(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記任意搬出処理により前記凍結処理領域から前記常温物保持体が搬出されて後発的に空き状態となった前記凍結処理領域がある場合において、新たな前記常温物保持体を入庫する途中搬入指令に基づいて、当該空き状態となった前記凍結処理領域以外の少なくとも一部の前記凍結処理領域についての前記選択凍結処理の実行中に当該空き状態の前記凍結処理領域に対して新たな前記常温物保持体を入庫させるべく、前記搬送装置の作動を制御する途中搬入処理を実行する請求項2に記載の自動冷凍倉庫。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
本発明に係る自動冷凍倉庫の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の自動冷凍倉庫は、漁港やその近隣に設けられて、漁港に水揚げされて魚種及び大きさに基づき選別された大小各種の鮮魚をマイナス35度程度の冷気で凍結させる凍結自動倉庫Sである。凍結自動倉庫Sにて凍結された鮮魚は出荷まで冷凍倉庫にて保存される。
【0019】
図1に示すように、凍結自動倉庫Sは、断熱性材料を使用して構成された外壁にて外部から遮断された冷凍室1及びこれに隣接する前室2を備えている。冷凍室1と前室2との間には区画壁3が設けられており、倉庫外部の空気が冷凍室1に直接進入することを防止するとともに、冷凍室1で凍結処理が行われるときに後述するスタッカークレーンTが凍結用の冷気に直接晒されないように、前室2にて待機できるようになっている。
【0020】
凍結自動倉庫Sには、スタッカークレーンTの移動経路Lが、冷凍室1の内外に亘って直線状に設定されており、スタッカークレーンTは、移動経路Lに沿って冷凍室1の内部及び外部に亘って移動して、冷凍室1の内部に物品Bを搬入しかつ冷凍室1の内部から物品Bを搬出するように構成されており、本発明の搬送装置に相当する。区画壁3には、スタッカークレーンTを通過させるための開口4が形成されている。
【0021】
前室2には、凍結自動倉庫Sの外部との間で物品Bを授受するための入出庫コンベヤ5が入出庫口6の外部まで延びる状態で設けられている。前室2の内部には、前室2の空調を行う前室用空調装置7の室内機8が天井近くの高さに設けられている(
図5参照)。前室用空調装置7の室外機9は凍結自動倉庫Sの外部に設置されている。凍結処理を実行中において前室2はマイナス25度前後となる。
【0022】
冷凍室1の内部には、冷凍室1の内部の空気を冷却して冷凍室1の内部に循環させる冷凍機31が設けられ、冷凍室1の内部に設定された凍結処理領域10に存在する物品Bを凍結させる。本実施形態では、凍結処理領域10には、物品Bを収納する収納部11を縦横に備えた物品収納棚12が設置されている。物品収納棚12は、床面に立設された複数の支柱とこれらの支柱を連結する水平材や斜行材とを組み付けて構成されており、支柱に水平姿勢で設けられた一対の腕木にて物品Bを収納する収納部11が形成される。本実施形態では、物品収納棚12は棚奥行き方向に収納部11を2個配列したいわゆるダブルディープ構造の棚となっている。スタッカークレーンTは、収納部11に物品Bを収納することで、移動経路Lに沿って設定された凍結処理領域10において物品Bが移動経路Lに沿って並ぶように物品Bを搬送することになる。
【0023】
本実施形態では物品Bは、常温物を保持する常温物保持体であり、さらに具体的には、常温物保持体は、常温物としての鮮魚Fを保持する鮮魚保持体Bである。鮮魚保持体Bは、
図3に示すように、ステンレス鋼等で構成された枠体13に水平方向に沿う複数の桟15を上下方向に多段に組みつけて複数段の棚部14が形成されたラックR、及び、海水等の水分が付着した鮮魚Fを収容した状態でラックRの棚部14に載置支持されるトレーPとで構成される。
【0024】
スタッカークレーンTは、冷凍室1の床面に設けられた走行レール17に沿って走行する走行台車18と、走行台車18に走行方向間隔を空けて立設された前後一対の昇降マスト19に沿って昇降し、かつ、スライドフォーク装置を出退自在に備えて収納部11との間で鮮魚保持体Bを移載自在な移載装置21が装備された昇降台20と、を備えて物品収納棚12の収納部11に対して鮮魚保持体Bを搬出入する。なお、移動経路Lの両端部のうち、入出庫コンベヤ5が設けられている側の端部をホームポジションHPといい、ホームポジションHPと反対側の端部をオポジットポジションOPという。
【0025】
スタッカークレーンTは、物品収納棚12における棚奥行き方向に並ぶ収納部11のうち、手前側に位置する収納部11との間で鮮魚保持体Bを移載するときは、移載装置21のスライドフォーク装置を手前用出退量だけ突出させ、奥側の収納部11との間で鮮魚保持体Bを移載するときは、移載装置21のスライドフォーク装置を手前用出退量よりも収納部11の奥行き方向の長さだけ長い奥用出退量だけ突出させる。スタッカークレーンTの作動はクレーンコントローラH2(
図6参照)により制御される。クレーンコントローラH2とスタッカークレーンTとを接続する制御ケーブルやスタッカークレーンTに動作用の電力を供給する電力ケーブルはケーブルガイドに収容されており、スタッカークレーンTの移動に伴って移動経路Lと平行なガイド配設経路に沿うように案内される。
【0026】
図2に示すように、前後一対の昇降マスト19の上端部は上部フレーム16にて連結され、上部フレーム16は複数のガイドローラを備えており、これらのガイドローラを介して物品収納棚12の上端部に天井に支持されている。
【0027】
図7に示すように、上部レール22及び走行レール17には、帯状のテープヒータにて構成されたレールヒータ23が取り付けられている。
図7(a)に示すように、上部レール22は、スタッカークレーンTの走行方向視で立て姿勢の板状部材にて構成され、両側面に形成された案内面の一方における上部領域に上部レールヒータ24が貼付されている。
