(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリ乳酸樹脂を主体とする基材と、前記基材の上に塗工されポリ乳酸樹脂を主体とする密着層と、前記密着層との接着性が良好で且つ金属めっきが可能な樹脂層と、前記樹脂層の上に施された金属めっきとを有し、
前記密着層が、ポリ乳酸樹脂と、天然物系粘着付与樹脂と、加水分解防止剤と、多官能イソシアネートとを含有するバイオプラスチック成形体。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、石油由来の材料の使用量を削減し、代替として、植物由来の材料を使用することが検討されている。
【0003】
石油由来の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂/アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体[PC(Polycarbonate)/ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)]、又は芳香族ナイロンなどの合成樹脂が例示できる。これらは、軽量、高強度、又は長寿命という特長を有し、様々な分野で使用されている。しかし、焼却処理するときは、高熱を発し焼却炉を傷つけたり、多量の二酸化炭素を排出したりする等、環境へ与える負荷が大きいことが問題になっている。加えて、埋め立て処理するときは、容積占有率が高く、土中で分解されないために処理場や埋め立て場の不足を招いている。また、自然界に散逸したときは、野生動物に悪影響を与えるなど、環境破壊の原因となっている。また、原料となる石油は、埋蔵量に限りがある資源でもあるので、代替材料として植物由来のプラスチック材料(バイオプラスチック)が検討されている。
【0004】
バイオプラスチックのうち、特に、ポリ乳酸樹脂は、とうもろこし、又はさつまいもなどの植物のデンプンを原料としており、土中で加水分解により低分子量化されて、微生物により最終的には二酸化炭素と水まで分解される。また、焼却処理した場合も、発生する熱量が小さく、二酸化炭素排出量も少ない特徴がある。さらに、原料である植物が成長過程で二酸化炭素を吸収するため、環境負荷の小さい材料として注目されている。
【0005】
また、ポリ乳酸樹脂は、剛性が高い、引っ張り強度が比較的強い、及び透明度が高いなどの性質を有し、その成形品は、例えば、食品容器、園芸シート、電子機器用筐体、又は自動車部品などの様々な分野で応用され始めている(例えば、特許文献1を参照)。合成樹脂の成形品では、表面にアクリル樹脂、又はウレタン樹脂などの合成樹脂塗料が塗布され、美観、又は傷に対する保護性など表面状態を向上させている例が多々存在する。同様に、ポリ乳酸樹脂の成形品についても、機能を付加するための塗料の開発が盛んに行われており、ポリ乳酸樹脂を含有する基材に密着性が良い粘着剤(例えば、特許文献2を参照)や、コーティング剤(例えば、特許文献3を参照)や、加飾体(例えば、特許文献4を参照)が提案されている。
【0006】
また、ポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物には、金属めっきが直接密着しないので、電磁波シールド性能が求められる電子機器用筐体用途に、ポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物を使用する場合は、金属板やアルミ箔などを成形体に貼付しなければならなかった。このため、製品の重量が重くなる課題や、隙間がほとんどなく、金属板やアルミ箔を貼付することが困難な電磁波シールド性能が要求されるような成形体に、ポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物を適用することは極めて難しく、製品設計の自由度が大きく低下してしまうという課題があった。
【0007】
そこで、樹脂組成物に電磁波シールド用のメッキをする方法として、低密着性の不導体材料であるポリカーボネート樹脂やポリカーボネート樹脂/ABS樹脂のアロイ樹脂上のめっきを必要とする部分に、塗料化されたABS樹脂を塗布し、エッチング処理を施した後、無電解めっきを施すことを特徴とする方法が提案されている(例えば、特許文献5を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。また、本発明の効果を奏する限り、実施形態を変形してもよい。
【0018】
本実施形態に係る電子機器用筐体1(バイオプラスチック成形体)は、
図1に示すように、ポリ乳酸樹脂を主体とする基材10(樹脂組成物)と、前記基材10上に塗工された密着層20と、前記密着層20上に接着された樹脂層30と、前記樹脂層30の上に施された金属めっき40と、を有するものである。
【0019】
(基材)
前記基材10は、ポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物を含有する。
