(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る車両用防音カバーを実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
<車両用防音カバーの取付構造>
先ず、本実施形態における車両用防音カバーを車両に取付ける構造について説明する。
図1の斜視図は、自動車10の車両室内11にアンダーカバー40が設置されている状態を示している。このアンダーカバー40は、本発明に係る車両用防音カバーに相当する部材であり、後に詳述する遮音機能と吸音機能を兼ね備えるカバー部材となっている。このアンダーカバー40は、車両室内11の助手席12のグローブボックス13の下側位置に取り付けられている。このアンダーカバー40は、エンジンおよびエアコンの駆動音が、車両室内11に入ってくるのを遮るように配設されている。なお、上記したように、このアンダーカバー40には、エンジンおよびエアコンの駆動音を吸収する吸音機能も兼ね備えている。このため、アンダーカバー40は、助手席12の前側のインストルメントパネル15のうち、グローブボックス13の下側位置のインストルメントパネル15に対して取り付けられている。
なお、このグローブボックス13の下側位置のインストルメントパネル15(取付け部20)は、このアンダーカバー40が取り付けられるための本実施形態における車両室内の取付け対象とする。
このように取り付けられるアンダーカバー40は、助手席12の前側に配置されるエンジンルームのエンジンの駆動音や、インストルメントパネル15の内部に配置されるエアコンの駆動音等が、車両室内11に入ってくるのを遮るように機能することとなる。
なお、上記したようにアンダーカバー40が設置される個所は、インストルメントパネル15の内部から車両室内11に向けてエンジンやエアコンの駆動音が入ってくるのを遮りたい個所である。つまり、アンダーカバー40は、インストルメントパネル15の内部から車両室内11に駆動音が入ってくるのを遮る遮音機能と、駆動音を吸収する吸音機能とを有する。
【0021】
遮音機能および吸音機能を有するアンダーカバー40は、次のような素材(以下、『カバー素材30』)により成形される。
図2の断面図は、成形によりアンダーカバー40とするカバー素材30の断面を拡大して示している。
図2に示すカバー素材30は、遮音機能および吸音機能の両者の機能を具備する素材である。つまり、このカバー素材30は、遮音効果および吸音効果を奏するように形成された素材である。このため、これらの機能を具備するカバー素材30を成形したアンダーカバー40にあっても、これらの遮音機能および吸音機能の両者の機能を具備する成形部材となる。
カバー素材30は、
図2に示すように、概略、繊維構造体31(基材層)、非通気性フィルム35、表皮33(表皮層)を有する。
カバー素材30は、繊維構造体31(基材層)に、非通気性フィルム35を介装して表皮33(表皮層)を積層する。そして、カバー素材30は、積層された状態で加熱されて各層の表面部が熱融着結合され、圧縮成形により所定形状に成形されて繊維成形体からなるアンダーカバー40(車両用防音カバー)となる。かかるカバー素材30からなるアンダーカバー40の構成は、後述で詳細に説明する。
【0022】
図3の斜視図は、
図2のカバー素材30により成形されたアンダーカバー40を示している。なお、アンダーカバー40等を説明するにあたっては、
図3の記載にて規定される『前後上下左右』に基づいて説明する。
アンダーカバー40は、
図1、3に示すように、車両室内11にあるグローブボックス13の下側位置に取り付けられる。具体的には、このアンダーカバー40は、グローブボックス13の下側位置のインストルメントパネル15に取り付けられる。このアンダーカバー40の取付けは、インストルメントパネル15に設けられる前側取付け部21および後側取付け部25にて支持される。なお、これら前側取付け部21および後側取付け部25についてを、インストルメントパネル15に設けられる取付け部20と総じて称する。
この取付け部20は、アンダーカバー40を取り付けるためにインストルメントパネル15に配設されるのものである。ここでアンダーカバー40は、このインストルメントパネル15に対して、車両室内11(自動車10)の前後方向の両側で支持されるようになっている。このため、インストルメントパネル15には、アンダーカバー40を支持するための取付け部20(前側取付け部21、後側取付け部25)が、開口された配設個所の前後端に設けられている。このように取付け部20(前側取付け部21、後側取付け部25)にて、開口された配設個所に取り付けられるアンダーカバー40は、このグローブボックス13の下側位置に形成された開口範囲を閉塞することとなる。
【0023】
次に、この取付け部20をなす前側取付け部21および後側取付け部25について、
図3〜
図6を参照しながら説明する。なお、これら前側取付け部21および後側取付け部25に対応するカバー体41側の構成については後に詳述するものとする。また、
図4の断面図は、
図3のIV−IV断面矢視を示すカバー体41を示している。
図5の断面図は、
図3のV−V断面矢視を示すカバー体41を示している。
図6(A)の断面図は、
図5の丸抜き部分(A)を拡大して示す。
図6(B)の断面図は、
図5の丸抜き部分(B)を拡大して示す。
図6(C)の断面図は、
図5の丸抜き部分(C)を拡大して示す。
前側取付け部21は、
図3に示すように、グローブボックス13の下側位置に形成された開口範囲の前側位置に設けられる。この前側取付け部21は、カバー体41の差込構造51に対応する受け構造として構成されている。具体的には、前側取付け部21は、インストルメントパネル15に適宜に取り付けられるブラケット体22に、差込支持孔23が2つ並べられて設けられることにより構成される。これら2つの差込支持孔23は、
図6(A)に示すように、後に詳述するカバー体41の差込構造51の2つの差込雄部52が差し込まれる孔である。このため、2つの差込支持孔23は、カバー体41平面の方向に沿って並べられた、2つの差込雄部52が差込み可能な孔形状を有して形成される。この2つの差込支持孔23に2つの差込雄部52が差し込まれた場合には、この2つの差込支持孔23は、この2つの差込雄部52を介してカバー体41自体を支持する。
【0024】
