セル部31は、上端30a,31a側の部位となるガス案内流路24を介してのみ、他の部位と連通されている。
【0024】
非流入部35は、取付部37と、膨張遮蔽部20を構成する周縁部36,区画部39,40,板状部41,連結布42と、を備えて構成されている。周縁部36は、エアバッグ19の外周縁を構成するもので、ガス流入口部25の後端25a側を除いて、ガス流入部23の周囲を全周にわたって囲むように、形成されている。取付部37は、エアバッグ19をボディ1側のインナパネル2に取り付けるための部位であり、膨張遮蔽部20の上縁20a側となる周縁部36から上方に突出するようにして、前後方向に沿って複数配置されている。実施形態の場合、取付部37は、4個配置されている。各取付部37には、取付ボルト12を挿通可能な取付孔(図符号省略)が、形成されている。
【0025】
区画部39,40は、前席用膨張部27及び後席用膨張部28の領域内に、それぞれ、配置されるもので、各前席用膨張部27,後席用膨張部28の内部領域を、複数の縦セル27a,27b,27c,27d,27e,28a,28bに区画する部位である。区画部39A,39B,39C,39Dは、
図7に示すように、周縁部36の下縁側から上方に延びるように形成され、区画部40は、板状部41の上部前端から前下方に延びるように形成されている。
【0026】
そして、実施形態の場合、縦セル27a,縦セル27bを区画する区画部39Aが、端側縦セル部30と中央側縦セル部31とを区画する端側区画部44を構成し、縦セル27b,27cを区画する区画部39Bが、中央側縦セル部31と主膨張部32とを区画する中央側区画部45を構成している(
図7参照)。端側区画部44,中央側区画部45は、それぞれ、ガス案内流路24まで連続的に延びるとともに、上下方向に略沿って配置される棒状として、構成されている。これらの端側区画部44,中央側区画部45には、上下方向に延びる切れ目47,48が、形成されることとなる(
図7参照)。実施形態の場合、切れ目47,48は、上下方向に略沿って形成されるとともに、端側区画部44,中央側区画部45の上下の略全域にわたって、形成されている。
【0027】
板状部41は、略長方形板状として、前席用膨張部27と後席用膨張部28との間においてガス案内流路24の下方に、配置されている。連結布42は、エアバッグ構成体22と別体として、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されるもので、エアバッグ構成体22の前縁側に縫着されている。連結布42は先端側にかけて狭幅とされる略帯状とされるもので、周縁部36の前縁側に、縫合糸を用いて縫着され、先端側に、取付部37と同様に、ボディ1側のインナパネル2に取り付けられる取付部42aを、備えている。また、実施形態のエアバッグ19では、連結布42は、周縁部36の前縁側に縫着されている部位から後方に延びる延設部42bを、備え、この延設部42bの先端側を、後述する縫合部位53の形成時に、端側区画部44及び中央側区画部45とともに、共縫いされている。この延設部42bは、縫合部位53の部位を補強するために、配置されるものである。
【0028】
そして、実施形態のエアバッグ19は、
図2〜5に示すように、エアバッグ構成体22の区画部39A,39B(端側区画部44,中央側区画部45)に、上下方向に略沿うような切れ目47,48を、上下の略全域にわたって形成し、切れ目47,48によって、前後を端側縦セル部30及び主膨張部32から分離されている中央側縦セル部31を、膨張完了時に車内側Iに位置させるようにして、端側縦セル部30の後縁30c側を構成する端側区画部44と、主膨張部32の前縁32c側を構成する中央側区画部45と、を、2つの切れ目47,48をまたいで、縫合糸を用いて縫着させて、連結させることにより、形成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ19では、
図3,4に示すように、端側縦セル部30と主膨張部32とが前後方向で並設されることとなり、中央側縦セル部31は、端側縦セル部30と主膨張部32との境界部位の車内側Iとなる位置に、配置されることとなる。端側区画部44と中央側区画部45とを連結させる縫合部位53は、
図2,3に示すように、切れ目47,48(端側区画部44,中央側区画部45)の略全域にわたって、連続的に形成されている。
【0029】
また、実施形態では、中央側縦セル部31は、
図3,5,7に示すように、別体の連結部材51によって、下端31b側を、端側縦セル部30及び主膨張部32の下端30b,32b側と、連結されている。連結部材51は、可撓性を有した略長方形状の布材から構成されるもので、一方の端部51a側を車内側Iに突出させるようにして、他方の端部51b側を、端側区画部44と中央側区画部45とにおける下端側の部位の間に挟んで、縫合部位53形成時に、共縫いさせることにより、端側縦セル部30及び主膨張部32の下端30b,32b側と連結させ、一方の端部51a側を、中央側縦セル部31の下端31b側において、前縁31dを構成する端側区画部44の残部と後縁31eを構成する中央側区画部45の残部との間に挟むようにして、中央側縦セル部31の前縁31d,後縁32dとともに、縫合糸を用いて縫着させることにより、中央側縦セル部31の下端31b側を、端側縦セル部30及び主膨張部32の下端30b,32b側に、連結させる構成とされている。なお、中央側縦セル部31の下端31b側において、前縁31dと後縁31eとを部分的に縫着させる縫合部位52は、
