(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加速度センサとして、前記歯ブラシ本体の長さ方向に沿ったX軸方向への、前記歯ブラシ本体の動きを検出する加速度センサを設けた請求項1又は2記載の電動歯ブラシ。
手動によるブラッシング操作時に発生する加速度センサからの出力の上限値よりも大きい閾値を予め記憶する閾値記憶手段を設け、前記制御手段では、前記加速度センサからの出力が、前記閾値記憶手段に記憶した閾値以上の場合に、前記振動発生手段を停止状態に切り換える請求項1〜3のいずれか1項記載の電動歯ブラシ。
利用者に情報を出力する出力手段を設け、前記制御手段では、前記加速度センサからの出力に基づいて、適正なブラッシング操作が行われているか否かを判定し、適正なブラッシング操作がなされるように、前記出力手段を通じて利用者に指導情報を提供する請求項1〜5のいずれか1項記載の電動歯ブラシ。
利用者に情報を出力する出力手段を設け、前記制御手段では、前記加速度センサからの出力に基づいて、前記振動発生手段が正常に作動しているか否かを判定し、異常と判定したときには、前記出力手段を通じて利用者に現在の作動情報を提供する請求項1〜6のいずれか1項記載の電動歯ブラシ。
前記ハンドル部を手で保持しているか否かを検出する温度センサと、前記歯ブラシ本体に対する替えブラシの着脱を検出する光センサと、前記ブラシ部に作用する圧力を検出する圧力センサの中から選択される1種又は2種以上を設け、前記制御手段では、これらのセンサからの出力と、前記加速度センサとからの出力に基づいて、前記振動発生手段を制御する請求項1〜7のいずれか1項記載の電動歯ブラシ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
直線運動タイプ、反転運動タイプ、リニア振動タイプの電動歯ブラシは、電動によるブラッシング力を強くできるが、構造が複雑でハンドル部がどうしても太くなったり、歯ブラシが重くなったりする。特に、複数の振動モードを有する場合、スイッチ部の構造も複雑になり、かつスイッチは歯ブラシを握った状態で操作することからハンドル部の円周部に設置しなければならないことから、ハンドル部はより一層太くなり、歯ブラシも更に重くなる恐れがある。ハンドル部が太くなったり、重くなると、手の小さい子供や女性、握力が弱かったり持続力に乏しい子供や老齢者、病人においては、しっかりと歯ブラシを握り続けることが難しくなることから、十分なハミガキ時間を確保できず、歯磨きしたにもかかわらず不十分な口腔清掃状態である恐れがあり好ましくない。
【0007】
一方、手動歯ブラシでは、歯ブラシの清掃性は、フィラメントの毛先が歯面等の表面を往復する際の物理力に大きな影響を受ける。このため、効率良く清掃するためには、清掃したい部分で毛先を往復動させることが好ましいが、そのためには適切なブラッシング技術を体得する必要がある。しかし、実際には利用者の好みに応じた我流のブラッシング法でブラッシングしている人が多く、過度に力を加えたブラッシングや、長時間のブラッシングを行い続けると、歯牙や歯肉を削り取るという問題がある。また、適切なブラッシング技術を体得していないと十分な口腔清掃を得るためにはより長い時間をかけてブラッシングする必要が生じるが、子供や高齢者、病人、妊婦など歯磨きのために口を長く開け続けることができない人では十分な口腔清掃を行なえない恐れがある。さらに、子供やセルフケアが困難な高齢者や病人においては自己又は介助者による口腔清掃においてより一層高度なブラッシング技術が必要となるが、その技術を会得している人が多くないことから、子供やセルフケアが困難な高齢者や病人においては口腔清掃が不完全になり易い恐れが高い。口腔清掃が不十分だと、齲蝕や歯周病などの疾患を引き起こすだけでなく、誤嚥性肺炎や早期流産などの全身疾患等の原因の一つにもなることが知られており、特に要介護者や高齢者、妊婦において短時間に十分な口腔清掃を行なうことが大きな課題となっている。
【0008】
ところで、電動歯ブラシにおいて、ブラシ部(フィラメントを植毛している部分)を上下運動や回転運動させるなど大きく動かそうとすると、モータの回転動力を物理的に直接ブラシ部に伝えるための機構部分を設ける必要が生じたり、駆動させるために必要な運動エネルギーが必要であることからモータの小型化には限界があることなどから、ハンドル部を含む歯ブラシ本体を細くすることが十分にできなかった。一方、錘型ムーブメントを回転モータの動力を使用して回転させたり、錘をリニアモータを使用して往復運動させることで歯ブラシ全体に振動を与える錘振動タイプの電動歯ブラシは、構造が簡単なのでハンドル部を細く、スリムでお洒落に構成でき、しかもハンドバックやポシェットなどに収納可能なことから、最近若い女性の間で普及しつつある。しかし、この錘振動タイプの電動歯ブラシは、錘型ムーブメントの回転に伴う重心の変動をブラシ部に伝達することで機械的な清掃力を得るものであるから、モータ駆動部と物理的に結合し歯ブラシヘッド部を運動させる一般的な電動歯ブラシと比較すると、格段にブラシ部に与えられる運動エネルギーが小さく、十分な清掃力を得るには不十分である。
【0009】
このような状況に鑑みて、本発明者は、錘振動タイプのように、ハンドル部を細く、スリムにできるが、弱いブラッシング力しか得られない電動歯ブラシにおいては、手動歯ブラシのハンドル部の太さ近くまで、ハンドル部を細くすることで、手動によるブラッシング操作の操作性を十分に確保し、手動によるブラッシング操作だけでは十分な清掃性が得られない場合に電動により助勢することで、全体として十分なブラッシング力を確保できるとの発想を得て、手動によるブラッシングを助勢する電動アシスト歯ブラシの開発について鋭意検討した。
【0010】
その結果、電動歯ブラシのハンドル部を細くした場合、電源スイッチとして、押しボタン式やスライド式のスイッチを設けようとすると、電源スイッチがどうしても小型になってしまい、微妙な指操作が困難な、お年寄りやネイルアートを楽しむ爪の長い女性にとって、大変操作し難いものになったり、必要最低限の最適な助勢を得るためには、歯磨き動作の状態に応じて電源スイッチをその都度切り替える必要があるが、手を動かしている最中に電源スイッチを操作することは困難であるという問題を見出した。また、口中にブラシ部を挿入する前にブラシ部に歯磨きペーストを載せた状態で、電源スイッチを操作すると、ブラシ部に付着した水滴や歯磨きペーストが脱落したり、飛散したりするという不具合が発生するので、電源スイッチは、口腔内にブラシ部を挿入した状態で操作することが好ましいが、歯磨きのため電動歯ブラシを持ち替えたときに、電源スイッチの位置を特定し難く、指の感覚だけで電源スイッチを探して電源スイッチを操作する必要があるので、大変操作し難いことを見出した。加えて、一般的に、歯磨時のブラッシング力は体調や清掃する部位などの条件が異なると変動し、そのため、清掃が不十分だったり、過剰な物理力を加えることで歯牙表面に負荷を与え損傷したりする恐れがある。このブラッシング力の過不足を被清掃者が口腔清掃部位や歯ブラシを握る手の感覚を参考に感じ取ってブラッシングを制御することができれば問題ないが、被清掃者が病気やハンディキャップを持つ人や子供などにおいては、前記の繊細な感覚を感じ取る事ができず、さらには繊細な手の動きを制御できないため、適正な助勢の程度や助勢の必要性の有無を判断できなかったり、適正なブラッシングができなかったりする場合がある。