【実施例1】
【0026】
図3は、実施例1に係る半導体装置の断面図の例である。
図3のように、ゲート電極50は、開口24に埋め込まれるように第1絶縁膜18上に設けられたNi層52からなる金属パターンと、Ni層52の上面と側面とを覆うPd層54からなるバリア層と、Pd層54上に設けられたAu層56からなる導電層と、を有する。Ni層52は、窒化物半導体層12に対してショットキ接合を構成する。Pd層54のゲート長方向の長さとAu層56のゲート長方向の長さとは同じである。つまり、ゲート電極50の断面は、上部に向かっても幅は一定となっている。Ni層52の厚さは、例えば30nmである。Pd層54の厚さは、例えば60nmである。Au層56の厚さは、例えば500nmである。また、後述の実施例1に係る半導体装置の製造方法で詳しく説明するが、Ni層52は真空蒸着法によって形成され、Pd層54とAu層56とは無電解めっき法によって形成される。その他の構成は比較例1の
図1と同じであるため、説明を省略する。
【0027】
次に、実施例1に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図4(a)から
図5(c)は、実施例1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4(a)のように、SiC基板である基板10上に、窒化物半導体層12として、GaN層であるチャネル層14とAlGaN層である電子供給層16とをこの順に成長させる。チャネル層14及び電子供給層16の成長は、MOCVD法(有機金属気相成長法)を用いることができる。窒化物半導体層12上に、真空蒸着法及びリフトオフ法を用いて、窒化物半導体層12側からTi層とAl層とがこの順に積層された金属層を形成する。その後、例えば500℃から800℃の温度で金属層に対してアニール処理を行い、窒化物半導体層12にオーミック接合するオーミック電極であるソース電極20及びドレイン電極22を形成する。ソース電極20とドレイン電極22とを覆うように、窒化物半導体層12上に、プラズマCVD法(プラズマ化学気相成長法)を用いて、窒化シリコン膜である第1絶縁膜18を形成する。ソース電極20とドレイン電極22との間であって、ゲート電極を形成すべき領域の第1絶縁膜18を除去して開口24を形成する。開口24の底面は、窒化物半導体層12が露出している。これにより、窒化物半導体層12上に、開口24を有する第1絶縁膜18が形成される。
【0028】
図4(b)のように、第1絶縁膜18上に、開口24に対応する位置に開口24よりも大きな第1開口42を有するマスク層である第1レジスト層44を形成する。第1レジスト層44は、第1開口42において上側部分が下側部分よりも突き出た形状をしている。このような形状の第1レジスト層44は、フォトプロセスを2回繰り返すことによって形成できる。なお、第1レジスト層44は、第1開口42において逆テーパ形状をしている場合でもよい。
【0029】
図4(c)のように、第1レジスト層44をマスクとして、真空蒸着法を用いてNiからなる金属パターンを堆積する。これにより、窒化物半導体層12上に、上面および側面を有し、Niを含有する金属パターンが形成される。つまり、開口24内の窒化物半導体層12上及び第1絶縁膜18上に、Ni層52が形成される。典型的にNi層52は、真空蒸着法で形成されるため、上部に向かうほど幅が狭まる断面形状となる。
【0030】
図5(a)のように、第1レジスト層44を除去した後、第1絶縁膜18上に、Ni層52のゲート長方向の幅よりも大きい幅を有する第2開口46がNi層52に対応して形成されたマスク層である第2レジスト層48を形成する。次に、第2レジスト層48をマスクとして、無電解めっき法により、第2開口46内にPdを充填して成長させる。このPdは、Niの拡散に対するバリア層である。無電解めっき法では、Pdは下地活性層となるNi層52に対して等方的に成長する。このため、Pd層54が、Ni層52の露出面、即ち、Ni層52(金属パターン)の上面および側面を被覆するように形成される。これにより、Ni層52(金属パターン)の表面がバリア層であるPd層54で被覆される。なお、窒化物半導体層12上に第1絶縁膜18が形成されているため、Pd層54と窒化物半導体層12との間は第1絶縁膜18によって隔離されて、Pd層54は窒化物半導体層12に接することなく形成される。続いて、無電解めっき法により、第2開口46内をAuで充填して、導電層としてAuを成長させる。これにより、Pd層54上にAu層56が形成される。これらによって、Ni層52、Pd層54、及びAu層56を有するゲート電極50が形成される。Pd層54及びAu層56の幅W1は、第2レジスト層48の第2開口46の幅で規定され、例えば1.0μmである。第1絶縁膜18の上面に接する部分におけるNi層52の幅W2は、例えば0.8μmである。Ni層52の上部の幅W3は、例えば0.6μmである。
