特許第5983634号(P5983634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983634
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ラッシュアジャスタ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/245 20060101AFI20160823BHJP
   F01L 1/25 20060101ALI20160823BHJP
   F01L 13/00 20060101ALN20160823BHJP
【FI】
   F01L1/245 E
   F01L1/25
   !F01L13/00 301K
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-557482(P2013-557482)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】JP2013052201
(87)【国際公開番号】WO2013118634
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2015年6月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-27686(P2012-27686)
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】沼波 晃志
(72)【発明者】
【氏名】小野 壽
(72)【発明者】
【氏名】西田 裕基
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−215410(JP,A)
【文献】 特開平04−224212(JP,A)
【文献】 特開昭54−121317(JP,A)
【文献】 米国特許第05451029(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L1/00−1/46
9/00−9/04
13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧力によりバルブの作動方向に沿って往復移動する受圧作動体と、
前記受圧作動体と互いに挿通しつつ前記受圧作動体と相対移動可能であり、前記バルブと当接して前記作動方向に沿って往復移動する中継作動体と、
前記受圧作動体と前記中継作動体とに当接し、両作動体が離間する方向に付勢する中間スプリングと、
前記受圧作動体と前記中継作動体とを摺動可能に内挿し、前記受圧作動体と前記中継作動体とに対して作動流体を供給する供給油路を備えたスリーブ部材とを備え、
前記受圧作動体と前記中継作動体との間に、前記受圧作動体が前記押圧力によって押し込まれ、前記受圧作動体と前記中継作動体との距離が近付くほど体積が縮小し、前記受圧作動体の外周面と前記受圧作動体の外周面に形成された制御体とに囲まれる受圧側ダンパ空間と、当該受圧側ダンパ空間からの作動流体の流出を抑制するオリフィス部とを形成してあり、
前記中継作動体が前記バルブによって押し戻されるほど体積が縮小し、前記受圧側ダンパ空間に連通し、前記受圧作動体の外周面と前記スリーブ部材の内周面とに囲まれる復帰側ダンパ空間を前記中継作動体と前記スリーブ部材とに亘って形成してあるラッシュアジャスタ。
【請求項2】
記受圧作動体が前記中継作動体に接近する方向に変位した際に前記受圧側ダンパ空間を閉じる方向に変位する制御体が前記受圧作動体と前記中継作動体との少なくとも一方に形成され、前記制御体と前記受圧側ダンパ空間の内壁との間に前記オリフィス部が形成されている請求項1記載のラッシュアジャスタ。
【請求項3】
押圧力によりバルブの作動方向に沿って往復移動する受圧作動体と、
前記受圧作動体と互いに挿通しつつ前記受圧作動体と相対移動可能であり、前記バルブと当接して前記作動方向に沿って往復移動する中継作動体と、
前記受圧作動体と前記中継作動体とに当接し、両作動体が離間する方向に付勢する中間スプリングと、
前記受圧作動体と前記中継作動体とを摺動可能に内挿し、前記受圧作動体と前記中継作動体とに対して作動流体を供給する供給油路を備えたスリーブ部材とを備え、
前記受圧作動体と前記中継作動体との間に、前記受圧作動体が前記押圧力によって押し込まれ、前記受圧作動体と前記中継作動体との距離が近付くほど体積が縮小する受圧側ダンパ空間と、当該受圧側ダンパ空間からの作動流体の流出を抑制するオリフィス部とを形成し、前記受圧側ダンパ空間と前記復帰側ダンパ空間とが径方向に並ぶように配置されていラッシュアジャスタ。
【請求項4】
前記復帰側ダンパ空間は前記中継作動体と前記スリーブ部材により形成されている請求項に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項5】
前記供給油路は第1給排経路と第2給排経路とを備え、
前記復帰側ダンパ空間に前記第1給排経路と第2給排経路とから同時に作動流体を供給する請求項3又は4に記載のラッシュアジャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッシュアジャスタに関し、詳しくは、バルブの作動時の騒音を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成されたラッシュアジャスタとして、特許文献1にはロッカアームの先端部の筒型のボディにプランジャを摺動自在に内嵌し、ボディの内部には、オイルが供給されることでプランジャを突出方向に作動させる高圧室が形成され、この高圧室に連通する小孔を開閉するチェックボールを備えた構成が記載されている。
【0003】
この特許文献1では、オイルが高圧室に供給されることでプランジャを突出させてバルブステムの上端に当接させて隙間をなくし当接音の発生を抑制している。また、ロッカアームからの押圧力をバルブステムに伝える際にはチェックボールが高圧室からのオイルの流出を抑制するためバルブの開放を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6‐193411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるようにオイル圧によりプランジャを突出させてバルブステムとの隙間を無くす構成であっても、ロッカアームは高速で作動するためオイル圧によりプランジャがロッカアームの作動に追従できず、ロッカアームのプランジャがバルブステムに対して接触する際には衝撃を伴うことも考えられた。このように衝撃を伴う場合には衝撃音を招き、騒音の発生に繋がるものであった。
【0006】
また、特許文献1に記載されるようにロッカアームの押圧力がバルブステムに作用するタイミングでチェックボールによるオイルの流れを阻止して押圧力をバルブに作用させる構成では、チェックボールの部位でオイルが漏出した場合にバルブを必要とするだけ開放できず、開放量が不足する不都合に繋がるものであった。
【0007】
