【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
(実施例1:リグノフェノール−セルロース複合体(LCC)の製造(1))
100Lのステンレス製ジャケット付撹拌タンクに、約83メッシュパスの気乾スギ木粉10kgを仕込み、約80Lのアセトンを添加して、さらに当該アセトンを複数回入れ替えて、脱脂を行った。次いで、当該スギ木粉に含まれるリグニン(C
9)含量を基準として3モル倍量のp−クレゾールを含有するアセトン溶液80Lを添加し、撹拌しながら3時間加熱してアセトンを蒸発除去した。続いて真空にし、残存アセトンの除去を行ない、スギ木粉にp−クレゾールを収着させた。その後、ステンレス製長バットに移し、ドラフト内で絶えず均一に撹拌しながら、アセトン溶媒を完全に留去して、クレゾール収着木粉を得た。
【0062】
図2に示す反応器20(ここで、使用した反応器20の各寸法は以下の通りであった:内径108mm、撹拌翼の翼半径54mm(すなわち、翼直径108mm)、直胴長さ501mm、軸径30mm、翼先端の櫛歯形状間の距離25mm、撹拌翼の翼数4)(関西化学機械製作株式会社製)の導入口20Eから1分間当たり10gの供給速度にて上記で得られたクレゾール収着木粉、および濃酸注入口21Aから1分間当たり40mLの供給速度で65%濃硫酸を添加し、撹拌翼20Cを1800rpmの回転数で回転させた。この際の撹拌翼20Cの翼周速度は12.96π(m/秒)であった。合計で50gのクレゾール収着木粉および200mLの濃硫酸を反応器20に添加した。
【0063】
また、反応器20の液出口20Gを、予めそれぞれ22.5cmのテフロン(登録商標)チューブの一端と接続し、他端を2000mLの脱イオン水を含有するステンレス製容器に浸漬した。本実施例において、クレゾール収着木粉および濃硫酸で構成される反応液は、撹拌翼20Cの回転を通じて反応器本体20A内を60秒間かけて通過し、そしてテフロン(登録商標)チューブ内を8秒間かけて通過し、その後、当該反応液を脱イオン水と接触させることにより、その反応をクエンチした。すなわち、クレゾール収着木粉および濃硫酸の添加から反応液が脱イオン水と接触するまでの時間は68秒間であった。また、クエンチした反応液を、クレゾール収着木粉および濃硫酸の添加(反応開始)から5分間が経過するまで撹拌し続けた。
【0064】
クエンチした反応液を、1Lの遠心ボトルに移し、20℃にて4200rpmで15分間遠心分離し、pHメーター(株式会社堀場製作所製LAQUAD−71)を用いてpHがより中性側にシフトしていることを確認した後、チューブポンプを用いて透明な上澄みを除去した。次いで、残存した沈殿物にさらに500mLの脱イオン水を添加し、手動で撹拌した後、上記と同様の条件で遠心分離を行った。この遠心分離から上澄みを除去するまでの操作を合計3回繰り返し、最終的に水不溶性画分を含む混合液を一旦1Lのプラスチック製容器に定量的に移した。
【0065】
次いで、上記で得られた混合液分を、2本の500mL遠心ボトルに移し、超遠心機(株式会社トミー精工製GRX220)を用いて、20℃にて4200rpmで15分間遠心分離した。透明な上澄みを除去し、水不溶性画分を含む混合液を撹拌した後、300mLの脱イオン水をボトルに添加した。この操作により得られた上済みを、pHメーターを用いてpHがより中性側にシフトしていることを確認した後、得られた混合液を手動で撹拌し、再び上記超遠心機を用いて同様に遠心分離を行った。以上の操作を、上澄みのpHが5以下になるまで繰り返し、最終的に水不溶性成分を含む混合液(100mL)に、80℃の温水(300mL)を添加し、20℃にて4200rpmで15分間遠心分離し、かつ透明な上澄みを除去する操作を2回行って、水不溶性画分を有するサンプル液(100mL)を得た。
【0066】
さらに、得られたサンプル液を凍結乾燥させ、メノウ乳鉢で微粉化し、これを略均等に2つのシャーレに入れ、それぞれ五酸化二リン上で2日間減圧乾燥することにより、複合体サンプルを得た。
【0067】
このようにして得られた複合体サンプルについて、それぞれ以下の評価試験を行った。
【0068】
(収率の算出)
得られた複合体サンプルを、秤量し、そして収率を算出した。収率は、上記クレゾール収着木粉の重量に基づく百分率、気乾木粉の重量に基づく百分率、絶乾(oven-dried)木粉の重量に基づく百分率、および上記サンプル液の重量に基づく百分率のそれぞれについて算出した。得られた結果を表1に示す。
【0069】
(含水率の測定)
上記で得られた複合体サンプル(気乾サンプル)0.1gを3つの秤量瓶にそれぞれ秤取し、105℃の恒温乾燥器で乾燥した後、質量を測定した。サンプルの質量が恒量となるまでこの操作を続け、最終的な質量を絶乾サンプルの質量とした。気乾サンプルの質量(Q