【0031】
図5(b)のように、第2レジスト層48を除去した後、ゲート電極50を覆うように、プラズマCVD法を用いて、窒化シリコン膜である第2絶縁膜34を形成する。第2絶縁膜34には、ゲート電極50の段差の形状を反映した段差が形成される。
【0032】
図5(c)のように、ソース電極20上及びドレイン電極22上の第2絶縁膜34と第1絶縁膜18とを除去して開口を形成する。この開口内及び第2絶縁膜34上に、めっき法を用いて、金属層を形成する。金属層は、ソース電極20の上面に接するソース配線36、ドレイン電極22の上面に接するドレイン配線38、及び第2絶縁膜34の段差を覆う位置に設けられたフィールドプレート40を含む。これにより、実施例1に係る半導体装置が完成する。
【0033】
実施例1によれば、
図3のように、ゲート電極50は、開口24に埋め込まれるように第1絶縁膜18上に設けられ、上面および側面を有するNi層52と、Ni層52の上面及び側面を覆うPd層54と、Pd層54上に設けられたAu層56と、を有する。Pd層54によって、Ni層52は、第2絶縁膜34及びAu層56に接することなく設けられている。これにより、Pd層54が、Ni層52に含まれるNiの拡散を抑制するバリア層として機能し、Ni層52のNiが第2絶縁膜34に拡散することを抑制できる。よって、半導体装置の故障を抑制できる。
【0034】
Ni層52の上面及び側面を被覆するPd層54は、
図5(a)で説明したように、無電解めっき法により形成される。無電解めっき法は、上述したように、めっき層が下地活性層に対して等方的に成長するため、Pd層54は、Ni層52の上面及び側面を含む露出面を被覆し、Ni層52の表面を覆って形成される。また、Pd層54が等方的に成長することから、Ni層52の上面に形成された、開口24の段差に起因した段差部分も十分な厚さで被覆することができる。例えば、
図2のように、Pd層30を真空蒸着法で形成した場合、蒸着源から基板10に対して垂直に蒸着粒子が入射するよう、蒸着源と基板10との位置関係が設定されるため、Ni層28の上面の段差部分を十分な厚さのPd層30で被覆することが難しい。このため、Ni層28のNiがAu層32に拡散し、その結果、Niが第2絶縁膜34に拡散してしまう。しかしながら、実施例1では、Pd層54を無電解めっき法で形成することで、Ni層52の上面の段差部分を十分な厚さのPd層54で被覆することができるため、Ni層52のNiがAu層56を経由して第2絶縁膜34に拡散することを抑制できる。
【0035】
ここで、Pd層及びAu層を無電解めっき法ではなく、電解めっき法で形成した場合の問題点について説明する。
図6(a)及び
図6(b)は、Pd層及びAu層を電解めっき法で形成する工程を示す断面図である。
図6(a)のように、窒化物半導体層12上に形成された第1絶縁膜18の開口24に埋め込まれるように、真空蒸着法又はスパッタ法を用いて、第1絶縁膜18上にNi層72を形成する。ここで、Ni層72をPd層及びAu層を電解めっき法で形成する際のシード層として用いるために、基板10上全面にNi層72を残存させておく。
【0036】
Ni層72上に、開口24よりも大きな開口を有するレジスト層78を形成する。レジスト層78をマスクとして、電解めっき法を用いて、Ni層72上に、Pd層74とAu層76とを順に成長させる。
【0037】
図6(b)のように、レジスト層78を除去した後、Au層76とPd層74とをマスクとして、Ni層72をエッチングする。これにより、Ni層72、Pd層74、及びAu層76を有するゲート電極70が形成される。
【0038】
このように、Pd層74とAu層76とを電解めっき法で形成する場合、Ni層72をシード層として用いるため、
図6(b)のように、Pd層74とAu層76とを形成した後、Ni層72をエッチングして除去することがなされる。このため、Ni層72の側面をPd層74で覆うことができず、Ni層72のNiが第2絶縁膜34に拡散することが生じてしまう。このように、Pd層74及びAu層76を電解めっき法を用いて形成する場合では、Ni層72のNiが拡散してしまうことを抑制できない。したがって、実施例1では、Pd層54とAu層56とを無電解めっき法を用いて形成している。
【0039】
