(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る加工容器及びレーザ加工装置について具体化した第1実施形態乃至第4実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の概略構成について
図1乃至
図7に基づいて説明する。尚、以下の説明において、
図1に示すように、箱体状の加工容器3の観音開きの扉3A側が前方向で、加工容器3の扉3Aに対して奥側が後方向である。また、
図8に示すように、fθレンズ16の光軸16A方向が上下方向で、加工容器3のレーザヘッド部2を支持する上面板部36A側が上側である。そして、レーザ加工装置1の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置1の左右方向である。
【0015】
[第1実施形態]
[レーザ加工装置1の概略構成]
図1に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ光Lと可視レーザ光M(
図2参照)をfθレンズ16から同軸上に出射するレーザヘッド部2と、レーザヘッド部2が上面板部36A上に固定される略箱体状の加工容器3とから構成されている。
【0016】
図1乃至
図3に示すように、レーザヘッド部2は、本体ベース5と、レーザ光Lを出射するレーザ発振ユニット6と、光シャッター部7と、光ダンパー8と、ハーフミラー9と、ガイド光部11と、反射ミラー12と、光センサ13と、ガルバノスキャナ15と、fθレンズ16等から構成され、略直方体形状の筐体カバー17で覆われている。
【0017】
レーザ発振ユニット6は、レーザ発振器18と、ビームエキスパンダ19と、取付台21とから構成されている。レーザ発振器18は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成され、加工対象物22の加工面22Aにマーキング(印字)加工を行うためのレーザ光Lを出力する。ビームエキスパンダ19は、レーザ光Lのビーム直径を変更(例えば、拡大)するものであり、レーザ発振器18と同軸に設けられている。取付台21は、レーザ発振器18がレーザ光Lの光軸を調整可能に取り付けられ、各取付ネジ23で本体ベース5の前後方向中央位置よりも後側の上面に固定されている。
【0018】
光シャッター部7は、シャッターモータ25と、平板状のシャッター26とから構成されている。シャッターモータ25は、ステッピングモータ等で構成されている。シャッター26は、シャッターモータ25のモータ軸に取り付けられて同軸に回転する。シャッター26は、ビームエキスパンダ19から出射されたレーザ光Lの光路を遮る位置に回転された際には、レーザ光Lを光シャッター部7に対して右方向に設けられた光ダンパー8へ反射する。一方、シャッター26がビームエキスパンダ19から出射されたレーザ光Lの光路上に位置しないように回転された場合には、ビームエキスパンダ19から出射されたレーザ光Lは、光シャッター部7の前側に配置されたハーフミラー9に入射する。
【0019】
光ダンパー8は、シャッター26で反射されたレーザ光Lを吸収する。尚、光ダンパー8の発熱は、本体ベース5に熱伝導され、不図示の冷却装置によって冷却される。ハーフミラー9は、レーザ光Lの光路に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置される。ハーフミラー9は、後側から入射されたレーザ光Lのほぼ全部を透過する。また、ハーフミラー9は、後側から入射されたレーザ光Lの一部、例えば、レーザ光Lの1%を、反射ミラー12へ45度の反射角で反射する。反射ミラー12は、ハーフミラー9のレーザ光Lが入射される後側面の略中央位置に対して左方向に配置される。
【0020】
ガイド光部11は、可視レーザ光、例えば、赤色レーザ光を出射する可視半導体レーザ27と、可視半導体レーザ27から出射された可視レーザ光Mを平行光に収束する不図示のレンズ群とから構成されている。可視レーザ光Mは、レーザ発振器18から出射されるレーザ光Lと異なる波長である。ガイド光部11は、ハーフミラー9のレーザ光Lが出射される略中央位置に対して右方向に配置されている。この結果、可視レーザ光Mは、ハーフミラー9のレーザ光Lが出射される略中央位置に、ハーフミラー9の前側面、つまり、反射面に対して45度の入射角で入射され、45度の反射角でレーザ光Lの光路上に反射される。つまり、可視半導体レーザ27は、可視レーザ光Mをレーザ光Lの光路上に出射する。
【0021】
ここで、ハーフミラー9の反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、ハーフミラー9は、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理をされており、可視レーザ光Mの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光はほとんど(99%)透過するように構成されている。
【0022】
反射ミラー12は、レーザ光Lの光路に対して平行な前後方向に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置され、ハーフミラー9の後側面において反射されたレーザ光Lの一部が、反射面の略中央位置に対して45度の入射角で入射される。そして、反射ミラー12は、反射面に対して45度の入射角で入射されたレーザ光Lを45度の反射角で前側方向へ反射する。
【0023】
光センサ13は、レーザ光Lの発光強度を検出するフォトディテクタ等で構成され、反射ミラー12のレーザ光Lが反射される略中央位置に対して、
図2中、前側方向に配置されている。この結果、光センサ13は、反射ミラー12で反射されたレーザ光Lが入射され、この入射されたレーザ光Lの発光強度を検出する。従って、光センサ13を介してレーザ発振器18から出力されるレーザ光Lの発光強度を検出することができる。
【0024】
ガルバノスキャナ15は、本体ベース5の前側端部に形成された貫通孔28の上側に取り付けられ、レーザ発振ユニット6から出射されたレーザ光Lと、ハーフミラー9で反射された可視レーザ光Mとを下方へ2次元走査するものである。
【0025】