特に、被清掃者自身で無く介護者などの他人が歯ブラシを操作する場合は困難といえる。更に、介助を必要とする人や小さな子供に対して歯磨きを行う場合、介助者は自身の歯磨き時とは異なる持ち方で電動歯ブラシを保持する必要があり、電源スイッチが操作し難くなるという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、作動状態と停止状態への切り換え操作の操作性を向上しつつ、ハンドル部を細くして、手動によるブラッシング操作の操作性を確保可能な電動歯ブラシを提供することである。さらには、清掃部位や歯ブラシの持ち方、動かし方などで、歯磨き中に常に変動するブラッシング状態に応じて、必要十分な機械的助勢を自動的にブラシ部へ与えることにより、効率的な口腔清掃を実現させる電動歯ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電動歯ブラシは、歯ブラシヘッド部と、歯ブラシヘッド部を手動操作するためのハンドル部とを有する歯ブラシ本体と、前記歯ブラシヘッド部を振動させる振動発生手段と、手動によるブラッシング操作を検出する加速度センサと、前記加速度センサからの出力に基づいて、少なくとも前記振動発生手段を作動状態と停止状態とに切り換え制御する制御手段とを備えたものである。加えて、例えばブラッシング操作やハンドリング操作を含む、屋内での通常の使用形態における、電動歯ブラシに与えられる加速度は予想出来る範囲であることから、当該加速度を検知することで電動歯ブラシの駆動を制御することが可能であるが、それ以外の状況、例えば、製造工場から出荷し、流通している間や使用者が携帯して持ち運ぶ間などにおいては、電動歯ブラシに様々な大きさの加速度が与えられ、その加速度の中には屋内での通常の使用形態と同じ範囲の加速度も含まれることがあるため、前記のように屋内での通常の使用形態を前提とした制御条件では誤動作を起こす恐れがある。このため、これら誤作動を防止するための、誤動作防止機構を設けることが好ましい。
【0013】
この電動歯ブラシでは、歯ブラシ本体を手動でブラッシング操作すると、該ブラッシング操作時の加速度が加速度センサによって検出され、制御手段により振動発生手段が作動状態に切り換えられて、振動発生手段によりブラシ部に振動が付与され、手動によるブラッシングを電動による振動で助勢しながら、歯や歯肉をブラッシングすることができる。一方、手動による歯ブラシ本体のブラッシング操作を中断すると、加速度センサからの出力に基づいて、制御手段により振動発生手段が停止状態に切り換えられる。また、該ブラッシング操作時に検出される加速度等の情報をもとに、十分なブラッシングが得られている場合は助勢を停止したり、不足している場合は、不足の程度に準じて電動による助勢の程度を制御することもできる。
【0014】
このように、この電動歯ブラシでは、手動でブラッシング操作することを前提に構成しているので、振動発生手段として比較的出力の弱い小型なものを採用できる。このため、電動歯ブラシのハンドル部を細く、スリムに構成して、手動によるブラッシング操作に適した電動歯ブラシを実現でき、振動発生手段として比較的出力の弱い小型なものを採用しつつ、手動によるブラッシング操作の操作性を高めて、ブラッシング性能を十分に確保できる。また、歯ブラシ本体を手動でブラッシング操作することで、振動発生手段が作動し、歯ブラシ本体のブラッシング操作を中断することで、振動発生手段が停止したり、ブラッシング操作の状況に応じて自動的に助勢の程度が判断され助勢の程度を変化させることもできるので、指の感覚が弱くなったお年寄りや、病気やハンディキャップを持つ人や、ネイルアートを楽しむ爪の長い女性が歯磨きを行う場合でも、介助を必要とする人や小さな子供に対して他人が歯磨きを行う場合でも、振動発生手段を容易に作動状態と停止状態に、更には適切な助勢状態に切り換えることができる。また、機械式の電源スイッチを省略できるので、電動歯ブラシのハンドル部をより一層細く、スリムに構成できるとともに、ハンドル部における凹凸部分を少なくして、ハンドル部の清掃性を向上でき、しかも電動歯ブラシの水密構造を簡素に構成して、水密性を向上できるとともに、電動歯ブラシの製作コストを安くできる。更に、ブラシ部に歯磨きペーストを載せて、ブラシ部を口腔内に挿入した状態で、手動でブラッシング操作することで、振動発生手段を作動させることができるので、歯磨きペーストの脱落や飛散を防止することが可能となる。また、電池が切れた場合でも、手動の歯ブラシと同様に、歯を磨くことができる。なお、当該発明の電動歯ブラシは、加速度センサと演算部および電界効果トランジスタ、二次電池とそれを充電するための誘導コイルおよび充電回路を内装し、外部の充電器に電動歯ブラシを置くことで、誘導コイルに誘導電流を発生させて、二次電池を充電可能に構成する。ここにおいて、充電中に前記加速度センサと演算部が共に通電状態にあるが、電力消費量を最小にするために演算部をスリープ状態にし、加速度センサをスタンバイ状態にしておくことも可能である。また、本発明の電動歯ブラシにおいては二次電池を電源として活用するが、演算部において最終放電電圧を設定することにより二次電池の過放電による性能劣化を防止することができる。ここにおいて、最終放電電圧を下回った場合、二次電池からの電源供給が途絶えるため、加速度センサ、演算部、電界効果トランジスタ等への通電が遮断され、電動歯ブラシの制御が完全に停止した状態にある。この状態を脱して電動歯ブラシの機能を回復させるためには、電動歯ブラシを充電器に置くことをトリガーとし、電動歯ブラシに内装した誘導コイル中に誘導電流を発生させ、さらには電界効果トランジスタとレギュレータを用いて規定する電圧を演算部等に印加させる。但し、電動歯ブラシに、ブラッシング操作により発電する発電手段を設け、該発電手段による発電をトリガーとして制御手段による制御を開始することも可能である。この場合には、ブラッシング操作を行なうまでは、制御手段および加速度センサへの通電を遮断できるので、待機電流を少なくする上で好ましい。さらには、二次電池の劣化に伴いガスが発生する場合があり、二次電池を収容する空間が密閉状態にあると、歯ブラシ本体が膨張し、変形したり、破裂したりする恐れが発生するため、発生したガスを排出させるためのガス抜き穴機構を設けることが好ましい。ガス抜き穴機構を設けた場合、外部から水などの異物が電動歯ブラシの内部に流入することを防止するため、液体は通過しないが気体は通過することができる通気性膜を設けることがさらに好ましい。
【0015】
