(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の弾性波フィルタの通過帯域の中心周波数の0.85倍以上、1.15倍以下の範囲の周波数帯域における帯域外減衰量の最大値が前記第2の弾性波フィルタの通過帯域の中心周波数の0.85倍以上、1.15倍以下の範囲の周波数帯域における帯域外減衰量よりも大きい、請求項1に記載の弾性波装置。
前記第1の弾性波フィルタが第1の縦結合共振子型弾性波フィルタを有し、前記第2の弾性波フィルタが第2の縦結合共振子型弾性波フィルタを有し、前記第1の縦結合共振子型弾性波フィルタの段数が前記第2の縦結合共振子型弾性波フィルタの段数よりも大きい、請求項1に記載の弾性波装置。
前記第1の弾性波フィルタが第1のラダー型フィルタを有し、前記第2の弾性波フィルタが第2のラダー型フィルタを有し、前記第1のラダー型フィルタが有する弾性波共振子の個数が、前記第2のラダー型フィルタが有する弾性波共振子の個数よりも大きい、請求項1に記載の弾性波装置。
前記第1の圧電基板の前記第1の主面に第1のデュプレクサが構成されており、前記第1のデュプレクサが前記第1の弾性波フィルタとしての第1の帯域通過型フィルタと、前記第1の帯域通過型フィルタと異なる通過帯域である第2の帯域通過型フィルタとを有し、前記第2の圧電基板の前記第1の主面に第2のデュプレクサが構成されており、前記第2のデュプレクサが前記第2の弾性波フィルタとしての第3の帯域通過型フィルタと、前記第3の帯域通過型フィルタと異なる通過帯域である第4の帯域通過型フィルタとを有し、前記第1の帯域通過型フィルタの前記第2の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域における減衰量が、前記第3の帯域通過型フィルタの前記第4の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域における減衰量よりも大きい、請求項1に記載の弾性波装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2では、圧電基板同士が中間層を介して接合されている。そのため、外部接続端子が形成されていない弾性波素子と外部接続端子との距離は大きかった。よって、上記弾性波素子のグラウンドインピーダンスが大きかった。従って、弾性波装置の帯域外減衰量を充分に大きくすることができなかった。
【0007】
本発明の目的は、帯域外減衰量が大きい、弾性波装置及び弾性波モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る弾性波装置は、第1,第2の主面を有する第1の圧電基板と、第1,第2の主面を有し、かつ前記第1の圧電基板の厚みよりも厚みが大きい第2の圧電基板と、前記第1の圧電基板の前記第1の主面上に形成されている複数の第1のIDT電極及び前記第2の圧電基板の前記第1の主面上に形成されている複数の第2のIDT電極と、前記第1の圧電基板の前記第2の主面上に形成されている複数の外部接続用端子とを備え、前記第1の圧電基板の前記第1の主面に前記複数の第1のIDT電極を含む第1の弾性波フィルタが構成されており、前記第2の圧電基板の前記第1の主面に前記複数の第2のIDT電極を含む第2の弾性波フィルタが構成されており、前記複数の外部接続用端子のうちの少なくとも1つがグラウンド端子であり、前記第1の圧電基板の前記第1の主面と前記第2の圧電基板の前記第1の主面とが対向し合うように、前記第1の圧電基板と前記第2の圧電基板とが支持部材を介して接合されており、前記支持部材が平面視において前記第1,第2の弾性波フィルタが構成されている部分を囲むように設けられており、前記第1の弾性波フィルタの帯域外減衰量が前記第2の弾性波フィルタの帯域外減衰量よりも大きい。
【0009】
本発明に係る弾性波装置のある特定の局面では、前記第1の弾性波フィルタの通過帯域の中心周波数の0.85倍以上、1.15倍以下の範囲の周波数帯域における帯域外減衰量の最大値が前記第2の弾性波フィルタの通過帯域の中心周波数の0.85倍以上、1.15倍以下の範囲の周波数帯域における帯域外減衰量よりも大きい。この場合には、前記範囲における帯域外減衰量が大きい前記第1の弾性波フィルタにおけるグラウンドインピーダンスを低減することができる。それによって、帯域外減衰量を大きくすることができる。
【0010】
