特許第5984025号(P5984025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984025非接触自転車発電機、車両照明システムおよび自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984025
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】非接触自転車発電機、車両照明システムおよび自転車
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/06 20060101AFI20160823BHJP
   B62J 3/00 20060101ALI20160823BHJP
   B62L 1/06 20060101ALI20160823BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B62J6/06
   B62J3/00 C
   B62L1/06
   B60R21/00 630G
【請求項の数】22
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-517483(P2014-517483)
(86)(22)【出願日】2012年3月31日
(65)【公表番号】特表2014-524862(P2014-524862A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2012001431
(87)【国際公開番号】WO2013004320
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】202011102664.0
(32)【優先日】2011年7月1日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】202011107060.7
(32)【優先日】2011年10月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513325133
【氏名又は名称】シュトロスマン,ディルク
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シュトロスマン,ディルク
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/075284(WO,A2)
【文献】 特開2010−048347(JP,A)
【文献】 特開2007−230530(JP,A)
【文献】 特開2006−273300(JP,A)
【文献】 特開2005−329737(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/033700(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0156544(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/145663(WO,A1)
【文献】 特開昭53−040912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/06
B62L 1/06
H02K 21/12,49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車タイヤのリム1の横に設置される非接触自転車発電機であって、前記非接触自転車発電機は、少なくとも1つの磁石3を備えて前記リム1との磁気作用によって動く少なくとも1つの稼動式ロータ2と、前記ロータ2と共に動く前記磁石3によって電流が誘導される少なくとも1つのコイル巻線7を備え
前記ロータ2は前記リム1の側面部と間隔を置いて配置され、前記リム1と前記ロータ2の軸方向が互いに異なり、前記ロータ2は連続的な円形経路を形成する前記リム1の渦電流に基づいて磁場6a、6bを起こし、前記リム1と前記ロータ2の間の連続的な相対運動によって前記磁場6a、6bは方向が互いに反対であってさらに互いに方向が反対である渦電流が前記リムに誘導され、前記ロータ2がこのように形成された渦電流によって前記リム1と共に動きながら電流を生成することを特徴とする、自転車発電機。
【請求項2】
前記リムがアルミニウムやスチールを含んだ金属や、導電プラスチックからなることを特徴とする、請求項1に記載の自転車発電機。
【請求項3】
前記ロータ2が6つ以上の磁石3を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の自転車発電機。
【請求項4】
前記磁石3がロータ2の円周辺に沿って極が交互に位置するように配列されることを特徴とする、請求項3に記載の自転車発電機。
【請求項5】
