【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発 委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体装置は、前記貫通電極との間に前記表面電極が置かれるように前記貫通電極の直上位置に配置された、外部接続用の表面バンプを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記第1絶縁膜を形成する工程は、前記凹部の前記周壁を覆う本体部および前記半導体基板の前記裏面を覆う裏面部を含む第1絶縁膜を形成する工程を含み、前記半導体基板の前記裏面近傍において、前記本体部および前記裏面部が前記凹部の内方に突出せずに連続するように前記第1絶縁膜を形成する、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
半導体装置が1つずつ形成される素子領域が複数配列された、表面および裏面を有する半導体ウエハにおいて、各前記素子領域の前記表面に絶縁膜を介して表面電極を形成する工程と、
前記複数の素子領域を前記裏面から一斉に選択的にエッチングし、前記複数の素子領域のうち最もエッチングレートが速い第1素子領域が貫通し、残りの第2素子領域が貫通していない時点で当該エッチングを停止することによって、前記第1素子領域に第1ビアを形成し、同時に、前記第2素子領域に底部が前記表面近傍に位置する凹部を形成する工程と、
前記第1ビア内および前記凹部内に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1ビアおよび前記凹部において前記第1絶縁膜の底部を選択的に除去する工程と、
前記第1ビアおよび前記凹部の周壁に前記第1絶縁膜を残した状態で前記凹部の底壁に残っている前記半導体ウエハをエッチングすることによって、前記第2素子領域を貫通する第2ビアを形成する工程と、
前記第1ビア内および前記第2ビア内に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第1ビアおよび前記第2ビアにおいて前記第2絶縁膜の底部を選択的に除去する工程と、
前記第1ビアおよび前記第2ビアに電極材料を充填することによって、前記表面電極に電気的に接続されるように貫通電極を形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、貫通電極の微細化と表面電極の縮小化とを両立することができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、ビアの開口端におけるビア絶縁膜のオーバーハング形状の発生をなくすか、発生してもその大きさを抑えることができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【0005】
本発明の第3の目的は、貫通電極中のCuの拡散を防止することができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、半導体ウエハ上の複数の素子領域を一斉にエッチングすることによってビアを形成するときに、それぞれのビアにノッチが発生することを防止することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の第5の目的は、半導体装置に貫通電極を高密度に設けることにより、小型化、大容量化および高機能化を実現することができる電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1および第2の目的を達成するための本発明の第1の局面に係る半導体装置は、表面および裏面を有する半導体基板と、前記半導体基板の前記表面に絶縁膜を介して設けられた表面電極と、前記裏面から前記表面まで前記半導体基板を貫通して前記表面電極に達するビアであって、前記半導体基板の表面部において内方に張り出した鍔部を含む周壁を有するビアと、前記ビアの前記周壁に形成されたビア絶縁膜と、前記ビアにおいて前記ビア絶縁膜の内側に埋め込まれ、前記表面電極に電気的に接続された貫通電極とを含み、前記ビア絶縁膜は、前記貫通電極との接触面が平坦となるように、前記鍔部と前記周壁の他の部分との段差を補う膜厚差を有してい
る。
【0008】
本発明の第1の局面に係る半導体装置は、表面および裏面を有する半導体基板の前記表面に、絶縁膜を介して表面電極を形成する工程と、前記半導体基板を前記裏面から選択的にエッチングし、前記半導体基板が貫通しないように前記表面近傍に達した時点で当該エッチングを停止することによって、底部が前記表面近傍に位置する凹部を形成する工程と、前記凹部の底壁および周壁に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜の前記底壁上の部分を選択的に除去する工程と、前記周壁に前記第1絶縁膜を残した状態で前記底壁に残っている前記半導体基板をエッチングすることによって、前記半導体基板を貫通するビアを形成し、同時に、前記半導体基板の表面部において前記第1絶縁膜の下方に残った部分を、前記ビアの周壁の鍔部として選択的に形成する工程と、前記第1絶縁膜および前記鍔部に跨るように、前記ビア内に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜の底部を選択的に除去する工程と、前記ビアに電極材料を充填することによって、前記表面電極に電気的に接続されるように貫通電極を形成する工程とを含む、本発明の第1の局面に係る半導体装置の製造方
法により製造することができる。
【0009】
この方法によれば、凹部の周壁に第1絶縁膜を残した状態で底壁に残っている半導体基板をエッチングすることによって、半導体基板を貫通するビアを形成する。そのため、第1絶縁膜よりも下方においては、第1絶縁膜の厚さ分、ビアの周壁が選択的に鍔部として内側に張り出す。そして、第1絶縁膜および鍔部に跨るように、ビア内に第2絶縁膜を形成する。これにより、ビア絶縁膜の貫通電極との接触面が平坦となるように、鍔部と周壁の他の部分との段差を補う膜厚差をビア絶縁膜に設けることができる。
【0010】
ビアの内径が鍔部の位置において第1絶縁膜の厚さ分小さくなるので、表面電極に対する貫通電極の接触面積を小さくすることができる。そのため、ビアの形成位置が表面電極に対して多少ずれても、上記接触面積が小さいので、表面電極に対して貫通電極を確実にコンタクトさせることができる。
したがって、ビアを形成するときのパターニングの合わせ精度を考慮して、ビアの径よりも表面電極を常に大きく設計していた従来とは異なり、本発明によれば、表面電極を小さくしても、表面電極に対して貫通電極を確実にコンタクトさせることができるので、表面電極の大きさの自由度を広げることができる。
【0011】
これにより、本発明の半導体装置では、貫通電極の微細化を行なう場合に、従来に比べて表面電極を縮小化できる。その結果、貫通電極を高密度に設けることができるので、小型、大容量および高機能の半導体装置を実現することができる。
また、表面電極の縮小化により、互いに隣り合う表面電極の間のスペースを広げることができるので、そのスペースを有効利用することができる。たとえば、配線等を当該スペースに敷設することができる。
【0012】
また、従来のやり方では、貫通電極の容量を低減するためにビアの内面に比較的厚い絶縁膜を形成することがあった。しかしながら、ビアの絶縁膜を1回で厚くするのでは、絶縁膜のカバレッジの影響を受け、ビアの開口端においてオーバーハング形状が発生する可能性が高い。オーバーハング形状が形成されていると、ビアの内面にスパッタシード膜が形成され難いため、めっき法によってビアに貫通電極を形成する際、ボイドが発生し易くなる。
【0013】
そこで、本発明の第1の局面に係る半導体装置の製造方法では、第1絶縁膜の形成工程および第2絶縁膜の形成工程の2段階の工程を経てビア絶縁膜を形成するので、ビアの開口端におけるビア絶縁膜のオーバーハング形状の発生をなくすか、発生してもその大きさを抑えることができる。その結果、貫通電極を形成する際のボイドの発生を防止することができる。さらに、第1絶縁膜および第2絶縁膜を適切な厚さに定めておけば、ビア絶縁膜全体としては十分な厚さになるので、貫通電極の容量を十分低減することもできる。
【0014】
また、前記ビア絶縁膜は、前記ビアの前記周壁を覆う本体部および前記半導体基板の前記裏面を覆う裏面部を含み、前記本体部および前記裏面部は、前記ビアの内方に突出しないように前記ビアの開口形状に倣うように連続していることが好まし
い。すなわち、ビア絶縁膜の本体部と裏面部とが交わる位置においてオーバーハング形状が発生していないことが好ましい。
【0015】
オーバーハング形状の発生をより効果的に防止するためには、たとえば、本発明の第1の局面に係る半導体装置の製造方法において、前記第1絶縁膜を形成する工程は、前記凹部の前記周壁を覆う本体部および前記半導体基板の前記裏面を覆う裏面部を含む第1絶縁膜を形成する工程を含み、前記半導体基板の前記裏面近傍において、前記本体部および前記裏面部が前記凹部の内方に突出せずに連続するように前記第1絶縁膜を形成することが好まし
