(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の電解液は、ニトリル化合物と第4級アンモニウム塩とを含む。
【0021】
ニトリル化合物としては、例えば、下記式(I):
R
1−(CN)
n (I)
(式中、R
1は炭素数が1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキレン基であり、nは1又は2の整数である。)で示されるニトリル化合物を挙げることができる。
【0022】
上記式(I)において、nが1の場合、R
1は炭素数が1〜10のアルキル基であり、nが2の場合、R
1は炭素数1〜10のアルキレン基である。
【0023】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数が1〜10のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0024】
また、アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等の炭素原子数1〜10のアルキレン基が挙げられ、これらの中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましい。
【0025】
ニトリル化合物の具体例としては、例えば、アセトニトリル(CH
3−CN)、プロピオニトリル(CH
3−CH
2−CN)、グルタロニトリル(NC−(CH
2)
3−CN)等を挙げることができ、これらの中でも、アセトニトリル、プロピオニトリルが低抵抗の点から好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
【0026】
本発明の電解液におけるニトリル化合物の割合は、上記電解液を構成する溶媒中、50〜100体積%であることが好ましく、60〜100体積%であることがより好ましく、70〜100体積%が更に好ましい。
【0027】
第4級アンモニウム塩としては、以下のものが例示できる。
【0028】
(IIA)テトラアルキル4級アンモニウム塩
式(IIA):
【0030】
(式中、R
1a、R
2a、R
3a及びR
4aは、同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜6のエーテル結合を含んでいてもよいアルキル基;X
−はアニオン)で示されるテトラアルキル4級アンモニウム塩が好ましく例示できる。また、このアンモニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0031】
具体例としては、
式(IIA−1):
【0033】
(式中、R
1a、R
2a及びX
−は、式(IIA)と同じ;x及びyは同じか又は異なり0〜4の整数で、かつx+y=4)で示されるテトラアルキル4級アンモニウム塩、
式(IIA−2):
【0034】
【化3】
(式中、R
5aは炭素数1〜6のアルキル基;R
6aは炭素数1〜6の2価の炭化水素基;R
7aは炭素数1〜4のアルキル基;zは1又は2;X
−はアニオン)で示されるアルキルエーテル基含有トリアルキルアンモニウム塩、等が挙げられる。アルキルエーテル基を導入することにより、粘性の低下が図れる。
【0035】
アニオンX
−としては、無機アニオンでも有機アニオンでもよい。無機アニオンとしては、例えばAlCl
4−、BF
4−、PF
6−、AsF
6−、TaF
6−、I
−、SbF
6−が挙げられる。有機アニオンとしては、例えばCF
3COO
−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−等が挙げられる。
【0036】
これらのうち、耐酸化性やイオン解離性が良好な点から、BF
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−が好ましい。
【0037】
テトラアルキル4級アンモニウム塩の好適な具体例としては、Et
4NBF
4、Et
4NClO
4、Et
4NPF
6、Et
4NAsF
6、Et
4NSbF
6、Et
4NCF
3SO
3、Et
4N(CF
3SO
2)
2N、Et
4NC
4F
9SO
3、Et
3MeNBF
4、Et
3MeNClO
4、Et
3MeNPF
6、Et
3MeNAsF
6、Et
3MeNSbF
6、Et
3MeNCF
3SO
3、Et
3MeN(CF
3SO
2)
2N、Et
3MeNC
4F
9SO
3、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム塩等が挙げられ、特に、Et
4NBF
4、Et
4NPF
6、Et
4NSbF
6、Et
4NAsF
6、Et
3MeNBF
4、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム塩等が好ましい。
【0038】
(IIB)スピロビピリジニウム塩
式(IIB):
【0040】
(式中、R
8a及びR
9aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜4のアルキル基;X
−はアニオン;n1は0〜5の整数;n2は0〜5の整数)で示されるスピロビピリジニウム塩が好ましく例示できる。また、このスピロビピリジニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0041】
アニオンX
−の好ましい具体例は、(IIA)と同じである。
【0045】
このスピロビピリジニウム塩は溶解性、耐酸化性、イオン伝導性の点で優れている。
【0046】
(IIC)イミダゾリウム塩
式(IIC):
【0048】
(式中、R
10a及びR
11aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜6のアルキル基;X
−はアニオン)で示されるイミダゾリウム塩が好ましく例示できる。また、このイミダゾリウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0049】
アニオンX
−の好ましい具体例は、(IIA)と同じである。
【0053】
このイミダゾリウム塩は粘性が低く、また溶解性が良好な点で優れている。
【0054】
(IID)N−アルキルピリジニウム塩
式(IID):
【0056】
(式中、R
12aは炭素数1〜6のアルキル基;X
−はアニオン)で示されるN−アルキルピリジニウム塩が好ましく例示できる。また、このN−アルキルピリジニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0057】
