【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様により、特定の切替特性を有する周辺装置を制御して動作を切り替える動作検出装置が提案される。動作検出装置は、動作の検出に応答して検出信号を供給する動作検出装置と、検出信号の間の期間を格納するメモリとを備える。また、動作検出装置は、切替信号を周辺装置に出力して、周辺装置を作動期間の間、第1の動作モードから第2の動作モードに切り替える信号生成部を備える。さらに、動作検出装置は、信号生成部を制御するコントローラを備え、当該コントローラは、少なくとも周辺装置の特定の切替特性と、メモリに格納されている検出信号の期間の選択とに基づいて、作動期間を決定するように構成される。
【0018】
本発明の動作検出装置は、メモリに保存されている検出信号の間の期間に基づいて、作動期間を決定することができる点で有利である。ここで、作動期間は、動作状態が切り替わっている期間を規定するタイマー間隔t
pとすることができる。このように、動作検出装置は、2つの検出信号の間の実際の期間が、オフに切り替わっている時間として十分に長いか、または短いかを適応学習することができる。2つの検出信号の間の期間を保存することにより、2つの検出信号の間の期間が長かった時点や、当該期間が短かった時点を判断することができる。さらに、これらの期間は、例えば、時刻、平日、休日などの特別な日を考慮して選択することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、動作検出装置は、時間や特定の日時の情報を決定し、この情報を期間と共に保存するように構成可能なユニットを備えることができる。
【0020】
このように、周辺装置の切り替えレートを改善することができる。例えば、2つの検出信号の間の期間が短いと学習した場合は、周辺装置のオフへの切り替えを遅らせ、2つの検出信号の間の期間が長い場合は、周辺装置をオフに切り替えることができる。また、将来の発生のために、2つの検出信号の間の期間が長いか、または短いか予測することができる。
【0021】
さらに、作動期間を決定する際に周辺装置の切替特性を考慮することができる点で有利である。このように、周辺装置をオンに切り替えるのに必要なエネルギーを償却する償却時間(amortization time)を考慮することができる。
【0022】
起動エネルギーを償却する償却時間(例えば、周辺装置がオフの時間)は、例えば、周辺装置の起動に要するエネルギー(例えば、周辺装置が起動の際に理想的な状態で動作すると仮定すると、周辺装置の起動エネルギーE
warm−upおよび電力P
warm)によって定義することができる。したがって、償却時間t
amortizeは、数式1によって算出することができる。
【0023】
【数1】
【0024】
いくつかの実施形態によれば、動作検出装置は、2つの検出信号の期間が、特定の時間における償却時間と等しいか、当該償却時間よりも長いか、または当該償却時間よりも短いかを考慮する。いくつかの実施形態によれば、動作検出装置は、将来発生する検出信号の間の期間、または現時点から次の検出信号までの期間が、償却時間と等しい、償却時間よりも長い、または償却時間よりも短いと予測できるか否かを考慮することができる。例えば、予め一日または一週間に保存されたデータは、現時点における作動期間の決定を考慮することができる。もちろん、異なる時間に保存したデータを用いて、作動期間を決定することもできる。具体的には、過去のいくつかの出来事に関するデータは、当該データが保存されている間、考慮することができる。例えば、或る日の同時刻のデータ、2日間における同時刻のデータ、それ以上の日数における同時刻のデータ、1週間における同時刻のデータ、2週間における同時刻のデータ、それ以上の期間における同時刻のデータ等の過去に周期的に保存されたデータを考慮することができる。このように、検出信号の発生の統計的な異常値を平均することができる。
【0025】
有利なことに、これによって作動期間を、検出信号の既知の発生レートまたは予測される発生レートに適応させることができる。さらに、作動期間を、償却時間のような周辺装置の特性に適応させることができる。このように、エネルギーを節約すると共に周辺装置の消耗を低減可能な周辺装置の切り替え方法を提供することができる。
【0026】
