(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ステップは、前記第1情報を、前記第1情報の各々に対して予め設定された閾値の何れか1つと対応づけて表示するステップであることを特徴とする請求項2記載の情報表示方法。
前記第1情報の少なくとも1つの値が、該第1情報に対して予め設定された前記閾値を超えたときに、警報を発する第3ステップを有することを特徴とする請求項3記載の情報表示方法。
前記第3ステップは、前記第1情報の値が前記閾値を超えた旨を示す警告と、該警告に対する対処とを表示するステップであることを特徴とする請求項4記載の情報表示方法。
前記第3ステップは、前記警報の表示とともに、前記警報を音と振動との少なくとも一方によって発するステップであることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の情報表示方法。
前記ネットワークを介して前記サーバ装置に接続され、前記第1端末装置の識別子を特定することで、前記第1端末装置の表示内容と同一内容を表示可能な第2端末装置を備えることを特徴とする請求項8記載の情報表示システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プラント等の保守作業は、プラント全体を停止させて一挙に行うのではなく、一部のプロセスのみを停止させて行う場合がある。例えば、化学物質の貯蔵タンクの点検や交換は、貯蔵タンクに接続されている配管に設けられたバルブを手作業により閉鎖し、貯蔵タンクに関連する周辺装置での化学反応を抑制し、プロセスを停止させた状態で行われる場合がある。このような保守作業を行う場合には、保守対象の装置(上記の例では、貯蔵タンク)に加えて、保守対象の装置に関連する周辺装置の装置状態を把握する必要がある。
【0007】
ここで、プラント等の保守作業は、プラント等の運転員と現場の作業員とが事前に作業手順を決定して文書化し、この文書化された手順に従って行われる。具体的に、プラント等の運転員は、上述した統合機器管理システムを操作してフィールド機器の状態を観察し、携帯電話機等を用いて現場の作業員と会話による確認(例えば、実際のプロセス値や機器状態の確認)を行いながら決定された手順に従って作業を行う。また、現場の作業員は、近接可能な位置に設置されているフィールド機器の場合には、表示画面の表示内容を目視により確認し、或いは専用端末装置を接続して必要な情報を取得し、近接が困難な位置に設置されているフィールド機器の場合には、プラント等の運転員に依頼してそのフィールド機器のプロセス値等を得る作業を行う。
【0008】
しかしながら、プラント等の運転員は、上述の統合機器管理システムによって保守対象の装置を把握することは可能であるものの、その保守対象の装置に関連する周辺装置については、知識と経験が無ければ把握することが困難である。また、現場の作業員は、仮に保守対象の装置に関連する周辺装置を認識することができたとしても、その周辺装置に設けられたフィールド機器に近接できなければ、表示内容の目視による確認や専用端末装置を用いた情報の取得を行うことができないため、本来の作業(フィールド機器の状態監視)を効率的に行うことはできない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、知識や経験が十分でなくとも保守対象の装置に関連する周辺装置の状態を表示することができ、これにより保守作業を容易に行うことが可能な情報表示方法、情報表示装置、情報表示システム、情報表示プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の情報表示方法は、プラントに設置されたフィールド機器(11)から得られる情報を表示する情報表示方法であって、前記プラントで行われる保守管理作業を特定する作業情報を入力する第1ステップ(S22)と、前記プラントで行われる保守管理作業毎に関連付けられた複数の前記フィールド機器のうち、前記第1ステップで入力された前記作業情報で特定される保守管理作業に関連付けられた複数の前記フィールド機器から得られる情報を表示する第2ステップ(S23)とを有することを特徴としている。
また、本発明の情報表示方法は、記第2ステップが、前記フィールド機器から得られる測定結果を示す第1情報(P1〜P3)と診断結果を示す第2情報(D1)との少なくとも一方を、前記フィールド機器を特定する機器特定情報(H、T)に対応させて表示するステップであることを特徴としている。
また、本発明の情報表示方法は、前記第2ステップが、前記第1情報を、前記第1情報の各々に対して予め設定された閾値(TH1、TH2)の何れか1つと対応づけて表示するステップであることを特徴としている。
