【文献】
堀部洋典、ほか,アドホックネットワークにおける効率的なチャネル利用法の提案と評価,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会,2004年 3月 4日,第2004巻、第21号,第87-94ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の通信装置を含む通信システム100Aの一例を示したブロック図である。
【0014】
通信システム100Aは、車載機100−1〜100−6と路側機100−7とを含む。車載機100−1〜100−6および路側機100−7は、通信装置の一例である。なお、
図1では、車載機の数を6としているが、車載機の数は6に限らず適宜変更可能である。また、路側機の数を1としているが、路側機の数は1に限らず適宜変更可能である。車載機100−1〜100−6と路側機100−7は互いに直接的または間接的に通信可能である。
【0015】
図2は、車載機100−1〜100−6や路側機100−7として用いられる通信装置100を示したブロック図である。
【0016】
通信装置100は、複数の無線チャネルを同時に使用する。本実施形態では、複数の無線チャネルとして、2つの無線チャネルが用いられる。なお、同時に使用される複数の無線チャネルの数は、2つに限らず3つ以上でもよい。
【0017】
通信装置100は、アンテナ部110と、受信部120と、送信部130と、現状通知部140と、受信処理部150と、マルチポップ設定部160と、アプリケーション部170と、送信処理部180と、を含む。なお、マルチポップ設定部160と送信処理部180とは、制御部190に含まれる。
【0018】
アンテナ部110は、アンテナ111および112を含む。アンテナ111および112は、種々のパケットを送受信する一般的なアンテナである。
【0019】
受信部120は、受付手段の一例である。
【0020】
受信部120は、無線受信部121および122を含む。
【0021】
無線受信部121および122には、互いに周波数が異なる無線チャネルが個別に設定される。
【0022】
本実施形態では、無線受信部121には、無線チャネルとして、CCH(制御チャネル)が設定される。CCHは、例えば、安全に関する情報または重要な情報を送信するときに利用される。一方、無線受信部122には、無線チャネルとして、互いに周波数が異なる複数のSCH(サービスチャネル)のいずれかが設定される。SCHは、例えば、快適、利便または娯楽に関する情報を送信するときに利用される。
【0023】
なお、無線受信部121に設定される無線チャネルは、CCHに限らず適宜変更可能である。また、無線受信部122に設定される無線チャネルは、SCHに限らず適宜変更可能である。
【0024】
無線受信部121および122は、それぞれ、自己に設定された無線チャネルを介して送信されたパケットを、アンテナ111または112を用いて受信する。無線受信部121および122は、パケットを受信すると、そのパケットを受信処理部150に出力する。
【0025】
送信部130は、送信手段の一例である。
【0026】
送信部130は、無線送信部131および132を含む。
【0027】
無線送信部131には、無線受信部121に設定された無線チャネルと同一の無線チャネル(本実施形態では、CCH)が設定される。無線送信部131は、自己に設定された無線チャネルを介して、アンテナ111を用いてパケットを送信する。
【0028】
無線送信部132には、無線受信部122に設定された無線チャネルと同一の無線チャネル(本実施形態では、複数のSCHのいずれか)が設定される。無線送信部132は、自己に設定された無線チャネルを介して、アンテナ112を用いてパケットを送信する。
【0029】
現状通知部140は、無線送信部131およびアンテナ111を用いて、他の通信装置に、現状通知パケットを送信する。なお、現状通知部140は、無線送信部132およびアンテナ112を用いて、他の通信装置に、現状通知パケットを送信してもよい。
【0030】
現状通知パケットは、他の通信装置で転送されるマルチホップパケットであり、通信装置100の識別情報である通信装置IDと、通信装置100の位置を示す位置情報と、通信装置100が使用可能な無線チャネル(本実施形態では、CCHと複数のSCH)を示すチャネル情報と、現状通知パケットのホップ実績数を示すホップ実績数情報と、を含む。
【0031】
また、現状通知パケットは、マルチホップ通信に必要な情報(例えば、宛先を示す情報、残りホップ数を示す情報、または、送信エリアを示す送信エリア情報)も含む。
【0032】
なお、ホップ実績数情報は、初期値が「1」であり、現状通知パケットが転送(ホップ)されるごとに、転送を実行する通信装置にて1ずつ増加される。
【0033】