い。具体的には、前記第1絶縁膜を形成する工程は、前記本体部の厚さが0.5μm〜1μmとなるように前記第1絶縁膜を形成する工程を含むことが好まし
い。ビア絶縁膜の最表層をなす第2絶縁膜の形成の前段階である第1絶縁膜の形成時にオーバーハング形状の発生を防止することによって、ビア絶縁膜の最終的な形状におけるオーバーハング形状の発生を効果的に防止することができる。
【0016】
さらに、本発明の第1の局面に係る半導体装置の製造方法では、前記第1絶縁膜を選択的に除去する工程は、前記本体部と前記裏面部とが交わる前記第1絶縁膜の角部をテーパ形状に成形する工程を含むことが好まし
い。この方法により、ビア絶縁膜の最終的な形状におけるオーバーハング形状の発生を、一層効果的に防止することができる。
【0017】
また、前記ビアは、前記鍔部の内径が前記表面電極の径よりも小さく、前記周壁の他の部分の内径が前記表面電極の径よりも大きいことが好まし
い。具体的には、前記ビアは、前記鍔部の内径が3μm〜9μmであり、前記周壁の他の部分の内径が5μm〜10μmであることが好まし
い。
また、前記ビア絶縁膜は、酸化シリコンの単層膜であってもよ
い。前記ビア絶縁膜は、前記周壁側から順に積層された第1酸化シリコン膜および第2酸化シリコン膜を含む積層膜であり、前記第1酸化シリコン膜は、前記周壁の前記鍔部を除く部分に形成され、厚さが前記段差と同じであり、前記第2酸化シリコン膜は、前記第1酸化シリコン膜および前記鍔部に跨るように形成されていてもよ
い。この構造は、本発明の第1の局面に係る半導体装置の製造方法において、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜が酸化シリコン膜であるこ
とによって製造することができる。第1絶縁膜および第2絶縁膜の両方が酸化シリコン膜であれば、製造後の半導体装置においてビア絶縁膜は、第1絶縁膜および第2絶縁膜が一体化して酸化シリコンの単層膜になっている場合もあるし、第1絶縁膜および第2絶縁膜が完全に一体化せずに、見掛け上酸化シリコン膜が重なった積層膜になっている場合もある。
【0018】
また、前記ビア絶縁膜は、前記周壁側から順に積層された酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を含む積層膜であり、前記酸化シリコン膜は、前記周壁の前記鍔部を除く部分に形成され、厚さが前記段差と同じであり、前記窒化シリコン膜は、前記酸化シリコン膜および前記鍔部に跨るように形成されていることが好まし
い。この場合、本発明の第1の局面に係る半導体装置は、前記ビア絶縁膜と前記貫通電極との間に配置されたバリア膜を含んでいてもよ
い。また、前記バリア膜は、タンタル膜であってもよ
い。この構造は、本発明の第1の局面に係る半導体装置の製造方法において、前記第1絶縁膜が酸化シリコン膜であり、前記第2絶縁膜が窒化シリコン膜であるこ
とによって製造することができる。また、バリア膜は、前記第2絶縁膜を選択的に除去した後、前記貫通電極の形成前に、前記ビア内に形成してもよ
い。
【0019】
この構成によれば、貫通電極がCuからなる場合でも、ビア絶縁膜の最表層が窒化シリコン膜であるため、貫通電極中のCuの拡散をバリア膜だけで阻止できなくとも、当該窒化シリコン膜によって確実に阻止することができる。その結果、ビア絶縁膜の酸化シリコン膜および半導体基板に形成されたトランジスタ等の素子の劣化を抑制することができる。
【0020】
また、本発明の第1の局面に係る半導体装置は、互いに隣り合う複数の前記表面電極の間に敷設された配線を含んでいてもよ
い。
また、前記表面電極は、層間絶縁膜を介して積層された多層電極を含んでいてもよ
い。
また、本発明の第1の局面に係る半導体装置は、前記貫通電極との間に前記表面電極が置かれるように前記貫通電極の直上位置に配置された、外部接続用の表面バンプを含んでいてもよい
し、前記貫通電極の前記裏面側の端部に配置された、外部接続用の裏面バンプを含んでいてもよ
い。また、前記貫通電極は、円柱状に形成されていてもよ
い。また、前記半導体基板の前記表面は、複数の半導体素子が形成された素子形成面を含んでいてもよ
い。
【0021】
上記第3の目的を達成するため
の第2の局面に係る半導体装置は、表面および裏面を有する半導体基板と、前記半導体基板の前記表面に絶縁膜を介して設けられた表面電極と、前記裏面から前記表面まで前記半導体基板を貫通して前記表面電極に達するビアと、前記ビアの周壁に形成され、前記周壁側から順に積層された酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を含むビア絶縁膜と、前記ビアにおいて前記ビア絶縁膜の内側に埋め込まれ、前記表面電極に電気的に接続されたCuからなる貫通電極と、前記ビア絶縁膜と前記貫通電極との間に配置されたバリア膜とを含
んでいてもよい。
【0022】
前記第2の局面に係る半導体装置は、表面および裏面を有する半導体基板の前記表面に、絶縁膜を介して表面電極を形成する工程と、前記半導体基板を前記裏面から選択的にエッチングすることによって、前記半導体基板を貫通するビアを形成する工程と、前記ビアの周壁に、前記周壁側から順に積層された酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を含むビア絶縁膜を形成する工程と、前記ビアにおいて前記ビア絶縁膜の内側にバリア膜を形成する工程と、前記ビアにCuからなる電極材料を充填することによって、前記表面電極に電気的に接続されるように貫通電極を形成する工程とを含む、本発明の第2の局面に係る半導体装置の製造方
法によって製造することができる。
【0023】
この構成によれば、ビア絶縁膜の最表層が窒化シリコン膜であるため、貫通電極中のCuの拡散をバリア膜だけで阻止できなくとも、当該窒化シリコン膜によって確実に阻止することができる。その結果、ビア絶縁膜の酸化シリコン膜および半導体基板に形成されたトランジスタ等の素子の劣化を抑制することができる。
また、
前記第2の局面に係る半導体装置では、前記絶縁膜は、前記表面電極の裏面を露出させる開口を有し、前記ビア絶縁膜は、前記開口の内側に入り込んでいて、前記開口を区画する前記絶縁膜の縁部を覆っていてもよ
い。
【0024】
また、
前記第2の局面に係る半導体装置では、前記窒化シリコン膜は、前記絶縁膜の前記開口において前記酸化シリコン膜が露出しないように、前記ビアの前記周壁に倣って前記表面電極の前記裏面に至るまで形成されていることが好まし
い。
この構造は、
前記第2の局面に係る半導体装置の製造方法において、前記ビア内に前記酸化シリコン膜を形成し、当該酸化シリコン膜の底部を選択的に除去した後、前記窒化シリコン膜を前記酸化シリコン膜に積層する工程を実行するこ
とによって製造することができる。
【0025】
たとえばバリア膜をスパッタで形成する場合、スパッタ法ではアスペクト比が比較的高くなるので、ビアの底部(表面電極近傍)ではバリア膜が薄くなり易い。そのため、バリア膜によるCuの拡散防止効果を期待できないかもしれない。このような場合でも、酸化シリコン膜や半導体基板の表面上の絶縁膜が露出しないように、窒化シリコン膜が表面電極の裏面に至るまで形成されていれば、バリア膜で阻止できなかったCuの拡散を確実に阻止することができる。
【0026】
前記第2の局面に係る半導体装置では、前記酸化シリコン膜は、前記絶縁膜の前記開口において前記窒化シリコン膜側に回り込み、前記窒化シリコン膜の端部を被覆するオーバーラップ部を有していてもよ
い。
この構造は、
前記第2の局面に係る半導体装置の製造方法において、前記ビア内に前記酸化シリコン膜および前記窒化シリコン膜を連続して形成した後、当該酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の底部を選択的に連続して除去する工程を実行するこ
とによって製造することができる。
【0027】
この方法によれば、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の形成、および酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の選択的除去を、それぞれ連続して行うので、工程数を減らすことができる。その結果、製造効率を向上させることができる。
上記第5の目的を達成するための本発明の第1の局面に係る電子部品は、裏面に複数の外部端子を有するインタポーザと、前記インタポーザの表面に、前記表面が上方に向く姿勢で積層された本発明の半導体装置と、複数の裏面バンプを有し、当該裏面バンプが前記貫通電極に電気的に接続されるように前記半導体装置の前記表面に積層された第2半導体装置と、前記半導体装置および前記第2半導体装置を封止する樹脂パッケージとを含
む。
【0028】
この構成によれば、本発明の半導体装置が搭載されているので、当該半導体装置に貫通電極を高密度に設けることにより、小型化、大容量化および高機能化を実現することができる。