また、本発明の情報表示方法は、前記第1情報の少なくとも1つの値が、該第1情報に対して予め設定された前記閾値を超えたときに、警報を発する第3ステップ(S25)を有することを特徴としている。
また、本発明の情報表示方法は、前記第3ステップが、前記第1情報の値が前記閾値を超えた旨を示す警告と、該警告に対する対処とを表示するステップであることを特徴としている。
また、本発明の情報表示方法は、前記第3ステップが、前記警報の表示とともに、前記警報を音と振動との少なくとも一方によって発するステップであることを特徴としている。
本発明の情報表示装置は、プラントに設置されたフィールド機器(11)から得られる情報を表示する情報表示装置(14、15)において、前記プラントで行われる保守管理作業を特定する作業情報を入力する入力部と、前記プラントで行われる保守管理作業毎に関連付けられた複数の前記フィールド機器のうち、前記入力部に入力された前記作業情報で特定される保守管理作業に関連付けられた複数の前記フィールド機器から得られる情報を表示する表示部とを備えることを特徴としている。
本発明の情報表示システムは、プラントに設置されたフィールド機器(11)から得られる情報を表示する情報表示システム(1)において、前記プラントで行われる保守管理作業毎に関連付けられた複数の前記フィールド機器を示すマスタデータを格納するサーバ装置(13)と、ネットワーク(N2、N3)を介して前記サーバ装置に接続され、前記プラントで行われる保守管理作業を特定する作業情報を入力し、前記サーバ装置に格納された前記マスタデータに基づいて、前記作業情報で特定される保守管理作業に関連付けられた複数の前記フィールド機器から得られる情報を表示する第1端末装置(15)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の情報表示システムは、前記ネットワークを介して前記サーバ装置に接続され、前記第1端末装置の識別子を特定することで、前記第1端末装置の表示内容と同一内容を表示可能な第2端末装置(14)を備えることを特徴としている。
本発明の情報表示プログラムは、コンピュータを、プラントに設置されたフィールド機器(11)から得られる情報を表示する情報表示手段として機能させる情報表示プログラムであって、前記コンピュータを、前記プラントで行われる保守管理作業を特定する作業情報を入力する入力手段と、前記プラントで行われる保守管理作業毎に関連付けられた複数の前記フィールド機器のうち、前記入力手段に入力された前記作業情報で特定される保守管理作業に関連付けられた複数の前記フィールド機器から得られる情報を表示する表示手段として機能させることを特徴としている。
本発明の記録媒体は、上記の情報表示プログラムを記録したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、知識や経験が十分でなくとも保守対象の装置に関連する周辺装置の状態を表示することができ、これにより保守作業を容易に行うことが可能であるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による情報表示方法、情報表示装置、情報表示システム、情報表示プログラム、及び記録媒体について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による情報表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す通り、本実施形態の情報表示システム1は、複数のフィールド機器11、フィールド通信サーバ12、データベースサーバ13(サーバ装置)、運転監視端末装置14(第2端末装置)、及び携帯端末装置15(第1端末装置)を備える。かかる構成の情報表示システム1は、保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる情報を運転監視端末装置14及び携帯端末装置15に表示可能としたものである。
【0015】
このような情報表示システム1は、例えばプラントや工場等(以下、これらを総称する場合には、単に「プラント」という)に構築される。ここで、上記のプラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。
【0016】
図1に示す通り、情報表示システム1には、制御ネットワークN1、アプリケーションネットワークN2(ネットワーク)、及び無線ネットワークN3(ネットワーク)が設けられている。制御ネットワークN1は、例えばプラントの現場に敷設された有線のネットワークであり、フィールド機器11及びフィールド通信サーバ12が接続される。アプリケーションネットワークN2は、例えばプラントの監視室(オペレーションルーム)に敷設された有線のネットワークであり、フィールド通信サーバ12、データベースサーバ13、及び運転監視端末装置14が接続される。
