【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0049】
A.強度、伸度、強伸度積
JIS L1013−2010−引張強さ及び伸び率に準じて繊維試料を測定した。試験条件としては、試験機の種類は定速緊張形、つかみ間隔50cm、引張速度50cm/minにて行った。なお、切断時の強さが最高強さより小さい場合は、最高強さおよびそのときの伸びを測定した。
【0050】
強度、伸度、強伸度積は、下記式にて求めた。
強度=切断時の強さ(cN)/繊度(dtex)
伸度=切断時の伸び(cm)又は最高荷重時の伸び(cm)/つかみ間隔(cm)×100
強伸度積={強度(cN/dtex)}×{伸度(%)+100}/100 。
【0051】
B.繊度
1.125m/周の検尺器に繊維試料をセットし、500回転させて、ループ状かせを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてかせ質量を量り、公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。なお、公定水分率は4.5%とした。
【0052】
C.硫酸相対粘度(ηr)
ポリアミドチップ試料又は繊維試料0.25gを、濃度98質量%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
【0053】
D.糸斑(U%)
zellweger uster社製のUSTER TESTER IVを用いて試料長:500m、測定糸速度V:100m/min、Twister:S、30000/min、1/2Inertで繊維試料を測定した。
【0054】
E.ストッキング製品のレッグ部の評価
(a)ソフト性
ストッキング製品を人体足型に履かせ、風合い評価経験豊富な検査者(5人)によりソフト性を相対評価した。その結果は、各検査者の評価点の平均値をとり、平均値が、4〜5をS、3〜4をA、2〜3をB、1〜2をCとした。
5点:非常に優れる
4点:やや優れる
3点:普通
2点:やや劣る
1点:劣る
S、Aをソフト性合格とした。
【0055】
(b)耐久性
ストッキング製品を人体足型に表を外側にして履かせ、踵から大腿部方向に60cmの位置にガーター部を合わせた上で、踵から大腿部方向に52.5cmの位置を中心として、足型の大腿部裏側に測定枠の大きさに合わせて円形の印を付けておく。測定枠に製品を固定する際には先につけた円形の印に合わせて固定することで、着用状態と同じ状態で破裂強さを測定し、耐久性の指標とした。
【0056】
破裂強さはJIS L1096−2010−破裂強さ、ミューレン形法(A法)に準じてストッキング製品を測定した。その破裂強さ(測定回数は3回とし、その平均値)により、次の基準で4段階評価した。
S:1.2kg/cm
2以上、
A:1.0kg/cm
2以上1.2kg/cm
2未満、
B:0.9kg/cm
2以上1.0kg/cm
2未満、
C:0.9kg/cm
2未満。
S、Aを耐久性合格とした。
【0057】
(c)透明感
ストッキング製品を人体足型に表を外側にして履かせ、踵から大腿部方向に60cmの位置にガーター部つま先側境界線を合わせた上で、その部分の着用状態を固定するために刺繍枠(内枠外径が15cm、枠の厚み1cm)で固定した。すなわち、着用状態を固定するために刺繍枠の上下位置が踵からの位置として60および45cm となるように刺繍枠の内枠を入れ、外枠を被せることで固定した。これを刺繍枠に固定した状態で足型からはずし、製品の表を測定装置側にして刺繍枠の中心を測定位置に合わせ、上から(製品の裏側から)カラースタンダード白板(L値88.29)を置いた時の編地のL値(Lw)、およびカラースタンダード黒板(L値7.74)を置いたときの編地のL値(Lb)を、色差計SM−T(スガ試験機(株)製)により測定した。L値(Lw、Lb)から、次の計算式により、透明度を算出した。この値が高い程、透明感は優れている。
透明度=(Lw−Lb)/(W−B)
(ここで、W はカラースタンダード白板のL値、Bはカラースタンダード黒板のL値である。)
透明度を3回測定し、その平均値により、次の基準で4段階評価した。
S:70%以上、
A:65%以上70%未満、
B:60%以上65%未満、
C:60%未満。
S、Aを透明感合格とした。
【0058】
(d)品位
ストッキング製品の染め斑の程度を、検査者(5人)により相対評価した。その結果は、各検査者の評価点の平均値をとり、平均値が、4〜5をS、3〜4をA、2〜3をB、1〜2をCとした。
5点:非常に優れる
4点:やや優れる
3点:普通
2点:やや劣る
1点:劣る
S、Aを品位合格とした。
【0059】
(e)工程通過性
靴下編機にて、回転数400rpmで、ストッキングを1時間連続運転し編立した際の編立時の糸切れによる停台回数を、次の基準で評価した。
S:糸切れ2回未満、
A:糸切れ2回以上4回未満、
B:糸切れ4回以上6回未満、
C:糸切れ6回以上。
S、Aを工程通過性合格とした。
【0060】
F.織物製品の評価
(a)ソフト性
織物の曲げ柔らかさについて、風合い評価経験豊富な検査者(5人)によりソフト性を相対評価した。その結果は、各検査者の評価点の平均値をとり、平均値が、4〜5をS、3〜4をA、2〜3をB、1〜2をCとした。
5点:非常に優れる
4点:やや優れる
3点:普通
2点:やや劣る
1点:劣る
S、Aをソフト性合格とした。
【0061】
(b) 耐久性
引裂強さを測定し、耐久性の指標とした。引裂強さはJIS L1096−2010−引張強さ、シングルタング法(A法)に準じて、織物を測定した。経方向の引裂強力を3回測定し、その平均値により、次の基準で4段階評価した。
