特許第5984180号(P5984180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984180
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】板状部品配列装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20160823BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20160823BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B65G47/14 A
   B23P19/00 301D
   B23P21/00 303C
   B65G47/14 T
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-181825(P2012-181825)
(22)【出願日】2012年8月20日
(65)【公開番号】特開2014-37312(P2014-37312A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】久保 仁志
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−043218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B65G 35/30
B23P 19/00
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状部品を所定の配列で配置するための板状部品配列装置であって、
上面に、前記複数の板状部品を収容可能な複数の凹部が前記所定の配列で設けられた配列台と、前記配列台上に移動可能な状態で載置され、下端を開口し、内部に多数の前記板状部品をストックした部品ストック部と、前記部品ストック部を前記配列台上で移動させて前記複数の凹部上を通過させる駆動部とを有し、
前記駆動部により、前記部品ストック部を所定方向で往復動させながら前記複数の凹部上を通過させ、前記部品ストック部の前記所定方向の往復動の向きを各凹部上で反転させる板状部品配列装置。
【請求項2】
前記駆動部により、前記部品ストック部を前記所定方向で往復動させながら前記複数の凹部上を通過させ、前記部品ストック部の内壁が、前記部品ストック部の内側に配された前記凹部に平面視で接する位置で、前記部品ストック部の前記所定方向の往復動の向きを反転させる請求項1記載の板状部品配列装置。
【請求項3】
前記部品ストック部の内壁から内側に突出した突出部を設け、前記配列台の上面から前記突出部までの高さが、前記板状部品の厚さ方向と直交する方向の外形寸法よりも小さい請求項2記載の板状部品配列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワッシャ等の板状部品を配列するための板状部品配列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエンジンのシリンダヘッドとシリンダブロックとの組み付けは、シリンダヘッドのボルト穴にワッシャをセットした後、シリンダブロック及びシリンダヘッドのボルト穴にボルトを挿通して締め付けることにより行われる。このとき、シリンダヘッドのボルト穴へのワッシャの供給は、作業者の手作業によることが多い。しかし、多数のワッシャがストックされた箱からワッシャを一つずつ取り出してシリンダヘッドにセットする作業は、ワッシャの平板形状に起因した掴みづらさや嵩張りにより、非常に手間がかかる。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、多数のワッシャを収容した箱体から、ワッシャを一つずつ自動で取り出す供給装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−202431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような供給装置を用いた場合でも、この供給装置から取り出された板状部品をワークの複数の供給位置に一つずつセットする手間は変わらないため、作業効率はそれほど向上しない。
