【文献】
李 革,外6名,Method for classification of pearl color based on HIS model,Transactions of the CSAE,2008年 8月,Vol.24,No.8,p.284-287
【文献】
Teizo AIDA,Courses of Pearl Color Classification andFabrication of Pearl Color Sorting Systems,熊本大学工学部紀要,1989年11月,第34巻 第2号,p.147-160
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記評価値は、前記各領域における比率又は重み付けされた前記比率を統計的に処理し、その処理された値を合計した値である、ことを特徴とする請求項4に記載の真珠評価システム。
真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報により予め定められた系統判定基準に基づいて、前記真珠が複数の系統の内の何れの系統に属するかを判定する系統判定部と、
前記複数の系統に対応して予め定められた複数のグレード判定基準の内、前記判定された前記真珠の属する系統に対応する前記グレード判定基準に基づいて、前記判定された前記真珠のグレードを判定するグレード判定部と、
を備えた、ことを特徴とする真珠評価装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
宝石である真珠には様々な品質やグレードのものがあり、粗悪な真珠の流通に歯止めをかけるため、真珠の品質基準を明確化にする必要がある。宝石としての価値を鑑定する必要がある。宝石の鑑定では、ダイヤモンドの鑑定は国際的に統一基準が確立されているが、真珠の鑑定はそこまで達していないのが現状である。
【0009】
真珠の宝石としての鑑定は、色,傷,形,サイズ,輝き,巻き、てり等がある。特に、輝きの強さや、色の違いや、透明感、が重要な要素である。
【0010】
真珠の品質評価の基準を設定することが求められている。当然ながら、真珠の鑑定書は鑑定者が経験と勘を頼りに決定しているため、完全な科学的な根拠に基づいた鑑定とはいえず、評価結果に鑑定員の主観的要素が入り込む余地があった。また、熟練した鑑定員の数には限りがあるため、市場に大量に流通する真珠を鑑定するには限りがあった。
【0011】
真珠の輝きを、光沢度測定装置を用いて自動的に測定しようとする試みが従来からなされてきたが、従来装置による測定結果は、熟練した専門家の鑑定と一致していなかった。
【0012】
真珠の宝石としての評価は、輝きの強さ、干渉色、透明感などの要素によってなされるが、これらを総合して「てり」という言葉で表現される。すなわち、「てり」とは、干渉色あるいは光彩色とも呼ばれる、色成分と輝き成分から成るということができる。
【0013】
通常知られる光沢度の測定方法は、平面物体の光沢を対象としたものであり、市販されている光沢の測定装置としては金属の鏡面の光沢を測定する光沢計がある。しかるに、この種の光沢計は平坦な金属表面の正反射を測るために開発されており、真珠の「てり」を測るのに適しているとは言えない。また、真珠にX線、超音波を照射し巻きの厚さを判断するものも存在したが、「てり」との関係は記載されておらず、これも不十分であった。
【0014】
つまり、真珠貝によって様々な色があり、真珠ごとに微妙な色の違いを有するため、「てり」を充分に評価できる鑑定方法がなかった。
【0015】
上記特許文献1では、超音波を使用した、あくまでも真珠の構造上の分析である。構造物を正確に分析しても、真珠内部の干渉色を分析するのは不充分である。鑑定者が判断するのは、あくまでも人間の目に映る美しさであるため、あくまでも鑑定の判断を助けるものでしかない。
【0016】
また、上記特許文献2では、真珠の「光沢」について評価を行っている。カメラで真珠を撮影する際の「白とび」「黒とび」を解決する手段の提案している。また、統計学を使用し、「光沢」の数値化を実施している。研究としては優れたものであっても、真珠の鑑定者の観点とは異なる。例えば、0度から180度までの入手核毎に発現する干渉色を結晶層の厚さ毎に算出し、それらを大分類するとR系/RG系/G系の3種になるという系統別判断の観点は全く考慮されていない。
【0017】
また、上記特許文献3では、波長の異なる多くの光を真珠に照射し、その反射光から真珠の品質を判定している。この提案も真珠の構造上の分析であり、真珠特有の「てり」という観点の分析は考慮されているとは言い難い。
【0018】
即ち、これら従来の真珠評価方法では、熟練した専門家の鑑定結果と合致しない場合が多いという課題があった。
【0019】
本発明は、従来の真珠評価方法のこの様な課題を考慮して、真珠についての客観的な評価を行えるとともに、熟練した専門家の鑑定結果と、より良く合致する、真珠評価システム、真珠評価装置、真珠評価方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の本発明は、
真珠の画像データを取得する取得部と、
前記取得した前記真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報により予め定められた系統判定基準に基づいて、前記真珠が複数の系統の内の何れの系統に属するかを判定する系統判定部と、
前記複数の系統に対応して予め定められた複数のグレード判定基準の内、前記判定された前記真珠の属する系統に対応する前記グレード判定基準に基づいて、前記判定された前記真珠のグレードを判定するグレード判定部と、
を備えた、ことを特徴とする真珠評価システムである。
【0021】
また、第2の本発明は、
前記複数の系統は、赤系統のR系、赤と緑の混合系統のRG系、及び緑系統のG系であり、
前記画像データは、二次元画像データであって複数の領域に分割されており、
前記系統判定基準は、前記分割された領域の全部又は一部の領域毎に所定の色相の比率により決められた判定基準であり、
前記系統判定部は、前記分割された領域の全部又は一部の領域毎に所定の色相の比率を求め、その求めた色相の比率と前記領域とに基づいて、前記真珠が複数の系統の何れの系統に属するかを判定する、ことを特徴とする上記第1の本発明の真珠評価システムである。
【0022】
また、第3の本発明は、
前記取得部は、
照明で照射される前記真珠を前記照射方向に直交する方向から撮像された画像データから、背景画像データと前記真珠の画像データとを分離する背景分離部と、
前記分離された前記真珠の画像データを、前記照明が照射される側の前記真珠の半球の画像データと、前記照明が照射されない側の前記真珠の残りの半球の画像データとに分け、それぞれの前記半球の画像データにおいて中央部、中間部、及び周縁部の3つの領域に分割する画像データ分割部と、
を有することを特徴とする上記第2の本発明の真珠評価システムである。
【0023】
また、第4の本発明は、
前記複数のグレード判定基準のそれぞれは、
前記分割された領域毎に予め設定されている所定の色相の、前記各領域における比率又は重み付けされた前記比率に基づく評価値を利用した基準である、ことを特徴とする上記第2又は第3の本発明の真珠評価システムである。
【0024】
また、第5の本発明は、
前記比率は、前記領域において前記所定の色相が占める割合を百分率で表した値である、ことを特徴とする上記第4の本発明の真珠評価システムである。
【0025】
また、第6の本発明は、
前記評価値は、前記各領域における比率又は重み付けされた前記比率を統計的に処理し、その処理された値を合計した値である、ことを特徴とする上記第4の本発明の真珠評価システムである。
【0026】
また、第7の本発明は、