これに対して、後側取付け部25は、グローブボックス13の下側位置に形成された開口範囲の後側位置に設けられる。この後側取付け部25は、突き出した板形状をなす突出体26を備える。この後側取付け部25は、カバー体41の係合部55と嵌合しつつ係合する係合雄構造を有する。具体的には、突出体26には、係合部55の2つの山形部56を差込可能とする2つの嵌合開口部27が設けられている。この2つの嵌合開口部27は、カバー体41平面の方向に沿って2つ並べられる係合部55に対応して並列にて設けられている。この嵌合開口部27は、山形部56の突出形状に対応する矩形の開口形状を有して形成されている。この嵌合開口部27には、山形部56の雌孔部58と係合する雄突条部28が設けられている。雄突条部28は、嵌合開口部27の内側に突き出した突条形状にて形成される。この雄突条部28は、後にも説明するが、嵌合開口部27に山形部56を嵌合させ、この状態で山形部56に設けられる雌孔部58に嵌合することができるように形成される。ここで、
図6(C)に示すように、嵌合開口部27と山形部56との嵌合方向と、雌孔部58と雄突条部28との嵌合方向とは、互いに交差する方向に設定されている。
なお、この雄突条部28は、本実施形態において「係合雄部」とする。また、この雄突条部28と係合する雌孔部58は、本実施形態に係る「係合雌部」とする。
また、上記した差込構造51および係合部55の両者は、本実施形態に係る「支持部」とする。詳しく言えば、カバー体41の差込構造51は、本実施形態に係る「一方の支持部」とする。また、カバー体41の係合部55は、本実施形態に係る「他方の支持部」とする。
このようにして、アンダーカバー40は、前端部分(差込構造51)を前側取付け部21に差し込んだ後に、後端部分(係合部55)を後側取付け部25にて係合させる。そうすると、アンダーカバー40は、取付け対象となるインストルメントパネル15に取り付けられることとなって、このインストルメントパネル15にて支持されることとなる。
【0025】
次に、上記した前側取付け部21および後側取付け部25に対して取り付けられるアンダーカバー40について説明する。このアンダーカバー40は、
図3に示すように、上記したカバー素材30にて成形されるカバー体41を備える。
カバー体41は、
図3〜
図5に示すように、剛性部位42と吸音部位45とに範囲設定されて成形されている。剛性部位42が設定される範囲は、カバー体41のうち比較的剛性を高めたい範囲に亘って設定される。これに対して、吸音部位45は、カバー体41のうち比較的吸音性を高めたい範囲に亘って設定される。なお、これら高めたい剛性と吸音性は、剛性部位42と吸音部位45とを対比した場合の相対的な性能の違いである。このため、剛性部位42と吸音部位45とは、カバー体41のうち、これらの所望効果を狙いたい範囲に応じて区分けされて設定されている。言い換えれば、剛性部位42は、吸音効果よりも剛性性能を高めたい範囲で設定され、吸音部位45は、剛性性能よりも吸音効果を優先して高めたい剛性部位42の残りの範囲で設定される。なお、剛性部位42にあっても、吸音部位45と同様、遮音機能および吸音機能の両者の機能を具備するカバー素材30により成形されるため、吸音部位45に比して吸音効果が小さくなるだけで吸音効果に関して有するカバー体41をなす。
【0026】
具体的には、
図4および
図5に示すように、剛性部位42の範囲は、主に、カバー体41の周縁あるいは周縁近くの範囲に設定されている。すなわち、剛性部位42の範囲は、取付け部20に取り付けられたアンダーカバー40がインストルメントパネル15から支持されるにあたって、このインストルメントパネル15からの支持力を耐えるに相応しい剛性を有するように設定されている。このため、剛性部位42がインストルメントパネル15からの支持力を耐えることができ、アンダーカバー40自体がインストルメントパネル15から受ける支持力を有利に分散できるようになっている。これに対して、吸音部位45の範囲は、主に、カバー体41の中央周辺の範囲に設定されている。つまり、吸音部位45が設定される範囲は、上記したように設定される剛性部位42に比して吸音効果を特に発揮したい中央周辺に設定されている。なお、上記した剛性部位42と吸音部位45の範囲は主とする範囲であり、これら剛性部位42と吸音部位45は、
図4および
図5に示すように混在されている。
ここで、吸音効果を高めたい吸音部位45は、
図6の(B)に示すように、相対的に剛性部位42の厚みより肉厚な厚みで成形される。これに対して剛性部位42は、
図6の(A)および(C)に示すように、カバー体41の剛性を高めるように成形される。具体的には、剛性部位42は、相対的に吸音部位45よりもカバー素材30を厚み方向で圧縮して成形させることよりカバー素材30の密度を高めるようにして剛性が高められている。また、
図3に示すように、この剛性部位42は、カバー素材30に剛性アップリブ43が設けられて剛性が高められている。この剛性アップリブ43は、波打つリブ形状をなすようにして形成されている。なお、この剛性アップリブ43の波打つようにされたリブ形状としては、
図3等に示すように、カバー体41において上下に適宜に凹凸される全ての形状を含むものである。このようにしてカバー体41は、剛性部位42と、この剛性部位42に対して相対的に吸音効果を高めたい吸音部位45とが区分けされて成形されている。
【0027】
ところで、このカバー体41に設けられる、前側取付け部21に取り付けられる差込構造51と、後側取付け部25に取り付けられる係合部55とは、次のように構成される。
カバー体41の差込構造51は、
図3等に示すように、2つの差込雄部52を具備して構成される。この2つの差込雄部52は、カバー体41に対して並列して前側に突き出すように設けられている。この差込雄部52は、上記したように前側取付け部21の差込支持孔23に差し込まれて支持される。なお、この差込雄部52も、上記した剛性部位42と同様にカバー体41のうち剛性を高めたい部位として設定されている。このため、この差込雄部52も、カバー素材30を厚み方向で圧縮して成形させることより、カバー素材30の密度を高めるようにして剛性が高められている。また、この差込雄部52にも、剛性アップリブ43が設けられている。
これに対してカバー体41の係合部55は、
図3等に示すように、2つの山形部56を具備して構成される。この2つ山形部56は、カバー体41に対して上側に山形をなすように並列されて設けられている。この2つの山形部56は、左右方向に山形を延ばす軌条にて形成されている。具体的に言えば、この山形部56は前側および後側のみに壁面を連ねるように、左右方向に頂点を延在させるように折れ曲げられた形状にて形成されている。このため、山形部56を左右方向に沿って見ると、上側が凸とされた「く」字形をなすように形成されている。また、この山形部56のそれぞれの左右両側端には、適宜に切り欠かれた切欠き部57が設けられている。この切欠き部57により、山形部56は、適宜の押圧に応じて適宜に弾性変形し易くなっている。