アニオンX
−の好ましい具体例は、(IIA)と同じである。
【0061】
このN−アルキルピリジニウム塩は粘性が低く、また溶解性が良好な点で優れている。
【0062】
(IIE)N,N−ジアルキルピロリジニウム塩
式(IIE):
【0064】
(式中、R
13a及びR
14aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜6のアルキル基;X
−はアニオン)で示されるN,N−ジアルキルピロリジニウム塩が好ましく例示できる。また、このN,N−ジアルキルピロリジニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0065】
アニオンX
−の好ましい具体例は、(IIA)と同じである。
【0070】
このN,N−ジアルキルピロリジニウム塩は粘性が低く、また溶解性が良好な点で優れている。
【0071】
これらのアンモニウム塩のうち、(IIA)、(IIB)及び(IIC)が溶解性、耐酸化性、イオン伝導性が良好な点で好ましく、更には、
【0073】
(式中、Meはメチル基;Etはエチル基;X
−、x、yは式(IIA−1)と同じ)が好ましい。
【0074】
第4級アンモニウム塩としては、上述した中でも、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム又はテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム又はテトラフルオロホウ酸スピロビピリジニウムであることが好ましい。
【0075】
第4級アンモニウム塩の濃度は要求される電流密度、用途、第4級アンモニウム塩の種類等によって異なるが、0.1〜2.5モル/リットルであることが好ましい。より好ましくは0.5〜2.5モル/リットルであり、更に好ましくは1.0〜2.5モル/リットルである。
【0076】
本発明の電解液においては、カリウムイオンが10ppm未満であり、水分が20ppm以下であり、第3級アミン類が30ppm以下であり、複素環式化合物が30ppm以下であり、アンモニアが20ppm以下である。いずれの不純物も、含有量が上記範囲外であると、得られる電気化学デバイスにおいて、高電圧下で抵抗が上昇しやすくなったり容量維持率が低下したりするおそれがある。
【0077】
上記カリウムイオンは、主に、ニトリル化合物の脱水工程でゼオライト等の乾燥剤から溶出することが、本発明者らの研究により見出された。上記電解液におけるカリウムイオンの含有量は、5ppm未満が好ましく、3ppm未満がより好ましく、1ppm未満が特に好ましい。
カリウムイオンの含有量は、原子吸光光度法及びICPにより測定することができる。本明細書においては、原子吸光光度法による測定値を採用する。
【0078】
上記水分は、主に、ニトリル化合物及び第4級アンモニウム塩に残留する水分に由来する。上記電解液における水分の含有量は、10ppm以下が好ましく、6ppm以下が特に好ましい。
水分の含有量は、カールフィッシャー法により測定することができる。
【0079】
上記第3級アミン類は、主に、上記第4級アンモニウム塩の未反応原料に由来する。上記第4級アンモニウム塩は、炭酸ジエステルによる第3級アミン類の第4級化反応により製造されるが、この際、精製が不充分であると、未反応の第3級アミン類が残留することがある。
【0080】
第3級アミン類としては、トリメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール等を挙げることができる。
また、本明細書では、第3級アミン類が電解液中でプロトン酸と結合して形成される第3級アミン塩類も、第3級アミン類に含むものとする。
【0081】
上記電解液における第3級アミン類の含有量は、20ppm未満が好ましく、15ppm未満がより好ましく、10ppm未満が特に好ましい。
第3級アミン類の含有量は、液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法等により測定することができる。本明細書においては、イオンクロマトグラフィーによる測定値を採用する。
【0082】
上記複素環式化合物及びアンモニアは、上記ニトリル化合物に不純物として含まれ得る化合物である。
【0083】
複素環式化合物としては、例えばオキサゾールを挙げることができる。
【0084】
上記電解液における複素環式化合物の含有量は、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
複素環式化合物の含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0085】
上記電解液におけるアンモニアの含有量は、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
アンモニアの含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0086】
本発明の電解液は、得られる電気化学デバイスがより高電圧下(例えば3V以上)での耐久性に優れたものとなる点で、更に、スルホラン化合物を含むことが好ましい。
【0087】
上記スルホラン化合物としては、非フッ素スルホラン化合物でも含フッ素スルホラン化合物であってもよい。
【0088】
非フッ素スルホラン化合物としては、スルホランのほか、例えば、
【0090】
(式中、R
2は炭素数1〜4のアルキル基であり、mは1又は2の整数である。)で示される非フッ素系スルホラン誘導体等が挙げられる。
【0091】
これらの中でも、以下のスルホラン及びスルホラン誘導体が好ましい。
【0093】
含フッ素スルホラン化合物としては、特開2003−132944号公報に記載された含フッ素スルホラン化合物が例示でき、これらの中でも、
【0096】
これらの中でもスルホラン化合物としては、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランが好ましく、特にスルホランが好ましい。
【0097】
本発明の電解液は、更に、含フッ素エーテルを含むことができる。
【0098】
上記含フッ素エーテルとしては、含フッ素鎖状エーテル(Ia)及び含フッ素環状エーテル(Ib)を挙げることができる。
【0099】
上記含フッ素鎖状エーテル(Ia)としては、例えば、特開平8−37024号公報、特開平9−97627号公報、特開平11−26015号公報、特開2000−294281号公報、特開2001−52737号公報、特開平11−307123号公報等に記載された化合物を挙げることができる。
【0100】