前記ロータ2が回転することができ、前記磁石3はN−S極方向が回転軸を中心として放射状に配列されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自転車発電機。
【請求項6】
前記磁石5がキャリア2.1の円周辺に沿って等間隔に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の自転車発電機。
【請求項7】
2つのロータ2、2.5がリムの両側に互いに磁気力を補うように位置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の自転車発電機。
【請求項8】
前記コイル巻線がロータ2によって駆動する発電機の一部分であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自転車発電機。
【請求項9】
前記コイル巻線がロータ2を完全に囲み、コイル巻線とロータ2がすべてボックス6内に収容されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自転車発電機。
【請求項10】
前記コイル巻線が互いに角度をなし、コイル巻線がすべてロータを囲むことを特徴とする、請求項9に記載の自転車発電機。
【請求項11】
キャパシタやバッテリにエネルギーを貯蔵するようにすることにより、作動中には電気エネルギーを貯蔵しておきながら以後にこのエネルギーを放出することができることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の自転車発電機。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の自転車発電機と、コイル巻線7に連結した少なくとも1つのランプ10を含む自転車を含む、車両照明システム。
【請求項13】
前記ランプ10はコイル巻線7が入っているボックス6に固定されることを特徴とする、請求項12に記載の車両照明システム。
【請求項14】
前記ランプ10が2つであり、それぞれダイオードを含み、導電方向が互いに異なる別途の回路に配列され、コイル巻線7内のロータ2で誘導されたAC電流がランプに交互に供給されることを特徴とする、請求項12または13に記載の車両照明システム。
【請求項15】
コイル巻線7の電流を整流する整流器がコイル巻線7の下流に配置されることを特徴とする、請求項12または13に記載の車両照明システム。
【請求項16】
車両内部のロータのキャリアを動かすことによってロータ2とリム1の間隔を変えることができることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一項に記載の車両照明システム。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか一項に記載の車両照明システムを含むことを特徴とする、自転車。
【請求項18】
発電機が自転車のフォーク14に配置されることを特徴とする、請求項17に記載の自転車。
【請求項19】
発電機が自転車のブレーキに配置され、自転車を制動するときにロータ2とリム1が接近してコイル巻線7に誘導される電流が増加することによってランプの光出力が増幅することを特徴とする、請求項18に記載の自転車。
【請求項20】
発電機がブレーキシュー12のブレーキパッド13に設置されることを特徴とする、請求項19に記載の自転車。
【請求項21】
発電機がブレーキシュー12の表面や内部に設置されることを特徴とする、請求項19または20に記載の自転車。
【請求項22】
発電機がV−ブレーキやカンチレバーブレーキ(cantilever brake)のベースに付着することを特徴とする、請求項17に記載の自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車タイヤのリムに設置される非接触自転車発電機に関し、より詳しくは、少なくとも1つの磁石を備えてリムとの磁気作用によって動く少なくとも1つの稼動式ロータと、このロータと共に動く磁石によって電流が誘導される少なくとも1つのコイル巻線を備えた非接触自転車発電機に関し、この発電機はリムとロータの軸方向が互いに異なり、ロータは連続的な円形経路を形成するリムの渦電流に基づいて磁場を起こし、このような磁場は、リムとロータの間の連続的な相対運動によって方向が互いに反対であってさらに互いに方向が反対である渦電流がリムに誘導され、ロータがこのように形成された渦電流によってリムと共に動きながら電流を生成することを特徴とする。また、本発明は、このような発電機を備えた車両照明システムと自転車にも関する。
【背景技術】
【0002】
自転車ランプの発電機の種類は極めて多様である。例えば、タイヤの側面に沿って摩擦タイヤが回る側壁発電機やローラ発電機がある。このような種類の発電機の短所は、効率が低く、タイヤとの高い接触圧力によって制動効果が起こり、泥や水たまりや雪を通過するときに騒音が多く出る。