前記樹脂組成物は、主体となるポリ乳酸樹脂の他に、フィラー、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核剤、難燃剤、又は加水分解防止剤などを含有してもよい。
前記基材10に含有される、ポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂を樹脂組成物全量に対して20〜100質量%含有することが好ましい。
【0020】
基材10に含有されるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸からなる樹脂である。本発明では、ポリ乳酸樹脂の成分は限定されないが、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸又はこれらの混合物若しくは共重合体を用いることが望ましい。特に、耐熱性の観点から、光学純度90%以上の結晶性ポリ乳酸と光学純度90%未満のポリ乳酸の割合が質量比で、光学純度90%以上の結晶性ポリ乳酸/光学純度90%未満のポリ乳酸=100/0〜10/90、好ましくは100/0〜25/75、より好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0〜90/10のポリ乳酸樹脂が望ましい。
基材10に含有される、ポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂の他に、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、又はPMMA樹脂などの石油を原料とする樹脂を含有してもよい。
【0021】
さらに、基材10に含有されるポリ乳酸樹脂は、そのポリスチレン換算での質量平均分子量(Mw)が、2000〜200000であることが好ましい。
【0022】
また、基材10に含有されるフィラーとしては、例えば、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、又は酸化亜鉛などの金属酸化物や、シリカや、層状珪酸塩鉱物が挙げられる。フィラーの平均粒子径は、0.1〜80μmとすることが好ましい。かかる平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により測定される値である。また、フィラーは、シランカップリング剤などで表面処理されていてもよく、エポキシ系、ウレタン系、又はアクリル系などの結合剤で造粒し、顆粒状とされていてもよい。
【0023】
また、基材10に含有される熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
基材10に含有される難燃剤としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物、リン酸エステルやフォスファゼン化合物等の各種リン系難燃剤、フェノール樹脂等の炭化促進剤、又はポリテトラフルオロエチレンを初めとするドリップ防止剤等、公知の難燃剤を利用することができる。
【0025】
また、基材10に含有される充填材としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、又はガラス繊維などの無機充填材、並びに、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、もみ殻、又はケナフなどの天然物、又はこれらの変性品や、ポリアミドやポリアリレートなどを用いて合成された合成有機繊維などの有機系充填材が挙げられる。
【0026】
また、基材10に含有される結晶核剤としては、例えば、タルク、又はカオリンなどの無機結晶核剤や、ソルビトール化合物や、安息香酸及びその化合物や、リンと窒素からなる有機物等と亜鉛等の二価の金属イオンとの金属塩や、アミド化合物又はロジン化合物などの有機結晶核剤が挙げられる。
【0027】
基材10を構成する要素及び配合比は、本実施形態に限定されるものではないが、基材10に占める植物由来成分の質量割合が、25質量%以上100質量%以下であることが好ましい。更に、同数値が40質量%以上90質量%以下であると、低環境負荷と同時に、電子機器用筐体1用の性能を満足できるのでより好ましい。植物由来成分の質量割合が25質量%未満では、環境負荷を低減するという本発明の目的の1つを達成しにくくなる。
【0028】
また、基材10の製造方法は、特に限定されないが、例えば一軸押出機、又は二軸押出機などの溶融混練機を用いて溶融混練し、その後成形することにより製造することができる。基材10を混練する方法も制限されず、例えば、原料の全てを一括して溶融混練してもよく、原料の一部を予め混練し、その後、残りの原料と合わせて溶融混練してもよい。
