特許第5983802号(P5983802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983802
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/50 20060101AFI20160823BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20160823BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20160823BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20160823BHJP
   B63H 21/32 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 53/75 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20160823BHJP
   B01D 53/79 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B01D53/50 270
   B01D53/18 150
   F01N3/04 A
   F01N3/08 A
   B63H21/32 Z
   B01D53/75
   B01D53/78
   B01D53/79
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-34389(P2015-34389)
(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-155075(P2016-155075A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 七絵
(72)【発明者】
【氏名】榎並 義晶
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】乾 貴誌
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−192361(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/107816(WO,A1)
【文献】 特公昭47−013231(JP,B1)
【文献】 特開昭59−049823(JP,A)
【文献】 特開平09−049627(JP,A)
【文献】 特開昭63−225504(JP,A)
【文献】 特開平09−173764(JP,A)
【文献】 特開平07−171337(JP,A)
【文献】 特開昭50−105540(JP,A)
【文献】 特開昭52−096973(JP,A)
【文献】 特公昭47−050703(JP,B1)
【文献】 特公昭47−013232(JP,B1)
【文献】 特公昭46−005099(JP,B1)
【文献】 特公昭56−028169(JP,B1)
【文献】 特開昭51−099667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/50
B01D 53/18
B01D 53/75
B01D 53/78
B01D 53/79
B01D 47/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを処理する排ガス処理装置であって、
排ガスが導入される底部側から排ガスが排出される上部側への高さ方向に延伸する内部空間を有する反応塔と、
前記反応塔の前記内部空間において前記高さ方向に延伸し、液体を搬送する幹管と、
前記幹管の外側側面から前記反応塔の内側側面に向けて延伸して設けられ、前記幹管から供給される液体を噴射する噴射部を各々有し、異なる高さ位置に設けられた、複数の枝管と
前記反応塔内に前記排ガスを旋回するように流入させる排ガス導入部と
を備え、
前記高さ方向に隣接する枝管の各々の前記噴射部から噴射される前記液体の噴射領域同士が、前記高さ方向から見た上面図において部分的に重なり合う領域を有し、
前記高さ方向における前記複数の枝管の間隔は、前記排ガスが排出される前記反応塔の上部における間隔が、前記排ガスが流入する前記反応塔の底部における間隔よりも狭い排ガス処理装置。
【請求項2】
前記排ガスが排出される前記反応塔の上部における、前記幹管の前記液体の流路の断面積は、前記排ガスが導入される前記反応塔の底部における前記幹管の前記液体の流路の断面積よりも小さい