ここで、前記振動発生手段として、モータと、該モータにより偏心回転する重錘とを備えたものを用いたり、リニアアクチュエータと、該リニアアクチュエータにより往復運動する重錘とを備えたものを用いたりすることが好ましい実施の形態である。本発明に係る電動歯ブラシは、直線運動タイプ、反転運動タイプなどの電動歯ブラシに対しても適用できるが、モータと、該モータにより偏心回転する重錘とを備えた錘振動タイプの電動歯ブラシや、リニア振動タイプの電動歯ブラシのうちの、ブラシ部を直接的に振動させるタイプではなく、リニアアクチュエータと、該リニアアクチュエータにより往復運動する重錘とを備え、ケーシングに伝達される振動をブラシ部に伝達するように構成した錘リニア振動タイプの電動歯ブラシに好適である。つまり、錘振動タイプや錘リニア振動タイプの電動歯ブラシは、歯ブラシ本体に対しても振動が伝達されるので、ブラシ部の振動がどうしても弱くなるが、モータやリニアアクチュエータとして小型なものを採用できるので、電動歯ブラシのハンドル部を細く、スリムに構成し、手動によるブラッシング操作に適した電動歯ブラシを実現できるので好ましい。具体的には、錘振動タイプや錘リニア振動タイプの電動歯ブラシを採用することで、前記ハンドル部の外径を8〜18mm、好ましくは8〜15mm、さらに好ましくは8〜12mmに設定することができる。このように構成することで、ハンドル部を手で保持して、手動によるブラッシング操作の操作性を十分に確保することができる。また、手動によるブラッシング操作の検出精度を高めるため、前記制御手段に、前記モータやリニアアクチュエータによる振動成分を除去するフィルター回路を設けることも好ましい。
【0016】
前記加速度センサとして、前記歯ブラシ本体の長さ方向に沿ったX軸方向への、前記歯ブラシ本体の動きを検出する加速度センサを設けることができる。つまり、電動歯ブラシを一般的なブラッシング法としてのバス法やスクラブ法により手動でブラッシング操作したときには、歯ブラシ本体の長さ方向に沿ったX軸方向への移動は必須なので、X軸方向への加速度を検出する1つの加速度センサを設けるだけで、該加速度センサによりブラッシング操作の有無を確実に検出できる。また、より高度な制御を目的とする場合には、前記歯ブラシヘッドの植毛面を含む面に含まれる2軸、すなわち、ハンドル部の長さ方向(X軸)とX軸に対して直交するY軸の2方向に対して加速度センサを設けることが好ましい。さらには、X軸とY軸の両方の軸に直交する(前記歯ブラシヘッドの植毛面と垂直に直交する)Z軸方向の3方向に対して加速度センサを設けると、よりきめ細かな制御が可能となるため好ましい。ここにおいて、各々の加速度センサは別個に配置しても良いが、2軸加速度センサや3軸加速度センサを使用すると省スペース効果が得られ、さらには製作コストを低減できる可能性があるため好ましい。手動によるブラッシング操作の有無は、例えば、被清掃者が健常者であり、かつ自身がブラッシング操作する場合は、加速度センサがX軸方向への3〜7Hz、より厳密に制御する場合は3〜5Hzの振動を検出したときに、被清掃者以外の他人がブラッシング操作する場合は、加速度センサがX軸方向への1〜5Hz、より厳密に制御する場合は1〜3Hzの振動を検出したときに、ブラッシング操作されていると判定することで、非ブラッシング時の誤動作を防止することができる。このように、使用態様に応じて変動させるだけでなく、商品特徴(例えば、介護用歯ブラシ、子供用歯ブラシ、高齢者用歯ブラシなど)に応じて自動的に助勢モードを切り替える判断基準をより最適な状態に設定することも可能である。これらの設定を行なうことで、非ブラッシング時の誤動作を防止するだけでなく、より高度なブラッシング助勢機能を付与することが可能である。
【0017】
出荷後の配送や保管条件によっては予想し得ない様々な振動が電動歯ブラシに伝達し、電動歯ブラシが誤動作することも考えられるため、出荷後、使用者が購入し使用するまでの間の誤動作を防止する機構を付与しても良い。該誤動作防止機構は、一旦解除すれば、再度誤動作防止機能を発揮させることができないタイプのものや、使用者の意思によって自由に誤動作防止機能の設定が可能なタイプのものを設けることができる。後者の場合は、誤動作防止機能のオン/オフを設定する主電源スイッチを、誤動作防止機構として電動歯ブラシに設けることになる。この主電源スイッチは、電動歯ブラシの使用時に操作する必要が無いことから、従来の電源スイッチとは異なり、電動歯ブラシを把持したときに操作できない位置にも設けることができる。すなわち、本願発明の効果であるより細い電動歯ブラシを実現させるためには、歯ブラシ本体の長軸方向の端部に該機構を設けることが必要である。例えば、歯ブラシ本体のブラシ部とは反対側にあたる面に主電源スイッチを設けたり、ハンドル部に対する替えブラシの装着の有無を感知する機構を設け、装着していないときには加速度センサ等に通電させないようにすることで誤動作を防ぐと共に待機電流の遮断による電動歯ブラシの稼働時間低下の防止を図ることができる。さらには、手動によるブラッシング操作時に発生する加速度センサからの出力の上限値よりも大きい閾値を予め記憶する閾値記憶手段を設け、前記制御手段では、前記加速度センサからの出力が、前記閾値記憶手段に記憶した閾値以上の場合に、前記振動発生手段を停止状態に切り換えることも好ましい実施の形態である。このように構成すると、万一、ブラッシング操作を中断しても、振動発生手段が停止しないときには、電動歯ブラシを強く振ることで、強制的に振動発生手段を停止させることができる。また、歯ブラシ本体の硬質部分が歯に当たったときの衝撃を加速度センサで検出して、振動発生手段を一時的に停止状態に切り換えることもできる。つまり、子供やお年寄り、体の不自由な人に対して歯磨きを介助する場合には、介助者の操作する歯ブラシ本体の硬質部分が介助を受ける人の歯に当たることがあり、介助を受ける人が不快な思いをすることがあるので、このようなときに、振動発生手段を一瞬停止させて、介助者に異常を知らせるように構成することもできる。
【0018】
前記制御手段では、前記加速度センサからの出力に基づいて、前記振動発生手段の振動数を制御することも好ましい。例えば、一様なブラッシング力でブラッシングできるように、手動によるブラッシング操作により生じる加速度が小さいときなどには、振動発生手段の振動数を高くし、手動によるブラッシング操作により生じる加速度が大きいときなどには、振動発生手段の振動数を低く設定することができる。また反対に、手動によるブラッシング力に連動して、振動発生手段の振動数が制御されるように、手動によるブラッシング操作により生じる加速度が小さいときなどには、振動発生手段の振動数を低くし、手動によるブラッシング操作により生じる加速度が大きいときなどには、振動発生手段の振動数を高く設定することもできる。更に、加速度センサからの出力に基づいて判定された、バス法、スクラブ法、ローリング法、フォーンズ法など、助勢時のブラッシング法に応じた振動形態で、ブラシ部を振動させることもできる。
【0019】