撮像装置により得られた前記真珠の画像データを、通信網を介して前記取得部に向けて送信する送信装置と、
前記送信装置から送信されてくる前記真珠の画像データを用いて、前記グレード判定部で判定された判定結果に基づいた前記真珠の評価内容を、前記通信網を介して前記送信装置側に向けて送信する評価側送信装置と、
を備えたことを特徴とする上記第1乃至第3の何れか一つの本発明の真珠評価システムである。
【0027】
また、第8の本発明は、
真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報により予め定められた系統判定基準に基づいて、前記真珠が複数の系統の内の何れの系統に属するかを判定する系統判定部と、
前記複数の系統に対応して予め定められた複数のグレード判定基準の内、前記判定された前記真珠の属する系統に対応する前記グレード判定基準に基づいて、前記判定された前記真珠のグレードを判定するグレード判定部と、
を備えた、ことを特徴とする真珠評価装置である。
【0028】
また、第9の本発明は、
真珠の画像データを取得し、
前記取得した前記真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報により予め定められた系統判定基準に基づいて、前記真珠が複数の系統の内の何れの系統に属するかを判定し、
前記複数の系統に対応して予め定められた複数のグレード判定基準の内、前記判定された前記真珠の属する系統に対応する前記グレード判定基準に基づいて、前記判定された前記真珠のグレードを判定する、
ことを特徴とする真珠評価方法である。
【0029】
また、第10の本発明は、
上記第9の本発明の真珠評価方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0030】
また、第11の本発明は、
上記第10の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
【0031】
尚、真珠の「てり」は品質を決定する大きな要素であるが、光の干渉の結果発現するものである。
【0032】
一方、本発明により、真珠の発現する色の違いにより、例えば、3つの系統に分類する必要があることが判明した。この3つの系統とは、赤系(R系)、赤緑系(RG系)、緑系(G系)の3系統である。これらは、真珠層の厚さ/光の入射角度の違いのために発生するものであり、もっとも真珠の分類をするのに適している。
【0033】
従来の評価方法は、真珠の構造上の分析、または色情報を使用しても色の発現領域については考慮されていなかった。真珠の重要な美しさのポイントは、光の干渉によってもたされた色のバリエーションにある。
【0034】
鑑定者の眼で、この真珠の「てり」を中心に鑑定されてきたのであるから、「てり」を忠実に評価できる方法でなければならい。似ているが新たな基準を設けることは、不適切な評価方法である。
【0035】
これに対して、本発明は、熟練した専門家の鑑定基準にそった方法である。
【0036】
本発明によれば、例えば、真珠の「てり」が表現されている真珠画像データが入手されると、どの系統に属するかの判断を実施する。色の発現領域が異なるために、まずは系統を判断しなければならない。この工程を実施しない鑑定手法は、色の発現箇所を重視しないことになるため、正確なグレード判別は実施できない。即ち、評価対象の真珠が、どの系統(種別)に属するのかを分類していない評価方法は、熟練した専門家の鑑定結果と異なるのは当然である。
【0037】
本発明では、例えば、R系/RG系/G系のどれに属するかを判定した後に、真珠のグレードを判別する。
【0038】
真珠層の厚さ/光の入射角度の違いにより発生する干渉色が異なっている結果、色が発現する領域が異なってくる。
【0039】
仮に、評価対象となる真珠が、R系/RG系/G系に何れに属するかを判定せずに、従来の様に、真珠のグレード判定を実施した場合、同じグレードの真珠を用いてネックレスを構成したとしても、系統の異なる真珠が混じっている可能性が高い。そのため、ネックレスとしての美しさは半減してしまう。また、系統の異なる真珠が混じっている場合、装飾品の色合いにも影響するのは当然であるため、間違ったデザインの商品が多く市場に出回っているのが現実である。
【0040】
本発明のグレード判定は、系統判定工程による判定がなされた後に実施されるため、系統毎に発現される色相/彩度/明度とその領域との関連性を使用するこができる。発現領域は系統によって大きく異なる。
【0041】
また、真珠を撮影する場合、真珠の特徴である「てり」、「干渉色」がよく発現されていることが必要となる。真珠は照射された光が真珠層内で反射光および透過光が干渉を起こし発色する。このとき真珠の固体ごとに光の干渉の度合が異なるために、画像の輝度が異なる。この輝度の違いが「てり」の強さとなる。また、干渉の仕方が真珠ごとに異なるために発現する干渉色が異なる。この状態を撮像した画像を、グレードの判別する画像として用いる。真珠の特徴を表現している画像を得るためには、照明用光源も設ける方がよく、真珠のてりの特徴である干渉色に加えててりの強度を観測することが可能となる。
【0042】
真珠の画像データから、巻き、きず、形状については比較的容易に判定が得られるものであり、遠隔地に画像を送って品質を判断することは従来から可能であった。しかしながら、その他の特徴、「てり」、「干渉色」の鑑定は画像により実施することは困難であったため、希望する顧客が鑑定の対象の実物の真珠を鑑定機関に送るかあるいは持ち込むかして鑑定を依頼し、その鑑定結果を鑑定書として受け取るのが実情である。
【0043】
一方、鑑定を依頼する真珠は、宝石としての価値が高いものが殆どであり、鑑定のための移動に際して盗難や紛失の危険が伴うために、鑑定対象となる真珠を移動させることは好ましくない。
【0044】
本発明の真珠評価方法を使用すれば、写真で鑑定が可能になったことにより、遠隔地であっても真珠を移動せずに鑑定結果が得られるために、盗難や紛失などの恐れがなく、かつ鑑定に要する時間を短縮することが可能な真珠の鑑定方法としても使用できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、真珠についての客観的な評価を行えるとともに、熟練した専門家の鑑定結果と、より良く合致する、真珠評価システム、真珠評価装置、真珠評価方法、プログラム、及び記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に図を参照しながら、本発明の真珠評価方法、真珠評価システム、真珠評価装置、プログラム、及び記録媒体の一例について説明する。
【0048】
(実施の形態1)
実施の形態1では、
図1〜
図15を用いて、本発明の真珠評価方法についての一実施の形態を説明する。
【0049】
ここではまず、主として
図1を参照しながら、真珠のグレードを判定する真珠評価方法の各工程を説明する。その後、主として
図5〜
図14を参照しながら、各工程における判定基準について具体的に説明する。
【0050】
本実施の形態の真珠評価方法では、真珠のグレード判定について、熟練した鑑定者が鑑定した結果と合致する様に、各工程における判定基準を設定している。
【0051】
これに対して、従来の真珠評価方法は、真珠の光学的、若しくは構造的な特徴を判定基準としているため、専門家の鑑定結果と似ているものはあったが、あくまでも参考にできる程度であった。
【0052】
従って、本実施の形態の真珠評価方法による、真珠の鑑定結果は、熟練した専門家による鑑定結果と極めて高い精度で合致させることが出来る。本実施の形態の真珠評価方法により、真珠の鑑定基準が規格化・統一化されるものと期待する。
【0053】
図1は、本実施の形態の真珠評価方法の各工程を説明するフロー図である。
【0054】
本実施の形態の真珠評価方法は、