これらの中でも含フッ素鎖状エーテル(Ia)としては、下記式(Ia−1):
Rf
1−O−Rf
2 (Ia−1)
(式中、Rf
1は、炭素数が1〜10のフルオロアルキル基、Rf
2は炭素数1〜4のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。)で示される含フッ素鎖状エーテルが好ましい。
【0101】
上記式(Ia−1)において、Rf
2が非フッ素系のアルキル基である場合に比して、Rf
2が含フッ素アルキル基である場合、耐酸化性、及び、電解質塩との相溶性に特に優れているほか、高い分解電圧をもつ点、凝固点が低いことから低温特性の維持ができる点で好ましい。
【0102】
Rf
1としては、例えば、HCF
2CF
2CH
2−、HCF
2CF
2CF
2CH
2−、HCF
2CF
2CF
2CF
2CH
2−、C
2F
5CH
2−、CF
3CFHCF
2CH
2−、HCF
2CF(CF
3)CH
2−、C
2F
5CH
2CH
2−、CF
3CH
2CH
2−等の炭素数1〜10のフルオロアルキル基を挙げることができる。これらの中でも、炭素数3〜6のフルオロアルキル基が好ましい。
【0103】
Rf
2としては、例えば、炭素数1〜4の非フッ素アルキル基、−CF
2CF
2H、−CF
2CFHCF
3、−CF
2CF
2CF
2H、−CH
2CH
2CF
3、−CH
2CFHCF
3、−CH
2CH
2C
2F
5等を挙げることができ、これらの中でも、炭素数2〜4の含フッ素アルキル基が好ましい。
【0104】
これらの中でも、Rf
1が炭素数3〜4の含フッ素アルキル基であり、Rf
2が炭素数2〜3の含フッ素アルキル基であることが、イオン伝導性が良好な点から特に好ましい。
【0105】
含フッ素鎖状エーテル(Ia)の具体例としては、例えば、HCF
2CF
2CH
2OCF
2CF
2H、CF
3CF
2CH
2OCF
2CF
2H、HCF
2CF
2CH
2OCF
2CFHCF
3、CF
3CF
2CH
2OCF
2CFHCF
3、HCF
2CF
2CH
2OCH
2CFHCF
3、CF
3CF
2CH
2OCH
2CFHCF
3等の1種又は2種以上を挙げることができ、これらの中でも、HCF
2CF
2CH
2OCF
2CF
2H、HCF
2CF
2CH
2OCF
2CFHCF
3、CF
3CF
2CH
2OCF
2CFHCF
3、CF
3CF
2CH
2OCF
2CF
2Hが、高い分解電圧と低温特性の維持の点から特に好ましい。
【0106】
上記含フッ素環状エーテル(Ib)としては、例えば、
【0109】
本発明の電解液には、更に必要に応じて、環状カーボネート(Ic)、鎖状カーボネート(Id)等の他の溶媒を配合してもよい。
【0110】
環状カーボネート(Ic)としては、非フッ素環状カーボネートでも含フッ素環状カーボネートでもよい。
【0111】
非フッ素環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート等が例示できる。なかでも、内部抵抗の低減効果及び低温特性の維持の点からプロピレンカーボネート(PC)が好ましい。
【0112】
含フッ素環状カーボネートとしては、例えばモノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等が例示できる。これらの中でも、電気化学デバイスの耐電圧向上の点からトリフルオロメチルエチレンカーボネートが好ましい。
【0113】
鎖状カーボネート(Id)としては非フッ素鎖状カーボネートでも含フッ素鎖状カーボネートでもよい。
【0114】
非フッ素鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルイソプロピルカーボネート(MIPC)、エチルイソプロピルカーボネート(EIPC)、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)等が例示できる。なかでも内部抵抗の低減効果、低温特性の維持の点からジメチルカーボネート(DMC)が好ましい。
【0115】
含フッ素鎖状カーボネートとしては、例えば、下記式(Id−1):
【0119】
(式中、X
1a及びX
2aは、同じか又は異なり水素原子又はフッ素原子である。)で示される部位を末端に有しかつ好ましくはフッ素含有率が10〜76質量%であるフルオロアルキル基又はアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基;Rf
2aは前記式で示される部位又はCF
3を末端に有しかつ好ましくはフッ素含有率が10〜76質量%であるフルオロアルキル基)で示される含フッ素鎖状カーボネート;
下記式(Id−2):
【0121】
(式中、Rf
1bは−CF
3を末端に有しかつフッ素含有率が10〜76質量%である、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基;Rf
2bはフッ素含有率が10〜76質量%である、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基又は含フッ素アルキル基)で示される含フッ素鎖状カーボネート;
下記式(Id−3):
【0123】
(式中、Rf
1cは式:
HCFX
1c−
(式中、X
1cは水素原子又はフッ素原子)で示される部位を末端に有しかつフッ素含有率が10〜76質量%である、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基;R
2cは水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子を鎖中に含んでいてもよいアルキル基)で示される含フッ素鎖状カーボネート等が挙げられる。
【0124】
使用可能な含フッ素鎖状カーボネートの具体例としては、例えば下記式(Id−4):
【0126】
において、Rf
1d及びRf
2dが、H(CF
2)
2CH
2−、FCH
2CF
2CH
2−、H(CF
2)
2CH
2CH
2−、CF
3CF
2CH
2−、CF
3CH
2CH
2−、CF
3CF(CF
3)CH
2CH
2−、C
3F
7OCF(CF
3)CH
2−、CF
3OCF(CF
3)CH
2−、CF
3OCF
2−等である、含フッ素基を組み合わせた鎖状カーボネートが好適である。
【0127】
含フッ素鎖状カーボネートのなかでも、内部抵抗の低減効果、低温特性の維持の点から、次のものが好ましい。
【0129】
その他、含フッ素鎖状カーボネートとしては、次のものも使用できる。
【0131】
その他、環状カーボネート(Ic)及び鎖状カーボネート(Id)以外の配合可能な他の溶媒としては、例えば、
