特許第5983997号(P5983997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5983997電源システムおよび電源システムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983997
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】電源システムおよび電源システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20160823BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20160823BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20160823BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20160823BHJP
【FI】
   H02J3/38 110
   H02J3/38 170
   H02J3/38 180
   H02J7/34 H
   H02J9/06 110
   H01M8/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-131875(P2012-131875)
(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公開番号】特開2013-258804(P2013-258804A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河野 岳史
(72)【発明者】
【氏名】石井 隆文
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−184895(JP,A)
【文献】 特開2008−22650(JP,A)
【文献】 特開平9−215206(JP,A)
【文献】 特開平9−271141(JP,A)
【文献】 特開2013−247844(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/097314(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/179599(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−3/50
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J9/00−9/08
H01M8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統との連系運転および自立運転によって電力を供給する電源システムであって、
前記電力系統から単相3線式交流電力が供給される3本の電路を有する分電盤と、
単相3線式交流電力に接続される燃料電池装置と、
単相2線式交流電力を自立出力する蓄電池装置と、
単相3線式交流電力と単相2線式交流電力とを互いに変換するトランスと、
を備え、
前記3本の電路は、前記電力系統の停電時においても電力の供給を必要とする重要負荷が接続されている2本の電路を含み、
前記トランスは、前記燃料電池装置と前記蓄電池装置の自立出力端子との間、または、前記燃料電池装置と前記2本の電路との間に設けられ、
前記蓄電池装置は、電力系統の停電時において、前記2本の電路に単相2線式交流電力を自立出力するとともに、前記トランスを介して前記燃料電池装置に単相3線式交流電力を自立出力し、
前記燃料電池装置は、電力系統の停電時において、前記トランスを介して前記2本の電路に単相2線式交流電力を供給することを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記3本の電路のうち前記2本の電路とは異なる組合せの2本の電路に、前記重要負荷以外の負荷が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記電力系統と前記3本の電路との間に設けられた第1スイッチと、
前記燃料電池装置と前記3本の電路との間に設けられた第2スイッチと、
前記蓄電池装置の前記自立出力端子と前記2本の電路との間に設けられた第3スイッチと、
前記燃料電池装置と前記トランスとの間に設けられた第4スイッチと、