【0028】
この山形部56は、上記したように後側取付け部25の嵌合開口部27に差込可能とされている。また、この山形部56の前側が前側壁561として形成されており、山形部56の後側が後側壁562として形成されている。この山形部56の後側壁562には、上記した嵌合開口部27の内側に突き出した雄突条部28が嵌合する雌孔部58が設けられている。雌孔部58は、上記した突条形状の雄突条部28に対応して矩形に開口される雌孔形状を有して形成されている。つまり、この雌孔部58は、全周が一つに連なり閉じている開口周縁59によって雌孔形状をなすように区画されている。ここで、この雌孔部58を区画する雌孔部58の開口周縁59は、山形部56の後側壁562にて形成されており、全周が一つに連なって閉じるようになっている。このため、この雌孔部58は、上側下側左側右側を区画する開口周縁59が、カバー体41から支持される周縁となすこととなる。これにより、上記した雄突条部28が雌孔部58に前後方向で嵌合すると、この雌孔部58を区画する開口周縁59が、この雄突条部28を保持するように係合する関係を成立させる。
詳しく言えば、嵌合開口部27に対して山形部56を上下方向にて嵌合させ、更に、この状態で雌孔部58に対して雄突条部28を前後方向に嵌合させ、ここで雌孔部58の開口周縁59により雄突条部28の移動を規制して、これらの互いの嵌合を外さない係合関係を成立させる。このようにして、係合部55は後側取付け部25に取り付けられることとなる。なお、この雌孔部58は、カバー体41と一体にされた山形部56をなす開口周縁59にて、全周がカバー体41にて支持されつつ形成されている。このため、上記した開口周縁59による雄突条部28の移動の規制は、カバー体41と連なる開口周縁59の支持による、いわゆる両持ち支持によるものとなる。
ところで、上記した係合部55が後側取付け部25に取り付けられると、この後側取付け部25にて支持されることとなる。なお、この係合部55も、上記した剛性部位42と同様にカバー体41のうち剛性を高めたい部位として設定されている。このため、この係合部55も、カバー素材30を厚み方向で圧縮して成形させることより、カバー素材30の密度を高めるようにして剛性が高められている。また、この係合部55にも、剛性アップリブ43が設けられている。
【0029】
<アンダーカバー40(車両用防音カバー)の構成について>
次に、カバー素材30からなるアンダーカバー40(車両用防音カバー)の構成について詳細に説明する。
図2に図示されるように、本実施形態のアンダーカバー40は、カバー素材30からなる繊維成形体である。カバー素材30は、
図2に示すように、概略、繊維構造体31(基材層)、非通気性フィルム35、表皮33(表皮層)を有する。カバー素材30は、繊維構造体31(基材層)に、非通気性フィルム35を介装して表皮33(表皮層)が積層される。カバー素材30は、積層された状態で加熱されて各層の表面部が熱融着結合され、圧縮成形により所定形状に成形されて繊維成形体からなるアンダーカバー40(車両用防音カバー)となる。
アンダーカバー40は、繊維構造体31がインストルメントパネル15の内部側に配置され、表皮33が車両室内11側に配置される。
【0030】
<繊維構造体31(基材層)について>
繊維構造体31は、
図2に図示されるように第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313を有する繊維マットである。この繊維構造体31は、クロスレイヤー、エアレイ等に代表される乾式法の製法を選択して形成する。
乾式法のうちクロスレイヤーを用いた場合の繊維構造体31は、第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313の繊維体を所定繊維長にカットした上で開繊機でよく混ぜ合わせ(混綿)カード機で積層し所定目付けの繊維ウェブとする。その上で繊維ウェブをニードルパンチして第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313の繊維体の繊維同士を交絡させて繊維マットにする。
乾式法のうちエアレイを用いた場合の繊維構造体31は、第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313の繊維体を所定繊維長にカットした上でエアレイと呼ばれる空気流でよく混ぜ合わせ(混綿)たものを積層し所定目付けの繊維ウェブとする。その上で、繊維ウェブをニードルパンチして第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313の繊維体の繊維同士を交絡させて繊維マットにする。なお、上記乾式法における第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313は、熱可塑性合成繊維が選択される。
【0031】
第1熱可塑性合成繊維311は、後述する成形時の加熱工程において溶融しない融点(好ましくは軟化点)を有する熱可塑性合成繊維の材質である。
第1熱可塑性合成繊維311は、およそ200℃以上の融点(好ましくは軟化点)を有する熱可塑性合成繊維の材質であり、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維等が選択される。ポリエチレンテレフタレート繊維の軟化点は238〜240℃であり、融点は255〜260℃である。ポリエステル繊維の軟化点は238〜240℃であり融点は255〜260℃である。
第1熱可塑性合成繊維311の繊維長は、20〜100mmの範囲である。第1熱可塑性合成繊維311が20mm未満である場合、第2熱可塑性合成繊維312、芯鞘型複合繊維313との絡み合いが少なくなってしまう。一方、100mmより長くした場合、第2熱可塑性合成繊維312、芯鞘型複合繊維313との混綿が難しくなり単位面積に対して各繊維が均等に混ぜ合わせることが困難である。
【0032】
第2熱可塑性合成繊維312は、低融点ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が選択される。低融点ポリエステル繊維の融点は、融点は110〜180℃である。ポリエチレン繊維の軟化点は100〜115℃であり、融点は125〜135℃である。ポリプロピレン繊維の軟化点は140〜160℃であり、融点は165〜173℃である。第2熱可塑性合成繊維312は、後述する成形時の加熱工程において溶融するため、ニードルパンチにおいて第1熱可塑性合成繊維311と均一に混合された繊維マットに作成できれる範囲であれば、繊維長、繊維径は限定されない。