【0133】
等の非フッ素ラクトンや含フッ素ラクトン;フラン類、オキソラン類等が例示できる。
【0134】
本発明の電解液がニトリル化合物以外の他の溶媒を含む場合、その他の溶媒の配合量は、上記電解液中50体積%未満であることが好ましく、40体積%未満であることがより好ましく、30体積%未満であることが更に好ましい。
【0135】
本発明の電解液に上記スルホラン化合物を添加する場合、当該スルホラン化合物の配合量は、上記電解液中50体積%未満であることが好ましく、40体積%未満であることがより好ましく、30体積%未満であることが更に好ましく、20体積%未満であることが特に好ましい。また、スルホラン化合物の配合量は、上記電解液中5体積%以上であることが好ましい。スルホラン化合物を上記範囲内で添加することにより、長期信頼性特性を向上することができる点で好ましい。
【0136】
本発明の電解液に上記含フッ素エーテルを添加する場合、当該含フッ素エーテルと上記ニトリル化合物との体積比は、90/10〜1/99であることが好ましく、40/60〜1/99であることがより好ましく、30/70〜1/99であることが更に好ましい。体積比がこの範囲にあるときに、耐電圧を保持し、内部抵抗の低減効果を向上することができる。
【0137】
本発明の電解液は、第4級アンモニウム塩とともに、その他の電解質塩を含むこともできる。
【0138】
その他の電解質塩としては、リチウム塩を用いてもよい。リチウム塩としては、例えばLiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiSbF
6、LiN(SO
2C
2H
5)
2が好ましい。
【0139】
更に容量を向上させるためにマグネシウム塩を用いてもよい。マグネシウム塩としては、例えばMg(ClO
4)
2、Mg(OOC
2H
5)
2等が好ましい。
【0140】
本発明の電解液は、上記第4級アンモニウム塩を、上記ニトリル化合物に溶解させることで調製される。従来の技術では、ニトリル化合物及び第4級アンモニウム塩に含まれる水分を同時に除去するために、まずニトリル化合物に第4級アンモニウム塩を溶解し、次いで、得られた溶液にゼオライト等の乾燥剤を添加することによって脱水処理を行っていた。しかしながら、この方法では、簡単に水分を除去できるものの、乾燥剤からカリウムイオンが溶出しやすく、得られる電解液に相当量のカリウムイオンが残留するという問題が見出された。特に、第4級アンモニウム塩がテトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム又はテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムである場合に、その傾向が顕著であった。
【0141】
本発明の電解液では、水分が20ppm以下にまで低減されていながら、カリウムイオンも、10ppm未満という低い水準にまで低減されている。このようにカリウムイオンと水分との両方を効果的に除去する方法としては、例えば、第4級アンモニウム塩とニトリル化合物とを予め別々に脱水し、次いで、第4級アンモニウム塩をニトリル化合物に溶解させる方法を挙げることができる。
【0142】
すなわち、本発明の電解液は、第4級アンモニウム塩を脱水する工程、ニトリル化合物を脱水する工程、及び、第4級アンモニウム塩をニトリル化合物に溶解させる工程、を含む方法により製造することができる。
【0143】
第4級アンモニウム塩を脱水する方法としては、特に限定されず、加熱乾燥等、従来公知の方法を採用してよい。
【0144】
ニトリル化合物を脱水する方法としては、特に限定されないが、乾燥剤に接触させる方法が好ましい。乾燥剤としては、電解液の各成分(溶媒や電解質塩、難燃剤等の各種添加剤)と反応せずかつ各成分を除去(吸着等)しないものであれば、特に制限されず、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)等が例示できる。
【0145】
ニトリル化合物とともにその他の溶媒を使用する場合は、ニトリル化合物とその他の溶媒との混合溶媒に対して乾燥剤による脱水処理を行ってもよく、ニトリル化合物とその他の溶媒とを別々に脱水処理した後、それらを混合してもよい。
【0146】
乾燥剤の使用量は、特に限定されないが、脱水する溶媒100質量部に対して1〜50質量部とすることが好ましい。
【0147】
脱水処理した第4級アンモニウム塩を、脱水処理したニトリル化合物(及び、必要に応じてその他の溶媒)に溶解させる方法としては、新たな水分の混入を防止できる方法であれば特に限定されず、従来公知の方法を採用してよい。
【0148】
また、本発明の電解液は、上記ニトリル化合物に溶解又は膨潤する高分子材料と組み合わせてゲル状(可塑化された)のゲル電解液としてもよい。
【0149】
かかる高分子材料としては、従来公知のポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド、それらの変性体(特開平8−222270号公報、特開2002−100405号公報);ポリアクリレート系ポリマー、ポリアクリロニトリルや、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂(特表平4−506726号公報、特表平8−507407号公報、特開平10−294131号公報);それらフッ素樹脂と炭化水素系樹脂との複合体(特開平11−35765号公報、特開平11−86630号公報)等が挙げられる。特には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体をゲル電解液用高分子材料として用いることが望ましい。
【0150】
そのほか、特開2006−114401号公報に記載されているイオン伝導性化合物も使用できる。
【0151】
このイオン伝導性化合物は、式(1−1):
P−(D)−Q (1−1)
[式中、Dは式(2−1):
−(D1)
n−(FAE)
m−(AE)
p−(Y)
q− (2−1)
(式中、D1は、式(2a):
【0153】
(式中、Rfは架橋性官能基を有していてもよいエーテル結合を有する含フッ素有機基;R
15aはRfと主鎖を結合する基又は結合手)で示される、側鎖にエーテル結合を有する含フッ素有機基をもつエーテル単位;
FAEは、式(2b):
【0155】
(式中、Rfaは水素原子、架橋性官能基を有していてもよい含フッ素アルキル基;R
16aはRfaと主鎖を結合する基又は結合手)で示される、側鎖に含フッ素アルキル基を有するエーテル単位;
AEは、式(2c):
【0157】
(式中、R