連系運転と自立運転とを切り替えるための制御を行う制御手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記電力系統の停電を検出したことに応じて、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを解列するとともに、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチを投入するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記電力系統と前記3本の電路との間に設けられた第1スイッチと、
前記蓄電池装置の前記自立出力端子と前記2本の電路との間に設けられた第3スイッチと、
前記燃料電池装置と前記3本の電路とが接続された状態、および、前記燃料電池装置と前記トランスとが接続された状態を切り替える切替器と、
連系運転と自立運転とを切り替えるための制御を行う制御手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記電力系統の停電を検出したことに応じて、前記第1スイッチを解列し、前記第3スイッチを投入するように制御するとともに、前記燃料電池装置と前記トランスとを接続するように前記切替器を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源システム。
【請求項5】
前記燃料電池装置は、前記2本の電路と前記蓄電池装置の自立出力とが接続されている位置と、前記2本の電路と前記重要負荷とが接続されている位置との間において、前記3本の電路に接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項6】
電力系統の停電時においても電力の供給を必要とする重要負荷が接続されている2本の電路を含み、前記電力系統から単相3線式交流電力が供給される3本の電路と、前記3本の電路に単相3線式交流電力を供給する燃料電池装置と、前記2本の電路に単相2線式交流電力を自立出力する蓄電池装置と、前記燃料電池装置および前記蓄電池装置の間または前記燃料電池装置および前記2本の電路の間に設けられたトランスと、を備える電源システムにおける運転方法であって、
前記電力系統の停電を検出するステップと、
前記電力系統の停電を検出した後、前記電力系統と前記3本の電路との間に設けられた第1スイッチ、および、前記燃料電池装置と前記3本の電路との間に設けられた第2スイッチを解列するステップと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを解列した後、前記蓄電池装置と前記2本の電路との間に設けられた第3スイッチおよび前記燃料電池装置と前記トランスとの間に設けられた第4スイッチを投入するステップと、
前記第3スイッチおよび前記第4スイッチを投入した後、前記蓄電池装置の自立運転を開始するステップと、
を備えることを特徴とする電源システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムおよび電源システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電力をインバータによって単相2線式の交流電力に変換して出力するインバータ装置と、単相3線式の電力システムとをトランスを介して接続し、単相3線式のシステムに接続された負荷に系統連系運転および自立運転によって電力を供給する電源システムがある(特許文献1参照)。このような電源システムでは、自立運転を行う場合、電力系統を切り離し、インバータ装置の出力をトランスを介して単相3線式の交流電力に変換して負荷に供給する。
【0003】
また、燃料電池を備える電源システムが知られている。この燃料電池は、通常は単相3線式の交流システムに接続されるように構成されている。このため、上述の電源システムに燃料電池を設ける場合、通常は単相3線式の電路に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−98581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の電源システムでは、自立運転時において、インバータ装置は、重要負荷を動作させるのに要する電力をトランスを介して重要負荷に供給するので、その電力に相当するトランスを設ける必要がある。この重要負荷を動作させるのに要する電力は数kW程度であるので、大型のトランスが必要になる。また、負荷の消費電力が0であるときであっても、トランスに電圧が発生している限りトランスの鉄損により電力が消費されてしまう。この鉄損は、トランスが大きいほど増加することが知られている。