また、ゲート電極の抵抗を低減させるためにAu層を設けているが、
図2のように、ゲート電極26を真空蒸着法で形成する場合、ゲート電極26の上側ほど幅が狭い断面形状となる。このため、Au層32を厚くしても、ゲート電極26の抵抗を低減させる効果が小さい。一方、実施例1では、Pd層54とAu層56とを無電解めっき法で形成しているため、矩形形状をしたゲート電極50が得られる。このため、Au層56を厚くすることで、ゲート電極50の抵抗を効果的に低減させることができる。
【0040】
さらに、
図2のように、Pd層30とAu層32とを真空蒸着法で形成する場合は、ウエハである基板10の外周部でパターンの位置ずれが生じる場合がある。これは、蒸着源に比べて、ウエハが遥かに大きいためである。一方、実施例1では、Pd層54とAu層56とは無電解めっき法で形成しているため、Ni層52に対してPd層54とAu層56とのパターンの位置がずれることを抑制できる。
【0041】
Ni層52の厚さは、30nmの場合に限られず、10nm以上且つ100nm以下の場合でもよい。Pd層54の厚さは、60nmの場合に限られず、10nm以上且つ80nm以下の場合でよい。Au層56の厚さは、500nmの場合に限られず、200nm以上且つ1000nm以下の場合でもよい。また、第1絶縁膜18の厚さは、30nmの場合に限られず、10nm以上且つ100nm以下の場合でもよい。ただし、Ni層52の厚さに対する第1絶縁膜18の厚さの比(即ち、第1絶縁膜18の厚さ/Ni層52の厚さ)は、0.5以上且つ1.5以下である場合が好ましい。この第1絶縁膜18の厚さ/Ni層52の厚さの比が1.5より大きい場合、開口24において、第1絶縁膜18上に堆積したNi層52と、開口24に埋め込まれたNi層52とが、物理的に乖離した段切れ状態となるため、1.5以下の場合が好ましい。また、第1絶縁膜18の厚さ/Ni層52の厚さの比が0.5以上のとき、真空蒸着法において、Ni層52の上面に形成される、開口24の段差に起因した段差部分が問題となるが、実施例1ではPd層54を無電解めっき法で形成することで、Ni層52の上面の段差部分を十分な厚さのPd層54で被覆することができ、Ni層52のNiがAu層56を経由して第2絶縁膜34に拡散することを抑制できるため、0.5以上の場合にも問題がない。
【0042】
また、Ni層52の側面におけるPd層54の厚さ(
図5(a)におけるW1−W2)は、Niの拡散を抑制するために、0.2μm以上の場合が好ましく、0.3μm以上の場合がより好ましく、0.4μm以上の場合がさらに好ましい。
【0043】
図3のように、フィールドプレート40は、ゲート電極50の段差の形状を反映して形成された第2絶縁膜34の段差を覆う位置に設けられ、ゲート電極50に沿ってゲート電極50上まで延在している場合を例に示した。しかしながら、
図7(a)の実施例1の変形例1に係るFETのように、フィールドプレート80が、ゲート電極50とドレイン電極22との間に位置し、ゲート電極50上まで延在していない場合でもよい。なお、フィールドプレート80も、フィールドプレート40と同様に、Auめっき層等の金属層からなり、FETの活性領域外でソース配線36に接続されている。
【0044】
第2絶縁膜34上に形成されるフィールドプレート40、80は、ソース電極20に電気的に接続されている場合に限られず、ソース電極20に電気的に接続されていない場合でもよい。フィールドプレート40、80は、浮き導体の場合でもよい。この場合でも、ゲート電極50のNi層52に含まれるNiがフィールドプレート40、80に向かって第2絶縁膜34を拡散し易いため、Ni層52の上面と側面とを覆ってPd層54を設けることが有効である。しかしながら、フィールドプレート40、80がソース電極20に電気的に接続されている場合は、ゲート電極50のNi層52に含まれるNiがフィールドプレート40、80に向かって第2絶縁膜34をより拡散し易い。したがって、フィールドプレート40、80がソース電極20に電気的に接続されている場合に、Ni層52の上面と側面とを覆ってPd層54を設けることがより有効である。
【0045】
また、フィールドプレート40の代わりに、
図7(b)の実施例1の変形例2に係るFETのように、ソースウォール82が設けられている場合でもよい。ソースウォール82は、Auめっき層等の金属層からなり、ソース配線36に接続され、第2絶縁膜34上でゲート電極50を覆うように、ソース配線36から第2絶縁膜34の段差を覆う位置に延在して設けられている。ソースウォール82は、ソース電極20に電気的に接続されているため、ゲート電極50のNi層52に含まれるNiがソースウォール82に向かって第2絶縁膜34を拡散し易い。したがって、ソースウォール82が設けられている場合に、Ni層52の上面と側面とを覆ってPd層54を設けることがより有効である。