上記第4の目的を達成するための本発明の第3の局面に係る半導体装置の製造方法は、半導体装置が1つずつ形成される素子領域が複数配列された、表面および裏面を有する半導体ウエハにおいて、各前記素子領域の前記表面に絶縁膜を介して表面電極を形成する工程と、前記複数の素子領域を前記裏面から一斉に選択的にエッチングし、前記複数の素子領域のうち最もエッチングレートが速い第1素子領域が貫通し、残りの第2素子領域が貫通していない時点で当該エッチングを停止することによって、前記第1素子領域に第1ビアを形成し、同時に、前記第2素子領域に底部が前記表面近傍に位置する凹部を形成する工程と、前記第1ビア内および前記凹部内に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1ビアおよび前記凹部において前記第1絶縁膜の底部を選択的に除去する工程と、前記第1ビアおよび前記凹部の周壁に前記第1絶縁膜を残した状態で前記凹部の底壁に残っている前記半導体ウエハをエッチングすることによって、前記第2素子領域を貫通する第2ビアを形成する工程と、前記第1ビア内および前記第2ビア内に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第1ビアおよび前記第2ビアにおいて前記第2絶縁膜の底部を選択的に除去する工程と、前記第1ビアおよび前記第2ビアに電極材料を充填することによって、前記表面電極に電気的に接続されるように貫通電極を形成する工程とを含
む。
【0029】
この方法によれば、第2素子領域に形成された凹部をさらにエッチングして第2ビアを形成する際、第1素子領域の第1ビアの周壁が第1絶縁膜で保護されている。そのため、第2ビアの形成時、第1ビアの下方部がオーバーエッチングされても、そのエッチングが横方向に進行することを第1絶縁膜で防止することができる。その結果、第1ビアおよび第2ビアそれぞれにノッチが発生することを防止することができるので、各ビアの内面にスパッタシード膜を良好に形成することができる。よって、めっき法によってビアに貫通電極を形成する際のボイドの発生を防止できるので、貫通電極の歩留まりが向上する。また、第2絶縁膜を良好に形成することもできるので、貫通電極の絶縁性を確実に確保することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<電子部品の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品1の模式的な断面図である。
図2は、
図1の電子部品1のシステム構成を模式的に示すブロック図である。
電子部品1は、樹脂インタポーザ2と、樹脂インタポーザ2の表面3から順に積層された演算チップ4、Siインタポーザ5およびメモリチップ6と、樹脂パッケージ7とを含み、内部に電源系配線8および信号系配線9が組み込まれている。なお、演算チップ4、Siインタポーザ5およびメモリチップ6は、樹脂インタポーザ2の表面3に積層された複数の半導体装置の一例であり、これに限るものではない。
【0032】
樹脂インタポーザ2は、樹脂製(たとえば、エポキシ樹脂)基板からなり、その表面3に演算チップ4等が積層され、その裏面10に複数の外部端子11が形成されている。樹脂インタポーザ2のサイズは、14mm角であり、たとえば、10mm角〜15mm角であってもよい。樹脂インタポーザ2の厚さは、0.7mmであり、たとえば、0.6mm〜0.7mmであってもよい。
【0033】
外部端子11は、実装基板(プリント配線板)上のランド(電極)との電気接続用の端子である。外部端子11は、たとえば、半田などの金属材料を用いてボール状に形成されており、たとえば、互いに間隔を空けて行列状に配置されている。各外部端子11は、樹脂インタポーザ2の表面3と裏面10との間を貫通する導電性のビア(図示せず)を介して、演算チップ4の裏面バンプ19(後述)に電気的に接続されている。
【0034】
演算チップ4、Siインタポーザ5およびメモリチップ6は、互いに同じ大きさで形成されており、互いに側面が揃うように整って積層されている。これらのチップのサイズは、10mm角であり、たとえば、6mm角〜10mm角であってもよい。樹脂インタポーザ2よりも小さく、チップの厚さは、0.05mmであり、たとえば、0.04mm〜0.06mmであってもよい。
【0035】
これら複数の半導体チップ4〜6のうち、最上層の第2半導体装置としてのメモリチップ6と樹脂インタポーザ2との間にある半導体装置としての演算チップ4には、
図2に示すように、論理(Logic)・制御回路12が組み込まれている。論理・制御回路12には、電子部品1の電源系配線8および信号系配線9が接続されている。また、演算チップ4には、その表面13に当該論理・制御回路12を構成するトランジスタ(たとえばCMOSトランジスタ)、ダイオード、抵抗、キャパシタなどの複数の半導体素子が形成されている。つまり、演算チップ4では、メモリチップ6に対向する表面13が素子形成面であり、この素子形成面13が上方に向く姿勢で演算チップ4が樹脂インタポーザ2に積層されている。
【0036】
また、演算チップ4および半導体装置としてのSiインタポーザ5には、それぞれ表面13,15と裏面14,16との間を貫通する複数の貫通電極17,18が形成されており、各貫通電極17,18の裏面14,16側の端部に1つずつ裏面バンプ19,20が設けられている。裏面バンプ19,20は、たとえば、半田などの金属材料を用いてボール状に形成されている。また、演算チップ4の裏面バンプ19は、表面13上の半導体素子に電気的に接続されている。
【0037】
一方、最上層のメモリチップ6には、メモリセルアレイ21(この実施形態では、SRAM:Static Random Access Memoryのセルアレイ)および制御回路22が組み込まれており、これらの回路21,22には、電子部品1の電源系配線8および信号系配線9が接続されている。具体的には、制御回路22は電源系配線8によりメモリセルアレイ21に接続されており、メモリセルアレイ21は信号系配線9により演算チップ4の論理・制御回路12に接続されている。また、メモリチップ6には、その裏面23に当該メモリセルアレイ21および制御回路22を構成するトランジスタ、ダイオード、抵抗、キャパシタなどの複数の半導体素子が形成されている。つまり、メモリチップ6では、演算チップ4に対向する裏面23が素子形成面であり、この素子形成面23が下方に向く姿勢でメモリチップ6が樹脂インタポーザ2に積層されている。また、メモリチップ6には、その裏面23に複数の裏面バンプ24が設けられている。裏面バンプ24は、たとえば、半田などの金属材料を用いてボール状に形成されている。この裏面バンプ24は、裏面23上の半導体素子に電気的に接続されている。
【0038】
そして、メモリチップ6の裏面バンプ24は、Siインタポーザ5の貫通電極18および裏面バンプ20により中継されて、ピッチの異なる演算チップ4の貫通電極17および裏面バンプ19に電気的に接続されている。これにより、積層配置された複数の半導体チップが互いに電気的に接続され、樹脂インタポーザ2の外部端子11に電気的に接続されることとなる。
【0039】
なお、この実施形態では、演算チップ4とメモリチップ6との端子ピッチが互いに異なるので、これらの間に電気的な中継を担うSiインタポーザ5を配置しているが、当該端子ピッチが全く同じである場合には、Siインタポーザ5は省略されていてもよい。
樹脂パッケージ7(たとえば、エポキシ樹脂)は、樹脂インタポーザ2の裏面10を露出させるように、樹脂インタポーザ2の表面3側のみを封止しており、演算チップ4、Siインタポーザ5およびメモリチップ6が露出しないようにこれらのチップの全体を覆っている。また、樹脂パッケージ7は、その側面が樹脂インタポーザ2の側面と面一に揃うように形成されている。
【0040】
図3は、
図1のSiインタポーザ5および演算チップ4における貫通電極17,18のレイアウト図である。
図1で示したように、この実施形態では、積層配置された複数の半導体チップ4〜6のうち、演算チップ4およびSiインタポーザ5それぞれに貫通電極17,18が設けられている。
【0041】
演算チップ4では、たとえば、複数列(この実施形態では、2列)に整列した貫通電極17が、演算チップ4の中央部25を取り囲む周縁部26に沿って環状に設けられている。なお、演算チップ4の貫通電極17は、たとえば、それぞれが不規則にランダムに配置され、全体として演算チップ4の周縁部26に沿った環状に設けられていてもよい。
これにより、演算チップ4は、貫通電極17を利用して、メモリチップ6に電力および電気信号を送ることができる。つまり、演算チップ4の貫通電極17が電子部品1の電源系配線8および信号系配線9を形成し、当該配線8,9により電力および信号が送られる。
【0042】
一方、Siインタポーザ5では、たとえば、単列の貫通電極18が、Siインタポーザ5の中央部27を取り囲む周縁部28に沿って環状に設けられているとともに(以下、これらの貫通電極18を周縁部28の貫通電極18ということがある。)、当該周縁部28に取り囲まれた中央部27に、複数の貫通電極18を1つの群として、複数の群が行列状に配置されている(以下、これらの貫通電極18を中央部27の貫通電極18ということがある。)。