図1に示す通り、真珠の画像データを取得する取得工程S10と、取得した真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報により予め定められた系統判定基準に基づいて、真珠が3つの系統(R系、RG系、G系)の内の何れの系統に属するかを判定する系統判定工程S11と、3つの系統に対応して予め定められた3つのグレード判定基準の内、判定された真珠の属する系統に対応するグレード判定基準に基づいて、系統判定工程S11により何れの系統に属するかが判定された真珠についてのグレードを判定するグレード判定工程S12−1、S12−2、S12−3と、グレード判定工程S12−1、S12−2、S12−3により判定された真珠のグレードに従って、鑑定書を作成する鑑定書作成工程S13とを備えている。
【0055】
尚、本実施の形態では、色彩に関する情報として、その主たる要素である色相、彩度、明度の内、色相の情報を用いているが、これに限らず例えば、色相の他に、彩度、若しくは明度の情報を加えても良い。
【0056】
即ち、本実施の形態の真珠評価方法では、評価対象となる真珠の画像データが入手されると(
図1の取得工程S10参照)、まず、その画像データを用いて、その真珠が3系統の内、何れの系統に属するかを判定する(
図1の系統判定工程S11参照)。
【0057】
同じ系統に属する真珠は、色(色相)の発現領域が同一である。そこで、系統判定基準(
図5〜
図7参照)を用いて、まず色(色相)の発現領域とその領域におけるその色(色相)の比率とを分析し、R系(赤系)/RG系(赤緑系)/G系(緑系)のどの系統に属するかを判定する。この系統判定工程S11を実施しない鑑定方法は、色(色相)の発現領域を重視しないことになるため、後述する、真珠のグレードを正確に判定することはできない。よって、熟練した専門家の鑑定結果と異なるのは当然である。
【0058】
尚、色相の発現領域に基づく、真珠の画像データの分割については、
図8、
図9を用いて、更に後述する。
【0059】
系統判定工程S11により、真珠が、R系/RG系/G系のどれに属するかを判定した後に、その系統に対応して用意されているグレード判定基準(
図10参照)を用いて、真珠のグレードを判定する。
【0060】
真珠層の厚さ/光の入射角度の違いにより、色(色相)が発現する領域が異なるため、最初に系統判定工程S11を実施することが重要となる。
【0061】
仮に、評価対象となる真珠がR系/RG系/G系の何れに属するかを判定せずに、従来の様に、真珠のグレード判定を実施した場合、同じグレードの真珠を用いてネックレスを構成したとしても、系統の異なる真珠が混じっている可能性が高い。そのため、ネックレスとしての美しさは半減してしまう。また、系統の異なる真珠が混じっている場合、装飾品の色合いにも影響することになり、間違ったデザインの商品が多く市場に出回っているのが現実である。
【0062】
本実施の形態の真珠評価方法におけるグレード判定工程S12−1、S12−2、S12−3は、系統判定工程S11による判定がなされた後に実施されるため、同じ系統に分類されたそれぞれの真珠の場合、同じ領域に同じような色相が発現している。尚、系統判定工程S11において、色相に加えて、彩度若しくは明度も用いている場合は、同じ領域に同じような、色相及び、彩度若しくは明度が発現している。
【0063】
従って、本実施の形態の真珠評価方法により、同じ系統であって、且つ、同じグレードの真珠を選別することが出来るので、高品質のネックレスが構成出来る。
【0064】
尚、発現する色相(及び、彩度若しくは明度)と、その色相(及び、彩度若しくは明度)の発現領域との関係は系統によって大きく異なる。従って、グレード判定基準は、R系、RG系、G系毎に設定されており、これについては、
図10等を用いて更に後述する。
【0065】
グレード判定工程S12−1、S12−2、S12−3が終了した後に、鑑定書の作成を実施する(
図1の鑑定書作成工程S13参照)。鑑定書の質を向上するため、または偽造を排除するため、鑑定に使用した画像及び情報をその後に容易に参照できるように、識別IDを付与してもよい。当然ではあるが、鑑定を実施した日時、顧客名により、識別することも可能である。
【0066】
次に、
図2〜
図4は、本実施の形態の真珠評価方法により、9つの真珠がそれぞれR系、RG系、G系に分類され、さらにそれぞれの系統別に3つのランク(ランクA〜ランクC)に分類されている例を示す図である。
【0067】
尚、これら9つの真珠については、熟練した鑑定者が、予め、自らの判断に基づいて、それぞれの真珠を系統別に分類した後、系統毎に、自らの判断に基づいて、グレードを判定して、その判定結果を得ている。一方、同じ9つの真珠に対して、本実施の形態の真珠評価方法を適用した場合の判定結果が、上記の鑑定者による判定結果と合致する様に、各工程における判定基準を決定した。
【0068】
熟練した鑑定者は、色、てりの強度により、真珠のグレードを判別する。
図2〜
図4は白黒で表されているので、これらの図面による判別は困難であるが、カラー写真によれば明確に色の違いが判別できる。カラー写真の場合、ランクAの真珠において、色のグラデーションが最も顕著に現れている。
【0069】
次に、
図5〜
図9を参照しながら、系統判定工程S11で用いる系統判定基準を中心に説明する。
【0070】
図5は、
図1に示した系統判定工程S11を更に具体的に示した図である。
【0071】
図6は、第1系統判定工程S21で用いる第1判定基準21a(
図5参照)により判別された、R系とR系以外(RG系とG系の真珠の集合)の真珠の所定領域における色相の分布図である。
【0072】
図7は、第2系統判定工程S22で用いる第2判定基準22a(
図5参照)により判別された、RG系とG系の真珠の所定領域における色相の分布図である。
【0073】
図8は、真珠の画像データを、上半球と下半球のそれぞれにおいて、周縁部、中間部、及び中央部の3つの領域に分割したことを示す説明図であり、
図9は、各領域の境界を示す図である。その境界は、真珠の中心からの距離を比率(%)で表した。ここでは、真珠の中心を0%として、中心から最外周面までの距離の比率を100%とした。
【0074】
尚、本実施の形態の真珠の画像データは、照明を評価対象の真珠の下方から当てて、その照明の照射方向に直交する方向からデジタルカメラで撮像することで取得した。従って、真珠の上半球は照明が照射されていない非照射半球であり、下半球は照明が照射されている照射半球となる。
【0075】
また、
図8に示す各領域は、デジタルカメラで撮影された真珠の二次元画像データから、画像処理技術により背景画像を真珠自体の画像から分離し、真珠の画像データのみを抽出して、
図9に示す範囲で分割することで得られる。また、
図8は、白黒で表されているので判別ができないが、カラー画像データの場合、顕著に色相の相違を判別できる。
【0076】
また、
図9について更に説明する。真珠は、ほぼ球と見なしても問題ない。変形したものも存在しているが、ここでは大半が球に近い事実を使い、球として説明する。
図9では、例えば、上半球の中央部とは、球の中心からの距離の比率が33%となる位置を上限とする領域として定義している。
【0077】
当然であるが、
図9に示した各領域は、いくつかの要素によって変更される場合がある。一番大きな要素は、照明方法である。一定の照明方法で真珠の画像を撮像することが重要である。また、カメラの位置も大きな要素の一つである。ただ、一定の撮影条件によって得られた画像に真珠の特徴である「てり」が発現していれば、領域を若干変更することで同じ結果が得られる。
【0078】
図5に戻り、系統判定工程S11を構成する第1系統判定工程S21、及び第2系統判定工程S22について説明する。
【0079】