請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
排ガスを処理する排ガス処理装置であって、
排ガスが導入される底部側から排ガスが排出される上部側への高さ方向に延伸する内部空間を有する反応塔と、
前記反応塔の前記内部空間において前記高さ方向に延伸し、液体を搬送する幹管と、
前記幹管の外側側面から前記反応塔の内側側面に向けて延伸して設けられ、前記幹管から供給される液体を噴射する噴射部を各々有し、異なる高さ位置に設けられた、複数の枝管と
前記反応塔内に前記排ガスを旋回するように流入させる排ガス導入部と
を備え、
前記高さ方向に隣接する枝管の各々の前記噴射部から噴射される前記液体の噴射領域同士が、前記高さ方向から見た上面図において部分的に重なり合う領域を有し、
前記複数の枝管のうち、前記高さ方向において隣接する枝管同士が成す角度は、前記排ガスが排出される前記反応塔の上部の方が、前記排ガスが流入する前記反応塔の底部よりも小さい排ガス処理装置。
【請求項4】
前記高さ方向から前記複数の枝管を見た上面図において、前記隣接する枝管が成す角度のうち、最も大きい角度は60度よりも小さい
請求項1から3のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記上面図において、前記複数の枝管は前記幹管の周りを少なくとも一周するよう設けられている
請求項1から4のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記上面図において、前記複数の枝管は前記幹管の周りを少なくとも二周するよう設けられており、
二周目の前記枝管のそれぞれは、前記上面図において、一周目の前記枝管のうち隣接する2つの前記枝管の中央に配置される
請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記高さ方向における前記複数の枝管の間隔は、前記排ガスが排出される前記反応塔の上部で、前記排ガスが流入する前記反応塔の底部より密である
請求項に記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記複数の枝管は、前記反応塔に流入される排ガスの旋回方向と同じ回転方向を有する螺旋状に設けられる
請求項1から7のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記複数の枝管は、前記反応塔に流入される排ガスの旋回方向と逆向きの回転方向を有する逆向き螺旋状に設けられる
請求項1から7のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項10】
前記複数の枝管は前記上面図において重ならないよう設けられている、
請求項8または9に記載の排ガス処理装置。
【請求項11】
前記枝管には噴射部が設けられ、前記噴射部が噴射する液体の粒径は、前記排ガスが排出される前記反応塔の上部の方が、前記排ガスが流入する前記反応塔の底部よりも小さい
請求項1から10のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項12】
単位体積当たりに噴射される液体の粒数が、前記排ガスが排出される前記反応塔の上部の方が、前記排ガスが流入する前記反応塔の底部よりも多い
請求項1から11のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項13】
前記排ガス処理装置は、船舶用の排ガス処理装置である
請求項1から12のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項14】
前記船舶は、高さ方向に複数の階層を有し、
前記反応塔は、前記船舶の2以上の階層に渡って設けられ、
前記高さ方向に対して垂直な平面における前記反応塔の前記内部空間の断面積は、前記船舶の階層に応じて異なる、
請求項13に記載の排ガス処理装置。
【請求項15】
各々の前記階層に設けられる前記枝管の延伸長さは、前記内部空間の断面積に応じて異なる
請求項14に記載の排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部で海水等を噴霧している吸収塔の底部から上部に排ガスを通過させて、排ガス中の有害成分を除去する排ガス処理装置が知られている(例えば特許文献1参照)。吸収塔の内部では、排ガスを螺旋状に旋回させながら上部に移動させることで、排ガスが海水等と接触する時間を長くしている。
