【文献】
3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects;Study for requirements for a Public Warning System (PWS) service (Release 11)[online],3GPP TR 22.968,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/22_series/22.968/22968-b00.zip>,2012年 9月21日,V11.0.0,P.23-29
【文献】
Specification of Replace mechanism in Write-Replace Warning Request[online],3GPP TSG-RAN WG3#78 R3-122462,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_78/Docs/R3-122462.zip>,2012年11月 2日,P.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)などの標準化団体において緊急情報送信基板である公共警報システム(PWS:Public Warning System)の検討及び規格化が行なわれている。PWSでは警報(Warning Notification又はAlert)を複数の移動局又はユーザ装置(UE:User Equipment)へ報知する機能が規定されている。PWSは地震津波警報システム(ETWS:Earthquake and Tsunami Warning System)と商業用移動体警報システム(CMAS:Commercial Mobile Alert System)に分類される。
【0003】
非特許文献1は、CMASで警報を報知するシーケンスを開示している。
図17を参照して、CMASで警報を報知するシーケンスについて説明する。まず、CBS(Cell Broadcast Service)50は緊急報知要求(Emergency Broadcast Request)メッセージを用いて警報の内容、報知エリア、報知期間をCBC(Cell Broadcast Center)40に通知する(ステップS801)。次に、CBC40はCBS50から受信した報知エリアに基づいて、記録置換警報要求(Write−Replace Warning Request)を送信する移動管理エンティティ(MME:Mobility Management Entity)30を特定する。CBC40は、記録置換警報要求メッセージを用いて警報の内容、報知エリア、報知期間をMME30へ通知する(ステップS802)。MME30は、警報の内容、報知エリア、報知期間を受信したことを示す記録置換警報応答(Write−Replace Warning Response)メッセージをCBC40へ通知する(ステップS803)。
【0004】
MME30は、CBC40から受信した報知エリアに基づいて、警報を報知する基地局(即ち、eNodeB)20を特定する。記録置換警報要求メッセージを用いて警報の内容、報知エリア、報知期間を基地局20へ通知する(ステップS804)。基地局20は、MME30から受信した報知エリアに基づいて警報を報知するセルを特定する。基地局20は当該セルの移動局10に対して報知チャンネル(BCCH:Broadcast Control Channel)のシステム情報ブロック(SIB:System Information Block)12を用いて警報の内容を報知する(ステップS805)。ここで、別途警報が既に移動局10に報知されていれば、基地局20は複数の警報を時分割で移動局10へ報知する。移動局10は基地局20から送信された警報を受信する。非特許文献2は、警報を複数のセグメントに分割して送信する技術を開示している。非特許文献3では、基地局20から移動局10へ報知される警報の報知周期を反復周期(Repetition Period)として規定しており、1秒から4095秒の範囲で設定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る通信装置及び通信制御方法が適用される通信システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る基地局のブロック図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るMMEのブロック図である。
【
図4】実施例1に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施例1に係るMMEの動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施例1に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る基地局のブロック図である。