0)と、絶乾サンプルの質量(Q)とから、以下の式を用いて各サンプルの含水率(%)を算出し、得られた3つの値の平均値を、複合体サンプル(気乾サンプル)の含水率(%)とした:
【0070】
【数3】
【0071】
得られた結果を表1に示す。
【0072】
(熱重量分析:TGA)
上記で得られた複合体サンプルを105℃の恒温乾燥器で乾燥した後、当該サンプルの約5mgを、直径5mmのアルミニウムパンに入れ、表面を平滑にした。熱重量分析装置(セイコーインスツル株式会社製TG/DTA6200)を用い、300mL/分の窒素雰囲気下にて、50℃〜440℃の温度範囲で2℃/分の割合で加熱し、重量変化を測定した。なお、リファレンスにはアルミナを使用した。これにより、得られたTGA曲線に基づく複合体サンプルの5%重量減少温度および10%重量減少温度を算出した。複合体サンプルの5%重量減少温度は213.90℃であり、10%重量減少温度は279.10℃であった(表1)。
【0073】
(熱機械分析:TMA)
上記で得られた複合体サンプルを105℃の恒温乾燥器で乾燥した後、当該サンプルの約5mgを、直径5mmのアルミニウムパンに入れ、表面を平滑にして、その複合体サンプルの表面にアルミニウム板を配置した。熱機械分析装置(セイコーインスツル株式会社製TMA−SS)を用い、配置したアルミニウム板の上から石英ニードルで鉛直下向きに応力をかけ(プローブ圧:49mN)、150mL/分の窒素雰囲気下にて、50℃〜300℃の温度範囲で2℃/分の割合で加熱し、変異を測定した。得られたTMA曲線から複合体サンプルの流動開始温度を算出した。複合体サンプルの流動開始温度は158.50℃であった(表1)。
【0074】
(フーリエ変換赤外分光法:FT−IR)
臭化カリウムをメノウ乳鉢で微粉化し、これに上記で得られた複合体サンプルを混合し、さらに微粉化した。この混合物を成形器に入れ、減圧し、真空状態で約7000kgf/cm
2の圧力をかけ、ディスクを作製した。リファレンスとして臭化カリウムのみからなるディスクを作製した。フーリエ変換赤外分光分析装置(株式会社島津製作所製FT−IR8400)を用い、波数400cm
−1〜4000cm
−1、積算回数32回および分解能4cm
−1の条件下にて測定した。得られた結果を
図3に示す。
【0075】
図3が示すスペクトルによれば、上記で得られた複合体サンプルには、リグノフェノール誘導体特有のものが含まれていた。このことから、上記で得られた複合体サンプルには、その製造工程の間にリグノフェノール誘導体が適切に生成されかつ含有されていることがわかる。
【0076】
(実施例2:リグノフェノール−セルロース複合体(LCC)の製造(2))
図2に示す反応器20の濃酸注入口21Aから、65%濃硫酸の代わりに68%濃硫酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にしてクレゾール収着木粉と濃硫酸との反応を行い、複合体サンプルを得た。
【0077】
このようにして得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして収率および含水率の算出または測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0078】
また上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱重量分析(TGA)を行った。得られたTGA曲線から算出した複合体サンプルの5%重量減少温度は213.00℃であり、10%重量減少温度は276.20℃であった(表1)。
【0079】
さらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱機械分析(TMA)を行った。得られたTMA曲線から算出した複合体サンプルの流動開始温度は153.10℃であった(表1)。
【0080】
またさらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にしてフーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定を行った。得られた結果を
図3に示す。
図3が示すスペクトルによれば、上記で得られた複合体サンプルには、リグノフェノール誘導体特有のものが含まれていた。このことから、上記で得られた複合体サンプルには、その製造工程の間にリグノフェノール誘導体が適切に生成されかつ含有されていることがわかる。
【0081】
(実施例3:リグノフェノール−セルロース複合体(LCC)の製造(3))