尚、
図5に示す系統判定工程では、
図8、
図9に示した周縁部と中間部を合体した領域を第2周縁部とした。
【0080】
まず、第1系統判定工程S21において、画像データから分割された、下半球の中央部と上半球の中央部のそれぞれの領域のデータを用いて、R系に属する真珠10とR系以外(RG系とG系の真珠20、30の集合)の真珠とを分離する。
【0081】
R系の真珠10とR系以外の真珠20、30とを分離するための判定の基準は、上半球(非照射半球)中央部の色相の発現パターン、及び下半球(照射半球)中央部の色相の発現パターンとに大きな差があることに着目して設定した。
【0082】
具体的には、下記の(1)の条件に合致すれば、R系の真珠10であると判定し、合致しなければ、R系以外(RG系とG系の真珠20、30の集合)の真珠であると判定した。本実施の形態では、この判定基準を第1判定基準21aとして設定した(
図5参照)。
【0083】
(1)下半球の中央部において緑の比率が58%以上かつ、上半球の中央部において黄の比率が10%未満である。
【0084】
尚、ここでは、上述した通り、主に色の情報としては色相を用いているが、彩度/明度も有効な情報となる。
【0085】
図6に、第1判定基準21aにより判別された、R系とR系以外(RG系とG系の真珠の集合)の真珠の、上半球の中央部と下半球の中央部における色相の分布図を示す。ここで示されているように、R系とR系以外の間には、明らかに色相の分布に差異がある。下半球の中央部に緑色の色相が多くかつ、上半球の中央部に黄色の色相が少ない真珠はR系であると判断される。この境界線の位置は真珠の大きさ、産地、等で、若干修正されることもある。
【0086】
各領域における色相の比率Y(%)は、(式1)により算出する。
【0087】
(式1)
Y(%)={(各領域における所定の色相データを構成する画素の数)/(各領域の全画素数)}×100(%)
ここで、所定の色相データを構成する画素の数のカウントの仕方としては、例えば、緑の色相データを構成する画素をカウントする場合、黄味の入った緑から青味の入った緑というように所定の範囲に含まれるそれぞれの色相データを構成する全ての画素をカウントするものとする。但し、この所定の範囲をどのように設定するかは、本実施の形態の真珠評価方法による判定結果が、熟練した専門家の鑑定結果と合致する様に設定するのが好ましい。
【0088】
また、本実施の形態における画像データは、CCDセンサーにR(Red)、G(Green)、B(Blue)の三原色に対応した微細なフィルターが装着された通常のデジタルカメラで撮像した画像データである。
【0089】
尚、本実施の形態の各領域における色相の比率Y(%)が、本発明の各領域における比率の一例にあたる。
【0090】
再び
図5に戻り、第2系統判定工程S22について説明する。
【0091】
図5に示す通り、第1系統判定工程S21において、R系に属する真珠10が判別されて抽出された後、第2系統判定工程S22に進み、R系以外(RG系とG系の真珠20、30の集合)の真珠の画像データを対象として、RG系に属する真珠30とG系に属する真珠20の判別を行う。
【0092】
G系の真珠20とRG系の真珠30とを分離するための判定の基準は、上半球の第2周縁部の色相の発現パターンに大きな差があることに着目して設定した。
【0093】
具体的には、下記の(1)、(2)、(3)の条件の何れかに合致すれば、G系の真珠20であると判定し、何れの条件にも合致しなければ、RG系の真珠30であると判定した。本実施の形態では、この判定基準を第2判定基準22aとして設定した(
図5参照)。
【0094】
(1)上半球の第2周縁部において緑の比率が45%以上である。
【0095】
(2)上半球の第2周縁部において緑の比率が40%以上、かつ、上半球の第2周縁部において赤の比率が50%未満である。
【0096】
(3)上半球の第2周縁部において緑の比率が35%以上、かつ、上半球の第2周縁部において赤の比率が20%未満である。
【0097】
尚、本実施の形態では、下半球の第2周縁部における色相の比率は、第2判定基準の条件として用いていないが、第2判定基準の条件に含めても良い。
【0098】
尚、ここでは、上述した通り、主に色の情報としては色相を用いているが、彩度/明度も有効な情報となる。
【0099】
図7に、第2判定基準22aにより判別された、RG系の真珠とG系の真珠の、上半球の第2周縁部における色相の分布図を示す。ここで示されているように、RG系とG系の間には、明らかに色相の分布に差異がある。上半球の第2周縁部の赤と緑の色相とに着目して判断される。この境界線の位置は真珠の大きさ、産地、等で、若干修正されることもある。
【0100】
次に、
図10〜
図14を参照しながら、グレード判定工程S12−1〜S12−3で用いるグレード判定基準を中心に説明する。
【0101】
ここでは、
図10(a)、
図10(b)に示すグレード判定基準を基本のグレード判定基準と呼ぶ。
【0102】
更に、
図11、
図12、
図13を用いて、第1のグレード判定基準、第2のグレード判定基準、第3のグレード判定基準について説明する。
【0103】
図1で説明したグレード判定工程S12−1〜S12−3は、例えば、基本のグレード判定基準と第1のグレード判定基準を用いた構成としても良い。また、これに限らず、基本のグレード判定基準と第2のグレード判定基準を用いた構成としても良い。また、これに限らず、基本のグレード判定基準と第3のグレード判定基準を用いた構成としても良い。それぞれの構成例について、以下の項目I〜IIIで説明する。
【0104】
グレード判定工程S12−1〜S12−3では、
図10(a)、
図10(b)に示す様に、基本のグレード判定基準が、R系、RG系、G系毎に設定されている。
図10(a)は、
図8、
図9で示した分割された画像領域を示した図であり、
図10(b)は、各系統の各領域と、その領域毎に予め設定された色相との対応関係を示す図である。
図10(b)の「パターン」の欄に記載されている模様は、
図10(a)の領域を区別するために使用された模様と同じである。
【0105】
即ち、
図10(b)では、各系統における領域毎に、色相の発現にどのような差があるかを明記している。例えば、R系では上半球の中央部は赤であるが、G系では同じ領域が緑となる。また、R系の下半球の周縁部は紫であるが、G系の同じ領域では緑となる。明らかに、系統毎の各領域において、発現される色相は異なる。
【0106】
図10(b)で示されているように、系統によって、且つ領域によって発現する色相は異なる。また、照明側と非照明側でも色の発現分布は大きく異なる。この様な色相の相違が生じるのは、真珠を形成している結晶層である真珠層がダイクロイックミラー的機能を有するためである。
【0107】
I.基本のグレード判定基準と第1のグレード判定基準を用いた構成例
次に、基本のグレード判定基準と第1のグレード判定基準を用いた、系統毎のグレードの判別について、
図11を用いて説明する。
【0108】
図11は、熟練した専門家の鑑定により、予め、系統が判別され、且つAランク、Bランク、Cランクにグレードが判定されたN個の真珠の中から、説明用のサンプルとして、各系統(RG系、G系、R系)のランク毎に1個の真珠A1、B1、C1を選び、それぞれの数値を示した図である。
【0109】
図11に示した各領域における数値は、
図10(b)に示した基本のグレード判定基準に基づいて、上述した(式1)を用いて、各領域において予め設定された色相について求めた比率Y(%)である。
【0110】
図11によれば、例えば、RG系の真珠A1の各領域の比率Yの合計値は、272.55であり、RG系の真珠B1の各領域の比率Yの合計値は、140.48であり、RG系の真珠C1の各領域の比率Yの合計値は、62.84である。