18aは水素原子、架橋性官能基を有していてもよいアルキル基、架橋性官能基を有していてもよい脂肪族環式炭化水素基、又は、架橋性官能基を有していてもよい芳香族炭化水素基;R
17aはR
18aと主鎖を結合する基又は結合手)で示されるエーテル単位;
Yは、式(2d−1)〜(2d−3):
【0159】
の少なくとも1種を含む単位;
nは0〜200の整数;mは0〜200の整数;pは0〜10000の整数;qは1〜100の整数;ただしn+mは0ではなく、D1、FAE、AE及びYの結合順序は特定されない。);
P及びQは同じか又は異なり、水素原子、フッ素原子及び/又は架橋性官能基を含んでいてもよいアルキル基、フッ素原子及び/又は架橋性官能基を含んでいてもよいフェニル基、−COOH基、−OR
19a(R
19aは水素原子、又は、フッ素原子及び/又は架橋性官能基を含んでいてもよいアルキル基)、エステル基又はカーボネート基(ただし、Dの末端が酸素原子の場合は−COOH基、−OR
19a、エステル基及びカーボネート基ではない。)]で表される側鎖に含フッ素基を有する非晶性含フッ素ポリエーテル化合物である。
【0160】
本発明の電解液には必要に応じて、他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、例えば金属酸化物、ガラス等が挙げられ、これらを本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0161】
なお、本発明の電解液は、低温(例えば0℃や−20℃)で凍ったり、電解質塩が析出したりしないことが好ましい。具体的には、0℃での粘度が100mPa・秒以下であることが好ましく、30mPa・秒以下であることがより好ましく、15mPa・秒以下であることが特に好ましい。更にまた、具体的には、−20℃での粘度が100mPa・秒以下であることが好ましく、40mPa・秒以下であることがより好ましく、15mPa・秒以下であることが特に好ましい。
【0162】
本発明の電解液は、非水系電解液であることが好ましい。
【0163】
本発明の電解液は、各種の電解液を備えた電気化学デバイスの電解液に有用である。電気化学デバイスとしては、電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池、ラジカル電池、太陽電池(特に色素増感型太陽電池)、燃料電池、各種電気化学センサー、エレクトロクロミック素子、電気化学スイッチング素子、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、等が挙げられ、中でも電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池が好適であり、電気二重層キャパシタが特に好適である。そのほか、帯電防止用コーティング材のイオン伝導体等としても使用できる。
このように、本発明の電解液は、電気化学デバイス用であることが好ましく、電気二重層キャパシタ用であることが特に好ましい。
【0164】
本発明の電解液、並びに、正極及び負極を備える電気化学デバイスもまた、本発明の1つである。電気化学デバイスとしては、上述したものを挙げることができるが、中でも、電気二重層キャパシタが好ましい。
【0165】
以下に、本発明の電気化学デバイスが電気二重層キャパシタである場合の構成について詳述する。
【0166】
本発明の電気二重層キャパシタでは、正極及び負極の少なくとも一方は分極性電極であることが好ましく、分極性電極及び非分極性電極としては特開平9−7896号公報に詳しく記載されている以下の電極が使用できる。
【0167】
上記分極性電極としては、活性炭を主体とする分極性電極を用いることができるが、好ましくは比表面積の大きい不活性炭と電子伝導性を付与するカーボンブラック等の導電剤とを含むものである。分極性電極は種々の方法で形成することができる。例えば、活性炭粉末とカーボンブラックとフェノール系樹脂を混合し、プレス成形後不活性ガス雰囲気中及び水蒸気雰囲気中で焼成、賦活することにより、活性炭とカーボンブラックとからなる分極性電極を形成できる。好ましくは、この分極性電極は集電体と導電性接着剤等で接合する。
【0168】
また、活性炭粉末、カーボンブラック及び結合剤をアルコールの存在下で混練してシート状に成形し、乾燥して分極性電極とすることもできる。この結合剤には、例えばポリテトラフルオロエチレンが用いられる。また、活性炭粉末、カーボンブラック、結合剤及び溶媒を混合してスラリーとし、このスラリーを集電体の金属箔にコートし、乾燥して集電体と一体化された分極性電極とすることもできる。
【0169】
活性炭を主体とする分極性電極を両極に用いて電気二重層キャパシタとしてもよいが、片側に非分極性電極を用いる構成、例えば、金属酸化物等の電池活物質を主体とする正極と、活性炭を主体とする分極性電極の負極とを組合せた構成、リチウム金属やリチウム合金の負極と、活性炭を主体とする分極性電極とを組合せた構成も可能である。
【0170】
また、活性炭に代えて又は併用して、カーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛、ポーラスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラック等の炭素質材料を用いてもよい。
【0171】
電極の作製におけるスラリーの調製に用いる溶媒は結合剤を溶解するものが好ましく、結合剤の種類に合わせ、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、イソホロン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、フタル酸ジメチル、エタノール、メタノール、ブタノール又は水が適宜選択される。
【0172】
分極性電極に用いる活性炭としては、フェノール樹脂系活性炭、やしがら系活性炭、石油コークス系活性炭等がある。これらのうち大きい容量を得られる点で石油コークス系活性炭又はフェノール樹脂系活性炭を使用するのが好ましい。また、活性炭の賦活処理法には、水蒸気賦活処理法、溶融KOH賦活処理法等があり、より大きな容量が得られる点で溶融KOH賦活処理法による活性炭を使用するのが好ましい。
【0173】
分極性電極に用いる好ましい導電剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、金属ファイバ、導電性酸化チタン、酸化ルテニウムが挙げられる。分極性電極に使用するカーボンブラック等の導電剤の混合量は、良好な導電性(低い内部抵抗)を得るように、また多すぎると製品の容量が減るため、活性炭との合計量中1〜50質量%とするのが好ましい。
【0174】
