(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コヒーレント光源(Sc)によって形成される第1光放射領域(Gs)を有し、前記第1光放射領域(Gs)からの光を投影して第2光放射領域(Gu)を形成する第1光学系(Eu)と、前記第2光放射領域(Gu)の近傍において前記第2光放射領域(Gu)の形成にかかわる光束(Bu)を偏向する光偏向手段(Md)と、前記光偏向手段(Md)の後段に設置され、前記第2光放射領域(Gu)に共役な第3光放射領域(Gf)を形成する第2光学系(Ef)と、前記第2光学系(Ef)の後段に設置され、前記第3光放射領域(Gf)の近傍にその入射端(Pmi)が設けられた、入射光線の角度と位置の成分の混合を行うための光混合手段(Fm)とを具備し、前記光偏向手段(Md)は、前記光束(Bu)を偏向する方向を連続的に変化させる動作を継続することを特徴とするコヒーレント光源装置。
前記第1光放射領域(Gs)は、複数の、または分布する放射点(Ks,Ks’,…)から構成され、かつ前記第1光放射領域(Gs)の各放射点(Ks,Ks’,…)を形成する光束の主光線(Lps,Lps’,…)は、前記第2光学系(Ef)を通過後においては、互いに略平行となるようにすることを特徴とする請求項1または2に記載のコヒーレント光源装置。
前記第1光放射領域(Gs)は、複数の、または分布する放射点(Ks,Ks’,…)から構成され、かつ前記第1光放射領域(Gs)の各放射点(Ks,Ks’,…)を形成する光束の主光線(Lps,Lps’,…)は、前記第2光学系(Ef)を通過後においては、第3光放射領域(Gf)の中心の近傍を通過するようにすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコヒーレント光源装置。
前記第2光学系(Ef)が形成する前記第3光放射領域(Gf)の形状が、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)の形状に適合するよう、前記第1光放射領域(Gs)における放射点(Ks,Ks’,…)を配置または分布させることを特徴とする請求項1,2,4いずれかに記載のコヒーレント光源装置。
前記第1光放射領域(Gs)を、コヒーレント光源(Sc)の光が入射端から入力される光ファイバ(Fb)の射出端(Pto)によって形成することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコヒーレント光源装置。
請求項1から7のいずれかに記載のコヒーレント光源装置を利用して画像を投影表示するプロジェクタであって、光均一化手段が前記光混合手段(Fm)を兼ねることを特徴とするプロジェクタ。
【背景技術】
【0002】
例えば、DLP(TM)プロジェクタや液晶プロジェクタのような画像表示用のプロジェクタや、フォトマスク露光装置においては、これまで、キセノンランプや超高圧水銀ランプなどの高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使用されてきた。
一例として、
図17にプロジェクタの原理図を示す(参考:特開2004−252112号など)。
【0003】
前記したように、高輝度放電ランプ等からなる光源(SjA)からの光は、凹面反射鏡やレンズ等からなる集光手段(図示を省略)の助けを借りるなどして、光均一化手段(FmA)の入射端(PmiA)に入力され、射出端(PmoA)から出力される。
ここで、前記光均一化手段(FmA)として、例えば、光ガイドを使うことができ、これは、ロッドインテグレータ、ライトトンネルなどの名称でも呼ばれており、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる角柱によって構成され、前記入射端(PmiA)に入力された光は、光ファイバと同じ原理に従って、前記光均一化手段(FmA)の側面で全反射を繰り返しながら、前記光均一化手段(FmA)の中を伝播することにより、仮に前記入射端(PmiA)に入力された光の分布にムラがあったとしても、前記射出端(PmoA)上の照度が十分に均一化されるように機能する。
【0004】
なお、いま述べた光ガイドに関しては、前記した、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる角柱によって構成されるものの他に、中空の角筒で、その内面が反射鏡になっており、同様に内面で反射を繰り返しながら光を伝播させ、同様の機能を果たすものもある。
【0005】
前記射出端(PmoA)の四角形の像が、2次元光振幅変調素子(DmjA)上に結像されるよう、照明レンズ(Ej1A)を配置することにより、前記射出端(PmoA)から出力された光によって前記2次元光振幅変調素子(DmjA)が照明される。ただし、
図17においては、前記照明レンズ(Ej1A)と前記2次元光振幅変調素子(DmjA)との間にミラー(MjA)を配置してある。そして前記2次元光振幅変調素子(DmjA)は、映像信号に従って、画素毎に光を投影レンズ(Ej2A)に入射される方向に向かわせる、あるいは入射されない方向に向かわせるように変調することにより、スクリーン(Tj)上に画像を表示する。
【0006】
なお、前記したような2次元光振幅変調素子は、ライトバルブと呼ばれることもあり、
図17の光学系の場合は、前記2次元光振幅変調素子(DmjA)として、一般にDMD(TM)(ディジタル・マイクロミラー・デバイス)が使われることが多い。
【0007】
光均一化手段に関しては、前記した光ガイドの他に、フライアイインテグレータという名称で呼ばれるものもあり、この光均一化手段を使ったプロジェクタについて、一例として、
図18に原理図を示す(参考:特開2001−142141号など)。
【0008】
高輝度放電ランプ等からなる光源(SjB)からの光は、凹面反射鏡やレンズ等からなるコリメータ手段(図示を省略)の助けを借りるなどして、略平行光束として、フライアイインテグレータによる光均一化手段(FmB)の入射端(PmiB)に入力され、射出端(PmoB)から出力される。ここで、前記光均一化手段(FmB)は、入射側の前段フライアイレンズ(F1B)と射出側の後段フライアイレンズ(F2B)と照明レンズ(Ej1B)の組合せで構成される。前記前段フライアイレンズ(F1B)、前記後段フライアイレンズ(F2B)ともに、同一焦点距離、同一形状の四角形のレンズを、縦横それぞれに多数並べたものとして形成されている。
【0009】
前記前段フライアイレンズ(F1B)の各レンズと、それぞれの後段にある、前記後段フライアイレンズ(F2B)の対応するレンズとは、ケーラー照明と呼ばれる光学系を構成しており、したがって、ケーラー照明光学系が縦横に多数並んでいることになる。一般にケーラー照明光学系とは、2枚のレンズから構成され、前段レンズが光を集めて対象面を照明するに際し、前段レンズは、対象面に光源像を結像するのではなく、後段レンズ中央の面上に光源像を結像し、後段レンズが前段レンズの外形の四角形を対象面(照明したい面)に結像するよう配置することにより、対象面を均一に照明するものである。後段レンズの働きは、もしこれが無い場合は、光源が完全な点光源でなく有限の大きさを持つとき、その大きさに依存して対象面の四角形の周囲部の照度が落ちる現象を防ぐためで、後段レンズによって、光源の大きさに依存せずに、対象面の四角形の周囲部まで均一な照度にすることができる。
【0010】
ここで、
図18の光学系の場合、前記光均一化手段(FmB)には略平行光束が入力されることを基本としているため、前記前段フライアイレンズ(F1B)と前記後段フライアイレンズ(F2B)との間隔は、それらの焦点距離に等しくなるように配置され、よってケーラー照明光学系としての均一照明の対象面の像は無限遠に生成される。
ただし、前記後段フライアイレンズ(F2B)の後段には、前記照明レンズ(Ej1B)を配置してあるため、対象面は、無限遠から前記照明レンズ(Ej1B)の焦点面上に引き寄せられる。縦横に多数並んでいるケーラー照明光学系は、入射光軸(ZiB)に平行であり、それぞれの中心軸に対して略軸対称に光束が入力されるため、出力光束も略軸対称であるから、レンズ面に同じ角度で入射した光線は、レンズ面上の入射位置によらず、焦点面上の同じ点に向かうよう屈折される、というレンズの性質、即ちレンズのフーリエ変換作用により、全てのケーラー照明光学系の出力は、前記照明レンズ(Ej1B)の焦点面上の同じ対象面に結像される。
【0011】
その結果、前記前段フライアイレンズ(F1B)の各レンズ面での照度分布が全て重ね合わされ、よって、ケーラー照明光学系が1個の場合よりも照度分布がより均一となった、1個の合成四角形の像が、前記入射光軸(ZiB)上に形成されることになる。