また、上述のように、基材10には本発明の効果を損なわない限りにおいて、顔料、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、難燃剤、加水分解防止剤、フィラー、耐候剤、帯電防止剤、充填材、又は結晶核剤などを添加してもよい。
【0029】
得られた溶融混練物の成形方法は、特に限定されないが、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、トランスファー成形、又はプレス成形が挙げられる。これらの成形方法により溶融混練物を成形することにより、基材10を得ることができる。
【0030】
(密着層)
電子機器用筐体1を構成する前記密着層20は、ポリ乳酸樹脂を主体とする。前記密着層20は、塗膜成分として、ポリ乳酸樹脂と、天然物系粘着付与樹脂と、加水分解防止剤と、多官能イソシアネートとを含有することが好ましい。
前記密着層20は、これらに加えて、顔料、無機フィラー、及び光輝材からなる群から選択される少なくとも1種類の物質を含有してもよい。
ポリ乳酸樹脂を主体とする前記密着層20は、密着層全量に対するポリ乳酸樹脂の含有量が20〜100質量%であり、20〜80質量%がより好ましい。
【0031】
密着層20の塗膜成分の一部として含有されるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸からなる樹脂である。本発明では、ポリ乳酸樹脂の成分は限定されないが、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸又はこれらの混合物若しくは共重合体を用いることが望ましい。また、ポリ乳酸樹脂は、水酸基価が1〜50mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が1mgKOH/g未満では、前記ポリ乳酸樹脂の水酸基と前記多官能イソシアネートのイソシアネート基とを結合するウレタン結合の架橋密度が十分得られないことにより、密着層20の耐水性や耐薬品性が低下する場合がある。また、水酸基価が50mgKOH/gを超えると、ウレタン結合の架橋密度が過剰になることにより、塗膜の過剰な硬化収縮が生じ、密着層20の基材10への密着性が低下する場合がある。
【0032】
また、密着層20の塗膜成分の一部として含有されるポリ乳酸樹脂は、そのポリスチレン換算での質量平均分子量Mwが2000〜70000であることが好ましい。質量平均分子量Mwが2000未満では、塗膜の強度が不足する場合がある。一方、質量平均分子量Mwが70000を超える場合は、塗料の粘度が高くなりすぎて厚塗りするのが難しくなり、作業性が低下する上に平滑な塗膜が得られにくくなる場合がある。
【0033】
密着層20の塗膜成分の一部として含有される天然物系粘着付与樹脂とは、水酸基やカルボキシル基等の極性基を有する化合物である。前記天然物系粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、又はロジン系樹脂である。ここで、テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂、又は芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。一方、ロジン系樹脂としては、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、又はロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。そして、これらの中で、テルペン系樹脂としてはテルペンフェノール樹脂がより好ましい。
【0034】
また、天然物系粘着付与樹脂は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。天然物系粘着付与樹脂の配合量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましく、特に20〜60質量部が好ましい。天然物系粘着付与樹脂の配合量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して1質量部未満では、基材10との密着性が不十分となり、100質量部を超えると、塗料のべたつきが強くなり、取り扱いが難しくなるうえ、塗膜の強度が低下するおそれがある。
【0035】
また、密着層20の塗膜成分の一部として含有される加水分解防止剤は、ポリ乳酸樹脂の加水分解を防止して、ポリ乳酸樹脂を含有する基材10や密着層20に耐久性を付与する。加水分解防止剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物等、一般的にポリ乳酸樹脂等、又はエステル系樹脂の加水分解を抑制する効果がある物質を使用することができる。これらの中で、加水分解防止剤としては、カルボジイミド化合物が好ましい。