図5に示すように、エアバッグ19の膨張完了時に、端側区画部44と中央側区画部45とを連結させている縫合部位53の車内側Iに近接して、配置されることとなる。
【0030】
そして、中央側縦セル部31は、
図4に示すように、上下の中間部位31cを、主膨張部32及び端側縦セル部30から分離させるように、構成されている。中央側縦セル部31の上端31a側は、ガス案内流路24を介して端側縦セル部30及び主膨張部32の上端30a,32a側と連通されているが、実施形態のエアバッグ19では、端側区画部44と中央側区画部45とを連結させることにより、ガス案内流路24における中央側縦セル部31の上側に位置する部位が、余剰の部位となってしまうことから、
図6に示すように、ガス案内流路24におけるこの余剰部位24aを部分的に折り返し、周縁部36の上縁側の部位相互を縫合糸を用いて縫着させている。余剰部位24aを縫着させる縫合部位55は、前後方向に略沿って形成されている。
【0031】
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明する。まず、中央側縦セル部31を平らに展開するように二つ折りしつつ、車内側壁部23aと車外側壁部23bとを重ねて平らに展開した状態のエアバッグ19を、下縁20b側を上縁20a側に接近させるように、上下方向の幅寸法を縮めるように折り畳んで、エアバッグ19を折り畳む。エアバッグ19の折り畳み完了後には、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材により、エアバッグ19の所定箇所をくるんでおく。
【0032】
その後、取付ブラケット15を取付済みのインフレーター14を、クランプ17を利用して、エアバッグ19のガス流入口部25と接続させ、エアバッグ19の取付部37,42aに、取付ブラケット11を固着させて、エアバッグ組付体を形成する。
【0033】
次いで、取付ブラケット11,15を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させ、ボルト12,16止めし、所定のインフレーター作動用の制御回路から延びる図示しないリード線を、インフレーター14に結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、センターピラーガーニッシュ6やリヤピラーガーニッシュ7をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0034】
そして、頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後に、インフレーター14が作動されれば、インフレーター14から吐出される膨張用ガスが膨張遮蔽部20内に流入し、膨張する膨張遮蔽部20が、図示しないラッピング材を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁で構成されるエアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出しつつ、
図8に示すごとく、窓W1,W2、センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように、大きく膨張することとなる。
【0035】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、主膨張部32と端側縦セル部30との間に配置される中央側縦セル部31は、エアバッグ19の膨張完了時に、エアバッグ19の車内側Iにおいて、主膨張部32と端側縦セル部30との間の凹んだ領域に入り込むようにして、配置されることとなる(
図9参照)。そのため、斜突時に、車外側Oとなる斜め前方に向かって移動してくる乗員MPの頭部MHを、中央側縦セル部31によって受け止めた際に、中央側縦セル部31が前方にずれ難く、また、中央側縦セル部31の車外側斜め前方を、端側縦セル部30によって、的確に支持させることができて、端側縦セル部30のクッション作用を加味して、中央側縦セル部31によって乗員MPの頭部MHを的確に拘束することができる。また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、中央側縦セル部31は、上端31a側と下端31b側とを主膨張部32及び端側縦セル部30に結合させ、上下の中間部位31cを、主膨張部32及び端側縦セル部30から分離させて構成されていることから、上下の中間部位31cを、自由膨張させるような態様となり、この中間部位13cを、
図9に示すように、略円柱状に大きく膨張させることができて、大きく膨張した中央側縦セル部31によって、乗員MPの頭部MHを円滑に保護することができる。
【0036】
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、主膨張部32の前縁32c側に配置される中央側縦セル部31と、中央側縦セル部31の車外側を支持する端側縦セル部30と、によって、斜突時に乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる。
【0037】
また、
図10に示すように、エアバッグ19Aとして、中央側縦セル部31Aを、エアバッグ19Aの膨張完了時に、端側縦セル部30Aと主膨張部32Aとの境界部位の車外側Oとなる位置に、配置させる構成のものを使用してもよい。このエアバッグ19Aは、上述のエアバッグ19を構成するエアバッグ構成体22と同一のエアバッグ構成体22を使用し、中央側縦セル部31Aを車外側に配置させるようにして縫合部位53Aを形成するだけで、製造できることから、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