【0017】
無線ネットワークN3は、プラントの現場に形成された無線のネットワークであり、携帯端末装置15が接続される。ここで、無線ネットワークN3は、アプリケーションネットワークN2に接続されているため、携帯端末装置15は、無線ネットワークN3を介してアプリケーションネットワークN2に接続されたフィールド通信サーバ12及びデータベースサーバ13にアクセスすることが可能である。
【0018】
フィールド機器11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器である。
【0019】
このようなフィールド機器11は、プラントの現場に複数設置されており、各々がコントローラ(図示省略)によって一元的に管理(制御)される。これらフィールド機器11は、自己の状態を診断する自己診断機能を備えており、自己診断機能による診断結果を示す情報(ステータス)やフィールド機器11で生じた異常を示す情報(アラーム)を不図示のコントローラに送信する。
【0020】
フィールド通信サーバ12は、フィールド機器11を制御する不図示のコントローラとの間で、制御ネットワークN1を介した通信(例えば、半同期型通信)を行い、フィールド機器11の測定結果(プロセス値)や、フィールド機器11の自己診断結果を示す診断情報を収集する。このフィールド通信サーバ12は、例えばプラントの監視室内に設置される。
【0021】
データベースサーバ13は、プラントで行われる保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる情報を、運転監視端末装置14及び携帯端末装置15に表示させるために必要となる各種データを格納する。具体的に、データベースサーバ13は、プラントで行われる保守管理作業毎に関連付けられた複数のフィールド機器11を示すマスタデータ、及び各フィールド機器11のプロセス値や診断情報を格納する。尚、詳細は後述するが、上記のマスタデータは運転監視端末装置14からの指示に応じて作成され、上記のプロセス値や診断情報はフィールド通信サーバ12から取得される。このデータベースサーバ13も、フィールド通信サーバ12と同様に、例えばプラントの監視室内に設置される。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態で用いられるマスタデータの一例を示す図である。
図2に示す通り、マスタデータは、「作業名称」対して、「タグ」、「閾値」、及び「メッセージ」が対応づけられたデータである。上記「作業名称」は、プラントで行われる保守管理作業の名称であり、運転監視端末装置14を操作する者(本実施形態では、プラントの運転員Mであるとする)によって設定される。
【0023】
尚、この「作業名称」は、任意の名称を設定することが可能であるが、設定された「作業名称」を参照した者(現場の作業員W、或いはプラントの運転員M)が、保守管理作業の内容を直ちに理解できる名称にすることが望ましい。
図2に示す例では、“ボイラ交換作業”、“タンク洗浄作業”、“タンク交換作業”、“冷媒槽切替作業”なる作業名称が設定されている。
【0024】
上記「タグ」は、フィールド機器11の識別を容易にするためにフィールド機器11の各々に設定される識別情報である。この「タグ」が「作業名称」と対応づけられることによって、「タグ」は、プラントで行われる保守管理作業に関連するフィールド機器11を示す情報を意味することとなる。
図2に示す例では、“ボイラ交換作業”なる作業名称に対して、“PT1001”、“LIC511”、“PTL211”なるタグが対応づけられている。
【0025】
上記「閾値」は、フィールド機器11から得られるプロセス値が異常であるか否かを判定するために設定される値である。フィールド機器11から得られるプロセス値は、正常な状態では、一定の範囲内に収まっていることが殆どであるため、上記「閾値」は、上限閾値と下限閾値とが設定される。
図2に示す例では、“PT1001”なるタグが設定されたフィールド機器に対して、上限閾値“TH11”及び下限閾値“TH12”が対応づけられている。
【0026】
上記「メッセージ」は、フィールド機器11から得られるプロセス値が、対応づけられている閾値を超えた場合に、現場の作業員Wやプラントの運転員Mに対して注意を喚起するために用意された文字列である。この「メッセージ」には、現在の現状を示すために何れのプロセス値が閾値を超えたのかを示す警告と、将来の事故の発生を防止するために警告に対して取るべき対処とが含まれることが望ましい。
図2に示す例では、“ボイラ交換作業”なる作業名称に対して、“冷媒槽の温度が閾値を超えました”なる警告と“ボイラを緊急停止して退避して下さい”なる対処とからなるメッセージが対応づけられている。