また、加水分解防止剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂100質量%に対して0.1〜5質量%とすることが好ましく、特に1〜5質量%が好ましい。加水分解防止剤の配合量がポリ乳酸樹脂100質量%に対して0.1質量%未満では、十分な耐加水分解性が発揮されない場合があり、5質量%を超えると、密着層20を構成するポリ乳酸樹脂が高分子量化して増粘し、密着層20と基材10との濡れ性が大幅に低下する恐れがある。
【0036】
また、密着層20の塗膜成分の一部として含有される多官能イソシアネートは、多官能イソシアネートのイソシアネート基と前記ポリ乳酸樹脂の水酸基との間でウレタン結合することにより、架橋剤として作用する。
この多官能イソシアネートとしては、例えば、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4´−イソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はノルボルネンメタンジイソシアネートなどの脂肪族系多官能イソシアネート化合物や、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどの芳香族系多官能イソシアネート化合物が挙げられる。そして、これらの中で、多官能イソシアネートとしては、脂肪族系多官能イソシアネート化合物が好ましく、特に、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、又はイソホロンジイソシアネートが好ましい。多官能イソシアネートの配合量は、ポリ乳酸樹脂100質量%に対して20〜80質量%とすることが好ましい。特に好ましくは、30〜50質量%である。20質量%未満では、塗膜の十分な耐久性が得られない上に、疎水性が低く、ポリ乳酸加飾体の耐水性が不十分となる場合があり、80質量%を超えると、基材10との密着性が低下するおそれがある。
【0037】
また、密着層20に含有される顔料、無機フィラー、又は光輝材は、公知のものが利用できる。このうち、顔料としては、例えば、アゾ化合物、インダンスレン、チオインジゴ、ジオキサジン、キナクリドン、若しくはフタロシアニンなどの有機顔料、又は酸化チタン、ベンガラ、若しくはカーボンブラックなどの無機顔料が挙げられる。また、無機フィラーとしては、例えば、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、若しくは酸化亜鉛などの金属酸化物、又はシリカ、若しくは層状珪酸塩鉱物が挙げられる。光輝材としては、例えば、アルミフレーク、パールマイカ、又はガラスフレークが挙げられる。顔料、無機フィラー、又は光輝材は、単独で添加してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
密着層20の塗膜成分に占める植物由来成分の質量割合は、密着層の塗膜成分全量に対して25質量%以上100質量%以下であることが好ましく、40質量%以上75質量%以下であると、低環境負荷と同時に、密着層20としての性能を満足できるのでより好ましい。植物由来成分の質量割合が25質量%未満では、環境負荷を低減するという本発明の目的を達成しにくくなる。
【0039】
密着層20は、密着層用塗料の塗膜成分によって形成される。この密着層用塗料は、上述のように構成される塗膜成分と、少量の液状溶媒とを混合し、さらに液状溶媒を添加して塗布に適した固形分濃度や粘度に調製することにより得られる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、可塑剤、顔料分散剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、乳化剤、表面調整剤、又は流動性調整剤などを密着層20に添加してもよい。
【0040】
密着層用塗料は、調製後、所定の時間内に基材10上に塗布される。本実施形態に係る密着層用塗料の塗布方法としては、公知の方法を選択することができ、例えば、ロールコート方式、スプレー方式、ディップ方式、又ははけ塗り方式などにより塗布することができる。そして、密着層20は、密着層用塗料を基材10に塗布して、乾燥した後、硬化させることによって形成する。本発明において、塗布と塗工は同義である。
しかし、密着層20の形成方法は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、密着層用塗料を基材10に塗布して、乾燥させた膜上に、後述の樹脂層用塗料を塗布して、乾燥させた後、密着層用塗料と樹脂層用塗料とを同時に硬化させることによって密着層20及び樹脂層30を形成してもよい。また、密着層20の厚さは、5〜20μmとすることが好ましい。密着層20の厚さが5μm以上であると十分な密着性が得られ、20μm以下であると経済的に好ましい。また、密着層用塗料を1回塗布することで密着層20を所望の厚さとしてもよいし、密着層用塗料を2回以上塗布することで密着層20を所望の厚さとしてもよい。