[特許文献]
特許文献1 特開2014−117685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
吸収塔の内部において、排ガスが海水等と接触する時間を長くできるように、排ガスが高さ方向に直進することを妨げることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様においては、排ガスを処理する排ガス処理装置であって、排ガスが導入される底部側から排ガスが排出される上部側への高さ方向に延伸する内部空間を有する反応塔と、反応塔の内部空間において高さ方向に延伸し、液体を搬送する幹管と、幹管の外側側面から反応塔の内側側面に向けて延伸して設けられ、幹管から供給される液体を噴射する噴射部を各々有し、異なる高さ位置に設けられた、複数の枝管と、反応塔内に排ガスを旋回するように流入させる排ガス導入部とを備え、高さ方向に隣接する枝管の各々の噴射部から噴射される液体の噴射領域同士が、高さ方向から見た上面図において部分的に重なり合う領域を有し、高さ方向における複数の枝管の間隔は、排ガスが排出される反応塔の上部における間隔が、排ガスが流入する反応塔の底部における間隔よりも狭い排ガス処理装置を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る排ガス処理装置100の構造例を示す図である。
図2】高さ方向から複数の枝管40を見た上面図を示す。
図3】それぞれの噴射部42における噴射領域43の一例を示す図である。
図4図4(a)は、噴射部42において噴射口44が設けられた面を示し、図4(b)は、図4(a)におけるB−B断面を示す。
図5図5(a)および図5(b)は、反応塔10および排ガス導入部20の接続例を示す上面図である。
図6】複数の枝管40の他の配置例を示す図である。
図7】複数の枝管40の他の配置例を示す図である。
図8図8(a)は、高さ方向において隣接する枝管40の角度を90度にした場合の、反応塔10内における排ガスの旋回例を示す。図8(b)は、高さ方向において隣接する枝管40の角度を22.5度にした場合の、反応塔10内における排ガスの旋回例を示す。
図9図8(a)に示した装置から外部への液体飛散量と、図8(b)に示した装置から外部への液体飛散量の解析結果を示す図である。
図10】船舶に設置された排ガス処理装置100の反応塔10の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、実施形態に係る排ガス処理装置100の構造例を示す図である。排ガス処理装置100は、船舶のエンジン等から排出される排ガスに含まれる、硫黄成分等の有害物質を除去する。本例の排ガス処理装置100は、反応塔10、排ガス導入部20、幹管30および複数の枝管40を備える。
【0009】
反応塔10は、高さ方向に延伸する内部空間を有する。本例において高さ方向とは、反応塔10において排ガスが導入される底部側から、排ガスが排出される上部側に延伸する方向を指す。図1に示すz軸方向が高さ方向に対応する。z軸方向は、例えば船舶の床面と垂直な方向または重力方向と平行である。排ガス導入部20は、反応塔10の内部空間に排ガスを導入する。本例の排ガス導入部20は、反応塔10の底面近傍において反応塔10に排ガスを流入させる。排ガス導入部20は、反応塔10の側面に沿って排ガスが螺旋状に旋回するように、反応塔10に排ガスを流入させる。
【0010】
本例の反応塔10は、内部で液体を噴霧して排ガスの有害物質を吸収する吸収部14と、内部で液体が噴霧されない排出部12とを有する。排出部12は、吸収部14を通過した排ガスを外部に排出する。液体が噴霧されない排出部12を排出側に設けることで、排ガス処理装置100から液体が排出されにくくする。排出部12の内部空間のxy平面における断面積は、吸収部14の内部空間の面積よりも小さくてよい。なお本例においてxy平面はz軸を法線とする面である。
【0011】
幹管30は、反応塔10の内部空間において高さ方向(すなわちz軸方向)に延伸して設けられる。幹管30は、例えば内部に液体の流路を有しており、高さ方向に液体を搬送する。幹管30は、吸収部14の底面近傍において反応塔10の側面から内部に導入され、吸収部14の上端近傍まで延伸してよい。排ガス処理装置100が船舶に設けられる場合、幹管30に導入される液体は海水、湖水または川水やアルカリ化した処理水等であってよい。
【0012】