また、残りホップ数を示す情報は、初期値が「予定ホップ数」であり、現状通知パケットが転送(ホップ)されるごとに、転送を実行する通信装置にて1ずつ減少される。残りホップ数が「0」であるマルチホップパケットを受信した通信装置は、そのマルチポップパケットを転送しない。
【0034】
また、通信装置100の位置については、例えば、現状通知部140が、GPS(Global Positioning System)を用いて通信装置100の位置を取得してもよいし、アプリケーション部170がGPSを用いて通信装置100の位置を取得し、その取得結果を現状通知部140に通知してもよい。
【0035】
受信処理部150は、無線受信部121からのパケットおよび無線受信部122からのパケットのうち、マルチホップパケット(例えば、現状通知パケット)を、マルチホップ設定部160に出力する。
【0036】
また、受信処理部150は、無線受信部121からのパケットおよび無線受信部122からのパケットのうち、通信装置100宛てのパケットや、パケットに示された送信エリア内に通信装置100の位置が含まれるパケットや、残りホップ数が「0」であるパケット等の、アプリケーション部170が利用するパケットを、アプリケーション部170に出力する。
【0037】
また、受信処理部150は、無線受信部121からのパケットおよび無線受信部122からのパケットのうち、ブロードキャストパケットであってマルチホップパケットでもあるパケット、および、残りホップ数が「0」であるマルチホップパケットについては、それらのパケットをマルチホップ設定部160とアプリケーション部170の両方に出力する。
【0038】
マルチホップ設定部160は、受信処理部150からのマルチホップパケットのうち、現状通知パケットについては、現状通知パケットのコピーを生成し、そのコピー(現状通知パケット)を記憶する。
【0039】
また、マルチホップ設定部160は、受信処理部150からのマルチホップパケット(現状通知パケットを含む)に記載の宛先やホップ数(残りホップ数)を確認し、他の通信装置に転送する必要があれば、送信処理部180に、受信処理部150からのマルチホップパケットを出力する。
【0040】
また、マルチホップ設定部160は、他の通信装置に転送する必要があるマルチホップパケットに、転送用無線チャネルを示す転送チャネル指定情報が付加されており、かつ、その転送用無線チャネルが受信部120および送信部130に設定されておらず、かつ、無線受信部122および無線送信部132が、その転送用無線チャネルを設定可能である場合に、その転送用無線チャネルを無線受信部122および無線送信部132に設定する。
【0041】
アプリケーション部170は、受信処理部150からのパケットに応じた処理を行う。
【0042】
また、アプリケーション部170は、残りホップ数を指定したマルチホップパケットや、送信エリアを指定したマルチホップパケット(ジオキャスト用パケット)を送信する際、つまり、通信装置100がマルチホップパケットの送信元になる場合、そのマルチホップパケットを送信処理部180に出力する。なお、アプリケーション部170からのマルチホップパケットは、マルチホップ通信に必要な情報(例えば、宛先を示す情報、残りホップ数を示す情報、または、送信エリアを示す送信エリア情報)も含む。
【0043】
送信処理部180は、マルチホップ設定部160からのマルチホップパケットを、無線送信部131または132からアンテナ111または112を介して送信する。
【0044】
例えば、送信処理部180は、マルチホップ設定部160からのマルチホップパケットに転送チャネル指定情報が付加されている場合、無線送信部131および132のうち、その転送チャネル指定情報にて示された無線チャネルが設定されている無線送信部から、アンテナ111または112を介して、そのマルチホップパケットを送信する。
【0045】
また、送信処理部180は、アプリケーション部170からマルチホップパケットを受け付けた場合、マルチホップ設定部160内の現状通知パケットのうち、ホップ実績数情報が「1」を示す現状通知パケット、つまり、通信装置100と1ホップで通信する他の通信装置からの現状通知パケットを、対象パケットとして特定する。
【0046】
送信処理部180は、対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中から、通信装置100が送信元となるマルチホップパケットを送信するために使用される送信用無線チャネルとは異なる無線チャネルを、マルチホップパケットの転送用無線チャネルとして選択する。
【0047】
なお、通信装置100が送信元となるマルチホップパケットの送信用無線チャネルは、例えば、予め設定されている。本実施形態では、通信装置100が送信元となるマルチホップパケットの送信用無線チャネルとして、CCHが設定されているとする。なお、通信装置100が送信元となるマルチホップパケットの送信用無線チャネルは、CCHに限らず、適宜変更可能である。