図7(b)に示すように、走行レール17は、スタッカークレーンTの走行方向視で断面I字状の長尺部材にて構成され、上面に形成された案内面を備えた案内部分と、床面に取り付けるための取り付け部分との間に位置する中間部分の両側面に下部レールヒータ25が貼付されている。上部レールヒータ24及び下部レールヒータ25の作動はヒーターコントローラH3にて制御される。
【0028】
前室2と冷凍室1とを仕切る区画壁3は、移動経路Lの途中箇所に設けられている。この区画壁3よりホームポジションHP側の空間が前室であり、区画壁3よりオポジットポジションOP側の空間が冷凍室1である。
【0029】
区画壁3には、クレーン通過用の縦長の開口4が形成されている。開口4は、スタッカークレーンTの走行方向視にて、その上下方向の一部分である下部(本実施形態では、床上高さ8mまでの部分)を、鮮魚保持体Bを移載装置21に載置支持した状態の昇降台20が通過できるように幅広部27とし、残りの部分(本実施形態では、床上高さ8m〜18mの部分)をその幅広部27よりも狭い幅狭部26として形成されている。幅広部27の両側部には、開口4を通して空気が冷凍室1の内外に通流することを抑制する空気通流抑制装置としてエアカーテン30が設けられている。
【0030】
エアカーテン30は、開口4を通して空気が冷凍室1の内外に通流することを抑制することで、開口4から冷気が流出して冷凍室1の凍結処理効率が低下することを防止するともに、冷凍機31の霜取り処理を行うときに冷凍室1の内部で発生する多湿空気を、前室2における前室用空調装置7にて、幅狭部26を通過させて効果的に前室2側に吸引できるようにするものである。
【0031】
開口4の幅広部27の横幅はスタッカークレーンTの昇降台20の横幅に対応した寸法で、開口4の幅狭部26の横幅は昇降マスト19の横幅に対応した寸法である。なお、スタッカークレーンTの上部フレーム16の周辺構造の横幅は、昇降マスト19の横幅よりも大きくなっているため、幅狭部26の上端部の横幅は昇降マスト19の横幅に対して余裕のある寸法となっている。
【0032】
エアカーテン30は、横流対向多層式のエアカーテンにて構成されている。説明を加えると、エアカーテン30は、幅広部27の両横脇に幅広部27の高さ方向に沿って略等間隔に設置された複数のエアカーテンユニット28にて構成されている。
幅広部27の両横脇の各エアカーテンユニット28は、開口4の横方向の左右で対を成すように区画壁3における取り付け高さを一致させてある。そして、左右それぞれのエアカーテンユニット28が互いに相手側に向けて空気を噴出することで、移動経路Lの横幅方向で幅広部27の外側から内側に向かう水平方向の気流が形成され、この気流により、開口4の幅広部27を通して空気が冷凍室1の内外に通流することを抑制するようになっている。エアカーテン30の作動はエアカーテンコントローラH4(
図6参照)により制御される。
【0033】
なお、エアカーテンユニット28は、区画壁3の壁面に沿った噴き出し方向である主流と、この主流の噴き出し方向よりも冷凍室1の外側に若干傾いた噴き出し方向である副流との2つの噴き出し方向にて空気を噴出することができるものが好ましい。副流により外気風の遮断効果が大きくなり、内外空気の通流を効果的に抑制できる。
【0034】
冷凍機31は、
図1に示すように、移動経路Lに沿って列を成す状態でかつその列が平面視で凍結処理領域10と移動経路Lの横幅方向で並ぶ状態で複数台(本実施形態では3台)設置されている。
図2に示すように凍結自動倉庫Sは床下に断熱材32が敷設されており、
図4に示すように、冷凍機31は、断熱材32の上層に形成された床部に設置される基台33と、この基台33に立設された熱交換部34と、熱交換部34の上部に設けられた横軸心周りで回転する循環気流生成用の送風ファン35とを備えている。
【0035】
図4に示すように、冷凍機31は、熱交換部34及び送風ファン35を作動させることで、冷凍室1の内部の空気を熱交換部34にて冷却して冷却された空気を冷凍室1の内部に循環させる。送風ファン35は、移動経路Lに沿う方向に複数台設けられている。これにより、送風ファン35の設置高さにおいて移動経路Lの横幅方向で冷凍機31から移動経路Lに向かう方向(
図4で紙面左から右に向かう方向)に流動する気流を凍結処理領域10の移動経路Lに沿う方向の全範囲に亘って、極力均等に形成するようにしている。
【0036】
凍結処理領域10の上方空間には、スタッカークレーンTの移動方向視で、冷凍機31が冷却した冷却空気を、凍結処理領域10の冷凍機31が存在する一方側と
冷凍機31が存在しない他方側との間で通流させる上部流路36が形成されている。本実施形態では、上部流路36は、凍結自動倉庫Sの天井形成部と、凍結処理領域10に設置されている物品収納棚12の上部に取り付けられた流路形成用の天井パネル37とに挟まれた、移動経路Lの長手方向に並行に延在する空間にて構成されている。冷凍機31は、スタッカークレーンTの移動方向視で、上部流路36を通流した冷却空気を、凍結処理領域10の冷凍機31の非存在側(他方側)から冷凍機31の存在側(一方側)に向けて凍結処理領域10内を通流させる形態で、冷凍室1の内部の空気を循環させる。冷凍機31及び送風ファン35の作動は冷凍機コントローラH1(
図6参照)により制御される。
【0037】
冷凍室1の内部には、冷凍機31に付着した霜、特に熱交換部34に付着した霜を融解させて取り除くための水を散布する散水装置38が設けられている。散水装置38が散布する水は、プラス20度程度である。散水装置38は、複数の散水ノズル39を備えており、複数の散水ノズル39は、冷凍機31を挟んで空気流動方向で上流側及び下流側の両側において、冷凍機31の並び方向すなわち移動経路Lの長手方向に沿って間隔を空けて配設されている。図示は省略するが、冷凍機31を挟んで空気流動方向で上流側及び下流側の両側に、複数の散水ノズル39に散水用の水を供給する供給管が配設されており、散水ノズル39はこの供給管に支持されている。
【0038】
凍結処理領域10と上部流路36とを区画する天井パネル37は、