本発明に係る弾性波装置の他の特定の局面では、前記第1の弾性波フィルタが第1の縦結合共振子型弾性波フィルタを有し、前記第2の弾性波フィルタが第2の縦結合共振子型弾性波フィルタを有し、前記第1の縦結合共振子型弾性波フィルタの段数が前記第2の縦結合共振子型弾性波フィルタの段数よりも大きい。この場合には、帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。
【0011】
本発明に係る弾性波装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の弾性波フィルタが第1のラダー型フィルタを有し、前記第2の弾性波フィルタが第2のラダー型フィルタを有し、前記第1のラダー型フィルタが有する弾性波共振子の個数が、前記第2のラダー型フィルタが有する弾性波共振子の個数よりも大きい。この場合には、帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。
【0012】
本発明に係る弾性波装置の別の特定の局面では、前記第1の圧電基板の前記第1の主面に第1のデュプレクサが構成されており、前記第1のデュプレクサが前記第1の弾性波フィルタとしての第1の帯域通過型フィルタと、前記第1の帯域通過型フィルタと異なる通過帯域である第2の帯域通過型フィルタとを有し、前記第2の圧電基板の前記第1の主面に第2のデュプレクサが構成されており、前記第2のデュプレクサが前記第2の弾性波フィルタとしての第3の帯域通過型フィルタと、前記第3の帯域通過型フィルタと異なる通過帯域である第4の帯域通過型フィルタとを有し、前記第1の帯域通過型フィルタの前記第2の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域における減衰量が、前記第3の帯域通過型フィルタの前記第4の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域における減衰量よりも大きい。この場合には、前記周波数帯域における減衰量が大きい前記第1の帯域通過型フィルタのグラウンドインピーダンスを低減することができる。従って、前記第1,第2のデュプレクサにより構成されているクアドプレクサのアイソレーション特性を効果的に大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記グラウンド端子と前記第1の弾性波フィルタとを電気的に接続している第1の接続配線と、前記グラウンド端子と前記第2の弾性波フィルタとを電気的に接続している第2の接続配線とをさらに備え、前記第1の接続配線の長さが前記第2の接続配線の長さよりも短い。この場合には、前記第1の弾性波フィルタのグラウンドインピーダンスを低減することができる。従って、帯域外減衰量を効果的大きくすることができる。
【0014】
本発明に係る弾性波モジュールは、実装基板と、前記実装基板上に実装されている本発明に従って構成されている弾性波装置とを備える。これによって、帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、帯域外減衰量が大きい、弾性波装置及び弾性波モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0018】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。
図2は
図1中のA−A線に沿う階段断面図である。
【0020】
図2に示すように、弾性波装置1は、第1,第2の弾性波素子11A,11Bを有する。第1の弾性波素子11Aは、第1の圧電基板2Aを有する。第1の圧電基板2Aは、第1の主面2Aaと、第1の主面2Aaと対向している第2の主面2Abとを有する。第2の弾性波素子11Bは、第2の圧電基板2Bを有する。第2の圧電基板2Bは、第1,2の主面2Ba,2Bbを有する。第1の圧電基板2Aの厚みは第2の圧電基板2Bの厚みよりも小さい。第1,第2の圧電基板2A,2Bは、LiTaO
3やLiNbO
3などの圧電単結晶からなる。なお、第1,第2の圧電基板2A,2Bは、圧電セラミックスからなっていてもよい。
【0021】