ここで、ロッカアームの支点位置と、カムシャフトのカムが接触する位置との間の距離を変更する等の作動により、カムシャフトが1回転した際のロッカアームの揺動量(揺動角)を変化させるバルブ制御機構を想定する。このようなバルブ制御機構では、吸気バルブのリフト量を変化させることが可能となり、吸気量の調節を実現するが、ロッカアームの揺動量が変化するため、押圧時の衝撃を抑制しながら、揺動量の変化をバルブの開放量として正確に反映させる作動が望まれる。
【0008】
本発明の目的は、受圧作動体に押圧力が作用する際の衝撃を低減し、バルブを必要とする量だけ確実に開放させるラッシュアジャスタを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、押圧力によりバルブの作動方向に沿って往復移動する受圧作動体と、
前記受圧作動体と互いに挿通しつつ前記受圧作動体と相対移動可能であり、前記バルブと当接して前記作動方向に沿って往復移動する中継作動体と、
前記受圧作動体と前記中継作動体とに当接し、両作動体が離間する方向に付勢する中間スプリングと、
前記受圧作動体と前記中継作動体とを摺動可能に内挿し、前記受圧作動体と前記中継作動体とに対して作動流体を供給する供給油路を備えたスリーブ部材とを備え、
前記受圧作動体と前記中継作動体との間に、前記受圧作動体が前記押圧力によって押し込まれ、前記受圧作動体と前記中継作動体との距離が近付くほど体積が縮小し、前記受圧作動体の外周面と前記受圧作動体の外周面に形成された制御体とに囲まれる受圧側ダンパ空間と、当該受圧側ダンパ空間からの作動流体の流出を抑制するオリフィス部とを形成してあり、
前記中継作動体が前記バルブによって押し戻されるほど体積が縮小し、前記受圧側ダンパ空間に連通し、前記受圧作動体の外周面と前記スリーブ部材の内周面とに囲まれる復帰側ダンパ空間を前記中継作動体と前記スリーブ部材とに亘って形成してある点にある。
【0010】
この構成によると、中間スプリングの付勢力により受圧作動体と中継作動体とが相対的に離間する方向に相対移動するため、受圧作動体を突出させロッカアームやカム等の駆動機構に接触させる状態を維持できる。また、受圧作動体に対してロッカアームやカム等の駆動機構から押圧力が作用した場合には、受圧作動体に作用する押圧力が受圧側ダンパ空間の作動流体を介して中継作動体に作用し、更にバルブを開放する方向に作用する。この中継作動体からバルブに押圧力が作用する際には受圧側ダンパ空間の内部の作動流体がオリフィス部から流れ出ることにより受圧作動体が中継作動体に接近する際に押圧力の一部を逃がし衝撃を吸収できる。この後に、受圧作動体と中継作動体とが当接する状態に達することにより受圧駆動体に作用する押圧力を中継作動体から直接的にバルブに作用させてバルブの開放も可能となる。
特にこの構成では、ロッカアームからバルブに押圧力が作用する際には、常に、受圧側ダンパ空間の内部の作動流体とオリフィス部との作用により衝撃を吸収するので、ロッカアームが高速で作動した場合にも衝撃音を低減できる。
従って、受圧作動体に押圧力が作用する際の衝撃を低減し、バルブを必要とする量だけ確実に開放させるラッシュアジャスタが構成された。
【0013】
本発明は、記受圧作動体が前記中継作動体に接近する方向に変位した際に前記受圧側ダンパ空間を閉じる方向に変位する制御体が前記受圧作動体と前記中継作動体との少なくとも一方に形成され、前記制御体と前記受圧側ダンパ空間の内壁との間に前記オリフィス部が形成されても良い。
【0014】
これによると、制御部材が変位することでオリフィス部を機能させる状態に達するため、受圧作動体に押圧力が作用して変位する初期にはオリフィス部が機能せず比較的高速で変位が可能となる。次に、制御部材が受圧側ダンパ空間に接近するほどオリフィス部が機能するため受圧側ダンパ空間から流出する作動流体の流れが徐々に抑制される。このためダンパ空間から中継作動体に伝えられる押圧力を徐々に上昇させ、衝撃吸収を実現する。つまり、衝撃を吸収するに必要な領域において作動を抑制するので、ロッカアームが押圧方向に作動する際の全ての領域の作動を抑制する構成と比較すると、バルブの作動タイミングの遅れを招かず、エネルギーを無駄に消費することもない。
【0015】
本発明の特徴は、押圧力によりバルブの作動方向に沿って往復移動する受圧作動体と、
前記受圧作動体と互いに挿通しつつ前記受圧作動体と相対移動可能であり、前記バルブと当接して前記作動方向に沿って往復移動する中継作動体と、
前記受圧作動体と前記中継作動体とに当接し、両作動体が離間する方向に付勢する中間スプリングと、
前記受圧作動体と前記中継作動体とを摺動可能に内挿し、前記受圧作動体と前記中継作動体とに対して作動流体を供給する供給油路を備えたスリーブ部材とを備え、
前記受圧作動体と前記中継作動体との間に、前記受圧作動体が前記押圧力によって押し込まれ、前記受圧作動体と前記中継作動体との距離が近付くほど体積が縮小する受圧側ダンパ空間と、当該受圧側ダンパ空間からの作動流体の流出を抑制するオリフィス部とを形成し、前記受圧側ダンパ空間と前記復帰側ダンパ空間とが径方向に並ぶように配置されている点にある。
【0016】
このような構成にすることにより、受圧側ダンパ空間と復帰側ダンパ空間が軸方向に配置されている構成と比較して、ラッシュアジャスタの軸方向の長さを短くして、小型化を図ることができる。
【0017】
本発明は、前記復帰側ダンパ空間は前記中継作動体と前記スリーブ部材により形成されていると良い。
【0018】
復帰側ダンパ空間を中継作動体とスリーブ部材の2部品で形成することにより、2部品の形状で復帰側ダンパ空間の形状が決まる。従って、中継作動体とスリーブ部材の寸法管理を行うだけで復帰側ダンパ空間の形状,性能を安定させることができ、優れた衝撃吸収機能を有するラッシュアジャスタを容易に得ることができる。
【0019】
本発明において、前記供給油路は第1給排経路と第2給排経路とを備え、前記復帰側ダンパ空間に前記第1給排経路と第2給排経路とから同時に作動流体を供給すると良い。
【0020】
このような構成にすることにより、復帰側ダンパ空間への作動流体の供給性を向上させることができるので、復帰側ダンパ空間の衝撃吸収機能を安定して発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】は、エンジンのバルブ制御機構の構成を示す図である。
図2】は、偏芯支持部がmin位置にある状態で閉じ状態のバルブとラッシュアジャスタとを示す断面図である。
図3】は、偏芯支持部がmin位置にある状態で開放作動が開始された際のバルブとラッシュアジャスタとを示す断面図である。
図4】は、偏芯支持部がmin位置にある状態で最大の開放状態に達した際のバルブとラッシュアジャスタとを示す断面図である。
図5】は、偏芯支持部がmin位置にある状態で開放状態から閉じ状態に復帰した際のバルブとラッシュアジャスタとを示す断面図である。
図6】は、偏芯支持部がmax位置にある状態で閉じ状態のバルブとラッシュアジャスタとを示す断面図である。
図7】は、偏芯支持部がmax位置にある状態で最大の開放状態に達した際のバルブとラッシュアジャスタとを示す断面図である。