一実施形態では、コントローラは、人が動きを止めた状態でいる既定の最大時間(以下、「最大停止時間」とする。)よりも作動期間が長くなるよう、または作動期間が当該既定の最大停止時間と同じになるように、作動期間を決定するように構成される。
【0027】
有利なことに、これにより、人が検出範囲の近傍にいる間、別の検出信号を発生させることなく、周辺装置の動作モードをオンに維持することができる。これは、動作検出部がエリア全体をカバーしていない場合、または、人が既定の時間(具体的には、既定の最大停止時間)動いていない場合に実現することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、既定の時間は、例えば、玄関や廊下、トイレの照明によって周辺装置が提供する特定のエリアを人が占有する時間とすることができる。また、この時間は、動作検出装置のメモリに保存することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、例えば、時刻または他の供給源(自然光等)に依存する複数の既定の最大停止時間を採用することができる。例えば、一日のうちの特定の時間において、検出範囲、すなわち、照射された範囲を横切る人々は、早く移動するときもあり、ゆっくり移動するときもあり、頻繁に動きを止めることもある。また、玄関や廊下には、自然光が当たることがあり、日中は玄関や廊下の一部のみに光が供給され、日没後は、玄関や廊下全体に光が照射されるため、人の動作に関する評価や期間に影響を及ぼすことがある。
【0030】
したがって、本発明は、動作検出装置を使用場所における個別の要求に適応させることができ、条件を変更できる点で有利である。
【0031】
他の実施形態では、連続する2つの検出信号の間の期間を既定の時間間隔で判断するタイマーが動作検出部に設置される。
【0032】
したがって、動作検出装置は、連続する検出信号の間の期間を或る時間間隔内で決定して保存することができ点で有利であり、現在においても意義がある。いくつかの実施形態では、この時間は、例えば、1時間とすることができる。このように、最後の検出信号から1時間以内の連続する2つの検出信号の間の期間は、検出信号の最新の発生レートに関する指標を提供する。既定の時間間隔は、最後の検出信号に関連するため、事後的に変更できる点で有利である。このように、最後のイベントより前の既定の時間間隔は、常に作動期間を決定する際に考慮される。このような時間間隔における検出信号の発生レートは、例えば、夜と昼で変化する可能性や時刻によって変化する可能性があるため、動作検出装置は、実際の状況に従って制御することができる。これにより、周辺装置のエネルギー消費と寿命を改善することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、既定の時間間隔は、1時間よりも長くすることができ、例えば、数時間や一日、数日、それ以上の時間とすることができる。しかしながら、既定の時間間隔は、30分や分単位の時間のように短くすることもできる。時間間隔を設定する場合、周辺装置の切替特性も考慮することができる。例えば、LED照明のように周辺装置の償却時間および/または起動時間が短い場合、連続する2つの検出信号の間の期間を測定する既定の時間間隔を短くすることは有利である。
【0034】
蛍光灯のように償却時間が長い場合、および/または冷暖房空調設備のように起動時間が長い場合、既定の時間間隔を長くすることは有利である。一般に、償却時間のタイムスケール、および/または許容可能な最大停止時間よりも長いタイムスケールに基づいて、既定の時間間隔を設定することが有利である。
【0035】
いくつかの実施形態では、動作検出装置は、タイマーによって既定の時間間隔で測定される連続する2つの検出信号の間の期間をメモリに保存するように構成できる。さらに、動作検出装置は、メモリに既に保存されているデータを削除し、または最新のデータで上書きするように構成できる。このようにして、メモリサイズを低減することができ、動作検出装置自体の電力消費を改善することができる。具体的には、新しい測定値が、例えば、循環バッファ方式で古い測定値を上書きするように、可変の測定期間を利用することができる。
【0036】
他の実施形態では、動作検出装置は、タイマーによって決定された期間をフィルタリングし、既定の最大停止時間よりも長い期間のみを出力するフィルタを備えることができ、ことができる。
【0037】