【
図8】本発明の実施例2に係るMMEのブロック図である。
【
図9】実施例2に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施例2に係るMMEの動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例3に係る基地局のブロック図である。
【
図12】実施例3に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施例4に係るMMEのブロック図である。
【
図14】実施例4に係るMMEの動作を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施例5において、基地局のリソース使用率と第2の閾値との関係を示すテーブルである。
【
図16】本発明の実施例6において、基地局の種類と第2の閾値との関係を示すテーブルである。
【
図17】通信システムにおいてCMASで警報を報知する手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る通信装置及び通信制御方法について実施例とともに図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明に係る通信装置及び通信制御方法が適用される通信システム(又は、警報報知システム)を示すブロック図である。通信システムは、移動局10、基地局20、MME30、CBC40、CBS50より構成される。
図1では一台の移動局10のみを示しているが、基地局20に複数台の移動局10を接続してもよい。また、
図1では一台のMME30を示しているが、基地局20に複数台のMME30を接続するようにしてもよい。本発明の実施例1は基地局20及びMME30の構成及び動作に適用される。
【0013】
図2は、実施例1に係る基地局20のブロック図である。基地局20は、通信部101と制御部102を具備する。通信部101は、S1インタフェースを介してMME30との間で制御信号やデータの送受信を行なう。制御部102は、所定期間中の基地局20のリソース使用率を測定する。リソース使用率は、例えば、基地局20が使用可能な全リソースのうち、現在使用しているリソースの割合を示す。次に、制御部102は基地局20のリソース使用率とMME30などの上位装置から受信した第1の閾値との比較を行なう。制御部102は、基地局20のリソース使用率が第1の閾値以上である場合、基地局20が輻輳状態であると判定する。制御部102は、通信部101を介して基地局20が輻輳状態であることを示す第1の制御信号をMME30へ送信する。また、基地局20は無線リンクを介して移動局10と通信を行う。例えば、基地局20は警報報知やデータ通信を移動局10に行う。制御部102が測定するリソース使用率とは、例えば、基地局20の送信電力、制御信号やデータの送信に用いる周波数リソース(U−PlaneまたはC−PlaneのPRB(Physical Resource Block)使用率)、送信機会などの時間的リソース、基地局20の接続ユーザ数、確立RAB(Radio Access Bearer)数などがある。
【0014】
上記において、基地局20が輻輳状態にあるときに制御部102は第1の制御信号をMME30へ送信するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、制御部102は周期的に第1の制御信号をMME30へ送信してもよい。或いは、制御部102は基地局20の輻輳状態以外のトリガに応じてMME30へ送信するようにしてもよい。制御部102が第1の制御信号を周期的にMME30へ送信する場合、または基地局20の輻輳状態以外のトリガに応じて第1の制御信号を送信する場合、第1の制御信号の状態を区別するようにしてもよい。例えば、基地局20の輻輳状態では第1の制御信号のステータスを「1」に設定し、非輻輳状態では第1の制御信号のステータスを「0」に設定するようにしてもよい。
【0015】
上記において、制御部102はリソース使用率とリソース割合を示す第1の閾値とを比較して基地局20の輻輳状態を判定するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、現在使用されているリソースの絶対量とリソースの絶対量を示す第1の閾値を比較するようにしてもよい。また、MME30などの上位装置が第1の閾値を設定する必要は無く、第1の閾値を基地局20が予め保持するようにしてもよい。この場合、基地局20の運用開始時に一度だけ上位装置から第1の閾値を設定するようにしてもよい。或いは、基地局20が個々の通信を開始する際に上位装置から第1の閾値を設定するようにしてもよい。制御部102は、記録置換警報応答メッセージなどの既存のS1−APメッセージを用いて第1の制御信号をMME30へ送信してもよい。或いは、制御部102は新規のメッセージを用いて第1の制御信号をMME30へ送信してもよい。