【0003】
これを解決するものとしてハブ発電機がある。
【0004】
ハブ発電機はタイヤのハブに直接設置され、大体はギアを備える。このような発電機は天気に大きく左右され、十分な電力は供給するものの、特にスポーツ用に問題となる重量が重いという問題があり、ハブを交換しなければアップグレードが不可能であるため費用が多くかかる。
【0005】
古典的な無接点発電機は、スポークに磁石や磁石リングを追加でつけて固定コイルに電圧を誘導する。このような発電機は無接点方式であるため騒音がなく、制動効果もほとんどない。適切な電力を供給しようとすれば、スポークに多くの磁石を手動で追加設置しなければならず、このためにスポーツ用には適さない。
【0006】
また、タイヤフォークやフレームに付着している要素内部の磁石が動き、(リムやスポークに)設置された磁石や金属が前記要素を経るときに磁気作用を引き起こす発電機も開発された。動くようになった磁石が隣接コイルに電流を誘導する。このような種類の発電機はすべて、タイヤに磁石や金属要素を追加で設置しなければならないという問題がある(例:WO2001/033,700A1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡単かつ低廉に製作できると同時に、タイヤに磁石や金属要素を追加で設置する必要がない自転車発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、リムとロータの軸方向が互いに異なり、ロータは連続的な円形経路を形成するリムの渦電流に基づいて磁場を起こし、このような磁場は、リムとロータの間の連続的な相対運動によって方向が互いに反対であってさらに互いに方向が反対である渦電流がリムに誘導され、ロータがこのように形成された渦電流によってリムと共に動きながら電流を生成することを特徴とする。
【0009】
これにより、本発明は、導電要素として歯車のようなタイヤリムを有し、このリムは、永久磁石や電磁石を備えたロータと磁気結合して短時間に磁化される。作動位置において、ロータとリムの間隔を小さくすれば、ロータの磁石による磁場によって回転運動する(金属製)リムに十分に大きな渦電流が誘導される。磁石を使用する場合、リムとの間隔を4mm以上に容易に維持することができる。
【0010】
常磁性体であるリムに誘導される渦電流によって臨時で生成された磁場は、2つの要素であるリムとロータの間の(渦電流ギアとしての)磁気ギアを起こすのに必要となる。リムの渦電流による加熱の影響は無視できる程度であり、これはリムが回転しながら冷却されるためである。
【0011】
渦電流によって生じる熱損失も無視できる程度であり、これは臨時磁気リングとの無接点電力送信の長所が遥かに大きいためである。
【0012】
本発明の装置は接触がないため静かである。磁気結合であるため摩擦がなく、雪、氷、埃、または雨によって生じる問題もない。ロータをボックスで容易に囲むことができるため、雪や泥などと関係なく完全な発電が可能となる。
【0013】
ロータは磁石を数個、具体的には6つ以上の磁石を有することが好ましい。このような磁石で生じた磁場は、リムの渦電流磁場とある程度の干渉をなすため、ロータの周りに対称で形成されることが好ましい。
【0014】
例えば、ロータはエネルギー蓄積機の力に逆らってピボットしたり動いたりできる。これに関し、ロータの磁場は最適の発電に有用となる。ロータは軸に対して回転するように設置され、回転軸に対して放射状にN/S極が配置されるように磁石を配列する。特に、回転軸に直角に配列された磁石のN−S方向は一致しなければならない。
【0015】
リムに最も近い磁石の磁束線が作動位置でリムを浸透しながらリムに渦電流を誘導する。このような渦電流が磁場を起こし、このような磁場はタイヤの回転方向に向かいながら磁石を引き寄せるため、リムの回転方向に磁石に力が作用して磁石リングの回転運動を起こす。
【0016】
ロータの隣接磁石の極性が反対である場合、磁場を誘導する渦電流の極性が互いに反対となって効果が補強される。その結果、リムの回転方向に前にある磁場がなくなり、リムとロータが渦電流ギアの歯車のように適切に結合する。
【0017】
自転車タイヤのリムがアルミニウムやスチールのような金属や導電プラスチックで形成されることが好ましい。連続的な円形経路を形成しながら一体でなるタイヤは多様な自転車に当然に存在するものであるため、本発明の装置を改善された自転車発電機として容易に使用することができる。本発明の装置は、コイルのケーブルに適切に連結される。
【0018】