S:11.0N 以上
A:10.0 N 以上11.0 N 未満、
B:9.0 N 以上10.0 N 未満、
C:9.0N 未満
S、Aを耐久性合格とした。
【0062】
(c)軽量感
目付けを測定し、軽量感の指標とした。目付けはJIS L1096−2010−標準状態における単位面積当たりの質量、A法に準じて織物測定した。測定を3回実施し、その平均値により、次の基準で4段階評価した。
【0063】
S:19g/m
2未満、
A:19g/m
2以上22g/m
2未満、
B:22g/m
2以上25g/m
2未満、
C:25g/m
2以上
S、Aを軽量感合格とした。
【0064】
(d)品位
染色後の織物の染め斑の程度を、検査者(5人)により4段階評価した。その結果は、各検査者の評価点の平均値をとり、平均値が、4〜5をS、3〜4をA、2〜3をB、1〜2をCとした。
5点:非常に優れる
4点:やや優れる
3点:普通
2点:やや劣る
1点:劣る
S、Aを品位合格とした。
【0065】
(e)工程通過性
ウォータージェットルーム織機にて、織機回転数750rpm、緯糸長1620mmで平織物を10疋(1000m/疋) 製織した際の織機の糸切れによる停台回数を、次の基準で評価した。
S:2回未満、
A:2回以上4回未満、
B:4回以上6回未満、
C:6回以上
S、Aを工程通過性合格とした。
【0066】
〔実施例1〕
(ポリアミドマルチフィラメントの製造)
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が3.3、融点225℃のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。得られたナイロン6チップを紡糸温度(溶融温度)285℃にて溶融し、紡糸口金より吐出させた(吐出量:11.673g/min)。紡糸口金は、ホール数が30、丸形、孔径φ0.15、6糸条/口金のものを使用した。
【0067】
紡糸口金より吐出後、18℃の冷風の冷却装置を通過させて糸条を室温まで冷却固化し、給油装置で給油するとともに収束し、流体交絡ノズル装置で交絡を施した後、引き取りローラー(第1ゴデッドロール:1GD)速度1747m/min、155℃に加熱した延伸ローラー(第2ゴデッドロール:2GD)を介して2.1倍で延伸し、巻取速度3500m/minで巻き取りを行い、5.9dtex、5フィラメントのナイロン6マルチフィラメントを得た。
【0068】
得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
【0069】
(ストッキングの製造)
得られたマルチフィラメントをカバリング糸の被覆糸に用い、18デニールのポリウレタン弾性糸(日清紡ケミカル株式会社製、モビロンK−L22T)を芯糸とし、ドラフト2.6倍に設定し、下撚数2200T/m (Z方向)、上撚数2090T/m (S方向)でダブルカバリングして、ダブルカバリグ弾性糸(DCY)を製造した。
【0070】
得られたDCYを用い、永田精機(株)製のスーパー4編機(針数400本)で、編機の給糸口に供給し、レッグ部をDCYのみで編成した。続いて、ソーピング剤(ニューサンレックスE;2g/L(日華化学社製))を用いて60℃×30分精錬、酸性ハーフミーリング染料(Telon Red A2R;0.14%owf、Telon Yellow A2R;0.16%owf、Telon Blue A2R;0.12%owf(DyStar社製))、均染剤(SeraGalN−FS;0.5%owf(DyStar社製 ))、pHスライド剤(硫酸アンモニウム;4.0%owf)を用い、浴比1:50、100℃×60分でパンティストッキングの一般色であるベージュに染色、フィックス剤(ハイフィックスSW−A;5%owf(大日本製薬))、スカム防止剤(NWH201;1%owf(センカ(株)社製))、炭酸ナトリウムを用いて90℃×45分フィックス処理を行い、120℃で30秒ファイナルセットを行い、パンティストッキング製品とした。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。
【0071】
ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。ストッキング特性も優れており、ソフト性、耐久性、透明感、品位全てに極めて優れていた。
【0072】
(織物の製造)
得られたマルチフィラメントを、1000本整経を行いビームに巻き、ビームに巻き付けた糸を糊付け・乾燥して経糸準備を行った。続いて、ウオータージェット織機のオサに通し、得られたマルチフィラメントを緯糸に打ち込んで織物を製織した。製織した織物を、精練、180℃×1分で熱セット(中間セット)を行った。続いて、液流染色機により、酸性染料(Nylosan Blue−GFL167%(サンドス社製)1.0%owfを用いて98℃×60分染色処理、合成タンニン(ナイロンフィックス501 センカ社製)3g/lを用いて80℃×20分固着処理を施した。その後、190℃で裏面にカレンダー加工を施した。得られた織物について評価した結果を表1に示す。
【0073】
織物製造の工程通過性は極めて良好であった。織物特性も優れており、特にソフト性、軽量感、耐久性に極めて優れていた。品位は、U%がやや高いレベルであったが良好であった。
【0074】
〔実施例2〕
1GD速度を1503m/min、延伸倍率を2.4に変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。1GD速度を低くして延伸倍率を高く条件設定することで、U%が良好になった。