【0016】
図3は、実施例1に係るMME30のブロック図である。MME30は、通信部201と制御部202を具備する。通信部201は、S1インタフェースを介して基地局20との間で制御信号やデータの送受信を行なう。制御部202は、MME30が基地局20から第1の制御信号を受信した際に停止する警報を決定する。制御部202は、通信部201を介して停止警報を示す第2の制御信号を基地局20へ送信する。制御部202は、警報情報が第2の閾値と所定条件を満たしているかに基づいて停止警報を決定する。CBC40などの上位装置が警報情報と第2の閾値を決定する。ここで、警報の緊急性などを示す優先度を警報情報としてもよい。また、警報情報と第2の閾値との大小関係を所定条件としてもよい。警報情報として警報の緊急度を示す優先度を用いて、当該優先度が第2の閾値未満であることを所定条件としてもよい。この場合、制御部202は警報の優先度が第2の閾値未満の場合に当該警報を停止すると判定する。
【0017】
警報報知に係る契約をしている企業(例えば、警報報知を広告などの商用目的とする企業)の優先度を警報情報としてもよい。例えば、企業の優先度「2」に対して警報に係る第2の閾値が「3」の場合には、当該警報を停止する。また、警報の送信期間を警報情報としてもよい。この場合、制御部202は警報の送信期間が第2の閾値以上のときに所定条件を満たすものとして当該警報を停止することを決定する。例えば、警報の送信期間が100秒であるのに対して第2の閾値が80秒のとき、制御部202は当該警報を停止する。停止警報を決定した後、制御部202は停止警報の情報(例えば、警告毎に設定される識別子)を示す第2の制御信号を通信部201を介して基地局20へ送信する。前述のように、第1の制御信号が周期的にMME30へ送信されるか、或いは、輻輳状態以外のトリガに応じて第1の制御信号がMME30へ送信されることもある。この場合、制御部202は第1の制御信号のステータス(例えば、ステータス「1」は輻輳状態を示し、ステータス「0」は非輻輳状態を示す)に応じて停止警報を決定する処理を開始するようにしてもよい。
【0018】
上記において、CBC40などの上位装置が警報情報や第2の閾値を設定するものとしたが、これに限定されるものではない。MME30自身が警報情報と第2の閾値を予め保持するようにしてもよい。また、MME30の運用開始時に上位装置が警報情報や第2の閾値を一度だけ設定してもよく、或いは、MME30の個々の通信開始時に警報情報や第2の閾値を設定するようにしてもよい。
図1に示すように、MME30はCBC40と通信を行う。MME30はコアネットワークを構成するノードである。コアネットワークは、MME30の他にCBC40やCBS50により構成される。停止警報の情報(例えば、警告毎に設定される識別子)を示す第2の制御信号を記録置換警報要求メッセージなどの既存のS1−APメッセージを用いて送信してもよい。或いは、第2の制御信号を新規メッセージを用いて送信してもよい。
【0019】
次に、実施例1に係る基地局20の動作について
図4を参照して説明する。初めに、基地局20は輻輳状態を判定するための第1の閾値をMME30などの上位装置から受信する(ステップS101)。基地局20は自身のリソース使用率を測定する(ステップS102)。基地局20はリソース使用率と第1の閾値とを比較する(ステップS103)。基地局20は、リソース使用率が第1の閾値以上であれが輻輳状態であると判定する(ステップS103の判定結果「Y」)。この場合、基地局20は輻輳状態であることを示す第1の制御信号をMME30へ送信する(ステップS104)。リソース使用率が第1の閾値未満であるとき(ステップS103の判定結果「N」)、フローはステップS102へ戻る。
【0020】
次に、実施例1に係るMME30の動作について
図5を参照して説明する。初めに、MME30は停止情報を決定するために用いる警報情報や第2の閾値をCBC40などの上位装置から受信する(ステップS201)。次に、MME30は基地局20から第1の制御信号を受信したか否か判定する(ステップS202)。基地局20から第1の制御信号を受信していれば(ステップS202の判定結果「Y」)、MME30は警報情報と第2の閾値とが所定の条件を満たしているか判定する(ステップS203)。警報情報と第2の閾値とが所定の条件を満たしていれば(ステップS203の判定結果「Y」)、MME30は当該警報の停止を決定し、停止警報に係る情報を示す第2の制御信号を基地局20へ送信する(ステップS204)。第1の制御信号を受信していなければ(ステップS202の判定結果「N」)、フローはステップS202へ戻る。また、警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たしていなければ(ステップS203の判定結果「N」)、フローはステップS202へ戻る。上記の説明では、警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たしている場合にMME30が警報を停止することを決定するとしたが、所定条件を満たす複数の警報を全て停止するのではなく、一部のみを停止するようにしてもよい。