第1の圧電基板2Aの第1の主面2Aa上には、複数の第1のIDT電極3A11が形成されている。IDT電極に交流電圧を印加することにより、弾性表面波が励振される。図示されていないが、各第1のIDT電極3A11の弾性表面波伝搬方向における両側に反射器がそれぞれ形成されている。それによって、複数の弾性波共振子が構成されている。上記複数の弾性波共振子は、後述するように、ラダー型フィルタを構成するように接続されている。それによって、第1の弾性波フィルタが構成されている。第2の圧電基板2Bの第1の主面2Baには、複数の第2のIDT電極3B11が形成されている。複数の第2のIDT電極3B11及び複数の反射器により、複数の弾性波共振子が構成されている。上記複数の弾性波共振子が互いに接続されていることにより、第2の弾性波フィルタが構成されている。
【0022】
第1,第2のIDT電極3A11,3B11は、金属からなる。IDT電極は、単一の金属膜からなっていてもよく、複数の金属膜が積層された積層体であってもよい。
【0023】
なお、第1の弾性波フィルタの帯域外減衰量は第2の弾性波フィルタの帯域外減衰量よりも大きい。
【0024】
第1の圧電基板2Aの第1の主面2Aaと第2の圧電基板2Bの第1の主面2Baとが対向し合うように、第1の圧電基板2Aと第2の圧電基板2Bとが支持部材4を介して接合されている。支持部材4は、平面視において第1,第2の弾性波フィルタが構成されている部分を囲むように設けられている。支持部材4は、適宜の樹脂またははんだなどからなる。
【0025】
図1に示すように、第1の圧電基板2Aの第2の主面2Ab上には、複数の外部接続用端子5が形成されている。複数の外部接続用端子5は、グラウンド端子5a,5bを含む。
【0026】
図2に示すように、第1の圧電基板2Aを貫通するように、ビアホール電極6a,6bが形成されている。ビアホール電極6a,6bの上端部は、グラウンド端子5a,5bにそれぞれ電気的に接続されている。ビアホール電極6a,6bの下端部は、第1の圧電基板2Aの第1の主面2Aa上に形成されている接続用端子7Aa,7Abにそれぞれ電気的に接続されている。
図2には示されていないが、接続用端子7Aa,7Abは、第1の弾性波フィルタに電気的に接続されている。
【0027】
第2の圧電基板2Bの第1の主面2Ba上には、接続用端子7Ba,7Bbが形成されている。
図2には示されていないが、接続用端子7Ba,7Bbは、第2の弾性波フィルタに電気的に接続されている。接続用端子7Baは、接続用配線8aを介して接続用端子7Aaに電気的に接続されている。接続用端子7Bbは、接続用配線8bを介して接続用端子7Abに電気的に接続されている。
【0028】
ここで、第1の弾性波フィルタとグラウンド電位とを接続する配線を第1の接続配線とする。第2の弾性波フィルタとグラウンド電位とを接続する配線を第2の接続配線とする。
図2に示すように接続用端子7Aa、ビアホール電極6a及びグラウンド端子5aが第1の接続配線である。接続用端子7Ab、ビアホール電極6b及びグラウンド端子5bも第1の接続配線である。接続用端子7Ba、接続用配線8a、接続用端子7Aa、ビアホール電極6a及びグラウンド端子5aが第2の接続配線である。接続用端子7Bb、接続用配線8b、接続用端子7Ab、ビアホール電極6b及びグラウンド端子5bも第2の接続配線である。すなわち、第1,第2の弾性波フィルタは、グラウンド電位に共通接続されている。上記のように、第1の接続用配線は、接続用端子7Ba及び接続用配線8a並びに接続用端子7Bb及び接続用配線8bを含まない。よって、第1の接続用配線の長さは、第2の接続用配線の長さよりも短い。
【0029】
次に、本実施形態における第1,第2の弾性波フィルタの具体的な回路構成を説明する。
【0030】
図3(a)は、第1の実施形態における第1の弾性波フィルタの回路図であり、
図3(b)は、第2の弾性波フィルタの回路図である。
【0031】
第1の弾性波フィルタ3A1は、ラダー型フィルタである。第1の弾性波フィルタ3A1は、入力端子9Aaと出力端子9Abとの間に接続されている直列腕共振子S1〜S5を有する。直列腕共振子S1と直列腕共振子S2との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P1が接続されている。直列腕共振子S2と直列腕共振子S3との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P2が接続されている。直列腕共振子S3と直列腕共振子S4との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P3が接続されている。直列腕共振子S4と直列腕共振子S5との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P4が接続されている。