【0033】
芯鞘型複合繊維313は、芯成分が成形時の加熱工程で溶融しない融点の第3熱可塑性合成樹脂313aからなり、鞘成分が成形時の加熱工程で溶融する融点の第4熱可塑性合成樹脂313bからなる。
第3熱可塑性合成樹脂313aは、芯鞘型複合繊維313の芯成分として構成される。第3熱可塑性合成樹脂313aは、後述する成形時の加熱工程において溶融しない素材であり、およそ200℃以上の融点(好ましくは軟化点)を有する熱可塑性合成樹脂が選択される。第3熱可塑性合成樹脂313aは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等が選択される。ポリエチレンテレフタレートの軟化点は238〜240℃であり、融点は255〜260℃である。ポリエステルの軟化点は238〜240℃であり融点は255〜260℃である。
第4熱可塑性合成樹脂313bは、芯鞘型複合繊維313の第3熱可塑性合成樹脂313aを覆う鞘成分として構成される。第4熱可塑性合成樹脂313bは、後述する成形時の加熱工程において溶融する素材であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等が選択される。ポリエチレンの軟化点は100〜115℃であり、融点は125〜135℃である。ポリプロピレンの軟化点は140〜160℃であり、融点は165〜173℃である。
芯鞘型複合繊維313の繊維長は、20〜100mmの範囲である。芯鞘型複合繊維313は、20mm未満である場合、第1熱可塑性合成繊維311、第2熱可塑性合成繊維312との絡み合いが少なくなってしまう。一方、100mmより長くした場合、第1熱可塑性合成繊維311、第2熱可塑性合成繊維312との混綿が難しくなり単位面積に対して各繊維が均等に混ぜ合わせることが困難である。
【0034】
繊維構造体31(基材層)の総目付量は、400〜1500g/m
2の範囲とする。繊維構造体31の総目付量の下限値は、400g/m
2、好ましくは、600g/m
2以上である。繊維構造体31の総目付量がこの下限値より低いと、吸音率、曲げ剛性が低下する。繊維構造体31の総目付量の上限値は、1500g/m
2以下、好ましくは1000g/m
2以下である。繊維構造体31の総目付量がこの上限値より高いと繊維構造体31の嵩が増加しニードルパンチするときに良好に繊維同士を交絡させることができないことがある。また、重量が大きくなることから軽量化を図ることができない。このような、目付量の範囲内において、車種それぞれのアンダーカバー40としての要求値に応じて最終的に求められる繊維構造体31の目付量を適宜設定される。
ここで、繊維構造体31の総目付量400〜1500g/m
2に対して、第1熱可塑性合成繊維311の目付量は、30〜60重量%である。30重量%未満の目付量であると吸音率が低下する。60重量%より多い目付量であると第2熱可塑性合成繊維312、芯鞘型複合繊維313が少なくなって熱融着結合の低下を招き、曲げ剛性が低下する。
【0035】
なお、繊維構造体31は、第1熱可塑性合成繊維311、第2熱可塑性合成繊維312を有する繊維マットでもよい。また、第1熱可塑性合成繊維311、芯鞘型複合繊維313を有する繊維マットでもよい。
【0036】
<非通気性フィルム35について>
非通気性フィルム35は、
図2に図示されるように通気遮断層34の両面に第1接着層32a及び第2接着層32bが重ね合わされて一体となった3層合成樹脂フィルムである。
通気遮断層34は、成形時の加熱工程で溶融しない合成樹脂フィルムからなる。第1接着層32a及び第2接着層32bは、成形時の加熱工程で溶融する合成樹脂フィルムからなる。ここで、繊維構造体31と通気遮断層34との間に重合されるのが第1接着層32aであり、通気遮断層34と表皮33(表皮層)との間に重合されるのが第2接着層32bである。
第1接着層32a及び第2接着層32bは、成形時の加熱工程で溶融する融点からなる合成樹脂フィルムで構成されている。この第1接着層32a及び第2接着層32bの合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレン樹脂から構成されている。
通気遮断層34は、成形時の加熱工程で溶融しない融点を有する合成樹脂製フィルムで構成されている。例えば、通気遮断層34の合成樹脂フィルムとしてポリアミド系合成樹脂、ポリエステル等からなる通気を遮断する層である。ポリエステルの軟化点は238〜240℃であり融点は255〜260℃である。
この非通気性フィルム35は、通気遮断層34の両面に上記第1接着層32aと第2接着層32bが重ね合わされ、厚さ10〜100μm、目付量10〜100g/m
2の3層合成樹脂フィルムとして構成される。
【0037】
<表皮33(表皮層)について>
表皮33は、
図2に図示されるようにアンダーカバー40の外観意匠(見栄え)を確保するために、繊維構造体31に対し積層させるように設けられる。このため、この表皮33は、アンダーカバー40のうち、外部露出側となる車両室内11に面する側に対してのみに設けられており、外部露出側とはならないインストルメントパネル15の内部側には設けられていない。
この表皮33は、繊維構造体31の第1熱可塑性合成繊維311と同様のポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維等が選択される。表皮33の目付は、50〜200g/m
2であることが好ましい。
【0038】
また、表皮33は、アンダーカバー40における車両室内11側の吸音効果を得たい場合には、繊維構造体31と同様の構成を適用してもよい。表皮33は、合成樹脂製の不織布のみの構成であってもよいし、適宜周知のニット、ウレタン、不織布の3層構成のものでもよい。
【0039】
<アンダーカバー40(車両用防音カバー)の総目付量について>
アンダーカバー40は、上記の構成により、目付量460〜1800g/m
2が好ましい。460g/m
2未満であると、後述するアンダーカバー40の所望する吸音率、曲げ剛性が低下する。また、1800g/m
2を超えると重量が重くなってしまうので好ましくない。ここで、上記吸音率、曲げ剛性及び重量を鑑みると、より好ましくは、目付量であることが660〜1300g/m
2であることが好ましい。
【0040】
<アンダーカバー40の製造について>