【0043】
周縁部28の各貫通電極18は、この実施形態では、それぞれ演算チップ4の各貫通電極17と同一直線上に配置されるように、演算チップ4の各貫通電極17の直上に配置されている。
中央部27の貫通電極18の各群では、行列状に配置された複数の貫通電極18を1つのブロックとして、複数のブロックが設けられている。具体的には、この実施形態では、8つの群が2行4列(2×4)の行列状に配置されており、各群では、4行64列(4×64)の貫通電極18を1ブロックとして2ブロック、つまり1つの群当たり合計512個の貫通電極18が設けられている。この群が8群あるので、Siインタポーザ5全体では、4096個(512個×8群)の貫通電極18が設けられている。
【0044】
これにより、Siインタポーザ5は、たとえば、中央部27の貫通電極18を利用して、演算チップ4(たとえば、論理・制御回路12)とメモリチップ6(たとえば、メモリセルアレイ21)との間に中央部27の貫通電極18の数のビット数(この実施形態では、4096ビット)の電気信号を中継することができる。つまり、Siインタポーザ5の中央部27の貫通電極18が電子部品1の信号系配線9を形成し、当該配線9により電気信号が双方向に送受信される。なお、貫通電極18の配置や数は、本発明の一例に過ぎず、それぞれの電子部品1の設計に合わせて適宜変更することができる。たとえば、1ブロック256個の貫通電極18は、8行32列(8×32)の行列状に配置されていてもよい。
【0045】
また、Siインタポーザ5は、たとえば、周縁部28の貫通電極18を利用して、演算チップ4からメモリチップ6(たとえば、制御回路22)へと送られる電力および電気信号を中継することができる。つまり、Siインタポーザ5の周縁部28の貫通電極18が電子部品1の電源系配線8および信号系配線9を形成し、当該配線8,9により電力および電気信号が送られる。
【0046】
次に、
図1の演算チップ4の構造を、5つの実施形態を例に挙げて説明する。
<第1実施形態>
図4は、
図1の演算チップ(第1実施形態)の構造を説明するための模式的な断面図である。
演算チップ4は、演算チップ4の本体をなす半導体基板としてのSi基板29と、ゲート絶縁膜30と、層間絶縁膜31と、表面電極としての表面パッド33と、パッド間配線34と、ビア42と、ビア絶縁膜35と、貫通電極17と、表面バンプ36と、裏面バンプ19とを含む。
【0047】
Si基板29は、たとえば、厚さ30μm〜50μmの基板であり、その表面13(素子形成面)に、ゲート絶縁膜30および複数(この実施形態では、2層)の層間絶縁膜31がこの順に積層されている。ゲート絶縁膜30は、当該表面13に形成されたトランジスタ(図示せず)が有するゲート絶縁膜30と一体な膜であり、当該トランジスタとの間で共有されている。また、ゲート絶縁膜30には、表面パッド33の裏面を露出させる開口32を有している。
【0048】
表面パッド33は、アルミニウム(Al)からなり、ゲート絶縁膜30、およびゲート絶縁膜30と最上層の層間絶縁膜(第2層間絶縁膜38)の間の層間絶縁膜(第1層間絶縁膜37)それぞれの上に積層された多層パッド構造を有している。
この実施形態では、表面パッド33は、2層パッド構造を有しており、ゲート絶縁膜30上に形成された下側パッド39と、第1層間絶縁膜37上に形成された上側パッド40とを含み、互いに上下に重なり合う下側パッド39と上側パッド40との間は、第1層間絶縁膜37を貫通する複数の導電性のビア41を介して電気的に接続されている。表面パッド33の層構造は、2層構造に限らず、たとえば、3層構造、4層構造、5層構造、それ以上の層構造であってもよい。また、表面パッド33の材料は、銅(Cu)などの他の金属材料であってもよい。
【0049】
表面パッド33は、各絶縁膜30,37上において、ゲート絶縁膜30の開口32を塞ぐように当該開口32に対向して形成されている。各表面パッド33は、ゲート絶縁膜30の開口32の径よりも大きな径W
1を有している。
また、第1層間絶縁膜37上において、互いに隣り合う上側パッド40の間には、複数のパッド間配線34が選択的に敷設されている。パッド間配線34は、ゲート絶縁膜30上の下側パッド39の間に敷設されていてもよい。
【0050】
ビア42は、裏面14から表面13までSi基板29を貫通して表面パッド33に達している。ビア42の形状は、たとえば、円柱状である。このビア42は、Si基板29の表面部(表面13の近傍)において内方に張り出した鍔部43を含む周壁44を有している。鍔部43は、Si基板29の表面13を形成している。鍔部43が形成されていることによって、周壁44には、鍔部43と周壁44の他の部分との間に段差S(高低差)が形成されている。ビア42において、鍔部43の内径W
2は表面パッド33の径W
1よりも小さく、周壁44の他の部分の内径W
3は表面パッド33の径W
1よりも大きくなっている。具体的には、鍔部43の内径W
2は、段差Sが0.5μmのとき4μm〜9μmであり、段差Sが1.0μmのとき3μm〜8μmであることが好ましい。また、周壁44の他の部分の内径W
3は5μm〜10μmであることが好ましい。
【0051】
ビア絶縁膜35は、酸化シリコンの単層膜からなり、ビア42の周壁44およびSi基板29の裏面14全域に設けられている。この実施形態では、ビア絶縁膜35は、ビア42の鍔部43を覆うボトム部47、周壁44の他の部分(鍔部43以外の部分)を覆う本体部48およびSi基板29の裏面14を覆う裏面部49を含む。ビア絶縁膜35のボトム部47、本体部48および裏面部49は、互いに一体的に形成されている。また、本体部48および裏面部49は、ビア42の内方に突出しないようにビア42の開口形状に倣うように連続している。つまり、この実施形態では、本体部48と裏面部49との境界にオーバーハング形状が形成されていない。なお、Si基板29の裏面14と裏面部49との間には、絶縁膜45(たとえば、酸化シリコン膜)が介在してもよい。絶縁膜45は、Si基板29にビア42を形成するときのハードマスクとして用いられたものである。
【0052】
また、ビア絶縁膜35は、本体部48およびボトム部47が、裏面部49に比べて薄く形成されている。さらに、本体部48ボトム部47には、これらと貫通電極17との接触面が平坦となるように、つまり、本体部48とボトム部47との境界に段差Sに応じた段差が生じないように、段差Sを補う膜厚差が設けられている。本体部48、ボトム部47および裏面部49の具体的な厚さは、たとえば、本体部48の厚さが1μm〜2μmであり、ボトム部47の厚さが0.5μm〜1μmであり、裏面部49の厚さが3μm〜5μmである。したがって、本体部48とボトム部47との間には、0.5μm〜1μm程度の膜厚差が設けられている。
【0053】
貫通電極17は、銅(Cu)からなり、ビア42においてビア絶縁膜35の内側に埋め込まれている。これにより、貫通電極17は、Si基板29のゲート絶縁膜30の開口32を通過して表面パッド33(下側パッド39)に達しており、表面パッド33に電気的に接続されている。また、貫通電極17の形状は、ビア42と同じ円柱状である。これにより、貫通電極17および表面パッド33は、Si基板29の厚さ方向に同一直線上に並んでいる。
【0054】
なお、貫通電極17とビア絶縁膜35との間には、たとえばタンタル(Ta)からなるバリア膜(図示せず)が形成されていてもよい。また、貫通電極17および表面パッド33は、必ずしも同一直線上に並んでいる必要はなく、たとえば、表面パッド33は、貫通電極17のSi基板29の表面13側端部から再配線等を引き回すことにより、平面視において貫通電極17から離れた位置に配置されていてもよい。
【0055】
表面バンプ36は、第2層間絶縁膜38上において、貫通電極17との間に表面パッド33が置かれるように、貫通電極17の直上位置に1つずつ配置されている。各表面バンプ36は、互いに上下に重なり合う上側パッド40に対して、第2層間絶縁膜38を貫通する導電性のビア50を介して電気的に接続されている。また、各表面バンプ36は、演算チップ4上にSiインタポーザ5を積層した状態において、たとえば、Siインタポーザ5の裏面バンプ20(
図1参照)と接続される。
【0056】
裏面バンプ19は、前述のように、各貫通電極17の裏面14側の端部に1つずつ設けられている。
以上説明した鍔部43を含む周壁44を有する演算チップ4の構成は、この実施形態では、貫通電極18が形成された半導体基板(Si基板)であるSiインタポーザ5にも採用されている。
【0057】
図5A〜
図5Nは、
図4の演算チップ4の製造工程の一部を工程順に示す図である。
演算チップ4を製造するには、まず、図示は省略するが、公知の方法により、Si基板29の表面13に対してイオン注入(たとえば、n型イオン、p型イオン)することにより、半導体素子を構成する不純物領域が形成される。
次に、