【0032】
第2の弾性波フィルタ3B1は、第1の弾性波フィルタ3A1と同様の回路構成のラダー型フィルタであり、入力端子9Ba、出力端子9Bb、直列腕共振子S11〜S15及び並列腕共振子P11〜P14を有する。
【0033】
図4は、
図2中のB−B線に沿う断面図であり、第1の実施形態における第1の弾性波フィルタの電極構成を示す。
図5は、
図2中のC−C線に沿う断面図であり、第1の実施形態における第2の弾性波フィルタの電極構成を示す。前述したように、各弾性波共振子は、IDT電極及び反射器を有する。なお、各弾性波共振子は、Xを矩形の枠で囲んだ略図的記号によって示している。
【0034】
並列腕共振子P1,P3は、接続用端子7Abに電気的に接続されている。並列腕共振子P2,P4は、接続用端子7Aaに電気的に接続されている。並列腕共振子P11,P13は、接続用端子7Baに電気的に接続されている。並列腕共振子P12,P14は、接続用端子7Bbに電気的に接続されている。
図2、
図4及び
図5に示すように、並列腕共振子P1,P3,P12,P14は、接続用端子7Ab,7Bbを介してグラウンド電位に共通接続されている。並列腕共振子P2,P4,P11,P13は、接続用端子7Aa,7Baを介してグラウンド電位に共通接続されている。
【0035】
本発明の特徴は、第1の弾性波フィルタ3A1が、長さが相対的に短い第1の接続用配線を介してグラウンド電位に接続されており、かつ第1の弾性波フィルタ3A1の帯域外減衰量が、第2の弾性波フィルタ3B1の帯域外減衰量よりも大きいことにある。それによって、弾性波装置1の帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。これを、以下において説明する。
【0036】
本発明の発明者は、第1の実施形態及び第1の比較例の弾性波装置を作製し、帯域外減衰量について検討した。
【0037】
第1の比較例の弾性波装置においては、第1,第2の弾性波フィルタの配置を除き、第1の実施形態と同様の構成を有する。より具体的には、第1の弾性波素子の第1の圧電基板の第1の主面には、第2の弾性波フィルタが構成されている。第2の弾性波素子の第2の圧電基板の第1の主面には、第1の弾性波フィルタが構成されている。
【0038】
ここで、第1の弾性波フィルタの通過帯域は、2400MHz以上、2482MHz以下である。第2の弾性波フィルタの通過帯域は、1559MHz以上、1608MHz以下である。
【0039】
図6は、第1の実施形態及び第1の比較例における第1の弾性波フィルタの減衰量周波数特性を示す図である。
図7は、第1の実施形態及び第1の比較例における第2の弾性波フィルタの減衰量周波数特性を示す図である。実線は第1の実施形態の結果を示し、破線は第1の比較例の結果を示す。
【0040】
図6に示すように、本実施形態の第1の弾性波フィルタの周波数Dにおける帯域外減衰量は53.3dBであり、第1の比較例の周波数Dにおける帯域外減衰量は50.5dBである。よって、本実施形態では第1の比較例よりも帯域外減衰量が2.8dB増大していることがわかる。この理由を以下において説明する。
【0041】
グラウンド電位と弾性波フィルタとを接続している配線は、グラウンドインピーダンスを有する。上記配線の長さが長いほど、グラウンドインピーダンスは大きくなる。グラウンドインピーダンスが大きくなると、弾性波フィルタの帯域外減衰量は小さくなる。本実施形態の第1の弾性波フィルタとグラウンド電位とは、上記第1の接続用配線を介して接続されている。第1の比較例の第1の弾性波フィルタとグラウンド電位とは、上記第2の接続用配線を介して接続されている。上記第1の接続配線の長さは、上記第2の接続用配線の長さよりも短い。よって、第1の接続配線のグラウンドインピーダンスは第2の接続用配線のグラウンドインピーダンスよりも小さい。従って、本実施形態の第1の弾性波フィルタの帯域外減衰量を大きくすることができる。
【0042】