分極性電極に用いる活性炭としては、大容量で低内部抵抗の電気二重層キャパシタが得られるように、平均粒径が20μm以下で比表面積が1500〜3000m
2/gの活性炭を使用するのが好ましい。
【0175】
集電体は化学的、電気化学的に耐食性のあるものであればよい。活性炭を主体とする分極性電極の集電体としては、ステンレス、アルミニウム、チタン又はタンタルが好ましく使用できる。これらのうち、ステンレス又はアルミニウムが、得られる電気二重層キャパシタの特性と価格の両面において特に好ましい材料である。
【0176】
電気二重層キャパシタとしては、捲回型電気二重層キャパシタ、ラミネート型電気二重層キャパシタ、コイン型電気二重層キャパシタ等が一般に知られており、本発明の電気二重層キャパシタもこれらの形式とすることができる。
【0177】
例えば捲回型電気二重層キャパシタは、集電体と電極層の積層体(電極)からなる正極及び負極を、セパレータを介して捲回して捲回素子を作製し、この捲回素子をアルミニウム製等のケースに入れ、電解液を満たしたのち、ゴム製の封口体で封止して密封することにより組み立てられる。
【0178】
セパレータとしては、従来公知の材料と構成のものが本発明においても使用できる。例えば、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン繊維やガラス繊維、セルロース繊維の不織布等が挙げられる。
【0179】
また、公知の方法により、電解液とセパレータを介してシート状の正極及び負極を積層したラミネート型電気二重層キャパシタや、ガスケットで固定して電解液とセパレータを介して正極及び負極をコイン型に構成したコイン型電気二重層キャパシタとすることもできる。
【0180】
本発明の電気化学デバイスが電気二重層キャパシタ以外である場合、電解液に本発明の電解液を用いる限り、それ以外の構成は特に限定されず、例えば、従来公知の構成を採用してもよい。
【実施例】
【0181】
次に本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
【0182】
実施例及び比較例における測定方法は、以下のものを採用した。
【0183】
(1)水性分散体又はオルガノゾルの固形分濃度
シャーレに10gのPTFE等の水性分散体又はオルガノゾルを採取し、150℃にて約3時間加熱した後に秤量した固形分の質量から、上記水性分散体又はオルガノゾルの質量と固形分の質量との割合として算出する。
【0184】
(2)平均粒子径
PTFE水性分散体を固形分0.15質量%に調整してセルに入れ、550nmの光を入射したときの透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して算出した数平均一次粒子径との相関を検量線にまとめ、得られた検量線と各試料について測定した上記透過率とから決定する。
【0185】
(3)標準比重[SSG]
ASTM D 4895−89に準拠して、水中置換法に基づき測定する。
【0186】
(4)ポリマー融点
DSC装置(SEIKO社製)により、試料3mgを測定し、10℃/分の昇温速度で融点以上まで昇温させた後、同速度で冷却の後、同速度で昇温させたセカンドランの融解ピークを読み取り融点とする。
【0187】
(5)固体NMRによるオルガノゾル組成物中のPTFE粒子とPVdF粒子の組成比の測定
オルガノゾル組成物を120℃で真空乾燥し、得られた試料を固体NMR装置(BRUKER社製)で測定し、得られたスペクトルのPTFE由来ピークとPVdF由来ピークの面積比に基づいて算出する。
【0188】
(6)電解液中のカリウムイオン量
株式会社日立製作所製のZ5010を用いて、原子吸光光度法によって測定した。検出下限は1ppbである。
【0189】
(7)電解液中の水分量
露点−50℃〜−80℃に水分調整された雰囲気中で、電解液試料をカールフィッシャー法による水分検出装置(京都電子工業(株)製のカールフィッシャー水分計)に供し、温度25℃、露点−50℃〜−80℃の測定条件で水分含有量を測定した。
【0190】
(8)電解液中の第3級アミン類量
日本ダイオネクス社製のICS−2100を用いて、イオンクロマトグラフィーによって測定した。
【0191】
(9)電解液中の複素環式化合物量
日本ダイオネクス社製のICS−2100を用いて、イオンクロマトグラフィーによって測定した。
【0192】
(10)電解液中のアンモニア量
日本ダイオネクス社製のICS−2100を用いて、イオンクロマトグラフィーによって測定した。
【0193】
調製例1(PTFE粒子の水性分散体の調製)
内容積6Lの攪拌機付きSUS製重合槽に、純水に乳化剤CF
3OCF(CF
3)CF
2OCF(CF
3)COONH
4を加えて0.15質量%濃度に調整した水溶液3500gと粒状パラフィンワックス100gを入れて密閉した。槽内を真空窒素置換後、真空引きした。その後、85℃、265rpmで撹拌しながら、槽内にテトラフルオロエチレン(TFE)を0.7MPaGまで仕込んだ。次に、ジコハク酸過酸化物(DSP)525mgを溶かした水溶液20gを窒素で槽内に圧入した。反応管の途中に液が残らないよう、水20gを再び窒素で圧入し配管を洗浄した。その後、TFE圧を0.8MPaにして撹拌を265rpm、内温を85℃に保った。DSP導入から1時間後に、過硫酸アンモニウム(APS)19mgを20gの純水に溶かし、これを窒素で圧入した。反応管の途中に液が残らないよう、水20gを再び窒素で圧入し配管を洗浄した。槽内圧力を0.8MPaに保持するように、TFEを追加して仕込んだ。追加モノマーが1195gになった時点で攪拌を停止し、槽内ガスをブローして、反応を終了した。槽内を冷却して、内容物をポリ容器に回収し、PTFE粒子の水性分散体を得た。乾燥重量法による水性分散体の固形分濃度は31.4質量%であった。また、水性分散体の平均一次粒子径は0.29μmであった。
【0194】
標準比重及び融点を測定するため、得られたPTFE粒子の水性分散体500mlを脱イオン水で固形分濃度が約15質量%となるように希釈し、硝酸を1ml加え、凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を145℃で18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末を用いて標準比重[SSG]を測定したところ、2.189であった。DSCにより分析した融点は325.9℃であった。
【0195】
調製例2(TFE−HFP−VdF共重合体の水性分散体の調製)
内容積3Lの攪拌機付きSUS製重合槽に、F(CF
2)
5COONH
4が3300ppmに、かつCH