【0041】
また、密着層20の形成に使用する密着層用塗料に含まれる液状溶媒としては、公知のものを利用することができる。例えば、液状溶媒としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、又はシクロヘキサノンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、又はイソホロンなどのエステル類や、ヘプタン、ヘキサン、又はシクロヘキサンなどの炭化水素類などの有機溶剤を使用することができる。
さらに、環境負荷をさらに低減させるために、水系媒体を使用してもよい。水系媒体とは、水及び親水性のある有機溶剤の混合物である。親水性のある有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、又はエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類や、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類や、アセトン、又はメチルエチルケトンなどのケトン類や、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、又は炭酸ジメチルなどのエステル類が挙げられる。液状溶媒の種類は本実施形態に制限されるものではなく、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合させて使用してもよい。ただし、本発明の目的を考慮して、トルエン及びキシレンのどちらも含まない、トルエン・キシレンフリーの環境負荷がより小さい液状溶媒を選択することがより好ましい。
【0042】
(樹脂層)
電子機器用筐体1を構成する前記樹脂層30は、水素結合が可能な官能基を有する化合物、又は不飽和二重結合を有する化合物を含むことが好ましい。水素結合が可能な官能基としては、例えばアクリロニトリル基、水酸基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基又はアミド基などが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。また、不飽和二重結合を有する化合物としては、例えばアルケンとして、エチレン、プロピレン、又はブタジエン等が好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0043】
樹脂層30としては、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、又はポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を塗料化した樹脂層用塗料を用いるのが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
前記熱可塑性樹脂を塗料化する溶媒としては、特にエステル類、ケトン類及び芳香族類からなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒を利用することができ、また、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。上記エステル類の溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、又は酢酸イソブチルなどが挙げられる。上記ケトン類の溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、又はシクロヘキサノン等が挙げられる。上記芳香族類の溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等が挙げられる。ただし、本発明の目的を考慮して、トルエン及びキシレンのどちらも含まない、トルエン・キシレンフリーの、環境負荷がより小さい溶媒を選択することがより好ましい。
前記樹脂層用塗料は、熱可塑性樹脂と溶媒とを混合し、溶解することにより得られる。
【0044】
樹脂層用塗料は、調製後、所定の時間内に密着層20上に塗布される。前記樹脂層用塗料の塗布方法としては、例えば、ロールコート方式、スプレー方式、ディップ方式、又ははけ塗り方式などの公知の塗布方法を選択することができる。そして、樹脂層30は、樹脂層用塗料を密着層20上に塗布して、乾燥することによって形成される。
しかし、樹脂層30の形成方法は、本実施形態に限定されるものではない。前記のとおり、密着層用塗料を基材10に塗布して、乾燥させた膜上に、樹脂層用塗料を塗布して、乾燥させた後、密着層用塗料と樹脂層用塗料とを同時に硬化させることによって密着層20及び樹脂層30を形成してもよい。樹脂層30の厚さは、1〜10μmとすることが好ましい。樹脂層30の厚さが1μm未満では、樹脂層と密着層との間の十分な密着性が得られない場合があり、10μmを超えると、作業性が悪くなり、経済的に好ましくない。また、樹脂層用塗料を1回塗布することで樹脂層30を所望の厚さとしてもよいし、樹脂層用塗料を2回以上塗布することで樹脂層30を所望の厚さとしてもよい。