図4に示すように、スタッカークレーンTの移動経路Lから遠い箇所ほど低くなるように形成されている。冷凍機31に付着した霜を除去する霜取り作業を行う場合には、散水装置38から常温水を冷凍機31に散布するので、湯気が発生するとともに、比較的高温の多湿冷気が冷凍室1内に充満することになる。そして、この多湿空気が低温の天井パネル37に触れることで結露による水滴が天井パネル37に付着することになる。
【0039】
天井パネル37は、スタッカークレーンTの移動経路Lから遠い箇所ほど低くなるように形成されているので、霜取り時に発生する結露による水滴は天井パネル37の下面を伝って冷凍機31に向かって流動させることができ、結露による水滴が雫となって移動経路Lに落下し走行レール17上に水滴が付着することを防止できる。なお、万が一、走行レール17に雫が滴下しても、下部レールヒータ25にて加熱されて蒸発するので、次の凍結処理でレール表面に氷が付着してしまうという問題を回避できる。
【0040】
凍結自動倉庫Sには、倉庫全体の運転を管理する管理コントローラHCが設けられている。図示は省略するが、管理コントローラHC、及び、これに通信自在に接続される各種コントローラ(
図7参照)は、凍結自動倉庫Sの前室2の入出庫口6の横脇位置等の作業者が操作できる外部の常温環境に設置されている。
図6に示すように、管理コントローラHCは、作業者により人為指令操作される搬入指令スイッチSW1、凍結スイッチSW2、搬出指令スイッチSW3、霜取スイッチSW4を備えている。
【0041】
作業者により搬入指令スイッチSW1が指令操作されると、管理コントローラHCは、クレーンコントローラH2に搬入指令を指令し、以後、クレーンコントローラH2は、入出庫コンベヤ5に鮮魚保持体Bが投入されると、物品収納棚12の収納部11に鮮魚保持体Bを搬入するべく、スタッカークレーンTの作動を制御する常温物搬入処理を実行する。クレーンコントローラH2は、入出庫コンベヤ5の作動も制御して、スタッカークレーンTと入出庫コンベヤ5とを連係させて鮮魚保持体Bを凍結自動倉庫Sの外部から物品収納棚12の収納部11に順次搬入する。
【0042】
なお、入出庫コンベヤ5に対する鮮魚保持体Bの投入は、例えば、作業者が有人フォークリフトを運転して行ってもよいし、入出庫コンベヤ5まで鮮魚保持体Bを搬送する搬送コンベヤ等の別の搬送装置にて行ってもよい。これにより、凍結処理対象の鮮魚保持体Bが凍結自動倉庫Sの外部から順次収納部11に搬入されることになる。
【0043】
作業者により凍結スイッチSW2がオン操作されると、管理コントローラHCは、クレーンコントローラH2に退避指令を指令し、これによりクレーンコントローラH2がスタッカークレーンTをホームポジションHPに移動させて前室2に退避させる退避処理を実行する。クレーンコントローラH2は退避処理の実行を完了すると退避完了情報をクレーンコントローラH2に送信する。管理コントローラHCは、クレーンコントローラH2から退避完了情報を受信すると、エアカーテンコントローラH4に噴出作動開始指令を指令するとともに、冷凍機コントローラH1に凍結開始指令を指令する。以後、エアカーテンコントローラH4は、エアカーテン30を噴出作動させた状態を維持するとともに、冷凍機コントローラH1は、鮮魚Fを保持した状態で収納部11に収納されている鮮魚保持体Bを凍結させるべく、冷凍機31を作動させる常温物凍結処理を実行する。これにより、
図4に示すように、冷凍室1の内部の空気が冷却されて冷凍室1の内部に循環され、鮮魚Fが凍結されることになる。
【0044】
管理コントローラHCが備えるタイマー機能により管理コントローラHCが凍結作動指令を指令してからの経過時間が鮮魚Fの凍結に必要な凍結処理用の設定時間に達したか否かを判断し、設定時間に達していれば、エアカーテン30の作動を停止させる噴出停止指令を指令するとともに、常温物凍結処理の実行を停止させる凍結終了指令を指令する。これにより、エアカーテンコントローラH4は、エアカーテン30の作動を停止させるとともに、冷凍機コントローラH1は、冷凍機31の作動を停止させる。
【0045】
作業者により搬出指令スイッチSW3が指令操作されると、管理コントローラHCは、クレーンコントローラH2に搬出指令を指令し、以後、クレーンコントローラH2は、凍結した鮮魚Fを保持する鮮魚保持体Bを搬出するべく、スタッカークレーンTの作動を制御する凍結物搬出処理を実行する。クレーンコントローラH2は、スタッカークレーンTと入出庫コンベヤ5とを連係させて物品収納棚12の収納部11に収納されている鮮魚保持体Bを凍結自動倉庫Sの外部に順次搬出する。
【0046】
本実施形態では、管理コントローラHCは、物品収納棚12に収納されている鮮魚保持体Bの全てが搬出されると搬出完了情報を作業者に報知する搬出完了報知処理を実行する。搬出完了報知処理では図示しない報知部(例えば、液晶モニターや回転灯など)を作動させる。
【0047】
常温物凍結処理では、その処理過程において凍結処理対象物である鮮魚から水蒸気が大量に発生するため、冷凍室1の内部を循環する冷却空気に乗って大量の水蒸気が冷凍機31にぶつかることになる。そのため、冷凍機31の特に熱交換部34には、霜が大量に付着して、常温物凍結処理は連続しては行えない。そこで常温物凍結処理を1回実行するごとに霜取り作業が必要となる。作業者により霜取スイッチSW4がオン操作されると、管理コントローラHCは、クレーンコントローラH2に退避指令を指令し、これによりクレーンコントローラH2が上述の退避処理を実行する。クレーンコントローラH2は退避処理の実行を完了すると退避完了情報をクレーンコントローラH2に送信する。管理コントローラHCは、クレーンコントローラH2から退避完了情報を受信すると、エアカーテンコントローラH4に噴出開始指令を指令するとともに、冷凍機コントローラH1に霜取作動指令を指令する。以後、エアカーテンコントローラH4は、エアカーテン30を噴出作動させた状態を維持するとともに、冷凍機コントローラH1は、冷凍機31に付着した霜を水により融解させて除去するべく、散水装置38を作動させる霜取処理を実行する。これにより、常温物凍結処理時に冷凍機31に付着した霜が取り除かれる。
【0048】