図8】は、受圧作動体に押圧力が作用した直後を示す第1実施形態に係るラッシュアジャスタの断面図である。
図9】は、受圧側ダンパ空間がダンパ機能を奏する状態のラッシュアジャスタの断面図である。
図10】は、受圧作動体から中継作動体に直接的に押圧力が伝わる状態のラッシュアジャスタの断面図である。
図11】は、中継作動体がバルブスプリングの付勢力により突出作動を開始した直後のラッシュアジャスタの断面図である。
図12】は、中継作動体が突出作動を行う際のラッシュアジャスタの断面図である。
図13】は、偏芯支持部をmin位置からmax位置に変化させた際のバルブのリフト量の変化を示す図である。
図14】は、受圧作動体に押圧力が作用していない状態を示す第2実施形態に係るラッシュアジャスタの断面図である。
図15】は、受圧側ダンパ空間がダンパ機能を奏する状態を示すラッシュアジャスタの断面図である。
図16】は、受圧側ダンパ空間がダンパ機能を奏し、中継作動体が作動を開始した直後の状態を示すラッシュアジャスタの断面図である。
図17】は、受圧作動体から中継作動体に直接的に押圧力が伝わる状態のラッシュアジャスタの断面図である。
図18】は、中継作動体がバルブスプリングの付勢力により突出作動を行い、復帰側ダンパ空間がダンパ機能を奏する状態を示すラッシュアジャスタの断面図である。
図19】は、復帰側ダンパ空間がダンパ機能を奏し、受圧作動体が突出作動を行う状態を示すラッシュアジャスタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(基本構成)
図1には4サイクル型のエンジンEの吸気バルブ10と、カムシャフト20と、シフトユニット30と、ロッカアーム40と、ラッシュアジャスタ50と、吸気バルブ10のリフト量を制御する制御部(ECU)としてのエンジン制御ユニット60とを備えたエンジンEのバルブ制御機構を示している。
【0023】
バルブ制御機構は、カムシャフト20のカム部22がロッカアーム40の長手方向の中間位置の中間ローラ43に当接することにより、ロッカアーム40が揺動軸芯Tを中心に揺動するように構成されている。バルブ制御機構は、ロッカアーム40の揺動端の当接体44がラッシュアジャスタ50に近接配置され、ロッカアーム40の揺動に伴い当接体44からの押圧力の作用時に衝撃を吸収しつつラッシュアジャスタ50から吸気バルブ10に伝えることにより吸気バルブ10を開放する作動が行われる。
【0024】
このバルブ制御機構では、シフトユニット30の制御部材32が制御軸芯Qを中心にして回動自在に支持され、この制御軸芯Qと偏芯する偏芯支持部33に揺動軸芯Tを中心にして揺動自在にロッカアーム40の基端部が支持されている。バルブ制御機構は、アクチュエータAの駆動により制御部材32が回動することでロッカアーム40を長手方向にシフトさせ、吸気バルブ10のリフト量を連続的に調節し、この調節に連動して吸気タイミングも変更する。尚、カムシャフト20のカム軸芯Pと、制御軸芯Qと、揺動軸芯Tとは互いに平行姿勢に設定されている。
【0025】
具体的な作動形態は後述するが、カムシャフト20が1回転する際に、このカムシャフト20から吸気バルブ10に作用する作動ストロークの変更によりリフト量を変更し、カムシャフト20から吸気バルブ10に押圧力が作用する領域(作用角)の変更により吸気バルブ10の開放タイミングと開放継続時間とを変更する。また、作用角は、吸気バルブ10が開放状態にある際のカムシャフト20の回転角の領域であり、この作用角の変更により必然的にリフト量が最大となるタイミング(カムシャフト20の回転角)も変更される。尚、カムシャフト20のカム軸芯Pと、制御軸芯Qと、揺動軸芯Tとは互いに平行姿勢に設定されている。
【0026】
エンジン制御ユニット60は、車両のアクセルペダル61(アクセル操作具の一例)の踏み込み操作量をペダルセンサ62で検出し、この検出値に基づいてアクチュエータAを制御することでロッカアーム40を長手方向にシフトさせ、カムシャフト20のカム部22が中間ローラ43に当接した際のロッカアーム40の揺動量を調節する。この調節により吸気バルブ10のリフト量を目標とする値に設定すると同時に、吸気タイミングを設定することでエンジンEの燃焼室3の吸気量と吸気タイミングとを制御し、結果としてエンジンEの回転速度の制御を実現する。
【0027】
バルブ制御機構は、前述した吸気バルブ10の他に排気バルブに備えても良く、吸気バルブと排気バルブとの夫々に備えても良い。このバルブ制御機構の詳細を以下に説明する。
【0028】
〔吸気バルブ〕
吸気バルブ10は、下端側で傘状に拡がるバルブヘッド11と、これに連なる軸状のバルブステム12とを一体的形成した形状を有している。シリンダヘッド1に備えたバルブガイド13に対してバルブステム12をスライド移動自在に挿通する形態で吸気バルブ10が支持されている。
【0029】
バルブステム12の上端のストッパ14とシリンダヘッド1との間に圧縮コイル型のバルブスプリング15を備え、このバルブスプリング15の付勢力により吸気経路2と燃焼室3との境界位置のバルブシート16にバルブヘッド11が当接することで、吸気バルブ10が閉じ状態に維持される。
【0030】
〔カムシャフトとシフトユニット〕
カムシャフト20は、カムシャフト部21と、この外周から突出するカム部22とを備えている。カムシャフト部21は、クランクシャフト(図示せず)からタイミングチェーン(図示せず)によって伝えられる駆動力によりカム軸芯Pを中心に回転するようにシリンダヘッド1に支持されている。
【0031】
また、このバルブ制御機構では、タイミングチェーンとカムシャフト20との伝動系に対し、カム部22の相対回転位相を変更する可変バルブタイミングシステムを備えても良い。この可変バルブタイミングシステムの一例を挙げると、タイミングチェーンが巻回するスプロケットと一体回転する駆動側回転部材と、カムシャフト20と一体回転する従動側回転部材と、これらの相対回転角を変更するアクチュエータとを備えて構成される。
【0032】
この可変バルブタイミングシステムは、エンジンEの回転速度やエンジンEに作用する負荷等に基づいて吸気タイミングを最適に設定することが可能となり、例えば、低速時のトルクを高め、エンジンEの始動性を向上させることが可能となる。尚、可変バルブタイミングシステムは、排気用のカムシャフトに備えても良く、アクチュエータとして油圧式のものでも電動式のものでも使用が可能である。
【0033】
シフトユニット30は、シリンダヘッド1に支持した軸体31の軸芯(制御軸芯Q)を中心にして回動自在に円盤状の制御部材32を支持し、この制御部材32の外周部において制御軸芯Qと平行姿勢の軸状となる偏芯支持部33を備えている。このシフトユニット30は、軸体31に対して制御部材32を回動させる電動モータ型のアクチュエータAを備えており、軸体31に対する制御部材32の回動量を検出する角度センサ34を備えている。
【0034】
尚、シフトユニット30のアクチュエータAとして油圧式のものを用いて良く、この油圧式のものを用いる場合には、油圧式の可変バルブタイミングシステムに用いられるアクチュエータと同一の構成を利用できる。
【0035】
〔ロッカアーム〕