【0021】
図6は、実施例1に係る通信システム(基地局20及びMME30)の動作を示すシーケンス図である。基地局20はリソース使用率を測定して第1の閾値と比較し、自身が輻輳状態であるか判定する(ステップS301)。基地局20は、自身が輻輳状態であると判定した場合、第1の制御信号をMME30へ送信する(ステップS302)。MME30は、基地局20より第1の制御信号を受信すると、停止警報を決定する(ステップS303)。MME30は、停止警報の情報(例えば、警報毎に設定される識別子)を示す第2の制御信号を基地局20へ送信する(ステップS304)。基地局20は、第2の制御信号に基づいて警報を停止する(ステップS305)。その後、移動局10はMME30と基地局20との通信制御の後に基地局20から報知された警報を受信する。
【0022】
上記のように、実施例1に係るMME30は基地局20が輻輳状態である場合、警報情報に基づいて当該警報の停止の可否を判定することができる。停止警報として、優先度が低い警報や警報の送信開始からの経過期間が長い警報などが挙げられる。これにより、基地局20において停止警報に係るリソースをデータ通信などに利用することができるので、実施例1は基地局20のリソースを効率的に使用することができる。
【実施例2】
【0023】
次に、本発明の実施例2に係る通信システム(即ち、基地局20及びMME30)について説明する。実施例1と比較して、実施例2に係る基地局20の制御部102はリソース使用率算出部103と輻輳状態算出部104とを含み、実施例2に係るMME30の制御部202は停止警報決定部203と記憶部204とを含む。以下、実施例1と実施例2との相違点について説明する。
【0024】
図7は、実施例2に係る基地局20のブロック図である。基地局20の制御部102はリソース使用率算出部103と輻輳状態算出部104を具備する。リソース使用率算出部103は、基地局20の輻輳状態における警告毎のリソース使用率を算出する。輻輳状態算出部104は、基地局20が輻輳状態であると判定した場合、警報停止により削減すべきリソース量を算出する。制御部102は、警告毎のリソース使用率及び警報停止により削減すべきリソース量を示す第1の制御信号を通信部101を介してMME30へ送信する。
【0025】
上記において、リソース使用率算出部104は、警告毎のリソース使用率に代えて警告毎のリソース使用量(絶対量)を算出するようにしてもよい。また、輻輳状態算出部104が算出する警報停止により削減すべきリソース量は、リソース割合又は絶対量としてもよい。割合算出の場合、輻輳状態算出部104は基地局20のリソース使用率からリソース割合を示す第1の閾値を減算して警報停止により削減すべきリソース割合算出する。絶対量算出の場合、輻輳状態算出部104は基地局20のリソース量からリソースの絶対量を示す第1の閾値を減算して警報停止により削減すべきリソース絶対量を算出する。或いは、輻輳状態算出部104は基地局20のリソース使用率からリソース割合を示す第1の閾値を減算し、更に、当該減算結果に基地局20で使用可能な全リソース量を乗算して警報停止により削減すべきリソース絶対量を算出するようにしてもよい。
【0026】
図8は、実施例2に係るMME30のブロック図である。MME30は停止警報決定部203と記憶部204を具備する。記憶部204には、基地局20で報知している警報の設定情報(例えば、警報の設定パラメータや実施例1で説明した警報情報)が記憶されている。停止警報決定部203は、警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たす停止警報候補の中から、警報毎のリソース使用率、削減リソース量、及び設定情報に基づいて停止警報を決定する。例えば、警報情報を参酌して、優先度の低い順に停止警報候補を選択し、基地局20での削減リソース量が達成された時点で、停止警報候補の選択を中止してもよい。
【0027】
次に、実施例2に係る基地局20の動作について
図9を参照して説明する。
図9において、ステップS101、S102、S103、S104は
図4と同一である。実施例2では、上位装置からの新警報の送信(S401)をトリガとして基地局20がリソース使用率を測定する(ステップS102)。また、基地局20が輻輳状態であると判定した場合(ステップS103の判定結果「Y」)、警報毎のリソース使用率及び警報停止により削減すべきリソース量を算出する(ステップS402)。基地局20は、リソース使用率及び削減リソース量を示す第1の制御信号をMME30へ送信する(ステップS104)。上記の実施例2の動作では、新規警報の送信をトリガとして基地局20がリソース使用率を測定するものとしたが、停止対象が警報であるため、リソース使用率測定の条件として上位装置より1つ以上の警報が送信されていることを加えてもよい。