【0048】
送信処理部180は、転送用無線チャネルを示す転送チャネル指定情報(第2情報)を、アプリケーション部170からのマルチホップパケットに付加する。
【0049】
送信処理部180は、転送チャネル指定情報が付加されたマルチホップパケットを、無線送信部131および132のうち、送信用無線チャネルが設定されている無線送信部(本実施形態では、無線送信部131)から、アンテナ111または112(本実施形態では、アンテナ111)を介して送信する。
【0050】
制御部190は、制御手段および転送手段の一例であり、制御部190内のマルチホップ設定部160および送信処理部180が動作することで、パケットを用いた通信を制御する。
【0052】
まず、現状通知パケットの送信時の動作を説明する。
【0053】
現状通知部140は、送信部130およびアンテナ部110を用いて、他の通信装置に、現状通知パケットを送信する。
【0054】
次に、現状通知パケットの受信時の動作を説明する。
【0055】
図3は、現状通知パケットの受信時の動作を説明するためのフローチャートである。
【0056】
受信処理部150は、アンテナ部110および受信部120を介して、他の通信装置から現状通知パケットを受信すると(ステップA1)、その現状通知パケットをマルチホップ設定部160に出力する。
【0057】
マルチホップ設定部160は、受信処理部150から現状通知パケットを受け付けると、現状通知パケットのコピーを生成し、そのコピー(現状通知パケット)を記憶する(ステップA2)。
【0058】
なお、マルチホップ設定部160は、受信処理部150から現状通知パケットを受け付けた際に、その現状通知パケット内の通信装置IDと同一の通信装置IDを有する現状通知パケットのコピーを既に記憶している場合には、既に記憶している現状通知パケットのコピーを、新たに受け付けられた現状通知パケットのコピーに更新する。
【0059】
続いて、マルチホップ設定部160は、現状通知パケット内の情報が示す残りホップ数が「0」でない場合、または、現状通知パケット内の宛先が通信装置100ではない場合、現状通知パケットを他の通信装置に転送する必要があると判断する(ステップA3)。
【0060】
現状通知パケットを他の通信装置に転送する必要がある場合、マルチホップ設定部160は、現状通知パケット内の情報が示す残りホップ数を、現在の値から「1」を減算し、かつ、現状通知パケット内のホップ実績数情報が示すホップ実績数を、現在の値よりも「1」増加し、その後、その現状通知パケットを送信処理部180に出力する。送信処理部180は、マルチホップ設定部160から現状通知パケットを受け付けると、その現状通知パケットを送信部130(例えば、無線送信部131)およびアンテナ部100(例えば、アンテナ111)を用いて、他の通信装置に送信する(ステップA4)。なお、送信処理部180は、現状通知パケットを転送するために、無線送信部132およびアンテナ112を用いてもよい。
【0061】
一方、現状通知パケットを他の通信装置に転送する必要がない場合、つまり、現状通知パケット内の情報が示す残りホップ数が「0」である場合、または、現状通知パケット内の宛先が通信装置100である場合(ステップA3)、処理がステップA1に戻る。
【0062】
次に、通信装置100がマルチホップパケットの送信元になるときの動作を説明する。
【0063】
図4は、通信装置100がマルチホップパケットの送信元になるときの動作を説明するためのフローチャートである。
【0064】
アプリケーション部170は、通信装置100がマルチホップパケットの送信元になる場合、マルチホップパケットを送信処理部180に出力する。
【0065】
送信処理部180は、アプリケーション部170からマルチホップパケットを受け付けた場合、マルチホップ設定部160内の現状通知パケットのうち、ホップ実績数情報が「1」を示す現状通知パケット、つまり、通信装置100と1ホップで通信する他の通信装置からの現状通知パケットを、対象パケットとして特定する(ステップB1)。
【0066】
続いて、送信処理部180は、対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中から、通信装置100が送信元となるマルチホップパケットの送信用無線チャネルと異なる無線チャネルを、マルチホップパケットの転送用無線チャネルとして選択する(ステップB2)。
【0067】
なお、ステップB2において、対象パケットが複数存在する場合には、送信処理部180は、複数の対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルのうち送信用無線チャネルと異なる無線チャネルの中で、複数の対象パケット内のチャネル情報に示された数が最も多い無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。