ガルバノスキャナ15は、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32とが、それぞれのモータ軸が互いに直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入されて本体部33に取り付けられ、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラーが内側で互いに対向している。そして、各モータ31、32の回転をそれぞれ制御して、各走査ミラーを回転させることによって、レーザ光Lと可視レーザ光Mとを下方へ2次元走査する。この2次元走査方向は、前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)である。
【0026】
図3に示すように、fθレンズ16は、ガルバノスキャナ15によって2次元走査されたレーザ光Lと可視レーザ光Mとを下方に配置された加工対象物22の加工面22Aに同軸に集光する。従って、各モータ31、32の回転を制御することによって、レーザ光Lと可視レーザ光Mが、加工対象物22の加工面22A上において、所望の印字パターンで前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)に2次元走査される。
【0027】
次に、加工容器3の概略構成について
図4乃至
図7に基づいて説明する。
図4乃至
図7に示すように、加工容器3は、前面側が開放された略箱体状の本体箱部36と、本体箱部36の前面側を覆う観音開きの各扉3Aと、加工対象物22を配置する加工台37等から構成されている。本体箱部36と各扉3Aは、加工対象物22上で反射されたレーザ光Lを遮光する鉄やステンレス等の材料で形成されている。
【0028】
本体箱部36は、天井部40を形成する略矩形状の上面板部36Aと、奥側壁面部を形成する矩形状の背面板部36Bと、左右側壁部を形成する矩形状の各側面板部36Cと、四角枠状に形成されて、所定長さ、例えば、約30cmの長さ、各側面板部36Cよりも前方に突出する底面部36Dとから構成されている。従って、底面部36Dの本体箱部36の前面側から所定長さ、例えば、約30cmの長さ、前方に突出した部分から上側が開放された開口部36Eが形成されている。
【0029】
本体箱部36は、底面部36Dの下面の四隅(
図4中では、3箇所が示されている。)において、脚部材38が固定されており、レーザ加工装置1は、これら脚部材38を介して床等の上に配置される。また、両側面板部36Cの上端部には、横長四角形に開口されて内側に窪む把持部材39が、前後方向略中央部に嵌め込まれている。従って、ユーザは、各把持部材39を持って加工容器3を搬送することができる。
【0030】
開口部36Eを覆う各扉3Aは、観音開きに構成されている。具体的には、各扉3Aは、縦長四角形の各正面板41A、41Bと、縦長四角形の各隣接側面板42と、横長四角形の各隣接上面板43A、43Bとから構成されている。各正面板41A、41Bは、正面視、上面板部36Aの左右方向の長さの約1/2の幅寸法で、側面板部36Cの上下方向の長さにほぼ等しい縦寸法に形成されている。各隣接側面板42は、正面視、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する突出長さにほぼ等しい幅寸法で、側面板部36Cの上下方向の長さにほぼ等しい縦寸法に形成されている。
【0031】
また、各隣接上面板43A、43Bは、平面視、上面板部36Aの左右方向長さの約1/2の左右方向の幅寸法で、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する突出長さにほぼ等しい前後方向の縦寸法に形成されている。各隣接上面板43A、43Bの後ろ側の側縁部は、上面板部36Aの前側の側縁部と切離されている。そして、各正面板41A、41Bの左右方向外側の側縁部と、各隣接側面板42の前側の側縁部とが溶接等によって固定されている。
【0032】
また、各正面板41A、41Bの上側側縁部と各隣接上面板43A、43Bの前側の側縁部とが溶接等によって固定されると共に、隣接側面板42の上側側縁部と各隣接上面板43A、43Bの左右方向外側の側縁部とが溶接等によって固定されている。従って、背面板部36B、各側面板部36C、各隣接側面板42、及び、各正面板41A、41Bは、fθレンズ16から出射されたレーザ光L及び可視レーザ光Mを囲むように、fθレンズ16の出射方向に沿って、且つ互いに交差する。
【0033】
そして、ユーザは、各扉3Aの各正面板41A、41Bの下端縁部を底面部36Dの前側突出端縁部の上側に当接すると共に、各隣接上面板43A、43Bの後側の側縁部を上面板部36Aの前側の側縁部に当接させ、更に、各隣接側面板42の後側の側縁部を各側面板部36Cの前側の側縁部に当接させる。そして、ユーザは、この状態で、各扉3Aの隣接側面板42と本体箱部36の各側面板部36Cの相対向する各側縁部の間に、上下一対の蝶番45をネジ止め等によって取り付ける。
【0034】
これにより、各扉3Aは、開口部36Eを左右対称に覆うと共に、各蝶番45を介して、隣接側面板42の後側の側縁部を回動軸として、それぞれ左右方向外側へ(
図6中、各矢印46A、46B方向である。)中心角度約180度回動する観音開きに取り付けられる。従って、
図6及び
図7に示すように、各扉3Aは、隣接側面板42の外側面が、側面板部36Cの近傍位置で対向するまで、左右方向外側へ両開き可能に構成されている。つまり、各扉3Aの各正面板41A、41Bと各隣接上面板43A、43Bは、
図5及び
図7に示すように、各蝶番45を介して、fθレンズ16の光軸16Aから各正面板41A、41Bに伸ばした垂線に沿って分かれて、両開きとなるように構成されている。
【0035】
また、
図4乃至
図9に示すように、本体箱部36の上面板部36Aの前側側縁部の左右方向中央部と、各扉3Aの各隣接上面板43A、43Bの左右方向内側の後側角部には、それぞれfθレンズ16の外周面の曲率半径で円弧状の切欠部47A、47B、47Cが形成されている。
【0036】
そして、
図4及び
図5に示すように、各扉3Aを閉じた場合には、本体箱部36の上面板部36Aの前側側縁部の左右方向中央部と、各扉3Aの各隣接上面板43A、43Bの左右方向内側の後側角部とに形成された各切欠部47A〜47Cによって、レーザヘッド部2のfθレンズ16が嵌挿される略円形の貫通孔47が形成される。尚、貫通孔47は、円形に限らず、fθレンズ16が嵌挿可能であれば、四角形、五角形、六角形等の多角形状、又は、菱形、楕円、台形等の他の形状に形成されてもよい。