管理コントローラHCが備えるタイマー機能により管理コントローラHCが霜取作動指令を指令してからの経過時間が霜取り作業に必要な霜取り用の設定時間に達したか否かを判断し、設定時間に達していれば、エアカーテン30の作動を停止させる噴出停止指令を指令するとともに、霜取処理の実行を停止させる霜取終了指令を指令する。これにより、エアカーテンコントローラH4は、エアカーテン30の作動を停止させるとともに、冷凍機コントローラH1は、散水装置38の作動を停止させる。
【0049】
このように、本実施形態では、管理コントローラHC、冷凍機コントローラH1、クレーンコントローラH2により、冷凍機31及びスタッカークレーンTの作動が制御され、これらのコントローラが制御部として機能している。鮮魚Fを保持した鮮魚保持体Bを搬入するべくスタッカークレーンTの作動を制御する常温物搬入処理をクレーンコントローラH2が実行し、搬入された鮮魚Fを保持する鮮魚保持体Bを凍結させるべく冷凍機31の作動を制御する常温物凍結処理を冷凍機コントローラH1が実行し、凍結した鮮魚Fを保持する鮮魚保持体Bを搬出するべく、スタッカークレーンTの作動を制御する凍結物搬出処理をクレーンコントローラH2が実行する。
【0050】
クレーンコントローラH2が凍結物搬出処理を実行した後に、冷凍機31に付着した霜を水により融解させて除去するべく、散水装置38の作動を制御する霜取処理を冷凍機コントローラH1が実行し、このとき、冷凍機コントローラH1が霜取処理を実行する場合には、クレーンコントローラH2がスタッカークレーンTを冷凍室1の外部に位置させる退避処理を実行する。
【0051】
図8及び
図9に示すフローチャートを参照しながら、水揚げされ選別された鮮魚Fを凍結自動倉庫Sにて凍結処理する場合の処理手順を管理コントローラHCの制御動作を中心に説明する。
図8及び
図9に示すように、作業者が搬入指令スイッチSW1をオン操作するまで待機状態となっている(ステップ#1、以下単に#1と略記する。)。このとき、直前の霜取り処理はすでに完了しており散水装置38による散水は終了しているが、レールヒータ23はオン状態で維持されている。これにより、霜取り処理完了後においても冷凍室1に残存する多湿空気や後に搬入される常温物である鮮魚Fから発生する水蒸気が、天井パネル37に結露して上部レール22や走行レール17に滴下して氷となって付着したり、直接、上部レール22や走行レール17に接して霜や氷となって付着したりすることを防止している。
【0052】
搬入指令スイッチSW1がオン操作されると、常温物搬入処理が実行され、鮮魚保持体Bが倉庫外部から物品収納棚12に順次搬入される(#2)。鮮魚保持体Bの搬入が完了すると作業者が凍結スイッチSW2をオン操作する(#3)。これにより、クレーン退避処理(#4)が実行され、エアカーテン30の噴出作動が開始され(#5)、冷凍機31による常温物凍結処理が開始される(#6)。
【0053】
その後、冷凍室1の室温が低下するに伴って、前回の常温物凍結処理の後に行われた霜取処理による多湿空気が結露しても氷となることで、例えば、天井パネル37から結露した雫が走行レール17上に落下する等の問題が発生しなくなる。そこで、そのような結露により発生した水滴が凍るまでは、冷凍機31の負荷にはなるがレールヒータ23による加熱が必要であるとしてヒータオフタイミングを設定している。具体的には、常温物凍結処理が開始されてからレールヒータオフ用の設定時間が経過したタイミングをヒータオフタイミングとして、そのタイミングが到来するまではレールヒータ23をオン状態に維持している。そして、常温物凍結処理により雫の落下の心配がない程度に雫が凍ったらレールヒータ23の作動を停止する(#8)。その後、常温物凍結処理が開始されてから凍結処理用の設定時間が経過したら冷凍機31及びエアカーテン30の作動を停止させる(#10、#11)
【0054】
搬出指令スイッチSW3がオン操作されると、凍結物搬出処理が実行され(#13)、凍結された鮮魚Fを保持する鮮魚保持体Bが物品収納棚12から倉庫外部に順次搬出される(#13)。鮮魚保持体Bの搬出が完了すると作業者が霜取スイッチSW4をオン操作する(#14)。これにより、クレーン退避処理(#15)が実行され、エアカーテン30の噴出作動が開始され(#16)、散水装置38による常温水の散水が開始される(#17)。これにより、冷凍機31に付着した霜が融解して、散水装置38が散水した水とともにドレンパン(図示せず)などに受け止められ排水溝から外部に排出される。なお、凍結が未完了の又は完了した鮮魚保持体Bが凍結処理領域10に残っている状態で霜取スイッチSWをオン操作してもよいが、凍結が完了した鮮魚保持体Bは凍結物搬出処理により外部に搬出しておくことが好ましい。
【0055】
冷凍室1の冷凍機31の霜取りのために、散水装置38が常温水を散布するので、霜取り処理時には冷凍室1の内部には大量の水蒸気が充満する。霜取り処理を実行するときは冷凍室1内の気温は、常温物凍結処理を行うときよりも高くなっているものの、氷点下であることに変わりない。そのため、霜取り処理時に発生した水蒸気が上部レール22及び走行レール17に付着して霜や氷となってしまったり、天井パネル37に付着して結露した水滴が上部レール22及び走行レール17に落下してレール上面に凍り付いたりするおそれがある。
【0056】
このようなレールへの霜や氷の付着が発生すると、その後の常温物搬入処理でスタッカークレーンTにスリップや異常振動などが発生するおそれがあり問題となる。そこで、冷凍機31の霜取り処理を行うときにレールヒータ23を作動させて、レールへの霜等の付着を防止するようにしている。本実施形態では、散水装置38の作動を開始してからヒーター作動開始用の設定時間が経過したときにレールヒータ23をオンすべきタイミングであると判断して(#18)レールヒータ23の作動を開始させる(#19)。これは、霜取り処理の初期のうちからレールヒータを作動させなくても、上部レール22及び走行レール17に付着した霜等は次の常温物搬入処理が実行されるまでに融解及び蒸発させることができるので、省電力のためにヒーター作動開始用の設定時間を設定している。
【0057】