ロッカアーム40は、基端部に偏芯支持部33に遊嵌するリング状の遊嵌部41を備え、長手方向の中間位置には、カム軸芯Pと平行姿勢の支軸42を中心に回転自在に中間ローラ43を支持し、基端部と反対側の揺動端側には当接体44が備えられている。
【0036】
このロッカアーム40の遊嵌部41をシフトユニット30の偏芯支持部33に対して回転支持することにより、このロッカアーム40が揺動軸芯Tを中心にして支持される。そして、カムシャフト20のカム部22が、中間ローラ43に当接することにより、当接体44が下方に変位するように揺動する。この揺動に伴い、当接体44からの押圧力がラッシュアジャスタ50に伝えられ、更に、吸気バルブ10に伝えられ、この吸気バルブ10が開放する。
【0037】
当接体44は下方に緩やかに突出する円弧状の当接面を有しており、このロッカアーム40が長手方向にシフトした場合にもラッシュアジャスタ50との当接位置を上下に変動させないように構成されている。
【0038】
〔ラッシュアジャスタ〕
図8に示すように、ラッシュアジャスタ50は、固定系としてのシリンダヘッド1に嵌め込み固定されたスリーブ部材51の内部に受圧作動体52と、中継作動体53とが摺動する状態で相対移動自在に内挿した構成を有している。スリーブ部材51と受圧作動体52と中継作動体53とは吸気バルブ10のバルブステム12のバルブ軸芯Rと同軸芯上に配置され、受圧作動体52と中継作動体53とはバルブ軸芯Rに沿って往復自在に支持される。流体空間S1と、受圧側ダンパ空間S2と、復帰側ダンパ空間S3が形成されている。また、ラッシュアジャスタ50は、前述した空間に対して作動流体としてのオイルの給排を行う油路系を備えている。このラッシュアジャスタ50は姿勢に拘わらず機能するものであるが、図8に示す姿勢に準じて位置関係や構成等を説明する。
【0039】
スリーブ部材51は、全体がリング状であり外周部分の一部を小径化することによりオイルを貯留する貯留空間51Aが外周部分に形成されている。この貯留空間51Aに油圧ポンプ(図示せず)からオイルを供給する油路1Aがシリンダヘッド1に形成されている。スリーブ部材51の内側の上部側(吸気バルブ10と反対側)に小径部51Bが形成され、この下部側に大径部51Cが形成されている。スリーブ部材51には、受圧作動体52と中継作動体53とオイルを供給する供給油路として貯留空間51Aから小径部51Bに連通する第1給排経路51Dが形成され、貯留空間51Aから大径部51Cに連通する第2給排経路51Eが形成されている。尚、オイルポンプはエンジンEで駆動されるものを想定しているが、電動モータで駆動されるものであっても良い。
【0040】
受圧作動体52は、筒状の外周面を有し、上端位置にロッカアーム40の当接体44の圧力を受ける受圧ローラ52Rが回転自在に支持されている。上部外面52Aより小径となる下部外面52Bを形成し、この下部外面52Bを上下に2分する制御体52Cが下部外面52Bから外方に突出形成されている。内部にはバネ収容空間52Dが形成され、これに圧縮コイル型の中間スプリング54が収容される。この中間スプリング54は受圧作動体52と中継作動体53との間に介装され、受圧作動体52を上方に突出させる付勢力を作用させる。この受圧作動体52の下端には当接部52Eが形成されている。
【0041】
受圧作動体52の上部外面52Aの外径をスリーブ部材51の小径部51Bの内径より僅かに小さい値に設定することで、この受圧作動体52は、バルブ軸芯Rに沿う方向に移動自在に支持される。
【0042】
中継作動体53は、筒状部53Aと下部の底壁部53Bとを備えることで有底筒状に形成され、筒状部53Aの上端(吸気バルブ10と反対側)の内周には受圧作動体52の制御体52Cの入り込みが可能な段状部53Cが形成されている。中継作動体53の底壁部53Bの上面と受圧作動体52の上壁との間に中間スプリング54が配置され、この中継作動体53は、底壁部53Bの底面に吸気バルブ10のバルブステム12の上端が当接する位置に配置されている。
【0043】
中間スプリング54として、バルブスプリング15と比較して小さい付勢力のもの(バネ定数が小さいもの)が使用されている。
【0044】
中継作動体53の筒状部53Aの外径をスリーブ部材51の大径部51Cの内径より僅かに小さい値に設定し、筒状部53Aの内径を受圧作動体52の下部外面52Bの外径より僅かに大きい値に設定している。これにより、中継作動体53はスリーブ部材51と受圧作動体52とに対してバルブ軸芯Rに沿う方向に相対移動自在となる。
【0045】
受圧作動体52の下部外面52Bのうち、制御体52Cより上側の領域を流体空間S1と称しており、制御体52Cより下側の領域を受圧側ダンパ空間S2と称している。尚、受圧側ダンパ空間S2は受圧作動体52が中継作動体53との挿嵌部分に形成される。また、スリーブ部材51の小径部51Bと大径部51Cとの境界の段状面51Sと、中継作動体53の上端外周の上端面53Sとで挟まれる領域に復帰側ダンパ空間S3が形成される。
【0046】
このラッシュアジャスタ50では、受圧ローラ52Rにロッカアーム40の当接体44から圧力が作用しない状態では、中間スプリング54の付勢力により受圧作動体52が上方に突出して受圧ローラ52Rをロッカアーム40の当接体44に当接する状態が維持される。このように突出する際に流体空間S1に対して第1給排経路51Dが連通する位置関係にある場合には、オイルからの圧力も作用する状態で受圧作動体52が上方に突出する。次に、受圧ローラ52Rにロッカアーム40の当接体44から圧力が作用して受圧作動体52が中継作動体53に接近した場合には、受圧作動体52の外周面が第1給排経路51Dを閉塞して流体空間S1に対するオイルの出入りが遮断される。この後、受圧作動体52が中継作動体53に対して更に接近した場合には、復帰側ダンパ空間S3が第2給排経路51Eに連通する状態に切り換わる。このように第1給排経路51Dのオイルの流れを制御する受圧作動体52と、第2給排経路51Eのオイルの流れを制御する中継作動体53とで流体制御部が構成されている。
【0047】
また、このラッシュアジャスタ50は、制御体52Cが受圧側ダンパ空間S2を閉じる方向に変位した場合には、制御体52Cと受圧側ダンパ空間S2の内壁との間に隙間状のオリフィス部55が形成される。受圧作動体52が更に下方に変位した場合には、下端の当接部52Eが中継作動体53に当接する状態に達し、当接体44からの押圧力を直接的に吸気バルブ10のバルブステム12に伝える状態となる。
【0048】
〔ラッシュアジャスタの作動形態〕
ラッシュアジャスタ50は、ロッカアーム40の当接体44から受圧作動体52に押圧力が作用しない非押圧状態では、バルブスプリング15の付勢力によりバルブステム12が上限に達している。この状態で受圧作動体52は中間スプリング54の付勢力により突出しており、第2給排経路51Eはオイルの流れが遮断される遮断状態にある。尚、流体空間S1に対して第1給排経路51Dが連通する位置関係にある場合には、オイルからの圧力も作用する状態で受圧作動体52が上方に突出する。従って、この非押圧状態では、中間スプリング54の付勢力により受圧作動体52がスリーブ部材51から上方に突出して受圧ローラ52Rがロッカアーム40の当接体44に当接する位置関係となる。また、受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53から離間する位置関係となる。