【0037】
ここで、
図5に示すように、略円形の貫通孔47の中心48は、本体箱部36の上面板部36Aの前側側縁部よりも、前側へ、つまり、各正面板41A、41B側へ、所定距離D1、例えば、約3cmの距離D1離れた位置に設けられている。従って、
図9に示すように、貫通孔47に嵌挿されたfθレンズ16の光軸16Aは、略円形の貫通孔47の中心48、若しくは、中心48の近傍位置を通るため、上面板部36A及び側面板部36Cの前側側縁部よりも所定距離D1だけ前側に位置している。
【0038】
また、
図5乃至
図7に示すように、各正面板41A、41Bの左右方向内側の側縁部の前側上端部には、略コの字形の把手51が取り付けられている。各正面板41A、41Bの把手51の下側には、それぞれ一対の四角形状の透孔52が上下に隣接して形成されている。各一対の透孔52は、透明なガラスやアクリル板等形成されて可視光を透過する透過板53で内側、つまり、
図4中、後側を閉塞されている。
【0039】
更に、各透過板53には、レーザ発振器18から出射されて、加工対象物22の加工面22A上で反射されたレーザ光Lを遮光し、且つ、可視光を透過する遮光膜55(例えば、「YLC−1」、シグマ光機株式会社製)が全面に渡って貼り付けられている。そして、各正面板41A、41Bは、左右方向内側の側縁部の前側下端部には、スライド止め金具56が取り付けられ、スライドレバー56Aを左右にスライドすることによって、各正面板41A、41Bを閉じて施錠できるように構成されている。尚、スライドレバー56Aは、スライド止め金具56に装着された不図示のバネによって右側方向へスライドするように常に付勢されている。
【0040】
また、
図6及び
図7に示すように、本体箱部36の四角枠状の底面部36Dには、左右方向に長い横長四角形の底板58が、側面板部36Cから前方に突出する前側端縁部の近傍位置から、側面板部36Cの前側側縁部よりも少し奥側の位置までを左右方向全幅に渡って覆うように架け渡されて取り付けられている。また、底板58には、各扉3Aを閉じた際に形成される貫通孔47に対向する部分に、加工対象物22が配置される加工台37が設けられている。
【0041】
加工台37は、底板58の貫通孔47に対向するように水平に配置されて、加工対象物22が載置される平面視矩形状の載置板59と、載置板59の左側に立設されて、載置板59を上下方向にスライド移動可能に支持するスライドレール61とから構成されている。また、スライドレール61には、載置板59を上下方向にスライド移動した後、所望の高さで固定する固定ネジ61Aが前側の側面部に設けられている。
【0042】
次に、上記のように構成されたレーザ加工装置1の加工台37に配置した加工対象物22上における可視レーザ光Mの照射位置の位置合わせについて
図2、
図3、
図8及び
図9に基づいて説明する。
図2、
図3、
図8及び
図9に示すように、先ず、不図示のコントローラを介して、レーザ発振器18から出射されるレーザ光Lを停止した状態で、ガイド光部11の可視半導体レーザ27を駆動して可視レーザ光Mを出射する。そして、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して所定位置で停止させ、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0043】
一方、ユーザは、加工容器3のスライド止め金具56のスライドレバー56Aを左側へ移動させて、施錠を解除し、各扉3Aを左右方向外側へ回動して、隣接側面板42の外側面を、側面板部36Cの近傍位置で対向させる。これにより、
図8及び
図9に示すように、各扉3Aの隣接側面板42で覆われていた、光軸16Aから各隣接側面板42に伸ばした垂線63から各正面板41A、41Bに近づく向きである近接側面部62を含む加工容器3の側面部分が開放される。また、各扉3Aの各正面板41A、41Bで覆われていた加工容器3の正面部分が開放される。
【0044】
従って、ユーザは、fθレンズ16の光軸16Aに沿って加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を左右方向及び正面から、つまり、直交する2軸方向から視認して、加工台37の載置板59上における加工対象物22の位置合わせを行うことができる。その後、各扉3Aを閉じて、スライド止め金具56を施錠した後、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27の駆動を停止すると共に、レーザ発振器18からレーザ光Lを出射する。そして、不図示のコントローラを介して、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御することによって、加工対象物22の加工面22Aに所定パターンのマーキング(印字)加工を行うことができる。
【0045】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るレーザ加工装置1では、ユーザは、スライド止め金具56を解除して、各扉3Aを左右方向外側へ回動して、隣接側面板42の外側面を、側面板部36Cに当接させる。そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27を駆動すると共に、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0046】
これにより、ユーザは、加工台37の載置板59上に配置した加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を左右方向及び正面から、つまり、直交する2軸方向から視認して、載置板59上における加工対象物22の位置合わせを迅速に行うことができる。その結果、レーザ光Lと可視レーザ光Mは、fθレンズ16から同軸上に出射されるため、ユーザは、載置板59上における加工対象物22のレーザ光Lの照射位置に対する位置合わせを迅速に行うことができる。
【0047】