磁場強度を750〜1100kA/m、好ましくは850〜1000kA/mで補強し、ネオジム永久磁石を使用することが好ましい。このような磁石は小さな大きさでも十分に強力である。例えば、辺の長さが2cm未満である小型の棒磁石を六角形の金属キャリアに配置すれば、ロータが合計6つの磁石を備える。ネオジウム磁石の辺の長さは20×10×5mm程度である。アルミニウムタイヤが回転するときに閉回路内で渦電流型磁場を起こして電圧と電流を生産しようとすれば、ロータの磁石リングをリムの側面部に近く、例えば4〜10mm間隔で配置することが好ましい。本発明の装置は、このような目的に合う締結具を有する。
【0019】
不連続的な金属要素や磁石の磁気引力による不連続的なトルクが起こる従来の技術に比べ、本発明によれば、磁石リングが回転するときに磁石リングとロータに連続的なトルクが加わる。また、トランスミッション要素として既存のタイヤリムを使用することによって電力生産性が高まり、簡単な構造でも極めて大きいトルクを起こすことができる。
【0020】
例えば、最大エネルギーが306kJ/mであって厚さが5mm(サイズ:20×10×5mm)であるネオジム永久磁石6つで構成された永久磁石リング2つをリムの両側に配置した状態でアルミニウムタイヤの速度が20km/hであれば、3Wの電力が生産される。タイヤの回転速度と、リムの回転軸から落ちた「仮想の」ロータの円周に対するリムの円周の比から磁石リングの回転速度が誘導される。磁場の強度、タイヤとの間隔、およびタイヤの回転速度に左右されるスリップ率によってロータの回転速度はさらに低くなることがある。
【0021】
金属からなるキャリアの円周辺に等間隔でロータの磁石を配列すれば、渦電流がさらに適切に形成される。
【0022】
本発明では、ロータによって駆動する発電機の一部に巻線を配置する。ロータが磁石を回転させながら電流を生産する。
【0023】
本発明では、ロータにコイル巻線が完全に巻かれ、特にコイル巻線とロータが1つのボックス内に密封されるという点において特に有利である。本発明の装置は、摩擦損失が少なく、従来の発電機に比べて効率が極めて高く、構造が簡単で小型である。特に、巻線が1つの導体に形成されるが、他の種類の巻線も使用することができる。導体の一部分を互いに角張った巻線で生成し、両巻線をすべてロータに巻くことができる。
【0024】
360度に巻かれた巻線は、回転軸に並んだ平面を形成する。本発明の装置は比較的小型であり、リムの近くに配置することができ、回転軸とコイル面がリムの平面にほぼ平行をなす。本発明は、自転車リムではなく、他の車のタイヤの導電円形部分にも適用することができる。
【0025】
本発明は、キャパシタやバッテリのようなエネルギー貯蔵器を含み、このため作動中に電気エネルギーを貯蔵しながら以後にこれを送ることができる。
【0026】
本発明のコイル巻線に照明手段を連結すれば、車両や自動車の照明システムを実現することができ、このような車両照明システムも、上述したり後述して説明する長所を有する。
【0027】
本発明の装置は、コイルを囲む装置のハウジング(ボックス)に照明手段を配置するときに特に小型化を実現してエネルギー効率を実現することができ、このとき、照明手段の電源は短いケーブルで実現することができるため損失が小さい。照明手段をハウジング(ボックス)に一体化したり、照明手段を多数の位置でキャリアを通じて装置に連結することができる。
【0028】
特に、発電機、電源、および光源からなる全体装置をボックスで完全に囲み、外部環境から完全に保護することができる。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つのダイオードを含む照明手段が2つであって導電方向が互いに異なる別途の回路に配列され、これらの回路に交互にAC w電流が供給され、この電流はロータによってコイル巻線に誘導される。回転するロータによってコイル巻線に誘導される交流電流は、前進方向に分離した2つの回路を提供するのに利用される。照明手段としてのダイオードが互いに反対方向を有するのが効果的である。
【0030】
AC電流の周波数はロータの回転速度に左右され、ロータの回転速度は回転することができる磁気ギアの2部分の割合によって左右される。円周長さ2mのタイヤと円周長さ6〜8cmの磁石リングの回転比を1:40とすれば、人間の目で感じることができる20Hzよりも極めて高いAC周波数を得ることができる。
【0031】
ロータの有効半径は、ロータとリムの間隔の他にも、ロータの円周の半径から求められる。周波数範囲は50〜150Hzが好ましい。この場合、回転する磁石リングとロータの変化する磁場によって十分なAC電圧が供給され、光を出すことができる。下流側に発電機を使用するときに生じる追加の摩擦損失も避けることができる。
【0032】
磁石を偶数個で配列し、磁石のN−S極をリムの回転軸に直交する軸線上におけば、高い効率を得ることができる。
【0033】