【0028】
次に、実施例2に係るMME30の動作について
図10を参照して説明する。
図10において、ステップS201、S202、S204は
図5と同一である。MME30は、警報毎のリソース使用率及び警報停止により削減すべきリソース量を示す第1の制御信号を基地局20から受信する(ステップS202)。MME30は、警報情報と第2の閾値との比較に基づいて停止警報候補を決定する(ステップS501)。そして、MME30は警告毎のリソース使用率、削減リソース量、及び設定情報に基づいて停止警報候補の中から停止警報を決定する(ステップS502)。
【0029】
上述のように、実施例2に係る基地局20では新規警報の送信をリソース使用率測定のトリガとしたが、これに限定されるものではない。例えば、警報以外の通信(特定のデータ通信、制御信号の送受信)をリソース使用率測定のトリガとしてもよい。或いは、基地局20は送信周期毎にリソース使用率を測定するようにしてもよい。また、実施例2に係るMME30は削減すべきリソース量に基づいて停止警報を決定するため、削減リソース量以上の警報を停止してしまうことを防止することができる。実施例1と比較して、実施例2では基地局20においてより効率的にリソースを使用することができる。
【実施例3】
【0030】
実施例1及び実施例2では、基地局20が輻輳状態の検出を行い、MME30が停止警報の決定を行なうものとしたが、実施例3では基地局20が輻輳状態の検出及び停止警報の決定を行なう。以下、実施例1及び実施例2に比べた実施例3の特徴について説明する。
【0031】
図11は、本発明の実施例3に係る基地局20のブロック図である。実施例3に係る基地局20は通信部101と制御部102を具備し、制御部102は停止警報決定部105と記憶部106を具備する。実施例1及び実施例2と同様に、実施例3に係る基地局20はリソース使用率を測定して第1の閾値と比較する。基地局20のリソース使用率が第1の閾値以上である場合、基地局20は輻輳状態であると判定する。基地局20が輻輳状態であると判定されると、停止警報決定部105は停止警報を決定する。実施例3における停止警報の決定方法は実施例1と同様としてもよい。即ち、警報の緊急性の優先度を示す警報情報と第2の閾値とを比較して停止警報を決定してもよい。記憶部106は、基地局20で報知している警報の設定情報(例えば、警報のパラメータや実施例1で説明した警報情報)を記憶する。また、実施例2で説明した制御部102(
図7参照)に含まれるリソース使用率算出部103や輻輳状態算出部104を実施例3に係る基地局20の制御部102に具備するようにしてもよい。この場合、基地局20の停止警報決定部105は警報毎のリソース使用率や警報停止により削減すべきリソース量を考慮して停止警報を決定する。
【0032】
次に、実施例3に係る基地局20の動作について
図12を参照して説明する。
図12において、ステップS102及びS103は
図4と同一である。実施例3に係る基地局20では輻輳状態の検出だけでなく停止警報の決定も行なうため、ステップ601において警報情報(又は設定情報)、第1の閾値、第2の閾値をMME30などの上位装置から受信する。上位装置からの設定情報は基地局20の運用開始時に一度だけ設定されるようにしてもよく、或いは、個々の通信開始時に設定するようにしてもよい。基地局20はステップS102においてリソース使用率を測定し、ステップS103においてリソース使用率と第1の閾値とを比較して自身が輻輳状態にあるか判定する。基地局20が輻輳状態であると判定した場合、現在報知している警報について、警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たしているか判定する(ステップS602)。警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たしている場合(ステップS602の判定結果「Y」)、基地局20は警報の報知を停止する(ステップS603)。また、基地局20は停止警報に係る情報(例えば、警報の識別子)を示す第3の制御信号をMME30へ送信する(ステップS604)。基地局20において警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たしている警報がなければ(ステップS602の判定結果「N」)、フローはステップS102へ戻る。第3の制御信号は記録置換警報応答メッセージなど既存のS1−APメッセージを用いて送信してもよく、或いは、新規メッセージを用いて送信してもよい。
【0033】
実施例3に係る基地局20では輻輳状態の検出とともに停止警報の決定を行なっているため、基地局20とMME30との間で制御信号を送信する回数を削減することができる。これにより、基地局20とMME30において効率的にリソースを使用することができる。実施例3では停止警報の決定を基地局20で分散的に行なうため、MME30の処理負荷を低減することができる。