【0068】
また、対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中に、送信用無線チャネルとは異なる無線チャネルが複数存在する場合、送信処理部180は、送信用無線チャネルとは異なる複数の無線チャネルの中から、所定の条件(例えば、最も周波数の高い無線チャネルを選択するという条件、または、最も周波数の低い無線チャネルを選択するという条件)に従って、1つの無線チャネルを選択し、その1つの無線チャネルをマルチホップパケットの転送用無線チャネルとして用いる。
【0069】
なお、ステップB2において、マルチホップパケットを所定送信エリア(例えば、通信装置100の進行方向側に存在するエリア、または、通信装置100の進行方向と逆方向側に存在するエリア)へ向けて送信する場合、つまり、ジオキャスト用パケットを送信する場合、送信処理部180は、以下のように動作する。
【0070】
送信処理部180は、まず、対象パケットの中から、位置情報の示す位置が所定送信エリア内である対象パケットおよび位置情報の示す位置が通信装置100と所定送信エリアとの間のエリア内である対象パケットを、参照対象パケットとして特定する。なお、参照対象パケット内の通信装置IDにて識別される通信装置は、対象通信装置の一例となる。
【0071】
そして、送信処理部180は、参照対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中から、送信用無線チャネルと異なる無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。この場合、例えば、送信処理部180は、参照対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルのうち送信用無線チャネルと異なる無線チャネルの中で、参照対象パケット内のチャネル情報に示された数が最も多い無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。
【0072】
また、参照対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中に、送信用無線チャネルとは異なる無線チャネルが複数存在する場合、送信処理部180は、送信用無線チャネルとは異なる複数の無線チャネルの中から、所定の条件に従って、1つの無線チャネルを選択し、その1つの無線チャネルをマルチホップパケットの転送用無線チャネルとして用いる。
【0073】
送信処理部180は、転送用無線チャネルを選択すると、転送用無線チャネルを示す転送チャネル指定情報を、アプリケーション部170からのマルチホップパケットに付加する(ステップB3)。
【0074】
続いて、送信処理部180は、転送チャネル指定情報が付加されたマルチホップパケットを、無線送信部131および132のうち、送信用無線チャネルが設定されている無線送信部(本実施形態では、無線送信部131)から、アンテナ111または112(本実施形態では、アンテナ111)を介して送信する。
【0075】
次に、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットの受信時の動作を説明する。
【0076】
図5は、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットの受信時の動作を説明するためのフローチャートである。
【0077】
受信処理部150は、アンテナ部110および受信部120を介して、他の通信装置から転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを受信すると(ステップC1)、その転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットをマルチホップ設定部160に出力する。
【0078】
マルチホップ設定部160は、受信処理部150から転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを受け付けると、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケット内の情報が示す残りホップ数が「0」でない場合、または、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケット内の宛先が通信装置100ではない場合、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを他の通信装置に転送する必要があると判断する(ステップC2)。
【0079】
転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを他の通信装置に転送する必要がある場合には、マルチホップ設定部160は、まず、マルチホップパケットに付加された転送チャネル指定情報が示す転送用無線チャネルが、受信部120および送信部130に設定されているかを確認する(ステップC3)。