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、トランスを小型化し、電力の損失を抑制可能な電源システムおよび電源システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る電源システムは、電力系統との連系運転および自立運転によって電力を供給する電源システムであって、電力系統から単相3線式交流電力が供給される3本の電路を有する分電盤と、単相3線式交流電力に接続される燃料電池装置と、単相2線式交流電力を自立出力する蓄電池装置と、単相3線式交流電力と単相2線式交流電力とを互いに変換するトランスと、を備え、3本の電路は、電力系統の停電時においても電力の供給を必要とする重要負荷が接続されている2本の電路を含み、トランスは、燃料電池装置と蓄電池装置の自立出力端子との間、または、燃料電池装置と上述の2本の電路との間に設けられ、蓄電池装置は、電力系統の停電時において、上述の2本の電路に単相2線式交流電力を自立出力するとともに、トランスを介して燃料電池装置に単相3線式交流電力を自立出力し、燃料電池装置は、電力系統の停電時において、トランスを介して2本の電路に単相2線式交流電力を供給する。
【0008】
この電源システムにおいては、蓄電池装置は、電力系統の停電時において、重要負荷が接続されている2本の電路に単相2線式交流電力を供給するとともに、トランスを介して燃料電池装置に単相3線式交流電力を供給する。すなわち、蓄電池装置は、電力系統の停電時において、トランスを介することなく重要負荷に電力を供給し、トランスを介して燃料電池装置に電力を供給する。このため、トランスの大きさは、燃料電池装置の出力電力の大きさにより定められ、重要負荷に供給される電力の大きさとは無関係となる。したがって、トランスを介して重要負荷に電力を供給する構成と比較して、トランスを小型化できる。また、トランスを小型化することにより、トランスの鉄損を低減できるので、電力の損失の抑制が可能となる。さらに、トランスを小型化することにより、励磁電流が小さくなるので、蓄電池装置が自立運転を開始する時に、異常停止の可能性を低減することができる。
【0009】
3本の電路のうち重要負荷が接続されている2本の電路とは異なる組合せの2本の電路に、重要負荷以外の負荷が接続されてもよい。電力系統の停電時には、蓄電池装置および燃料電池装置の限られた電力を利用することから、重要負荷以外の通常負荷には電力を供給しないようにする必要がある。上述の電源システムにおいては、電力系統の停電時には、重要負荷が接続されている2本の電路に単相2線式交流電力が供給され、3本の電路のうち重要負荷が接続されていない電路には電力が供給されない。そこで、重要負荷が接続されている2本の電路とは異なる組合せの2本の電路に通常負荷が接続された構成とすることにより、通常負荷を3本の電路から解列するためのスイッチを設けることなく、電力系統の停電時において通常負荷に電力を供給しないようにすることができる。その結果、電源システムの小型化が可能となる。
【0010】
電源システムは、電力系統と3本の電路との間に設けられた第1スイッチと、燃料電池装置と3本の電路との間に設けられた第2スイッチと、蓄電池装置の自立出力端子と2本の電路との間に設けられた第3スイッチと、燃料電池装置とトランスとの間に設けられた第4スイッチと、連系運転と自立運転とを切り替えるための制御を行う制御手段と、をさらに備えてもよい。この場合、制御手段は、電力系統の停電を検出したことに応じて、第1スイッチおよび第2スイッチを解列するとともに、第3スイッチおよび第4スイッチを投入するよう制御する。この構成によれば、電力系統が停電した場合に、電源システムを電力系統から解列し、燃料電池装置を3本の電路から解列し、蓄電池装置を重要負荷が接続されている2本の電路に接続し、蓄電池装置と燃料電池装置とをトランスを介して接続することができる。このため、蓄電池装置は、自立運転時において、トランスを介することなく重要負荷に電力を供給し、トランスを介して燃料電池装置に電力を供給することができる。その結果、トランスを介して重要負荷に電力を供給する構成と比較して、トランスを小型化でき、電力の損失の抑制が可能となる。
【0011】
電源システムは、電力系統と3本の電路との間に設けられた第1スイッチと、蓄電池装置の自立出力端子と2本の電路との間に設けられた第3スイッチと、燃料電池装置と3本の電路とが接続された状態、および、燃料電池装置とトランスとが接続された状態を切り替える切替器と、連系運転と自立運転とを切り替えるための制御を行う制御手段と、をさらに備えてもよい。この場合、制御手段は、電力系統の停電を検出したことに応じて、第1スイッチを解列し、第3スイッチを投入するように制御するとともに、燃料電池装置とトランスとを接続するように切替器を制御する。この構成によれば、切替器によって燃料電池装置と3本の電路またはトランスのいずれかとを選択的に接続することができ、電源システムの小型化が可能となる。
【0012】