回路を2つではなく1つだけ利用することもできる。また、本発明の自動車両照明システムや装置は整流器を有することができ、この整流器はコイル巻線の下流に配置され、コイル巻線に生じた電流を整流する。本発明に係る車両照明システムはキャリアを備え、このキャリアを通じてロータとリムの間隔を調節することができる。このような間隔調節は、ロータのキャリアを動かすことでなされる。ロータとリムの間隔を調節して誘導電圧を変え、光出力を選択的に調節することができる。
【0034】
以上のような目的は、上述したり後述する車両照明システムを備えた自転車によって解決されることができる。
【0035】
本発明の装置を自転車に付着する方法は多様にある。発電機を自転車のフォークやブレーキに設置すれば、制動するときにリムにロータが接近することによってコイル巻線に誘導される電流が増加する。ロータをリムに接近させてロータの有効円周を減らせば、ギア比の変化に合わせてロータの回転速度が増加し、2つの回転要素であるリムとロータの間のスリップ率も低くなり、電力と光出力も高くなる。赤色ブレーキなどを自転車の後輪の光源として使用すれば、自転車の速度が遅くなるときにブレーキなどを点けることができる。
【0036】
本発明の発電機は、ブレーキシューのブレーキパッドに設置されることもできる。本発明の発電機はブレーキシューの表面や内部に位置し、ブレーキパッドを交換するときにもその位置を維持することができる。特にブレーキシュー内に配置すれば、制動するときの照明システムの作動に有利である。自転車はブレーキシューを備えており、ブレーキシューは本発明の発電ための核心部品であり、既存のブレーキ装置のブレーキシューを容易に代替することができる。また、本発明の発電機をV−ブレーキやカンチレバーブレーキ(cantilever brake)のベースに付着することもできる。
【0037】
一般的に、自転車のリムの両側にロータを配置し、コイル巻線に電流を誘導することもできる。このようにすれば、システムの結合を改善したりもする磁石を利用してリムに誘導される渦電流を補強することができる。誘導される渦電流とリムの磁場が高速回転で増幅し、高速回転でスリップ率も大きく減少する。
【0038】
本発明の装置を既存の自転車フォークのブレーキ部分に蹄鉄形態で付着することができ、2つのロータをリムの両側に配置すれば効果を補強することができる。蹄鉄形態は衝撃に強いため、タイヤの上に電球を頑丈に固定することができる。
【0039】
本発明の自転車に2つの対応照明システムを設置し、弱い磁石は後尾灯に使用する。
【0040】
制動動作中に作動する本発明の照明システムは、電気的に連結する前後ブレーキの両側の発電機を備えることができる。自転車がゆっくり加速するときとは異なり、ブレーキを踏んで生じた電流は急激に増幅して後尾灯回路に送られる。このため、比較器やトランジスタのような簡単なスィッチ回路を使用することができる。
【0041】
以上で説明した本発明は非接触であるため静かであり、耐久性に強く、摩擦が少ないため、エネルギー効率が高い電気供給が可能であると同時に追加の要素を設置する必要がないという点において、既存の自転車発電機に比べて遥かに有利である。本発明は、リムに直接触れないように小さな間隔を置いてリムの横に磁石リングを配置するため、既存の自転車発電機を容易に代替することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る発電機の斜視図である。
図2図1のロータの拡大図である。
図3】本発明の他の例の部分拡大図である。
図4図1の部分拡大図である。
図5】本発明の基本概念を示す斜視図である。
図6】本発明の他の例の斜視図である。
図7】本発明を自転車に適用した例を示す斜視図である。
図8】本発明に係る装置の一部分の斜視図である。
図9】本発明の装置の他の一部分の斜視図である。
図10】本発明の装置のさらに1つの一部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示すリム1はロータ2と結合する。このため、リム1の側面部1.1は円形経路をなす。リム1はアルミニウムのような導体である。ロータ2のキャリア2.1の円周辺に沿って多数の磁石が配列され、これについては後で詳しく説明する。キャリア2.1は軸2aに回転できるように設置される。リムが4a方向に回転すれば、磁石がついたロータ2は4b方向に回転する。渦電流マグネチックギアと作用するロータ2の外部をボックス6で完全に囲み、敏感な稼動部が外部に露出しないようにする。軸2aとリムの軸1aは直交する。
【0044】
ロータ2はリム1に対して磁場に基づいて渦電流を起こす位置にある。コイルと、コイルに誘導された電流で作動するランプは、説明の便宜上により図示しない。
【0045】
図2は、ボックス6を省略した状態の図1の部分斜視図である。ロータ2はリム1の側面部1.1と狭い間隔3.1を置いて分離する。ロータの磁石3のN極2bとS極2c(ハッチング線で表示)が交互に配列されており、タイヤやリムが4a方向に回転すれば、磁石がついたロータ2は4b方向に回転する。矢印5はリム1の側面部1.1に最も近い磁石3から始まる磁束線の方向である。