これは、人の頻繁な動作停止や動作検出部の不十分な検出範囲が原因で、検出信号が発生し、新たなトリガとして計数される場合を考慮することができる点で有利である。これらの検出信号を除去することにより、周辺装置を第1の動作モードから第2の動作モードに切り替える作動期間は、例えば、人が検出範囲に入ったとき、第1の検出信号に関連して開始する。この最初の検出信号から最大停止時間の終了までの間に受信した検出信号は、恒久的なトリガとしてみなすことができる。このように、別の検出信号を受信しない場合、人の動きが無くなった直後に周辺装置をオフに切り替えるように、作動期間を決定することができる。これにより、人が検出範囲を離れたことを適切に判断することができる。
【0038】
他の実施形態では、動作検出装置は、既定の時間間隔内にフィルタによって出力される連続する2つの信号の間の各期間の発生を判断する判断部を備えることができる。
【0039】
有利なことに、検出部が非停止時間内でない場合は、フィルタによって出力されるこれらの発生のみを考慮して、作動期間を決定することができる。したがって、例えば、検出範囲に同時に入った複数人の動作は、別個の発生とみなされない。また、1人の人による動作の停止や動作の継続は計数されない。このように、作動期間の決定を向上させることができる。
【0040】
他の実施形態では、動作検出装置のメモリは、判断された発生ごとに、発生のベクトルと当該発生に割り当てられる期間とを保存するように構成できる。例えば、各ベクトルは、測定された期間毎に、計数された発生回数を含むことができる。
【0041】
これにより、検出信号の発生に関する詳細な情報、特に、特定の時間間隔内における発生回数を考慮することが可能になる。具体的には、検出範囲の占有の分析に関する詳細な情報をメモリに保存することができる。また、ユーザが、検出範囲の占有レートを容易に評価し、提示することができる。
【0042】
他の実施形態では、コントローラが、メモリに保存されたベクトルと周辺装置の切替特性とに基づいて、作動期間を決定するように構成できる。このように、実際の状況に適した作動期間を決定することができる。したがって、より洗練され、より詳細な切替スキームを作成することができる。その結果、電力消費を低減し、周辺装置の切替特性をさらに考慮することができる。
【0043】
他の実施形態では、切替特性は、少なくとも償却時間間隔と、当該償却時間間隔に割り当てられた好適な動作モードとを含むことができ、コントローラは、周辺装置を好適な動作モードに切り替えるべきか否かを評価するように構成できる。ここで、償却時間間隔は、エネルギーを節約するために周辺装置を切り替えることが有益ではない時間間隔とすることができる。この点において、有益とは、短期間で周辺装置をオフに切り替えることは、周辺装置を動作させないため、エネルギーの節約になることを意味すると理解すべきである。しかしながら、周辺装置をオフに切り替えた直後の検出信号によって周辺装置をオンに切り替えてもよく、周辺装置をオンに切り替えることで消費されるエネルギーが、当初から周辺装置をオンの状態のままにした際に消費されるエネルギーを超えてもよい。
【0044】
周辺装置の好適な動作モードは、周辺装置によってエネルギーが消費されないオフ状態である点で有利である。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、空調や給気の場合は、好適な動作モードを基本供給モードとすることもできる。好適な動作モードをオンモードにすることもできる。
【0045】
他の実施形態では、コントローラは、償却時間間隔内に動作検出部から別の検出信号を受信しない確率であって、所定の確率閾値(例えば、50%)と等しいまたは当該確率閾値よりも大きい確率を有する時間間隔を決定するように構成でき、作動期間を当該決定された時間間隔に設定するように構成できる。これは、時間間隔が長く、確率が50%である場合、次の検出信号を受信する前に、償却時間よりも長い時間の間に周辺装置がオフに切り替わる件数は、確率が50%でないときの件数と同じように多くなる点で有利である。これは、周辺装置が、個々のケースについて客観的に必要とされるよりも長い好適でない動作モードにされた場合でも、正味のエネルギー消費を低減できることを意味する。
【0046】
他の実施形態では、コントローラは、切り替えの時間間隔を、算出された最小の時間パラメータt
pminに設定するよう構成でき、コントローラはさらに、数式2を用いて最小の時間パラメータt
pminを算出するように構成できる。
【0047】
【数2】
ここで、tは時間を示し、t
pは時間パラメータを示し、t