次に、アンダーカバー40の製造方法の一例を
図2、
図7(A)〜(D)を参照して説明する。
アンダーカバー40の製造は、繊維構造体31と非通気性フィルム35と表皮33が積層された状態で熱盤プレス60で加熱を行う第一工程と、冷間プレス64による冷却、圧縮及び成形を行う第二工程により所定の形状の繊維成形体とする。
【0041】
図2、
図7(A)に図示されるように、第一工程は、繊維構造体31と非通気性フィルム35と表皮33の積層体を所定温度まで加熱された熱盤プレス60の上盤61と下盤62間に投入され加熱される。
繊維構造体31の第2熱可塑性合成繊維312は、熱盤プレス60の加熱によって溶融し第1熱可塑性合成繊維311と絡み合って熱融着する。
また、芯鞘型複合繊維313の鞘成分である第4熱可塑性合成樹脂313bは、熱盤プレス60の加熱によって溶融し、芯成分である第3熱可塑性合成樹脂313aや、第1熱可塑性合成繊維311と絡み合って熱融着する。
非通気性フィルム35の第1接着層32aと第2接着層32bは、熱盤プレス60の加熱によって溶融する。
繊維構造体31と通気遮断層34は、第1接着層32aが溶融して熱融着結合する。
通気遮断層34と表皮33は、第2接着層32bが溶融して熱融着結合する。
熱盤プレス60の加熱温度の下限値は、第2熱可塑性合成繊維312の融点より高い180℃以上に設定する。熱盤プレス60の加熱温度の上限値は、第1熱可塑性合成繊維311の軟化点より低い230℃以下に設定される。好ましくは、190〜210℃に設定される。
【0042】
図2、
図7(B)に図示されるように、第二工程は、冷間プレス64において熱融着結合した繊維構造体31と非通気性フィルム35と表皮33の積層体を冷却、圧縮及び成形して所定の形状の繊維成形体とする。熱融着結合した繊維構造体31と非通気性フィルム35と表皮33の積層体は、加熱された状態のまま冷間プレス64に運ばれる。冷間プレス64の金型には冷却水が循環しており、積層体は冷却と同時に加圧されて圧縮成形することにより繊維構造体31の第1熱可塑性合成繊維311と第2熱可塑性合成繊維312が塑性変形した状態で成形される。
第二工程の最終板厚は、0.5〜10.0mmの範囲で加工される。ここで、アンダーカバー40の最終板厚は、剛性部位42と吸音部位45によって異なる。
剛性部位42は、第二工程の冷間プレス64の型の形状によって部分的に板厚を0.5〜2.0mmの範囲で高密度に厚みを潰して成形させることより剛性が高められている。
一方、吸音部位45は、吸音率の向上を図るために、板厚を2.0〜10.0mmとする低密度に成形する。
熱融着した積層体は、熱盤プレス60から取り出されて冷間プレス64に搬送される。冷間プレス64の上型66、下型68には冷却水が循環しており積層体をより効果的に冷却するようになっている。熱盤プレス60から搬送された積層体は、冷間プレス64の上型66、下型68間にセットされ圧着、及び加圧され最終板厚までつぶされ冷却される。
【0043】
図2、
図7(C)に図示されるように、この冷間プレス64における成形時に、部品外カット部70、72によって、積層体の外周の余分な製品外をカットする。また、孔加工も同時に金型内で行われる。
なお、ここでは、積層体の外周の余分な製品外の除去や、孔加工を成形と同時に行ったものについて示した。しかしこれに限定されず、後工程において、トリムプレスを用いて製品外をカットするものでも良いし、ウォーターナイフにより製品外をカットするものでも良い。また、後工程において、孔加工を行うものであってもよい。
【0044】
図2、
図7(D)に図示されるように、最終的にアンダーカバー40の完成品となる。
図3に図示されるように、アンダーカバー40はその一例である。
また、製品の要求によって金型内で行えなかった孔加工、部品取付けを行う場合もある。
第一工程では、熱盤プレス60において加熱を行ったが、これに限定されず遠赤外線ヒータ、熱風オーブン等の非接触加熱機にて加熱するものであってもよい。
また、上記の製造方法では、第一工程は、熱盤プレス60において繊維構造体31と非通気性フィルム35と表皮33の積層体を加熱し、繊維構造体31の第2熱可塑性合成繊維312を溶融させて第1熱可塑性合成繊維311と絡み合って熱融着させると共に、非通気性フィルム35の第1接着層32a、第2接着層32bを溶融させて繊維構造体31と表皮33の両表面部を熱融着させて結合する。第二工程では、冷間プレス64において熱融着結合した繊維構造体31と非通気性フィルム35と表皮33の積層体を冷却、圧縮及び成形して所定の形状の繊維成形体とする。このように上記製造方法においては、第一工程と第二工程を連続して行う例について示した。
しかしながら、これに限定されず第一工程と第二工程を断続して行うものであっても良い。すなわち、第一工程の行った後、別途の冷却プレス又は冷却ロールにおいて冷却及び圧縮を行い平板状の板部材とする。そして、第二工程を行う際は、改めて板部材を遠赤外線ヒータ、熱風オーブン等の非接触加熱機にて第2熱可塑性合成繊維312が溶融する温度まで再加熱を行う。そして冷間プレス64にて冷却、圧縮及び成形してアンダーカバー40の所定形状の繊維成形体とする製造方法であっても良い。
【0045】
次に、上記構成のアンダーカバー40の音響性能について、吸音性能と遮音性能の観点から説明する。
[吸音性能試験]
カバー素材30からなるアンダーカバー40(車両用防音カバー)は、繊維構造体31(基材層)に、非通気性フィルム35を介装して表皮33(表皮層)が積層される。
インストルメントパネル15の内部側の吸音性能は、繊維構造体31(基材層)の目付量と厚みによって吸音率が異なる。
そこで吸音性能試験では、非通気性フィルム35と表皮33(表皮層)を積層しないで、吸音性能を担う繊維構造体31(基材層)のみを加熱して所定厚みに圧縮成形した1m
2の平板の各試験片1〜4を用いて吸音率を測定した。
【0046】
<試験片1>
(1)繊維構造体31(基材層)
(a)第1熱可塑性合成繊維311:ポリエチレンテレフタレート繊維、目付量350g/m
2(繊維構造体31の目付量の50%)を選択した。
(b)第2熱可塑性合成繊維312:ポリプロピレン繊維、目付量140g/m
2(繊維構造体31の目付量の20%)を選択した。
(c)芯鞘型複合繊維313:第3熱可塑性合成樹脂313a(芯成分)がポリエチレンテレフタレート。第4熱可塑性合成樹脂313b(鞘成分)がポリプロピレン、目付量210g/m
2(繊維構造体31の目付量の30%)を選択した。