【0027】
また、フィールド通信サーバ12から取得されたプロセス値や診断情報も、マスタデータに含まれる上記の「作業名称」に対応づけられて格納される。例えば、
図2に示す例において、“ボイラ交換作業”なる作業名称に対応付けられている“PT1001”、“LIC511”、“PTL211”なるタグが設定されているフィールド機器から得られたプロセス値及び診断情報は、これらが得られた時刻とともに、“ボイラ交換作業”なる作業名称に対応付けられてデータベースサーバ13に格納される。
【0028】
運転監視端末装置14は、プラントの運転員Mによって操作され、プラントの運転状態を監視するために設けられた端末装置である。具体的に、運転監視端末装置14は、フィールド通信サーバ12で収集されたフィールド機器11のプロセス値や診断情報を取得し、プラントの運転員Mの指示に応じてプラント全体又は一部の運転状況を表示する。また、運転監視端末装置14は、プラントの運転員Mの指示に応じて不図示のコントローラを制御することにより、プラントの運転状況を管理する。
【0029】
また、運転監視端末装置14は、プラントの運転員Mの指示に応じて、前述したマスタデータの作成を行い、或いは既に作成されているマスタデータに基づいてプラントで行われる保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる情報を表示する。尚、詳細は後述するが、運転監視端末装置14は、プラントの運転員Mの指示によって携帯端末装置15に割り当てられているID(識別子)が特定されることにより、現場の作業員Wが用いている携帯端末装置15の表示内容と同一内容を表示させることも可能である。この、運転監視端末装置14は、例えばキーボードやマウス等の入力装置(入力部、入力手段)、液晶表示装置等の表示装置(表示部、表示手段)等を備えるデスクトップ型のコンピュータによって実現される。
【0030】
携帯端末装置15は、現場の作業員Wによって操作され、フィールド機器11のプロセス値や診断情報を得るために用いられる端末装置である。この携帯端末装置15は、無線ネットワークN3を介してアプリケーションネットワークN2に接続されたフィールド通信サーバ12及びデータベースサーバ13にアクセス可能である。このため。携帯端末装置15は、運転監視端末装置14と同様に、現場の作業員Wの指示に応じて、マスタデータに基づいてプラントで行われる保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる情報を表示可能である。この携帯端末装置15は、例えばキーボードやマウス等の入力装置(入力部、入力手段)、液晶表示装置等の表示装置(表示部、表示手段)等を備えるノート型のコンピュータ、タッチパネル(入力部、入力手段、表示部、表示手段)を備えるタブレット型のコンピュータ、或いはPDA(Personal Digital Assistant)等によって実現される。
【0031】
ここで、運転監視端末装置14における上記の機能(マスタデータ作成機能、マスタデータに基づいた表示機能)、及び携帯端末装置15における上記の機能(マスタデータに基づいた表示機能)は、各々の機能を実現するためのプログラムが、コンピュータに設けられたCPU(中央処理装置)で実行されることによって実現される。つまり、運転監視端末装置14及び携帯端末装置15における上記の機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって実現される。
【0032】
ここで、上記の機能を実現するプログラムは、例えばCD−ROM又はDVD(登録商標)−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で配布され、或いはインターネット等の外部のネットワークを介して配布される。上記の機能は、記録媒体に記録されたプログラムを読み出してインストールすることにより、或いは外部ネットワークを介してダウンロードされたプログラムをインストールすることによりソフトウェア的に実現される。
【0033】
次に、プラントの運転員Mによって操作される運転監視端末装置14、及び現場の作業員Wによって操作される携帯端末装置15に表示される表示画面について説明する。
図3は、本発明の一実施形態において運転監視端末装置及び携帯端末装置に表示される表示画面の一例を示す図である。プラントの運転員M及び現場の作業員Wの指示によって、運転監視端末装置14及び携帯端末装置15には、
図3に示す周辺プロセス監視画面WD1がそれぞれ表示される。この周辺プロセス監視画面WD1は、プラントで行われる保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる情報を表示可能な画面である。