【0111】
本実施の形態の、
図11に示す第1のグレード判定基準を用いた真珠評価方法では、系統毎に分類された真珠について、ランクAからランクCの何れに該当するかを精度良く判定するために、熟練した専門家の鑑定結果を反映させて、第1のグレード判定基準の一つとして、各ランクを判別するための第1の閾値を設定する。
【0112】
ここでは、例えば、RG系の真珠について、ランクAとランクBの間に第1の閾値として、所定の数値S1
RGA/Bを設定した。また、RG系の真珠について、ランクBとランクCの間に第1の閾値として、所定の数値S1
RGB/Cを設定した。
【0113】
上記と同様、G系の真珠、及びR系の真珠について、ランクAからランクCの何れに該当するかを精度良く判別するための第1の閾値をそれぞれ設定した。
【0114】
尚、本実施の形態のRG系の真珠A1の各領域の比率Yの合計値(272.55)、RG系の真珠B1の各領域の比率Yの合計値(140.48)、RG系の真珠C1の各領域の比率Yの合計値(62.84)が、本発明の評価値の一例にあたる。
【0115】
尚、ここでは、上述した通り、主に色の情報としては色相を用いているが、彩度/明度も有効な情報となる。
【0116】
また、
図11に示した各領域における色相の比率Y(%)に、領域毎に異なる重み付け係数を乗算しても良い。即ち、領域毎に異なる重み付けを行うことにより、熟練した専門家の鑑定結果と、本実施の形態の判定結果とが、より精度良く合致させることが出来る。尚、領域毎に異なる重み付け係数を乗算した比率Y(%)が、本発明の重み付けされた比率の一例にあたる。
【0117】
尚、
図11では、判別が容易な、
図10(a)、
図10(b)に示した上半球の中央部と周縁部、及び下半球の中央部と周縁部の画像データを用い、上半球の中間部、及び下半球の中間部の画像データを使用していない。尚、中間部の画像データを使用して、更に精度を上げることが可能である。
【0118】
ここで、系統及びグレードが未知の真珠について、本実施の形態の、第1のグレード判定基準を用いた真珠評価方法を適用した場合について説明する。
【0119】
尚、系統及びグレードが既知の真珠の総数をN個とし、各系統に属する真珠のサンプル数をそれぞれn個とする。
【0120】
よって、評価対象となる、系統及びグレードが未知の真珠は、n+1番目のサンプルとして表す。
【0121】
この場合、系統及びグレードが未知の真珠の画像データは、
図1の系統判定工程S11により、R系、RG系、G系の何れかの系統に分類される。その後、
図10に示した基本のグレード判定基準を用いて、上述した様に(式1)により各領域における比率Y(n+1)を求め、更にその求めた比率Y(n+1)の合計値を求める。そして、その比率Y(n+1)の合計値に、上述した第1の閾値を適用して、評価対象の真珠が、ランクAからランクCの何れのランクに該当するかを判定する。
【0122】
このようにして得られた判定結果は、以上説明したことから明らかな様に、熟練した鑑定者による鑑定結果と合致している。
【0123】
II.基本のグレード判定基準と第2のグレード判定基準を用いた構成例
次に、
図11で説明した、N個の真珠のそれぞれについて予め計算した各領域の比率Yを、各系統毎に統計的に処理(例えば、正規化処理)し、その処理した値を各真珠について合計した結果(
図12の全球合計の欄の値)を利用して、真珠のグレードを判定する方法について、
図12を用いて説明する。
【0124】
図12で説明するグレード判定基準は、
図11で説明したグレード判定基準とは異なるので、第2のグレード判定基準と呼ぶ。
【0125】
図12では、真珠の総数N個の内、各系統に属する真珠のサンプル数をn個として、系統毎の各真珠について、それぞれの領域の比率Y(k)を、それぞれの領域ごとに下記の(式2)を用いて正規化している。
【0126】
ここで、それぞれの領域とは、一つの真珠における、上半球の周縁部と、上半球の中心部、及び下半球の周縁部と、下半球の中心部を意味する。
【0127】
そして、それぞれの領域で正規化した値Y(k)normalizedを合計した数値を全球合計値としている。例えば、
図12では、RG系の属する真珠A1の全球合計値は、3.54である。
【0128】
この様に正規化を実施することで領域毎の数値のバラつきを平準化している。
【0129】
(式2)
Y(k)normalized=(Y(k)−Ymean)/σ、
但し、k=1、・・・・、n
Ymean={Y(1)+・・・・+Y(n)}/n
σ=√{(Y(1)−Ymean)
2+・・・・+(Y(n)−Ymean)
2}/n
ここで、nは2以上の自然数、Ymeanは平均値、σは標準偏差である。
【0130】
尚、本実施の形態の、それぞれの領域の比率Y(k)を正規化して得られた値Y(k)normalizedを合計して得られた全球合計値が、本発明の評価値の一例にあたる。
【0131】
本実施の形態の、第2のグレード判定基準を用いた真珠評価方法では、系統毎に分類された真珠について、ランクAからランクCの何れに該当するかを精度良く判定するために、熟練した専門家の鑑定結果を反映させて、第2のグレード判定基準の一つとして、各ランクを判別するための第2の閾値を設定する。
【0132】
ここでは、例えば、RG系の真珠について、ランクAとランクBの間に第2の閾値として、所定の数値S2
RGA/Bを設定した。また、RG系の真珠について、ランクBとランクCの間に第2の閾値として、所定の数値S2
RGB/Cを設定した。
【0133】
上記と同様、G系の真珠、及びR系の真珠について、ランクAからランクCの何れに該当するかを精度良く判別するための第2の閾値をそれぞれ設定した。
【0134】
ここで、系統及びグレードが未知の真珠について、本実施の形態の、第2のグレード判定基準を用いた真珠評価方法を適用した場合について説明する。
【0135】
尚、上記項目Iと同様、系統及びグレードが既知の真珠の総数をN個とし、各系統に属する真珠のサンプル数をそれぞれn個としたので、評価対象となる、系統及びグレードが未知の真珠は、n+1番目のサンプルとして表す。
【0136】
この場合、系統及びグレードが未知の真珠の画像データは、
図1の系統判定工程S11により、R系、RG系、G系の何れかの系統に分類される。その後、
図10に示した基本のグレード判定基準を用いて、上述した様に(式1)により各領域における比率Y(n+1)を求め、更に、(式2)を用いて、その比率Y(n+1)を正規化した数値Y(n+1)normalizedを求め、更に、各領域の数値Y(n+1)normalizedを合計した全球合計値を求める。そして、その全球合計値に、上述した第2の閾値を適用して、評価対象の真珠が、ランクAからランクCの何れのランクに該当するかを判定する。
【0137】
このようにして得られた判定結果は、以上説明したことから明らかな様に、熟練した鑑定者による鑑定結果と合致している。
【0138】
III.基本のグレード判定基準と第3のグレード判定基準を用いた構成例
次に、
図12で説明した、N個の真珠のそれぞれについて予め計算した、各領域の比率Y(k)を正規化したY(k)normalizedに、領域毎に異なる重み付け係数を乗算して、その重み付けされたY(k)normalizedを全ての領域について合計して得られた全球合計値を用いて、真珠のグレードを判定する方法について、
図13を用いて説明する。
【0139】
図13で説明するグレード判定基準は、
図11のグレード判定基準、及び
図12の第2のグレード判定基準の何れとも異なるので、第3のグレード判定基準と呼ぶ。
【0140】
図13では、
図12に示した、領域毎に求めた比率Y(k)を正規化したY(k)normalizedにさらに重み付け係数を乗算して、合計している。人間の心理色とは複雑なものであり、デジタルカメラで撮像された光学的な画像データと一致しないことがある。よって、重みづけは、画像データから得られた値を、より人間感性に近い値にするための処理である。