燃料電池装置は、2本の電路と蓄電池装置の自立出力とが接続されている位置と、2本の電路と重要負荷とが接続されている位置との間において、3本の電路に接続されてもよい。この構成においても、トランスを介して重要負荷に電力を供給する構成と比較して、トランスを小型化でき、電力の損失の抑制が可能となる。また、この構成においては、燃料電池装置の発電電力から重要負荷による消費電力を差し引いた電力が正である限り、燃料電池装置が逆潮流防止装置を具備している場合であっても、燃料電池装置が安定して発電を継続することができる。
【0013】
本発明に係る電源システムの運転方法は、電力系統の停電時においても電力の供給を必要とする重要負荷が接続されている2本の電路を含み、電力系統から単相3線式交流電力が供給される3本の電路と、3本の電路に単相3線式交流電力を供給する燃料電池装置と、2本の電路に単相2線式交流電力を自立出力する蓄電池装置と、燃料電池装置および蓄電池装置の間または燃料電池装置および2本の電路の間に設けられたトランスと、を備える電源システムにおける運転方法である。この電源システムの運転方法は、電力系統の停電を検出するステップと、電力系統の停電を検出した後、電力系統と3本の電路との間に設けられた第1スイッチ、および、燃料電池装置と3本の電路との間に設けられた第2スイッチを解列するステップと、第1スイッチおよび第2スイッチを解列した後、蓄電池装置と2本の電路との間に設けられた第3スイッチおよび燃料電池装置とトランスとの間に設けられた第4スイッチを投入するステップと、第3スイッチおよび第4スイッチを投入した後、蓄電池装置の自立運転を開始するステップと、を備える。
【0014】
この電源システムの運転方法においては、電力系統の停電を検出することに応じて、電源システムを電力系統から解列し、燃料電池装置を3本の電路から解列し、蓄電池装置を重要負荷が接続されている2本の電路に接続し、蓄電池装置と燃料電池装置とをトランスを介して接続する。その後、蓄電池装置は自立運転を開始する。このため、蓄電池装置は、トランスを介することなく重要負荷に電力を供給し、トランスを介して燃料電池装置に電力を供給することができる。その結果、トランスを介して重要負荷に電力を供給する構成と比較して、トランスを小型化でき、電力の損失の抑制が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トランスを小型化でき、電力の損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
図2図1の電源システムの運転方法を示すフローチャートである。
図3】比較例の電源システムの概略構成図である。
図4】第2実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
図5】第3実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
図6】第4実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
図7】第5実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電源システムの概略構成図である。図1に示されるように、電源システム1は、商用電源を有する電力系統10との連系により宅内の電力供給対象である機器(通常負荷21および重要負荷22)に電力を供給するシステムである。この電源システム1は、分電盤2と、燃料電池装置3と、蓄電池装置4と、トランス5と、制御部6(制御手段)と、を備えている。
【0019】
分電盤2は、回路L1を有している。回路L1は、電圧線u、電圧線vおよび中性線oの3本の電路からなる単相3線式の電路である。この回路L1には、通常負荷21および重要負荷22が接続されている。通常負荷21および重要負荷22には、回路L1を介して電力が供給される。
【0020】
通常負荷21は、電力系統10の停電時に動作させる必要がない機器であって、例えば、ドライヤーなどである。通常負荷21には、100Vで動作する通常負荷21aと、200Vで動作する通常負荷21bとが含まれている。通常負荷21aは、回路L1の電圧線vと中性線oとに接続され、通常負荷21bは、回路L1の電圧線uと電圧線vとに接続されている。重要負荷22は、電力系統10の停電時においても動作させる必要がある機器であって、例えば、冷蔵庫、テレビ、照明などである。重要負荷22は、100Vで動作し、回路L1の電圧線uと中性線oとに接続されている。
【0021】
燃料電池装置3は、発電した直流電力を単相3線式の交流電力に変換して、単相3線式の交流電力(200V)を出力する。燃料電池装置3の出力は、代表的には1kW以下であって、例えば700W程度である。また、燃料電池装置3は、単相3線式の回路L2によって、回路L1に電気的に接続されている。また、燃料電池装置3は、燃料電池セルおよびパワーコンディショナを有している。
【0022】