また、各扉3Aを閉じて、スライド止め金具56を施錠することによって、加工対象物22上で反射したレーザ光Lを各正面板41A、41B、各隣接側面板42、及び、各隣接上面板43A、43Bで遮光することができ、ユーザは作業を安全に行うことができる。カメラ等を設置しなくても、簡易な構成で、加工台37上に配置した加工対象物22上における、可視レーザ光Mの照射位置を目視により合わせることができ、加工容器3の小型化を図ることができる。更に、各扉3Aは、観音開きに構成されているため、各扉3Aを開くために必要な、加工容器3の前側周辺部のスペースを狭くすることが可能となり、加工容器3を設置するために必要なスペースの省スペース化を図ることができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るレーザ加工装置71について
図2、
図3、
図10乃至
図12に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記
図1乃至
図9の第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0049】
第2実施形態に係るレーザ加工装置71の概略構成は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1とほぼ同じ構成である。但し、加工容器3に替えて加工容器72が設けられている点で異なっている。
【0050】
図10乃至
図12に示すように、加工容器72は、前面側が開放された略箱体状の本体箱部73と、上下方向にスライド移動するスライド扉75、加工対象物22を配置する加工台37等から構成されている。本体箱部73とスライド扉75は、加工対象物22上で反射されたレーザ光Lを遮光する鉄やステンレス等の材料で形成されている。
【0051】
本体箱部73は、加工容器3の本体箱部36とほぼ同じ構成である。但し、上面板部73Aの前側の側縁部は、レーザヘッド部2の前側先端部の前側まで水平に延出され、第1実施形態の各扉3Aの各隣接上面板43A、43Bに相当する部分が連続して形成されている。そして、上面板部73Aは、上面板部73A上に固定されたレーザヘッド部2のfθレンズ16に対応する位置に、fθレンズ16が嵌挿される略円形の貫通孔47が形成されている。
【0052】
図11に示すように、この貫通孔47の中心48は、各側面板部36Cの前側側縁部よりも、前側へ、つまり、スライド扉75側へ、所定距離D1、例えば、約3cmの距離D1離れた位置に設けられている。従って、
図11に示すように、貫通孔47に嵌挿されたfθレンズ16の光軸16Aは、略円形の貫通孔47の中心48、若しくは、中心48の近傍位置を通るため、側面板部36Cの前側側縁部よりも所定距離D1だけ前側に位置している。
【0053】
また、各側面板部36Cの前側側縁部には、スライド扉75を上下方向に、つまり、光軸16A方向に沿ってスライド移動可能に支持するスライドレール76が設けられている。また、両側面板部36Cには、横長四角形に開口されて内側に窪む把持部材39が嵌め込まれている。従って、ユーザは、この把持部材39を持って加工容器72を搬送することができる。また、左側の側面板部36Cの上端部の前側角部には、スライドレバー77が前後方向に進退可能に設けられ、不図示のバネによって前側方向へ付勢されている。
【0054】
そして、スライドレバー77は、スライド扉75が最も上側へ移動した場合に、前側方向に軸部77Aが突出して、このスライド扉75の左側の隣接側面板78の下端部に当接するように構成されている。また、スライド扉75が最も上側へ移動して、スライドレバー77の軸部77Aによって下端部を支持された場合には、加工容器72の前面部に開口部73Eが形成される。また、スライドレバー77を後側方向へ押して、軸部77Aを内側に収納することによって、スライド扉75が下方へスライド移動可能になるように構成されている。
【0055】
開口部73Eを覆うスライド扉75は、開口部73Eの正面を覆う矩形状の正面板79と、開口部73Eの左右を覆う縦長四角形の一対の隣接側面板78と、正面板79の上端縁部に固定される隣接上面板81とから構成されている。正面板79は、上面板部73Aの左右方向の長さにほぼ等しい幅寸法で、側面板部36Cの上下方向の長さにほぼ等しい縦寸法に形成されている。各隣接側面板78は、正面視、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する突出長さにほぼ等しい幅寸法で、側面板部36Cの上下方向の長さにほぼ等しい縦寸法に形成されている。
【0056】
また、隣接上面板81は、平面視、上面板部73Aの左右方向の長さにほぼ等しい長さで、上面板部73Aの前側側縁部から正面板79までの距離にほぼ等しい幅寸法に形成されている。そして、正面板79の左右両側縁部と、各隣接側面板78の前側の側縁部とがそれぞれ溶接等によって固定されている。また、正面板79の上側側縁部と隣接上面板81の前側の側縁部とが溶接等によって固定されると共に、各隣接側面板78の上側側縁部の前側端部と隣接上面板81の左右方向の各側縁部とが溶接等によって固定されている。従って、スライド扉75は、正面板79、各隣接側面板78及び隣接上面板81によって構成されている。
【0057】
各隣接側面板78の正面板79に対して反対側の側縁部、つまり、側面板部36C側の側縁部には、各側面板部36Cの前側側縁部に設けられたスライドレール76に係合するスライド係合部82がほぼ全長に渡って形成されている。また、正面板79の中央部には、3個の透孔83が左右2列に並ぶように隣接して形成されている。各透孔83は、透明なガラスやアクリル板等形成されて可視光を透過する1枚の透過板84で内側、つまり、
図11中、後側を閉塞されている。更に、透過板84には、レーザ発振器18から出射されて、加工対象物22の加工面上で反射されたレーザ光Lを遮光し、且つ、可視光を透過する遮光膜55が全面に渡って貼り付けられている。
【0058】
次に、上記のように構成されたレーザ加工装置71の加工台37に配置した加工対象物22上における可視レーザ光Mの照射位置の位置合わせについて
図2、
図3、
図10乃至
図12に基づいて説明する。
図2、
図3、
図10乃至
図12に示すように、先ず、不図示のコントローラを介して、レーザ光Lを停止した状態で、ガイド光部11の可視半導体レーザ27を駆動して可視レーザ光Mを出射する。そして、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して所定位置で停止させ、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0059】