【0034】
尚、プラントの運転員M及び現場の作業員Wが、前述したマスタデータの同じ作業名称を指示した場合には、運転監視端末装置14に表示される周辺プロセス監視画面WD1と、携帯端末装置15に表示される周辺プロセス監視画面WD1とは同じ表示内容になる。これに対し、異なる作業名称を指示した場合には、運転監視端末装置14に表示される周辺プロセス監視画面WD1と、携帯端末装置15に表示される周辺プロセス監視画面WD1とは異なる表示内容になる。
【0035】
図3に示す通り、周辺プロセス監視画面WD1には、プロセス値表示領域R1、診断情報表示領域R2、メッセージ表示領域R3、マスタデータ呼び出しボタンB1、及び開始ボタンB2が設けられている。プロセス値表示領域R1は、プラントで行われる保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られるプロセス値P1〜P3(第1情報)が、凡例Hとともに表示される領域である。つまり、プロセス値表示領域R1には、フィールド機器11から得られるプロセス値P1〜P3が、フィールド機器11を特定する機器特定情報である凡例Hに対応した状態で表示される。
【0036】
また、プロセス値表示領域R1には、プロセス値P1〜P3に対して予め設定された閾値の何れか1つ(上限閾値TH1及び下限閾値TH2)が、プロセス値P1〜P3に対応して表示される。尚、プロセス値表示領域R1に表示される上限閾値TH1及び下限閾値TH2は、カーソルCを用いてプロセス値表示領域R1に表示されているプロセス値P1〜P3の何れか1つを特定する操作を行うことにより、プロセス値P1に対して設定されたもの、プロセス値P2に対して設定されたもの、又はプロセス値P3に対して設定されたものを表示させることが可能である。
【0037】
診断情報表示領域R2は、プラントで行われる保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる診断情報D1(第2情報)が、タグT(伝送器タグ)に対応づけて表示される領域である。つまり、診断情報表示領域R2には、フィールド機器11から得られる診断情報D1が、フィールド機器11を特定する機器特定情報であるタグTに対応した状態で表示される。尚、
図3に示す例では、診断情報を直感的に理解できるよう、診断情報が、診断情報の内容に応じたアイコンと共に表示されている。
【0038】
メッセージ表示領域R3は、プロセス値P1〜P3の何れかが、対応づけられている閾値を超えた場合に、現場の作業員Wやプラントの運転員Mに対して注意を喚起するためのメッセージ(
図2参照)が表示される領域である。
図3に示す例では、“冷媒槽の温度が閾値を超えました”なる警告と“ボイラを緊急停止して退避して下さい”なる対処とからなるメッセージが表示されている。尚、
図3に示す例では、上記のメッセージが、注意喚起のアイコン(エクスクラメーションマークが円に囲われているマーク)とともに表示されている。
【0039】
マスタデータ呼び出しボタンB1は、データベースサーバ13に格納されているマスタデータを呼び出す(読み出す)ためのボタンである。カーソルCを用いてマスタデータ呼び出しボタンB1を押下する操作を行うことにより、マスタデータに含まれる「作業名称」のリストL1(
図4参照)が一覧表示される。このリストから1つの「作業名称」を選択し、開始ボタンB2を押下する操作を行えば、周辺プロセス監視画面WD1の表示内容を変えることができる。尚、開始ボタンB2は、周辺プロセス監視画面WD1に対する表示を開始させ、或いは周辺プロセス監視画面WD1の表示内容の切り替えを指示するボタンである。
【0040】
尚、詳細は後述するが、運転監視端末装置14では、周辺プロセス監視画面WD1を表示させるプログラムを、「データ作成モード」で起動させ、或いは「モニタモード」で起動させることができる。「データ作成モード」は、周辺プロセス監視画面WD1に表示させるプロセス値及び閾値等を設定してマスタデータを作成するモードである。これに対し、「モニタモード」は、既に作成されたマスタデータを用いてプロセス値等の参照を行うモードである。携帯端末装置15では、周辺プロセス監視画面WD1を表示させるプログラムを、「モニタモード」のみで起動させることができ、「データ作成モード」で起動させることはできない。
【0041】
次に、上記構成における情報表示システム1の動作について説明する。以下では、理解を容易にするために、まずマスタデータを作成する際の動作(マスタデータ作成時動作)について説明し、次に保守管理作業時に複数のフィールド機器11から得られる情報を表示する際の動作(情報表示時動作)について説明する。
【0042】
〈マスタデータ作成時動作〉