amortizeは償却時間を示し、occは時間tにおける発生回数を示す。
【0048】
このように、次の検出信号(すなわち、次の発生)まで少なくとも償却時間t
amortize離れている確率(例えば、50%)を有する時間パラメータt
pminを識別することができる。したがって、この最小の時間パラメータt
pminを作動期間として設定することにより、エネルギー消費を削減することができる。確率的に多くの場合、周辺装置をオフに切り替えて、償却時間内にオンに戻すことは省略される場合がある。
【0049】
他の実施形態では、第1の動作モードで周辺装置の動作をオフにし、第2の動作モードで周辺装置の動作をオンにすることができる。2つの動作モードのみを提供することにより、コントローラを簡易な方法で設定できる点で有利である。これにより、コストを削減することができる。
【0050】
他の実施形態では、周辺装置は、蛍光灯等の照明器具や空調設備とすることができる。いくつかの実施形態では、周辺装置は、汎用の電球、LED、または他の汎用の照明器具とすることもできる。周辺装置は、例えば、水やガス等の液体を供給する他の環境制御装置を備えることができる。いくつかの実施形態では、周辺装置は、起動されて録画や動画再生を行うビデオシステムとすることができる。
【0051】
エネルギー消費を改善することは、本発明が奏する複数の効果のうちの1つに過ぎないことに留意すべきである。しかしながら、例えば、特定の環境条件を提供するために、できるだけ長い間、周辺装置を動作させることを要求する実施形態や、環境が制御されているエリアに人がアクセスする場合にのみオフに切り替える実施形態も考えられる。したがって、上述した動作モードの「オン」や「オフ」は動作モードの単なる例示であり、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されるものではないと理解すべきである。
【0052】
さらに、本発明の動作検出装置は、オンモードおよびオフモードに他のモードを加えた複数の動作モードにおける動作モードの切り替えに応用することができる。したがって、周辺装置の切替特性に基づいて、同じ方法または同様の方法で周辺装置の動作モードを段階的または連続的に変更することもできる。
【0053】
メモリは、保存処理を行う任意のエンティティとすることができる。さらに、フィルタは、フィルタリングを行う任意のエンティティとすることができ、判断部は、判断を行う任意のエンティティとすることができ、コントローラは、制御を行う任意のエンティティとすることができる。
【0054】
各エンティティは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実現することができる。当該エンティティがハードウェアで実現される場合、当該エンティティは、デバイス(例えば、コンピュータ)、プロセッサ、またはシステム(例えば、コンピュータシステム等)の一部として具体化することができる。当該エンティティがソフトウェアで実現される場合、当該エンティティは、コンピュータプログラム製品、関数、ルーチン、プログラムコード、または実行可能なオブジェクトとして具体化することができる。
【0055】
第1の態様のいずれかの実施形態は、第1の態様の別の実施形態と組み合わせることができ、第1の態様のさらに別の実施形態を実現することができる。
【0056】
本発明の第2の態様によれば、切替特性を有する周辺装置と、周辺装置を制御して動作を切り替える第1の態様の動作検出装置とを備えるシステムが提案される。
【0057】
本発明の第3の態様によれば、切替特性を有する周辺装置を制御して動作を切り替える方法が提案される。この方法は、動作検出部から検出信号を受信するステップと、複数の検出信号の間の期間をメモリに保存するステップとを含む。他のステップでは、作動期間は、メモリに保存されている検出信号の期間および周辺装置の切替特性に基づいて、決定される。他のステップでは、切替信号が周辺装置に出力され、決定された作動期間の間、周辺装置を第1の動作モードから第2の動作モードに切り替える。
【0058】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが提案される。このコンピュータプログラムは、本発明の第3の態様である周辺装置を制御して動作を切り替える方法を実行するプログラムコードを有する。
【0059】
以下、添付した図面を参照して本発明の例示的な実施形態について説明する。