【0006】
例えば、予め、ワークの近傍に設けた配列台の上に、ワークに対する供給位置と同じ配列で複数の板状部品を配置した後、この配列状態を維持しながら複数の板状部品をワークに一括して供給する方法が考えられる。このとき、配列台の上に板状部品を一つずつ配置すると、ワークに板状部品を一つずつ直接供給する場合と手間が変わらない。また、ロボットアームを有する配列装置を用いれば、板状部品を所定の配列に自動で配置することはできるが、かかる装置は大型且つ高価であるため、より簡素な構造の板状部品配列装置が要求されている。
【0007】
本発明が解決すべき技術的課題は、簡素な構造で、板状部品を所定の配列に自動で配置できる板状部品配列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明は、ワークに供給される複数の板状部品を、ワークに対する供給位置と同じ配列で配置するための板状部品配列装置であって、上面に、複数の板状部品を収容可能な複数の凹部が上記の供給位置と同じ配列で設けられた配列台と、配列台上に移動可能な状態で載置され、下端を開口し、内部に多数の板状部品をストックした部品ストック部と、部品ストック部を配列台上で移動させて複数の凹部上を通過させる駆動部とを有するものである。
【0009】
このように、下端を開口した部品ストック部を配列台上に載置することで、部品ストック部の内部にストックされた多数の板状部品が配列台の上面に直接接触した状態となる。この状態で、部品ストック部を配列台上で移動させて複数の凹部上を通過させることにより、部品ストック部の内部の板状部品が各凹部に一つずつ嵌め込まれ、板状部品が凹部と同様の配列で配置される。
【0010】
上記の板状部品配列装置において、部品ストック部の内部には多数の板状部品がランダムに収容されているため、部品ストック部を配列台の凹部上を単に通過させるだけでは、板状部品と凹部との位置が合わずに板状部品が凹部に嵌らない場合がある。そこで、駆動部により、部品ストック部を所定方向で往復動させながら複数の凹部上を通過させ、部品ストック部の内壁が、部品ストック部の内側に配された凹部に平面視で接する位置で、部品ストック部の往復動の向きを反転させることが好ましい。部品ストック部の内壁が部品ストック部の内側に配された凹部に平面視で接した状態では、この内壁に当接した板状部品と凹部との所定方向(往復動方向)における位置が一致する。この状態で、部品ストック部の往復動の向きを反転させることで、部品ストック部の所定方向の移動が一瞬停止されるため、板状部品が凹部に嵌り込む確率を高めることができる。
【0011】
このとき、図9に示すように、部品ストック部120の内壁121に板状部品W’が寄りかかって立設されると、内壁121と水平状態のワッシャW”との間に立設した板状部品W’が挟まれた状態となるため、内壁121を平面視で凹部と接する状態としても、水平状態のワッシャW”と凹部12との位置が合わない恐れがある。そこで、部品ストック部の内壁から内側に突出した突出部を設け、配列台の上面から突出部までの高さが、板状部品の厚さ方向と直交する方向の外形寸法(例えば、ワッシャの場合はその外径寸法)よりも小さくすれば、部品ストック部の内壁付近の板状部品は突出部により立設することができないため、板状部品が立設することによる不具合を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の板状部品配列装置によれば、部品ストック部を配列台上で移動させるだけで複数の板状部品を所定の配列に配することができるため、ロボットアームを有する配列装置と比べて構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る板状部品配列装置の平面図である。
図2】上記板状部品配列装置の断面図である。
図3】上記板状部品配列装置の配列台の凹部付近の拡大断面図である。
図4】上記板状部品配列装置の部品ストック部の下端開口部付近の拡大断面図である。
図5】配列台上における部品ストック部の幅方向の動きを示す断面図である。
図6】配列台上における部品ストック部の動きを示す平面図である。
図7】他の実施形態に係る板状部品配列装置の平面図である。
図8】(a)は、他の実施形態に係る部品ストック部の突出部の断面図であり、(b)は、図4の部品ストック部の内部でワッシャが略鉛直方向に立設した状態を示す断面図である。