【実施例4】
【0034】
実施例1及び実施例2では、基地局20が輻輳状態の検出を行い、MME30が停止警報の決定を行なうものとしたが、実施例4ではMME30が基地局20の輻輳状態の検出並びに停止警報の決定を行なう。以下、実施例1及び実施例2に比べた実施例4の特徴について説明する。
【0035】
図13は、本発明の実施例4に係るMME30のブロック図である。実施例4に係るMME30は通信部201と制御部202を具備する。制御部202は記憶部204と輻輳状態検出部205を具備する。MME30はリソース使用率を示す第4の制御信号を基地局20から受信する。基地局20は第4の制御信号を周期的にMME30へ送信してもよく、或いは、所定のトリガにより送信するようにしてもよい。そして、輻輳状態検出部205はリソース使用率と第1の閾値とを比較する。基地局20のリソース使用率が第1の閾値以上である場合、MME30は基地局20が輻輳状態にあると判定する。実施例1及び実施例2と同様に、MME30は輻輳状態にある基地局20に対して停止警報を決定する。停止警報の決定方法は、実施例1と同様にしてもよい。即ち、警報の緊急性の優先度を示す警報情報と第2の閾値とを比較して停止警報を決定してもよい。また、実施例2に係る基地局20のリソース使用率算出部103と輻輳状態算出部104とを実施例4に係るMME30に具備してもよい。この場合、MME30は警報毎のリソース使用率や警報の停止により削減すべきリソース量を考慮して停止警報を決定する。
【0036】
次に、実施例4に係るMME30の動作について
図14を参照して説明する。
図14において、ステップS203及びS204は
図5と同一である。実施例4に係るMME30では基地局20の輻輳状態の検出並びに停止警報の決定を行なうため、ステップS701において、MME30は警報情報(又は、設定情報)、第1の閾値、第2の閾値をCBC40などの上位装置から受信する。上位装置からの設定情報はMME30の運用開始時に一度だけ設定してもよく、或いは、個々の通信開始時に設定するようにしてもよい。ステップS702において、MME30はリソース使用率を示す第4の制御信号を基地局20から受信したか判定する。第4の制御信号を受信した場合(ステップS702の判定結果「Y」)、MME30は基地局20のリソース使用率と第1の閾値とを比較する(ステップS703)。基地局20のリソース使用率が第1の閾値以上であり、基地局20が輻輳状態にあると判定された場合(ステップS703の判定結果「Y」)、MME30は警報情報と第2の閾値とが所定条件を満たしているか判定する(ステップS203)。MME30が第4の制御信号を受信していない場合(ステップS702の判定結果「N」)、或いは、基地局20のリソース使用率が第1の閾値未満の場合(ステップS703の判定結果「N」)、フローはステップS702へ戻る。また、警報情報と第2の閾値が所定条件を満たしていない場合(ステップS203の判定結果「N」)、フローはステップS702へ戻る。尚、ステップS203及びステップS204は実施例1及び実施例2と同様である。
【0037】
上記のように、実施例4に係るMME30において基地局20の輻輳状態の検出並びに停止警報の決定を行なうため、基地局20とMME30との間で制御信号の送信回数を削減することができる。これにより、実施例4では基地局20及びMME30において効率的にリソースを使用することができる。また、実施例4では基地局20の輻輳状態の検出をMME30で集中的に行なうため、基地局20の処理負荷を低減することができる。
【実施例5】
【0038】
実施例3及び実施例4では基地局20のリソース使用率に拘らず第2の閾値が固定であるものとしたが、実施例5では基地局20のリソース使用率に応じて第2の閾値が設定される。以下、実施例3及び実施例4に比べた実施例5の特徴について説明する。
【0039】
実施例5に係る基地局20において、リソース使用率に応じて第2の閾値を設定する処理について説明する。基地局20が輻輳状態にあると判定した場合、警報情報と第2の閾値とを比較して停止警報を決定するが、第2の閾値が輻輳状態の判定に用いられるリソース使用率に応じて自動的に設定される。
図15は、リソース使用率と第2の閾値との関係を示すテーブルである。
図15のテーブルは基地局20の記憶部106に格納される。警報情報として警報の緊急性の優先度を用い、最も低い優先度を「0」、最も高い優先度を「5」とする。例えば、基地局20のリソース使用率が70%の場合、第2の閾値を「3」に設定する。この場合、基地局20は優先度が「2」以下の警報を停止警報として決定する。尚、
図15のテーブルは例示であり限定的なものではない。
【0040】
リソース使用率と第2の閾値との関係を示すテーブルは、MME30などの上位装置から基地局20に設定してもよいし、或いは、基地局20が予め保持するようにしてもよい。当該テーブルを上位装置から基地局20に設定する場合、基地局20の運用開始時に一度だけ設定するようにしてもよいし、或いは、個々の通信開始時に設定するようにしてもよい。