(d)上記第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313を混綿機にてウェブ形成しニードルパンチして得た。なお、試験片1における基材層は、株式会社ユニックス製のものを選択した。
(2)繊維構造体31(基材層)を190〜210℃の温度まで加熱された熱盤プレス60に投入して加熱する。繊維構造体31(基材層)は、およそ200℃程度の温度になってポリプロピレンは溶融した状態となって厚みが10.0mm程度になる。熱盤プレス60で加熱された繊維構造体31(基材層)を冷間プレス64で加圧して最終板厚の4.0mmまで圧縮成形し、同時に冷却する。試験片1は、板厚4.0mm、目付量700g/m
2とした。
<試験片2>
(1)繊維構造体31(基材層)
試験片2は、試験片1と同様の素材、目付量の繊維構造体31を用いた。
(2)試験片2は、板厚3.0mm、目付量700g/m
2とした。
<試験片3>
(1)繊維構造体31(基材層)
試験片3は、試験片1と同様の素材、目付量の繊維構造体31を用いた。
(2)試験片3は、板厚2.0mm、目付量700g/m
2とした。
<試験片4>
(1)繊維構造体31(基材層)
(a)第1熱可塑性合成繊維311:ポリエチレンテレフタレート繊維、目付量450g/m
2(繊維構造体31の目付量の50%)を選択した。
(b)第2熱可塑性合成繊維312:ポリプロピレン繊維、目付量180g/m
2(繊維構造体31の目付量の20%)を選択した。
(c)芯鞘型複合繊維313:第3熱可塑性合成樹脂313a(芯成分)がポリエチレンテレフタレート。第4熱可塑性合成樹脂313b(鞘成分)がポリプロピレン、目付量270g/m
2(繊維構造体31の目付量の30%)を選択した。
(d)上記第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313を混綿機にてウェブ形成しニードルパンチして得た。なお、試験片1における基材層は、株式会社ユニックス製のものを選択した。
(2)繊維構造体31(基材層)を190〜210℃の温度まで加熱された熱盤プレス60に投入して加熱する。繊維構造体31(基材層)は、およそ200℃程度の温度になってポリプロピレンは溶融した状態となって厚みが10.0mm程度になる。熱盤プレス60で加熱された繊維構造体31(基材層)を冷間プレス64で加圧して最終板厚の4.0mmまで圧縮成形し、同時に冷却する。試験片4は、板厚4.0mm、目付量900g/m
2とした。
【0047】
<吸音率について>
試験片1〜4の吸音率を
図8に示す。吸音率は、JIS A 1409の基準に従い、残響室法吸音率によって測定される数値である。具体的には、車両室内11の取り付け状態を模すために、1.0m
2の平板部分を用いて、背後空気層20mmの条件で測定した。
【0048】
試験片1の吸音率
400〜1250Hzの周波数帯では、20%の吸音率を満たさない。
1600Hzの周波数帯では、およそ25%の吸音率を有している。
2000Hzの周波数帯では、およそ35%の吸音率を有している。
2500Hzの周波数帯では、およそ40%の吸音率を有している。
3150Hzの周波数帯では、およそ50%の吸音率を有している。
4000Hzの周波数帯では、およそ65%の吸音率を有している。
5000Hzの周波数帯では、およそ70%の吸音率を有している。
6300Hzの周波数帯では、およそ65%の吸音率を有している。
【0049】
試験片2の吸音率
400〜2000Hzの周波数帯では、20%の吸音率を満たさない。
2500Hzの周波数帯では、およそ25%の吸音率を有している。
3150Hzの周波数帯では、およそ35%の吸音率を有している。
4000Hzの周波数帯では、およそ45%の吸音率を有している。
5000Hzの周波数帯では、およそ55%の吸音率を有している。
6300Hzの周波数帯では、およそ50%の吸音率を有している。
【0050】
試験片3の吸音率
400〜2500Hzの周波数帯では、20%の吸音率を満たさない。
3150Hzの周波数帯では、およそ20%の吸音率を有している。
4000Hzの周波数帯では、およそ22%の吸音率を有している。
5000Hzの周波数帯では、およそ25%の吸音率を有している。
6300Hzの周波数帯では、およそ23%の吸音率を有している。
【0051】
試験片4の吸音率
400〜1000Hzの周波数帯では、20%の吸音率を満たさない。
1250Hzの周波数帯では、およそ28%の吸音率を有している。
1600Hzの周波数帯では、およそ35%の吸音率を有している。
2000Hzの周波数帯では、およそ50%の吸音率を有している。
2500Hzの周波数帯では、およそ58%の吸音率を有している。
3150Hzの周波数帯では、およそ70%の吸音率を有している。
4000Hzの周波数帯では、およそ80%の吸音率を有している。
5000Hzの周波数帯では、およそ78%の吸音率を有している。
6300Hzの周波数帯では、およそ75%の吸音率を有している。
【0052】
以上より繊維構造体31(基材層)は、目付量が大きいほど吸音性能が高いという結果を得た。また、厚みは大きい方が吸音性能が高いという結果を得た。試験片1〜4の中では、相対的に試験片3が剛性部位42に適しており、試験片4が吸音部位45に適している結果を得た。
【0053】
[遮音性能試験]
次に遮音性能について説明する。
カバー素材30からなるアンダーカバー40(車両用防音カバー)は、繊維構造体31(基材層)に、非通気性フィルム35を介装して表皮33(表皮層)が積層される。
ここで、アンダーカバー40の遮音性能は、非通気性フィルムを介装するか否かで異なる。そこで、以下のような、比較例1、比較例2、実施例1の3点について透過音損失を測定した。
【0054】
<比較例1>
比較例1は、従来構成の射出成形品を模したものである。
従来構成として、ポリプロピレン樹脂を射出成形によって板厚1.3mmの平板にした。その上で、かかる平板に吸音材としてフェルトを面積比60%で張り合わせた。こうして比較例1を得た。
<比較例2>
(1)繊維構造体31(基材層)
(a)第1熱可塑性合成繊維311:ポリエチレンテレフタレート繊維、目付量350g/m
2(繊維構造体31の目付量の50%)を選択した。
(b)第2熱可塑性合成繊維312:ポリプロピレン繊維、目付量140g/m
2(繊維構造体31の目付量の20%)を選択した。
(c)芯鞘型複合繊維313:第3熱可塑性合成樹脂313a(芯成分)がポリエチレンテレフタレート。第4熱可塑性合成樹脂313b(鞘成分)がポリプロピレン、目付量210g/m
2(繊維構造体31の目付量の30%)を選択した。