なお、高さ方向の位置に応じて、幹管30における液体の流路の断面積が異なってよい。幹管30は、上部における液体流路の断面積が、底部における液体流路の断面積より小さくてよい。本明細書において、底部とは反応塔10に排ガスが導入される側の部分を指し、上部とは反応塔10が排ガスを排出する側の部分を指す。
【0013】
本例の幹管30は、底部側から順番に底部部分32、中部部分34および上部部分36を有する。最も上部側の上部部分36における液体流路の断面積は、最も底部側の底部部分32における液体流路の断面積よりも小さい。本例では、中部部分34における液体の経路の断面積は、底部部分32における液体の経路の断面積よりも小さい。
【0014】
また、上部部分36における液体の流路の断面積は、中部部分34における液体の流路の断面積よりも更に小さい。幹管30に流れる液体の量は、上部に進むにつれて少なくなるが、このような構成により、流量低下に伴う液体圧力の低下を小さくして、液体の噴出速度の低下を防ぐことができる。なお、本明細書において特に定義がない場合、液体の量は単位時間当たりの値を指す。
【0015】
複数の枝管40は、幹管30の外側側面から、反応塔10の内側側面に向けて延伸して設けられる。枝管40は、例えばxy平面内において延伸して設けられる。それぞれの枝管40は、反応塔10の内側側面の近傍まで延伸してよい。反応塔10の半径は0.3mから数m程度であって、枝管40の先端と反応塔10の内側側面との間隔は、10cmから数10cm程度であってよい。
【0016】
それぞれの枝管40の内部には、幹管30から分岐して液体が流れる流路が形成される。また、それぞれの枝管40は、当該流路から液体を受け取り、反応塔10の内部空間に液体を噴射する噴射部42を有する。噴射部42は、液体を霧状にして噴出してよい。また、それぞれの枝管40は、複数の噴射部42を有してよい。また、噴射部42は、反応塔10の高さ方向とは垂直な方向に向けて液体を噴射してよい。図1において、×印を付した噴射部42の面に噴射口が設けられてよい。
【0017】
なお本例では、幹管30を挟んで対向して枝管40が延伸する。本例では、対向する枝管40の組を、1つの枝管40と称する。対向する枝管40に設けられた各噴射部42は、逆向きに液体を噴射する。また、複数の枝管40のうち、少なくとも2つの枝管は、異なる高さ位置に設けられる。本例では、8個の枝管40−1、40−2、・・・、40−8が、異なる高さ位置に設けられる。高さ方向に隣接する複数の枝管40に設けられた各噴射部42から噴射される液体の噴射領域が、高さ方向から見た上面図において部分的に重なり合う。
【0018】
噴射部42から噴射された液体は、反応塔10の内部を通過する排ガスと接触して、排ガスに含まれる有害物質を吸収する。有害物質の吸収に用いた液体は、反応塔10の底部にたまり、外部に排出される。
【0019】
図2は、高さ方向から複数の枝管40を見た上面図を示す。上述したように、それぞれの枝管40は、高さ方向において隣接する枝管40に設けられた噴射部42の噴射領域が、互いに重なり合うように配置される。例えば、高さ方向において隣接する枝管40が成す角度を小さくすることで、隣接する噴射領域を重なり合わせることができる。例えば高さ方向から複数の枝管40を見た上面図において、高さ方向に隣接する枝管40が成す角度のうち最も大きい角度は60度よりも小さい。例えば図2の例において、それぞれの枝管40と、隣接する枝管40とが成す角度θは、22.5度である。
【0020】
図3は、それぞれの噴射部42における噴射領域43の一例を示す図である。図3においては、枝管40−1から枝管40−5までの噴射領域43を拡大して示すが、他の枝管40の噴射領域43も同様である。上述したように、高さ方向に隣接する複数の枝管40に設けられた各噴射部42から噴射される液体の噴射領域43が、高さ方向から見た上面図において部分的に重なり合う領域を有する。なお、図3において噴射領域43の範囲の境界を実線で示している。
【0021】
例えば、噴射部42−3の噴射領域43−3と、隣接する噴射部42−4の噴射領域43−4とは、少なくとも領域Aにおいて重なり合っており、且つ、完全に重なり合ってはいない。隣接する全ての噴射領域43が部分的に重なり合うことで、上面図において噴射領域43の間の隙間が小さくなる。従って、高さ方向に隣接する液体の各噴射領域43が重なり合わない場合に比べて、本例では高さ方向に隣接する液体の各噴射領域43同士の隙間をなくすことができる。
【0022】