燃料電池セルは、発電反応により直流電力を出力する。パワーコンディショナは、燃料電池セルから出力された直流電力を単相3線式の交流電力に変換して、単相3線式の交流電力を回路L2に出力する。また、パワーコンディショナは、回路L2の電圧が所定値以下になった等の異常を検知すると、燃料電池装置3を所定の時間アイドリングモードとする。そして、パワーコンディショナは、所定の時間経過後、燃料電池装置3をスタートアップする。このとき、パワーコンディショナーは、回路L2に再び異常が見出された場合は、燃料電池装置3を再度アイドリングモードとする。
【0023】
蓄電池装置4は、燃料電池装置3、太陽電池または電力系統10からの電力を充電しておき、充電した電力を単相2線式の交流電力(100V)として自立出力端子から回路L3に出力する。蓄電池装置4は、自立運転時において燃料電池装置3を動作させるとともに、重要負荷22に電力を供給する。このため、蓄電池装置4の出力は、例えば2kW程度と、燃料電池装置3の出力よりも大きい必要がある。また、蓄電池装置4の自立出力端子は、単相2線式の回路L3によって、回路L1の電圧線uおよび中性線oに電気的に接続されるとともに、蓄電池装置4の連系出力端子は、単相3線式の回路L4によって、回路L1に電気的に接続されている。
【0024】
また、蓄電池装置4は、蓄電池およびパワーコンディショナを有している。蓄電池は、燃料電池装置3、太陽電池または電力系統10からの電力を蓄える。パワーコンディショナは、系統連系運転時において、回路L4から入力した単相3線式の交流電力を直流電力に変換して、蓄電池に出力する。また、パワーコンディショナは、自立運転時において、蓄電池から出力された直流電力を単相2線式の交流電力に変換して、単相2線式の交流電力を回路L3に出力する。このように、蓄電池装置4は、回路L3によって、回路L1のうち重要負荷22が接続されている2本の電路に接続されており、自立運転時に重要負荷22に電力を供給する。
【0025】
トランス5は、燃料電池装置3と蓄電池装置4との間に設けられ、回路L2に供給される単相3線式の電力と、回路L3に供給される単相2線式の電力と、を互いに変換する。トランス5は、回路L2を介して燃料電池装置3に電気的に接続されており、回路L3を介して蓄電池装置4に電気的に接続されている。
【0026】
制御部6は、電力系統10の電力供給状態に応じて、系統連系ブレーカ11(第1スイッチ)、ブレーカ12(第2スイッチ)、ブレーカ13(第3スイッチ)およびブレーカ14(第4スイッチ)の開閉を制御する。系統連系ブレーカ11は、回路L1上に設けられている。ブレーカ12は、回路L2上に設けられている。ブレーカ13は、回路L3上に設けられている。ブレーカ14は、トランス5と回路L2との間に設けられている。
【0027】
制御部6は、系統連系ブレーカ11を開閉制御することによって、電力系統10と電源システム1とを電気的に解列または接続する。また、制御部6は、ブレーカ12を開閉制御することによって、燃料電池装置3と回路L1とを電気的に解列または接続する。また、制御部6は、ブレーカ13を開閉制御することによって、蓄電池装置4と回路L1とを電気的に解列または接続する。また、制御部6は、ブレーカ14を開閉制御することによって、トランス5と回路L2とを電気的に解列または接続する。
【0028】
制御部6は、連系運転時において、系統連系ブレーカ11およびブレーカ12を投入し、ブレーカ13およびブレーカ14を解列するように制御する。また、制御部6は、電力系統10の電力供給が停止したことを検出すると、系統連系ブレーカ11およびブレーカ12を解列し、ブレーカ13およびブレーカ14を投入するように制御する。
【0029】
なお、回路L1において、回路L3が接続されている位置は、回路L2が接続されている位置よりも通常負荷21および重要負荷22が接続されている位置から離れている。また、回路L1において、回路L2が接続されている位置は、回路L4が接続されている位置よりも通常負荷21および重要負荷22が接続されている位置から離れている。すなわち、回路L1において、負荷側から回路L4、回路L2、回路L3の順で接続されており、燃料電池装置3は、回路L1において蓄電池装置4が接続されている位置と重要負荷22が接続されている位置との間において、回路L1に接続されている。
【0030】
次に、電源システム1の電力系統10との連系運転について説明する。電力系統10との連系運転時においては、系統連系ブレーカ11およびブレーカ12は投入されており、ブレーカ13およびブレーカ14は解列されている。このとき、電力系統10から回路L1に単相3線式交流電力が供給される。そして、燃料電池装置3は、回路L2を介して電力系統10から電力を供給され、回路L2を介して回路L1に単相3線式交流電力を供給する。このため、電力系統10および燃料電池装置3によって、回路L1に接続されている通常負荷21a、通常負荷21bおよび重要負荷22に、それぞれ電力が供給される。また、蓄電池装置4は、回路L4を介して電力系統10からの電力を充電している。