【0046】
図5(a)のように、Ni層52に対してソース電極20側及びドレイン電極22側に対称な形状の第2開口46を有する第2レジスト層48をマスクとして、無電解めっき法にてPd層54及びAu層56を形成しているが、これに限られない。
図8は、ゲート電極50を形成する工程の第1の変形例を示す断面図である。
図8のように、Ni層52に対してソース電極20側及びドレイン電極22側に非対称な形状の第2開口90を有する第2レジスト層92をマスクとして、無電解めっき法にてPd層54とAu層56とを形成してもよい。この場合、ドレイン側に延びたゲート電極により、ショットキ接合近傍へのキャリアトラップを低減することができ、ドレイン電流のコラプス現象を低減することが可能となる。
【0047】
また、
図5(a)のように、第1レジスト層44を除去した後、Ni層52の幅よりも大きい第2開口46を有する第2レジスト層48を形成し、これをマスクとして、無電解めっき法にてPd層54とAu層56とを形成しているが、これに限られない。
図9は、ゲート電極50を形成する工程の第2の変形例を示す断面図である。
図9のように、Pd層54とAu層56とのパターンの大きさに制約がなく、余裕がある場合には、第2レジスト層48を形成することなく、無電解めっき法にてPd層54とAu層56とを形成してもよい。これにより、第2レジスト層48を形成する工程を省くことができるため、製造工程を短縮できる。
【0048】
Ni層52は、真空蒸着法を用いて形成する場合に限られず、スパッタ法を用いて形成してもよい。また、真空蒸着法又はスパッタ法にてNiを数nm堆積した後、無電解めっき法にてNi、Pd、Auを連続して成長させて、Ni層52、Pd層54、及びAu層56を有するゲート電極50を形成してもよい。
【0049】
窒化物半導体層12上に、開口24を有する第1絶縁膜18が設けられている場合に、FETの活性化処理を適切に実施すれば、開口24の窒化物半導体層12上からのみ無電解めっき金属を成長させることができる。したがって、活性化処理を適切に行い、Ni層52、Pd層54、及びAu層56の全てを無電解めっき法にて形成する場合でもよい。
【0050】
図3のように、開口24に埋め込まれるように第1絶縁膜18上にNi層52が設けられているが、Ni層52の場合に限られず、Niを含有する金属パターンであればよい。Niを含有する金属パターンの例として、Ni層の他に、Niと他の金属とを含む層の場合や、Ni層と他の金属層との積層の場合が挙げられる。
【0051】
Ni層52の上面及び側面を覆う金属層が、Ni層52の上面及び側面を覆うPd層54と、Pd層54上に設けられたAu層56と、を含む場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。Ni層52に含まれるNiが拡散することを抑制するバリア層として機能すれば、Ni層52の上面及び側面をPd層54以外のバリア層、例えばPt(白金)層で覆っている場合でもよい。また、ゲート電極50の抵抗が低減すれば、Pd層54上にAu層56以外の低抵抗の導電層、例えばCu(銅)が設けられている場合でもよい。
【0052】
基板10は、SiC基板の他にも、例えばSi基板、サファイア基板、又はGaN基板等、その他の基板を用いることができる。基板10上に形成される窒化物半導体層としては、GaN層、InN層、AlN層、InGaN層、AlGaN層、InAlN層、及びInAlGaN層のうちの少なくとも1つを含む単層又は積層を用いることができる。第1絶縁膜18及び第2絶縁膜34は、窒化シリコン膜以外の絶縁膜、例えば酸化シリコン膜を用いてもよい。
【0053】
実施例1では、HEMTの場合を例に示したが、MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)等、その他のFETの場合でもよいし、FET以外の半導体装置の場合でもよい。また、第2絶縁膜34上にフィールドプレート又はソースウォールを構成する金属層が設けられている場合を例に示したが、金属層が設けられていない場合でもよい。この場合でも、Ni層52のNiが第2絶縁膜34に拡散することがあるため、Ni層52の上面及び側面をPd層54で覆うことが望ましい。
【0054】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。