【0080】
転送チャネル指定情報が示す転送用無線チャネルが、受信部120および送信部130に設定されている場合、マルチホップ設定部160は、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケット内の情報が示す残りホップ数を、現在の値から「1」を減算し、その後、その転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを送信処理部180に出力する。送信処理部180は、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを受け付けると、無線送信部131および132のうち、その転送チャネル指定情報にて示された無線チャネルが設定されている無線送信部から、アンテナ111または112を介して、その転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを送信する(ステップC4)。
【0081】
一方、転送チャネル指定情報が示す転送用無線チャネルが、受信部120および送信部130に設定されていない場合(ステップC3)、マルチホップ設定部160は、無線受信部122および無線送信部132が、その転送用無線チャネルを設定可能であるかを確認する(ステップC5)。
【0082】
無線受信部122および無線送信部132が、転送用無線チャネルを設定可能である場合、マルチホップ設定部160は、無線受信部122および無線送信部132に、転送用無線チャネルを設定し(ステップC6)、続いて、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケット内の情報が示す残りホップ数を、現在の値から「1」を減算し、その後、送信処理部180に転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを出力して、ステップC4が実行される。
【0083】
一方、無線受信部122および無線送信部132が、転送用無線チャネルを設定可能でない場合、マルチホップ設定部160は、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットの転送を行わない。
【0084】
図6は、本実施形態での転送の一例を示した図である。
【0085】
図6では、情報の発信元である車載機1が、チャネルCH1(例えば、CCH)を用いて情報を送信し、中継器となる車載機2および3が、転送チャネル指定情報にて示されたチャネルCH2(例えば、複数のSCHのいずれか)を用いて情報を転送し、情報の宛先である車載機4が情報を受信する。
【0086】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0087】
本実施形態によれば、受信部120は、複数の無線チャネルのいずれかを介して、他の通信装置から、他の通信装置が使用可能な複数の無線チャネルを示すチャネル情報を受け付ける。制御部190は、チャネル情報が示す複数の無線チャネルの中から、マルチホップ通信が行われるマルチホップパケット(第1情報)の送信用無線チャネルと異なる無線チャネルを、そのマルチホップパケット(第1情報)の転送用無線チャネルとして選択し、転送用無線チャネルを示す転送チャネル指定情報(第2情報)を、そのマルチホップパケット(第1情報)に付加する。送信部130は、転送チャネル指定情報(第2情報)が付加されたマルチホップパケット(第1情報)を、送信用無線チャネルを用いて送信する。
【0088】
このため、マルチホップパケットの送信元が使用する無線チャネルと、マルチホップパケットの転送に用いる無線チャネルとを、異なる無線チャネルとすることが可能になる。よって、複数の無線チャネルのいずれかに負荷が集中することを低減可能になる。
【0089】
本実施形態では、転送用無線チャネルを選択する際に使われるチャネル情報として、通信装置100と1ホップで通信する通信装置(他の通信装置)からのチャネル情報が用いられる。このため、転送チャネル指定情報が付加されたマルチホップパケットが、1ホップで通信する通信装置に転送されない可能性を低くすることが可能になる。なお、転送用無線チャネルを選択する際に使われるチャネル情報として、通信装置100と1ホップ以上のホップ数で通信する通信装置(他の通信装置)からのチャネル情報が用いられてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、制御部190は、受付部120が、複数の他の通信装置からチャネル情報をそれぞれ受け付けた場合には、複数のチャネル情報にて示された複数の無線チャネルのうち送信用無線チャネルと異なる無線チャネルの中で、複数のチャネル情報に示された数が最も多い無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。このため、転送チャネル指定情報が付加されたマルチホップパケットが転送されない可能性を低くすることが可能になる。