特に、排ガスが旋回時に主に移動する反応塔10の側面近傍において、噴射領域43の間の隙間が無くなる。このため、排ガスが旋回せずに高さ方向に直進するのを妨げ、吸収部14を排ガスが通過する時間を長くすることができる。特に、船舶のエンジン等は、要求される負荷等に応じて排出する排ガスの流量が変動する。その場合でも、高さ方向に隣接する液体の各噴射領域43同士の隙間をなくすことにより、排ガスが旋回せずに高さ方向に直進するのを妨げ、吸収部14を排ガスが通過する時間を長くすることができる。
【0023】
なお、幹管30の近傍の領域も、できるだけ噴射領域43でカバーすることが好ましい。それぞれの枝管40には、幹管30寄りに配置した噴射部42と、反応塔10の側面寄りに配置した噴射部42とを設けてよい。
【0024】
それぞれの枝管40において反応塔10の側面寄りに配置した噴射部42は、高さ方向において隣接する噴射部42同士の噴射領域43が、部分的に重なり合うことが好ましい。反応塔10の側面寄りに配置した噴射部42が噴射する液体は、反応塔10の側面まで到達することが好ましい。
【0025】
また、幹管30寄りに配置したそれぞれの噴射部42においても、高さ方向において隣接する噴射部42同士の噴射領域43は、部分的に重なり合うことが好ましい。幹管30寄りに配置した噴射部42が噴射する液体は、幹管30の側面まで到達することが好ましい。また、上面図において、反応塔10の内部空間における全ての領域は、少なくとも1つの噴射領域43で覆われることが好ましい。
【0026】
また、それぞれの噴射領域43は、2以上の噴射領域43と部分的に重なり合ってもよい。例えば図3の例では、噴射領域43−1は、少なくとも3つの噴射領域43−2、43−3、43−4と部分的に重なっている。噴射領域43−1は、図3には示していないが、枝管40−8等の噴射部42の噴射領域とも部分的に重なっている。それぞれの噴射領域43は、3以上の噴射領域43と部分的に重なり合ってよく、4以上の噴射領域43と部分的に重なりあってもよい。
【0027】
また、それぞれの噴射領域43は、半分以上の面積が隣接する噴射領域43と重なってよく、1/4以上の面積が隣接する噴射領域43と重なってもよい。また、それぞれの噴射部42の噴射領域43は、上面図において隣接する噴射部42を含む領域であってもよい。
【0028】
このように、高さ方向に隣接する複数の枝管40に設けられた各噴射部42から噴射される液体の噴射領域43が、高さ方向から見た上面図において部分的に重なり合う領域を有する。従って、高さ方向に隣接する液体の各噴射領域43が重なり合わない場合に比べて、本例では高さ方向に隣接する液体の各噴射領域43同士の隙間をなくすことができる。このため、排ガスとともに液体が上昇することを防ぐことができる。このため、有害物質を吸収した液体が、排ガスとともに外部に排出されるのを妨げることができる。従って、液体が排出されるのを防ぐ構造を別途設けなくともよいか、または、当該構造を小さくでき、排ガス処理装置100を小型化できる。
【0029】
また、このように枝管40を配置することで、上面図において幹管30の周囲に枝管40をまんべんなく配置することができる。このため、排ガスが旋回せずに高さ方向に直進するのを枝管40自体が妨げ、吸収部14を排ガスが通過する時間を長くすることができる。従って、排ガスから有害物質を効率よく除去することができる。
【0030】
また、枝管40自体が排ガスの旋回を阻害しないので、液体は排ガスの流れに沿って反応塔10の側面にぶつかりやすくなる。上面図において幹管30の周囲に枝管40をまんべんなく配置しているので、排ガスとともに液体が上昇することを防ぐことができる。このため、有害物質を吸収した液体が、排ガスとともに外部に排出されるのを妨げることができる。従って、液体が排出されるのを防ぐ構造を別途設けなくともよいか、または、当該構造を小さくでき、排ガス処理装置100を小型化できる。
【0031】
船舶等において有害物質の排出規制が強化された場合、既存の船舶等の設備に排ガス処理装置を新たに搭載し、または、排ガス処理装置を交換することが考えられる。本例の排ガス処理装置100は小型化が容易なので、船舶等の既存設備に設置することが容易である。
【0032】
なお、隣接する枝管40同士が成す角度のうち、最も大きい角度は45度よりも小さくてよい。この場合、排ガスが高さ方向に直進する成分よりも、xy平面において回転する成分を大きくしやすくなる。当該角度は30度より小さくてよく、20度より小さくてもよい。
【0033】