図2に示す反応器20の濃酸注入口21Aから、65%濃硫酸の代わりに70%濃硫酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にしてクレゾール収着木粉と濃硫酸との反応を行い、複合体サンプルを得た。
【0082】
このようにして得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして収率および含水率の算出または測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0083】
また上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱重量分析(TGA)を行った。得られたTGA曲線から算出した複合体サンプルの5%重量減少温度は214.90℃であり、10%重量減少温度は273.90℃であった(表1)。
【0084】
さらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱機械分析(TMA)を行った。得られたTMA曲線から算出した複合体サンプルの流動開始温度は147.90℃であった(表1)。
【0085】
またさらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にしてフーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定を行った。得られた結果を
図3に示す。
図3が示すスペクトルによれば、上記で得られた複合体サンプルには、リグノフェノール誘導体特有のものが含まれていた。このことから、上記で得られた複合体サンプルには、その製造工程の間にリグノフェノール誘導体が適切に生成されかつ含有されていることがわかる。
【0086】
(実施例4:リグノフェノール−セルロース複合体(LCC)の製造(4))
まず、実施例1と同様にしてクレゾール収着木粉を得た。
【0087】
次いで、
図2に示す反応器20(ここで、使用した反応器20の各寸法は以下の通りであった:内径108mm、撹拌翼の翼半径54mm(すなわち、翼直径108mm)、直胴長さ501mm、軸径30mm、翼先端の櫛歯形状間の距離25mm、撹拌翼の翼数4)(関西化学機械製作株式会社製)の導入口20Eから1分間当たり10gの供給速度にて上記で得られたクレゾール収着木粉、および濃酸注入口21Aから1分間当たり40mLの供給速度で72%濃硫酸を添加し、撹拌翼20Cを1800rpmの回転数で回転させた。この際の撹拌翼20Cの翼周速度は12.96π(m/秒)であった。合計で50gのクレゾール収着木粉および200mLの濃硫酸を反応器20に添加した。
【0088】
また、反応器20の液出口20Gを、予めそれぞれ22.5cmのテフロン(登録商標)チューブの一端と接続し、他端を2000mLの脱イオン水を含有するステンレス製容器に浸漬した。本実施例において、クレゾール収着木粉および濃硫酸で構成される反応液は、撹拌翼20Cの回転を通じて反応器本体20A内を60秒間かけて通過し、そしてテフロン(登録商標)チューブ内を8秒間かけて通過し、その後、当該反応液を脱イオン水と接触させることにより、その反応をクエンチした。すなわち、クレゾール収着木粉および濃硫酸の添加から反応液が脱イオン水と接触するまでの時間は68秒間であった。また、クエンチした反応液を、クレゾール収着木粉および濃硫酸の添加(反応開始)から5分間が経過するまで撹拌し続けた。
【0089】
クエンチした反応液を、1Lの遠心ボトルに移し、20℃にて4200rpmで15分間遠心分離し、pHメーター(株式会社堀場製作所製LAQUAD−71)を用いてpHがより中性側にシフトしていることを確認した後、チューブポンプを用いて透明な上澄みを除去した。次いで、残存した沈殿物にさらに500mLの脱イオン水を添加し、手動で撹拌した後、上記と同様の条件で遠心分離を行った。この遠心分離から上澄みを除去するまでの操作を合計3回繰り返し、最終的に水不溶性画分を含む混合液を一旦1Lのプラスチック製容器に定量的に移した。
【0090】
次いで、上記で得られた混合液分を、2本の500mL遠心ボトルに移し、超遠心機((株式会社トミー精工製GRX220)を用いて、20℃にて4200rpmで15分間遠心分離した。透明な上澄みを除去し、水不溶性画分を含む混合液を撹拌した後、300mLの脱イオン水をボトルに添加した。この操作により得られた上澄みを、pHメーターを用いてpHがより中性側にシフトしていることを確認した後、得られた混合液を手動で撹拌し、再び上記超遠心機を用いて同様に遠心分離を行った。以上の操作を、上澄みのpHが5以下になるまで繰り返し、最終的に水不溶性成分を含む混合液(100mL)に、80℃の温水(300mL)を添加し、20℃にて4200rpmで15分間遠心分離し、かつ透明な上澄みを除去する操作を2回行って、水不溶性画分を有するサンプル液(100mL)を得た。