一方、ユーザは、スライド扉75を最も上側へ移動させて、スライドレバー77の軸部77Aを前側方向へ突出させて、スライド扉75の左側の隣接側面板78の下端部に当接させる。これにより、
図10及び
図11に示すように、スライド扉75の各隣接側面板78で覆われていた、光軸16Aから各隣接側面板42に伸ばした垂線86から正面板79に近づく向きである近接側面部85を含む加工容器72の左右の側面部分が開放される。また、スライド扉75の正面板79で覆われていた加工容器72の正面部分が開放される。
【0060】
従って、ユーザは、fθレンズ16の光軸16Aに沿って加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を左右方向及び正面から、つまり、直交する2軸方向から視認して、加工台37の載置板59上における加工対象物22の位置合わせを行うことができる。その後、ユーザは、スライドレバー77を後側方向へ押して、軸部77Aを内側に収納することによって、スライド扉75を下方へスライド移動させ、底面部36Dに当接させて開口部73Eを閉塞する。
【0061】
続いて、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27の駆動を停止すると共に、レーザ発振器18からレーザ光Lを出射する。そして、不図示のコントローラを介して、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御することによって、加工対象物22の加工面22Aに所定パターンのマーキング(印字)加工を行うことができる。
【0062】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るレーザ加工装置71では、ユーザは、スライド扉75を最も上側へ移動させて、スライドレバー77の軸部77Aを前側方向へ突出させ、スライド扉75の左側の隣接側面板78の下端部に当接させて停止させる。そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27を駆動すると共に、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0063】
これにより、ユーザは、加工台37の載置板59上に配置した加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を左右方向及び正面から、つまり、直交する2軸方向から視認して、載置板59上における加工対象物22の位置合わせを迅速に行うことができる。その結果、レーザ光Lと可視レーザ光Mは、fθレンズ16から同軸上に出射されるため、ユーザは、載置板59上における加工対象物22のレーザ光Lの照射位置に対する位置合わせを迅速に行うことができる。
【0064】
また、ユーザは、スライドレバー77を後側方向へ押して、軸部77Aを内側に収納することによって、スライド扉75を下方に移動させ、底面部36Dに当接させて開口部73Eを閉塞する。これにより、加工対象物22上で反射したレーザ光Lを正面板79、各隣接側面板78、及び、隣接上面板81で遮光することができ、ユーザは作業を安全に行うことができる。カメラ等を設置しなくても、簡易な構成で、加工台37上に配置した加工対象物22上における、可視レーザ光Mの照射位置を目視により合わせることができ、加工容器72の小型化を図ることができる。
【0065】
更に、スライド扉75を上下方向、つまり、光軸16A方向にスライド移動させて、最も上側の位置で停止させることができ、スライド扉75を開くために必要な加工容器72の前側及び左右周辺部のスペースを無くすることが可能となり、加工容器72を設置するために必要なスペースの省スペース化を図ることができる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るレーザ加工装置91について
図2、
図3、
図13及び
図14に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記
図1乃至
図9の第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0067】
第3実施形態に係るレーザ加工装置91の概略構成は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1とほぼ同じ構成である。但し、加工容器3に替えて加工容器92が設けられている点で異なっている。
図13及び
図14に示すように、加工容器92は、加工容器3とほぼ同じ構成であるが、各扉3Aに替えて、本体箱部36の前面側の開口部36Eを覆う取り外し可能なカバー部材93が設けられている点で異なっている。カバー部材93は、加工対象物22上で反射されたレーザ光Lを遮光する鉄やステンレス等の材料で形成されている。
【0068】
カバー部材93は、開口部36Eの正面を覆う矩形状の正面板95と、開口部36Eの左右を覆う縦長四角形の一対の隣接側面板96と、開口部36Eの天井部102を覆う略横長四角形の隣接上面板97とから構成されている。正面板95は、正面視、上面板部36Aの左右方向の長さにほぼ等しい幅寸法で、側面板部36Cの上下方向の長さにほぼ等しい縦寸法に形成されている。各隣接側面板96は、第1実施形態の隣接側面板42とほぼ同じ形状で、正面視、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する突出長さにほぼ等しい幅寸法で、側面板部36Cの上下方向の長さにほぼ等しい縦寸法に形成されている。各隣接側面板96の後側側縁部96Aは、各側面板部36Cの前側側縁部と切離されている。
【0069】
また、隣接上面板97は、平面視、上面板部36Aの左右方向長さにほぼ等しい幅寸法で、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する突出長さにほぼ等しい前後方向の縦寸法に形成されている。隣接上面板97の後側側縁部97Bは、上面板部36Aの前側の側縁部と切離されている。そして、隣接上面板97の上面板部36Aに対向する後側側縁部97Bの左右方向中央部には、上面板部36Aの前側側縁部の左右方向中央部に形成された円弧状の切欠部47A(
図6参照)と共に、fθレンズ16の外周面の直径の貫通孔47(
図4参照)を形成する円弧状の切欠部97Aが形成されている。
【0070】