【0031】
続いて、電源システム1の自立運転について説明する。図2は、電力系統10の停電時における電源システム1の運転方法を示すフローチャートである。まず、制御部6は、電力系統10の電力供給が停止したことを検出する(ステップS01)。次に、制御部6は、系統連系ブレーカ11を解列するように制御する(ステップS02)。これにより、電源システム1は、電力系統10から切り離される。そして、制御部6は、ブレーカ12を解列するように制御する(ステップS03)。なお、系統連系ブレーカ11およびブレーカ12の解列順は任意であるので、ステップS03の後にステップS02を行ってもよく、ステップS02およびステップS03を同時に行ってもよい。
【0032】
続いて、制御部6は、ブレーカ13およびブレーカ14を投入するように制御する(ステップS04)。このステップS01〜ステップS04において、燃料電池装置3は、回路L2の電圧が所定値以下になったことを検知し、アイドリングモードとなっている。
【0033】
そして、蓄電池装置4は自立運転を開始する(ステップS05)。蓄電池装置4は、自立運転時において、回路L3に単相2線式交流電力を出力し、回路L1の電圧線uと中性線oとに単相2線式交流電力を供給する。また、回路L3に出力された単相2線式交流電力は、トランス5によって単相3線式交流電力に変換され、変換された単相3線式交流電力は回路L2を介して燃料電池装置3に供給される。
【0034】
これにより、燃料電池装置3は、回路L2の電圧が所定値以上になったことを検知し、動作を開始する。そして、燃料電池装置3は、単相3線式交流電力を回路L2に出力する。この回路L2に出力された単相3線式交流電力は、トランス5によって単相2線式交流電力に変換され、変換された単相2線式交流電力は回路L3を介して回路L1の電圧線uと中性線oとに供給される。
【0035】
このように、自立運転時には、蓄電池装置4および燃料電池装置3から回路L1の電圧線uと中性線oとに電力が供給される。重要負荷22は、回路L1の電圧線uと中性線oとに接続されているので、重要負荷22に電力が供給される。一方、通常負荷21aは、回路L1の電圧線vと中性線oとに接続され、通常負荷21bは、回路L1の電圧線uと電圧線vとに接続されているので、通常負荷21aおよび通常負荷21bには電力が供給されない。
【0036】
次に、図1および図3を用いて、電源システム1の作用効果を説明する。図3は、比較例の電源システム100の概略構成図である。図3に示されるように、電源システム100は、電力系統10の停電時に燃料電池装置3および蓄電池装置4から回路L1に電力を供給する構成、並びに、通常負荷21および重要負荷22を回路L1に接続する構成において、上述した第1実施形態の電源システム1と相違している。すなわち、電源システム100は、トランス5に代えてトランス50を備え、ブレーカ12、ブレーカ13およびブレーカ14に代えてブレーカ31およびブレーカ32を備えている。
【0037】
また、電源システム100において、通常負荷21には、100Vで動作する通常負荷21aおよび通常負荷21cと、200Vで動作する通常負荷21bとが含まれている。通常負荷21aは、回路L1の電圧線vと中性線oとに接続され、通常負荷21bは、回路L1の電圧線uと電圧線vとに接続され、通常負荷21cは、回路L1の電圧線uと中性線oとに接続されている。重要負荷22には、100Vで動作する重要負荷22aおよび重要負荷22bが含まれている。重要負荷22aは、回路L1の電圧線uと中性線oとに接続され、重要負荷22bは、回路L1の電圧線vと中性線oとに接続されている。
【0038】
トランス50は、蓄電池装置4と回路L1との間に設けられ、回路L3を介して蓄電池装置4に電気的に接続されており、単相3線式の回路L5を介して回路L1に電気的に接続されている。このトランス50は、回路L3に供給される単相2線式の電力を単相3線式交流電力に変換して、変換した単相3線式交流電力を回路L5に出力する。
【0039】
制御部6は、電力系統10の電力供給状態に応じて、系統連系ブレーカ11、ブレーカ31およびブレーカ32(ブレーカ32a、ブレーカ32b、ブレーカ32c)の開閉を制御する。ブレーカ31は、回路L5上に設けられている。ブレーカ32aは、通常負荷21aと回路L1との間に設けられている。ブレーカ32bは、通常負荷21bと回路L1との間に設けられている。ブレーカ32cは、通常負荷21cと回路L1との間に設けられている。
【0040】