このような構成のエアバッグ19Aを使用した頭部保護エアバッグ装置の場合、主膨張部32Aと端側縦セル部30Aとの間に配置される中央側縦セル部31Aは、エアバッグ19Aの膨張完了時に、エアバッグ19Aの車外側Oにおいて、主膨張部32Aと端側縦セル部30Aとの間の凹んだ領域に入り込むようにして、配置されることとなる(
図11参照)。そのため、斜突時に車外側Oとなる斜め前方あるいは斜め後方に向かって移動してくる乗員MPの頭部MHを、中央側縦セル部31Aによって押し出されて車内側Iに突出している主膨張部32Aにおける前縁32c側の部位により受け止めることとなり、この主膨張部32Aの前縁32c側の部位は、車外側斜め前方を、中央側縦セル部31Aによって支持されることから、中央側縦セル部31Aのクッション作用を加味して、この主膨張部32Aの前縁32c側の部位によって、乗員MPの頭部MHを的確に拘束することができる。
【0039】
したがって、上記構成のエアバッグ19Aを使用した頭部保護エアバッグ装置においても、主膨張部32の前縁32c側の部位と、この前縁32c側の部位の車外側を支持する中央側縦セル部31と、によって、斜突時に乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる。
【0040】
次に、本発明の他の実施形態のエアバッグ60について、説明をする。エアバッグ60は、
図12,13に示すように、上述のエアバッグ19と同一の構成とされるバッグ本体61と、バッグ本体61における中央側縦セル部31の車内側を覆うカバー部62と、を備える構成とされている。バッグ本体61は、上述のエアバッグ19と同一の構成であることから、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
カバー部62は、実施形態の場合、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有したシート状の織布から構成されるもので、外形形状を、前縁を上下方向に略沿わせ、下縁を前後方向に略沿わせ、上縁を前後方向の中央側となる後側に向かって下向きに前後方向に対して傾斜させた略直角三角形状として構成されるもので、中央側縦セル部31の下側の部位の車内側Iを覆うように配置させた状態で、前縁62a側を縫合部位53の部位で共縫いして、端側区画部44と中央側区画部45とに縫着(結合)させ、下縁52b側における後端付近を、周縁部36において、主膨張部32を構成する縦セル27dの下方となる部位に、縫着(結合)させて、バッグ本体61に連結されている。このカバー部62は、前縁62aの上端を、中央側縦セル部31の上下の中央より上方となる中央側縦セル部31の上端31a近傍に位置させ、下縁62bの後端を、縦セル27dの前後の略中央に位置させるように、構成されている。このエアバッグ60では、カバー部62における下縁62bは、後端近傍となる部位のみを、周縁部36に縫着させていることから、膨張時に、中央側縦セル部31を、円滑に車内側Iに突出させるように配置させることができる(
図13参照)。
【0042】
このような構成のエアバッグ60を使用した頭部保護エアバッグ装置の場合、バッグ本体61が上述のエアバッグ19と同一の構成であることから、上述のエアバッグ19と同様の作用が得られることに加えて、以下のような作用も得ることができる。エアバッグ60を使用した頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグ60の膨張完了時に、
図14に示すように、車内側Iに突出して配置される中央側縦セル部31の車内側Iが、カバー部62により押えられることから、中央側縦セル部31に乗員MPの頭部MHが接触した際に、切れ目47,48間の中央側縦セル部31が、主膨張部32から離れるように前方側に移動することを抑制できてずれず、端側縦セル部30と主膨張部32とに支持される中央側縦セル部31によって、乗員MPの頭部MHを的確に受け止めることができる。
【0043】
さらに、上記構成のエアバッグ60を使用した頭部保護エアバッグ装置では、カバー部62が、略直角三角形状として、前縁62a側の部位の上端側を中央側縦セル部31の上下の中央より上方に位置させるように、構成されていることから、カバー部62によって、中央側縦セル部31の下側の領域を上下に広く覆うことができて、乗員MPの頭部MHを受け止めた際の中央側縦セル部31のずれを、カバー部62自体によって、一層確実に防止することができる。また、上記構成のエアバッグ60を使用した頭部保護エアバッグ装置では、略直角三角形状のカバー部62が、前縁62a側と下縁62b側の後端付近とをバッグ本体61に連結されて、後上方側を開口させた略ポケット状とされていることから、斜突時に車外側斜め前方に向かって移動してくる乗員の頭部が、中央側縦セル部31に受け止められつつ、下方に移動してくる際に、この乗員の頭部を、カバー部自体によって受け止めることも可能となる。なお、このような点を考慮しなければ、
図12に二点鎖線で示すように、カバー部62Aとして、後下がりに傾斜したベルト状のものを使用してもよい。
【0044】
なお、実施形態では、端側縦セル部及び中央側縦セル部を、膨張遮蔽部の前端側に配置させる構成のエアバッグを例に採り、説明しているが、端側縦セル部及び中央側縦セル部の配置位置はこれに限られるものではなく、膨張遮蔽部の後端側に配置させる構成としてもよく、さらには、膨張遮蔽部の前端側と後端側との両方に、配置させる構成としてもよい。