図5Aに示すように、熱酸化法によりゲート絶縁膜30を形成する。その後、スパッタ、フォトリソグラフィ、CVD等の公知の半導体装置の製造技術により、ゲート絶縁膜30上に、下側パッド39、第1層間絶縁膜37、ビア41、上側パッド40およびパッド間配線34、第2層間絶縁膜38、ビア50および表面バンプ36を順に形成する。
【0058】
次に、
図5Bに示すように、Si基板29の表面13側に、接着剤52を介してガラス基板53(支持体)を貼り付ける。
次に、
図5Cに示すように、たとえば、グラインダなどを用いて、Si基板29を裏面14側から研削して(バックグラインド)、Si基板29を薄化する。この実施形態では、700μm以上のSi基板29が30μm〜50μmになるまで研削する。
【0059】
次に、
図5Dに示すように、Si基板29の裏面14に、貫通電極17を形成すべき領域に選択的に開口55を有するハードマスク54(たとえば、酸化シリコン膜)を形成する。
次に、
図5Eに示すように、ハードマスク54を介してSi基板29にエッチングガス(たとえば、SF
6/O
2など)を供給して、Si基板29を裏面14側からドライエッチングする。このエッチングは、Si基板29が貫通しないように表面13近傍に達した時点で停止する。たとえば、薄化後のSi基板29の厚さに対して10〜15%程度の厚さのSiが残るようにする。薄化後のSi基板29が30μm〜50μm厚の場合、5μm程度の厚さのSiが残るようにする。エッチング停止位置の制御は、たとえば、エッチング開始からの経過時間に準じて行うことができる。このエッチングによって、底部が表面13近傍に位置する凹部46が形成される。なお、Si基板29の半導体ウエハの面内においてエッチングレートが互いに異なる複数の素子領域(たとえば、後述する第1素子領域77および第2素子領域78)が存在する場合は、最もエッチングレートが早い素子領域に、底部が表面13近傍に位置する凹部46が形成された時点でエッチングを停止すればよい。つまり、
図5Eに示す工程では、半導体ウエハの面内において、エッチングによって貫通する素子領域はないこととなる。
【0060】
次に、
図5Fに示すように、凹部46を形成したときのハードマスク54を絶縁膜45として残した状態で、PECVD法により、凹部46の内面(底壁および周壁)およびSi基板29の裏面14に、第1絶縁膜51を形成する。第1絶縁膜51は、たとえば、酸化シリコンからなる。この工程では、Si基板29の裏面14近傍において、凹部46の周壁を覆う本体部56およびSi基板29の裏面14を覆う裏面部57が、凹部46の内方に突出せずに連続するように第1絶縁膜51を形成する。たとえば、本体部56の厚さが0.5〜1μmとなるように第1絶縁膜51を形成することが好ましい。この際、PECVDのカバレッジの影響により、本体部56および裏面部57、さらには凹部46の底壁部分および底壁のエッジ部分の膜厚に差が生じる。膜厚差は、一般的には、裏面部57>本体部56>底壁部分>エッジ部分である。したがって、0.5μm〜1μm厚の本体部56を形成した場合には、裏面部57の厚さは2μm〜3μmとなる。
【0061】
図5Fの工程のように、ビア絶縁膜35の最表層をなす第2絶縁膜58(後述)の形成の前段階である第1絶縁膜51の形成時に、第1絶縁膜51を比較的薄く形成してオーバーハング形状の発生を防止することによって、ビア絶縁膜35の最終的な形状におけるオーバーハング形状の発生を効果的に防止することができる。
次に、
図5Gに示すように、エッチバックにより、第1絶縁膜51の凹部46の底壁上の部分を選択的に除去する。これにより、凹部46の底壁が露出する。
【0062】
次に、
図5Hに示すように、凹部46の周壁に第1絶縁膜51を残した状態で、凹部46の底壁に残っているSi基板29をエッチングする。エッチングは、ゲート絶縁膜30に達するまで続ける。これにより、Si基板29を貫通するビア42が形成され、同時に、Si基板29の表面部において第1絶縁膜51の下方に残った部分が、ビア42の周壁44の鍔部43として選択的に形成される。この工程では、第1絶縁膜51の本体部56と裏面部57とが交わる第1絶縁膜51の角部を、上方へ向かって広がるテーパ形状に成形することが好ましい。第1絶縁膜51の角部をテーパ形状にしておけば、ビア絶縁膜35の最終的な形状におけるオーバーハング形状の発生を、一層効果的に防止することができる。
【0063】
次に、
図5Iに示すように、PECVD法により、ビア42の内面(底壁および周壁44)およびSi基板29の裏面14全域に第2絶縁膜58を形成する。これにより、第1絶縁膜51および第2絶縁膜58からなるビア絶縁膜35が形成される。
ここで、鍔部43は、第1絶縁膜51の直下に残ったSiがビア42を形成するときのエッチングによって除去されずに形成されたものである。そのため、第1絶縁膜51の厚さは段差Sと同じとなる。したがって、第2絶縁膜58の形成段階では、第1絶縁膜51の表面と鍔部43との境界には段差が形成されておらず、これらは滑らかに連続した面を形成している。つまり、第1絶縁膜51により、鍔部43と周壁44の他の部分との段差を補うことができる。そして、第2絶縁膜58は、前述のように互いに滑らかに連続する第1絶縁膜51の表面および鍔部43に跨るように形成されるので、その表面はビア42の開口端から底部に至るまで段差のない平坦な面となる。
【0064】
また、この実施形態では、第2絶縁膜58は、たとえば、酸化シリコンからなる。すなわち、第1絶縁膜51および第2絶縁膜58の両方が酸化シリコン膜であるため、製造後の演算チップ4においてビア絶縁膜35は、
図4や
図5J以降の図に示すように、第1絶縁膜51および第2絶縁膜58が一体化した酸化シリコンの単層膜となる。なお、第1絶縁膜51および第2絶縁膜58の両方が酸化シリコン膜であっても、第1絶縁膜51および第2絶縁膜58が完全に一体化せずに、見掛け上酸化シリコン膜が重なった積層膜になる場合もある。
【0065】
また、第2絶縁膜58は、第1絶縁膜51の厚さ以上の厚さで形成することが好ましい。第2絶縁膜58を厚くすることによって、第2絶縁膜58において特に薄くなるビア42のエッジ部分に、十分な強度と耐圧を備えた絶縁膜を形成することができる。一方、第1絶縁膜51における凹部46のエッジ部分は非常に薄くなっていても、第2絶縁膜58の形成時に補強されるため、最終形態においても残る第2絶縁膜58のエッジ部分とは異なり、特に問題ならない。
【0066】
次に、
図5Jに示すように、エッチバックにより、ビア絶縁膜35の底壁上の部分および当該部分の下方のゲート絶縁膜30を選択的に除去する。これにより、ゲート絶縁膜30の開口32から表面パッド(下側パッド39)を露出させる。
次に、
図5Kに示すように、ビア絶縁膜35の表面にシード膜(たとえば、Ti/Cuの積層膜)をスパッタした後、電解めっきにより、当該シード膜からCuをめっき成長させる。これにより、ビア42におけるビア絶縁膜35の内側にCu(電極材料)が充填され、表面パッド33に電気的に接続された貫通電極17が形成される。
【0067】
次に、
図5Lに示すように、研磨面がビア絶縁膜35の裏面部49と面一に揃うまで、貫通電極17の余分な部分(ビア42外の部分)をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して除去する。
その後、
図5Mに示すように、各貫通電極17に1つずつ裏面バンプ19を形成し、
図5Nに示すように、Si基板29をガラス基板53から取り外すことにより、
図4の演算チップ4が得られる。
【0068】
以上、この実施形態によれば、ビア42の内径が鍔部43の位置において第1絶縁膜51の厚さ分小さくなるので、表面パッド33に対する貫通電極17の接触面積を小さくすることができる。そのため、ビア42の形成位置が表面パッド33に対して多少ずれても、上記接触面積が小さいので、表面パッド33に対して貫通電極17を確実にコンタクトさせることができる。
【0069】
したがって、ビア42を形成するときのパターニングの合わせ精度を考慮して、ビア42の径よりも表面パッド33を常に大きく設計していた従来とは異なり、演算チップ4によれば、表面パッド33を小さくしても、表面パッド33に対して貫通電極17を確実にコンタクトさせることができるので、表面パッド33の大きさの自由度を広げることができる。
【0070】
これにより、演算チップ4では、貫通電極17の微細化を行なう場合に、従来に比べて表面パッド33を縮小化できる。その結果、貫通電極17を高密度に設けることができるので、小型、大容量および高機能の半導体チップを実現することができる。
また、表面パッド33の縮小化により、互いに隣り合う表面パッド33の間のスペースを広げることができるので、そのスペースを有効利用して、パッド間配線34を敷設することができる。
【0071】
また、従来のやり方では、貫通電極17の容量を低減するためにビア42の内面に比較的厚い絶縁膜を形成することがあった。しかしながら、ビア42の絶縁膜を1回で厚くするのでは、絶縁膜のカバレッジの影響を受け、ビア42の裏面14側の開口端においてオーバーハング形状が発生する可能性が高い。オーバーハング形状が形成されていると、ビア42の内面にスパッタシード膜が形成され難いため、めっき法によってビア42に貫通電極17を形成する際、ボイドが発生し易くなる。