前記合成四角形の像の位置に2次元光振幅変調素子(DmjB)を配置することにより、前記射出端(PmoB)から出力された光によって、照明対象である前記2次元光振幅変調素子(DmjB)が照明される。 ただし、照明に際しては、前記照明レンズ(Ej1B)と前記2次元光振幅変調素子(DmjB)との間に偏光ビームスプリッタ(MjB)を配置して、これにより光が前記2次元光振幅変調素子(DmjB)に向けて反射されるようにしてある。
そして前記2次元光振幅変調素子(DmjB)は、映像信号に従って、画素毎に光の偏光方向を90度回転させる、あるいは回転させないように変調して反射することにより、回転させられた光のみが、前記偏光ビームスプリッタ(MjB)を透過して投影レンズ(Ej3B)に入射され、スクリーン(Tj)上に画像を表示する。
【0012】
なお、
図18の光学系の場合、前記2次元光振幅変調素子(DmjA)として、一般にLCOS(TM)(シリコン液晶デバイス)が使われることが多い。このような液晶デバイスの場合、規定の偏光方向の光の成分しか有効に変調できないため、普通は、規定の偏光方向に平行な成分はそのまま透過させるが、規定の偏光方向に垂直な成分のみ偏光方向を90度回転させ、結果として全ての光を有効利用できるようにするための偏光整列機能素子(PcB)が、例えば前記後段フライアイレンズ(F2B)の後段に挿入される。
また、前記2次元光振幅変調素子(DmjB)には略平行光が入射されるよう、例えばその直前に、フィールドレンズ(Ej2B)が挿入される。
【0013】
なお、2次元光振幅変調素子に関しては、
図18に記載したような反射型のものの他に、透過型の液晶デバイス(LCD)も、それに適合する光学配置にして使用される(参考:特開平10−133303号など)。
【0014】
ところで、通常のプロジェクタでは、画像をカラー表示するために、例えば、前記光均一化手段の後段にカラーホイールなどの動的色フィルタを配置して、R・G・B(赤および緑、青)の色順次光束として前記2次元光振幅変調素子を照明し、時分割によってカラー表示を実現したり、あるいは、前記光均一化手段の後段にダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムを配置してR・G・Bの3原色に色分解した光で各色独立に設けた2次元光振幅変調素子を照明し、R・G・Bの3原色の変調光束の色合成を行うためのダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムを配置したりするが、複雑になることを避けるため、
図17、
図18においては省略してある。
【0015】
しかしながら、前記した高輝度放電ランプは、投入電力から光パワーへの変換効率が低い、すなわち発熱損が大きい、あるいは寿命が短い、などの欠点を有していた。これらの欠点を克服した代替光源として、近年、LEDや半導体レーザ等の固体光源が注目されている。このうち、LEDについては、放電ランプと比較して発熱損が小さく、また長寿命であるが、放射される光に関しては、放電ランプと同様に指向性が無いため、前記したプロジェクタや露光装置等の、特定の方向の光のみが利用可能な用途においては、光の利用効率が低いという問題があった。
【0016】
一方、半導体レーザについては、LEDと同様に、発熱損が小さく、長寿命である上に、指向性が高いため、前記したプロジェクタや露光装置等の、特定の方向の光のみが利用可能な用途においても、光の利用効率が高いという利点がある反面、スペックルが発生するという問題があった。
ここでスペックルとは、半導体レーザやその他のレーザの光、あるいは(高調波発生・光パラメトリック効果などのような非線形光学現象を利用して)レーザ光を波長変換するなどして生成した、コヒーレント光を投射した場合に不可避的に現れる、粒状・斑点状の模様であって、前記したプロジェクタのような鑑賞用の映像を生成する用途や、感光性材料からなる被膜にフォトマスクのパターンを精密に露光する用途においては、画質を著しく劣化させる、非常に厄介な現象であるため、改善のための工夫が、古くから多く提案されて来た。
【0017】
例えば、特開昭59−024823号公報には、レーザ光を集光したレーザビームを光ファイバの入力端面に入力する光路中に、光ファイバの入力端面とレーザ光ビームとの相対関係を時間的に変化させる光学的素子を存在させる、光ファイバの出力光のスペックルの影響消去装置が記載されている。
該公報には、光ファイバの入力端面とレーザ光ビームとの相対関係を時間的に変化させる一つの形態として、光ファイバの入力端面上において、レーザ光ビームを集光するスポットの位置を、所定範囲内で振動的に変化させることを例示しており、超音波回折素子や偏向ミラー(ガルバノメータ)、振動ミラー、回転非平行ガラス板を用いた、具体的な光学系構成の実施例が挙げられている。
【0018】
前記公報には、さらに、光ファイバの入力端面とレーザ光ビームとの相対関係を時間的に変化させる他の形態として、光ファイバの入力端面上における、レーザ光ビームを集光するスポットの位置は変化させないが、集光するレーザ光ビームの中心軸の角度を所定範囲内で振動的に変化させることも例示しているが、具体的な光学系構成の実施例は挙げられていなかった。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に関する説明において、共役という用語に関しては、幾何光学分野における一般用語として、例えば、AとBとは共役である、と言うとき、少なくとも近軸理論に基づき、レンズ等の結像機能を有する光学素子の作用によってAがBに、またはBがAに結像されることを意味する。このとき、A,Bは像であって、孤立した点像が対象として含まれることは当然として、複数の点像からなる集合や、点像が連続的に分布した拡がりのある像も対象として含める。
【0032】
ここで、点像あるいは像点(すなわち像)とは、幾何光学分野における一般用語として、実際に光がその点から放射されているもの、光がその点に向かって収束して行ってスクリーンを置くと明るい点が映るもの、光がその点に向かって収束して行くように見える(が、その点は光学系の内部にあってスクリーンを置けない)もの、光がその点から放射されているように見える(が、その点は光学系の内部にあってスクリーンを置けない)もの、の何れをも含み、区別しないし、このとき、結像における収差やピント外れ等によってボケが生じ、理想的な点や回折限界像でなくなる現象は無視する。
【0033】
また、光放射領域とは、光を発している、または光が照射されている空間や面で、前記した像を含む場合もあり、同様に、実際に光がその領域から放射されているもの、光がその領域に向かって収束して行ってスクリーンを置くと明るい領域が映るもの、光がその領域に向かって収束して行くように見える(が、その領域は光学系の内部にあってスクリーンを置けない)もの、光がその領域から放射されているように見える(が、その領域は光学系の内部にあってスクリーンを置けない)もの、の何れをも含み、区別しない。
さらに、放射点とは、光放射領域を構成する像点、もしくは実質的に回折限界近くまで収束可能な小さい光放射領域を指す。
【0034】
先ず、本発明のコヒーレント光源装置を簡略化して示すブロック図である
図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
図1において、例えばコヒーレント光源(Sc)が、半導体レーザである場合、その半導体レーザパッケージの内部に収納された、半導体チップの表面に存在する発散光の放射部は、実質的に点光源として扱うことができ、これを第1光放射領域(Gs)とすることができる。
【0035】
レンズ等からなる第1光学系(Eu)は、前記第1光放射領域(Gs)からの光束(Bs)の入力を受けて、前記第1光放射領域(Gs)に対する投影領域として、後段の光偏向手段(Md)の偏向点近傍に、第2光放射領域(Gu)を形成するように配置される。
すなわち前記光偏向手段(Md)は、前記第2光放射領域(Gu)の近傍にある偏向点において前記第2光放射領域(Gu)の形成にかかわる光束(Bu)を偏向する。
【0036】
レンズ等からなる第2光学系(Ef)は、前記光偏向手段(Md)によって偏向された光束(Bd)の入力を受けて、前記第2光放射領域(Gu)に共役な像として、後段の光混合手段(Fm)の入射端(Pmi)の近傍に、第3光放射領域(Gf)を形成するよう設置される。
ただし、前記したように、前記第2光放射領域(Gu)と前記第3光放射領域(Gf)とが共役であるとは、前記第2光放射領域(Gu)の像を入力像とする、前記第2光学系(Ef)の結像機能による出力像として、前記第3光放射領域(Gf)が形成されることを意味する。
【0037】
そして、前記光混合手段(Fm)は、前記入射端(Pmi)より、前記第2光学系(Ef)からの光束(Bf)を入力され、前記光混合手段(Fm)の内部で入射光線の角度と位置の成分の混合が行われ、その射出端(Pmo)より光束(Bmo)が出力される。出力された前記光束(Bmo)には、入射光線の角度と位置の成分の混合によって多重の干渉が生じせしめられる結果、それが投射された被照明面のスペックルの粒状・斑点状の模様が細かくなり、視認し難くなるという性質が付与される。