【0041】
上記の説明では、基地局20にテーブルを記憶するようにしたが、MME30にテーブルを記憶するようにしてもよい。この場合、
図15のテーブルはMME30の記憶部204に格納される。当該テーブルは上位装置からMME30に設定するようにしてもよいし、或いは、MME30が予め保持するようにしてもよい。当該テーブルを上位装置からMME30に設定する場合、MME30の運用開始時に一度だけ設定するようにしてもよいし、或いは、個々の通信開始時に設定するようにしてもよい。
【0042】
上述のように、実施例5では基地局20のリソース使用率に応じて第2の閾値が自動的に設定されるため、基地局20又はMME30は柔軟に停止警報を決定することができる。これにより、基地局20又はMME30は効率的にリソースを使用することができる。
【実施例6】
【0043】
実施例1乃至実施例5では基地局20の種類に拘らず第2の閾値を固定としたが、実施例6では基地局20の種類に応じて第2の閾値を設定する。以下、実施例3及び実施例5と比べた実施例6の特徴について説明する。
【0044】
実施例6に係る基地局20において自身の種類に応じて第2の閾値を設定する処理について説明する。基地局20が輻輳状態にあると判定した場合、警報情報と第2の閾値とを比較して停止警報を決定するが、第2の閾値は基地局20の種類に応じて設定される。
図16は、基地局20の種類と第2の閾値との関係を示すテーブルである。当該テーブルは基地局20の記憶部106に格納される(
図11参照)。警報情報として警報の緊急性を示す優先度を用い、最も低い優先度を「0」とし、最も高い優先度を「5」とする。基地局20の種類として、マクロセルを構成するマクロ基地局、ピコセルを構成するピコ基地局、フェトムセルを構成するフェトム基地局がある。フェトム基地局は、HNB(Home Node B)又はHeNB(Home eNode B)である。実施例6では、基地局20の種類に応じて第2の閾値を設定する。例えば、基地局20がピコ基地局である場合、第2の閾値を「3」に設定する。そして、基地局20は優先度が「2」以下の警報を停止することを決定する。尚、
図16のテーブルは例示的なものであり限定的なものではない。
【0045】
基地局20の種類と第2の閾値との関係を示すテーブルは、MME30などの上位装置から設定されてもよく、或いは、基地局20自身が予め保持してもよい。当該テーブルを上位装置から基地局20に設定する場合、基地局20の運用開始時に一度だけ設定してもよいし、或いは、個々の通信開始時に設定するようにしてもよい。
【0046】
上述の説明では、基地局20において自身の種類に応じて第2の閾値を設定するものとしたが、MME30において第2の閾値を設定してもよい。この場合、
図16のテーブルはMME30の記憶部204に格納される(
図13参照)。また、このテーブルは上位装置からMME30に設定してもよく、或いは、MME30自身が予め保持するようにしてもよい。当該テーブルを上位装置からMME30に設定する場合、MME30の運用開始時に一度だけ設定してもよいし、或いは、個々の通信開始時に設定するようにしてもよい。
【0047】
上述のように、実施例6では基地局20の種類に応じて第2の閾値を設定するため、基地局20又はMME30は柔軟に停止警報を決定することができる。これにより、基地局20又はMME30は効率的にリソースを使用することができる。例えば、マクロ基地局に比べて狭いカバレッジエリアとなるマイクロ基地局やピコ基地局では低い優先度の警報を繰返し報知する利点がないと考えられる。その場合、マイクロ基地局やピコ基地局では低い優先度の警報を繰返し報知しないように設定してもよい。
【0048】
実施例1乃至実施例6に係る通信システムの動作は、
図2や
図3で示した装置(即ち、基地局20やMME30)、或いは、当該装置と通信可能な他の装置に搭載されるCPUにより制御するものとしてもよい。この場合、各実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を用意し、各装置のCPUが記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出すことにより書く実施例の動作を実行する。プログラムを提供する記録媒体として、例えば、CD−ROM、DVD−R、光ディスク、磁気ディスク、不揮発メモリカードを用いることができる。尚、実施例1乃至実施例5に係る基地局20では、実施例6に係る基地局20と異なり、基地局20の種類を限定する必要はない。
【0049】
最後に、本発明は実施例1乃至実施例6に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲に定義される発明の範囲内の設計変更や改変をも包含するものである。