利用者に情報を出力する出力手段を設け、前記制御手段では、例えば前記加速度センサとともに、地磁気センサ、ジャイロセンサ、荷重センサ、圧力センサ、温度センサ、光センサ等のセンサを任意に組み合わせて用いることにより、それらセンサの各出力に基づいて、種々の追加機能を本発明の電動歯ブラシに付与することができる。例えば、ブラッシング部位と歯ブラシの傾斜方向やブラッシング動作に関して解析することにより、適正なブラッシング操作が行われているか否かを判定し、適正なブラッシング操作がなされるように、前記出力手段を通じて利用者に指導情報を提供したり、適正なブラッシング圧力範囲でブラッシングできるような教育プログラム機能を付与したり、歯ブラシヘッド部に光センサを設けることで歯磨状態の開始時期と終了時期を検知し、加速度センサの情報と組合せることで電動歯ブラシの誤動作を高度に防止するだけでなく、ブラッシング操作の状態を詳細に把握することができる。このように構成すると、出力手段からの指導情報に従って、歯ブラシ本体をブラッシング操作することで、正しいブラッシング方法を学習することができる。例えば、手動によるブラッシング操作の1分間当たりの往復運動数(以下、ブラッシング周波数ともいう)の適正値を予め設定して記憶させておき、歯磨き時における加速度センサから出力される波形からブラッシング周波数を算出し、該振動回数が予め設定した適正値の範囲内に含まれるか否かを検出して、振動回数が適正値よりも小さい場合には、ブラッシング速度を速めるように案内し、大きい場合には、ブラッシング速度を遅くするように案内することができる。電動歯ブラシに地磁気センサやジャイロセンサや三軸加速度センサなど、電動歯ブラシの姿勢を検出する姿勢検出部を備えさせ、バス法、スクラブ法、ローリング法、フォーンズ法などのブラッシング法毎に、手動で適正にブラッシングしたときにおける姿勢検出部の出力を、制御手段に予め記憶させておき、口腔内を実際に清掃しているときにおける、姿勢検出部からの出力を解析して、適正なブラッシング方法でブラッシング操作がなされるように、音声出力などによりブラッシング方法を案内したり、振動発生手段の振動数や振動方向、振幅などを制御し、助勢程度及び/又は助勢の方法を制御したりすることもできる。
【0020】
利用者に情報を出力する出力手段を設け、前記制御手段では、前記加速度センサからの出力に基づいて、前記振動発生手段が正常に作動しているか否かを判定し、異常と判定したときには、前記出力手段を通じて利用者に現在の作動情報を提供することも好ましい実施の形態である。このように構成すると、電動歯ブラシの電池切れや故障を利用者に案内することができる。具体的には、振動発生手段によるブラシ部の振動数の適正値を予め測定して記憶させておき、振動発生手段の作動時における加速度センサから出力される波形の振動回数を測定し、該振動回数が予め設定した適正値の範囲内に含まれるか否かを判定して、測定した振動回数が適正値よりも小さい場合や大きい場合には、振動発生手段が正常に作動していないことを案内することになる。
【0021】
前記ハンドル部を手で保持しているか否かを検出する温度センサと、前記歯ブラシ本体に対する替えブラシの着脱を検出する光センサと、前記ブラシ部に作用する圧力を検出する圧力センサの中から選択される1種又は2種以上を設け、前記制御手段では、これらのセンサからの出力と、前記加速度センサとからの出力に基づいて、前記振動発生手段を制御することも好ましい。加速度センサだけでも、手動によるブラッシング操作の有無を検出できるが、温度センサや光センサや圧力センサなどを併用することで、より精度よく、手動によるブラッシング操作の有無を検出できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電動歯ブラシによれば、手動でブラッシング操作することを前提に構成しているので、振動発生手段として比較的出力の弱い小型なものを採用できる。このため、電動歯ブラシのハンドル部を細く、スリムに構成して、手動によるブラッシング操作に適した電動歯ブラシを実現でき、振動発生手段として比較的出力の弱い小型なものを採用しつつ、手動によるブラッシング操作の操作性を高めて、ブラッシング性能を十分に確保できる。また、歯ブラシ本体を手動でブラッシング操作することで、振動発生手段が作動し、歯ブラシ本体のブラッシング操作を中断することで、振動発生手段が停止したり、ブラッシング操作の状況に応じて自動的に助勢の程度が判断され助勢の程度を変化させることもできるので、指の感覚が弱くなったお年寄りや、病気やハンディキャップを持つ人や、ネイルアートを楽しむ爪の長い女性が歯磨を行なう場合でも、介助を必要とする人や小さな子供に対して他人が歯磨きを行う場合でも、振動発生手段を容易に作動状態と停止状態とに切り換えることができる。更には、ブラッシング操作の状態の変動に合わせて、自動的にブラッシング助勢の程度を変動させ、より効率的で適正なブラッシング状態を制御することもできる。また、機械式の電源スイッチを省略できるので、電動歯ブラシのハンドル部をより一層細く、スリムに構成できるとともに、ハンドル部における凹凸部分を少なくして、ハンドル部の清掃性を向上でき、しかも電動歯ブラシの水密構造を簡素に構成して、水密性を向上できるとともに、電動歯ブラシの製作コストを安くできる。更に、ブラシ部に歯磨きペーストを載せて、ブラシ部を口腔内に挿入した状態で、手動でブラッシング操作することで、振動発生手段を作動させることができるので、歯磨きペーストの脱落や飛散を防止することが可能となる。また、電池が切れた場合でも、手動の歯ブラシと同様に、歯を磨くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、替えブラシを上側にして電動歯ブラシを縦向きにした状態を基準に上下を定義して説明する。
【0025】
図1〜
図3に示すように、電動歯ブラシ1は、ブラシ部15と、ブラシ部15を手動操作するためのハンドル部20とを有する歯ブラシ本体2と、ブラシ部15を振動させる振動発生手段3と、手動によるブラッシング操作を検出する加速度センサ4と、加速度センサ4からの出力に基づいて、少なくとも振動発生手段3を作動状態と停止状態とに切り換え制御する制御手段5と、振動発生手段3と制御手段5を駆動するための電池6とを備えている。
【0026】
歯ブラシ本体2は、ハンドル部20とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシ10とを備えている。替えブラシ10の柄11の上端部には植毛台13が設けられ、植毛台13には複数の毛束14が植設され、これら複数の毛束14によりブラシ部15が形成されている。
【0027】
ハンドル部20について説明すると、略円筒状などの筒状のケーシング21が設けられ、ケーシング21の上端部内には上部プラグ22がシールリング23を介して水密状に内嵌されている。上部プラグ22の上端部にはケーシング21から上方へ突出する筒部22aが形成され、筒部22a及びケーシング21の上端部にはプラグ固定部材24が外嵌され、上部プラグ22及びプラグ固定部材24は、プラグ固定部材24の係止片24aを筒部22aの溝部22bに係合させることで、ケーシング21の上端部に脱落不能に取付けられている。上部プラグ22には上方へ突出する連結軸25が、下半部を上部プラグ22の中央部に埋設させて一体的に設けられ、替えブラシ10は、その下端部に形成した取付孔12に連結軸25を嵌合させて、連結軸25に着脱自在に取付けられている。なお、上部プラグ22と連結軸25とは別部材で構成することもできるし、一体成形品で構成することもできる。
【0028】
替えブラシ10には取付孔12の周方向の一部を構成する弾性変形可能な係止片16が形成され、連結軸25の途中部には係合溝25aが形成され、替えブラシ10は、係止片16と係合溝25aとの係合により、ブラッシング操作程度の力では容易に脱落しないように着脱自在に構成されている。ただし、連結軸25に対する替えブラシ10の連結構造としては、周知の構成のものを採用でき、例えば替えブラシ10の取付孔12に連結軸25を挿入した後、替えブラシ10を一定角度回転させることで、連結軸25に対して替えブラシ10を連結できるように構成することもできる。
【0029】