制御部6は、連系運転時において、系統連系ブレーカ11およびブレーカ32を投入し、ブレーカ31を解列するように制御する。また、制御部6は、電力系統10の電力供給が停止したことを検出すると、系統連系ブレーカ11およびブレーカ32を解列し、ブレーカ31を投入するように制御する。
【0041】
このような電源システム100では、蓄電池装置4は、電力系統10の停電時において、トランス50を介して重要負荷22が接続されている回路L1に単相3線式交流電力を供給するとともに、トランス50を介して燃料電池装置3に単相3線式交流電力を供給する。このため、トランス50の大きさは、燃料電池装置3の出力電力および重要負荷22に供給する必要がある電力の大きさに依存する。したがって、トランス50は、2kW程度の大きな電力に耐えうる大型のトランスを用いる必要がある。
【0042】
一方、電源システム1では、蓄電池装置4は、電力系統10の停電時において、重要負荷22が接続されている電圧線uおよび中性線oに単相2線式交流電力を供給するとともに、トランス5を介して燃料電池装置3に単相3線式交流電力を供給する。すなわち、蓄電池装置4は、トランス5を介することなく重要負荷22に電力を供給し、トランス5を介して燃料電池装置3に電力を供給する。このため、トランス5の大きさは、燃料電池装置3の出力電力の大きさにより定められ、重要負荷22に供給される電力の大きさとは無関係となる。したがって、電源システム100のトランス50と比較して、トランス5を小型化できる。また、トランスでは、二次側に電力を供給していない時であっても、トランスに電圧が印加されている限り、鉄損により電力が消費されるが、トランス50よりもトランス5を小型化することにより、トランス50の鉄損よりもトランス5の鉄損を低減できる。その結果、電源システム100と比較して、電源システム1における電力の損失の抑制が可能となる。
【0043】
また、電力系統10の停電時には、蓄電池装置4および燃料電池装置3の限られた電力を利用することから、重要負荷22以外の通常負荷21には電力を供給しないようにする必要がある。電源システム100では、重要負荷22は、電圧線uおよび中性線o、または、電圧線vおよび中性線oに接続され、通常負荷21は、電圧線uおよび中性線o、電圧線vおよび中性線o、または、電圧線uおよび電圧線vに接続されている。そして、電源システム100では、電力系統10の停電時において重要負荷22に電力を供給するために、回路L1のすべての電路に電力を供給している。このため、電源システム100においては、電力系統10の停電時において、通常負荷21を回路L1から解列するためのブレーカ32が必要になる。さらに、ブレーカ32としては、いずれも対応する通常負荷21を遮断する必要があるため、大型のものを使用する必要がある。
【0044】
一方、電源システム1では、回路L1のうち重要負荷22が接続されている電圧線uおよび中性線oとは異なる組合せの2本の電路(電圧線vおよび中性線o、または、電圧線uおよび電圧線v)に、通常負荷21が接続されている。また、電源システム1では、電力系統10の停電時には、電圧線uおよび中性線oにのみ単相2線式交流電力が供給される。このため、通常負荷21を回路L1から解列するためのブレーカを設けることなく、電力系統10の停電時において通常負荷21に電力が供給されないようにすることができる。その結果、電源システム1の小型化が可能となる。
【0045】
また、電源システム100では、重要負荷22が電圧線uおよび中性線o、または、電圧線vおよび中性線oに接続されているので、重要負荷22aと重要負荷22bとが各相にバランスよく配置されていない場合には不平衡が生じ、トランス50の中性線に大きな電流が流れるおそれがある。一方、電源システム1では、重要負荷22は電圧線uおよび中性線oにのみ接続されているので、大きな不平衡が生じることはなく、トランス5の中性線に大きな電流が流れる懸念がない。
【0046】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る電源システムの概略構成図である。図4に示されるように、回路L1における燃料電池装置3および蓄電池装置4の接続位置において、上述した第1実施形態の電源システム1と相違している。すなわち、第2実施形態の電源システム1Aでは、回路L1において、回路L2が接続されている位置は、回路L3が接続されている位置よりも通常負荷21および重要負荷22が接続されている位置から離れている。また、回路L1において、回路L3が接続されている位置は、回路L4が接続されている位置よりも通常負荷21および重要負荷22が接続されている位置から離れている。すなわち、回路L1において、負荷側から回路L4、回路L3、回路L2の順で接続されており、蓄電池装置4は、回路L1において燃料電池装置3が接続されている位置と重要負荷22が接続されている位置との間において、回路L1に接続されている。