(d)上記第1熱可塑性合成繊維311と、第2熱可塑性合成繊維312と、芯鞘型複合繊維313を混綿機にてウェブ形成しニードルパンチして得た。なお、試験片1における基材層は、株式会社ユニックス製のものを選択した。
(2)表皮33(表皮層)
ポリエチレンテレフタレート繊維、目付量80g/m
2を選択した。
(3)接着層
繊維構造体31と表皮33(表皮層)の間にポリエチレン樹脂からなる単層の合成樹脂フィルム50μmを接着層として選択した。
(4)繊維構造体31と接着層と表皮33を積層した積層体を190〜210℃の温度まで加熱された熱盤プレス60に投入して加熱する。積層体は、およそ200℃程度の温度になって第2熱可塑性合成繊維312及び接着層は溶融した状態となって厚みが10.0mm程度になる。熱盤プレス60で加熱された積層体をを冷間プレス64で加圧して最終板厚の4.0mmまで圧縮成形し、同時に冷却する。比較例2は、板厚4.0mm、目付量700g/m
2とした。
<実施例1>
(1)繊維構造体31(基材層)
実施例1の繊維構造体31は、上記比較例2と同様の素材、目付量を用いた。
(2)表皮33(表皮層)
実施例1の表皮33は、上記比較例2と同様の素材、目付量を用いた。
(3)非通気性フィルム
非通気性フィルムは、通気遮断層34の両面に第1接着層32a及び第2接着層32bが重ね合わされて一体となった3層合成樹脂フィルムを選択した。なお、実施例1における3層合成樹脂フィルムは、倉敷紡績株式会社製の品番N−3784を選択した。通気遮断層34、第1接着層32a及び第2接着層32bの詳細は、以下の通りである。
(a)通気遮断層34:ポリアミド系合成樹脂からなる合成樹脂フィルム50μmを選択した。
(b)第1接着層32a:ポリエチレン樹脂からなる合成樹脂フィルム25μmを選択した。
(c)第2接着層32b:ポリエチレン樹脂からなる合成樹脂フィルム25μmを選択した。
(4)繊維構造体31と非通気性フィルムと表皮33を積層した積層体を190〜210℃の温度まで加熱された熱盤プレス60に投入して加熱する。積層体は、およそ200℃程度の温度になって第2熱可塑性合成繊維312及び第1接着層と第2接着層は溶融した状態となって厚みが10.0mm程度になる。熱盤プレス60で加熱された積層体を冷間プレス64で加圧して最終板厚の4.0mmまで圧縮成形し、同時に冷却する。実施例1は、板厚4.0mm、目付量700g/m
2とした。
【0055】
<透過音損失について>
比較例1、比較例2、実施例1の透過音損失を
図9に示す。透過音損失は、JIS A 1416の基準に従って測定される数値である。
【0056】
図9に図示されるように、比較例2は、単層の接着フィルムを介装したのみであることから、通気してしまうため遮音の効果が小さい。
これに対し、実施例1は、3層合成樹脂フィルムであり通気遮断層を有しているため、通気が遮断されて遮音の効果が増大した。
しかし従来構成を想定した比較例1に対しては、遮音の効果に対して遮音の効果が若干劣る。しかしながら、比較例1は、板厚1.3mmのポリプロピレン樹脂製で構成されている。そのため、厚みの大きな通気遮断層の重量の効果が現れているに過ぎない。
【0057】
このように本発明のアンダーカバー40(車両用防音カバー)は、第1熱可塑性合成繊維311と第2熱可塑性合成繊維312、が混合される繊維構造体31(基材層)を主体としているため軽量に構成できる。
また、アンダーカバー40は、成形時の加熱工程で溶融しない融点の第1熱可塑性合成繊維311と、成形時の加熱工程で溶融する融点の第2熱可塑性合成繊維312と、が混合される繊維構造体31を有している。第2熱可塑性合成繊維312は、成形時の加熱工程で溶融したあと第1熱可塑性合成繊維311に絡みあって熱融着する。第2熱可塑性合成繊維312は、成形時の加熱工程により溶融状態にすることにより、自由な柔軟性を持った塑性変形をさせた状態で成形可能である。また、加熱工程後の繊維成形体は、塑性変形しない温度まで冷却させることにより所定形状に成形することができ、保形性を有すると共に多様な形状に成形することができる。一方、第1熱可塑性合成繊維311は、溶融せずに繊維体の状態を維持することから吸音効果を奏する。また、アンダーカバー40は、繊維体であるため繊維構造体31が吸音効果を奏することができるため、別途吸音材を配置することが不要となる。また、アンダーカバー40は、繊維構造体31の表面積全体で吸音可能であり、吸音効果を奏する部位が吸音材を配置した部位に限定されることが無くなる。
また、繊維構造体31と表皮33(表皮層)の間には、通気遮層が介在する。この通気遮断層34が通気を遮断することで遮音効果を奏する。アンダーカバー40は、柔軟性を有する繊維体であることから、周辺部品との干渉した場合に振動や擦れなどに伴う異音が発生し難い。以上より、アンダーカバー40は、軽量であるとともに、遮音効果と吸音効果を奏するアンダーカバー40を提供することができる。
【0058】
また、第1接着層32a及び第2接着層32bは、成形時の加熱工程で溶融する合成樹脂フィルムから構成される。そのため、第1接着層32a及び第2接着層32bは、繊維構造体31および表皮33に対しての熱融着機能を確保する。一方、通気遮断層34は、成形時の加熱工程で溶融しない合成樹脂フィルムから構成される。そのため、通気遮断層34は、成形後も溶融しないで繊維構造体31と表皮33の間に配置されることで非通気性を発揮することで遮音機能を確保する。
通気遮断層34、第1接着層32a及び前記第2接着層32bは、通気遮断層34の両面に第1接着層32a及び前記第2接着層32bが重ね合わされて一体となった3層をなす層状の3層合成樹脂フィルムとして構成される。これにより、遮音機能を確保しつつ、繊維構造体31と表皮33の接着を簡易にすることができる。
【0059】
また、表皮33側の構成も、繊維構造体31と同様の構成とすることで車両室内11側の吸音効果を奏することができる。
【0060】
また、第1熱可塑性合成繊維311と第2熱可塑性合成繊維312と共に、又は前記第2熱可塑性合成繊維312に換えて芯鞘型複合繊維313を有する。これにより、アンダーカバー40は、繊維構造体31の保形性を確保しつつ、成形後も溶融しないで繊維体の状態を維持した繊維を多く残存することができ吸音効果を高めることができる。
すなわち、繊維構造体31は、成形後も溶融しないで繊維体の状態を維持した繊維を多く残存させた方が吸音効果を高めることができる。ところが繊維構造体31は、第2熱可塑性合成繊維312(成形時の加熱工程で溶融する融点)を単に少なくしてしまうと、第1熱可塑性合成繊維311(成形時の加熱工程で溶融しない融点)と満遍なく絡みあうことができず熱融着のバラツキが生じて保形性の確保が困難となる。