ケーシング21の下端部には下部プラグ26が設けられ、下部プラグ26の上半部はシールリング27を介してケーシング21の下端部に水密状に内嵌されている。下部プラグ26内には誘導コイル28が内装され、電動歯ブラシ1を図示外の充電器にセットすることで、誘導コイル28に誘導電流を発生させて、電池6を充填できるように構成されている。下部プラグ26の下壁部にはガス抜き穴26aが形成され、二次電池の劣化に伴いガスが発生した場合でも、発生したガスをガス抜き穴26aを介して外部へ排出し、歯ブラシ本体2が膨張し、変形したり、破裂したりすることを防止できるように構成されている。また、ガス抜き穴26aのケーシング21の内側端部には、液体は通過しないが気体は通過する通気性膜29が横断状に設けられ、外部から水などの異物が電動歯ブラシ1の内部に流入することを防止できるように構成されている。
【0030】
ケーシング21内には支持フレーム30が移動不能に内嵌され、支持フレーム30の上部にはモータ31が取付けられ、支持フレーム30の下部には電池6が取付けられ、支持フレーム30の側部には回路基板32が取付けられ、モータ31と電池6と回路基板32は支持フレーム30とともにケーシング21内に組み込まれている。
【0031】
振動発生手段3は、モータ31と、モータ31の回転軸31aの上端部に固定した錘33とを有し、モータ31により錘33を偏心回転させることで、ケーシング21の上部を振動させ、この振動を連結軸25と柄を介してブラシ部15に伝達するように構成されている。ただし、振動発生手段3に代えて、
図13に示すように、ケーシング21の長さ方向に往復直線運動する出力軸31Aaを有するリニアアクチュエータ31Aと、該リニアアクチュエータ31Aの出力軸31Aaの両端部に固定した錘33Aとを備え、リニアアクチュエータ31Aにより錘33Aを往復直線運動させて、ケーシング21に作用する振動をブラシ部15に伝達するように構成した振動発生手段3Aを用いることもできる。この場合には、バス法によるブラッシング操作を助勢することができる。なお、錘33Aは片側にのみ設けることもできる。
【0032】
モータ31及び制御手段5を駆動する電池6としては、一次電池を用いることも可能であるが、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池などの二次電池を用いることが好ましい。
【0033】
回路基板32には、誘導コイル28から供給される誘導電流により電池6を充電するための充電回路と、ハンドル部20の長さ(X軸方向)へのハンドル部20の移動を検出する加速度センサ4と、加速度センサ4からの出力を受けて、モータ31への通電を制御するための制御手段5などが設けられている。
【0034】
制御手段5は、CPUとRAMとROMとを主体に構成され、制御手段5のROMには、加速度センサ4からの出力に基づいて、モータ31の作動を制御する作動制御の制御プログラムが記憶されている。
【0035】
次に、制御手段5でなされる作動制御の制御プログラムについて、
図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。この制御プログラムは、加速度センサ4からの出力に基づいて、モータ31を作動状態と停止状態とに切り換えるものである。なお、図中Si(i=1、2、3、・・・)は各ステップを示すものである。
【0036】
電動歯ブラシ1を充電器から取り外して、誘導コイル28からの誘導電流の供給がなくなると、この制御が開始されるとともに、加速度センサ4が加速度を検出可能な状態にし、S1においてフラグFをリセットするなどの必要な初期設定がなされ、S2において、充電器に電動歯ブラシ1がセットされているか否かが、誘導コイル28からの誘導電流の有無により判定される。なお、本実施の形態では、充電器に対する電動歯ブラシ1の取付けや取外しに関係なく、制御手段5及び加速度センサ4に対して常時通電を行っているが、電動歯ブラシ1を充電器から取り外して、誘導コイル28からの誘導電流の供給がなくなったときに、制御手段5及び加速度センサ4への通電を行って、この制御を開始し、電動歯ブラシ1を充電器にセットして、誘導コイル28からの誘導電流が供給されたときに、制御手段5及び加速度センサ4への通電を停止するように構成することも可能である。
【0037】
そして、歯磨きを始めるため、電動歯ブラシ1を充電器から取り外すと、S2においてNoと判定されて、S3に移行し、加速度センサ4からの出力において加速度の発生の有無が判定され、加速度センサ4からの出力において加速度の発生がある場合には、加速度センサ4からの出力波形から電動歯ブラシの動きの周波数が求められ、S4において該周波数が手動によるブラッシング時の周波数の範囲内か、即ち1〜7Hzの範囲内か否かが判定される。つまり、手動によるブラッシング時のX軸方向の周波数は、遅くても1〜2Hz、速くても5〜6Hzなので、加速度センサ4からの出力波形の周波数が1〜7Hzの範囲内の場合には、手動によりブラッシング操作がなされていると判定することになる。
【0038】
そして、電動歯ブラシ1を充電器から取り外してから、歯磨きを実際に行うまでの間は、ブラシ部15を洗ったり、ブラシ部15に歯磨きペーストを載せたり、必要に応じて電動歯ブラシ1を洗面台等に一時的に置いたりするなどの作業を行うことになるが、ブラシ部15を洗ったり、ブラシ部15に歯磨きペーストを載せたりするときにおける加速度センサ4からの出力は、手動によるブラッシング操作時の周波数とは異なることからS4においてNoと判定され、また電動歯ブラシ1を洗面台等に一時的に置いた場合には、加速度センサ4からの出力における加速度がゼロとなることから、S3においてNoと判定されて、S5に移行する。S5では、フラグFがセットされているか否かが判定され、当初は初期設定においてフラグFがリセットされているので、Noと判定されてS2に戻り、手動によりブラッシング操作を実際に行うまでの間は、S2、S3、S5或いはS2〜S5を繰り返すことになる。
【0039】
一方、ブラシ部15を口腔内に入れてブラッシング操作を行うと、S4においてYesと判定され、フラグFがF=1か否かが判定される(S6)。歯磨き操作の当初は初期設定においてフラグFはリセットされているので、S7へ移行して、モータ31を作動させて、錘33を回転させることにより、ブラシ部15を振動させ、S8においてフラグFをセットしてから、S2に戻る。
【0040】
こうして、手動によりブラッシング操作を開始すると、モータ31が作動してフラグFがセットされるので、次回S2〜S4を経てS6へ移行したときには、Yesと判定されてS2に戻り、手動によりブラッシング操作している間は、S2〜S4、S6を繰り返して、振動発生手段3により手動によるブラッシング操作が助勢されることになる。
【0041】
こうして、口腔内の全てのブラッシング操作を完了し、ブラッシング操作を中断すると、S3又はS4においてNoと判定されて、S5へ移行し、フラグFがセットされていることから、S5においてYesと判定されて、S9においてモータ31が停止され、S10においてフラグFがリセットされてから、S2に戻る。そして、モータ31が停止してから、ブラシ部15を口腔内から外へ出し、ブラシ部15を水洗いしてから、電動歯ブラシ1を充電器にセットすることになるが、電動歯ブラシ1を充電器にセットするまでは、前述したように歯磨きを実際に行うまでと同様に、S2、S3、S5或いはS2〜S5を繰り返して、モータ31が停止状態に維持されることになる。