マスタデータを作成する場合には、まずプラントの運転員Mが、運転監視端末装置14を操作し、周辺プロセス監視画面WD1を表示させるプログラムを「データ作成モード」で起動させる。また、プラントの運転員Mは、運転監視端末装置14を操作し、フィールド機器11を選択する画面である伝送器選択画面WD2を運転監視端末装置14に表示させる。これにより、運転監視端末装置14には、
図4に示す通り、周辺プロセス監視画面WD1と伝送器選択画面WD2とが表示される。
図4は、マスタデータを作成する際の運転監視端末装置の表示内容の一例を示す図である。
【0043】
ここで、プラントの運転員Mは、フィールド機器11の選択を容易にするために、運転監視端末装置14を操作して、
図4に示す通り、保守管理作業が行われる装置(保守対象装置)、保守対象装置に関連する周辺装置、並びに保守対象装置及び周辺装置に設けられたフィールド機器11が伝送器選択画面WD2に表示されている状態とする。このような伝送器選択画面WD2は、データベースサーバ13に予め格納されているプラント情報(プラントに設けられた各種の装置やフィールド機器11の配置や接続関係を示す情報)を用いて作成される。尚、
図4に示す例では、保守対象装置が、例えば「ボイラ」であり、周辺装置が、例えば「蒸留槽」や「冷媒槽」である。
【0044】
図4に示す通り、周辺プロセス監視画面WD1と伝送器選択画面WD2とが運転監視端末装置14に表示された状態で、マスタデータの作成が開始される。
図5は、本発明の一実施形態におけるマスタデータの作成処理を示すフローチャートである。マスタデータの作成処理が開始されると、まずプラントの運転員Mの操作に応じて、プラントで行われる保守管理作業の作業名称を入力する処理が運転監視端末装置14で行われる(ステップS11)。尚、ここでは理解を容易にするために、“ボイラ交換作業”なる作業名称が入力されたとする。
【0045】
次に、プラントの運転員Mの操作に応じて、保守管理作業に関連するフィールド機器11を選択する処理が運転監視端末装置14で行われる(ステップS12)。具体的には、
図4に示す通り、カーソルCを用いてデバイスリストL2(伝送器選択画面WD2に表示されているフィールド機器11のタグが一覧表示されたリスト)に表示されたタグの1つを特定し、特定したタグを周辺プロセス監視画面WD1にドラッグ・アンド・ドロップする操作がプラントの運転員Mによってなされたフィールド機器11を選択する処理が行われる。尚、
図4においては、“PT1001”なるタグが設定されているフィールド機器11がドラッグ・アンド・ドロップされた状態を図示している。
【0046】
ここで、上記のフィールド機器11を選択する処理は、プラントの運転員Mの操作に応じて複数回行われる。具体的には、プラントの運転員Mが、“ボイラ交換作業”なる保守管理作業に関連付けたいフィールド機器11の数の分だけ行われる。尚、
図4に示す例では、“PT1001”、“LIC511”、“PTL211”なるタグが設定されている3台のフィールド機器11を選択する処理が行われた状態を図示している。フィールド機器11の選択が行われると、選択されたフィールド機器11から得られたプロセス値P1〜P3及び診断情報D1が周辺プロセス監視画面WD1のプロセス値表示領域R1及び診断情報表示領域R2にそれぞれ表示される。
【0047】
続いて、選択したフィールド機器11から得られるプロセス値P1〜P3に対する閾値を設定する処理が運転監視端末装置14で行われる(ステップS13)。具体的には、カーソルCを用いて周辺プロセス監視画面WD1のプロセス値表示領域R1に表示されたプロセス値P1〜P3又は凡例Hを順次特定し、特定したプロセス値の上限閾値TH1及び下限閾値TH2を順次設定するプラントの運転員Mの操作に応じて、プロセス値P1〜P3に対する閾値が設定される。ここで、閾値の設定は、プロセス値表示領域R1に表示されたプロセス値P1〜P3の大きさに応じて自動的に表示される目盛りGを目安として行われる。
【0048】
次いで、選択したフィールド機器11のプロセス値P1〜P3が設定した閾値を超えた場合に、周辺プロセス監視画面WD1に表示するメッセージを入力する処理が運転監視端末装置14で行われる(ステップS14)。例えば、カーソルCを用いて周辺プロセス監視画面WD1のメッセージ表示領域R3を特定し、特定したメッセージ表示領域R3にメッセージを入力するプラントの運転員Mの操作に応じて、メッセージが入力される。
【0049】