図9】立設した板状部品が凹部に嵌り込んだ様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る板状部品配列装置1は、図1及び図2に示すように、コンベアC上を搬送されるワークとしてのシリンダヘッドHに対して、板状部品としてのワッシャWを供給するにあたり、予め、シリンダヘッドHに対する供給位置(ボルト穴H1)と同じ配列でワッシャWを配置するものである。板状部品配列装置1は、配列台10と、部品ストック部20と、駆動部30とを備える。図示例では、シリンダヘッドHのボルト穴H1が4列×2列の計8箇所に設けられている。尚、以下の説明では、シリンダヘッドHの長手方向(図1の左右方向)を搬送方向と言い、搬送方向に対して直交する水平方向(図1の上下方向)を幅方向と言う。
【0016】
配列台10の上面には、平坦面11と、平坦面11から一段下がった複数の凹部12とが設けられる(図2参照)。複数の凹部12は、シリンダヘッドHのボルト穴H1と同じ配列で設けられる。凹部12の底面12aの軸心には穴12bが形成される。凹部12は、ワッシャWが嵌り込むことができる形状とされる。本実施形態では、凹部12の内周面が円筒面状をなし、ワッシャWの外径Lよりも少し大きい内径を有する(図3参照)。凹部12の深さD(すなわち、凹部12の底面12aと平坦面11との高さの差)は、ワッシャWの厚さTWよりも若干深くなっている。
【0017】
平坦面11のうち、凹部12に隣接した一部領域は昇降可能とされる。図示例では、平坦面11に設けられた長穴11aに、昇降手段14(例えばエアシリンダ)で昇降可能な複数の昇降部材13が設けられる(図2参照)。昇降部材13には、平坦な上面13aと、上面13aから一段下がった平坦な肩面13bとが設けられる。昇降部材13を上端位置に配した状態(図2の実線参照)では、平坦面11と昇降部材13の上面13aとが面一に連続し、且つ、凹部12の底面12aと昇降部材13の肩面13bとが面一に連続する。昇降部材13を下降させた状態(図2の点線参照)では、平坦面11の長穴11aが上方に開口する。
【0018】
部品ストック部20は、内部に多数のワッシャWをストックし、配列台10上に移動可能な状態で載置される。部品ストック部20は、上下両端を開口した筒状の側部21と、側部21の上端開口部を覆うカバー部(図示省略)とを備える。側部21は、幅方向で対向する一対の平板21a,21bと、長手方向で対向する一対の平板21c,21dとからなる角筒形状をなしている(図1参照)。側部21の下端は配列台10上に載置され、これにより側部21の下端開口部が配列台10の上面で閉塞された状態となる(図2参照)。
【0019】
部品ストック部20には、内壁(側部21の内周面)から内側に突出した突出部22が設けられる。突出部22は、少なくとも幅方向で対向する一対の平板21a,21bの内面21a1,21b1に設けられ、図示例では、側部21の内周面の全周(平板21a〜21dの内面21a1〜21d1の水平方向全長)に、水平方向に延びる板状の突出部22が設けられる。図4に示すように、配列台10の上面から突出部22の下面までの高さhは、ワッシャWの外径Lよりも小さく設定される(h<L)。また、突出部22の側部21の内周面からの突出量Pは、ワッシャWの外径Lよりも小さく設定される(P<L)。
【0020】
駆動部30は、部品ストック部20を配列台10上で移動させるものである。駆動部30は、図1に示すように、部品ストック部20に取り付けられた本体部31と、搬送方向に延びるスライドレール32とを備える。本体部31には、本体部31自身をスライドレール32に沿って搬送方向に移動させる第1駆動部33と、部品ストック部20を本体部31に対して幅方向に移動させる第2駆動部34とが設けられる。第1駆動部33及び第2駆動部34は、図示しない制御部に接続される。このように、駆動部30に、互いに直交する方向で部品ストック部20を駆動する2つの駆動部33,34を設けることで、第1駆動部33及び第2駆動部34を何れも位置制御機能を有さない簡素な駆動手段(例えばエアシリンダ)で構成することが可能となる。
【0021】
以下、ワッシャWをシリンダヘッドHのボルト穴H1に供給する方法を、上記の板状部品配列装置1によるワッシャWの配列方法を中心に説明する。