そして、正面板95の左右方向の各側縁部と、隣接側面板96の前側の側縁部とが溶接等によって固定されている。また、正面板95の上側側縁部と隣接上面板97の前側の側縁部とが溶接等によって固定されると共に、各隣接側面板96の上側側縁部と隣接上面板97の左右方向の各側縁部とが溶接等によって固定されている。
【0071】
また、正面板95の中央部には、3個の透孔95Aが左右2列に並ぶように隣接して形成されている。各透孔95Aは、透明なガラスやアクリル板等形成されて可視光を透過する1枚の透過板94で内側、つまり、
図14中、後側を閉塞されている。更に、透過板94には、レーザ発振器18から出射されて、加工対象物22の加工面上で反射されたレーザ光Lを遮光し、且つ、可視光を透過する遮光膜55が全面に渡って貼り付けられている。
【0072】
一方、本体箱部36は、上面板部36A及び各側面板部36Cの各前側側縁部には、それぞれ全長に渡って、内側面から前側方向に所定高さ、例えば、約1cmの高さで突出する各突出リブ98A、98B、98Cが形成されている。また、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する部分の平面視コの字型の上面部には、全長に渡って、内側面から上側方向に所定高さ、例えば、約1cmの高さで突出する突出リブ98Dが形成されている。また、各突出リブ98A〜98Dの基端部には、カバー部材93を形成する正面板95、各隣接側面板96、及び隣接上面板97の板厚にほぼ等しい幅の段差部99A、99B、99C、99Dが形成されている。
【0073】
従って、ユーザは、カバー部材93を持ち上げ、左右隣接側面板96の下側後角部を、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する部分の左右側縁部に形成された突出リブ98Dに上側から嵌入して係合させ、段差部99D上に当接させる。続いて、ユーザは、その状態で、カバー部材93を後側に押して、段差部99D上を突出リブ98Dに沿って後側方向へスライド移動させる。そして、ユーザは、隣接上面板97と各隣接側面板96のそれぞれの後側側縁部97B、96Aを各突出リブ98A、98B、98Cに嵌入して係合させ、各段差部99A、99B、99Cに当接させる。従って、隣接上面板97と各隣接側面板96のそれぞれの後側側縁部97B、96Aは、係合部の一例として機能する。また、各突出リブ98A〜98Cが被係合部の一例として機能する。
【0074】
これにより、カバー部材93が着脱可能に本体箱部36に取り付けられて、本体箱部36の開口部36Eが、カバー部材93によって閉塞される。また、隣接上面板97の切欠部97Aと上面板部36Aの切欠部47Aとが接続されて、fθレンズ16が嵌挿される貫通孔47が形成される。
【0075】
ここで、略円形の貫通孔47の中心48は、本体箱部36の上面板部36Aの前側側縁部よりも、前側へ、つまり、正面板95側へ、所定距離D1、例えば、約3cmの距離D1離れた位置に設けられている。従って、
図14に示すように、貫通孔47を形成する切欠部47Aに当接されたfθレンズ16の光軸16Aは、略円形の貫通孔47の中心48(
図5参照)、若しくは、中心48の近傍位置を通るため、上面板部36A及び側面板部36Cの前側側縁部よりも所定距離D1だけ前側に位置している。
【0076】
次に、上記のように構成されたレーザ加工装置91の加工台37に配置した加工対象物22上における可視レーザ光Mの照射位置の位置合わせについて
図2、
図3、
図13及び
図14に基づいて説明する。
図2、
図3、
図13及び
図14に示すように、先ず、不図示のコントローラを介して、レーザ光Lを停止した状態で、ガイド光部11の可視半導体レーザ27を駆動して可視レーザ光Mを出射する。そして、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して所定位置で停止させ、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0077】
一方、ユーザは、本体箱部36の前側を覆うカバー部材93を、本体箱部36から前側に引き出して、隣接上面板97と各隣接側面板96のそれぞれの後側側縁部97B、96Aと各突出リブ98A、98B、98Cとの係合を解除し、カバー部材93を本体箱部36から取り外す。これにより、
図13及び
図14に示すように、カバー部材93で覆われていた、光軸16Aから各隣接側面板96に伸ばした垂線103から正面板95に近づく向きである近接側面部101を含む加工容器92の左右の側面部分が開放される。また、カバー部材93の正面板95で覆われていた加工容器92の正面部分が開放される。
【0078】
従って、ユーザは、fθレンズ16の光軸16Aに沿って加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を左右方向及び正面から、つまり、直交する2軸方向から視認して、加工台37の載置板59上における加工対象物22の位置合わせを行うことができる。その後、ユーザは、カバー部材93を持ち上げ、再度、本体箱部36の開口部36Eを、カバー部材93によって閉塞する。
【0079】
そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27の駆動を停止すると共に、レーザ発振器18からレーザ光Lを出射する。そして、不図示のコントローラを介して、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御することによって、加工対象物22の加工面22Aに所定パターンのマーキング(印字)加工を行うことができる。
【0080】
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係るレーザ加工装置91では、ユーザは、本体箱部36の前側を覆うカバー部材93を、本体箱部36から前側に引き出して、本体箱部36から取り外す。そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27を駆動すると共に、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0081】