2=CFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF(CF
3)COONH
4が200ppm濃度になるように、純水を入れて密閉した。槽内を真空窒素置換後、真空引きし、連鎖移動剤としてのエタンをシリンジで400cc相当量を真空吸引しながら仕込んだ。その後、70℃、450rpmで撹拌しながら、槽内にVdF/TFE/HFP組成比が50/38/12モル%の混合ガスモノマーを、0.39MPaGまで仕込んだ。その後、APSの137.2mgを10gの水に溶かした水溶液を窒素で圧入することで反応を開始した。反応管の途中に液が残らないよう、水10gを再び窒素で圧入した。
【0196】
槽内圧力を保持するように、VdF/TFE/HFP組成比が60/38/2モル%の混合モノマーを追加で仕込んだ。追加モノマーが346gになった時点で攪拌を低速にし、槽内ガスをブローして、反応を終了した。槽内を冷却して、1708gのVdF/TFE/HFP共重合体(以下、「THV」という)粒子の水性分散体を容器に回収した。乾燥重量法による水性分散体の固形分濃度は20.4質量%であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/TFE/HFP=59.0/38.9/2.1(モル%)であり、DSCにより分析した融点は145.9℃であった。
【0197】
調製例3(PTFE/THVのオルガノゾルの調製)
調製例1で得たPTFE粒子の水性分散体の40.0gと、調製例2で得たTHV粒子の水性分散体の41.0gと、ヘキサン16gを200mLビーカーに取り、メカニカルスターラーで攪拌した。攪拌しながらアセトン90gを添加し、その後4分間攪拌した。攪拌終了後、生じた凝析物と水を主成分とする上澄み液をろ過により分離した。残った含水凝析物にジメチルアセトアミド(DMAC)を約190g加え30分間攪拌した。これを、500mlナスフラスコに移し変え、エバポレーターで水分を除去し、DMACに均一にPTFE粒子が分散したオルガノゾルを158g得た。このオルガノゾルの固形分濃度測定したところ12.0質量%であり、カールフィッシャー法で測定した水分濃度は、100ppm以下であった。固体NMRの測定によるPTFE/THVの質量比は、61/39であった。また、このオルガノゾルを静置し目視で観察したところ、10日以上経っても分離した層や粒子は観察されなかった。
【0198】
実施例1
(電極の作製)
活性炭粒子(クラレケミカル(株)製のYP50F)を100重量部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製のデンカブラックFX−35)を3重量部、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル(株)製のカーボンECP600JD)を12重量部、PVdFバインダー(クレハ(株)製のKF−7200)を7重量部、調製例3で得られたオルガノゾル(PTFEとTHVの分散溶剤)を固形分相当3重量部混合して電極用スラリーを調製した。
【0199】
集電体としてエッチドアルミニウム(日本蓄電器工業(株)製の20CB、厚さ約20μm)を用意し、この集電体の両面に塗装装置を用いて導電塗料(日本黒鉛工業(株)製のバニーハイトT602)を塗布し、導電層(厚さ:7±1μm)を形成した。
【0200】
ついで、前記で調製した電極用スラリーを集電体の両面に形成した導電層に塗装装置を用いて塗布し、活性炭層(電極層、密度0.47〜0.48g/cm
3、正極厚さ:100μm、負極厚さ:80μm)を両面に形成し、電極を作製した。
【0201】
なお、以下、集電体、導電層及び活性炭層をまとめて電極と称する。
【0202】
(電解液の調製−1)
アセトニトリルにモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒に4フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF
4)を1.0モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0203】
(電気二重層キャパシタの作製)
上記電極を所定の大きさ(20×72mm)に切断して、集電体のアルミ面に電極引出しリードを溶接で接着してラミネート容器(品番:D−EL40H、製造元:大日本印刷(株))に収納し、ニッポン高度紙工業(株)製のTF45−30を所定の大きさ(30×82mm)に切断して作製したセパレータを挟んでドライチャンバー中で上記の電解液を注入して含浸させ、その後封止してラミネートセル電気二重層キャパシタを作製した。
【0204】
(電気二重層キャパシタの特性評価)
得られた電気二重層キャパシタについて、以下の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表1に示す。
【0205】
(抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)の測定)
電気二重層キャパシタを温度60℃の恒温槽中に入れ、電圧2.7Vを250時間印加して内部抵抗と静電容量とを測定した。測定時期は、初期(0時間)及び250時間とした。得られた測定値から、次の計算式に従って抵抗上昇率及び容量維持率を算出した。
抵抗上昇率=(250時間での内部抵抗)/(評価開始前(初期)の内部抵抗)
容量維持率=(250時間での静電容量)/(評価開始前(初期)の静電容量)
【0206】
抵抗上昇率が1.2倍以下であり、かつ容量維持率が0.93倍以上であれば○、抵抗上昇率が1.2倍より大きいか又は容量維持率が0.93倍未満であれば×、と評価した。
【0207】
【表1】
【0208】
実施例2
(電解液の調製−2)
スルホランとアセトニトリルとを体積比10/90で混合し、得られた混合液にモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒に4フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF
4)を1.0モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0209】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、印加電圧を3.0Vとしたこと以外は実施例1と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表2に示す。
【0210】
実施例3〜6及び比較例1〜10