【0022】
まず、図1及び図2に示すように、初期位置に配置された部品ストック部20の内部に多数のワッシャWを投入する。このとき、部品ストック部20の側部21は下端が開口しているため、側部21の内周に投入されたワッシャWは配列台10の上面と直接接触する。そして、昇降部材13を上端位置に配置し(図2の実線で示す状態)、図示しない制御部からの指令に基づいて、第1駆動部33が本体部31を一定速度で搬送方向前方(図中右側)に移動させると共に、第2駆動部34が本体部31に対して部品ストック部20を幅方向に往復動させる。これにより、図1に鎖線で示すように、部品ストック部20がジグザグ走行しながら配列台10の上面の凹部12上を通過し、部品ストック部20にストックされたワッシャWが各凹部12に一つずつ嵌り込む。
【0023】
このとき、部品ストック部20が幅方向一方の端部に配された状態(図5の実線参照)では、部品ストック部20の幅方向他方の内壁(図5の右側の平板21bの内面21b1)が、幅方向他方の凹部12の幅方向他端(図5では右端)と幅方向で同じ位置に配される。換言すると、図6に示す平面視において、実線で示す部品ストック部20の平板21bの内面21b1が、部品ストック部20の内側に配された凹部12と接した状態となる。同様に、部品ストック部20が幅方向他方の端部に配された状態(図5及び図6の鎖線参照)では、部品ストック部20の幅方向一方の内壁(図5の左側の平板21aの内面21a1)が、幅方向一方の凹部12の幅方向一端(図5では左端)と幅方向で同位置に配される。換言すると、図6に示す平面視において、鎖線で示す部品ストック部20の平板21aの内面21a1が、部品ストック部20の内側に配された凹部12と接した状態となる。すなわち、部品ストック部20が凹部12に対して上記のような位置関係となるように、第2駆動部34による部品ストック部20の幅方向のストロークが設定される。
【0024】
そして、図5に示す部品ストック部20が幅方向一方側(図中左側)から幅方向他方側(図中右側)へ向けて移動すると、部品ストック部20の幅方向一方側の内壁(平板21aの内面21a1)に当接したワッシャWが幅方向他方側に移動し、部品ストック部20の内側に配された幅方向一方側の凹部12に幅方向一方側(図5では左側)から接近する。そして、鎖線で示すように、部品ストック部20の幅方向一方側の内壁(内面21a1)が、幅方向一方側の凹部12の幅方向一端(図5では左端)に達したら、第2駆動部34による部品ストック部20の幅方向移動(往復動)の向きを反転させる。このとき、部品ストック部20の幅方向移動が一瞬停止されると共に、内面21a1に当接したワッシャWと幅方向一方側の凹部12とが幅方向で同じ位置に配されるため、このワッシャWが高い確率で図中左側の凹部12に嵌り込む。その後、部品ストック部20が幅方向他方側から幅方向一方側へ向けて移動し、上記と同様にして、幅方向他方側の内壁(内面21b1)に当接したワッシャWが幅方向他方側の凹部12に嵌り込む。
【0025】
このとき、部品ストック部20の内壁(側部21の平板21a,21bの内面21a1,21b1)に突出部22を設けたことで、部品ストック部20の内壁付近でのワッシャWの立設を防止できる。すなわち、突出部22の配列台10の上面からの高さhがワッシャWの外径(直径)Lよりも小さいことで、突出部22の下方に配されたワッシャWが立設しようとしても(図4の点線参照)、突出部22に当たって立設することができないため、ワッシャWの立設を防止できる。これにより、部品ストック部20の内壁に水平状態のワッシャWを直接当接させることができるため、部品ストック部20の内壁が凹部12と平面視で接した状態とすることで、この内壁に当接した水平状態のワッシャWと凹部12との幅方向位置を正確に一致させることができ、ワッシャWを凹部12に確実に嵌め込むことができる。
【0026】
そして、部品ストック部20が全ての凹部12上を通過し、搬送方向前方端位置(図1の右端)に到達したら、第1駆動部33による部品ストック部20の搬送方向移動の向きを反転させ、本体部31及び部品ストック部20を搬送方向後方側(図1の左側)に移動させる。この後退時にも、第2駆動部34で部品ストック部20を幅方向に往復動させながら凹部12上を通過させることで、前進時にワッシャWを嵌め込むことができなかった凹部12があった場合でも、この凹部12に後進時にワッシャWを嵌め込むことができる。そして、部品ストック部20が初期位置に到達したら、部品ストック部20を停止させる。以上により、全ての凹部12にワッシャWが嵌め込まれ、これにより搬送台10の上面にシリンダヘッドHのボルト穴H1と同じ配列でワッシャWが配置される。