【0038】
ところで、前記光偏向手段(Md)より前段にある光学系から出力される前記光束(Bu)によって形成される前記第2光放射領域(Gu)は、前記光偏向手段(Md)の偏向動作とは無関係に不動のものである。しかも、前記第2光放射領域(Gu)が前記光偏向手段(Md)の偏向点の近傍にあるため、前記光偏向手段(Md)によって偏向された前記光束(Bd)の起点たる光放射領域もほとんど不動になる。
そして、前記第2光放射領域(Gu)と前記第3光放射領域(Gf)とは共役であることにより、前記第3光放射領域(Gf)も、ほとんど不動のままになるため、前記光偏向手段(Md)の偏向動作が行われても、前記光束(Bf)は、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)に入射される状態が常に維持される。
【0039】
この様子は、
図2に模式的に表すようである。前記光束(Bf)が、矢印(d)で表す偏向動作によって光束(Bf’)となっても、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)上の前記第3光放射領域(Gf)は不動のままになる様子を示している。
【0040】
よって、前記光混合手段(Fm)の構造に依存して決まる、前記光混合手段(Fm)内を光が伝播できる条件に対し、偏向角によっては該条件を逸脱・超過するような光線が発生する、ということが許容限度を超えて起きないよう、前記光偏向手段(Md)の偏向角範囲を適当な値に設定することにより、前記光混合手段(Fm)の前記射出端(Pmo)から射出される前記光束(Bmo)の量が、前記光偏向手段(Md)の偏向角に依存しない、すなわち、明るさが一定になるようにすることができる。
【0041】
一方、前記光偏向手段(Md)は、前記光束(Bu)を偏向する方向を連続的に変化させる動作を継続することにより、前記入射端(Pmi)への入射光線の角度と位置の成分の混合の状態が連続的に変化することになるため、前記光混合手段(Fm)の前記射出端(Pmo)から射出される前記光束(Bmo)においては、スペックルは常に移動するため、その移動速度に見合う適当な期間内で平均すると、前記したスペックルの粒状・斑点状の模様が細かくなり、視認し難くなる効果と相乗して、スペックルは消滅して見えることになる。
【0042】
なお、前記した前記光偏向手段(Md)によって偏向された前記光束(Bd)の起点たる光放射領域もほとんど不動になる際の不動の程度は、前記第2光放射領域(Gu)が前記光偏向手段(Md)の偏向点の近傍にある際の近傍の程度に依存する。
また、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)における前記第3光放射領域(Gf)が、ほとんど不動になる際の不動の程度は、前記した前記光偏向手段(Md)によって偏向された前記光束(Bd)の起点たる光放射領域もほとんど不動になる際の不動の程度と、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)の近傍に、前記第3光放射領域(Gf)が形成される際の近傍の程度の両方に依存し、さらに前記第2光学系(Ef)の収差にも依存する。もし、前記第3光放射領域(Gf)の不動の程度が悪いと、前記入射端(Pmi)からはみ出したりして、光の利用効率が低下するため、これらの不動の程度は、この効率低下の許容量を超過しない範囲にする必要がある。
【0043】
ところで、前記光混合手段(Fm)としては、それに光を入射したとき、入射光線の角度と位置の成分の混合が行われて射出されるものであれば、様々なものを使うことが可能である。特に簡単なものとして、所定空間に光を閉じ込めて光を多重反射させながら導波する光ガイドを使うことができる。
【0044】
これは、先に
図17に関して述べたように、ロッドインテグレータ、ライトトンネルなどの名称でも呼ばれており、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる角柱によって構成され、前記入射端(Pmi)に入力された光は、光ファイバと同じ原理に従って、前記光混合手段(Fm)の側面で全反射を繰り返しながら、前記光混合手段(Fm)の中を伝播することにより、入射光線の角度と位置の成分の混合が行われる。
また、前記したように、いま述べた光ガイドに関しては、前記した、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる角柱によって構成されるものの他に、中空の角筒で、その内面が反射鏡になっており、同様に内面で反射を繰り返しながら光を伝播させ、同様の機能を果たすものも使うことができる。
【0045】
なお、このように所定空間に光を閉じ込めて光を多重反射させながら導波することにより、入射光線の角度と位置の成分の混合が行われる理由は、前記光混合手段(Fm)の全長に亘って多重反射を繰り返して光が伝播すると、もし前記射出端(Pmo)から覗いて見るならば、万華鏡の原理に従って、非常に多数の波源が見えるはずで、したがって、前記射出端(Pmo)には、非常に多数の波源からの光が到達し、射出して来る状態と等価となるからである。
【0046】
また、さらに前記光混合手段(Fm)として、先に
図18に関して述べたものと同様の、フライアイインテグレータを使うことができる。フライアイインテグレータを使うことによって入射光線の角度と位置の成分の混合が行われる理由は、前記したように、フライアイインテグレータにおいては、入射側のフライアイレンズ上に縦横に並んだ、それぞれのレンズ外形の四角形の像が、全て1個に重ね合わせられるため、前記した光ガイドの場合と同様に、万華鏡のような状態が現出され、照明対象には、非常に多数の波源からの光が同時に到達することになるからである。
【0047】
なお、前記光混合手段(Fm)としてフライアイインテグレータを使う場合は、その入射端(Pmi)の近傍に形成される前記第3光放射領域(Gf)は、前記入射端(Pmi)の全領域に亘って拡がった照明領域として形成されることが望ましい。その理由は、もし、前記第3光放射領域(Gf)が前記入射端(Pmi)のフライアイレンズの一部にしか入射されなければ、前記した、重ね合わせられるレンズ外形の四角形の像の枚数が減り、入射光線の角度と位置の成分の混合の作用が弱まるからである。
【0048】
一方、前記した、前記光混合手段(Fm)として光ガイドを使う場合においては、前記入射端(Pmi)の1箇所や複数箇所に集中する、例えば点像のような形態で光が入射されるものでも構わない。その理由は、その点像の結像拡がり角が適当であれば、光束は光ガイドを伝播する間に拡がって、射出端(Pmo)に達すると、入射光線の角度と位置の成分の混合が十分に行われるからである。
【0049】
先に例示した、コヒーレント光源(Sc)が、半導体レーザである場合において、もし半導体レーザが1個ならば、第1光放射領域(Gs)は、単に1個の点光源と考えればよく、通常は、それを光学系の光軸上に置き、また、半導体レーザからの発散光の発散方向分布の中心光線が光軸に一致する方向に向けて配置すればよい。しかし、半導体レーザが複数個あったり、有限の面積内に放射点が連続的に分布する光源の場合は、光学系の入射瞳や射出瞳、主光線について配慮した設計が必要になり、以下においては、このような状況について述べる。
【0050】
一般のカメラレンズを例にとると、通常は開口絞りがレンズの内部に存在するが、光が入る側からレンズを見ときに、レンズを通して見える開口絞りの像を入射瞳、光が出る側からレンズを見ときに、レンズを通して見える開口絞りの像を射出瞳、入射瞳の中心に向かう、または射出瞳の中心から出て来る子午光線を主光線と呼ぶ。また広義には、主光線以外の光線は周辺光線と呼ばれる。
ただし、レーザのような指向性を有する光を扱う光学系では、開口絞りによって光束を切り出す必要が無いために開口絞りが存在しない場合が多く、その場合は、光学系における光の存在形態によって、それらが定義される。
【0051】
通常は、放射点からの放射光束における、光の方向分布の中心光線を主光線とし、光学系に入射する主光線またはその延長線が光軸と交わる位置に入射瞳があり、光学系から射出する主光線またはその延長線が光軸と交わる位置に射出瞳があると考える。ただし、厳密な話をすると、このように定義した主光線と光軸とが、例えば調整誤差のために交わらず、ねじれの位置にあるに過ぎない場合も考えられる。しかし、このような現象は本質とは無関係であり、また議論しても不毛であるため、以下においては、このような現象は生じないと見なす、あるいは、主光線と光軸とが最接近する位置において交わっていると見なすことにする。