各不純物の含有量を表2に示すように変更したこと以外は実施例2と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表2に示す。
【0211】
【表2】
【0212】
実施例7
(電解液の調製−3)
スルホランとアセトニトリルとHCF
2CF
2CH
2OCF
2CF
2Hとを体積比5/92.5/2.5で混合し、得られた混合液にモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒に4フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF
4)を1.0モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0213】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、実施例2と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表3に示す。
【0214】
実施例8〜11及び比較例11〜20
各不純物の含有量を表3に示すように変更したこと以外は実施例7と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0215】
【表3】
【0216】
実施例12
(電解液の調製−4)
スルホランとアセトニトリルとHCF
2CF
2CH
2OCF
2CF
2Hとを体積比5/92.5/2.5で混合し、得られた混合液にモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒に4フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF
4)を1.0モル/リットルとなるように加えたところ、均一に溶解した。
【0217】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、実施例2と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表4に示す。
【0218】
実施例13〜16及び比較例21〜30
各不純物の含有量を表4に示すように変更したこと以外は実施例12と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表4に示す。
【0219】
【表4】
【0220】
実施例17
(電解液の調製−5)
アセトニトリルにモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒にテトラフルオロホウ酸スピロビピリジニウム(SBPBF
4)を1.5モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0221】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、実施例2と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表5に示す。
【0222】
実施例18〜21及び比較例31〜40
各不純物の含有量を表5に示すように変更したこと以外は実施例17と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表5に示す。
【0223】
【表5】
【0224】
実施例22
(電解液の調製−6)
3−メチルスルホランとアセトニトリルとHCF
2CF
2CH
2OCF
2CF
2Hとを体積比5/92.5/2.5で混合し、得られた混合液にモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒にテトラフルオロホウ酸スピロビピリジニウム(SBPBF
4)を1.0モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0225】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、実施例2と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表6に示す。
【0226】
実施例23〜26及び比較例41〜50
各不純物の含有量を表6に示すように変更したこと以外は実施例22と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表6に示す。
【0227】
【表6】
【0228】
実施例27
(電解液の調製−7)
スルホランとアセトニトリルとHCF
2CF
2CH
2OCF
2CFHCF
3とを体積比5/92.5/2.5で混合し、得られた混合液にモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒にテトラフルオロホウ酸スピロビピリジニウム(SBPBF
4)を1.0モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0229】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、実施例2と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表7に示す。
【0230】
実施例28〜31及び比較例51〜60
各不純物の含有量を表7に示すように変更したこと以外は実施例27と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表7に示す。
【0231】
【表7】
【0232】
実施例32
(電解液の調製−8)
スルホランとアセトニトリルとHCF
2CF
2CH
2OCF
2CF
2Hとを体積比5/92.5/2.5で混合し、得られた混合液にモレキュラーシーブを加え脱水することで、電解液用溶媒を調製した。この電解液用溶媒にテトラフルオロホウ酸スピロビピリジニウム(SBPBF
4)を0.5モル/リットル濃度となるように加えたところ、均一に溶解した。
【0233】
(電気二重層キャパシタの作製、特性評価)
上記で得られた電解液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタについて、実施例2と同様の方法で抵抗上昇率(内部抵抗上昇比率)及び容量維持率(静電容量保持率)を測定し、評価した。結果を表8に示す。
【0234】
実施例33〜36及び比較例61〜70
各不純物の含有量を表8に示すように変更したこと以外は実施例32と同様にして、電解液の調製、電気二重層キャパシタの作製、特性評価を行った。結果を表8に示す。
【0235】
【表8】