散水装置38の作動を開始してから霜取り処理期間用の設定時間が経過したときに霜取り処理を終了すべきタイミングであると判断して(#20)、散水装置38の作動を停止させ(#21)、エアカーテン30の作動を停止させる。このとき、霜取り処理が終了してもレールヒータ23は作動させておき、上記の通り、次のサイクルの常温物凍結処理が開始されてからレールヒータオフ用の設定時間が経過したタイミングをヒータオフタイミングとして、レールヒータ23の作動を停止する(#8)。このように、本実施形態では、霜取り処理の途中でレールヒータ23の作動を開始させ、その後、常温物凍結処理の途中であって天井パネル37から雫の落下の心配がない程度に雫が凍るまでレールヒータ23の作動を継続させている。これにより省電力を図りながら、上部レール22及び走行レール17に霜や氷が付着することを防止している。
【0058】
霜取り処理により発生する水蒸気により冷凍室1の内部には多湿空気が充満するが、前室用空調装置7で除湿されることになる。
図5に示すように、前室用空調装置7は、前室2の内壁の上部、具体的には区画壁3の開口4における幅狭部26に上下方向で対応する高さに設けられており、正面から空気を吸引して周辺に負圧領域を形成しながら下方に空気を噴出する形態で、前室2内に循環気流を形成しながら前室2の空調を行う。この循環気流により冷凍室1の空気が区画壁3の開口4を通して前室2側に吸引され、区画壁3前室2内に霜取処理で冷凍室1に発生している多湿空気が前室2に移動する。しかも開口4の幅広部27においてはエアカーテン30により空気が冷凍室1の内外に通流することを抑制されるので、前室用空調装置7は、冷凍室1の内部の空気を区画壁3の開口4における幅狭部26を通過させて効果的に前室2側に吸引できる。なお、霜取り処理を行うときは、前室用空調装置7による除湿効果を向上させるためには、入出庫口6に設けられた開閉自在な扉を閉じ状態にしておくことが好ましい。
【0059】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の搬送装置を天井搬送車にて構成した場合について説明する。以下の説明では第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0060】
図10及び
図11に示すように、凍結自動倉庫Sの冷凍室1及び前室2にわたって天井レール40が設けられている。天井レール40は図示しない複数のレール支持部材により凍結自動倉庫Sの天井に接続されている。天井搬送車41は、走行駆動輪及び従動輪を備えて天井レール40上を移動経路Lに沿って走行自在な天井走行部42と、この天井走行部42に対して連結部材42aを介して連結された昇降駆動装置により昇降自在に設けられたホイスト昇降部44とを備えて、鮮魚保持体Bを吊下げ状態で搬送自在となっている。
【0061】
本実施形態では、移動経路Lとして、
図12及び
図13に示すように、経路横幅方向に平行に並ぶ2本の移動経路Lが設定されている。すなわち、天井搬送車41の移動方向視で冷凍機31に近い側の第1移動経路L1と、冷凍機31に遠い側の第2移動経路L2が設定されている。そして、前室2側の端部に経路乗り換え用のトラバーサ(図示せず)が設けられており、天井搬送車41は、この経路乗り換え用のトラバーサにより第1移動経路L1から第2移動経路L2へ、また逆に、第2移動経路L2から第1移動経路L1へ搬送されることで、2本の移動経路Lの間で乗り換え自在となっている。
【0062】
第1移動経路L1及び第2移動経路L2に対応する2本の天井レール40夫々にレールヒータ23が設けられている。レールヒータ23は、第1実施形態と同様に、霜取り処理の途中からオンになり、次の常温物凍結処理の途中でオフされる。また、本実施形態では、区画壁3の開口4は、区画壁3の上方側だけに形成されている。開口4は、その上下方向で全体に亘ってエアカーテンユニット28を上下方向に複数段対向配置したエアカーテン30が設けられている。エアカーテン30は、常温物凍結処理を行う場合にだけ作動状態となるが、それ以外では、霜取り処理を行う場合を含めて作動は停止している。
【0063】
ホイスト昇降部44の下方には係合部としての一対の把持部43が設けられている。一対の把持部43は、互いに接近離間するように横軸心周りに揺動自在に設けられており、把持状態と把持解除状態とに切り換え自在となっている。
【0064】
本実施形態では、鮮魚保持体Bは、
図12に示すように上端に天板45を備えている。天板45の上面には、天井搬送車41の一対の把持部43に把持される被係合部としての取手部46が設けられている。これにより、ホイスト昇降部44は、把持部43にて鮮魚保持体Bの取手部46を把持した状態で鮮魚保持体Bを吊下げ状態で支持して移動経路Lに沿って搬送する。
【0065】
天井搬送車41は、常温物搬入処理が実行されると、入出庫コンベヤ5に処理対象の鮮魚保持体Bが投入されると、この鮮魚保持体Bを吊下げ搬送して、凍結処理領域10における床面に直接鮮魚保持体Bを多段(本実施形態では2段)に載置する。なお、床面に載置台を複数設置してこの載置台に鮮魚保持体Bを多段に積み上げてもよい。この場合、複数の載置台は、平面視で一対の移動経路Lに沿うように並べて設置することになる。
【0066】
常温物搬入処理では、移動経路Lの長手方向でオポジットポジションOP側(奥側)から順に鮮魚保持体Bを搬入する。すなわち、最初に入出庫コンベヤ5に投入された鮮魚保持体B(以下、第1保持体Bともいう。)を、まず、一対の移動経路Lのうち第1移動経路L1に対応する、凍結処理領域10の最奥箇所に搬入し、2番目に入出庫コンベヤ5に投入された鮮魚保持体B(以下、第2保持体Bともいう。)を第2移動経路L2に対応する、凍結処理領域10の最奥箇所に搬入する。そして、3番目に入出庫コンベヤ5に投入された鮮魚保持体B(以下、第3保持体Bともいう。)を第1保持体Bの上に段積みし、4番目に入出庫コンベヤ5に投入された鮮魚保持体B(以下、第4保持体Bともいう。)を第2保持体Bの上に段積みする。こうして、凍結処理領域10の最奥箇所に第1保持体B〜第4保持体Bの4つの鮮魚保持体Bが配置される。5番目以降に入出庫コンベヤ5に投入された鮮魚保持体Bは、第1〜第4保持体Bの配置順序に倣って、凍結処理領域10に搬入される。これにより、鮮魚保持体Bは、入出庫コンベヤ5に投入された順に移動経路Lに沿って奥側から手前側に並ぶ状態で配置されることになる。