【0042】
そして、歯磨きを完了して、電動歯ブラシ1を充電器にセットすると、S2においてYesと判定されて、制御手段5が制御を終了し、その結果加速度センサ4は加速度の検知を終了する。なお、前述の場合、制御手段5や加速度センサ4に対しては、充電器に対する電動歯ブラシ1のセットの有無に関係なく常時通電を行う必要があるが、別途電源をON/OFFする機能を設けると、制御手段5や加速度センサ4などの通電が必要なくなるため、これらへの電源をOFF状態に切り換えて、電動歯ブラシ1の待機電流を極力少なくすることができる。
【0043】
このように、この電動歯ブラシ1では、歯ブラシ本体2を手動でブラッシング操作すると、該ブラッシング操作時の加速度が加速度センサ4によって検出され、制御手段5により振動発生手段3が作動状態に切り換えられて、振動発生手段3によりブラシ部15に振動が付与され、手動によるブラッシングを電動による振動で助勢しながら、歯をブラッシングすることができる。一方、手動による歯ブラシ本体2のブラッシング操作を中断すると、加速度センサ4からの出力に基づいて、制御手段5により振動発生手段3が停止状態に切り換えられる。
【0044】
このように、この電動歯ブラシ1では、手動でブラッシング操作することを前提に構成しているので、振動発生手段3のモータ31として比較的出力の弱い小型なものを採用できる。このため、電動歯ブラシ1のハンドル部20の外径を、例えば8〜18mm、好ましくは8〜15mm、さらに好ましくは8〜12mmに設定して、ハンドル部20を細く、スリムに構成して、手動によるブラッシング操作に適した電動歯ブラシを実現でき、振動発生手段3のモータ31として比較的出力の弱い小型なものを採用しつつ、手動によるブラッシング操作の操作性を高めて、ブラッシング性能を十分に確保できる。また、歯ブラシ本体2を手動でブラッシング操作することで、振動発生手段3が作動し、歯ブラシ本体2のブラッシング操作を中断することで、振動発生手段3が停止したり、ブラッシング操作の状況に応じて自動的に助勢の程度が判断され助勢の程度を変化させることもできるので、指の感覚が弱くなったお年寄りや、病気やハンディキャップを持つ人や、ネイルアートを楽しむ爪の長い女性が歯磨を行なう場合でも、介助を必要とする人や小さな子供に対して歯磨きを行う場合でも、振動発生手段3を容易に作動状態と停止状態とに切り換えることができる。更には、ブラッシング操作の状態の変動に合わせて、自動的にブラッシング助勢の程度を変動させ、より効率的で適正なブラッシング状態を制御することもできる。また、機械式の電源スイッチを省略できるので、電動歯ブラシ1のハンドル部20をより一層細く、スリムに構成できるとともに、ハンドル部20の外面における凹凸部分を少なくして、ハンドル部20の清掃性を向上でき、しかも電動歯ブラシ1の水密構造を簡素に構成して、水密性を向上できるとともに、電動歯ブラシ1の製作コストを安くできる。更に、ブラシ部15に歯磨きペーストを載せて、ブラシ部15を口腔内に挿入した状態で、手動でブラッシング操作することで、振動発生手段3を作動させることができるので、歯磨きペーストの脱落や飛散を防止することが可能となる。また、電池6が切れた場合でも、手動の歯ブラシと同様に、歯を磨くことができる。
【0045】
なお、加速度センサ4としては、X軸方向の加速度を検出する加速度センサ4だけでなく、
図1に示すように、植毛台13を含む面内で且つハンドル部20の長さ方向に直交するY軸方向や、植毛台13を含む面と直交するZ軸方向の加速度を検出する加速度センサを設け、これらの加速度センサからの出力に基づいて振動発生手段3のモータ31を作動状態と停止状態とに切り換えることも可能である。ただし、このように構成すると、制御が複雑になるので、X軸方向とY軸方向の2つの加速度センサのみを用いることも好ましく、この場合でもスクラブ法、水平法、バス法、垂直法、フォーンズ法など、様々なブラッシング法に対応できる。また、本実施の形態のように、X軸方向の加速度を検出する加速度センサ4を設けるだけでも、次のような理由から、ブラッシング方法として最も推奨されるバス法及びスクラブ法によるブラッシング動作を確実に検出できる。
【0046】
図11(a)と(b)は、モータ31の停止状態で、バス法やスクラブ法で、2Hzで手動のブラッシングを行った場合(a)と、同6Hzでブラッシングした場合(b)における、X軸方向の加速度を検出する加速度センサ4からの出力をそれぞれ示している。また、
図12(a)と(b)は、前述のブラッシングにおける、Y軸方向の加速度を検出できる加速度センサからの出力をそれぞれ示しており、
図12(c)と(d)は、同じくZ軸方向の加速度を検出できる加速度センサからの出力をそれぞれ示している。これらのグラフから、判るようにバス法やスクラブ法によりブラッシングする場合には、X軸方向の往復動作が主な手の動きであることから、X軸方向の加速度を検出する加速度センサ4からの出力が、Y軸方向やZ軸方向の加速度センサからの出力と比較して格段に大きくなる。従って、X軸方向の加速度を検出する加速度センサ4を設けるだけでも、バス法やスクラブ法によるブラッシング操作を確実に検出できることが分かる。
【0047】
また、
図11(c)と(d)は、モータ31の作動状態で、バス法やスクラブ法で、2Hzで手動のブラッシングを行った場合と、同6Hzでブラッシングした場合における、X軸方向の加速度を検出する加速度センサ4からの出力をそれぞれ示しているが、このグラフから、加速度センサ4がモータ31による振動の影響を受けることが分かる。このため、検知制度を高め、誤作動を防止する目的で加速度センサ4の出力から、モータ31による振動成分を除去するフィルター回路を必要に応じて設けることが好ましい。
【0048】
次に、前記電動歯ブラシ1の制御系の構成を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。なお、下記(1)〜(5)の実施の形態は、任意に組み合わせて設けることができる。
【0049】
(1)加速度センサ4からの出力に基づいて、電動歯ブラシ1の異常な操作を検出したときには、振動発生手段3の作動を停止させることもできる。
具体的には、
図5に示すように、制御手段5に、手動によるブラッシング操作時に発生する加速度センサ4からの出力の上限値よりも大きい閾値を予め記憶する閾値記憶手段40を備えさせ、
図4に示すS1〜S11に対して、
図6に示すS20を設けることもできる。
【0050】
この場合には、
図4、
図6に示すように、S3において加速度センサ4からの出力が検出されてYesと判定されたときには、S20において加速度センサ4からの出力が閾値以上か否かが判定され、閾値未満の場合にはS4へ移行して前述の実施の形態と同様の制御がなされるが、閾値以上の場合には、S9へ移行してモータ31を停止させ、S10においてフラグFをリセットすることになる。つまり、ブラシ部15に歯磨きペーストを載せたり、電動歯ブラシ1を洗面台に設置したり、手動によりブラッシング操作したりしたときのように、通常の歯磨き操作或いはそれに伴う操作では、加速度センサ4からの出力が小さいので、S20においてNoと判定されてS4へ移行し、前述の実施の形態と同様の制御がなされるが、閾値以上の場合には、モータ31を緊急停止させることになる。例えばモータ31が停止しないなどの何等かの異常が発生したときには、利用者が電動歯ブラシ1を強く振ることで、モータ31を緊急停止させるように構成したり、ブラッシング時において、歯ブラシ本体2の硬質部分が歯に当たったときの衝撃を加速度センサ4で検出して、モータ31を一時的に停止状態に切り換えることができる。