【0091】
また、本実施形態では、制御部190は、マルチホップパケットを所定送信エリアへ向けて送信する場合には、複数の他の通信装置の中から、位置情報の示す位置が所定送信エリア内である通信装置および位置情報の示す位置が自装置と所定送信エリアとの間のエリア内である通信装置を、対象通信装置として特定する。そして、制御部190は、対象通信装置からのチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中から、送信用無線チャネルと異なる無線チャネルを転送用無線チャネルとして選択する。このため、複数の無線チャネルのいずれかに負荷が集中することを低減しつつ、無駄なマルチパケットの送信を抑制することが可能になる。
【0092】
また、本実施形態では、制御部190は、転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを受信処理部150から受け付けた場合、その転送チャネル指定情報付きマルチホップパケットを、転送チャネル指定情報が示す転送用無線チャネルを用いて転送先へ転送する。このため、マルチホップパケットの送信元が使用する無線チャネルと、マルチホップパケットの転送に用いる無線チャネルとを、異なる無線チャネルとすることが可能になる。よって、複数の無線チャネルのいずれかに負荷が集中することを低減可能になる。
【0093】
なお、受信処理部150が、さらに、自装置の複数の無線チャネルの各々の混雑度を検出し、その検出結果を、マルチホップ設定部160を介して送信処理部180に出力し、送信処理部180が、送信用無線チャネルを、自装置の複数の無線チャネルの混雑度に基づいて選択してもよい。例えば、送信処理部180は、自装置の複数の無線チャネルのうち、最も混雑度の低い無線チャネルを送信用無線チャネルとして選択する。この場合、受信処理部150は、検出手段の一例となる。
【0094】
また、通信装置100は、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、受信部120、送信部130、現状通知部140、受信処理部150、マルチホップ設定部160、アプリケーション部170および送信処理部180として機能する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
【0095】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の通信装置200を示したブロック図である。
図7において、
図2に示したものと同一構成のものについては同一符号を付してある。
【0096】
図7に示した通信装置200は、送信処理部180の代わりに送信処理部180Aを有する点で、
図2に示した通信装置100と異なる。以下、通信装置200について通信装置100と異なる点、具体的には、送信処理部180Aについて送信処理部180と異なる点を中心に説明する。
【0097】
送信処理部180Aは、アプリケーション部170からマルチホップパケットを受け付けた場合、つまり、通信装置200がパケットの送信元となる場合、そのマルチホップパケットに、そのマルチホップパケットの送信用無線チャネルを示す送信チャネル情報を付加する。そして、送信処理部180Aは、送信チャネル情報が付加されたマルチホップパケットを、送信部130およびアンテナ部110を用いて送信する。
【0098】
また、送信処理部180Aは、マルチホップ設定部160から、転送を要し送信チャネル情報が付加されたマルチホップパケット(以下「転送情報」と称する)を受け付けた場合、マルチホップ設定部160内の現状通知パケットのうち、ホップ実績数情報が「1」を示す現状通知パケット、つまり、通信装置200と1ホップで通信する他の通信装置からの現状通知パケットを、対象パケットとして特定する。
【0099】
そして、送信処理部180Aは、対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルに基づいて、通信装置200の複数の無線チャネルの中から、送信チャネル情報が示す送信無線チャネルとは異なる無線チャネルを、転送情報の転送に使用する転送用無線チャネルとして選択する。
【0100】
例えば、送信処理部180Aは、通信装置200の複数の無線チャネルのうち送信無線チャネルとは異なる無線チャネルの中で、複数の対象パケット内のチャネル情報にて最も多く示された無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。
【0101】