【0067】
本実施形態では、漁港に水揚げされて魚種及び大きさに基づき選別された鮮魚は、大きさ及び種類別に鮮魚保持体BにトレーPに保持させている。そして、サイズが大きな大型鮮魚を保持した鮮魚保持体Bから順に入出庫コンベヤに投入するようになっている。したがって、常温物搬入処理で上記のように移動経路Lの奥側から詰めていく方式で凍結処理領域10に鮮魚保持体Bを搬入していくことで、大きさの大きい鮮魚ほど、移動経路Lで奥側に位置し、大きさの小さい鮮魚ほど、移動経路Lで手前側に位置することになる。小型鮮魚は、大型鮮魚よりも短時間で凍結するので、凍結処理対象の複数の鮮魚保持体Bの搬入が完了したのち、常温物凍結処理を開始してから、大型鮮魚が凍結されるまで待つことなく、小型鮮魚を保持した手前側の鮮魚保持体Bだけを搬出することができる。
【0068】
この場合、管理コントローラHCは、凍結処理領域10に配置された鮮魚保持体Bのうち、最も手前側の鮮魚保持体Bから指定された個数だけ順次搬出する先行搬出処理を行うことになる。先行搬出処理を行う場合は、凍結が完了した鮮魚Fを保持している鮮魚保持体Bが配置されている箇所に対応する冷凍機31を停止させる部分停止処理を実行する。これにより、天井搬送車41のホイスト昇降部44に冷却空気が直接吹き付けられることを回避できる。
【0069】
鮮魚保持体Bを凍結処理領域10に上下2段で移動経路Lの長手方向及び移動経路Lの並び方向に複数並べた場合に、
図10及び
図13に示すように、各鮮魚保持体Bの天板45が同一平面に沿って並ぶことにより、天板45より上側の空間と下側の空間とを区分けするようになっている。これにより、
図13に示すように、天井搬送車41の移動方向視で、冷凍機31が冷却した冷却空気を、凍結処理領域10の冷凍機31が存在する一方側と冷凍機31が存在しない他方側との間で通流させる上部流路36が形成されている。
【0070】
上部流路36よりも上方に天井走行部42が走行する天井走行空間47を形成する区画体49が、天井搬送車41の走行に伴って連結部材42aが移動可能な状態で設けられている。区画体49は、第1移動経路L1及び第2移動経路L2の夫々について、これらの移動経路Lに沿って並べられた複数の開閉体48を閉じ状態に付勢された状態で備えている。図示は省略するが、各開閉体48は、一対の円板を、平面視で移動経路Lの幅方向に互いに重複する部分を有する状態で、かつ、円板の中心並び方向で中心よりも外側に偏心した縦軸心周りに水平方向に沿う姿勢のまま揺動自在に備えている。一対の円板は、コイルスプリング等の弾性部材により、揺動方向で中心が接近する側に付勢されている。そして、移動経路Lに沿う方向で隣接する開閉体48同士は、移動経路Lに沿う方向で互いに重複する部分を有する状態で並べられている。開閉体48の一対の円板は、天井搬送車41の天井走行部42とホイスト昇降部44とを連結する連結軸が当接した状態で天井搬送車41が走行することで一対の円板が押し広げられるように揺動操作される。このように、複数の開閉体48は、移動経路Lにおける天井搬送車41が位置している箇所に対応する部分が開き状態となるべく、天井搬送車41の走行に伴って切り換えられるように構成されている。
【0071】
凍結自動倉庫Sには、
図13に示すように、上部流路36から凍結処理領域10に流動する冷却空気を凍結処理領域10の他方側において上下方向で均一化する均一化装置50が設けられている。すなわち、均一化装置50は、冷凍室1の内部を循環する冷却空気を凍結処理領域10の他方側において上下方向で均一化する。均一化装置50は、設置高さが高いほど気流流れ方向に長い長さの異なる複数のガイド板51と、上部流路36から流入した冷却空気を上段と下段の2段に分離して流動させる分離板52と、上部流路36から流入した冷却空気を凍結処理領域10の他方側空間に送風する送風機53とを備えている。送風機53から送風された冷却空気は、分離板52により上段と下段とに分離され、夫々において、上方から下方に向かって流動するに伴って複数のガイド板51に順次案内される。これにより、上下各段の鮮魚保持体Bの夫々に対して、上下方向に極力均一に冷却空気を流動させることができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
次に、常温物搬入処理、常温物凍結処理及び凍結物搬出処理の別の形態について説明する。以下の説明では第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、管理コントローラHCは、搬入対象の鮮魚保持体BをホームポジションHPに近い側の収納部11から優先して順次搬入していくようにスタッカークレーンTの作動を制御する。また、管理コントローラHCは、凍結が完了した鮮魚保持体Bだけを搬出する任意搬出処理を行うべく、クレーンコントローラH2に任意搬出指令を指令する。さらに、管理コントローラHCは、選択凍結処理の実行中に空き状態の収納部11に対して新たな鮮魚保持体Bを入庫する途中搬入処理を行うべく、クレーンコントローラH2に途中搬入指令を指令する。
【0073】
冷凍室1は、移動経路Lの長手方向に並ぶ複数の領域に区分けされており、一つの領域に対して単数又は複数の冷凍機31が、その領域に対応して設けられている。管理コントローラHCは、複数の領域のうち収納部11に鮮魚保持体Bが収納されていない領域が存在する場合は、全ての領域の冷凍機31を作動させるのではなく、鮮魚保持体Bが収納されている収納部11が存在する領域に対応する冷凍機31を凍結作動させるべく、選択凍結指令を冷凍機コントローラH1に指令する。冷凍機コントローラH1は、選択凍結指令にて指令される複数又は単一の凍結対象領域に対応する冷凍機31だけを作動させる選択凍結処理を実行する。
【0074】