【0049】
図8にはロッカアーム40の揺動により当接体44から受圧作動体52に押圧力が作用して受圧作動体52が下降を開始した直後のラッシュアジャスタ50の断面を示している。このように受圧作動体52が下降を開始した状態では、第1給排経路51Dと第2給排経路51Eとが遮断状態となり、流体空間S1と受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3とが連通状態となる。このように当接体44からの押圧力の作用が継続する状態では、流体空間S1と受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3との容積変化が伴わない状態で受圧作動体52が中間スプリング54の付勢力に抗して中継作動体53に接近する作動が行われる。
【0050】
この作動が行われることにより、図9に示すように受圧作動体52の制御体52Cが受圧側ダンパ空間S2に接近し、受圧側ダンパ空間S2にオイルが封入されると共に、制御体52Cと受圧側ダンパ空間S2の内壁との間にオリフィス部55が形成される。これにより、受圧側ダンパ空間S2の体積が縮小し、この受圧側ダンパ空間S2に封入されたオイルをオリフィス部55から流体空間S1と復帰側ダンパ空間S3との内部に漏出させる状態に達し、受圧作動体52の作動が抑制される。この状態に達することにより受圧作動体52の下降に伴い流体空間S1と受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3とに封入されたオイルを介して押圧力が受圧作動体52に伝えられ、受圧作動体52の下降が行われる。
【0051】
また、受圧側ダンパ空間S2の内部の圧力が上昇することにより受圧作動体52から中継作動体53に下降方向に押圧力が作用し、受圧作動体52の当接部52Eが中継作動体53の底壁部53Bに接近する作動が行われる。この作動により、吸気バルブ10に対して中継作動体53から開放方向への押圧力が作用し、吸気バルブ10は開放方向への作動を開始する。
【0052】
そして、中継作動体53の下降により第2給排経路51Eが復帰側ダンパ空間S3に連通する位置に達することで、図10に示すように受圧側ダンパ空間S2に封入されたオイルの圧力だけが受圧作動体52に作用する状態で受圧作動体52の当接部52Eが中継作動体53の底壁部53Bに当接する状態に達する。これにより受圧側ダンパ空間S2が機能して受圧作動体52の当接時の下降速度が抑制され、当接時の衝撃を吸収する緩衝作動を実現する。当接状態に達することでロッカアーム40の揺動力が受圧作動体52から中継作動体53に伝えられ、吸気バルブ10を開放方向に作動させる。
【0053】
このように受圧作動体52が中継作動体53の底壁部53Bに当接して吸気バルブ10を開放操作した後に、ロッカアーム40の当接体44の当接力が解除され、吸気バルブ10が閉じ方向へ作動を開始する場合には、図11に示すように、流体空間S1と受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3とにオイルが封入される状態に達するが、受圧作動体52の上昇方向へ変化する際には、これらの空間の容積変化を伴わないので、受圧作動体52が中間スプリング54の付勢力により突出作動が行われる。
【0054】
中間スプリング54の付勢力により受圧作動体52が上昇方向に作動することにより、受圧ローラ52Rを当接体44に当接する状態が維持される。また、この受圧作動体52の作動により、図12に示すように受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3とが閉じた状態に達する。この状態ではバルブスプリング15の付勢力が中継作動体53を上昇させる方向に作用するが、スリーブ部材51の段状面51Sと中継作動体53の上端外周の上端面53Sとで挟まれる復帰側ダンパ空間S3にオイルが封入される状態となるため、中継作動体53の上昇速度が抑制される。これにより、バルブスプリング15の付勢力が作用する状況であっても、復帰側ダンパ空間S3からのオイルの流出が抑制されるため中継作動体53の上昇速度が抑制され、吸気バルブ10のバルブヘッド11がバルブシート16に当接する際の衝撃が吸収される。
【0055】
〔制御構成・制御形態〕
図1に示すように、エンジン制御ユニット60は、ペダルセンサ62の検出信号と、角度センサ34の検出信号とからの検出信号とを取得する入力系を備えると共に、アクチュエータAに制御出力する出力系を備えている。このエンジン制御ユニット60は、ペダルセンサ62で取得した検出値に対応して制御部材32の揺動量を目標値に設定するテーブルデータ等を備え、このテーブルデータ等に基づいてアクチュエータAを作動させるプログラムを備えている。
【0056】
このような構成から、アクセルペダル61の操作に基づいて吸気量の制御を行う際に、ペダルセンサ62の検出結果からアクセルペダル61が非操作状態にあることを判定した場合には、エンジン制御ユニット60がペダルセンサ62の検出値に基づいてアイドリング回転に対応した目標値を設定すると共に、この目標値に合致する検出値を角度センサ34で検出するようにアクチュエータAの制御を実行する。
【0057】
アイドリング状態に設定する場合には、図1図5に示す如く偏芯支持部33をmin位置に設定するように目標値が設定され、この制御によりロッカアーム40が変位し、当接体44が受圧ローラ52Rとの当接位置から揺動軸芯Tまでの距離を最短にする。この制御により、図4に示すようにカムシャフト20のカム部22が中間ローラ43に当接してロッカアーム40が揺動した際の吸気バルブ10のリフト量が最小(最小リフト量Lmin)となる。
【0058】
次に、ペダルセンサ62の検出結果からアクセルペダル61が踏み込み操作されたことを判定した場合には、エンジン制御ユニット60がペダルセンサ62の検出値に対応した目標値を設定すると共に、この目標値に合致する検出値を角度センサ34で検出するようにアクチュエータAの制御を実行する。
【0059】
この制御において、例えば、最高速位置まで踏み込み操作された場合には、図6図7に示すように、偏芯支持部33をmax位置に設定するように目標値が設定され、この制御によりロッカアーム40が変位し、当接体44が受圧ローラ52Rとの当接位置から揺動軸芯Tまでの距離を最長にする。この制御により、図7に示すように、カムシャフト20のカム部22が中間ローラ43に当接してロッカアーム40が揺動した際の吸気バルブ10のリフト量が最大(最大リフト量Lmax)となる。
【0060】
〔偏芯支持部の設定に基づく作動形態〕