【0091】
さらに、得られたサンプル液を凍結乾燥させ、メノウ乳鉢で微粉化し、これを略均等に2つのシャーレに入れ、それぞれ五酸化二リン上で2日間減圧乾燥することにより、複合体サンプルを得た。
【0092】
このようにして得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして収率および含水率の算出または測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0093】
また上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱重量分析(TGA)を行った。得られたTGA曲線から算出した複合体サンプルの5%重量減少温度は211.70℃であり、10%重量減少温度は262.70℃であった(表1)。
【0094】
さらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱機械分析(TMA)を行った。得られたTMA曲線から算出した複合体サンプルの流動開始温度は164.40℃であった(表1)。
【0095】
またさらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にしてフーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定を行った。得られた結果を
図4に示す。
図4が示すスペクトルによれば、上記で得られた複合体サンプルには、リグノフェノール誘導体特有のものが含まれていた。このことから、上記で得られた複合体サンプルには、その製造工程の間にリグノフェノール誘導体が適切に生成されかつ含有されていることがわかる。
【0096】
(実施例5:リグノフェノール−セルロース複合体(LCC)の製造(5))
図2に示す反応器20の液出口20Gを、それぞれ22.5cmの代わりに73.0cmのテフロン(登録商標)チューブの一端と接続し、他端を2000mLの脱イオン水を含有するステンレス製容器に浸漬した(本実施例において、クレゾール収着木粉および濃硫酸で構成される反応液は、撹拌翼20Cの回転を通じて反応器本体20A内を60秒間かけて通過し、そしてテフロン(登録商標)チューブ内を35秒間かけて通過した。すなわち、クレゾール収着木粉および濃硫酸の添加から反応液が脱イオン水と接触するまでの時間は95秒間であった。)こと以外は、実施例4と同様にしてクレゾール収着木粉と濃硫酸との反応を行い、複合体サンプルを得た。
【0097】
このようにして得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして収率および含水率の算出または測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0098】
また上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱重量分析(TGA)を行った。得られたTGA曲線から算出した複合体サンプルの5%重量減少温度は202.10℃であり、10%重量減少温度は261.30℃であった(表1)。
【0099】
さらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱機械分析(TMA)を行った。得られたTMA曲線から算出した複合体サンプルの流動開始温度は159.30℃であった(表1)。
【0100】
またさらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にしてフーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定を行った。得られた結果を
図4に示す。
図4が示すスペクトルによれば、上記で得られた複合体サンプルには、リグノフェノール誘導体特有のものが含まれていた。このことから、上記で得られた複合体サンプルには、その製造工程の間にリグノフェノール誘導体が適切に生成されかつ含有されていることがわかる。
【0101】
(実施例6:リグノフェノール−セルロース複合体(LCC)の製造(6))
図2に示す反応器20の液出口20Gを、それぞれ22.5cmの代わりに124.0cmのテフロン(登録商標)チューブの一端と接続し、他端を2000mLの脱イオン水を含有するステンレス製容器に浸漬した(本実施例において、クレゾール収着木粉および濃硫酸で構成される反応液は、撹拌翼20Cの回転を通じて反応器本体20A内を60秒間かけて通過し、そしてテフロン(登録商標)チューブ内を63秒間かけて通過した。すなわち、クレゾール収着木粉および濃硫酸の添加から反応液が脱イオン水と接触するまでの時間は123秒間であった。)こと以外は、実施例4と同様にしてクレゾール収着木粉と濃硫酸との反応を行い、複合体サンプルを得た。