本実施形態では、移動経路Lに沿って並ぶ複数の領域のうち、ホームポジションHPに最も近い領域における収納部11から優先して鮮魚保持体Bを搬入する。つまり、任意搬出処理により、ある領域における全ての収納部11が空き状態となった場合、途中搬入指令が指令されると、クレーンコントローラH2は、上記のような後発的に空状態となった領域も含めた全ての空き状態の領域のうちホームポジションHPに最も近い領域が搬入対象の領域として選択される。
【0075】
管理コントローラHCは、指令済みの選択凍結指令に係る選択凍結処理が完了すると、当該選択凍結処理の対象であった領域における収納部11に収納されている鮮魚保持体Bを搬出するべく、任意搬出指令をクレーンコントローラH2に指令する。クレーンコントローラH2は、任意搬出指令が指令されると、選択凍結処理が完了した領域における収納部11から鮮魚保持体Bを取り出し入出庫口6まで順次搬送させるべく、任意搬出処理を実行してスタッカークレーンTの作動を制御する。このとき、任意搬出処理の対象となっている領域と入出庫口6との間に別の選択凍結処理が行われている領域が存在する場合は、スタカークレーンTが当該別の選択凍結処理が行われている領域を通過する形態で移動経路Lを走行することになる。
【0076】
任意搬出処理が完了すると、当該任意搬出処理の対象となっていた領域に対応する冷凍機31に付着している霜を取り除くべく、管理コントローラHCは、部分霜取指令を指令する。本実施形態では、冷凍機コントローラH1は、散水装置38における複数の散水ノズル39の散水作動を各別に制御できるように構成されており、部分霜取指令が指令されると、冷凍機コントローラH1は、部分霜取処理を実行して、当該部分霜取指令にて指定された領域に対応する冷凍機31に対して散水する散水ノズル39だけを散水作動させるべく、散水装置38の作動を制御する。
【0077】
本実施形態では、移動経路Lの長手方向に分散配置する状態で複数の仕切体が移動経路Lを開閉自在に設けられており、部分霜取処理を実行する場合は、冷凍機コントローラH2は、鮮魚保持体Bが存在しない領域が前室2に最も近い領域(以下、前室側端部領域という。)に最大数連続して連通する前室連通状態となるように複数の仕切体の開閉を制御する。前室側端部領域が選択凍結処理の実行中である場合は、前室連通状態にはされず、霜取り処理は保留される。そして、当該端部の領域について選択凍結処理及びその後の任意搬出処理が完了した後に、前室連通状態とした上で部分霜取処理が行われる。これにより、部分霜取処理時に発生する多湿空気を開口4の幅狭部26を通して除湿することができる。
【0078】
このように本実施形態では、冷凍室1を複数の領域に区分けして、各領域で各別に鮮魚保持体Bを凍結させ、凍結が完了した領域から鮮魚保持体Bを搬出することができるので、使い勝手がよいだけでなく、ランニングコストも抑制できる。
【0079】
〔第4実施形態〕
次に、常温物搬入処理及び凍結物搬出処理のさらに別の形態について説明する。以下の説明では第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、管理コントローラHCは、搬入対象の鮮魚保持体BをホームポジションHPに近い側の収納部11から優先して順次搬入していくようにスタッカークレーンTの作動を制御する。また、管理コントローラHCは、常温物凍結処理の実行中に、すでに凍結が完了した鮮魚保持体Bだけを搬出する先行搬出処理を行うべく、クレーンコントローラH2に先行搬出指令を指令する。さらに、管理コントローラHCは、常温物凍結処理の実行中に、空き状態の収納部11に対して新たな鮮魚保持体Bを入庫する途中搬入処理を行うべく、クレーンコントローラH2に途中搬入指令を指令する。また、管理コントローラHCは、途中搬出指令によりある領域における複数の収納部11が空き状態となった後、散水装置38における複数の散水ノズル39のうち、当該領域に位置するものだけを散水作動させる部分霜取処理を行うべく、冷凍機コントローラH1に部分霜取指令を指令する。
【0080】
冷凍室1は、移動経路Lの長手方向に分散配置された複数の仕切体により複数の領域に区分けされており、各仕切体は、スタッカークレーンLの移動方向視で移動経路Lが位置する箇所に開閉自在な仕切ドアを備えている。すなわち、仕切ドアを開状態とすることで、スタッカークレーンTは当該仕切りドアが設けられ仕切体を挟んで両側に隣接する2つの領域を移動経路Lに沿って行き来できる。なお、仕切りドアの開閉作動はクレーンコントローラH2が、スタッカークレーンTの作動に同調させる形態で制御する。
【0081】
一つの領域に対して単数又は複数の冷凍機31が設けられている。管理コントローラHCは、複数の領域のうち収納部11に鮮魚保持体Bが収納されていない領域が存在する場合は、常温物凍結処理において全ての領域の冷凍機31を作動させるのではなく、鮮魚保持体Bが収納されている収納部11が存在する領域に対応する冷凍機31を凍結作動させるべく、選択凍結指令を冷凍機コントローラH1に指令する。
【0082】
本実施形態では、移動経路Lに沿って並ぶ複数の領域のうち、ホームポジションHPに最も近い領域における収納部11から優先して鮮魚保持体Bを搬入する。つまり、先行搬出処理により、ある領域における全ての収納部11が空き状態となった場合、途中搬入指令が指令されると、クレーンコントローラH2は、上記のような後発的に空状態となった領域も含めてた全ての空き状態の領域のうちホームポジションHPに最も近い領域が搬入対象の領域として選択される。
【0083】
このように本実施形態では、冷凍室1を複数の領域に区分けして、各領域で各別に鮮魚保持体Bを凍結させ、凍結が完了した領域から鮮魚保持体Bを搬出することができるので、使い勝手がよいだけでなく、ランニングコストも抑制できる。
【0084】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態を例示する。
【0085】
(1)第2実施形態において先行搬出処理及び部分停止処理を実行するものを例示したが、第1実施形態において先行搬出処理及び部分停止処理を実行してもよい。
【0086】