【0075】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。ストッキング特性も優れており、ソフト性、耐久性、透明感、品位全てに極めて優れていた。
【0076】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は極めて良好であった。織物特性も優れており、ソフト性、耐久性、軽量感、品位全てに極めて優れていた。
【0077】
〔実施例3〕
1GD速度を1386m/min、延伸倍率を2.6に変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。1GD速度を低くして延伸倍率を高く条件設定することで、強伸度積、U%が良好になった。
【0078】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。ストッキング特性も優れており、ソフト性、耐久性、透明感、品位全てに極めて優れていた。
【0079】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は極めて良好であった。織物特性も優れており、ソフト性、耐久性、軽量感、品位全てに極めて優れていた。
【0080】
〔実施例4〕
紡糸温度を295℃、1GD速度を1577m/min、延伸倍率を2.3に変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。糸条の細化点を下げて冷却がより均一に行われるようにするため紡糸温度を上げ、さらに1GD速度を低くして延伸倍率を高く条件設定をすることで、強伸度積、U%が良好になった。
【0081】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。ストッキング特性も優れており、ソフト性、耐久性、透明感、品位全てに極めて優れていた。
【0082】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は極めて良好であった。織物特性も優れており、ソフト性、耐久性、軽量感、品位全てに極めて優れていた。
【0083】
〔実施例5〕
吐出量を8.112g/minに変更した以外は実施例1と同様の方法で、4.1dtex、5フィラメントのナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。総繊度、単糸繊度を細くしたことにより、U%はやや高いレベルとなったが良好な結果を得た。
【0084】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は良好であった。ストッキング特性も優れており、特に、ソフト性、透明感に極めて優れていた。品位は、U%がやや高いレベルであったが良好であった。
【0085】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は良好であった。織物特性も優れており、特に、ソフト性、軽量感に極めて優れていた。品位は、U%がやや高いレベルであったが良好であった。
【0086】
〔実施例6〕
吐出量を10.005g/min、1GD速度を1497m/min、巻取速度を3000m/minに変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。紡糸口金−1GD間のドラフト延伸ムラを制御するため、延伸倍率を実施例1と同じとして、1GD速度を低くする条件設定をすることで、U%が極めて良好になった。
【0087】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は良好であった。ストッキング特性も優れており、特に、ソフト性、透明感、品位に極めて優れていた。
【0088】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は良好であった。織物特性も優れており、特に、ソフト性、軽量感、品位に極めて優れていた。
【0089】
〔実施例7〕
吐出量を13.341g/min、1GD速度を2000m/min、巻取速度を4000m/minに変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。紡糸口金−1GD間のドラフト延伸ムラを制御するため、延伸倍率を実施例1と同じとして、1GD速度を高くする条件設定をすることで、U%はやや高いレベルとなったが良好な結果を得た。
【0090】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。ストッキング特性も優れており、特に、ソフト性、耐久性、透明感に極めて優れていた。品位は、U%がやや高いレベルであったが良好であった。
【0091】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は極めて良好であった。織物特性も優れており、特に、ソフト性、耐久性、軽量感に極めて優れていた。品位は、U%がやや高いレベルであったが、良好であった。
【0092】
〔実施例8〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度が2.7のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。得られたナイロンチップを紡糸温度270℃にて溶融し、吐出量を13.341g/min、1GD速度を1718m/min、延伸倍率を2.4、巻取速度を4000m/minに変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。糸条の細化点を下げて冷却がより均一に行われるようにするため巻取速度を上げ、さらに1GD速度を低くして延伸倍率を高く条件設定をすることで、U%、が良好になった。実施例1と比較して硫酸相対粘度の低いチップを用い、強伸度積は低くなる傾向であるものの、ドラフト延伸ムラを抑制することにより、高い強伸度積を維持しつつ、U%が良好になった。