そこで、繊維構造体31は、芯鞘型複合繊維313を有している。芯鞘型複合繊維313は、芯成分が成形時の加熱工程で溶融しない融点の第3熱可塑性合成樹脂からなり、鞘成分が成形時の加熱工程で溶融する融点の第4熱可塑性合成樹脂313bからなる。これにより、芯鞘型複合繊維313は、第1熱可塑性合成繊維311と満遍なく絡み合うと共に、成形時の加熱工程において鞘成分の第4熱可塑性合成樹脂313bのみ溶融して芯成分の第3熱可塑性合成樹脂が残存する。これにより、成形後の繊維構造体31は、保形性を確保しつつ、全体として繊維体の状態を維持した繊維を多く残存することができ吸音効果を高めることができる。
【0061】
ここで、剛性部位42は、アンダーカバー40が車両に取り付けられて支持力を受けるにあたり、剛性を高めておきたい範囲に応じて設定されるべきである。また、吸音部位45は、アンダーカバー40により積極的に吸音したい範囲に応じて設定されるべきである。
そのため、アンダーカバー40が支持されるための剛性を高めることができつつ、アンダーカバー40の吸音効果も高めることができる。また、剛性部位42は、繊維成形体を厚み方向で圧縮して成形させることより繊維成形体の密度を高めるように設定されているので、剛性を高めるための部材を特に必要とすることなく、アンダーカバー40の剛性を高めることができる。
【0062】
また、剛性部位42は、断面形状で見て吸音部位45の平坦面に対して屈曲した曲線状の波状面を有している。波状面は、面方向に連続することでリブ形状に形成されている。アンダーカバー40は、波状面とすることで、平坦面のみの場合に比べて断面二次モーメントを大きくすることができ、剛性の向上を図ることができる。また、アンダーカバー40は、波状面とすることで、平坦面のみの場合に比べて繊維成形体の面積を増加することができる。これにより、吸音効果の向上を図ることができる。
【0063】
また、上記したアンダーカバー40の取付け構造によれば、次の作用効果を奏することができる。すなわち、アンダーカバー40の取付け構造によれば、アンダーカバー40は、遮音効果および吸音効果を奏するカバー素材30により成形されたカバー体41を備えているので、アンダーカバー40の構成部材1点で遮音効果および吸音効果を奏することができる。また、カバー体41には雌孔部58(係合雌部)がカバー体41と一体成形されることにより設けられているので、このアンダーカバー40の雌孔部58と後側取付け部25の雄突条部28(係合雄部)とを係合させることにより、後側取付け部25に対してアンダーカバー40を取り付けることができる。また、この雌孔部58は、全周が一つに連なる閉じた開口周縁59にて区画される開口形状を有して形成されているので、雄突条部28の嵌合を閉じた開口周縁59にて確実に受け止めることができる。また、この雌孔部58は、カバー体41からの支持力を受けるようにカバー体41と一体にされているので、雌孔部58に掛かる力をカバー体41に分散させて、雌孔部58に対する雄突条部28の嵌合を支持することができる。このようにして、アンダーカバー40の1点で遮音効果および吸音効果の両方の効果を奏することができ、アンダーカバー40を取り付けるための取付け部材を必要とせずに、車両室内11の配設個所に対してアンダーカバー40を取り付けることができる。
また、上記したアンダーカバー40の取付け構造によれば、差込構造51(支持部)および係合部55(支持部)が設けられる部位は、カバー素材30を厚み方向で圧縮して成形させることよりカバー素材30の密度を高めるように設定されているので、通常のカバー素材30の密度よりも剛性を高めることができる。これによって、差込構造51および係合部55が設けられる部位で力を支持するにあたって、高められた剛性による支持力にて取付け支持を良好に保つことができる。また、差込構造51(一方の支持部)は、差込み構造にて形成されているので、この差込構造51を車両室内11の後側取付け部25に設けられた受け構造に差し込むことにより、この後側取付け部25に対して取り付けることができる。また、係合部55(他方の支持部)は、雌孔部58にて形成されているので、この係合部55を車両室内11の後側取付け部25の雄突条部28に係合させることにより、この後側取付け部25に対して取り付けることができる。このようにして、アンダーカバー40の取付け状態を良好に保つことができつつアンダーカバー40の取付けの簡単化を図ることができる。また、上記したアンダーカバー40の取付け構造によれば、カバー体41は剛性部位42と吸音部位45とに区分けされて形成されているので、後側取付け部25に支持されるための剛性を高めることができつつ、カバー体41の吸音効果も高めることができる。つまり、アンダーカバー40の取付け支持を良好に得ることができながら、カバー体41の吸音効果を効率良く確保することができる。また、剛性部位42は、カバー素材30を厚み方向で圧縮して成形させることよりカバー素材30の密度を高めるように設定されているので、剛性を高めるための部材を特に必要とすることなく、カバー体41の剛性を高めることができる。このようにして、アンダーカバー40を取り付けた際の支持力を良好に確保することができながら、アンダーカバー40による吸音効果も良好に確保することができる。
【0064】
なお、本発明に係る車両用防音カバーにあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく適宜箇所を変更して構成するものであってもよい。すなわち、上記した実施の形態では、車両室内11の助手席12のグローブボックス13の下側位置に取り付けられるアンダーカバー40を、本発明に係る車両用防音カバーとして例に挙げて説明するものであった。しかしながら、本発明に係る車両用防音カバーとしては、このようなアンダーカバー40の例に限定されることなく、車両室内において遮音効果および吸音効果を期待する個所に取り付けられる車両用防音カバーのすべてに応用することができる。
また、上記したアンダーカバー40を構成するカバー素材30は、遮音効果および吸音効果を奏する素材の一例であり、本発明に係る素材としては、上記した例に限定されるものではない。
また、上記した実施の形態のアンダーカバー40では、前側が差込構造51として構成し、後側が係合部55(係合構造)として構成されるものとなっていた。しかしながら、本発明に係る車両用防音カバーは、これに限定されることなく、前側および後側の両者を係合構造にて構成されるものであってもよい。