また、複数の枝管40は、幹管30の周りを少なくとも一周するように設けられる。複数の枝管40は、上面図において幹管30の周りにほぼ均等に配置されてよい。なお、図1および図2に示すように、幹管30の対向する2つの側面から枝管40が延伸する場合、枝管40が幹管30の周りを半周すれば、2つの側面から延伸する枝管40が幹管30の周りを一周することになる。
【0034】
また、複数の枝管40は、幹管30の周りに螺旋状に設けられてよい。この場合、図1および図2に示すように、高さ方向に隣接する枝管40が、上面図においても隣接する。螺旋の回転方向は、反応塔10の内部空間における排ガスの旋回方向と同一であってよい。これにより、反応塔10の内部における排ガスの旋回を促進できる。
【0035】
旋回を促進することで、有害物質を吸収した液体が外部に排出されるのを更に防ぐことができる。なお排ガスの旋回方向は、排ガス導入部20が排ガスを反応塔10に流入させる方向により定まる。また、枝管40の螺旋の回転方向は、排ガスの旋回方向とは逆向きであってもよい。この場合であっても、排ガスが高さ方向に直進することを妨げることができる。
【0036】
また、複数の枝管40内部の液体流路の断面積は、高さ方向における位置に応じて異なってよい。本例では、最も上部側の上部部分36における枝管40の液体流路の断面積は、最も底部側の底部部分32における枝管40の液体流路の断面積よりも小さい。
【0037】
本例では、中部部分34における枝管40の液体流路の断面積は、底部部分32における枝管40の液体流路の断面積よりも細い。また、上部部分36における枝管40の液体流路の断面積は、中部部分34における枝管40の液体流路の断面積よりも更に細い。これにより、それぞれの枝管40の内部における液体圧力の低下を小さくして、液体の噴出速度の低下を小さくすることができる。
【0038】
また、図1に示すように、高さ方向における複数の枝管40の間隔は、反応塔10の上部側のほうが、反応塔10の底部側よりも狭い。例えば、幹管30の液体流路の断面積が変化する複数の部分毎に、枝管40の間隔が変化する。本例では、中部部分34における枝管40の間隔は、底部部分32における枝管40の間隔よりも狭い。また、上部部分36における枝管40の間隔は、中部部分34における枝管40の間隔よりも更に狭い。このように、排出部12の近傍における枝管40を密に配置することで、液体が排出部12から排出されることを更に防ぐことができる。
【0039】
また、反応塔10の底部側は排ガス導入部20に近いので、排ガスの旋回力は上部側に比べて大きい。このため、反応塔10の底部側の枝管40を比較的にまばらに配置することで排ガスの旋回が阻害されるのを防ぐことができる。
【0040】
なお、噴射部42が噴射する液体の粒径は、反応塔10の上部側のほうが、反応塔10の底部側よりも小さくてよい。ただし、単位体積当たりに噴射される液体の粒数は、反応塔10の上部側のほうが、反応塔10の底部側よりも多い。
【0041】
反応塔10の上部では、単位体積当たりに含まれる有害物質の濃度が低くなっているので、粒径の大きい液体をまばらに配置するよりも、粒径の小さい液体を多数分散して配置するほうが、効率よく有害物質を吸収することができる。液体は、その液体の近傍の有害物質を吸収する。
【0042】
有害物質の濃度が高い場合には、粒径の大きい液体をまばらに配置しても、その液体の近傍の有害物質を吸収して、液体の飽和状態近くまで有害物質を吸収できる。一方、有害物質の濃度が低い場合には、粒径の大きい液体をまばらに配置しても、その液体の飽和状態近くまで有害物質を吸収できず、液体を効率よく使用することができない。これに対し、粒径の小さい液体を高密度に配置することで、有害物質の濃度が低い場合であっても、その液体の飽和状態近くまで有害物質を吸収でき、液体を効率よく使用することができる。
【0043】
なお、図3に示した噴射領域43とは、反応塔10に供給される液体の流量が定格流量の場合において噴射部42が液体を噴射する領域であってよい。この場合において反応塔10に供給される排ガスの流量も定格流量であってよい。また、反応塔10に供給される液体等の定格流量が定まらない場合、排ガス処理装置100の動作可能範囲の上限および下限の中央値を定格流量としてもよい。動作可能範囲は排ガス処理装置100の仕様によって定めてよい。また、排ガス処理装置100の動作仕様が定まらない場合、噴射領域43は、噴射部42の噴射口の形状から定めてもよい。
【0044】