【0072】
そこで、この実施形態では、第1絶縁膜51の形成工程および第2絶縁膜58の形成工程の2段階の工程を経てビア絶縁膜35を形成するので、ビア42の開口端におけるビア絶縁膜35のオーバーハング形状の発生をなくすか、発生してもその大きさを抑えることができる。その結果、貫通電極17を形成する際のボイドの発生を防止することができる。さらに、第1絶縁膜51および第2絶縁膜58を適切な厚さに定めておけば、ビア絶縁膜35全体としては十分な厚さになるので、貫通電極17の容量を十分低減することもできる。
【0073】
そして、
図1の電子部品1によれば、上記した演算チップ4およびSiインタポーザ5が搭載されているので、演算チップ4およびSiインタポーザ5に貫通電極17を高密度に設けることにより、小型化、大容量化および高機能化を実現することができる。
<第2実施形態>
図6は、
図1の演算チップ(第2実施形態)の構造を説明するための模式的な断面図である。
図6において、前述の
図4に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0074】
前述の第1の実施形態では、ビア絶縁膜35は、酸化シリコンの単層膜からなっていたが、この第2の実施形態の演算チップ59では、ビア絶縁膜60は、周壁44側から順に積層された酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62を含む積層膜である。酸化シリコン膜61は、周壁44の鍔部43を除く部分に形成され、厚さが段差Sと同じである。一方、窒化シリコン膜62は、酸化シリコン膜61および鍔部43に跨るように形成されている。
【0075】
また、ビア絶縁膜60と貫通電極17との間にバリア膜63が配置されている。バリア膜63は、たとえば、タンタル膜である。
その他の構成は、前述の第1の実施形態の演算チップ4と同様である。
図7A〜
図7Nは、
図6の演算チップ59の製造工程の一部を工程順に示す図である。
図7A〜
図7Hに示すように、
図5A〜
図5Hと同様に、凹部46の底壁に残っているSi基板29をエッチングする工程までを実行する。なお、
図7Fの工程(
図5Fと同様の工程)で形成される第1絶縁膜は、酸化シリコン膜61である。
【0076】
次に、
図7Iに示すように、PECVD法により、ビア42の内面(底壁および周壁44)およびSi基板29の裏面14全域に窒化シリコン膜62を形成する。これにより、酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62からなるビア絶縁膜60が形成される。窒化シリコン膜62の厚さ等は、前述の第2絶縁膜58と同様である。
次に、
図7Jに示すように、エッチバックにより、窒化シリコン膜62の底壁上の部分および当該部分の下方のゲート絶縁膜30を選択的に除去する。これにより、ゲート絶縁膜30の開口32から表面パッド(下側パッド39)を露出させる。
【0077】
次に、
図7Kに示すように、ビア絶縁膜60の表面にバリア膜63を形成した後、シード膜(たとえば、Ti/Cuの積層膜)をスパッタする。その後、電解めっきにより、当該シード膜からCuをめっき成長させる。これにより、ビア42におけるバリア膜63の内側にCu(電極材料)が充填され、表面パッド33に電気的に接続された貫通電極17が形成される。
【0078】
次に、
図7Lに示すように、研磨面がビア絶縁膜60の裏面部49と面一に揃うまで、貫通電極17およびバリア膜63の余分な部分(ビア42外の部分)をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して除去する。
その後、
図7Mに示すように、各貫通電極17に1つずつ裏面バンプ19を形成し、
図7Nに示すように、Si基板29をガラス基板53から取り外すことにより、
図6の演算チップ59が得られる。
【0079】
以上、この実施形態によっても、前述の第1の実施形態と同様の作用・効果を達成することができる。
また、この演算チップ59によれば、ビア絶縁膜60の最表層が窒化シリコン膜62であるため、貫通電極17中のCuの拡散をバリア膜63だけで阻止できなくとも、当該窒化シリコン膜62によって確実に阻止することができる。その結果、ビア絶縁膜60の酸化シリコン膜61およびSi基板29に形成されたトランジスタ等の素子の劣化を抑制することができる。
<
第1参考形態>
図8は、
図1の演算チップ(
第1参考形態)の構造を説明するための模式的な断面図である。
図8において、前述の
図4に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0080】
前述の第1の実施形態では、周壁44に鍔部43が形成されていて、周壁44に段差Sが設けられていたが、この
第1参考形態の演算チップ64では、周壁44は鍔部43が形成されていない滑らかな平坦面となっている。
また、前述の第1の実施形態では、ビア絶縁膜35は、ゲート絶縁膜30の開口32の外側において、当該開口32を区画するゲート絶縁膜30の縁部に裏面14側から接するように形成されていた。この
第1参考形態では、ビア絶縁膜65は、開口32の内側に入り込んでいて、当該開口32を区画するゲート絶縁膜30の縁部を開口32の内側から覆っている。また、ビア絶縁膜65は、周壁44側から順に積層された酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67を含む積層膜である。酸化シリコン膜66は、ゲート絶縁膜30の開口32において窒化シリコン膜67膜側に回り込み、窒化シリコン膜67の端部を被覆するオーバーラップ部68を有している。
【0081】
また、ビア絶縁膜65と貫通電極17との間にバリア膜69が配置されている。バリア膜69は、たとえば、タンタル膜である。
その他の構成は、前述の第1の実施形態の演算チップ4と同様である。
図9A〜
図9Lは、
図4の演算チップ4の製造工程の一部を工程順に示す図である。
演算チップ64を製造するには、まず、図示は省略するが、公知の方法により、Si基板29の表面13に対してイオン注入(たとえば、n型イオン、p型イオン)することにより、半導体素子を構成する不純物領域が形成される。
【0082】
次に、
図9Aに示すように、熱酸化法によりゲート絶縁膜30を形成する。その後、スパッタ、フォトリソグラフィ、CVD等の公知の半導体装置の製造技術により、ゲート絶縁膜30上に、下側パッド39、第1層間絶縁膜37、ビア41、上側パッド40およびパッド間配線34、第2層間絶縁膜38、ビア50および表面バンプ36を順に形成する。
【0083】
次に、
図9Bに示すように、Si基板29の表面13側に、接着剤52を介してガラス基板53(支持体)を貼り付ける。
次に、
図9Cに示すように、たとえば、グラインダなどを用いて、Si基板29を裏面14側から研削して(バックグラインド)、Si基板29を薄化する。この
参考形態では、700μm以上のSi基板29が30μm〜50μmになるまで研削する。
【0084】
次に、
図9Dに示すように、Si基板29の裏面14に、貫通電極17を形成すべき領域に選択的に開口55を有するハードマスク54(たとえば、酸化シリコン膜)を形成する。
次に、
図9Eに示すように、ハードマスク54を介してSi基板29にエッチングガス(たとえば、SF
6/O
2など)を供給して、Si基板29を裏面14側からドライエッチングする。このエッチングは、Si基板29を貫通してゲート絶縁膜30が露出するまで続ける。これにより、Si基板29にビア42が形成される。さらに、ビア42の底面を形成するゲート絶縁膜30をエッチングして開口32を形成することにより、ビア42内に表面パッド33(下側パッド39)を露出させる。
【0085】
次に、
図9Fおよび
図9Gに示すように、ビア42を形成したときのハードマスク54を絶縁膜45として残した状態で、PECVD法により、ビア42の内面(底壁および周壁44)およびSi基板29の裏面14全域に酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67を連続して形成する。これにより、酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67からなるビア絶縁膜65が形成される。
【0086】
次に、
図9Hに示すように、エッチバックにより、酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67の底部(表面パッド33上の部分)を選択的に連続して除去する。これにより、ビア42内に表面パッド33(下側パッド39)が再度露出する。この際、酸化シリコン膜66の底部の一部は、窒化シリコン膜67の周壁44上の部分にも覆われている。そのため、エッチバック時に、当該底部の一部が窒化シリコン膜67の周壁44上の部分に保護されてオーバーラップ部68として選択的に残ることとなる。
【0087】