また、光学系のなかの隣接する2個の部分光学系AとBに注目し、Aの直後にBが隣接しているとしたとき、(Aの出力像がBの入力像となるのと同様に)Aの射出瞳はBの入射瞳となるし、そもそも光学系のなかに任意に定義した部分光学系の入射瞳・射出瞳は、(開口絞りが存在すれば全てそれの像であるし、存在しなくても)全て共役のはずであるから、特に区別が必要無ければ、入射瞳・射出瞳を単に瞳と呼ぶ。
【0052】
本発明の説明および図面においては、光学系の光軸をz軸と呼んでいるが、もし反射鏡によって光軸が折り曲げられた場合は、元のz軸に沿う光線が反射されて進む方向もz軸と呼び、新たな座標軸を取ることはしない。ただし、前記光偏向手段(Md)に関しては、偏向前のz軸に沿う光線が、偏向されて進む方向(後述するzf軸)の分布の中心を偏向後のz軸とする。なお、
図3などの図面において、z軸に垂直な軸として、便宜上x軸およびy軸と表記している。
【0053】
本発明のコヒーレント光源装置の一部を簡略化して示す概念図である
図3および
図4、
図5を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
図3は、第1光放射領域(Gs)が、複数の、または分布する放射点(Ks,Ks’,…)から構成されている場合の様子を示している。
【0054】
前記放射点(Ks)に注目すると、最外周の周辺光線(Lms1,Lms2)により示されているように、底面(Ci)により規定される円錐形角度領域内に前記放射点(Ks)を形成する光束が分布していることを示しており、この放射点からの光束に対する主光線(Lps)は、この光束分布の中心光線として定義している。一般論としては、前記主光線(Lps,Lps’,…)は光学系の光軸であるz軸に対して角度を有し、したがって、光軸と交わる点(Qs)に瞳が存在すると考える。なお、
図4に示したような、前記主光線(Lps,Lps’,…)が光学系の光軸に平行である場合は、瞳は無限遠にあると考える。
【0055】
図5は、前記第1光放射領域(Gs)の前記放射点(Ks,Ks’,…)を形成する光束が光学系に入射し、第1光学系(Eu)、光偏向手段(Md)を経て第2光学系(Ef)を通過すると、前記第1光放射領域(Gs)の空間では、例えば
図3に記載のような前記主光線(Lps,Lps’,…)であったものが、前記第2光学系(Ef)を通過後においては、互いに略平行な主光線(Lpf,Lpf’)となる様子を描いてある。
光学系としての光軸はz軸であるが、前記主光線(Lpf,Lpf’)はz軸とは平行ではなく、zf軸に対して平行になっている。zf軸は、前記光偏向手段(Md)よりも前段における光学系のz軸が、前記光偏向手段(Md)によって傾きを与えられ、それが前記第2光学系(Ef)によって投影されたものである。
【0056】
このように、前記主光線(Lpf,Lpf’)が互いに略平行になる光学系は、前記第2光学系(Ef)の入力側焦点と前記第2光学系(Ef)の入射瞳とが一致するように設計することにより実現することができる。そのためには、前記第1光放射領域(Gs)の空間における瞳の像が、前記第1光学系(Eu)によって射出瞳として投影される際に、前記したように、それが前記第2光学系(Ef)の入力側焦点と一致するように設計するとよい。
なお、設計に際しては、前記光偏向手段(Md)の偏向角が零である場合を基本とすればよい。
【0057】
先に
図1に関連して説明したように、前記第1光学系(Eu)によって前記第1光放射領域(Gs)を元に投影された前記第2光放射領域(Gu)に対し、前記第2光学系(Ef)は、これに共役な像として、光混合手段(Fm)の入射端(Pmi)の近傍に、第3光放射領域(Gf)を形成する。
一般的には、前記第3光放射領域(Gf)は前記第1光放射領域(Gs)と共役とは限らないが、
図5においては、前記第3光放射領域(Gf)が前記第1光放射領域(Gs)と共役である場合を描いてある。
そのため、前記第3光放射領域(Gf)を形成する放射点(Kf,Kf’,…)は、前記放射点(Ks,Ks’,…)と共役である。なお、これを実現するためには、前記第1光学系(Eu)が前記第1光放射領域(Gs)に共役な像として前記第2光放射領域(Gu)を形成するように構成すればよい。
【0058】
このように、前記第2光学系(Ef)を通過後において、前記主光線(Lpf,Lpf’)が互いに略平行となるようにすることは、前記した光混合手段(Fm)として光ガイドを使う場合に、特に好適である。その理由は以下に述べる通りである。
【0059】
この光混合手段(Fm)の前記入射端(PmiA)に入力された光は、光ファイバと同じ原理に従って、前記光均一化手段(FmA)の側面で全反射を繰り返しながら、前記光均一化手段(FmA)の中を伝播するものであるため、入射される光線が前記光混合手段(Fm)を損失無く伝播可能であるための、前記光混合手段(Fm)の中心軸と入射される光線の角度の限度が存在し、もしそれを超える角度の光を入射しても、全反射が起きないため、反射の度に光の一部が光ガイドから抜け出してしまう。さらに、例えばプロジェクタ等の光学装置においては、前記2次元光振幅変調素子(DmjA)や前記投影レンズ(Ej2A)など、光ガイド以外にも、光が有効利用できるための角度の制約がある。そのため、光束を光ガイドに入射する前に、全ての光線のうち、光ガイドおよびそれ以降の光学系によって規定される制約角度ΔΘを超える光線があるなら、可能な限り、それを超えないものに変換しておくことが有利であることが判る。
【0060】
図5を見れば判るように、前記第3光放射領域(Gf)の、それぞれの前記放射点(Kf,Kf’,…)を形成する光束には、前記主光線(Lpf,Lpf’)を中心として、その回りに周辺光線が取り巻いている。一般論として、周辺光線が分布して存在する円錐形角度領域の頂角を、全ての放射点(Kf,Kf’,…)に共通にΔθmとし、また、第3光放射領域(Gf)に含まれる、全ての放射点(Kf,Kf’,…)の主光線(Lpf,Lpf’)に関する分布についての円錐形角度領域の頂角をΔθpとすると(ただし
図5に記載の光学系ではΔθp=0である)、第3光放射領域(Gf)を形成する光束全体としての円錐形角度領域の頂角はΔθm+Δθpとなる。この頂角Δθm+Δθpが有する、前記した光ガイドおよびそれ以降の光学系によって規定される制約角度ΔΘに対する角度余裕ΔΦ=ΔΘ−Δθm−Δθpが、前記光偏向手段(Md)に許される偏向角度の最大値になる。
【0061】
本発明で達成しようとしているスペックルによって投射される光の均一性が劣化する問題の回避のためには、前記光偏向手段(Md)が現出する偏向角度は、大きいほど有利であることは明らかであるが、所与の条件であるΔΘや、エネルギー保存則に起因する制約、すなわちヘルムホルツ・ラグランジュの不変量(ホイゲンス・スミスの不変量、あるいはスミス・ヘルムホルツの不変量と呼ばれることもある)に関する定理に基づく制約を受けるΔθmは任意に設定できないため、前記した、主光線(Lpf,Lpf’)に関する分布についての円錐形角度領域の頂角Δθpのみが、設計によって自由に設定可能な、唯一のパラメータである。ここではΔθp=0としたことにより、前記光偏向手段(Md)に与えることのできる偏向角度の最大値を最大限にすることができる。
ただし、Δθp=0としても、前記した角度余裕ΔΦが負の場合は、偏向の導入に伴って光利用効率の低下が起こることになるが、それでも、Δθp=0とすることが最善であることに変わりは無い。よって主光線が、前記第2光学系(Ef)を通過後においては、互いに略平行となるようにすることが、スペックルによって投射される光の均一性が劣化する問題の回避のために有利であることが判る。
【0062】
本発明のコヒーレント光源装置の一部を簡略化して示す概念図である
図6を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
図6は、前記第1光放射領域(Gs)の前記放射点(Ks,Ks’,…)を形成する光束が光学系に入射し、第1光学系(Eu)、光偏向手段(Md)を経て第2光学系(Ef)を通過すると、前記第1光放射領域(Gs)の空間では、例えば
図3に記載のような前記主光線(Lps,Lps’,…)であったものが、第3光放射領域(Gf)の中心の近傍を通過する主光線(Lpf,Lpf’)となる様子を描いてある。
【0063】
光学系としての光軸はz軸であるが、一方、zf軸は、前記光偏向手段(Md)よりも前段における光学系のz軸が、前記光偏向手段(Md)によって傾きを与えられ、それが前記第2光学系(Ef)によって投影されたものである。なお、図が識別困難になることを避けるため、光混合手段(Fm)の記載は省略して、その入射端(Pmi)のみを描いてあり、また前記第3光放射領域(Gf)の大きさは、前記入射端(Pmi)をはみ出さない限りにおいて、可能な限り大きいとする。
【0064】