【0047】
以上の第2実施形態の電源システム1Aによっても、上述した第1実施形態の電源システム1と同様の効果が奏される。
【0048】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態に係る電源システムの概略構成図である。図5に示されるように、燃料電池装置3と回路L1との解列と、燃料電池装置3とトランス5との接続とが連動するように構成されている点において、上述した第1実施形態の電源システム1と相違している。すなわち、第3実施形態の電源システム1Bは、ブレーカ12およびブレーカ14に代えて、切替器15を備えている。
【0049】
切替器15は、回路L2上に設けられた2接点型の切替器である。すなわち、制御部6は、切替器15を切替制御することによって、燃料電池装置3をトランス5または回路L1のいずれか一方に選択的に接続するとともに、燃料電池装置3を他方から解列する。具体的に説明すると、制御部6は、連系運転時において、系統連系ブレーカ11を投入し、ブレーカ13を解列し、切替器15を回路L1側に接続するように制御する。また、制御部6は、電力系統10の電力供給が停止したことを検出すると、系統連系ブレーカ11を解列し、ブレーカ13を投入し、切替器15をトランス5側に接続するように制御する。
【0050】
以上の第3実施形態の電源システム1Bによっても、上述した第1実施形態の電源システム1と同様の効果が奏される。さらに、第3実施形態の電源システム1Bでは、ブレーカ12およびブレーカ14に代えて切替器15を用いることにより、ブレーカの数をさらに減らすことができ、電源システム1Bの小型化が可能となる。第1および第2実施形態においては、誤動作によって、ブレーカ12とブレーカ14とが同時にONとなり、回路L1において事故が発生しないよう、対策が必要であるが、第3実施形態においては、その懸念がない。
【0051】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態に係る電源システムの概略構成図である。図6に示されるように、トランス5の接続位置において、上述した第1実施形態の電源システム1と相違している。すなわち、第4実施形態の電源システム1Cでは、トランス5は、燃料電池装置3と分電盤2との間に設けられ、回路L2を介して燃料電池装置3に電気的に接続されており、回路L1の電圧線uおよび中性線oに電気的に接続されている。トランス5は、回路L2に供給される単相3線式の電力と、回路L1の電圧線uおよび中性線oに供給される単相2線式の電力と、を互いに変換する。
【0052】
以上の第4実施形態の電源システム1Cによっても、上述した第1実施形態の電源システム1と同様の効果が奏される。
【0053】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態に係る電源システムの概略構成図である。図7に示されるように、トランス5の接続位置において、上述した第3実施形態の電源システム1Bと相違している。すなわち、第5実施形態の電源システム1Dでは、トランス5は、燃料電池装置3と分電盤2との間に設けられ、回路L2を介して燃料電池装置3に電気的に接続され、回路L1の電圧線uおよび中性線oに電気的に接続されている。トランス5は、回路L2に供給される単相3線式の電力と、回路L1の電圧線uおよび中性線oに供給される単相2線式の電力と、を互いに変換する。
【0054】
以上の第5実施形態の電源システム1Dによっても、上述した第3実施形態の電源システム1Bと同様の効果が奏される。
【0055】
なお、本発明に係る電源システムおよび電源システムの運転方法は上記第1〜第5実施形態に記載したものに限定されない。例えば、重要負荷22は、回路L1の電圧線vと中性線oとに接続されていてもよい。この場合、通常負荷21aは、回路L1の電圧線uと中性線oとに接続され、蓄電池装置4は、回路L3によって、回路L1の電圧線vおよび中性線oに電気的に接続される。すなわち、蓄電池装置4が回路L3によって接続される回路L1の2本の電路に、重要負荷22が接続されていればよく、通常負荷21がその2本の電路に接続されていなければよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B…電源システム、2…分電盤、3…燃料電池装置、4…蓄電池装置、5…トランス、6…制御部(制御手段)、10…電力系統、11…系統連系ブレーカ(第1スイッチ)、12…ブレーカ(第2スイッチ)、13…ブレーカ(第3スイッチ)、14…ブレーカ(第4スイッチ)、15…切替器、21,21a,21b…通常負荷、22…重要負荷、o…中性線、u…電圧線、v…電圧線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7