このエンジンEのバルブ制御機構では、偏芯支持部33をmax位置に設定した場合には、カムシャフト20のカム部22の円周部分(ベースサークル)にロッカアーム40の中間ローラ43が接触する状態で、図6に示す如く受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53に当接する。これに対して、偏芯支持部33をmin位置に設定した場合には、カムシャフト20のカム部22の円周部分(ベースサークル)にロッカアーム40の中間ローラ43が接触する状態で図2に示す如く、受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53から離間する。
【0061】
図13には、カムシャフト20の回転角を横軸にとり、偏芯支持部33の設定位置を変化させた場合のバルブリフト量(吸気バルブ10の開放量)を縦軸にとったグラフを示している。同図に示すように、偏芯支持部33をmax位置に設定した場合には、吸気バルブ10は、カムシャフト20のカム部22のプロフィールを反映した基準軌跡に従う作動を行い、吸気バルブ10は最大リフト量Lmaxだけ開放する。また、偏芯支持部33をmax位置から徐々にmin位置に変更した場合に吸気バルブ10は、基準軌跡を下方にシフトさせた形態の軌跡(上部のみの軌跡)に従う作動を行う。そして、偏芯支持部33をmin位置に設定した場合には、吸気バルブ10は、基準軌跡を大きく下方にシフトさせた形態の規制に従う作動を行い、吸気バルブ10は最小リフト量Lminだけ開放する。
【0062】
つまり、偏芯支持部33をmax位置からmin位置に変化させた場合には、カム部22の凸面(カムノーズ)の近傍の形状を反映する作動を行うため、偏芯支持部33をmin位置の近傍に設定するほど、基準軌跡を下方にシフトさせた軌跡(軌跡の上部領域)に従って吸気バルブ10が作動する形態が現れるのである。
【0063】
従って、偏芯支持部33をmin位置に設定した状態では、カムシャフト20の回転に伴い、カムシャフト20のカム部22の円周部分(ベースサークル)に中間ローラ43が接触するタイミングで図2に示す如く、受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53から離間し、吸気バルブ10は閉じ状態を維持する(図13(II))。また、このタイミングで、ラッシュアジャスタ50は、流体空間S1に供給されるオイルの圧力と、中間スプリング54の付勢力とにより受圧作動体52が上方に突出してロッカアーム40の当接体44に当接する位置関係を作り出す。
【0064】
次に、カム部22の凸部に中間ローラ43が当接して押圧力が受圧作動体52に作用するタイミングでは、図3に示す如く、吸気バルブ10の開放作動が開始される(図13(III))。このように押圧力が作用する際には、ラッシュアジャスタ50は前述したように図8図10に示す一連の作動を行うことにより受圧作動体52の当接部52Eが中継作動体53の底壁部53Bに当接する際の衝撃を低減する。つまり、前述したように流体空間S1と受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3とにオイルを封入する形態で押圧力を中継作動体53から吸気バルブ10に伝える作動を行うと共に、受圧側ダンパ空間S2の体積の縮小に伴い、この受圧側ダンパ空間S2に封入されたオイルをオリフィス部55から漏出させる緩衝作動を行うことで衝撃を低減する。
【0065】
このように衝撃を低減するため吸気バルブ10が開放を開始する際の開放開始曲線Cは、基準曲線と異なり、緩速での開放作動を示す。
【0066】
この後に、当接部52Eが底壁部53Bに当接した状態で受圧作動体52からの押圧力が中継作動体53から吸気バルブ10に伝えられることで、図4に示す如く、吸気バルブ10は最小リフト量Lminだけ開放する(図13(IV))。そして、カム部22の凸部から中間ローラ43に作用する押圧力が解除されるタイミングでは、図5に示す如く、受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53から離間し、吸気バルブ10は閉じ状態に復帰する(図13(V))。また、このように押圧力が解除される場合には、図11に示すように復帰側ダンパ空間S3に封入されるオイルにより吸気バルブ10の閉じ作動時において、バルブヘッド11がバルブシート16に当接する際の衝撃が低減される。
【0067】
このように衝撃を低減するため吸気バルブ10の閉じ作動時の開放終了曲線Dは、基準曲線と異なり、緩速での閉塞作動を示す。
【0068】
これと同様に、偏芯支持部33をmax位置に設定した状態では、カムシャフト20のカム部22の円周部分(ベースサークル)に中間ローラ43が接触するタイミングで図6に示す如く、受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53に当接した状態で吸気バルブ10は閉じ状態を維持する(図13(VI))。また、このタイミングで、ラッシュアジャスタ50は、流体空間S1に供給されるオイルの圧力と、中間スプリング54の付勢力とにより受圧作動体52が上方に突出してロッカアーム40の当接体44に当接する位置関係を作り出す。
【0069】
次に、カムシャフト20の回転に伴い、中間ローラ43が円周部分からカム部22の凸面(カムノーズ)の境界部分に達した時点から中間ローラ43に押圧力を作用させ滑らかに吸気バルブ10の開放作動が開始する。これに続いて、図7に示す如く凸面のカム形状を反映した特性で開放作動が行われる(図13(VII))。
【0070】
このように、偏芯支持部33をmax位置に設定した状態では、開放作動時には受圧作動体52の下端の当接部52Eが中継作動体53に当接する状態を維持しながら円滑な開放作動が行われるためラッシュアジャスタ50での緩衝作動を必要とするものではなく、この緩衝作動は行われない。
【0071】
〔第1実施形態の作用・効果〕
このように本実施形態のバルブ制御機構では、アクセルペダル61の踏み込み操作に基づいてアクチュエータAを制御することによりロッカアーム40の長手方向のシフト量を設定し、吸気バルブ10のリフト量を連続的に変更し、この変更と連動して吸気バルブ10による吸気タイミングの変更も可能となる。特に、スロットルバルブで吸気量の調節を行わずとも吸気バルブ10のリフト量の変更により吸気量の調節が可能であるため、スロットルバルブでの吸気抵抗を小さくし、結果としてポンピングロスを小さくして燃費の向上を実現する。
【0072】
本実施形態の構成では、制御部材32に形成した偏芯支持部33にロッカアーム40の基端部を支持する構成と、制御部材32を回動させるアクチュエータAと、回転角度を検出する角度センサ34を備える程度で吸気バルブ10のリフト量の変更を実現できるので、バルブ制御機構の部品点数を少なくできる。
【0073】
また、ロッカアーム40の長手方向の中間位置に中間ローラ43を備えているので、中間ローラ43に対してカムシャフト20のカム部22が当接する際に、中間ローラ43が回転することで円滑な当接を実現し、摩耗も抑制される。
【0074】
この構成によると、ロッカアーム40の当接体44が高速で受圧作動体52の受圧ローラ52Rに当接する作動形態となるが、この当接時には受圧ローラ52Rが回転し、ラッシュアジャスタ50がロッカアーム40の当接体44の当接時の衝撃を抑制し、衝撃音の低減化も実現する。これと同様に、当接体44が受圧ローラ52Rから離間する方向に作動し吸気バルブ10が閉じ方向に作動する際の衝撃もラッシュアジャスタ50が抑制し、衝撃音の低減も実現する。これによりエンジン音を低減して静粛性を高めることになる。