このように、前記主光線(Lpf,Lpf’)が前記第3光放射領域(Gf)の中心の近傍を通過する光学系は、前記第2光学系(Ef)の射出瞳が前記第3光放射領域(Gf)に出来るように設計することにより実現することができる。そのためには、前記第1光放射領域(Gs)の空間における瞳の像が、前記第1光学系(Eu)によって射出瞳として投影される際に、それが前記第3光放射領域(Gf)と共役な第2光放射領域(Gu)となるように設計するとよい。
なお、設計に際しては、前記光偏向手段(Md)の偏向角が零である場合を基本とすればよい。
【0065】
図6においては、一例として、前記第1光放射領域(Gs)の前記放射点(Ks,Ks’,…)に対応して、前記第2光学系(Ef)が結像する出力像は、無限遠もしくはそれに準ずる遠方の像であるように描いてある。なお、本図においては、出力像が、正の遠方の像であるように描いてあるが、負の遠方の像としてもよい。
このような、出力像点が遠方に位置する光学系を実現するには、前記第2光学系(Ef)の入力側焦点面近傍に前記第1光放射領域(Gs)の像が形成されるように設計すればよく、前記した前記第2光学系(Ef)の射出瞳が前記第3光放射領域(Gf)に出来るように設計することとの両立が可能である。
【0066】
このように、前記第2光学系(Ef)を通過後において、前記主光線(Lpf,Lpf’)が前記第3光放射領域(Gf)の中心の近傍を通過するようにすることは、前記した光混合手段(Fm)として、光ガイドを使う場合にももちろん適用可能であるが、フライアイインテグレータを使う場合に、特に好適である。その理由は以下に述べる通りである。
【0067】
前記したように前記光混合手段(Fm)としてフライアイインテグレータを使う場合は、その入射端(Pmi)の近傍に形成される前記第3光放射領域(Gf)は、前記入射端(Pmi)の全領域に亘って拡がった照明領域として形成されることが望ましいが、肝要な点は、その光束に含まれる光線の角度の分布範囲について、その上限たる制約角度が存在する点である。
この制約角度が生じる事情については、前記した、光ガイドを含むプロジェクタ等の光学装置において、制約角度ΔΘが生じる事情と類似しており、結論だけ述べれば、要するに、光学系によって規定される制約角度を超える光線があるなら、可能な限り、それを超えないものに変換しておくことが有利である。
【0068】
射出瞳は、主光線が前記第3光放射領域(Gf)の中心に集まっているため、光束を無駄無く入射端(Pmi)に入射するうえで、光軸上における最もコンパクトな位置と言える。光束が存在する空間において、光軸に垂直にスクリーンを立てておき、光軸に沿ってスクリーンを移動させると、光が当たっている領域の大きさは変化するが、その光束に含まれる光線の角度分布は不変であるから、光が当たっている領域の大きさが最もコンパクトな位置を選べばよく、その最も有力な候補として射出瞳を選ぶ。なお、第1光放射領域(Gs)に共役な箇所の近傍に、よりコンパクトな位置があるかも知れないが、前記した理由により、光混合手段(Fm)としてフライアイインテグレータを使う場合には、この位置は不適当である。
【0069】
コンパクトであるが故に、前記入射端(Pmi)の大きさに比較して、射出瞳、すなわち前記第3光放射領域(Gf)の大きさが小さ過ぎる場合は、共役関係にある前記第2光放射領域(Gu)から前記第3光放射領域(Gf)への結像の倍率を大きくして、前記入射端(Pmi)の大きさに適合させれば、前記したヘルムホルツ・ラグランジュの不変量に関する定理に従い、光束に含まれる光線の角度の分布範囲Δθが小さくなるため、この分布範囲を、前記した制約角度から差し引いた分、すなわち角度余裕ΔΦが増加するため、この増加した余裕角分を、前記光偏向手段(Md)に与えることのできる偏向角度の最大値の増加に振り向けることが可能となる。
【0070】
ただし、前記角度分布範囲Δθを最小にしても前記角度余裕ΔΦが負の場合は、偏向の導入に伴って光利用効率の低下が起こることになるが、それでも、Δθを最小にすることが最善であることに変わりは無い。よって主光線が、前記第2光学系(Ef)を通過後においては、第3光放射領域(Gf)の中心の近傍を通過するようにすることが、スペックルによって投射される光の均一性が劣化する問題の回避のために有利であることが判る。
【0071】
本発明のコヒーレント光源装置の一部を簡略化して示す概念図である
図7を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。 先に
図5に関して述べたように、前記第2光学系(Ef)を通過後においては、互いに略平行な主光線(Lpf,Lpf’)となる、すなわちΔθp=0となるようにすることにより、角度余裕ΔΦを大きくして、前記光偏向手段(Md)に許される偏向角度を大きくできるようにした。
このとき、周辺光線が分布して存在する円錐形角度領域の頂角であるΔθmは、任意に設定できないとして手を付けずに置いていたが、さらなる改善のためには、これをも小さくすることが有利である。
【0072】
第3光放射領域(Gf)と第1光放射領域(Gs)とは共役でなければならないことはないが、前記第3光放射領域(Gf)の空間では、前記主光線(Lpf,Lpf’)が略平行であるから、前記第3光放射領域(Gf)の光軸方向での位置は、前記第3光放射領域(Gf)と前記第1光放射領域(Gs)とが共役、もしくはそれに近い条件を選択するようにすることにより、前記第3光放射領域(Gf)の大きさを小さくすることができる。前記した議論と同様に、入射端(Pmi)の大きさに対し、前記第3光放射領域(Gf)の大きさが必要以上に小さいならば、前記第1光放射領域(Gs)から前記第3光放射領域(Gf)への倍率を大きく修正することにより、前記したヘルムホルツ・ラグランジュの不変量に関する定理に従い、Δθmを小さくすることができる。
【0073】
そしてこの倍率を最も大きくできる条件は、前記第2光学系(Ef)が形成する前記第3光放射領域(Gf)の形状が、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)の形状に適合して、前記入射端(Pmi)と前記第3光放射領域(Gf)とが、最低限必要な余裕を残した、略相似形となる条件であるから、そのような前記第3光放射領域(Gf)を実現できるように、前記第1光放射領域(Gs)における放射点(Ks,Ks’,…)を配置または分布させるようにすればよいことが判る。
【0074】
例えば、前記入射端(Pmi)の形状が横長の四角形であるならば、
図7のように、それに適合した、概ね相似形の前記第1光放射領域(Gs)を形作るように、前記放射点(Ks,Ks’,…)を配置することが有利となる。
【0075】
本発明のコヒーレント光源装置の一部を簡略化して示す概念図である
図8、
図9を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。前記したように、コヒーレント光源(Sc)が例えば半導体レーザである場合、半導体チップの表面に存在する発散光の放射部を第1光放射領域(Gs)とすることについて述べ、さらに、複数個の半導体レーザを使う場合に好適な本発明の形態について述べた。
このような、実際に光を発生させている1次光源だけでなく、1次光源からの光が伝送され、あるいは投影されるなどして光を放射する、2次光源を前記第1光放射領域(Gs)としてもよい。
【0076】
その一例として、前記第1光放射領域(Gs)を、コヒーレント光源(Sc)の光が入射端から入力される光ファイバ(Fb)の射出端(Pto)によって形成することができ、
図8に示すように、光ファイバの射出端側のコア全体が前記第1光放射領域(Gs)となる。
このとき、光ファイバが1本であっても、通常はそれを点光源として扱うことはできず、前記第1光放射領域(Gs)は、有限の面積内に放射点が連続的に分布する光放射領域と考えなければならない。すなわち、光ファイバのコアである射出端(Pto)には、概ね均一に放射点(Ks,Ks’,…)が連続的に分布しており、前記放射点(Ks,Ks’,…)のそれぞれからは、光ファイバの構造によって既定される、周辺光線が分布して存在する円錐形角度領域の頂角をもって光が放射される。
その際、主光線(Lps,Lps’,…)は、光ファイバの軸に平行になるため、この軸を光学系の光軸であるz軸と一致させればよく、先に
図4を用いて説明したものと同じ状況となる。
【0077】
図9に示すように、複数本の光ファイバ(Fb,Fb’,…)を使う場合は、全ての光ファイバの軸が光学系の光軸であるz軸と平行になるように、また全ての前記光ファイバ(Fb,Fb’,…)の射出端(Pto,Pto’,…)が一つの平面上に位置するように配置すればよい。この場合は、前記射出端(Pto,Pto’,…)の全体が形成する領域が、第1光放射領域(Gs)として機能することになる。その際、先に