図4は、噴射部42の一例を示す図である。図4(a)は、噴射部42において噴射口44が設けられた面を示し、図4(b)は、図4(a)におけるB−B断面を示す。図4(a)および(b)に示すように、本例の噴射部42は、複数の噴射口44および液体供給部50を有する。液体供給部50は、複数の噴射口44に対して共通に設けられ、それぞれの噴射口44に液体を供給する。液体供給部50には、枝管40から液体が供給される。
【0045】
図4(b)に示すように、それぞれの噴射口44は、一方の端部46が反応塔10の内部に向けて開口し、他方の端部が液体供給部50に接続される。少なくとも一つの噴射口44は、両端を結ぶ直線48が、噴射部42の面に対して傾き(例えば図4(b)におけるθ1、θ2)を有する。xy平面において両端に設けられた2つの噴射口44−1、44−2の直線48−1、48−2を延長することで囲まれる領域を、図3において説明した噴射領域43としてよい。
【0046】
また、直線48は、噴射口44の端部46における、噴射口44の傾きであってもよい。例えば噴射口44の傾きが、液体供給部50から端部46までの間に変化する場合、直線48は、噴射口44の端部46における接線で定義されてもよい。
【0047】
図5(a)および図5(b)は、反応塔10および排ガス導入部20の接続例を示す上面図である。図5(a)の例においては、排ガス導入部20は、反応塔10と接続する接続部分近傍において直線状に設けられる。ただし、排ガス導入部20の外側側壁22が、反応塔10の外形の接線方向に延伸し、外側側壁22と対向する内側側壁24が、反応塔10の外形と交差する方向に延伸するように設けられる。
【0048】
図5(b)の例においては、排ガス導入部20は、反応塔10と接続する接続部分近傍において曲線形状を有する。この場合、排ガスは反応塔10の内部で旋回しやすくなる。図5(a)の例では、排ガス処理装置100を小型化することができるが、反応塔10に流入した排ガスの旋回力は、図5(b)の例に比べて低下してしまう。係る場合であっても、上述したように枝管40を螺旋状に配置することで、排ガスの旋回を補助することができる。従って、排ガス処理装置100の小型化と、排ガスの良好な旋回を両立することができる。
【0049】
図6は、複数の枝管40の他の配置例を示す図である。図6においては、幹管30および複数の枝管40のみを示し、他の構成を省略している。また、図6においては、複数の枝管40の太さおよび高さ方向の間隔を同一にしているが、図1に示すように、上部側の枝管40は細くなっていてよく、また、上部側の枝管40の間隔は小さくなっていてよい。
【0050】
本例の複数の枝管40は、幹管30の周りを1周するように設けられる。つまり、枝管40−1から40−8において幹管30の周りを半周して、枝管40−9から40−16において幹管30の周りを更に半周する。この場合、上面図において全ての枝管40が重ならないように(すなわち、幹管30に対する角度が重複しないように)配置してよい。
【0051】
例えば2周目の枝管40−9から40−16のそれぞれは、1周目の枝管40−1から40−8の隣接する2つの枝管40の略中央に配置される。より具体的には、枝管40−1から40−8において隣接する枝管40同士の角度が22.5度の場合に、枝管40−9から40−16は、枝管40−1から40−8に対して11.25度ずつずれて配置されてよい。
【0052】
また、2周目の枝管40−9から40−16は、1周目の枝管40−1から40−8と上面図において重なるように配置されてもよい。ただし、上面図において重なる2つの枝管40の高さ方向における間隔は、ガス流の旋回を阻害しない程度に十分大きいことが好ましい。上面図において重なる2つの枝管40の高さ方向における間隔は、0.5m以上であってよく、2m以上であってもよい。また、上面図において重なる2つの枝管40の間には、高さ方向において3本以上の枝管40が設けられてよく、7本以上の枝管40が設けられてもよい。
【0053】
図7は、複数の枝管40の他の配置例を示す図である。図7においては、幹管30および複数の枝管40のみを示し、他の構成を省略している。また、図7においては、複数の枝管40の太さおよび高さ方向の間隔を同一にしているが、図1に示すように、上部側の枝管40は細くなっていてよく、また、上部側の枝管40の間隔は小さくなっていてよい。
【0054】
本例の複数の枝管40のうち、高さ方向において隣接する枝管40同士が成す角度は、反応塔10の上部側の方が、反応塔10の底部側よりも小さい。図7の例では、底部側の枝管40−1から40−5は、隣接する枝管40の角度が90度である。中間の枝管40−5から40−9は、隣接する枝管40の角度が45度である。上部側の枝管40−9から40−16は、隣接する枝管40の角度が22.5度である。