これにより、ユーザは、加工台37の載置板59上に配置した加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を左右方向及び正面から、つまり、直交する2軸方向から視認して、載置板59上における加工対象物22の位置合わせを迅速に行うことができる。その結果、レーザ光Lと可視レーザ光Mは、fθレンズ16から同軸上に出射されるため、ユーザは、載置板59上における加工対象物22のレーザ光Lの照射位置に対する位置合わせを迅速に行うことができる。
【0082】
また、ユーザは、カバー部材93を持ち上げ、左右隣接側面板96の下側後角部を、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する部分の左右側縁部に形成された突出リブ98Dに上側から嵌入して、段差部99D上に当接させる。そして、ユーザは、その状態で、カバー部材93を後側に押して、段差部99D上を突出リブ98Dに沿って後側方向へスライド移動させ、本体箱部36の開口部36Eを閉塞する。
【0083】
これにより、加工対象物22上で反射したレーザ光Lをカバー部材93で遮光することができ、ユーザは作業を安全に行うことができる。カメラ等を設置しなくても、簡易な構成で、加工台37上に配置した加工対象物22上における、可視レーザ光Mの照射位置を目視により合わせることができ、加工容器92の小型化を図ることができる。
【0084】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るレーザ加工装置111について
図3、
図15及び
図16に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記
図1乃至
図9の第1実施形態に係るレーザ加工装置1、及び、
図13及び
図14の第3実施形態に係るレーザ加工装置91の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るレーザ加工装置1及び第3実施形態に係るレーザ加工装置91の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0085】
第4実施形態に係るレーザ加工装置111の概略構成は、第3実施形態に係るレーザ加工装置1とほぼ同じ構成である。但し、加工容器92に替えて加工容器112が設けられている点で異なっている。
図15及び
図16に示すように、加工容器112は、加工容器92とほぼ同じであるが、カバー部材93に替えて、本体箱部36の前面側の開口部36Eを覆うカバー部材113が設けられている点で異なっている。カバー部材113は、加工対象物22上で反射されたレーザ光Lを遮光する鉄やステンレス等の材料で形成されている。
【0086】
カバー部材113は、カバー部材93と同じく、開口部36Eの正面を覆う矩形状の正面板95と、開口部36Eの左右を覆う縦長四角形の一対の隣接側面板96と、開口部36Eの天井部を覆う略横長四角形の隣接上面板97とから構成されている。但し、隣接上面板97の左右方向の各側縁部と、各隣接側面板96の上側側縁部とが、直角をなすように溶接等によって固定され、更に、右側の隣接側面板96の前側側縁部に、正面板95の右側縁部が、上下一対の蝶番114によって外側方向へ回動可能に取り付けられている。
【0087】
従って、正面板95は、上下一対の蝶番114を介して、右側側縁部を回動軸として外側方向へ回動自在に支持されている。また、左側の隣接側面板96の前側側縁部の内側上端部には、磁石115が取り付けられている。一方、正面板95の左側側縁部の内側上端部には、正面板95を閉じた際に、磁石115に対向する部分に、磁石115に吸着される鉄等の強磁性体で形成された平板状の吸着板116が取り付けられ、正面板95を閉じた状態を維持できるように構成されている。また、正面板95の左側側縁部の上下方向中央部には、外側に縦長コの字形の把手117が取り付けられている。
【0088】
カバー部材113の本体箱部36への取り付けは、先ず、左右隣接側面板96の下側後角部を、底面部36Dの側面板部36Cから前方に突出する部分の左右側縁部に形成された突出リブ98Dに上側から嵌入して係合させ、段差部99D上に当接させる。そして、カバー部材113を後側に押して、段差部99D上を突出リブ98Dに沿って後側方向へスライド移動させ、隣接上面板97と各隣接側面板96のそれぞれの後側側縁部97B、96Aを、上面板部36Aと各側面板部36Cの前側側縁部に当接させる。
【0089】
その後、カバー部材113の左右の隣接側面板96と本体箱部36の左右の側面板部36Cの相対向する各側縁部の間に、それぞれ上下一対の平板118の前後方向の端縁部をネジ止めによって取り付けて連結する。これにより、カバー部材113が、本体箱部36に取り付けられて、本体箱部36の開口部36Eが、カバー部材113によって閉塞される。また、隣接上面板97の切欠部97Aと上面板部36Aの切欠部47Aとが接続されて、fθレンズ16が嵌挿される貫通孔47が形成される。
【0090】
ここで、略円形の貫通孔47の中心48は、本体箱部36の上面板部36Aの前側側縁部よりも、前側へ、つまり、正面板95側へ、所定距離D1、例えば、約3cmの距離D1離れた位置に設けられている。従って、
図16に示すように、貫通孔47を形成する切欠部47Aに当接されたfθレンズ16の光軸16Aは、略円形の貫通孔47の中心48(
図5参照)、若しくは、中心48の近傍位置を通るため、上面板部36A及び側面板部36Cの前側側縁部よりも所定距離D1だけ前側に位置している。
【0091】
また、左側の隣接側面板96の上下方向中央部よりも少し上側には、加工台37の載置板59上に配置された加工対象物22を視認可能で、且つ、光軸16Aから左側の隣接側面板96に伸ばした垂線119が通る位置を含むように開設された矩形状の透孔121が形成されている。透孔121は、透明なガラスやアクリル板等形成されて可視光を透過する1枚の透過板122で内側を閉塞されている。更に、透過板122には、レーザ発振器18から出射されて、加工対象物22の加工面上で反射されたレーザ光Lを遮光し、且つ、可視光を透過する遮光膜55が全面に渡って貼り付けられている。
【0092】
次に、上記のように構成されたレーザ加工装置111の加工台37に配置した加工対象物22上における可視レーザ光Mの照射位置の位置合わせについて
図3、
図15及び
図16に基づいて説明する。
図3、
図15及び