図7を用いて説明したように、前記第2光学系(Ef)が形成する前記第3光放射領域(Gf)の形状が、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)の形状に適合するよう、前記第1光放射領域(Gs)における放射点(Ks,Ks’,…)の分布たる、前記射出端(Pto,Pto’,…)の配置を行うことが有利で、例えば、前記入射端(Pmi)の形状に概ね相似形の前記第1光放射領域(Gs)を形作るように、前記射出端(Pto,Pto’,…)を配置すればよい。
【0078】
なお、
図8、
図9は、光ファイバのコアのみを描いたものであり、クラッドや、(特に複数本の光ファイバの場合)射出端(Pto,Pto’,…)を所定の位置に保持するための構造物、およびケーブル被覆などは省略してある。
【0079】
本発明のコヒーレント光源装置に光ファイバを用いる利点として、光の発生箇所と利用箇所を分離してフレキシブルなケーブルで結ぶことにより、応用装置の配置において自由度が増したり、故障時の修理や部品交換が容易になるなどの点の他に、光ファイバ自体が、光混合手段としての機能を有している点を挙げることができる。すなわち、半導体レーザなどの、元々スペックルを含まない1次光源の光を、光ファイバを通すことで、細かいスペックルを有する2次光源に変換した上で、さらに前記光混合手段(Fm)を通す構造とすることにより、スペックルの粒状・斑点状の模様が細かくなり、視認し難くなる効果を高めることができる。
【0080】
前記したように、従来の高輝度放電ランプなど、何らかの光源を利用して画像を投影表示するプロジェクタにおいては、光ガイドやフライアイインテグレータなどの光均一化手段が必要不可欠の構成要素であるが、この光均一化手段は、前記したように、スペックルによって投射される光の均一性が劣化する問題の回避のために、本発明の構成要素である前記光混合手段(Fm)としても機能させることができる。したがって、本発明のコヒーレント光源装置を光源として利用して画像を投影表示するプロジェクタを実現する際は、光均一化手段が前記光混合手段(Fm)を兼ねるように構成することで、コストダウンが可能となる。
【0081】
前記したように、従来のプロジェクタでは、画像をカラー表示するために、例えば、前記光均一化手段の後段にカラーホイールなどの動的色フィルタを配置して、R・G・B(赤および緑、青)の色順次光束として前記2次元光振幅変調素子を照明し、時分割によってカラー表示を実現したり、あるいは、前記光均一化手段の後段にダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムを配置してR・G・Bの3原色に色分解した光で各色独立に設けた2次元光振幅変調素子を照明し、R・G・Bの3原色の変調光束の色合成を行うためのダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムを配置したりする。
【0082】
本発明のプロジェクタにおいても、必要な種類の色相の光源を必要とするが、例えばR・G・Bの3原色のコヒーレント光源を用いて、それらを色合成した白色の第1光放射領域(Gs)を形成し、前記したように第1光学系(Eu)、光偏向手段(Md)、第2光学系(Ef)を経て、光均一化手段たる光混合手段(Fm)に白色光を入射して、従来のプロジェクタと同様に、前記光混合手段(Fm)よりも後段において、動的色フィルタによる時分割処理、または色分解と色合成を行うようにすることができる。
【0083】
なお、
図9に記載したような、前記した光ファイバを用いるものの場合、色合成した第1光放射領域(Gs)の形成に際して、入射端において異なる色の光が入射された光ファイバの射出端(Pto,Pto’,…)を束ねることにより、前記第1光放射領域(Gs)が複数色の部分からなるものとすることができるし、あるいは、色毎に単色の第1光放射領域(Gs)を形成しておき、それらをダイクロイックミラー等の色合成手段を用いて重ね合わせて第1光学系(Eu)に光を送ることにより、結果的に色合成した前記第1光放射領域(Gs)を形成することもできる。 なお、前記第1光学系(Eu)側から前記色合成手段側を見れば、複数色を有する1個の第1光放射領域(Gs)が見え、光学分野では、この状態を指して、色合成した第1光放射領域(Gs)が形成されていると見なす。
【0084】
あるいは、色毎に独立に第1光放射領域(Gs)の形成、第1光学系(Eu)、光偏向手段(Md)、第2光学系(Ef)、光均一化手段たる光混合手段(Fm)を経て、2次元光振幅変調素子を照明して単色画像を生成し、これを色合成するようにしてもよい。
【0085】
あるいは、例えばR・G・Bの順に、時分割でコヒーレント光源を駆動することにより、色順次の第1光放射領域(Gs)を形成し、第1光学系(Eu)、光偏向手段(Md)、第2光学系(Ef)、光均一化手段たる光混合手段(Fm)を経て、2次元光振幅変調素子を照明することにより、色順次カラー画像を生成するようにしてもよい。
【0086】
以下において、本発明を実施するための形態について、より具体的な構成を示した図面を用いて説明する。先ず、
図10に記載のコヒーレント光源装置について説明する。1個または複数個の半導体レーザを光源とする半導体レーザ光源ユニット(Ls)における半導体チップの表面に存在する発散光の放射部を第1光放射領域(Gs)とする。 それを無限遠の像に変換するコリメータレンズ(Es)、および結像レンズ(Eu1)からなる第1光学系(Eu)は、前記第1光放射領域(Gs)に対する共役な像として、偏向用ミラー(Mdm)の上に第2光放射領域(Gu)を結像させる。
【0087】
なお、前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)が複数個の半導体レーザを光源とするものの場合、ここでは、前記第1光放射領域(Gs)からの全主光線が光軸に平行である場合を基本とするが、平行でない場合であっても、光軸上での像平面の位置、瞳位置を制御して設計することにより、同様の機能の光学系を実現することができる。
【0088】
前記偏向用ミラー(Mdm)は、例えば円形で、ミラー回転モータ(Mdd)の回転軸に取り付けられて回転させられるが、前記偏向用ミラー(Mdm)の反射面の法線ベクトルが、回転軸に対して所定角度だけ傾くように取り付ける。
このような構造とすることにより、前記ミラー回転モータ(Mdd)の回転に伴い、前記法線ベクトルの軌跡は円錐面を描くように揺動するため、前記偏向用ミラー(Mdm)は回転揺動ミラーとなり、光偏向手段(Md)として機能する。なお、前記した、反射面の法線ベクトルが回転軸に対して傾ける角度は、前記した角度余裕ΔΦに応じて決めればよい。
【0089】
前記光偏向手段(Md)によって偏向された光束(Bd)は、レンズ(Ef11,Ef12)、および最終のレンズ(Ef13)からなる第2光学系(Ef)に入射され、該第2光学系(Ef)は、前記偏向用ミラー(Mdm)上の前記第2光放射領域(Gu)に対する共役な像として、前記した光ガイドよりなる光混合手段(Fm)の入射端(Pmi)に、第3光放射領域(Gf)を結像させる。
このとき、先に
図5に関して説明したように、主光線が前記第2光学系(Ef)を通過後においては、互いに略平行になるようにすればよい。
【0090】
前記したように、出力光束の主光線が互いに略平行になる光学系は、前記第2光学系(Ef)の入力側焦点と前記第2光学系(Ef)の入射瞳とが一致するように設計することにより実現することができるが、これを
図10に即して、もっと判り易く言うと、前記最終のレンズ(Ef13)に注目して、その入力側焦点と入射瞳(Qf3)とを一致させればよいことになる。
そして、該入射瞳(Qf3)は、前記偏向用ミラー(Mdm)の偏向角が零である場合を基本として、前記コリメータレンズ(Es)の射出瞳(Qu)の共役像であり、前記した前記第1光放射領域(Gs)からの全主光線が光軸に平行である場合を考えるなら、前記射出瞳(Qu)は、前記コリメータレンズ(Es)の出力側焦点に一致する。
【0091】
以上のように構成したことにより、
図10のコヒーレント光源装置は、前記光偏向手段(Md)に与えることのできる偏向角度の最大値を最大限にすることができる。ただし、Δθp=0としても、前記した角度余裕ΔΦが負の場合は、偏向の導入に伴って光利用効率の低下が起こることになるが、それでも、Δθp=0とすることが最善であることに変わりは無い。よってスペックルによって投射される光の均一性が劣化する問題の回避のために有利である。
【0092】
次に、
図11に記載のコヒーレント光源装置について説明する。
図10に関連して述べたものと同様に、1個または複数個の半導体レーザを光源とする半導体レーザ光源ユニット(Ls)における半導体チップの表面に存在する発散光の放射部を第1光放射領域(Gs)とする。なお、前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)が複数個の半導体レーザを光源とするものの場合、ここでは、前記第1光放射領域(Gs)からの全主光線が光軸に平行である場合を基本とするが、平行でない場合であっても、光軸上での像平面の位置、瞳位置を制御して設計することにより、同様の機能の光学系を実現することができる。