図7に示すように、本実施形態の第2の弾性波フィルタの周波数Eにおける帯域外減衰量は48.2dBであり、第1の比較例の第2の弾性波フィルタの周波数Eにおける帯域外減衰量は49.4dBである。上記と同様の理由により、本実施形態の第2の弾性波フィルタの周波数Eにおける帯域外減衰量は小さくなっている。しかしながら、上記減少は1.2dBに留まっており、第1の弾性波フィルタの帯域外減衰量の増大よりも小さい。このように、第2の弾性波フィルタの帯域外減衰量を効果的に大きくし得ることがわかる。従って、弾性波装置全体としての帯域外減衰量を効果的に大きくし得ることがわかる。
【0043】
好ましくは、第1の弾性波フィルタの通過帯域の中心周波数の0.85倍以上、1.15倍以下の範囲の周波数帯域における帯域外減衰量の最大値が、第2の弾性波フィルタの通過帯域の中心周波数の0.85倍以上、1.15倍以下の範囲の周波数帯域における帯域外減衰量よりも大きいことが望ましい。それによって、弾性波装置全体としての帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。
【0044】
図8は、本発明の第2の実施形態における第1の圧電基板の第1の主面上の電極構成を示す平面断面図である。
図9は、第2の実施形態における第2の圧電基板の第1の主面上の電極構成を示す平面断面図である。
【0045】
第2の実施形態の弾性波装置21は、第1の実施形態と回路構成が異なる点を除いては、第1の実施形態と同様の構造を有する。
【0046】
弾性波装置21の第1の弾性波素子31Aにおける第1の圧電基板2Aの第1の主面2Aaには、第1のデュプレクサ23Aが構成されている。第1のデュプレクサ23Aは、第1の弾性波フィルタとしての第1の帯域通過型フィルタ23A1及び第1の帯域通過型フィルタ23A1と異なる通過帯域である第2の帯域通過型フィルタ23A2を有する。第2の弾性波素子31Bにおける第2の圧電基板2Bの第1の主面2Baには、第2のデュプレクサ23Bが構成されている。第2のデュプレクサ23Bは、第3の帯域通過型フィルタ23B1及び第3の帯域通過型フィルタ23B1と異なる通過帯域である第4の帯域通過型フィルタ23B2を有する。すなわち、弾性波装置21は、第1〜第4の帯域通過型フィルタ23A1,23A2,23B1,23B2を有するクアドプレクサである。第1,第3の帯域通過型フィルタ23A1,23B1は、受信フィルタであり、第2,第4の帯域通過型フィルタ23A2,23B2は、送信フィルタである。
【0047】
図10(a)〜
図10(d)は、第2の実施形態における第1〜4の帯域通過型フィルタの回路図である。
【0048】
第1の帯域通過型フィルタ23A1は、縦結合共振子型弾性波フィルタ30Aを有する。入力端子29Aaと縦結合共振子型弾性波フィルタ30Aとの間には、直列腕共振子S21,S22が接続されている。直列腕共振子S21と直列腕共振子S22との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P21が接続されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ30Aと出力端子29Acとの間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P22が接続されている。
【0049】
第2の帯域通過型フィルタ23A2は、入力端子29Aaと出力端子29Abとの間に接続されている直列腕共振子S31〜S35を有する。直列腕共振子S31と直列腕共振子S32との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P31が接続されている。直列腕共振子S32と直列腕共振子S33との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P32が接続されている。直列腕共振子S33と直列腕共振子S34との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P33が接続されている。直列腕共振子S34と直列腕共振子S35との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P34が接続されている。
【0050】
第3の帯域通過型フィルタ23B1は、縦結合共振子型弾性波フィルタ30Bを有する。入力端子29Baと縦結合共振子型弾性波フィルタ30Bとの間には、直列腕共振子S41が接続されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ30Bと出力端子29Bcとの間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P41が接続されている。