以上の処理が終了し、運転監視端末装置14に表示されている周辺プロセス監視画面WD1を閉じる操作をプラントの運転員Mが行うと、マスタデータの更新を確認する確認画面が表示される。この確認画面で更新を指示すると、マスタデータが作成されてデータベースサーバ13に登録される(ステップS15)。具体的には、ステップS11で入力された「作業名称」に対し、ステップS12で選択されたフィールド機器11の「タグ」、ステップS13で設定された「閾値」、及びステップS14で入力された「メッセージ」が対応付けられたマスタデータが生成されて、データベースサーバ13に格納される。
【0050】
尚、データベースサーバ13に既にマスタデータが登録されている場合には、周辺プロセス監視画面WD1に設けられたマスタデータ呼び出しボタンB1を押下する操作を行うことにより、マスタデータに含まれる「作業名称」のリストL1が表示される。カーソルCを用いてリストL1に表示された「作業名称」を1つ選択すれば、その作業名称に関連付けられている「タグ」、「閾値」、及び「メッセージ」を編集することができる。
【0051】
〈情報表示時動作〉
プラントで保守管理作業を行う際に、保守管理作業に関連する複数のフィールド機器11から得られる情報を表示する場合には、プラントの運転員Mが、運転監視端末装置14を操作して周辺プロセス監視画面WD1を表示させるプログラムを「モニタモード」で起動させ、或いは、現場の作業員Wが、携帯端末装置15を操作して周辺プロセス監視画面WD1を表示させるプログラムを「モニタモード」で起動させる。尚、以下では説明を簡単にするために、現場の作業員Wが操作する携帯端末装置15に情報を表示する場合を例に挙げて説明する。
【0052】
上記のプログラムが起動されると、現場の作業員Wが操作する携帯端末装置15には、周辺プロセス監視画面WD1が表示される。但し、ここで表示される周辺プロセス監視画面WD1のプロセス値表示領域R1、診断情報表示領域R2、及びメッセージ表示領域R3に何も表示されてはいない。このような周辺プロセス監視画面WD1が表示された後に、
図6に示すフローチャートの処理が行われる。
図6は、本発明の一実施形態における情報の表示処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、現場の作業員Wが、カーソルCを用いて周辺プロセス監視画面WD1に設けられたマスタデータ呼び出しボタンB1を押下する操作を行うと、データベースサーバ13に格納されたマスタデータが呼び出される。そして、マスタデータに含まれる「作業名称」のリストL1(
図4参照)を表示する処理が携帯端末装置15で行われる(ステップS21)。
【0054】
リストL1が表示されている状態で、現場の作業員Wが、カーソルCを用いてリストL1中の作業名称を1つ選択した上で、開始ボタンB2を押下する操作を行うと、選択された作業名称(作業情報)が携帯端末装置15に入力される(ステップS22:第1ステップ)。すると、入力された作業名称に対応づけられた「タグ」、「閾値」、及び「メッセージ」がマスタデータから読み出されるとともに、入力された作業名称に対応づけられたプロセス値や診断情報がデータベースサーバ13から読み出される。
【0055】
これにより、携帯端末装置15には、例えば
図3に示す周辺プロセス監視画面WD1が表示される(ステップS23:第2ステップ)。つまり、上記のリストL1から“ボイラ交換作業”が選択されたとすると、
図3に示す通り、PT1001”、“LIC511”、“PTL211”なるタグが設定されているフィールド機器11から得られるプロセス値P1〜P3が、凡例Hとともにプロセス値表示領域R1に表示され、これらのフィールド機器11から得られる診断情報D1がタグTに対応した状態で診断情報表示領域R2に表示される。
【0056】
このような周辺プロセス監視画面WD1を参照することで、現場の作業員Wは、プラントで行っている保守管理作業について、どの程度の範囲の周辺装置やフィールド機器11が関連しているのかを知ることができる。また、現場の作業員Wは、プラントで行っている保守管理作業に関連するフィールド機器11から得られる情報(プロセス値P1〜P3及び診断情報D1)に基づいて、そのフィールド機器11が設置された周辺装置の状態等を知ることもできる。
【0057】
図3に例示する周辺プロセス監視画面WD1が表示されている間、プロセス値表示領域R1に表示されたプロセス値P1〜P3の何れかが、対応づけられている閾値を超えたか否かを判断する処理が携帯端末装置15で行われる(ステップS24)。仮に、プロセス値P1〜P3の何れかが、対応づけられている閾値を超えたと判断されると(判断結果が「YES」になると)、警報を発する処理が携帯端末装置15で行われる(ステップS25:第3ステップ)。
【0058】
例えば、