【0055】
このように、排出部12の近傍における枝管40を密に配置することで、液体が排出部12から排出されることを更に防ぐことができる。また、反応塔10の底部側の枝管40を比較的にまばらに配置することで排ガスの旋回が阻害されるのを防ぐことができる。
【0056】
なお、隣接する枝管40の角度は、枝管40が幹管30を1周する毎に変化してよい。これにより、上面図において枝管40を均等に配置することができる。また、図1に示したように、幹管30の液体流路の断面積が変化する複数の部分毎に、隣接する枝管40の成す角度を変化させてもよい。また、図7に示した例においても、全ての枝管40が上面図において重ならないように配置してもよい。
【0057】
図8(a)は、高さ方向において隣接する枝管40の角度を90度にした場合の、反応塔10内における排ガスの旋回例を示す。図8(b)は、高さ方向において隣接する枝管40の角度を22.5度にした場合の、反応塔10内における排ガスの旋回例を示す。図8(a)および図8(b)において、反応塔10の内部空間のサイズ、枝管40の本数、排ガスの流入速度等の、枝管40の角度以外の条件は全て同一として、シミュレーションにより排ガスの流跡を算出した。なお、図8(a)および図8(b)においては、見易さの観点から排ガスの流跡を1本の線で近似して示している。
【0058】
図8(a)に示すように、隣接する枝管40の角度を90度にした場合、排ガスは反応塔10内において1回程度旋回して排出される。これに対して、図8(b)に示すように、隣接する枝管40の角度を22.5度にした場合、排ガスは反応塔10内において2から3回程度旋回して排出される。このように、隣接する枝管40の角度を60度より小さくすることで、反応塔10内における排ガスの旋回数を増加させることができる。
【0059】
図9は、図8(a)に示した装置から外部への液体飛散量と、図8(b)に示した装置から外部への液体飛散量の解析結果を示す図である。図9では、図8(a)に示した装置から飛散する液体飛散量を1としている。図8(b)の例では、液体飛散量が概ね半分程度に減少する。これは、図8(b)に示したように、排ガスの旋回数が増加しているためと考えられる。
【0060】
例えば、排ガスの旋回数が増加することで、液体が排ガスの流れに沿って反応塔10の内壁に付着する確率が増加する。特に、図8(b)に示した例では、液体が外部に飛散しやすい反応塔10の上部側でも排ガスの旋回が維持されている。このため、液体飛散量を低減できる。
【0061】
図10は、船舶に設置された排ガス処理装置100の反応塔10の一例を示す図である。本例の排ガス処理装置100は、船舶の動力源からの排ガスを処理する。船舶は高さ方向に複数の階層112を有する。階層112は、床板110で区切られる。
【0062】
反応塔10は、船舶の2以上の階層112に渡って設けられる。床板110には、反応塔10が通過する開口が設けられる。高さ方向に対して垂直な平面における反応塔10の内部空間の断面積は、船舶の階層112毎に異なってよい。また、反応塔10の外形も、断面積に応じて変化する。本例では、より上層の階層112ほど、反応塔10の内部空間の断面積および外形が小さくなっている。反応塔10の断面積を上部側ほど小さくすることで、排ガスの旋回半径が小さくなり、旋回数の低下を防ぐことができる。また、反応塔10の外形を小さくできるので、設置空間が制限される船舶においても容易に設置することができる。
【0063】
また、各々の階層112に設けられる枝管40のxy平面における延伸長さは、反応塔10の内部空間の断面積に応じて異なる。つまり、枝管40の延伸長さは、配置されている階層112における内部空間の断面積が小さくなるほど、短くなる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0065】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0066】
10・・・反応塔、12・・・排出部、14・・・吸収部、20・・・排ガス導入部、22・・・外側側壁、24・・・内側側壁、30・・・幹管、32・・・底部部分、34・・・中部部分、36・・・上部部分、40・・・枝管、42・・・噴射部、43・・・噴射領域、44・・・噴射口、46・・・端部、48・・・直線、50・・・液体供給部、100・・・排ガス処理装置、110・・・床板、112・・・階層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10