【0075】
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態の説明においては、第1実施形態と同じ構成の箇所には同じ符号を付し、同様の構成に関する説明は省略する。本実施形態においては、ラッシュアジャスタ50の形状が変更されている点と、ストッパ14がなくバルブスプリング15の付勢力を直接中継作動体53が受ける点とが第1実施形態と異なっており、その他の構造は同じである。具体的には、受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3がラッシュアジャスタ50の径方向に並ぶように配置されており、それに伴い、第1給排経路51D,第2給排経路51Eの配置が変更されている。また、中継作動体53と吸気バルブ10とは溶接その他の方法により一体化されている。
【0076】
〔ラッシュアジャスタ〕
図14に示すように、ラッシュアジャスタ50は、固定系としてのシリンダヘッド1に嵌め込み固定されたスリーブ部材51の内部に受圧作動体52と、中継作動体53とが摺動する状態で相対移動自在に内挿した構成を有している。スリーブ部材51と受圧作動体52と中継作動体53とは吸気バルブ10のバルブステム12のバルブ軸芯Rと同軸芯上に配置され、受圧作動体52と中継作動体53とはバルブ軸芯Rに沿って往復自在に支持される。また、ラッシュアジャスタ50は、前述した空間に対して作動流体としてのオイルの給排を行う油路系を備えている。このラッシュアジャスタ50は姿勢に拘わらず機能するものであるが、図14に示す姿勢に準じて位置関係や構成等を説明する。なお、本実施形態においては、流体空間S1は存在せず、受圧側ダンパ空間S2と、復帰側ダンパ空間S3のみが形成されている。詳細な構成は後述する。
【0077】
スリーブ部材51は、全体がリング状であり外径は一定である。スリーブ部材51の内側は、上部側(吸気バルブ10と反対側)から小径部51B,中径部51F,大径部51Cの順に3段階で内径が大きくなるように形成されている。シリンダヘッド1には、受圧作動体52と中継作動体53に油圧ポンプ(図示せず)からオイルを供給する油路1Aが形成されている。スリーブ部材51には、油路1Aから小径部51Bに連通する第1給排経路51Dが形成され、油路1Aから大径部51Cに連通する第2給排経路51Eが形成されている。尚、オイルポンプはエンジンEで駆動されるものを想定しているが、電動モータで駆動されるものであっても良い。
【0078】
受圧作動体52は外径が2段階で変化しており、大径である上部外面52Aと小径である下部外面52Bが形成されている。受圧作動体52の内側も内径が2段階で変化しており、大径である上部内面52Fと小径である下部内面52Gが形成されている。受圧作動体52の上部外面52Aの外径をスリーブ部材51の小径部51Bの内径より僅かに小さい値に設定することで、この受圧作動体52は、バルブ軸芯Rに沿う方向に移動自在に支持される。
【0079】
中継作動体53は、筒状部53Aと下部の底壁部53Bと内側筒状部53Dとを備えている。筒状部53Aは底壁部53Bに対し吸気バルブ10側とその反対側の両側に突出している。筒状部53Aの内径は、底壁部53Bに対し吸気バルブ10側が大きく、その反対側が小さくなっている。この筒状部53Aの吸気バルブ10と反対側の内面を筒状部内面53Eとする。内側筒状部53Dは筒状部53Aの内径より小さな外径を有し、吸気バルブ10とは反対側にのみ突出している。筒状部53Aの上端(吸気バルブ10と反対側)の外周にはスリーブ部材51の中径部51Fへの嵌り込みが可能な段状部53Cが形成されている。内側筒状部53Dは、受圧作動体52の内側に嵌り込んでいる。中継作動体53の底壁部53Bの上面と受圧作動体52の上壁との間且つ内側筒状部53Dの内側に中間スプリング54が配置され、この中継作動体53は、底壁部53Bの底面に吸気バルブ10のバルブステム12の上端が当接する位置に配置されている。
【0080】
中継作動体53の筒状部53Aの外径をスリーブ部材51の大径部51Cの内径より僅かに小さい値に設定し、内側筒状部53Dの外径を受圧作動体52の下部内面52Gの内径より僅かに小さい値に設定している。これにより、中継作動体53はスリーブ部材51と受圧作動体52とに対してバルブ軸芯Rに沿う方向に相対移動自在となると共に、受圧側ダンパ空間S2に封入されたオイルが受圧作動体52の内側に浸入することを防止している。
【0081】
受圧作動体52の下部外面52Bと中継作動体53の筒状部53Aと内側筒状部53Dで形成される領域を受圧側ダンパ空間S2と称する。また、スリーブ部材51の大径部51Cと中継作動体53の段状部53Cとで挟まれる領域に復帰側ダンパ空間S3が形成される。すなわち、ラッシュアジャスタ50の径方向に対して、内側に受圧側ダンパ空間S2が形成され、外側に復帰側ダンパ空間S3が形成される。このように構成することで、ラッシュアジャスタ50の軸方向の長さを短くして、小型化を図ることができる。また、受圧側ダンパ空間S2は受圧作動体52と中継作動体53とにより形成され、復帰側ダンパ空間S3はスリーブ部材51と中継作動体53とにより形成されている。このように、受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間S3が、それぞれ2つの部品で形成されることにより、2つの部品の寸法管理を行うだけで受圧側ダンパ空間S2と復帰側ダンパ空間のそれぞれの形状,性能を安定させることができ、優れた衝撃吸収機能を有するラッシュアジャスタ50を容易に得ることができる。
【0082】
図14に示すように、このラッシュアジャスタ50では、受圧ローラ52Rにロッカアーム40の当接体44から圧力が作用しない状態では、中間スプリング54の付勢力により受圧作動体52が上方に突出して受圧ローラ52Rをロッカアーム40の当接体44に当接する状態が維持される。このように突出する際に受圧側ダンパ空間S2に対して第1給排経路51Dが連通する位置関係にある場合には、オイルからの圧力も作用する状態で受圧作動体52が上方に突出する。次に、受圧ローラ52Rにロッカアーム40の当接体44から圧力が作用して受圧作動体52が中継作動体53に接近した場合には、受圧作動体52の上部外面52Aが第1給排経路51Dを閉塞していき、受圧側ダンパ空間S2に対するオイルの出入りが制限される。このように第1給排経路51Dのオイルの流れを制御する受圧作動体52と、第2給排経路51Eのオイルの流れを制御する中継作動体53とで流体制御部が構成されている。
【0083】
図15に示すように、さらに、このラッシュアジャスタ50は、受圧作動体52の上部外面52Aが受圧側ダンパ空間S2を閉じる方向に変位した場合には、上部外面52Aと筒状部内面53Eとの間に隙間状のオリフィス部55が形成され、受圧側ダンパ空間S2内のオイルはオリフィス部55を介して第1給排経路51Dと連通するようになる。受圧作動体52が更に下方に変位した場合には、下端の当接部52Eが中継作動体53に当接する状態に達し、当接体44からの押圧力を直接的に吸気バルブ10のバルブステム12に伝える状態となる。