【0093】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は良好であった。ストッキング特性も優れており、特に、ソフト性、透明感、品位に極めて優れていた。
【0094】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は良好であった。織物特性も優れており、特に、ソフト性、軽量感、品位に極めて優れていた。
【0095】
〔実施例9〕
紡糸口金を、ホール数が36、丸形、孔径φ0.15、6糸条/口金に変更した以外は実施例1と同様の方法で、5.9dtex、6フィラメントのナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
【0096】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は良好であった。ストッキング特性も優れており、特に、ソフト性、透明感、品位に極めて優れていた。
【0097】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は良好であった。織物特性も優れており、特に、ソフト性、軽量感に極めて優れていた。品位は、U%がやや高いレベルであったが良好であった。
【0098】
〔実施例10〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度が2.7のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。得られたナイロンチップを紡糸温度を270℃にて溶融した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
【0099】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は良好であった。ストッキング特性も優れており、特に、ソフト性、透明感、品位に極めて優れていた。
【0100】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は良好であった。織物特性も優れており、特に、ソフト性、軽量感、品位に極めて優れていた。
【0101】
〔実施例11〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度が2.8のナイロン66チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。得られたナイロン66チップを紡糸温度290℃にて溶融した以外は実施例1と同様の方法で、5.9dtex、5フィラメントのナイロン66マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン66マルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
【0102】
また、得られたナイロン66マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表1に示す。ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。ストッキング特性も優れており、ソフト性、耐久性、透明感、品位全てに極めて優れていた。
【0103】
また、得られたナイロン66マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表1に示す。織物製造の工程通過性は極めて良好であった。織物特性も優れており、ソフト性、耐久性、軽量感、品位全てに極めて優れていた。
【0104】
〔比較例1〕
1GD速度を1263m/min、延伸倍率を2.8に変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表2に示す。1GD速度を低くして延伸倍率を高く条件設定することにより、U%は良好になったが、伸度が低かった。
【0105】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表2に示す。ストッキング製造時、糸切れが多発し、工程通過性に大きく劣っていた。ストッキング特性は耐久性、透明感、品位に極めて優れていたが、ソフト性はやや風合いが硬く、やや不良であった。
【0106】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表2に示す。織物製造時、糸切れが多発し、工程通過性に大きく劣っていた。織物特性は耐久性、軽量感、品位に極めて優れていたが、ソフト性はやや風合いが硬く、やや不良であった。
【0107】
〔比較例2〕
1GD速度を2293m/min、延伸倍率を1.6に変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表2に示す。1GD速度を高くして延伸倍率を低く条件設定することで、伸度は高く、強伸度積は低く、U%は極めて高かった。
【0108】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表2に示す。ストッキング製造時、糸切れが発生し、工程通過性に劣っていた。ストッキング特性はソフト性、透明感には極めて優れていたが、耐久性、品位に大きく劣っていた。