次に、
図9Iに示すように、ビア絶縁膜65の表面にバリア膜69を形成した後、シード膜(たとえば、Ti/Cuの積層膜)をスパッタする。その後、電解めっきにより、当該シード膜からCuをめっき成長させる。これにより、ビア42におけるバリア膜69の内側にCu(電極材料)が充填され、表面パッド33に電気的に接続された貫通電極17が形成される。
【0088】
次に、
図9Jに示すように、研磨面がビア絶縁膜65の裏面部49と面一に揃うまで、貫通電極17およびバリア膜69の余分な部分(ビア42外の部分)をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して除去する。
その後、
図9Kに示すように、各貫通電極17に1つずつ裏面バンプ19を形成し、
図9Lに示すように、Si基板29をガラス基板53から取り外すことにより、
図8の演算チップ64が得られる。
【0089】
以上、この
参考形態によれば、ビア絶縁膜65の最表層が窒化シリコン膜67であるため、貫通電極17中のCuの拡散をバリア膜69だけで阻止できなくとも、当該窒化シリコン膜67によって確実に阻止することができる。その結果、ビア絶縁膜65の酸化シリコン膜66およびSi基板29に形成されたトランジスタ等の素子の劣化を抑制することができる。
【0090】
また、酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67の形成(
図9Fおよび
図9G)、および酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67の選択的除去(
図9H)を、それぞれ連続して行うので、工程数を減らすことができる。その結果、製造効率を向上させることができる。
<
第2参考形態>
図10は、
図1の演算チップ(
第2参考形態)の構造を説明するための模式的な断面図である。
図10において、前述の
図4および
図8に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0091】
前述の
第1参考形態では、酸化シリコン膜66は、ゲート絶縁膜30の開口32において窒化シリコン膜67膜側に回り込み、窒化シリコン膜67の端部を被覆するオーバーラップ部68を有している。この場合、バリア膜69をスパッタで形成する場合、スパッタ法ではアスペクト比が比較的高くなるので、ビア42の底部(表面パッド33の近傍)ではバリア膜69が薄くなり易い。そのため、この部分に窒化シリコン膜67で覆うことが重要である。しかしながら、
第1参考形態では、酸化シリコン膜66のオーバーラップ部68が窒化シリコン膜67で覆われていないため、オーバーラップ部68を介してCuが拡散するかもしれない。
【0092】
そこで、この
第2参考形態の演算チップ70では、窒化シリコン膜67が、ゲート絶縁膜30の開口32において酸化シリコン膜66が露出しないように、ビア42の周壁44に倣って表面パッド33の裏面に至るまで形成されている。つまり、酸化シリコン膜66は、その全域が内側から窒化シリコン膜67で覆われている。これにより、バリア膜69が薄くなりやすい部分にも窒化シリコン膜67が配置されることになるので、貫通電極17中のCuの拡散を確実に阻止することができる。
【0093】
その他の構成は、前述の第
1実施形態の演算チップ4
および第1参考形態の演算チップ64と同様である。
図11A〜
図11Mは、
図10の演算チップ70の製造工程の一部を工程順に示す図である。
図11A〜
図11Fに示すように、
図9A〜
図9Fと同様に、ビア42の内面(底壁および周壁44)およびSi基板29の裏面14全域に酸化シリコン膜66を形成する工程までを実行する。
【0094】
次に、
図11Gに示すように、エッチバックにより、酸化シリコン膜66の底部(表面パッド33上の部分)を選択的に連続して除去する。これにより、ビア42内に表面パッド33(下側パッド39)が再度露出する。
次に、
図11Hに示すように、PECVD法により、ビア42の内面(底壁および周壁44)およびSi基板29の裏面14全域に窒化シリコン膜67を形成する。これにより、酸化シリコン膜66および窒化シリコン膜67からなるビア絶縁膜65が形成される。
【0095】
次に、
図11Iに示すように、エッチバックにより、窒化シリコン膜67の底部(表面パッド33上の部分)を選択的に連続して除去する。これにより、ビア42内に表面パッド33(下側パッド39)が再度露出する。
次に、
図11Jに示すように、ビア絶縁膜65の表面にバリア膜69を形成した後、シード膜(たとえば、Ti/Cuの積層膜)をスパッタする。その後、電解めっきにより、当該シード膜からCuをめっき成長させる。これにより、ビア42におけるバリア膜69の内側にCu(電極材料)が充填され、表面パッド33に電気的に接続された貫通電極17が形成される。
【0096】
次に、
図11Kに示すように、研磨面がビア絶縁膜65の裏面部49と面一に揃うまで、貫通電極17およびバリア膜69の余分な部分(ビア42外の部分)をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して除去する。
その後、
図11Lに示すように、各貫通電極17に1つずつ裏面バンプ19を形成し、
図11Mに示すように、Si基板29をガラス基板53から取り外すことにより、
図10の演算チップ70が得られる。
<第
3実施形態>
図12は、
図1の演算チップ(第
3実施形態)の製造に用いられる半導体ウエハの模式的な平面図である。
図13は、
図1の演算チップ(第
3実施形態)の構造を説明するための模式的な断面図である。
図12および
図13において、前述の
図4に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0097】
この実施形態では、互いに異なった形状のビア絶縁膜を有する第1演算チップ71(第1半導体装置)および第2演算チップ72(第2半導体装置)が作製される例を説明する。第1演算チップ71および第2演算チップ72は、たとえば、素子領域75が複数配列されたSiウエハ76を用いて作製される。このSiウエハ76は、製造後には各演算チップ71,72においてSi基板29となるものである。各素子領域75には、半導体装置が1つずつ形成される。なお、この実施形態では、第1演算チップ71が形成される素子領域を第1素子領域77とし、第2演算チップ72が形成される素子領域を第2素子領域78として説明する。
【0098】
第1の実施形態の演算チップ4と同様に、第2演算チップ72では、周壁44に鍔部43が形成されていて、周壁44に段差Sが設けられている。また、第2演算チップ72のビア絶縁膜73の本体部48ボトム部47には、これらと貫通電極17との接触面が平坦となるように、つまり、本体部48とボトム部47との境界に段差Sに応じた段差が生じないように、段差Sを補う膜厚差が設けられている。ビア絶縁膜73は、酸化シリコンの単層膜であってもよいし、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜であってもよい。
【0099】
一方、第1演算チップ71では、周壁44は鍔部43が形成されていない滑らかな平坦面となっている。また、第1演算チップ71のビア絶縁膜74は、周壁44に倣って一定の厚さを有している。このビア絶縁膜74も、酸化シリコンの単層膜であってもよいし、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜であってもよい。
その他の構成は、前述の第1の実施形態の演算チップ4と同様である。
【0100】
図14A〜
図14Nは、
図13の演算チップ4の製造工程の一部を工程順に示す図である。なお、以下の工程においては、特に指摘しない限り、第1素子領域77および第2素子領域78を含む全ての素子領域75に対して一括して処理を行うものとする。
第1演算チップ71および第2演算チップ72を製造するには、まず、図示は省略するが、公知の方法により、Si基板29(Siウエハ76)の表面13に対してイオン注入(たとえば、n型イオン、p型イオン)することにより、半導体素子を構成する不純物領域が形成される。
【0101】
次に、
図14Aに示すように、熱酸化法によりゲート絶縁膜30を形成する。その後、スパッタ、フォトリソグラフィ、CVD等の公知の半導体装置の製造技術により、ゲート絶縁膜30上に、下側パッド39、第1層間絶縁膜37、ビア41、上側パッド40およびパッド間配線34、第2層間絶縁膜38、ビア50および表面バンプ36を順に形成する。
【0102】
次に、
図14Bに示すように、Si基板29の表面13側に、接着剤52を介してガラス基板53(支持体)を貼り付ける。
次に、
図14Cに示すように、たとえば、グラインダなどを用いて、Si基板29を裏面14側から研削して(バックグラインド)、Si基板29を薄化する。この実施形態では、700μm以上のSi基板29が30μm〜50μmになるまで研削する。
【0103】
次に、