本発明の樹脂層は、前記密着層との接着性が良好で且つ金属めっきが可能な層である。密着層との接着性が良好とは、粘着テープで樹脂層を引き剥がしても樹脂層と密着層の層間で剥離が生じない状態をいう。
【0045】
(金属めっき)
電子機器用筐体1を構成する前記金属めっき40は、蒸着めっきに使用される金属であれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、ニッケル、スズ、スズ系合金、アルミ、クロム、又は金などから選択することができる。これらの中でも、金属めっき40としては、環境調和性と経済性を両立できる、銅、ニッケル、スズ、スズ系合金、及びアルミからなる群より選択される少なくとも1種の金属を使用することが好ましい。
【0046】
蒸着めっき法としては、公知の方法を選択することができ、例えば、真空釜などの中で、めっき用の金属を加熱蒸発させ、めっきが必要なプラスチック等の対象物の表面に、めっき用金属を凝集させることにより行うことができる。ここで、金属めっき40層の厚さは、0.1〜10μmとすることが好ましい。金属めっき40層の厚さが0.1μm未満であると十分な電磁波シールド性能が得られない場合があり、10μmを超えると、作業性が悪くなり、経済的に好ましくない。
【0047】
本発明の別の側面のバイオプラスチック成形体は、
ポリ乳酸樹脂を主体とする基材と、前記基材の上に塗工されポリ乳酸樹脂を主体とする密着層と、前記密着層との接着性が良好で且つ金属めっきが可能な樹脂層と、前記樹脂層の上に施された金属めっきと、を有するバイオプラスチック成形体であって、
前記基材に含有されるポリ乳酸樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量が、2000〜200000であり、
前記密着層が、塗膜成分として、ポリ乳酸樹脂と、天然物系粘着付与樹脂と、加水分解防止剤と、多官能イソシアネートとを含有し、
前記密着層の厚さが5μm以上20μm以下であり、
前記密着層に含有されるポリ乳酸樹脂の水酸基価が1〜50mgKOH/gであり、且つ、前記密着層のポリ乳酸樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量Mwが2000〜70000であり、
前記天然物系粘着付与樹脂が、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、及びロジン変性フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記加水分解防止剤が、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、及びエポキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記多官能イソシアネートが、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4´−イソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記樹脂層が、水素結合が可能な官能基、又は不飽和二重結合を有する化合物を含有し、
前記水素結合が可能な官能基を有する化合物が、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び、メルカプト基又はアミノ基又はアミド基を有する樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の化合物であり、
前記不飽和二重結合を有する化合物が、エチレン、プロピレン、及びブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記金属めっきに含有される金属が、銅、ニッケル、スズ、スズ系合金、アルミ、クロム、及び金からなる群より選択される少なくとも1種の金属であることが好ましい。
【0048】
本発明のまた別の側面のバイオプラスチック成形体は、
ポリ乳酸樹脂を主体とする基材と、前記基材の上に塗工されポリ乳酸樹脂を主体とする密着層と、前記密着層との接着性が良好で且つ金属めっきが可能な樹脂層と、前記樹脂層の上に施された金属めっきと、を有するバイオプラスチック成形体であって、
前記基材に含有されるポリ乳酸樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量が、2000〜200000であり、
前記密着層が、ポリ乳酸樹脂と、天然物系粘着付与樹脂と、加水分解防止剤と、多官能イソシアネートとを含有し、
前記密着層の厚さが5μm以上20μm以下であり、