【0141】
また、本実施の形態で用いた
図13に示す重み付けの数値は、熟練した鑑定者の意見を聞き、その鑑定結果と合致するように調整している。
【0142】
本実施の形態の、第3のグレード判定基準を用いた真珠評価方法では、系統毎に分類された真珠について、ランクAからランクCの何れに該当するかを精度良く判定するために、熟練した専門家の鑑定結果を反映させて、第3のグレード判定基準の一つとして、各ランクを判別するための第3の閾値を設定する。
【0143】
ここでは、例えば、RG系の真珠について、ランクAとランクBの間に第3の閾値として、所定の数値S3
RGA/Bを設定した。また、RG系の真珠について、ランクBとランクCの間に第3の閾値として、所定の数値S3
RGB/Cを設定した。
【0144】
上記と同様、G系の真珠、及びR系の真珠について、ランクAからランクCの何れに該当するかを精度良く判別するための第3の閾値をそれぞれ設定した。
【0145】
ここで、系統及びグレードが未知の真珠について、本実施の形態の、第3のグレード判定基準を用いた真珠評価方法を適用した場合について説明する。
【0146】
尚、上記項目Iと同様、系統及びグレードが既知の真珠の総数をN個とし、各系統に属する真珠のサンプル数をそれぞれn個としたので、評価対象となる、系統及びグレードが未知の真珠は、n+1番目のサンプルとして表す。
【0147】
この場合、系統及びグレードが未知の真珠の画像データは、
図1の系統判定工程S11により、R系、RG系、G系の何れかの系統に分類される。その後、
図10に示した基本のグレード判定基準を用いて、上述した様に(式1)により各領域における比率Y(n+1)を求め、更に、(式2)を用いて、その比率Y(n+1)を正規化した数値Y(n+1)normalizedを求める。更に、正規化された各領域の数値Y(n+1)normalizedに重み付け係数を乗算して、それら重み付けされた各値を合計する。そして、求めた全球合計値に対して、上述した第3の閾値を適用して、評価対象の真珠が、ランクAからランクCの何れのランクに該当するかを判定する。
【0148】
このようにして得られた判定結果は、以上説明したことから明らかな様に、熟練した鑑定者による鑑定結果とより良く合致している。
【0149】
尚、上記実施の形態では、3つの系統に対して同じ重み付け係数を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、R系/RG系/G系、によりそれぞれの色合いは異なるため、人間の心理色に合うように重み付けは、それぞれの系統毎に異なる係数を設定しても良い。
【0150】
次に、系統及びグレードが未知の真珠について、上記と同様に、本実施の形態の、第3のグレード判定基準を用いた真珠評価方法を適用した場合において、評価対象となったそれぞれの真珠の全球合計値(例えば、
図13のRG系に属する真珠A1の場合、全球合計値は2.85である。)について、所定の換算方法で換算する例について、
図14を用いて説明する。
【0151】
この換算方法によれば、例えば、
図14のRG系のランクAと判定された真珠A1の全球合計値2.85は、78.53点に換算される。
【0152】
この換算により、真珠のグレード判定の結果が、満点が100点として表されるので、ユーザにとって分かりやすい。
【0153】
ここでの換算の方法は、
図13を参照しながら項目IIIで説明した、各系統に属するn個の真珠の全球合計値の平均値(分布の中心)を50点とし、
図14に示す全球合計値(例えば、
図14のRG系に属する真珠A1の場合、全球合計値は2.85である。)を0点〜100点の間に収まるように換算している。
【0154】
尚、この場合、上述したRG系、G系、及びR系についての第3の閾値は、同様の換算方法により点数化する。
【0155】
尚、真珠のネックレスの鑑定フローを、
図15を用いて説明する。
【0156】
図15は、真珠のネックレスの判定方法を示す鑑定フロー図である。
【0157】
真珠のネックレスは複数の真珠を集めたものである。そのため、個々の真珠について、上述した本実施の形態の真珠評価方法を用いて評価を行い、その評価結果の合計値をネックレスの評価として採用する。
【0158】
図15に示す様に、まず、工程1でネックレスに照明を当てた環境で、一列に並べる。
【0159】
工程2で個々の真珠の撮影を実施する。その際、隣接する数個の真珠を同時に撮影しても問題ない。何枚を同時に撮影するかは、画像の解像度と判定ソフトの関係で決定すればよい。
【0160】
工程3では、撮影が終了した真珠を、上述した本実施の形態の真珠評価方法により一つ一つ判定する。
【0161】
工程4で、各真珠の判定結果の値の合計値を求め、ネックレスの評価結果とする。
【0162】
工程5で鑑定書に評価結果を反映させる。
【0163】
ここで、注意する必要があるのは、R系、RG系、G系の系統が異なる真珠が一つのネックレスを構成している場合である。市場で販売されている真珠のネックレスには、その様な場合が多い。系統の違う真珠で構成されたネックレスは、点数を低く設定するべきであり、時にはゼロ点を付ける場合がある。せっかく高いグレードの真珠で揃えていても、系統の異なる真珠が混じっておれば、そのネックレスの価値は大きく落ちることになる。
【0164】
(実施の形態2)
実施の形態2では、
図16〜
図18を用いて、本発明の真珠評価システム、及び真珠評価装置の一例について説明する。
【0165】
図16は、真珠評価システム50のブロック図である。
【0166】
本実施の形態2の真珠評価システム50は、
図16に示す通り、鑑定機関側装置100と、インターネット等の通信網110を介して、鑑定機関側装置100とデータの送信受信を行う店舗側装置150と、鑑定機関側に備えられたデジタルカメラ800及び真珠照明装置900と、店舗側に備えられたデジタルカメラ800及び真珠照明装置900とから構成されている。
【0167】
尚、本実施の形態2の鑑定機関側装置100は、上述した実施の形態1の真珠評価方法を用いる装置である。また、本実施の形態2の鑑定機関側装置100は、本発明の真珠評価装置の一例にあたる。
【0168】
鑑定機関側装置100は、
図16に示す通り、
真珠のR系/RG系/G系の種別を判別する種別判別部210と、真珠のグレードを判別するグレード判別部220と、画像データ受信部410又は画像データ取得部600から得られた画像データを画像処理する画像データ処理部230を格納した主演算部200と、
R系/RG系/G系の種別を判別するのに必要な種別判別基準値310と、グレードを判別するのに必要なグレード判別基準値320と、個々の真珠と関連ある情報(種別、グレード、顧客名、鑑定実施日、等)を保存した鑑定データ保存部330を少なくとも格納したデータ記憶部300と、
通信網110を介して外部(店舗側装置150)から送信された真珠の画像データなど(他に、顧客名、送信者のIDなどの多くの情報が含まれる)の情報を受け取る画像データ受信部410と、鑑定結果を通信網110を介して外部(店舗側装置150)へ送信する鑑定結果の送信部420を少なくとも格納した通信処理部(インターフェース部)400と、
鑑定結果及び後日鑑定データを識別するためのコードを埋め込まれた鑑定書を印刷する印刷部500と、
鑑定機関側に備えられているデジタルカメラ800などから取得された真珠の画像データを受け取る画像データ取得部600と、
すべての操作の指示の入力および表示を実施する表示/コード入力部700と、
これらの各部の動作を制御する制御部120とから構成されている。
【0169】
また、種別判別部210は、上記実施の形態1で説明した第1系統判定工程S21(