【0084】
〔ラッシュアジャスタの作動形態〕
図14に示すように、ラッシュアジャスタ50は、ロッカアーム40の当接体44から受圧作動体52に押圧力が作用しない非押圧状態では、バルブスプリング15の付勢力によりバルブステム12が上限に達している。この状態で受圧作動体52は中間スプリング54の付勢力により突出しており、第2給排経路51Eはオイルの流れが遮断される遮断状態にある。このとき、受圧側ダンパ空間S2に対しては第1給排経路51Dが連通しているので、オイルからの圧力も作用する状態で受圧作動体52が上方に突出する。従って、この非押圧状態では、中間スプリング54の付勢力により受圧作動体52がスリーブ部材51から上方に突出して受圧ローラ52Rがロッカアーム40の当接体44に当接する位置関係となる。また、受圧作動体52の下端の当接部52Eは中継作動体53から離間する位置関係となる。
【0085】
ロッカアーム40の揺動により当接体44から受圧作動体52に押圧力が作用して受圧作動体52が下降を開始すると、受圧作動体52の上部外面52Aが第1給排経路51Dを閉塞していき、受圧側ダンパ空間S2に対するオイルの出入りが制限される。このように当接体44からの押圧力の作用が継続する状態では、受圧作動体52が中間スプリング54の付勢力に抗して中継作動体53に接近する作動が行われるものの、中継作動体53はバルブスプリング15の付勢力によって付勢され動かない。そのため、受圧側ダンパ空間S2の容積は小さくなる。
【0086】
この作動が行われることにより、受圧作動体52の上部外面52Aが筒状部内面53Eに接近し、受圧側ダンパ空間S2にオイルが封入されると共に、上部外面52Aと筒状部内面53Eとの間にオリフィス部55が形成される。この状態を図15に示す。これにより、受圧側ダンパ空間S2の容積が縮小するが、このとき、受圧側ダンパ空間S2に封入されたオイルはオリフィス部55を通らなければ第1給排経路51Dにオイルを排出できない状態になるので、オイルの排出速度が低下し、受圧作動体52の作動速度が抑制される。ただし、受圧作動体52の下降は継続される。
【0087】
受圧作動体52の下降に伴って受圧側ダンパ空間S2の内部の圧力が上昇するので、受圧作動体52から中継作動体53に下降方向に押圧力が作用する。これにより、吸気バルブ10に対して中継作動体53から開放方向への押圧力が作用し、図16に示すように、吸気バルブ10は開放方向への作動を開始する。
【0088】
その後、図17に示すように、受圧作動体52の当接部52Eが中継作動体53の底壁部53Bに当接する状態に達する。このとき、受圧側ダンパ空間S2が機能して受圧作動体52の下降速度が抑制された状態で底壁部53Bに当接し、当接時の衝撃を吸収する緩衝作動を実現する。当接状態に達することでロッカアーム40の揺動力が受圧作動体52から中継作動体53に伝えられ、吸気バルブ10を開放方向に作動させる。中継作動体53が開放方向へ作動することにより、復帰側ダンパ空間S3と第1給排経路51D及び第2給排経路51Eとが連通し、復帰側ダンパ空間S3にオイルが供給される。このような構成にすることにより、復帰側ダンパ空間S3に安定してオイルを供給することができ、復帰側ダンパ空間S3の衝撃吸収機能を安定して発揮させることができる。
【0089】
このように受圧作動体52が中継作動体53の底壁部53Bに当接して吸気バルブ10を開放操作した後に、ロッカアーム40の当接体44の当接力が解除され、吸気バルブ10が閉じ方向へ作動を開始する場合には、バルブスプリング15の付勢力により、受圧作動体52と中継作動体53とは一体となって上昇する。これにより、復帰側ダンパ空間S3の容積は縮小する。そして、上昇するにつれて、第2給排経路51Eが筒状部53Aの外周面によって閉塞され、第2給排経路51Eから復帰側ダンパ空間S3へのオイルの供給が遮断される。またこのとき、図18に示すように、中継作動体53の段状部53Cとスリーブ部材51の中径部51Fの間には隙間状の復帰オリフィス部56が形成され、復帰側ダンパ空間S3内のオイルは復帰オリフィス部56を介して第1給排経路51Dと連通するようになる。これにより、復帰側ダンパ空間S3に封入されたオイルは復帰オリフィス部56を通らなければ第1給排経路51Dにオイルを排出できない状態になるので、オイルの排出速度の低下に伴い、中継作動体53は作動速度が抑制されて上昇する。中継作動体53の作動速度が抑制されても、受圧作動体52には中間スプリング54による付勢力が依然として作用しているので、受圧作動体52の作動速度は低下せず、受圧作動体52の当接部52Eが中継作動体53の底壁部53Bから離間して、受圧作動体52は単独で突出作動が行われる。
【0090】
中間スプリング54の付勢力により受圧作動体52が上昇方向に作動することにより、受圧ローラ52Rを当接体44に当接する状態が維持される。この状態ではバルブスプリング15の付勢力が中継作動体53を上昇させる方向に作用するが、復帰側ダンパ空間S3にオイルが封入された状態となるため、中継作動体53の上昇速度が抑制されている。これにより、バルブスプリング15の付勢力が作用する状況であっても、復帰側ダンパ空間S3が機能することにより中継作動体53と一体化された吸気バルブ10の上昇速度が抑制された状態でバルブヘッド11がバルブシート16に当接し、当接時の衝撃を吸収する緩衝作動を実現する。
【0091】
3.その他の実施形態
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0092】
(a)受圧作動体52と中継作動体53との挿嵌部に受圧側ダンパ空間S2を形成し、受圧作動体52と中継作動体53とが接近方向に移動した際に、この受圧側ダンパ空間S2を閉じる方向に作動する制御体52Cを、中継作動体53に形成する。
【0093】
(b)オリフィス部55を、制御体52Cに対して孔状やスリット状に形成する。このようにオリフィス部55を形成することにより、オリフィス部55にオイルが流れる断面積を一定にすることも可能となる。
【0094】
(c)ロッカアーム40を用いずに、カムシャフト20のカム部22が受圧作動体52に対して直接的に接触して押圧力が作用するように構成する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、エンジンのバルブのラッシュアジャスタ全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 バルブ(吸気バルブ)
50 ラッシュアジャスタ
51 スリーブ部材
51D 供給油路(第1給排経路)
51E 供給油路(第2給排経路)
52 受圧作動体
52C 制御体
53 中継作動体
54 中間スプリング
55 オリフィス部
S2 受圧側ダンパ空間
S3 復帰側ダンパ空間
図1
図2
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