前記密着層に含有されるポリ乳酸樹脂の水酸基価が1〜50mgKOH/gであり、且つ、前記密着層のポリ乳酸樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量Mwが2000〜70000であり、
前記天然物系粘着付与樹脂が、テルペンフェノール樹脂であり、
前記加水分解防止剤が、芳香族系カルボジイミド化合物であり、
前記多官能イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、及びペンタン−1,5−ジイソシアネートの3量体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記樹脂層が、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有し、
前記金属めっきに含有される金属が、銅及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1種の金属であることが好ましい。
【実施例】
【0049】
次に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
(1)基材1の作製
ポリ乳酸樹脂(テラマックTE−4000N、ユニチカ製、ポリスチレン換算での質量平均分子量Mw:150000)100質量部と、難燃剤として水酸化アルミニウム(ハイジライトHP−350、昭和電工製)115.5質量部、及びフォスファゼン化合物(sps−100、大塚化学製)5質量部と、ドリップ防止剤(POLYFLON MPA、ダイキン工業製)1質量部と、加水分解防止剤(スタバクゾールP、ラインケミー製)2質量部と、結晶核剤(エコプロモート、日産化学製)2質量部と、可塑剤(DAIFATTY−101、大八化学製)10質量部とを用い、二軸押出機(S1 KRCニーダー、クリモト製)を使用して、180℃で溶融混練押出しを行った。そして、吐出した樹脂をペレット状にカットして、ポリ乳酸樹脂組成物を得た。次いで、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを用いて、射出成形機(EC20P、東芝機械製)で試験片を成形した。このとき、基材1に占める植物由来成分の質量割合は、42.5質量%であった。
【0051】
(2)密着層用塗料1の調製
ポリ乳酸樹脂(BE−400、東洋紡績社製、水酸基価:3mgKOH/g、ポリスチレン換算での質量平均分子量Mw:43000)100質量部と、テルペンフェノール(N−125、ヤスハラケミカル社製)30質量部と、顔料クロ(ANP−L MA−100、東洋インキ製造社製)83質量部(ポリ乳酸樹脂100質量部に対して固形分が24.9質量部)とを、酢酸エチル400質量部及びシクロヘキサノン400質量部の混合溶媒に溶解させた。そして、そこに芳香族系カルボジイミド(Elastostab H01、Elastgran社製)3質量部と多官能イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(デュラネートTPA−100、旭化成社製、植物成分率0質量%)50質量部と、ジドデカン酸ジブチルスズ(純正化学社製)0.1質量部とを配合し、密着層用塗料1を得た。この時、密着層用塗料の固形分濃度は、19.5%であった。
【0052】
(3)密着層1の形成
基材1に、密着層用塗料1を乾燥後の厚さを10μmになるように塗布し、80℃で30分間乾燥させ、室温で72時間エージングして密着層1を形成した。実測した密着層1の厚さは、8.0μmであった。
【0053】
(4)樹脂層1の形成
トルエン17.3質量%、酢酸エチル44.9質量%、及びABS樹脂37.8質量%が均一に混合及び分散した樹脂層用塗料1を調製した。この樹脂層用塗料1を、上記(3)で基材1上に形成した密着層1の上にスプレー法で塗布した後、80℃で30分間乾燥させ、基材1、密着層1、及び樹脂層1からなるめっき用サンプル1を得た。
【0054】
(5)めっき1の形成
上記めっき用サンプル1を蒸着釜にセットし、まず初めにCuを7.5min、続いてNiを18minだけ蒸発させ、めっき1を形成し、電子機器用筐体を作製した。実測しためっき1の厚さは、Cuが1.5μm、Niが0.9μmで合わせて2.4μmであった。
【0055】
(6)抵抗値の測定
上記めっき1上の抵抗値を、直列、4針、及び5mm間隔で測定し、抵抗値が0.1Ω以下であれば、電子機器用筐体が十分な電磁波シールド性能を有すると判定した。
【0056】
(7)密着性の測定
上記(6)で抵抗値の測定が修了した後に、JIS(Japanese Industrial Standards)K5600−5−6:1999「クロスカット法」に準じて、1mm×1mmの碁盤目状の切込みを100個入れ、粘着テープによる剥離試験を行った。その結果、目視により、剥離箇所が20個以下の場合(剥離なしの箇所が80箇所以上)を80点以上で合格とし、全く剥離がなかった場合を100点とした。剥離箇所が20箇所を超え、剥離していない箇所が80個未満の場合は全て不合格とし、剥離していない箇所の個数を点数として記載した。つまりこの点数が80点未満の場合は不合格と判定した。加えて、塗膜の界面で剥離した場合や、碁盤目以外の場所が剥離した場合も不合格とした。