図14Dに示すように、Si基板29の裏面14に、貫通電極17を形成すべき領域に選択的に開口55を有するハードマスク54(たとえば、酸化シリコン膜)を形成する。
次に、
図14Eに示すように、ハードマスク54を介してSi基板29にエッチングガス(たとえば、SF
6/O
2など)を供給して、Si基板29を裏面14側から第1素子領域77および第2素子領域78を一斉にドライエッチングする。このエッチングは、複数の素子領域75のうち最もエッチングレートが速い素子領域(この実施形態では、第1素子領域77とする)が貫通し、残りの素子領域(第1素子領域77以外の全ての素子領域75であって、この実施形態では、第2素子領域78とする)が貫通していない時点で当該エッチングを停止する。これにより、第1素子領域77にビア42(第1ビア)が形成され、同時に、第2素子領域78に底部が表面13の近傍に位置する凹部79が形成される。
【0104】
次に、
図14Fに示すように、ハードマスク54を絶縁膜45として残した状態で、PECVD法により、凹部79の内面(底壁および周壁)およびSi基板29の裏面14に、第1絶縁膜80を形成する。第1絶縁膜80は、たとえば、酸化シリコンからなる。この工程では、Si基板29の裏面14近傍において、ビア42および凹部79の周壁を覆う本体部81およびSi基板29の裏面14を覆う裏面部82が、ビア42および凹部79の内方に突出せずに連続するように第1絶縁膜51を形成する。たとえば、本体部81の厚さが0.5〜1μmとなるように第1絶縁膜51を形成することが好ましい。この際、PECVDのカバレッジの影響により、本体部81および裏面部82、さらにはビア42および凹部79の底壁部分、ならびに底壁のエッジ部分の膜厚に差が生じる。膜厚差は、一般的には、裏面部82>本体部81>底壁部分>エッジ部分である。したがって、0.5μm〜1μm厚の本体部81を形成した場合には、裏面部82の厚さは2μm〜3μmとなる。
【0105】
図14Fの工程のように、ビア絶縁膜73,74の最表層をなす第2絶縁膜83(後述)の形成の前段階である第1絶縁膜80の形成時に、第1絶縁膜80を比較的薄く形成してオーバーハング形状の発生を防止することによって、ビア絶縁膜73,74の最終的な形状におけるオーバーハング形状の発生を効果的に防止することができる。
次に、
図14Gに示すように、エッチバックにより、第1絶縁膜80の底部(第1素子領域77におけるビア42の底壁および第2素子領域78における凹部79の底壁上の部分)を選択的に除去する。これにより、ビア42においてゲート絶縁膜30が露出し、同時に、凹部79の底壁が露出する。
【0106】
次に、
図14Hに示すように、ビア42の周壁44および凹部79の周壁に第1絶縁膜80を残した状態で、凹部79の底壁に残っているSi基板29をエッチングする。エッチングは、ゲート絶縁膜30に達するまで続ける。これにより、第2素子領域78においてもSi基板29を貫通するビア42(第2ビア)が形成され、同時に、Si基板29の表面部において第1絶縁膜80の下方に残った部分が、ビア42の周壁44の鍔部43として選択的に形成される。この工程では、第1絶縁膜80の本体部81と裏面部82とが交わる第1絶縁膜80の角部を、上方へ向かって広がるテーパ形状に成形することが好ましい。第1絶縁膜80の角部をテーパ形状にしておけば、ビア絶縁膜73,74の最終的な形状におけるオーバーハング形状の発生を、一層効果的に防止することができる。
【0107】
次に、
図14Iに示すように、PECVD法により、第1素子領域77および第2素子領域78のビア42の内面(底壁および周壁44)およびSi基板29の裏面14全域に第2絶縁膜83を形成する。これにより、第1素子領域77において、第1絶縁膜80および第2絶縁膜83からなるビア絶縁膜74が形成される。一方、第2素子領域78において、第1絶縁膜80および第2絶縁膜83からなるビア絶縁膜73が形成される。
【0108】
ここで、鍔部43は、第1絶縁膜80の直下に残ったSiがビア42(第2ビア)を形成するときのエッチングによって除去されずに形成されたものである。そのため、第1絶縁膜80の厚さは段差Sと同じとなる。したがって、第2絶縁膜83の形成段階では、第1絶縁膜80の表面と鍔部43との境界には段差が形成されておらず、これらは滑らかに連続した面を形成している。つまり、第1絶縁膜80により、鍔部43と周壁44の他の部分との段差を補うことができる。そして、第2絶縁膜83は、前述のように互いに滑らかに連続する第1絶縁膜80の表面および鍔部43に跨るように形成されるので、その表面はビア42の開口端から底部に至るまで段差のない平坦な面となる。
【0109】
また、この実施形態では、第2絶縁膜83は、たとえば、酸化シリコンからなる。すなわち、第1絶縁膜80および第2絶縁膜83の両方が酸化シリコン膜であるため、製造後の第1演算チップ71および第2演算チップ72においてビア絶縁膜73,74は、
図13や
図14J以降の図に示すように、第1絶縁膜80および第2絶縁膜83が一体化した酸化シリコンの単層膜となる。なお、第1絶縁膜80および第2絶縁膜83の両方が酸化シリコン膜であっても、第1絶縁膜80および第2絶縁膜83が完全に一体化せずに、見掛け上酸化シリコン膜が重なった積層膜になる場合もある。
【0110】
また、第2絶縁膜83は、第1絶縁膜80の厚さ以上の厚さで形成することが好ましい。第2絶縁膜83を厚くすることによって、第2絶縁膜83において特に薄くなるビア42のエッジ部分に、十分な強度と耐圧を備えた絶縁膜を形成することができる。一方、第1絶縁膜80における凹部79のエッジ部分は非常に薄くなっていても、第2絶縁膜83の形成時に補強されるため、最終形態においても残る第2絶縁膜83のエッジ部分とは異なり、特に問題ならない。
【0111】
次に、
図14Jに示すように、エッチバックにより、ビア絶縁膜73,74の底壁上の部分および当該部分の下方のゲート絶縁膜30を選択的に除去する。これにより、ゲート絶縁膜30の開口32から表面パッド(下側パッド39)を露出させる。
次に、
図14Kに示すように、ビア絶縁膜73,74の表面にシード膜(たとえば、Ti/Cuの積層膜)をスパッタした後、電解めっきにより、当該シード膜からCuをめっき成長させる。これにより、ビア42におけるビア絶縁膜73,74の内側にCu(電極材料)が充填され、表面パッド33に電気的に接続された貫通電極17が形成される。
【0112】
次に、
図14Lに示すように、研磨面がビア絶縁膜73,74の裏面部49と面一に揃うまで、貫通電極17の余分な部分(ビア42外の部分)をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して除去する。
その後、
図14Mに示すように、各貫通電極17に1つずつ裏面バンプ19を形成し、
図14Nに示すように、Si基板29をガラス基板53から取り外す。その後、Si基板29(Siウエハ76)を各素子領域に切り分けることにより、
図13の第1演算チップ71および第2演算チップ72が得られる。
【0113】
以上、この実施形態によれば、第2素子領域78に形成された凹部79をさらにエッチングしてビア42(第2ビア)を形成する際(
図14H)、第1素子領域77のビア42(第1ビア)の周壁44が第1絶縁膜80で保護されている。そのため、第2素子領域78のビア42の形成時、第1素子領域77のビア42の下方部がオーバーエッチングされても、そのエッチングが横方向に進行して周壁44がエッチングされることを第1絶縁膜80で防止することができる。その結果、第1素子領域77のビア42および第2素子領域78のビア42それぞれにノッチが発生することを防止することができるので、各ビア42の内面にスパッタシード膜を良好に形成することができる。よって、めっき法によってビア42に貫通電極17を形成する際のボイドの発生を防止できるので、貫通電極17の歩留まりが向上する。また、第2絶縁膜83を良好に形成することもできるので、貫通電極17の絶縁性を確実に確保することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態
および参考形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、貫通電極17は、楕円柱状、四角柱状、六角柱状、八角柱状であってもよい。
また、貫通電極17は、CVD法を用いてポリシリコンをビア42に充填することにより形成することができる。ただし、その場合にはSi基板29およびガラス基板53が高温に晒されるので、接着剤52が溶けないように対策を施す必要がある。つまり、接着剤52の耐熱温度が比較的低温(200℃程度)である場合には、前述の実施形態
や参考形態のように、電解めっき法を採用することが好ましい。
【0115】
また、前述の実施形態
および参考形態の開示から把握される特徴は、異なる実施形態
および参考形態間でも互いに組み合わせることができる。また、各実施形態
および各参考形態において表した構成要素は、この発明の範囲で組み合わせることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。