【0093】
前記第1光放射領域(Gs)を無限遠の像に変換するコリメータレンズ(Es)、およびレンズ(Eu21,Eu22)からなる第1光学系(Eu)は、前記コリメータレンズ(Es)の射出瞳(Qu)(これは、前記第1光放射領域(Gs)からの全主光線が光軸に平行である場合は、前記コリメータレンズ(Es)の出力側焦点に一致する)に対する共役な像として、偏向用ミラー(Mdm)の上に第2光放射領域(Gu)を結像させる。
【0094】
なお、このとき、前記第1光放射領域(Gs)に共役な像は、
図11においては、前記第1光学系(Eu)から前記偏向用ミラー(Mdm)の間に存在する共役像(Nu)であるとして描いてあるが、これを前記レンズ(Eu21,Eu22)の間に位置させる設計も可能である。また、
図10に関連して述べたものと同様に、前記偏向用ミラー(Mdm)は光偏向手段(Md)として機能するものであり、例えば前記した回転揺動ミラーなどが好適である。
【0095】
前記光偏向手段(Md)によって偏向された光束(Bd)は、レンズ(Ef21)、最終のレンズ(Ef22)からなる第2光学系(Ef)に入射され、該第2光学系(Ef)は、前記偏向用ミラー(Mdm)上の前記第2光放射領域(Gu)に対する共役な像として、フライアイインテグレータよりなる光混合手段(Fm)の入射端(Pmi)に、第3光放射領域(Gf)を結像させる。
このとき、先に
図6に関して説明したように、前記第2光学系(Ef)が結像する出力像は、無限遠もしくはそれに準ずる遠方の像であるようすることが好適である。
【0096】
前記したように、出力像点が遠方に位置する光学系を実現するには、前記第2光学系(Ef)の入力側焦点面近傍に前記第1光放射領域(Gs)の像が形成されるように設計すればよいが、これを
図11に即して、もっと判り易く言うと、前記最終のレンズ(Ef13)に注目したとき、その入力側焦点面上に、前記第1光放射領域(Gs)の前記共役像(Nu)の共役像(Nf)が結像されるようにすればよいことになる。
【0097】
また、前記第3光放射領域(Gf)が前記コリメータレンズ(Es)の前記射出瞳(Qu)に共役な前記第2光放射領域(Gu)に共役であるから、前記第3光放射領域(Gf)は、前記最終のレンズ(Ef13)の射出瞳となればよいため、これは、前記最終のレンズ(Ef13)の出力側焦点面に位置せしめればよいことになる。
【0098】
よって、前記偏向用ミラー(Mdm)の偏向角が零である場合を基本として、前記共役像(Nf)の全ての主光線は、光軸であるz軸に平行であるようにすればよいため、前記第3光放射領域(Gf)が前記コリメータレンズ(Es)の前記射出瞳(Qu)に共役な前記第2光放射領域(Gu)は、前記レンズ(Ef21)の入力側焦点面に位置せしめればよいことになる。
【0099】
以上のように構成したことにより、
図11のコヒーレント光源装置は、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)に、射出瞳としての前記第3光放射領域(Gf)を形成するため、前記第3光放射領域(Gf)がコンパクトになり、また前記第3光放射領域(Gf)への結像の倍率を調整して、前記入射端(Pmi)の大きさに適合させれば、光束に含まれる光線の角度の分布範囲が小さくできるため、スペックルによって投射される光の均一性が劣化する問題の回避のために有利である。
【0100】
なお、
図11の光学系の構成方法については、このように若干複雑であるが、より直感的に判り易い例を挙げると、前記レンズ(Eu21,Eu22)が共焦点系を構成しており、前記共役像(Nu)は、前記レンズ(Eu21,Eu22)の間の共通の焦点面上に生成され、よって前記第1光学系(Eu)を通過後は、前記共役像(Nu)の共役像が無限遠になるようにし、また前記レンズ(Eu22)と前記レンズ(Ef21)とが共焦点系を構成し前記偏向用ミラー(Mdm)は、前記レンズ(Eu22)と前記レンズ(Ef21)との間の共通の焦点面上に位置し、さらに前記レンズ(Ef21)と前記最終のレンズ(Ef22)が共焦点系を構成しており、前記共役像(Nf)は、前記レンズ(Ef21)と前記最終のレンズ(Ef22)との間の共通の焦点面上に生成されるようにする構成を挙げることができ、当然、これも実現可能である。
【0101】
先に前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)に関し、複数の半導体レーザを含むものに言及したが、これの実現について簡単に述べる。
【0102】
サファイア等の窓を有する金属ケースに、1個の放射点を有する半導体レーザが収納された、ディスクリート型の半導体レーザ光源(Ds,Ds’,…)を、
図12に示すように必要個数並べ、それぞれにコリメータレンズ(Ec,Ec’,…)を付属させて配置することにより、各半導体レーザからの発散光を平行ビーム、すなわち無限遠像点に変換し、ビーム合成ミラー(MD,MD’,…)を用いて所望のビーム並び間隔を有するビーム列(Ba)を形成した後、ビーム本数に対応して並べて配置した発散レンズ(Ex,Ex’,…)によって、有限距離の放射点(Ks,Ks’,…)に変換すると、該放射点(Ks,Ks’,…)からの主光線(Lps,Lps’,…)は、互いに概ね平行になるから、先に
図4に示し説明した状況を実現することができる。
よって
図12の放射点(Ks,Ks’,…)は、
図10や
図11に記載の前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)として使用することが好適である。
【0103】
本発明のコヒーレント光源装置には、前記したディスクリート型の半導体レーザ光源の他に、
図13の(a)に概念図を示すような半導体レーザアレイデバイス(LDA)も適用可能である。該半導体レーザアレイデバイス(LDA)の端面には半導体レーザ活性領域(As,As’,…)が一列に並んでおり、それぞれの前記半導体レーザ活性領域(As,As’,…)から発散光が放射される。ディスクリート型であれ、アレイ型であれ、端面発行型の半導体レーザの放射光束の発散角は、回折現象の影響で大きくなり、また(半導体レーザの半導体チップの)基板面に垂直な方向の発散角は、周辺光線(Lms1A,Lms2A)に表されるように、特に大きい、すなわち、放射角度域を表す錐体の底面(CiA)が、円ではなく著しい楕円になるという特徴がある。
【0104】
この放射光束を平行ビームに変換するために、コリメータレンズが使われるが、発散角の大きい基板面に垂直な方向の成分に合わせて、焦点距離の短いものを使う必要がある。そのようなコリメータレンズを使っても、ディスクリート型の半導体レーザの場合は、ビームが扁平になることを厭わなければ、大きな問題は無いが、アレイ型の半導体レーザの場合、前記半導体レーザ活性領域(As,As’,…)の全ての放射光束を1個のコリメータレンズで平行ビームに変換しようとすると、焦点距離が短いが故に、前記半導体レーザ活性領域(As,As’,…)それぞれの主光線が、相互に大きな角度を持ってしまう問題が生じる。
【0105】
そのため、
図13の(b)に概念図を示すような放射角度補正レンズアレイ(Ey)を使うことができる。該放射角度補正レンズアレイ(Ey)は、前記半導体レーザ活性領域(As,As’,…)からの放射光束それぞれに対して、個別にコリメーションを行うもので、前記した基板面に垂直な方向の発散角が大きい問題を解決するため、前記放射角度補正レンズアレイ(Ey)の各屈折面は、球面ではなく、基板面に垂直な方向と平行な方向で曲率半径が異なる、例えばトーリック面に成型する。 これにより周辺光線(Lms1,Lms2)のように、基板面に並行な方向の発散角が減じられると共に、それ以上に基板面に垂直な方向の発散角が減じれられ、理想的には、基板面に並行・垂直な方向の発散角を同程度にされる。
【0106】
それぞれの半導体レーザ活性領域(As,As’,…)からの主光線(Lps)は互いに平行であるから、ビーム列はコンパクトであり、
図13に記載の前記放射角度補正レンズアレイ(Ey)付きの前記半導体レーザアレイデバイス(LDA)は、
図10や
図11に記載の前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)として使用することが好適である。
【0107】
なお、トーリック面を実現する代わりに、基板面に垂直な方向に曲率を有し、前記半導体レーザ活性領域(As,As’,…)に共通なシリンドリカルレンズと、基板面に並行な方向に曲率を有し、前記半導体レーザ活性領域(As,As’,…)のそれぞれに個別なシリンドリカルレンズの並びとを用意し、その組み合わせによっても、前記放射角度補正レンズアレイ(Ey)と同様の機能を実現することができる。