【0046】
図3の実施形態では、キャリア2.1の円周に沿って偶数個の磁石3が間隔を置いて配列されている。側面部1.1に直接作用する磁場は、磁石の間隔によって妨害されない。
【0047】
図4の実施形態では、リム1の側面部1.1に間隔を置いて並んでコイル巻線7が配置されている。ボックス6は軸2aを支持する役割をする。
【0048】
図5の実施形態では、リム1が横になってV1方向に動き、ロータ2についている磁石3は、N極とS極が互いに交互に配列されたまま間隔を置いて側面部1.1に対して接線方向に動く。リム1に最も近い磁石の磁場は、4a、4b方向にリムを浸透しながら互いに反対となる渦電流5a、5bを起こし、このような渦電流が磁場6a、6bを発生させる。リムの回転方向に前側に位置した磁場6aは磁石3を引き寄せ、後ろ側に位置した磁場6bは磁石3を押し出すため、V2方向の力が磁石3に加わる。このため、ロータ2がV3方向に回転する。隣接磁石の極性が反対であるため回転方向に反発したり引き寄せるため、このような運動が強まる。
【0049】
図6では、2つのロータ2、2.5が互いに磁気作用するように配列されている。ロータの2つの磁場が合わさって増幅した磁場の中央にリムが位置するため、リムとロータの間隔をさらに広げることができる。両側のロータは回転軸が平行で構造が同じであるものが理想的であり、特に直径と磁石の大きさと数が同じであるものが好ましい。コイル巻線7に誘導された電流を利用してランプ10を作動させる。
【0050】
図11の実施形態では、自転車11のランプ10をリム1の両側に配置された2つの装置で作動させる。光源はブレーキアームのブラケット15に配置されるが、ロータとコイル巻線を囲むボックス6はフォーク14に固定される。
【0051】
図8は、最適化されたロータの部分斜視図である。断面が六角形であるキャリア2.1の6辺に合計6つの棒磁石3を配置する。キャリアの円周辺に磁石が間隔を置いて配置されるため、磁束線が互いに干渉しない。キャリアの回転軸に直交する線上に配置された磁石対のN−S極方向が互いに同じであるため、コイル巻線に誘導された電圧が最大になる。
【0052】
磁石とコイル巻線の最小間隔は通常0.5mmである。図4のようなシングル巻線で直径0.5mmの銅線コイルを60回巻いてコイルの全体長さを約6mにすれば、20km/hの速度で0.4A−3Vの電流が生じる。すなわち、1.2Wの電力が生じ、制動電力は約2Wになる。制動電力は従来に比べて極めて低く、ほぼ無視できる程度である。これと同時に、エネルギー収率は極めて高い。高効率LEDを使用する場合、140ルーメン以上の光を出す電力を供給することができ、これはドイツの道路交通法の最小条件を何倍も超える値である。
【0053】
このような最小条件を越える発光条件の小型ランプに必要な磁気強度を、上述した実施形態よりもさらに弱い磁気強度を有する磁石を利用して求めることができ、具体的には磁気強度が860kA/m〜950kA/mであればよい。約600gの接着力を有し、大きさ10×10×1mmの直方体磁石を使用し、20km/hの速度で求めた0.1Aの電流と2Vの電圧は、上述した条件を十分に満たす。
【0054】
必要条件がさらに低い後尾灯の場合、5×4×1mmの大きさのネオジム磁石は350gの接着力を出し、適当なコイルを使用して0.5A−0.5Vを出すことができるため十分に使用することができる。このため、直径0.2mmまたは0.3mm程度の細いコイルも十分な効果を出すことができ、これはコイルの内部抵抗が大きくなってさらに高い電圧を得ることができるためである。
【0055】
ブレーキを作動させたときに後尾灯やヘッドライトに光が点灯するようにすることは、磁石システムのスリップ率とギア比による。ある程度までは、リム間隔が変わるときにロータの小さいほど加速度が大きくなる。例えば、半径4mmのロータでリム間隔が5mmから1mmに小さくなれば、ロータの有効半径は9mmから5mmに小さくなり、ロータの有効円周長さも56mmから31mmに小さくなることがある。このようになれば、回転速度と生産電流を約2倍にすることができる。しかし、半径15mmのロータを利用するヘッドライトの場合、ロータとリム間隔が5mmから1mmに減れば、有効半径は20mmから16mmに減る。したがって、この場合には、制動するときの変化率が著しく小さくなり、光の強度で小さな差が観察される。
【0056】
図9は、ロータが入っているボックス6だけが示された装置の斜視図である。このボックス6はブレーキシュー12に配置され、ブレーキシューはブレーキパッド13を支持する。上述したように、自転車ランプは制動するときに光を出す。
【0057】
図10図9の実施形態の変形例であって、ボックス6部分がブレーキシュー12の一部分の内部に配置される。
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