【0109】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表2に示す。織物製造時、糸切れが発生し、工程通過性に劣っていた。織物特性はソフト性、軽量感に極めて優れていたが、耐久性、品位に大きく劣っていた。
【0110】
〔比較例3〕
吐出量を15.828g/min、1GD速度を1503m/min、延伸倍率を2.4に変更した以外は実施例1と同様の方法で、8.0dtex、5フィラメントのナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表2に示す。
【0111】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表2に示す。ストッキング製造時の工程通過性は極めて良好であった。しかし、総繊度を太くしたことにより、ストッキング特性は、耐久性に極めて優れていたが、ソフト性、透明感に大きく劣っていた。
【0112】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表2に示す。織物製造時の工程通過性は極めて良好であった。しかし、総繊度を太くしたことにより、織物特性は、耐久性に極めて優れていたが、ソフト性、軽量感に大きく劣っていた。
【0113】
〔比較例4〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度が2.7のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。得られたナイロンチップを紡糸温度を270℃にて溶融し、1GD速度を2179m/min、延伸倍率を1.7に変更した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表2に示す。1GD速度を高くして延伸倍率を低く条件設定することで、強伸度積は低く、U%は極めて高かった。
【0114】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表2に示す。ストッキング製造時、糸切れが発生し、工程通過性に劣っていた。ストッキングの特性は、ソフト性、透明性に極めて優れていたが、耐久性、品位に劣っていた。
【0115】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表2に示す。織物製造時、糸切れが発生し、工程通過性に劣っていた。織物特性は、ソフト性、軽量感に極めて優れていたが、耐久性、品位に劣っていた。
【0116】
〔比較例5〕
紡糸口金を、ホール数が24、丸形、孔径φ0.15、6糸条/口金、1GD速度を1442min/m、延伸倍率を2.5に変更した以外は実施例1と同様の方法で、5.9dtex、4フィラメントのナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表2に示す。
【0117】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表2に示す。ストッキング製造の工程通過性は極めて良好であった。しかし、単糸繊度を太くしたことにより、ストッキング特性は、耐久性、透明性、品位に極めて優れていたが、ソフト性に大きく劣っていた。
【0118】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表2に示す。織物製造の工程通過性は極めて良好であった。しかし、単糸繊度を太くしたことにより、織物特性は、耐久性、軽量感、品位に極めて優れていたが、ソフト性に大きく劣っていた。
【0119】
〔比較例6〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度が2.2のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。得られたナイロンチップを紡糸温度を270℃にて溶融した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6マルチフィラメントを製造した。得られたナイロン6マルチフィラメントについて評価した結果を表2に示す。硫酸相対粘度が低いナイロン6チップを用いたことで、強伸度積は低かった。
【0120】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様にストッキングを製造した。得られたパンティストッキング製品のレッグ部について評価した結果を表2に示す。ストッキング製造時、糸切れが発生し、工程通過性に劣っていた。ストッキング特性は、ソフト性、透明性、品位には極めて優れていたが、耐久性に大きく劣っていた。
【0121】
また、得られたナイロン6マルチフィラメントを用い、実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を施し、織物を得た。得られた織物について評価した結果を表2に示す。織物製造時、糸切れが発生し、工程通過性に劣っていた。織物特性は、ソフト性、軽量感、品位には極めて優れていたが、耐久性に大きく劣っていた。
【0122】
〔比較例7〕
吐出量を6.925g/minに変更した以外は実施例1と同様の方法で、3.5dtex、5フィラメントのナイロン6マルチフィラメントを製造しようとしたが、糸切れが多発し、紡糸は困難であり、目的のマルチフィラメントを得ることはできなかった。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】