【0051】
第4の帯域通過型フィルタ23B2は、入力端子29Baと出力端子29Bbとの間に接続されている直列腕共振子S51〜S53を有する。入力端子29Baと直列腕共振子S51との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P51が接続されている。直列腕共振子S51と直列腕共振子S52との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P52が接続されている。直列腕共振子S52と直列腕共振子S53との間の接続点とグラウンド電位との間には、並列腕共振子P53が接続されている。
【0052】
図8に示すように、並列腕共振子P21,P22は、接続用端子27Acに電気的に接続されている。並列腕共振子P31,P33は、接続用端子27Aaに電気的に接続されている。並列腕共振子P32,P34は、接続用端子27Abに電気的に接続されている。
図9に示すように、並列腕共振子P41は、接続用端子27Bcに電気的に接続されている。並列腕共振子P51,P53は、接続用端子27Baに電気的に接続されている。並列腕共振子P52は、接続用端子27Bbに電気的に接続されている。並列腕共振子P21,P22,P41は、接続用端子27Ac,27Bcを介してグラウンド電位に共通接続されている。並列腕共振子P31,P33,P51,P53は、接続用端子27Aa,27Baを介してグラウンド電位に共通接続されている。並列腕共振子P32,P34,P52は、接続用端子27Ab,27Bbを介してグラウンド電位に共通接続されている。
【0053】
次に、本発明の発明者は、第2の実施形態及び第2の比較例における弾性波装置を作製し、帯域外減衰量について検討した。より具体的には、第1の帯域通過型フィルタの第2の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域の減衰量について検討した。第3の帯域通過型フィルタの第4の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域の減衰量を評価した。
【0054】
第2の比較例は、第1〜第4の帯域通過型フィルタの配置が異なることを除き、第2の実施形態と同様の構造を有する。より具体的には、第1,第2の帯域通過型フィルタは第2の圧電基板の第1の主面に構成されている。第3,第4の帯域通過型フィルタは第1の圧電基板の第1の主面に構成されている。
【0055】
ここで、第1の帯域通過型フィルタの通過帯域は、2110MHz以上、2170MHz以下である。第2の帯域通過型フィルタの通過帯域は、1920MHz以上、1980MHz以下である。第3の帯域通過型フィルタの通過帯域は、1805MHz以上、1880MHz以下である。第4の帯域通過型フィルタの通過帯域は、1710MHz以上、1785MHz以下である。
【0056】
図11は、第2の実施形態及び第2の比較例における第1の帯域通過型フィルタの減衰量周波数特性を示す図である。
図12は、第2の実施形態及び第2の比較例における第3の帯域通過型フィルタの減衰量周波数特性を示す図である。実線は第2の実施形態の結果を示し、破線は第2の比較例の結果を示す。
【0057】
図11に示すように、本実施形態における第1の帯域通過型フィルタの第2の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域の減衰量は、53.6dBである。第2の比較例における第1の帯域通過型フィルタの第2の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域の減衰量は、51.6dBである。よって、本実施形態は第2の比較例よりも上記減衰量が2.0dB増大していることがわかる。
【0058】