また、対象パケット内のチャネル情報が示す複数の無線チャネルの中に、送信用無線チャネルとは異なる無線チャネルが複数存在する場合、送信処理部180Aは、送信用無線チャネルとは異なる複数の無線チャネルの中から、所定の条件(例えば、最も周波数の高い無線チャネルを選択するという条件、または、最も周波数の低い無線チャネルを選択するという条件)に従って、1つの無線チャネルを選択し、その1つの無線チャネルをマルチホップパケットの転送用無線チャネルとして用いる。
【0102】
そして、送信処理部180Aは、転送用無線チャネルを受信部120および送信部130に設定し、送信部130およびアンテナ部110を用いて、転送情報を転送先へ転送する。
【0103】
制御部190Aは、処理手段の一例であり、制御部190A内のマルチホップ設定部160および送信処理部180Aが動作することで、パケットを用いた通信を制御する。
【0104】
図8は、本実施形態での転送の一例を示した図である。
【0105】
図8では、情報の発信元である車載機1Aが、使用可能なチャネルとしてCH1およびCH2を有し、中継機となる車載機2Aが、使用可能なチャネルとしてCH1およびCH3を有し、中継機となる車載機3Aが、使用可能なチャネルとしてCH2およびCH3を有し、情報の宛先である車載機4Aが、使用可能なチャネルとしてCH1およびCH2を有している状況で、車載機1Aが、チャネルCH1を用いて転送情報を送信した例を示している。
図8に示した例では、車載機2Aは、チャネルCH3を転送用チャネルとして用い、車載機3Aは、チャネルCH2を転送用チャネルとして用いている。
【0106】
本実施形態によれば、制御部190Aは、複数の無線チャネルのいずれかを介して、送信チャネル情報が付された転送情報を受信した場合に、他の通信装置からのチャネル情報が示す複数の無線チャネルに基づいて、通信装置200の複数の無線チャネルの中から、送信無線チャネルとは異なる無線チャネルを転送用無線チャネルとして選択し、転送用無線チャネルを用いて転送情報を転送先へ転送する。
【0107】
このため、転送情報の送信元が使用する無線チャネルと、転送情報の転送に用いる無線チャネルとを、異なる無線チャネルとすることが可能になる。よって、複数の無線チャネルのいずれかに負荷が集中することを低減可能になる。
【0108】
また、本実施形態では、転送用無線チャネルを選択する際に使われるチャネル情報として、通信装置200と1ホップで通信する通信装置(他の通信装置)からのチャネル情報が用いられる。このため、送信チャネル情報が付された転送情報が、1ホップで通信する通信装置に転送されない可能性を低くすることが可能になる。なお、転送用無線チャネルを選択する際に使われるチャネル情報として、通信装置200と1ホップ以上のホップ数で通信する通信装置(他の通信装置)からのチャネル情報が用いられてもよい。
【0109】
また、本実施形態では、制御部190Aは、通信装置200の複数の無線チャネルのうち送信無線チャネルとは異なる無線チャネルの中で、他の通信装置からの複数のチャネル情報にて最も多く示された無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。このため、送信チャネル情報が付された転送情報が転送されない可能性を低くすることが可能になる。
【0110】
また、受信処理部150が、さらに、自装置の複数の無線チャネルの各々の混雑度を検出し、その検出結果を、マルチホップ設定部160を介して送信処理部180Aに出力し、送信処理部180Aが、転送用無線チャネルを、自装置の複数の無線チャネルの混雑度と、他の通信装置からのチャネル情報が示す複数の無線チャネルと、に基づいて選択してもよい。例えば、送信処理部180Aは、自装置の複数の無線チャネルのうち、所定値以下の混雑度を有する無線チャネルを選択し、その選択された無線チャネルの中で、他の通信装置からの複数のチャネル情報にて最も多く示された無線チャネルを、転送用無線チャネルとして選択する。
【0111】
また、通信装置200は、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、受信部120、送信部130、現状通知部140、受信処理部150、マルチホップ設定部160、アプリケーション部170および送信処理部180Aとして機能する。
【0112】
なお、上記各実施形態では、無線受信部121と無線送信部131との無線チャネルを1つに固定したが、無線受信部121と無線送信部131との無線チャネルを、無線受信部122と無線送信部132のように変更可能にしてもよい。
【0113】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0114】
この出願は、2011年8月24日に出願された日本出願特願2011−182596を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。