【0057】
(実施例2)
基材1を基材2とした以外は、実施例1に準じて電子機器用筐体を作製し、抵抗値と密着性とを評価した。基材2は次のとおりに作製した。ポリ乳酸樹脂(テラマックTE−4000N、ユニチカ製、ポリスチレン換算での質量平均分子量:150000)100質量部と、加水分解防止剤(スタバクゾールP、ラインケミー製)2質量部と、結晶核剤(エコプロモート、日産化学製)2質量部と、可塑剤(DAIFATTY−101、大八化学製)10質量部と、ガラス繊維(CS03JAFT592、旭ファイバーガラス製、繊維長3mm)10質量部とを用い、二軸押出機(S1 KRCニーダー、クリモト製)を使用して、180℃で溶融混練押出しを行った。そして、吐出した樹脂をペレット状にカットして、ポリ乳酸樹脂組成物を得た。次いで、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを用いて、射出成形機(EC20P、東芝機械製)で試験片を成形した。このとき、基材2に占める植物由来成分の質量割合は、80.6質量%であった。
【0058】
(実施例3)
密着層1を密着層2とした以外は、実施例1に準じて電子機器用筐体を作製し、抵抗値と密着性とを評価した。密着層2は、次の方法で作成した密着層用塗料2を用いて形成した。すなわち、密着層用塗料2は、ポリ乳酸樹脂(BE−400、東洋紡績社製、水酸基価:3mgKOH/g、ポリスチレン換算での質量平均分子量Mw:43000)100質量部と、テルペンフェノール(N−125、ヤスハラケミカル社製)30質量部と、顔料クロ(ANP−L MA−100、東洋インキ製造社製)83質量部(ポリ乳酸樹脂100質量部に対して固形分が24.9質量部)とを、酢酸エチル400質量部及びシクロヘキサノン400質量部の混合溶媒に溶解させた。そして、そこに芳香族系カルボジイミド(Elastostab H01、Elastgran社製)3質量部と多官能イソシアネートとしてペンタン−1,5−ジイソシアネート(植物成分率71質量%)の3量体50質量部と、ジドデカン酸ジブチルスズ(純正化学社製)0.1質量部とを配合して密着層用塗料2を得た。この時、密着層用塗料2の固形分濃度は、19.5%であった。
【0059】
(比較例1)
実施例1の方法に準じて、基材1上にめっき1を施し、抵抗値と密着性とを評価した。
【0060】
(比較例2)
実施例1の方法に準じて、基材1上に密着層1を形成し、前記密着層1上にめっき1を施した後、抵抗値と密着性とを評価した。
【0061】
(比較例3)
実施例1の方法に準じて、基材1上に樹脂層1を形成し、前記樹脂層1上にめっき1を施した後、抵抗値と密着性とを評価した。
【0062】
(比較例4)
実施例1の方法に準じて、基材1の上に密着層1を形成し、この密着層1の上に、樹脂層用塗料1の比較として樹脂層用塗料2を塗布して、樹脂層2を形成し、前記樹脂層2上にめっき1を施して、抵抗値及び密着性を評価した。この樹脂層用塗料2としては、2液型アクリルウレタン系塗料(エコネットFXシルバー、オリジン電気社製)を使用した。このエコネットFXシルバーは、TXフリー(トルエン・キシレンフリー)の塗料であって、調製方法は以下のとおりである。すなわち、主剤(主な固形分としてアクリル系樹脂及び顔料を含む)100質量部を、酢酸エチル200質量部及び酢酸ブチル200質量部及びジイソブチルケトン500質量部に溶解させた。そして、そこに硬化剤(主な成分として多官能イソシアネート化合物を含む)22.2質量部を配合した。このとき、機能層用塗料のアクリル系樹脂が含有するOH基と、多官能イソシアネート化合物が含有するNCO基とのmol比は、1:4であった。
【0063】
以上説明した実施例1〜3及び比較例1〜4についての評価結果は、それぞれ以下の表1に示す通りとなった。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例1から3と、比較例1から4との比較から明らかなように、本発明のように、ポリ乳酸樹脂を主体とする基材上に、ポリ乳酸樹脂を主体とする密着層を形成したのち、前記密着層との接着性が良好で金属めっきが可能な樹脂層を形成し、さらにこの樹脂層上に金属めっきを施すことで初めて、密着性に優れる金属めっきを有するポリ乳酸樹脂を主体とする樹脂組成物(バイオプラスチック成形体)の部品が得られ、このバイオプラスチック成形体が、電子機器用筐体に要求される電磁波シールド性能を初めて満足することができる。
【0066】
上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。