図5参照)によりR系とそれ以外の系統の判別を行う第1系統判別部211と、上記実施の形態1で説明した第2系統判定工程S22(
図5参照)によりG系とRG系の判別を行う第2系統判別部212とを有している。また、種別判別部210は、上記実施の形態1で説明した、各領域における色相の比率Y(%)を(式1)により算出する比率(%)算出部213を有している。
【0170】
また、画像データ処理部230は、画像データ受信部410又は、鑑定機関側装置100内の画像データ取得部600から送られてくる画像データから、背景画像データと真珠の画像データとを分離する背景分離部231と、分離された真珠の画像データを、照明が照射される側の真珠の下半球(照射半球)の画像データと、照明が照射されない側の真珠の上半球(非照射半球)の画像データとに分け、それぞれの半球の画像データにおいて中央部、中間部、及び周縁部の3つの領域に分割する画像データ分割部232とを有している。
【0171】
また、グレード判別部220は、上記実施の形態1の項目IIIで説明した第3のグレード判定基準を用いた真珠評価方法を適用して、評価対象となる真珠の全球合計値を得て、その全球合計値を所定の換算方法で点数に換算するグレード点数化部221を有している。即ち、グレード点数化部221は、
図14に示す様に、例えばRG系の真珠A1の場合、全球合計値として2.85を求め、その求めた値を78.53に変換している。
【0172】
また、種別判別基準値310には、上記実施の形態1で説明した第1判定基準21a、第2判定基準22aなどが含まれる。
【0173】
また、グレード判別基準値320には、
図10(a)、
図10(b)で説明した基本のグレード判定基準等が含まれる。また、R系判別基準値321には、上記実施の形態1の項目IIIで説明した、点数化されたR系についての第3の閾値などが含まれており、RG系判別基準値322には、上記実施の形態1の項目IIIで説明した、点数化されたRG系についての第3の閾値などが含まれており、G系判別基準値323には、上記実施の形態1の項目IIIで説明した、点数化されたG系についての第3の閾値などが含まれている。
【0174】
また、データ記憶部300に格納される各種基準値や情報は、書き換え可能に構成されている。
【0175】
また、鑑定機関側には、適切に照明された真珠をできるだけ忠実に撮影する一眼レフのデジタルカメラ800と、真珠の「てり」を含む個々の真珠の特性を的確に発現させる照明を備えた真珠照明装置900とが備えられている。
【0176】
尚、本実施の形態の種別判別部210は、本発明の系統判定部の一例にあたり、本実施の形態のグレード判別部220は、本発明のグレード判定部の一例にあたる。また、本実施の形態の画像データ受信部410、或いは画像データ取得部600は、本発明の取得部の一例にあたる。また、本実施の形態の種別判別基準値310は、本発明の系統判定基準の一例にあたり、本実施の形態のグレード判別基準値320に含まれるR系判別基準値321、RG系判別基準値322、及びG系判別基準値323は、本発明の複数のグレード判定基準の一例にあたる。また、本実施の形態の鑑定結果の送信部420は、本発明の評価側送信装置の一例にあたる。
【0177】
一方、店舗側装置150は、
図16に示す通り、
鑑定機関側装置100に、評価対象の真珠の画像データなど(他に、顧客名、送信者のIDなどの多くの情報が含まれる)の情報を送信する画像データ送信部470と、鑑定機関側装置100から通信網110を介して送信されてくる真珠の鑑定結果を受信する鑑定結果の受信部480を少なくとも格納した通信処理部(インターフェース部)460と、
鑑定結果及び後日鑑定データを識別するためのコードを埋め込まれた鑑定書を印刷する印刷部500と、
店舗側に備えられているデジタルカメラ800などから取得された真珠の画像データを受け取る画像データ取得部600と、
すべての操作の指示の入力および表示を実施する表示/コード入力部700と、
これらの各部の動作を制御する制御部160とから構成されている。
【0178】
また、店舗側には、適切に照明された真珠をできるだけ忠実に撮影する一眼レフデジタルカメラ800と、真珠の「てり」を含む個々の真珠の特性を的確に発現させる照明を備えた真珠照明装置900とが備えられている。
【0179】
尚、本実施の形態の画像データ送信部470は、本発明の送信装置の一例にあたる。
【0180】
以上の様に構成された本実施の形態の真珠評価システム50で用いられる真珠評価方法の一例について、主として
図1、
図16を参照しながら説明する。
【0181】
図16に示す通り、店舗側のデジタルカメラ800で撮像された真珠の画像データは、画像データ取得部600から通信処理部460に送られ、画像データ送信部470から通信網110を介して鑑定機関側装置100に送信される。
【0182】
鑑定機関側装置100では、通信処理部400の画像データ受信部410で受信された画像データを基にして、主演算部200において、真珠の品質を鑑定する。
【0183】
具体的には、制御部120からの指令により、データ記憶部300から種別判別基準値310を取得した種別判別部210は、評価対象である真珠の画像データが、R系、RG系、G系の何れの系統に属するかを判別する(
図1の系統判定工程S11参照)。
【0184】
次に、制御部120からの指令により、データ記憶部300からグレード判別基準値320、及びR系判別基準値321〜G系判別基準値323を取得したグレード判別部220は、種別判別部210による判別結果に対応した判定基準を用いて、ランクA〜ランクCの何れに該当するかを判別する(
図1のグレード判定工程S12−1〜S12−3参照)。
【0185】
即ち、例えば、種別判別部210による判定結果がRG系である場合、
図10(b)に示すRG系についての基本のグレード判定基準と、上記項目IIIで説明した、点数化されたRG系についての第3の閾値が、種別判別部210による判別結果に対応した判定基準として用いられる。
【0186】
この様にして得られた鑑定結果を、鑑定データとして鑑定データ保存部330に保存するとともに、鑑定書として作成し(
図1の鑑定書作成工程S13参照)、鑑定結果にIDを付与し、鑑定結果の送信部420から通信網110を介して、店舗側装置150に返信する。
【0187】
店舗側装置150では、通信処理部460の鑑定結果の受信部480で、鑑定結果を受け取る。
【0188】
以上説明したことから、本実施の形態の真珠鑑定方法を用いた真珠評価システムによれば、鑑定対象の真珠の画像データを鑑定機関側装置に送信することにより、その画像データを用いて常に精度良く鑑定ができる。
【0189】
また、鑑定対象の真珠を鑑定のために鑑定機関に預ける必要がなく、その結果、盗難や紛失の危険を無くすることができるとともに、鑑定に要する時間を著しく短縮することができる。
【0190】
ところで、従来の評価方法には、発現する色の系統別判断がないため、色については考慮が足りない。また、重要な色彩に関する情報を重要視しない評価方法は無意味である。
【0191】
従来の評価方法は、X線、高周波、統計学、など多くの技術を使用し、個々の技術のレベルは高いものがあった。しかしながら、真珠の鑑定を実施するのであれば、真珠の特性にもっと焦点を当てるべきである。
【0192】
これに対して、本発明の真珠評価方法では、例えば、熟練した鑑定者の鑑定結果と同じ結果を得られる様に、判定基準を設定した。
【0193】
長年、鑑定者は人の目に映る「美しさ」を重視してきた。一方、鑑定者も体調がすぐれない等々の理由で一定の鑑定結果を常に出すのは至難である。
【0194】
本発明の真珠評価システム、真珠評価装置、及び真珠評価方法における各種判定基準を、熟練した専門家の鑑定結果と合致する様に設定することにより、より高い鑑定結果が保証される。