【0051】
(2)加速度センサ4からの出力に基づいて、振動発生手段3の振動数や振動方向、振幅などを制御することもできる。
具体的には、
図5に示すように、制御手段5に、手動による適正なブラッシング時におけるブラッシング周波数Cの上限値Cmaxと、下限値Cminを予め記憶する適正周波数記憶手段41を備えさせ、
図4に示すS1〜S11に対して、
図7に示すS30〜S32を設けることになる。ここで、上限値Cmaxと下限値Cminとは、手動によりブラッシング操作しているときに加速度センサ4が検出する加速度変化から算出する周波数、具体的には1〜7Hzの範囲内に設定することになり、例えば通常の健常人の平均的なブラッシング周波数範囲である上限値Cmax5Hz、下限値Cmin3Hzと設定することができる。
【0052】
この場合には、S6においてYesと判定されたときには、S30において加速度センサ4からの出力周波数に基づいて、ブラッシング周波数Cが適正範囲内か否かが判定され、適正範囲内の場合には、S2へ移行して前述と同様の制御がなされ、下限値Cmin未満の場合には、モータ31の回転数を高くして(S31)、電動によるブラシ部15の振動を強くしてからS2に移行し、上限値Cmaxを超える高周波数の場合には、モータ31の回転数を低くして(S32)、電動によるブラシ部15の振動を弱くしてからS2に移行することで、一様なブラッシング力でブラッシングできるように構成することになる。なお、前述とは反対に、手動によるブラッシング力に連動するように、手動によるブラッシング操作力が弱く、加速度が小さいときには、モータ31の回転数を低くし、手動によるブラッシング操作力が強く、加速度が大きいときには、モータ31の回転数を高く設定することもできる。更に、電動歯ブラシ1に地磁気センサやジャイロセンサや三軸加速度センサなど、電動歯ブラシの姿勢を検出する姿勢検出部を備えさせ、バス法、スクラブ法、ローリング法、フォーンズ法などのブラッシング法毎に、手動で適正にブラッシングしたときにおける姿勢検出部の出力を、制御手段5に予め記憶させておき、口腔内を実際に清掃しているときにおける、姿勢検出部からの出力を解析して、適正なブラッシング方法でブラッシング操作がなされるように、音声出力などによりブラッシング方法を案内したり、振動発生手段3の振動数や振動方向、振幅などを制御し、助勢程度及び/又は助勢の方法を制御したりすることもできる。
【0053】
(3)加速度センサ4からの出力に基づいて、利用者にブラッシング方法を指導することもできる。
具体的には、
図5に示すように、ブラッシングの指導情報を利用者に対して音声や表示などにより提供する出力手段42を設けるとともに、制御手段5に、手動による適正ブラッシング時における1分間当たりの往復運動回数(ブラッシング周波数)Bの上限値Bmaxと、下限値Bminを予め記憶する適正運動回数記憶手段43を設け、
図4に示すS1〜S11に加えて、
図8に示す、S40〜S42を設けることになる。
【0054】
この場合には、S6においてYesと判定されたときには、S40において、手動によるブラッシング操作の1分間当たりの往復運動回数(ブラッシング周波数)Bが適正運動回数か否かが判定され、適正運動回数の場合には、正しいブラッシング方法により、手動によりブラッシング操作がなされているとして、S2へ移行して前述の実施の形態と同様の制御がなされ、下限値Bmin未満の場合には、ブラッシング速度を速めるように利用者に案内して(S41)、S2に移行し、上限値Bmaxを超える場合には、ブラッシング速度を遅くするように利用者に案内して(S42)、S2に移行することになる。
【0055】
(4)加速度センサ4からの出力に基づいて、振動発生手段3が正常に作動しているか否かを利用者に案内することもできる。
具体的には、
図5に示すように、振動発生手段3の作動情報を利用者に対して音声や表示により提供する出力手段42を設け、制御手段5に、モータ31が正常に作動している状態での振動回数を予め測定して記憶する適正振動回数記憶手段44を設け、
図4に示すS1〜S11に加えて、図に示すS50、S51を設けることになる。
【0056】
そして、S3において加速度センサ4からの出力において加速度が検出されてYesと判定されたときには、S50へ移行して、加速度センサ4の出力が示す加速度変化から求められる周波数中が、モータ31の適正な動作を示す周波数の範囲に含まれているか否かが判定され、含まれている場合には、モータ31が正常に作動しているのでS4へ移行して、前述の実施の形態と同様の制御がなされ、含まれていない場合には、出力手段42を通じて、電動歯ブラシ1の電池6切れやモータ31の作動不良を利用者に案内することになる。
【0057】
(5)加速度センサ4と他のセンサとを併用して、振動発生手段3の作動状態を制御することも可能である。
具体的には、
図5に示すように、ハンドル部20に温度センサ45を設けて、この温度センサ45により、電動歯ブラシ1のハンドル部20を手で保持しているか否かを検出したり、替えブラシ10の取付けにより覆われる部分、例えば連結軸25或いはその付近に光センサ46を設け、歯磨きのため、ハンドル部20に替えブラシ10を取り付けたか否かを検出したり、ブラシ部15に作用する圧力を検出する圧力センサ47を設け、ブラッシング操作がなされているか否かを検出し、これらのセンサ45〜47の中から選択される1種又は2種以上と加速度センサ4とからの出力に基づいて、モータ31を制御することもできる。このように構成することで、より精度よく、手動によるブラッシング操作の有無を検出できる。
【0058】
そして、
図10に示すように、S2においてYesと判定されたときには、S60へ移行して、光センサ46からの出力に基づいて、替えブラシ10がハンドル部20に取り付けられているか否かが判定され、Yesの場合には、温度センサ45により体温が検出されて、ハンドル部20が手で保持されているか否かが判定され、Yesの場合には、圧力センサ47からの出力に基づいて、ブラッシング操作がなされているか否かが判定されている。そして、S60〜S62、S3、S4においてYesと判定された場合に、実際にブラッシング操作がなされているとしてS6へ移行し、S60〜S62、S3、S4のいずれかにおいてNoと判定された場合には、ブラッシング操作がなされていないとしてS5へ移行することになる。また、S60〜S62、S3、S4のいずれかにおいてNoと判定された場合には、モータ31が停止するので、電動歯ブラシ1の出荷後の配送や保管時、或いは利用者が電動歯ブラシ1を携帯して自動車等で移動するときにおける振動で、電動歯ブラシ1が誤動作することを防止することもできる。なお、加速度センサとともに、地磁気センサ、ジャイロセンサ、圧力センサ、荷重センサ、温度センサ、光センサなどのセンサを任意に組み合わせて電動歯ブラシ1を制御することもできる。