【0102】
このようにして得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして収率および含水率の算出または測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0103】
また上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱重量分析(TGA)を行った。得られたTGA曲線から算出した複合体サンプルの5%重量減少温度は212.70℃であり、10%重量減少温度は264.70℃であった(表1)。
【0104】
さらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にして熱機械分析(TMA)を行った。得られたTMA曲線から算出した複合体サンプルの流動開始温度は162.70℃であった(表1)。
【0105】
またさらに、上記で得られた複合体サンプルについて、実施例1と同様にしてフーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定を行った。得られた結果を
図4に示す。
図4が示すスペクトルによれば、上記で得られた複合体サンプルには、リグノフェノール誘導体特有のものが含まれていた。このことから、上記で得られた複合体サンプルには、その製造工程の間にリグノフェノール誘導体が適切に生成されかつ含有されていることがわかる。
【0106】
(比較例1)
国際公開第2010/047358号に記載の植物資源相分離系変換装置を用いて、気乾スギ木粉から、リグノフェノールを以下のようにして抽出した。
【0107】
100Lのステンレス製ジャケット付撹拌タンクに、約83メッシュパスの気乾スギ木粉10kgを仕込み、約80Lのアセトンを添加して、さらに当該アセトンを複数回入れ替えて、脱脂を行った。次いで、当該スギ木粉に含まれるリグニン(C
9)含量を基準として3モル倍量のp−クレゾールを含有するアセトン溶液80Lを添加し、撹拌しながら3時間加熱してアセトンを蒸発除去した。続いて真空にし、残存アセトンの除去を行ない、スギ木粉にp−クレゾールを収着させた。その後、ステンレス製長バットに移し、ドラフト内で絶えず均一に撹拌しながら、アセトン溶媒を完全に留去して、クレゾール収着木粉を得た。
【0108】
次に、植物資源相分離系変換装置の反応部に72%濃硫酸を40cc/分の流量で供給し、上記で得られたクレゾール収着木粉を10g/分の割合で供給した。当該植物資源相分離系変換装置において、反応部より溶出される処理液を第1の撹拌バッファ槽に導入し、撹拌しながら、第1の撹拌抽出部の下段へ送出した。処理液を第1の撹拌抽出部の最上段より回収し、第2撹拌バッファ槽へ送出した。この際、リグノフェノール抽出用のm,p−クレゾールを20cm
3/分の割合で供給した。なお、上記植物資源相分離系変換装置における反応器の各寸法は以下の通りであった:内径108mm、撹拌翼の翼半径54mm(すなわち、翼直径108mm)、直胴長さ501mm、軸径30mm、翼先端の櫛歯形状間の距離25mm、撹拌翼の翼数4。撹拌翼の回転数は1800rpmであり、この際の撹拌翼の翼周速度は12.96π(m/秒)であった。
【0109】
次いで、第2撹拌バッファ層から排出された液を、遠心分離機によりリグノフェノールを含むリグニン層と炭水化物を含む硫酸層とに分離した。上記濃硫酸の供給開始から当該分離にまで要した時間は、42分3秒であった。その後、リグニン層に含まれるリグニンをヘキサンで抽出除去し、得られた残渣からリグノフェノールを回収した。
【0110】
このようにして、気乾スギ木粉から、リグノフェノールで構成されるサンプルを得た。
【0111】
次いで、上記実施例1と同様にして、得られたサンプルの物性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1に示すように、実施例1〜6で得られた複合体サンプルは、比較例1で得られたものと比較して、5%重量減少温度および10%重量減少温度のいずれについても20℃以上または30℃以上もの高い値を示していた。流動開始温度についても、実施例1〜6で得られた複合体サンプルの結果は、比較例1で得られたものの結果を上回るものであった。このことから、実施例1〜6で得られた複合体サンプルは、比較例1で得られたもの(リグノフェノール)と比較して、特性が全く異なる別の物質であることがわかる。