【0027】
こうしてボルト穴H1と同じ配列で配置されたワッシャWが、その配列状態を維持しながら、図示しない治具で持ち上げて保持される。このとき、配列台10の昇降部材13を下降させることで、長穴11aの上端開口部から治具を挿入することができるため、ワッシャWを容易に保持することができる。こうして治具で保持したワッシャWを、コンベアC上のシリンダヘッドHのボルト穴H1に一括して供給する。以上により、シリンダヘッドHのボルト穴H1へのワッシャWの供給が完了する。
【0028】
本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記の実施形態では、部品ストック部20をジグザグ走行させながら凹部12上を通過させる場合を示したが、これに限られない。例えば図7に示すように、部品ストック部20を、搬送方向で往復動させながら複数の凹部12上を通過させてもよい。具体的には、部品ストック部20を前方に移動させた(矢印A参照)後、少し後退させ(矢印B参照)、また前方に移動させる(矢印A参照)、という動作を繰り返す。このとき、部品ストック部20の内壁が、部品ストック部20の内部に配された凹部12と平面視で接する位置(例えば鎖線参照)で、部品ストック部20の搬送方向移動(往復動)の向きが反転される。これにより、この内壁に当接したワッシャWが高い確率で凹部12に嵌り込む。尚、本発明者らの検証によれば、図7に示す実施形態よりも、図1等に示すように部品ストック部20をジグザグ走行させた方が、ワッシャWが凹部12に嵌り込む確率が高かった。また、図7に示す実施形態では、部品ストック部20の位置を制御するために電機制御等の複雑な駆動部が必要となり、設備が大掛かりとなる。以上より、ワッシャWを凹部12に確実に嵌め込み、設備を簡素化する観点から、図1に示すように部品ストック部20をジグザグ走行させる方が好ましい。
【0029】
また、上記の実施形態では、平坦面11及び凹部12の底面12aの一部を昇降させる昇降部材13を設けたが、特に不要であればこれを省略してもよい。この場合、平坦面11及び凹部12の底面12aが一部材で連続して形成される。
【0030】
また、上記の実施形態では、突出部22が、水平方向に延びる平板状である場合を示したが、これに限られない。例えば、図8(a)に示すように、突出部22に、部品ストック部20の内壁(側部21の内周面)から内側に向けて斜め上方に延びる傾斜面22aを設けてもよい。図示例では、突出部22が三角柱形状を成し、部品ストック部20の内壁の全周に連続的に設けられる。本発明者らの検証によれば、突出部22に図8(a)のような傾斜面22aを設けることで、図8(b)に示すような平板状の突出部22と比べて、ワッシャWが凹部12に嵌り込む確率がより一層高くなった。これは、以下の理由によると推定される。すなわち、図8(b)の場合、部品ストック部20の内壁に沿って複数のワッシャWが真上に積み上げられると、この積み上げられたワッシャWを介して他のワッシャWが略鉛直方向に立設され、この略鉛直方向に立設したワッシャWが水平状態のワッシャWの凹部12への嵌り込みを阻害する恐れがある。これに対し、図8(a)の場合、突出部22の傾斜面22aに沿って複数のワッシャWが斜めに積み上げられるため、この積み上げられたワッシャWを介して他のワッシャWが略鉛直方向に立設することはなく、水平状態のワッシャWの凹部12への嵌り込みが阻害される事態を防止できる。
【符号の説明】
【0031】
1 板状部品配列装置
10 配列台
11 平坦面
12 凹部
13 昇降部材
14 昇降手段
20 部品ストック部
21 側部
21a〜21d 平板
21a1〜21d1 内面(内壁)
22 突出部
30 駆動部
31 本体部
32 スライドレール
33 第1駆動部
34 第2駆動部
C コンベア
H シリンダヘッド(ワーク)
H1 ボルト穴(供給位置)
W ワッシャ(板状部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9