(2)第1実施形態及び第2実施形態の何れにおいても、部分停止処理を実行する構成とする場合に、冷凍室1を移動経路Lに沿って並ぶ複数の領域に区分けする単数又は複数の仕切体を設けて、複数の冷凍機を前記複数の領域に対応して配設し、部分停止処理により停止される冷凍機に対応する領域と停止されずに引き続き運転が継続する冷凍機に対応する領域との間で冷却空気が通流しないように、前記仕切体にて冷凍室1を区分けすることが好ましい。なお、仕切体は、隣接する領域との間での冷却空気の通流を阻止する閉状態と、搬送装置の移動を許容する開状態とに切り換え自在に構成するとよい。このように仕切り体を設けることで領域単位での常温物凍結処理が可能となり、設備のランニングコストの抑制が期待できる。
【0087】
(3)上記各実施形態では、開口4を通して(特に第1実施形態では上部の幅狭部26を通して)、霜取り処理時に前室用空調装置7にて水蒸気を前室2側に吸引して除湿する構成を示したが、開口4とは別に、霜取り時に除湿対象の冷凍室1内の多湿空気を通流させる除湿用幅狭開口を区画壁3に別途設けてよい。例えば、第1実施形態において区画壁3における移動経路Lの幅方向で冷凍機31に対応する箇所に除湿用幅狭開口を形成することが好ましい。この場合、前室用空調装置7は、
図1及び
図11で前室用空調装置7が設けられている壁と対向する壁に設置するとよい。
【0088】
(4)上記各実施形態では、管理コントローラHCが、凍結処理が設定時間だけ継続したかを判別し、常温物凍結処理の実行を停止させる凍結終了指令を冷凍機コントローラH1に指令するものを例示したが、常温物凍結処理の実行を停止させる凍結停止指令を、作業者が凍結スイッチSW2をオフ操作することで指令できるように構成してもよい。
【0089】
(5)上記実施形態では、均一化装置として、設置高さが高いほど気流流れ方向に長い長さの異なる複数のガイド板51と、上部流路36から流入した冷却空気を上段と下段の2段に分離して流動させる分離板52と、上部流路36から流入した冷却空気を凍結処理領域10の他方側空間に送風する送風機53とを備えたものを例示したが、凍結処理領域10の他方側空間に配置されて上部流路36から流入した冷却空気を貯留して上下方向で内部圧力を均一化するチャンバー部と、チャンバー部に貯留された冷却空気を凍結処理領域10の上下幅に対応した複数段に亘って噴出する噴出部と、を備えたものであってもよい。
【0090】
(6)上記第2実施形態において、移動経路LのオポジットポジションOP側の端部において鮮魚保持体Bを搬送する有人フォークリフトが通過可能な有人作業用開口と、この有人作業用開口を開閉自在な作業扉を設けてもよい。これにより、天井搬送車41が故障した場合にも鮮魚保持体の搬入及び搬出が可能となる。また、凍結物搬出処理を実行する場合に一部の鮮魚保持体Bを有人フォークリフトにて搬出することも可能となるため搬出作業を早期に完了させることができる。
【0091】
(7)上記第1実施形態では、搬送装置としてスタッカークレーンTを採用した場合に移動経路Lの片側に凍結処理領域10が設定されたものを例示したが、これに代えて、例えば
図15及び
図16に示すように、移動経路Lの両側に一対の凍結処理領域10が設定されたものであってもよい。
図15及び
図16においては、一対の凍結処理領域10の夫々に設けられる物品収納棚12は、棚奥行き方向に収納部11を1個配列したいわゆるシングルディープ構造の棚となっている。このように、一対の凍結処理領域10の間に移動経路Lが設けられる場合、凍結処理領域10と上部流路36とを区画する天井パネル37は、スタッカークレーンTの走行方向視で一対の凍結処理領域10の並び方向で移動経路Lが位置する部分が最も高く、両側に移動経路Lから遠ざかるほど低くなるように構成されている。また、入出庫コンベヤ5として一対のコンベヤを設けている。これらのコンベヤは入庫用及び出庫用として専用に設定してもよいし、双方とも入出庫兼用に設定してもよい。
【0092】
(8)上記各実施形態では、冷凍機31における熱交換部34の上端部に横軸心周りで回転する循環気流生成用の送風ファン35を取り付けたものを例示したが、循環気流生成用の送風ファンとして縦軸心周りで回転するものを採用してもよい。この場合、冷凍機31と外壁との間に形成される空間の好ましくは中間高さよりも上方側に配設することになる。
【0093】
(9)上記各実施形態では、鮮魚保持体が、ラックR、及び、鮮魚Fを収容した状態でラックRの棚部14に載置支持されるトレーPとで構成されたものを例示したが、これに限らず、鮮魚Fを収容するダンボール箱と、これを載置支持するラックとで構成されたものであってもよい。これら異なるタイプの鮮魚保持体は混在する状態で物品収納棚に収納されることも考えられる。
【0094】
(10)上記第1及び第2実施形態における常温物搬入処理において、鮮魚保持体を移動経路の手前側箇所つまりホームポジション側箇所から順次搬入するものでもよい。
【0095】
(11)上記各実施形態では、複数の散水ノズル39が、散水用の水を供給する供給管に支持されているものを例示したが、これに限らず、散水ノズル39が冷凍機31に支持されているもの等、散水装置の具体的形態は種々のものを採用できる。
【0096】
(12)上記各実施形態では、上部レールヒータ24及び下部レールヒータ25の作動が共通のヒータコントローラH3にて同様に制御されるものを例示したが、これに代えて、例えば夫々のヒータの加熱作動時間を異ならせる等、上部レールヒータ24及び下部レールヒータ25の加熱開始タイミング及び加熱終了タイミングを各別に制御してもよい。また、上部レールヒータ24の作動を制御する上部レールヒータ用コントローラと、下部レールヒータ25の作動を制御する下部レールヒータ用コントローラの夫々を設けてもよい。
【0097】
(13)上記各実施形態では、レールヒータが帯状のテープヒータにて構成されたものを例示したが、これに限らず複数の電熱線にて構成されたヒータ等、種々の形態のヒータを採用してもよい。また、レールヒータの配置箇所についても、例えば、第1実施形態において走行レール17の両側面の一方のみに配設したり上部レール22の両側面に配設する等、種々変更可能である。