【0059】
なお、本実施の形態では、電動歯ブラシ1が充電器にセットされているか否か、即ち誘導コイル28からの誘導電流の有無により、制御の開始と終了を決定したが、ブラッシング操作によって発電可能な小型な発電機を電動歯ブラシ1に内装し、発電機の発電をトリガーとして制御を開始し、発電が停止して一定時間経過してから、電動歯ブラシ1の制御を停止させるように構成することも好ましい。つまり、電動歯ブラシ1を充電器から取り外した状態では、モータ31の作動は停止するが、制御手段5への通電はなされるので、待機電流により電池6が消耗して、必要なときにモータ31を作動できないことがあるので、上述のように構成することが好ましい。また、この場合には、ブラッシング操作を行なうまでは、制御手段5および加速度センサ4への通電を遮断できるので、待機電流を少なくする上で好ましい。
【0060】
また、電動歯ブラシ1では、充電時には、加速度センサ4と制御手段5の演算部とが共に通電状態になるが、電力消費量を最小にするために演算部をスリープ状態にし、加速度センサ4をスタンバイ状態にしておくことも可能である。また、電動歯ブラシ1では、二次電池6を電源として活用しているので、二次電池6の最終放電電圧を制御手段5に予め設定し、二次電池6の電圧が最終放電電圧以下になったときに、二次電池6の放電を禁止し、二次電池6の過放電による性能劣化を防止することが好ましい。また、このように最終放電電圧を設定すると、最終放電電圧を下回った場合に、二次電池6からの電源供給が途絶えるため、加速度センサ4、制御手段5の演算部、電界効果トランジスタ等への通電が遮断され、電動歯ブラシ1の制御が完全に停止した状態になる。この状態を脱して電動歯ブラシ1の機能を回復させるためには、電動歯ブラシ1を充電器に置くことをトリガーとし、電動歯ブラシ1に内装した誘導コイル28中に誘導電流を発生させ、さらには電界効果トランジスタとレギュレータを用いて規定する電圧を演算部等に印加させることが好ましい。
【0061】
次に、電動歯ブラシ1の下部構造を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
(1)
図14に示す下部構造50のように、下部プラグ26に代えて、L字状の切欠部51を形成したプラグ本体52と、切欠部51に嵌合固定した透明部材53とを備えた下部プラグ54を設け、透明部材53に対面するように回路基板32に電動歯ブラシ1や充電器の作動状態を表示するLED55を設け、透明部材53を通じてLED55の発光状態を目視できるように構成することもできる。LED55としては、単色或いは複数色に切換え可能に発光可能なものを採用することができ、電動歯ブラシ1や充電器の状態を利用者に知らせるように構成できる。例えば、緑色と赤色に発光可能な2種類のLEDを設け、二次電池6が十分な充電量を有するときには緑色LEDを点灯し、二次電池6の充電残量が少なくなったときには、緑色LEDを点滅させ、二次電池6が最終放電電圧以下になったときには、緑色LEDを消灯させ、また電動歯ブラシ1を充電器にセットして、二次電池6を充電しているときには、赤色LEDを点灯させ、電動歯ブラシ1を充電器にセットしているにも関わらず、赤色LEDが消灯している場合には、充電器が故障している可能性があることを利用者に知らせることになる。なお、符号56は二次電池6のマイナス極に接続される電池接点である。また符号57は、ケーシング21の下端部に形成した回転止め用の切欠部で、この切欠部57に透明部材53が嵌合することで、ケーシング21と下部部プラグ54の相対回転が規制される。
【0063】
(2)
図15に示す下部構造60のように、下部プラグ26に代えて、高さ方向の途中部の外周面に角孔61を形成したプラグ本体62と、角孔61に嵌合固定した透明部材63と、底面部に形成した取付孔64と、取付孔64に内嵌装着したシールリング65及び押しボタン66とを備えた下部プラグ67を設け、前記下部構造50と同様に、回路基板32に電動歯ブラシ1や充電器の作動状態を表示するLED55を設けて、透明部材63を通じてLED55の発光状態を目視できるように構成するとともに、回路基板32の下端部に主電源スイッチ68を設け、押しボタン66により操作部材69を介して主電源スイッチ68を操作して、加速度センサ4等への通電を遮断する誤動作防止機能をオン状態とオフ状態とに切換え可能に構成することもできる。この場合には、前記下部構造50と同様の作用効果が得られるとともに、電動歯ブラシ1の出荷後の配送や保管時、或いは利用者が電動歯ブラシ1を携帯して自動車等で移動するときに、押しボタン66を操作して主電源スイッチ68により誤動作防止機能をオン状態にし、加速度センサ4等への通電を遮断することで、電動歯ブラシ1に作用する振動で、電動歯ブラシ1が誤動作することを確実に防止できるとともに、待機電流が発生しないため、電動歯ブラシ1の稼働時間が低下することを防止できる。また、この主電源スイッチ68は、電動歯ブラシ1の使用時に操作する必要が無いことから、従来の電源スイッチとは異なり、電動歯ブラシ1を把持したときに操作できない位置、即ち
図15のようにハンドル部20の下端部に設けることができ、主電源スイッチ68を設けることにより、電動歯ブラシ1のハンドル部20が太くなることを防止できる。なお、使用時には、押しボタン66を再度押し操作して主電源スイッチ68により誤動作防止機能をオフ状態にすることで、電動歯ブラシ1を作動状態に切り換えることになる。
【0064】
(3)
図16に示す下部構造70のように、下部プラグ26に代えて、高さ方向の途中部の外周面に形成した楕円孔71と、楕円孔71に嵌合固定した透明部材72と、底面部に形成した取付孔73と、取付孔73に内嵌装着したシールリング74及び押しボタン75と、底面部に形成したガス抜き穴76とを備えた下部プラグ77を設け、前記下部構造60と同様に、回路基板32に電動歯ブラシ1や充電器の作動状態を表示するLED55を設けて、透明部材72を通じてLED55の発光状態を目視できるように構成するとともに、回路基板32の下端部に主電源スイッチ68を設け、押しボタン75の操作部75aを介して主電源スイッチ68を操作できるように構成し、更にガス抜き穴76におけるケーシング21の内側端部に、液体は通過しないが気体は通過する通気性膜79を設け、外部から水などの異物が電動歯ブラシ1の内部に流入することを防止できるように構成することが好ましい。この場合には、下部構造60と同様の作用効果が得られるとともに、二次電池6の劣化に伴いガスが発生した場合でも、該ガスをガス抜き穴76を通じて外部に排出できるので、電動歯ブラシ1が膨張したり、変形したり、破裂したりすることを防止できる。また、
図17に示す下部構造70Aのように、楕円孔71に代えて丸孔80を下部プラグ77Aに形成して、該丸孔80に透明部材81を嵌合固定するとともに、押しボタン75に脱落防止用のフック部75bを設けることもできる。
【0065】
また、本実施の形態では、錘振動タイプの電動歯ブラシ1に対して本発明を適用したが、直線運動タイプ、反転運動タイプ、リニア振動タイプなどの電動歯ブラシ1に対しても本発明を同様に適用することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。