図16に示すように、先ず、不図示のコントローラを介して、レーザ光Lを停止した状態で、ガイド光部11の可視半導体レーザ27を駆動して可視レーザ光Mを出射する。そして、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して所定位置で停止させ、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0093】
一方、ユーザは、本体箱部36の前側を覆うカバー部材113の把手117を持って、正面板95を右方向外側へ回動させ、正面板95で覆われていた加工容器112の正面部分を開放する。従って、ユーザは、fθレンズ16の光軸16Aに沿って加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を、正面からと、左側の隣接側面板96に開設された透孔121を介して左側からと、つまり、直交する2軸方向から視認して、加工台37の載置板59上における加工対象物22の位置合わせを行うことができる。
【0094】
尚、右側の隣接側面板96にも透孔121を形成し、遮光膜55が全面に渡って貼り付けられた透過板122で閉塞するようにしてもよい。これにより、ユーザは、fθレンズ16の光軸16Aに沿って加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を正面からと、左右に設けられた各透孔121を介して左右両側からと、つまり、直交する2軸方向から視認して、加工台37の載置板59上における加工対象物22の位置合わせを行うことができる。
【0095】
その後、ユーザは、正面板95を閉じて、再度、本体箱部36の開口部36Eを、カバー部材113によって閉塞する。そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27の駆動を停止すると共に、レーザ発振器18からレーザ光Lを出射する。そして、不図示のコントローラを介して、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御することによって、加工対象物22の加工面22Aに所定パターンのマーキング(印字)加工を行うことができる。
【0096】
以上詳細に説明した通り、第4実施形態に係るレーザ加工装置111では、ユーザは、本体箱部36の前側を覆うカバー部材113の正面板95を右外側方向へ回動させ、正面板95で覆われていた加工容器112の正面部分を開放する。そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27を駆動すると共に、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0097】
これにより、ユーザは、加工台37の載置板59上に配置した加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を正面からと、透孔121を介して左方向から、つまり、光軸16Aに直交する2軸方向から視認して、載置板59上における加工対象物22の位置合わせを迅速に行うことができる。その結果、レーザ光Lと可視レーザ光Mは、fθレンズ16から同軸上に出射されるため、ユーザは、載置板59上における加工対象物22のレーザ光Lの照射位置に対する位置合わせを迅速に行うことができる。
【0098】
また、ユーザは、カバー部材113の正面板95を左方向内側へ回動して、閉じることによって、加工対象物22上で反射したレーザ光Lをカバー部材113で遮光することができ、ユーザは作業を安全に行うことができる。カメラ等を設置しなくても、簡易な構成で、加工台37上に配置した加工対象物22上における、可視レーザ光Mの照射位置を目視により合わせることができ、加工容器112の小型化を図ることができる。
【0099】
ここで、レーザ発振器18は、発振器の一例として機能する。可視半導体レーザ27は、可視レーザ光源の一例として機能する。fθレンズ16は、集光部の一例として機能する。上面板部36A、各隣接上面板43A、43Bは、上面部材の一例を構成する。上面板部73A及び隣接上面板81は、上面部材の一例を構成する。上面板部36A及び隣接上面板97は、上面部材の一例を構成する。
【0100】
背面板部36B、各側面板部36C、各隣接側面板42、及び、各正面板41A、41Bは、側面部材の一例を構成する。背面板部36B、各側面板部36C、各隣接側面板78、及び、正面板79は、側面部材の一例を構成する。背面板部36B、各側面板部36C、各隣接側面板96、及び、正面板95は、側面部材の一例を構成する。蝶番45及び蝶番114は、回動支持部の一例として機能する。スライド扉75は、カバー部材の一例として機能する。スライドレール76は、スライド支持部の一例として機能する。
【0101】
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第4実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0102】
例えば、前記第4実施形態のレーザ加工装置111において、カバー部材113の隣接上面板97及び各隣接側面板96を、透明なガラスやアクリル板等形成されて可視光を透過する透過板で形成するようにしてもよい。そして、透過板で形成された隣接上面板97及び各隣接側面板96に、レーザ発振器18から出射されて、加工対象物22の加工面上で反射されたレーザ光Lを遮光し、且つ、可視光を透過する遮光膜55を全面に渡って貼り付けるようにしてもよい。この場合には、隣接側面板96に透孔121を形成する必要は無い。
【0103】
そして、ユーザは、本体箱部36の前側を覆うカバー部材113の正面板95を右方向外側へ回動させ、正面板95で覆われていた加工容器112の正面部分を開放する。そして、不図示のコントローラを介して、可視半導体レーザ27を駆動すると共に、ガルバノスキャナ15の各モータ31、32を回転制御して、fθレンズ16の光軸16A上に可視レーザ光Mを出射する。
【0104】
これにより、ユーザは、加工台37の載置板59上に配置した加工対象物22上に出射された可視レーザ光Mの照射位置を正面からと、カバー部材113の隣接上面板97及び各隣接側面板96を介して左右方向から、つまり、光軸16Aに直交する2軸方向から視認して、載置板59上における加工対象物22の位置合わせを迅速に行うことができる。その結果、レーザ光Lと可視レーザ光Mは、fθレンズ16から同軸上に出射されるため、ユーザは、載置板59上における加工対象物22のレーザ光Lの照射位置に対する位置合わせを迅速に行うことができる。