【0195】
尚、画像データは真珠の特有の「てり」を代表とする色情報が表現できていればよい。適切な照明を実施していれば一般的なデジタルカメラを用いて撮影した画像データでも良い。
【0196】
また、店舗側装置150と鑑定機関側装置100との間の通信手段としては、インターネットを介する方法や専用回線などの通信網110を用いる場合について説明したが、安全にかつ確実に画像データを送受信できるものであればどの様な通信手段を用いてもよい。
【0197】
また、鑑定機関側装置100では、受け取った画像データを用いて所定の手順で鑑定を行い、鑑定結果を保存し、保存されたデータが後日検索できるように識別コードを付与する。鑑定機関側装置100の発行した鑑定書にも識別コードが付与され、他の真珠と間違うこともなく、鑑定結果が保証される証となる。
【0198】
また、店舗側に設置された店舗側装置150から画像データを送信する際に、顧客を識別する情報を画像データとともに送信し、鑑定機関側装置100が鑑定結果を誤りなく返信できるようにする。
【0199】
また、鑑定機関側装置100による鑑定の結果は、複数の鑑定結果の決定する要素も含めて返信するために、いずれの鑑定結果の要素であるか識別するための識別コードを鑑定結果に添付して、店舗側装置150に返信される。
【0200】
次に、
図17、
図18を用いて、鑑定書に識別コードを付加した例を説明する。
【0201】
鑑定書は、「テリ」/「色」/「きず」/「形」のグレードを説明した品質分析、サイズ、各種検査項目の結果、等から構成される。本解析結果は、この鑑定書に表現形式を変えて説明されることになる。
【0202】
図17は、真珠のネックレスの鑑定書、
図18は、単体の真珠の鑑定書の例である。17−1、18−1は、鑑定書に付加された鑑別コードである。この鑑別コードは写真などの情報とリンクされているため、将来の問い合わせ、各種確認を実施することができる。例えば、経年変化がどの程度発生したかも容易に分析ができ、その結果、適切な処置を実施することが可能となる。真珠は高価なものであるので、適切なメンテナンスが価値を保全することになる。
【0203】
尚、上記実施の形態2では、真珠評価システムの構成例として、
図16を用いて説明したが、これに限らず例えば、
図19に示す構成例でも良い。即ち、
図19の真珠評価システム60の構成例では、鑑定機関側装置105に、デジタルカメラ800、真珠照明装置900、及び画像データ取得部600(
図16参照)を備えない構成である。
図19の真珠評価システム60構成でも、
図16に示す構成例と同様の効果を発揮する。
【0204】
また、上記実施の形態2では、種別判別基準値310として、上記実施の形態1で説明した第1判定基準21a、第2判定基準22aなどが含まれる場合について説明したが、これに限らず例えば、第1判定基準21a、及び第2判定基準22aを構成する、色相の比率(%)のみでも良い。
【0205】
また、上記実施の形態2では、真珠評価システムとして、鑑定機関側装置100と、通信網110を介して、鑑定機関側装置100とデータの送信受信を行う店舗側装置150と、双方に備えられたデジタルカメラ800及び真珠照明装置900とから構成されている場合について説明したが、真珠評価システムとしては、これに限らず例えば、
図16に示された店舗側装置150を備えず、店舗側に備えられたデジタルカメラ800及び真珠照明装置900を備えず、
図16に示された鑑定機関側装置100から通信処理部400を除く全ての構成要素と、鑑定機関側に備えられたデジタルカメラ800及び真珠照明装置900とを備えた構成であっても良い。
【0206】
また、上記実施の形態2では、店舗側装置150が一つである場合について説明したが、これに限らず例えば、店舗側装置が、複数の店舗にそれぞれ設けられている構成であって、それら複数の店舗側装置150と、鑑定機関側装置100との間で、画像データや鑑定結果データの送受信が行われる構成であっても良い。
【0207】
また、上記実施の形態2では、グレード判定部220において、上記実施の形態1の項目IIIで説明した第3のグレード判定基準を用いる構成について説明したが、これに限らず例えば、上記実施の形態1の項目Iで説明した第1のグレード判定基準、又は、項目IIで説明した第2のグレード判定基準を用いる構成であっても良い。
【0208】
また、上記実施の形態で説明した鑑定機関側装置100の、主演算部200、及び画像データ取得部600などは、ハードウェアで実現させるよりも、プログラムをCPUに実行させてソフトウェアで実現させることにより、各種判別基準値(
図16の種別判別基準値310、グレード判別基準値320、R系判別基準値321、RG系判別基準値322、G系判別基準値323を参照)の変更などに柔軟に対応できる。
【0209】
また、本発明のプログラムの一例としては、上述した本発明の真珠評価方法の一例の真珠評価方法(
図1参照)の、真珠の画像データを取得する取得工程(
図1の取得工程S10参照)、取得工程により取得した真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報(例えば、色相)により予め定められた系統判定基準に基づいて、真珠が複数の系統の内の何れの系統に属するかを判定する系統判定工程(
図1の系統判定工程S11参照)、及び複数の系統に対応して予め定められた複数のグレード判定基準の内、判定された真珠の属する系統に対応するグレード判定基準に基づいて、その属する系統が判定された真珠のグレードを判定するグレード判定工程(
図1のグレード判定工程S12−1〜S12−3参照)の動作をコンピュータにより実行させるプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0210】
また、本発明の記録媒体の一例は、上述した本発明の真珠評価方法の一例の真珠評価方法(
図1参照)の、真珠の画像データを取得する取得工程(
図1の取得工程S10参照)、取得工程により取得した真珠の画像データを用いて、色彩に関する情報(例えば、色相)により予め定められた系統判定基準に基づいて、真珠が複数の系統の内の何れの系統に属するかを判定する系統判定工程(
図1の系統判定工程S11参照)、及び複数の系統に対応して予め定められた複数のグレード判定基準の内、判定された真珠の属する系統に対応するグレード判定基準に基づいて、その属する系統が判定された真珠のグレードを判定するグレード判定工程(
図1のグレード判定工程S12−1〜S12−3参照)の動作をコンピュータにより実行させるプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られたプログラムがコンピュータと協働して利用される記録媒体である。
【0211】
また、上記「工程の動作」とは、上記各工程の全部又は一部の動作を意味する。
【0212】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な、ROM等の記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0213】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、インターネット等の伝送媒体、光・電波・音波等の伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0214】
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0215】
また、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェアで実現しても良いし、ハードウェアで実現しても良い。