図12に示すように、本実施形態における第3の帯域通過型フィルタの第4の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域の減衰量は、48.0dBである。第2の比較例における第3の帯域通過型フィルタの第4の帯域通過型フィルタの通過帯域に相当する周波数帯域の減衰量は、49.2dBである。第3の帯域通過型フィルタの上記減衰量は第2の比較例よりも小さくなっているが、上記減衰量の減少は1.2dBに留まっている。第3の帯域通過型フィルタの上記減衰量の減少は、第1の帯域通過型フィルタにおける上記減衰量の増大よりも小さい。このように、第1,第2のデュプレクサにおける第1,第3の帯域通過型フィルタの上記減衰量の減少を効果的に抑制し得ることがわかる。従って、弾性波装置のアイソレーション特性を効果的に改善し得ることがわかる。
【0059】
図10に示すように、第3の帯域通過型フィルタ23B1が有する弾性波共振子の個数よりも第1の帯域通過型フィルタ23A1が有する弾性波共振子の個数は大きい。この場合、第1の帯域通過型フィルタ23A1の帯域外減衰量は第3の帯域通過型フィルタ23B1の帯域外減衰量よりも大きい。本実施形態では、帯域外減衰量が大きい第1の帯域通過型フィルタ23A1のグラウンドインピーダンスを減少させることができる。従って、弾性波装置21全体としての帯域外減衰量の減少も効果的に抑制することができる。
【0060】
図13(a)〜
図13(d)は、第3の実施形態における第1〜第4の帯域通過型フィルタの回路図である。
【0061】
本実施形態は、
図10に示した第2の実施形態における第3の帯域通過型フィルタ23B1を第3の帯域通過型フィルタ43B1としている。さらに、第2の実施形態と、第1〜第4の帯域通過型フィルタ23A1,23A2,43B1,23B2の配置が異なる。上記の構成を除き、第2の実施形態と同様の構成を有する。
【0062】
より具体的には、第1,第2の帯域通過型フィルタ23A1,23A2は第2の圧電基板の第1の主面に構成されている。第3,第4の帯域通過型フィルタ43B1,23B2は、第2の圧電基板よりも厚みが小さい第1の圧電基板の第1の主面に構成されている。第3の帯域通過型フィルタ43B1の縦結合共振子型弾性波フィルタ50Bは、2段で構成されている。すなわち、縦結合共振子型弾性波フィルタ50Bの段数は、第1の帯域通過型フィルタ23A1の縦結合共振子型弾性波フィルタ30Aの段数よりも大きい。この場合、第3の帯域通過型フィルタ43B1の帯域外減衰量は、第1の帯域通過型フィルタ23A1の帯域外減衰量よりも大きい。本実施形態では、第3の帯域通過型フィルタ43B1が第1の圧電基板に構成されているため、第3の帯域通過型フィルタ43B1の帯域外減衰量の減少を抑制することができる。従って、弾性波装置全体としての帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、縦結合共振子型弾性波フィルタ30A及び50Bは1段及び2段で構成されているが、上記段数には限られない。縦結合共振子型弾性波フィルタの段数が大きい帯域通過型フィルタが、第2の圧電基板より厚みが小さい第1の圧電基板の第1の主面に構成されていればよい。
【0064】
図14は、第4の実施形態としての弾性波モジュールの正面断面図である。
【0065】
弾性波モジュール61は、実装基板62を有する。実装基板62には、第1の実施形態の弾性波装置1が実装されている。より具体的には、実装基板62上には、実装用端子65a,65bが形成されている。実装用端子65a,65bに、はんだなどからなる接合剤68a,68bを介して弾性波装置1のグラウンド端子5a,5bが接合されている。図示されていないが、弾性波装置1のグラウンド端子以外の上記複数の外部接続用端子も、実装基板62の複数の実装用端子に接合されている。弾性波モジュール61には、装置63も実装されている。このように、弾性波モジュール61には、弾性波装置1以外の装置や素子が実装されていてもよい。弾性波モジュール61は、実装された弾性波装置1を有するため、帯域外減衰量を効果的に大きくすることができる。
弾性波装置1は、第1,第2の主面2Aa,2Abを有する第1の圧電基板2Aと、第1,第2の主面2Ba,2Bbを有し、かつ第1の圧電基板2Aの厚みよりも厚みが大きい第2の圧電基板2Bと、第1の圧電基板2Aの第2の主面2Ab上に形成されているグラウンド端子5a,5bとを備える。第1の圧電基板2Aの第1の主面2Aaと第2の圧電基板2Bの第1の主面2Baとが対向し合うように接合されている。第1の圧電基板2Aの第1の主面2Aaに第1の弾性波フィルタが構成されている。第2の圧電基板2Bの第1の主面2Baに第2の弾性波フィルタが構成されている。第1の弾性波フィルタの帯域外減衰量が第2の弾性波フィルタの帯域外減衰量よりも大きい。