図3に示す通り、“冷媒槽の温度が閾値を超えました”なる警告と“ボイラを緊急停止して退避して下さい”なる対処とからなるメッセージが、周辺プロセス監視画面WD1のメッセージ表示領域R3に表示する処理が行われる。ここで、現場の作業員Wは、作業のために両手が塞がっていることが多いため、上記のメッセージの表示とともに、警報を音(ブザー)や振動(バイブレーション)によって発するようにしても良い。尚、上記メッセージとともに警報の種類や重要度を示す情報をマスタデータに設定可能とし、警報を発する場合には、警報の種類や重要度に応じて音や振動のパターンを変えるにようしても良い。
【0059】
現場の作業員Wが携帯端末装置15を用いて作業を行っている最中に、プラントの運転員Mが、運転監視端末装置14を操作して携帯端末装置15のリスト表示を指示すると、
図7に示す端末リストL3が運転監視端末装置14に表示される。
図7は、本発明の一実施形態において運転監視端末装置に表示される端末リストの一例を示す図である。運転監視端末装置14及び携帯端末装置15は、
図1に示す通り、アプリケーションネットワークN2及び無線ネットワークN3を介して通信可能である。このため、運転監視端末装置14は、無線ネットワークN3に接続されている携帯端末装置15を把握でき、
図7に示す端末リストL3を表示することができる。
【0060】
プラントの運転員Mが、
図7に示すカーソルCを用いて端末リストL3に表示されたID(例えば、“00888876”なるID)を選択する操作を行うと、選択されたIDが付されている携帯端末装置15に表示されている周辺プロセス監視画面WD1と同じ周辺プロセス監視画面WD1が運転監視端末装置14に表示される。尚、かかる表示がなされているときに、選択されたIDが付されている携帯端末装置15で警報が発せられると、運転監視端末装置14でも同様の警報(メッセージの表示、音や振動)が発せられる。
【0061】
以上の通り、本実施形態では、プラントで行われる保守管理作業毎に関連付けられた複数のフィールド機器を示すマスタデータをデータベースサーバ13に格納しておき、プラントで行われる保守管理作業を特定する作業名称が入力された場合に、マスタデータに基づいて、入力された作業名称で特定される保守管理作業に関連付けられた複数のフィールド機器11から得られるプロセス値P1〜P3や診断情報D1を表示するようにしている。このため、知識や経験が十分でなくとも保守対象の装置に関連する周辺装置の状態を表示することができる。これにより、保守作業を容易に行うことが可能である。
【0062】
また、本実施形態では、上記のプロセス値P1〜P3とともに、上限閾値TH1及び下限閾値TH2を表示するようにしている。このため、知識や経験が十分でなくとも保守対象の装置に関連する周辺装置の状態が正常範囲であるか否かを即座に判断することができる。更に、本実施形態では、プロセス値P1〜P3が閾値(上限閾値TH1又は下限閾値TH2)を超えた場合に、メッセージの表示等を行うようにしている。このため、異常が生じた場合に、現場の作業員Wは、迅速に危険回避行動をとることができる。
【0063】
また、本実施形態では、現場の作業員Wが操作している携帯端末装置15の表示内容と同じものを、プラントの運転員Mが操作する運転監視端末装置14に表示させることができるため、プラントの運転員Mが、現場の異常を発見して迅速な判断及び行動をとることも可能である。また、プラントの運転員Mは、運転監視端末装置14の表示内容を参照すれば、現場の異常等の状況を容易に把握することができるため、現場の作業員Wが携帯電話機を用いて現場の状況をプラントの運転員Mに説明するといった煩雑な作業を省略(或いは、低減)することができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態による情報表示方法、情報表示装置、情報表示システム、情報表示プログラム、及び記録媒体について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、アプリケーションネットワークN2と無線ネットワークN3とをインターネット経由で接続することで、プラントの監視室と現場とが数キロに亘って点在する場合であっても対応することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、プロセス値P1〜P3が閾値を超えた場合に、メッセージの表示とともに、警報を音や振動によって発する例について説明した。しかしながら、携帯端末装置15が小型の場合には、メッセージの表示を行わずに、警報を音や振動のみによって発するようにしても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、フィールド通信サーバ12、データベースサーバ13、及び運転監視端末装置14が、アプリケーションネットワークN2を介して接続された形態について説明した。しかしながら、これらフィールド通信サーバ12、データベースサーバ13、及び運転監視端末装置14は、一体化されていても良い。