【0108】
また、前記した放射角度補正レンズアレイ(Ey)付きの半導体レーザアレイデバイス(LDA)を2個併用する場合の構成例を
図14の(a)に示す。半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’)からのビーム列は、ビーム合成ミラー(MA,MA’)を用いて一束のビームに合成される。その際、前記半導体レーザアレイデバイス(LDA)それぞれからの主光線(Lps,Lps’,…)は全て平行になるように配置することが好適である。
【0109】
前記半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’)は
図10や
図11に記載の前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)として使用することが好適であるが、これが形成する第1光放射領域(Gs)の様子は
図14の(b)に示すようになる。前記半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’)のそれぞれの半導体レーザ活性領域は、放射点(Ks,Ks’,…)を形成するが、これら放射点(Ks,Ks’,…)が形成する第1光放射領域(Gs)の形状は、先に
図7に関連して述べたように、前記第2光学系(Ef)が形成する前記第3光放射領域(Gf)の形状が、前記光混合手段(Fm)の前記入射端(Pmi)の形状に適合するよう、前記第1光放射領域(Gs)における放射点(Ks,Ks’,…)を配置または分布させることが有利である。
【0110】
図14の(a)および(b)に対応して、
図15の(a)および(b)に、さらに3個の半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’,LDA”)によって前記半導体レーザ光源ユニット(Ls)を構成する例を示す。前記半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’,LDA”)からのビームの太さや拡がり角に配慮して、ビーム合成ミラー(MA,MA’)がビームを部分的にも遮蔽しないように配置すれば、
図15や先の
図12に示した構成方法に従って、より多数個の半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’,LDA”)を使用することが可能である。
【0111】
なお、
図15の構成は、前記したR・G・Bの3原色のコヒーレント光源を用いて、それらを色合成した白色の第1光放射領域(Gs)を形成する場合や、その構成に基づいてR・G・Bの順に、時分割でコヒーレント光源を駆動することにより、色順次の第1光放射領域(Gs)を形成する場合に好適であり、前記半導体レーザアレイデバイス(LDA,LDA’,LDA”)のそれぞれをR・G・B各色に対応させて配置すればよい。
【0112】
前記した色毎に単色の第1光放射領域(Gs)を形成しておき、それらをダイクロイックミラー等の色合成手段を用いて重ね合わせて第1光学系(Eu)に光を送ることにより、結果的に色合成した前記第1光放射領域(Gs)を形成する場合の構成について、
図16を用いて説明する。この図の光学系は、先に
図10に関して説明したものに対し、第1光学系(Eu)の結像レンズ(Eu1)より前の部分を変更してある。
【0113】
R・G・B各色の半導体レーザ光源ユニット(LsR,LsG,LsB)における半導体チップの表面に存在する発散光の放射部を第1光放射領域(GsR,GsG,GsB)とし、それらをコリメータレンズ(EsR,EsG,EsB)で無限遠の像に変換した光束を、ミラー(HuR)およびダイクロイックミラー(HuG,HuB)を用いて色合成し、結像レンズ(Eu1)に入力するように構成してある。
前記結像レンズ(Eu1)およびそれより後段の光学系の働きは、
図10に記載のものと同様である。当然ながら、
図16に記載した結像レンズ(Eu1)より前の部分光学系は、
図11に記載のコヒーレント光源装置にも応用可能である。
【0114】
これまでの説明においては、
図10や
図11および
図16に記載のコヒーレント光源装置における第1光放射領域(Gs)および第1光放射領域(GsR,GsG,GsB)については、半導体レーザ光源ユニットによって形成されるものとしてきたが、これらを、
図8または
図9に記載した、コヒーレント光源(Sc)の光が入射端から入力される光ファイバ(Fb)の射出端(Pto)によって形成される第1光放射領域(Gs)に置き換えることが可能である。
【0115】
本明細書においては、前記光混合手段(Fm)として、光ガイドとフライアイインテグレータを挙げたが、前記したように、入射光線の角度と位置の成分の混合を行える素子であれば、他のものでも適用できる。その際、光利用効率を低下させないために、光軸に対する光線の角度が増加しない素子を選択することが有利である。例えば、拡散を利用するものは、スペックルの粒状・斑点状の模様が細かくなり、視認し難くなる働きは強いが、光線の角度分布を、角度の大きい側へシフトさせる性質も強いため、使用にあたっては注意を要する。
【0116】
また、光ガイドについては、前記したような、単純な四角柱形状のものだけでなく、例えば、z軸すなわち光軸に垂直な断面の四角形が、軸上を前方に移動するに従い回転するような、四角柱を軸回りにねじった形状のものとしたり、あるいは、射出端(Pmo)は四角形であるが、入射端(Pmi)は他の形状(例えば円形)であり、光軸に垂直な断面の四角形が、軸上を前方に移動するに従い、例えば円形から角数の大きい多角形を経て最終的に四角形なるなど、連続的に形を変化させる形状のものとしたりして、混合を強くして干渉性を高め、スペックルの粒状・斑点状の模様が細かくなり、視認し難くなる働きを高めることができる。
ただし、軸上を前方に移動するに従い、光軸に垂直な断面の断面積が減少する形状のものは、光が前方に伝播するに従って、側面での反射の度毎に、軸との角度が増加し、光線の角度分布を、角度の大きい側へシフトさせるため、注意を要する。
【0117】
前記した実施例においては、前記光偏向手段(Md)として、前記偏向用ミラー(Mdm)と前記ミラー回転モータ(Mdd)からなる回転揺動ミラーを用いる例を挙げたが、光束の角度を偏向できるものであれば、どのようなものでも適用可能である。
例えば、断面が楔型になっているガラス板を回転させる回転非平行ガラス板、像回転プリズム(ドーブプリズムや台形プリズムなどと呼ばれるものや、その屈折面を反射面に代えたプリズムなど)を軸回りに回転させる回転像回転プリズム、往復的に角度を偏向させる振動ミラー、ガルバノメータなどを使用することが可能である。これらのうち回転揺動ミラー、回転非平行ガラス板、回転像回転プリズムなどのような、光学素子を回転させるものは、往復的に角度を偏向させる構造のものに比べ、機械的な振動を小さくすることができるため、本発明の光偏向手段として好適である。
【0118】
また、これらは、光学素子の回転に伴い、偏向方向の軌跡は円錐面を描くように揺動するため、仮に、偏向によって、例えば光混合手段(Fm)またはその後段において光利用効率が低下する場合でも、偏向が無い場合の中心軸に対する偏向角度が一定であるため、偏向角度に依存して光利用効率が変動する現象が生じ難いという利点がある。 これに比し、往復的に角度を偏向させるものの場合は、機械的な振動が大きくなり易い上に、偏向中心では光利用効率が高く、偏向中心から外側に偏向角を増すに従い光利用効率が低下する、すなわち光利用効率が変動する現象が生じるという欠点が現れ易いため、注意を要する。
【0119】
レンズ設計分野において一般的に知られているように、1個のレンズからなる光学系を、それと同じ機能の、複数のレンズの組合せからなる光学系に構造変換したり、あるいは逆の構造変換をすることも可能であり、特に前者の構造変換は、対象光学系についての焦点距離は同じでも、入力側主点位置および出力側主点位置を好都合な位置に設定したり、アフォーカル系を導入したりすることにより、1個のレンズでは物理的に実現不可能な機能を実現させる、あるいは、レンズのパワーを複数のレンズに分散させることにより、収差を減少させる、などの目的で活用される。 前記した実施例においては、第1光学系(Eu)や第2光学系(Ef)を、複数枚の組合せレンズ系として構成するものを示したが、前記した構造変換を活用して、あるいは非球面レンズを使うなどしてレンズの枚数を増減し、性能あるいはコストを改善することができる。
【0120】
また、前記した構造変換の結果、例えば先に
図10に関して説明した前記入射瞳(Qf3)や、
図11に関して説明した前記共役像(Nu)あるいは前記共役像(Nf)などが、光学系の内部に存在するものとなって、スクリーンを置いて確認することが不可能なものとなる場合もあるが、それでも特段の不都合は無い。