(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器体(100)と連通するための上端閉塞の縦主筒部(12)を有し、この縦主筒部(12)の上部前面から射出筒部(20)を、また射出筒部(20)より下側の縦主筒部分前面からシリンダ筒部(22)を、それぞれ縦主筒部(12)内に連通させた本体(4)と、
上記射出筒部(20)の前端に取り付けたノズル(54)と、
上記シリンダ筒部(22)内に後半部を前方へ付勢させて嵌合させた主プランジャ(58)と、
上記射出筒部(20)の前側から揺動可能に垂下され、上記主プランジャ(58)の前半部に連係させたトリガー(62)と、を具備し、
上記縦主筒部(12)で画成する縦流路(PV)のうち射出筒部(20)の後端部付近に第2逆止弁(40)を、また第2逆止弁下方の流路部分に第1逆止弁(36)をそれぞれ形成し、上記トリガー(62)の操作により、容器体(100)内の液体が第1逆止弁(36)を通ってシリンダ筒部(22)内に吸い上げられ、さらにシリンダ筒部(22)内から第2逆止弁(40)を通ってノズル(54)の噴出口より噴出されるように構成したトリガー式噴出器であって、
上記本体(4)は、上記縦主筒部(12)の上部後面から後方突出するとともに縦流路と連通させたタンク筒壁(S1)と、このタンク筒壁(S1)内に前方付勢させて液密に嵌合させた補助プランジャ(S2)とを有するサブタンク(S)を備えており、
トリガー(62)をひくと、シリンダ筒部(22)内の液体の一部がサブタンク(S)内に入るとともに残りが射出筒部(20)を経てノズル(54)より噴出され、トリガー(62)を解放すると、サブタンク(S)内の液体が射出筒部(20)を経てノズル(54)より噴出されるように構成したことを特徴とする、トリガー式液体噴出器。
上記回転体(84a)は、前面開放の筒壁として形成され、その筒壁の周方向の一部にスリットを入れることで当該筒壁の筒穴(90a)とスリット(90b)とで上記切割り(90)を形成し、
上記スペーサ(84c)は、上記筒穴(90a)内へ嵌合可能な棒体(98)と、棒体(98)の側面に付設され上記スリット(90b)内に嵌合可能な邪魔板(99)とで構成されていることを特徴とする、請求項4記載のトリガー式液体噴出器。
上記回転体(84a)の前面から、上記スリット(90b)近傍に位置させて押圧突子(92)を前方突設し、回転体(84a)を回転させたときに上記押圧突子(92)が上記邪魔板(99)に当接可能に形成し、この当接状態で上記邪魔板(99)がスリット(90b)内へ嵌挿可能となることを特徴とする、請求項5記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトリガー式液体噴出器は、トリガーを引くときにのみ液体が吐出されるように構成している。しかしながら、例えば広い面積に対して液体を吹き付けるときには、何度もトリガーをひくことを繰り返さなければならず、面倒である。
【0005】
本発明の第1の目的は、トリガーをひくときだけでなく、その後も液体を噴出するようにして連続噴射することが可能としたトリガー式液体噴出器を提供することである。
本発明の第2の目的は、上記の連続噴射の機能を選択的に停止させるロック機構を有するトリガー式液体噴出器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体100と連通するための上端閉塞の縦主筒部12を有し、この縦主筒部12の上部前面から射出筒部20を、また射出筒部20より下側の縦主筒部分前面からシリンダ筒部22を、それぞれ縦主筒部12内に連通させた本体4と、
上記射出筒部20の前端に取り付けたノズル54と、
上記シリンダ筒部22内に後半部を前方へ付勢させて嵌合させた主プランジャ58と、
上記射出筒部20の前側から揺動可能に垂下され、上記主プランジャ58の前半部に連係させたトリガー62と、を具備し、
上記縦主筒部12で画成する縦流路P
Vのうち射出筒部20の後端部付近に第2逆止弁40を、また第2逆止弁下方の流路部分に第1逆止弁36をそれぞれ形成し、上記トリガー62の操作により、容器体100内の液体が第1逆止弁36を通ってシリンダ筒部22内に吸い上げられ、さらにシリンダ筒部22内から第2逆止弁40を通ってノズル54の噴出口より噴出されるように構成したトリガー式噴出器であって、
上記本体4は、上記縦主筒部12の上部後面から後方突出するとともに縦流路と連通させたタンク筒壁S
1と、このタンク筒壁S
1内に前方付勢させて液密に嵌合させた補助プランジャS
2とを有するサブタンクSを備えており、
トリガー62をひくと、シリンダ筒部22内の液体の一部がサブタンクS内に入るとともに残りが射出筒部20を経てノズル54より噴出され、トリガー62を解放すると、サブタンクS内の液体が射出筒部20を経てノズル54より噴出されるように構成した。
【0007】
本手段では、
図1に示すようにトリガー式液体噴出器の本体4の縦主筒部12の上部後面にサブタンクSを設けることを提案している。サブタンクSは、縦主筒部12の上部後面から後方突出するタンク筒壁S
1と、このタンク筒壁S
1内に嵌合した補助プランジャS
2とで構成されている。このサブタンクSにより、トリガーが前方へ復帰する途中の段階及び前方へ復帰した後にもサブタンクS内の液体がノズルから突出され(
図3及び
図5参照)、液体の連続噴射が可能になる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記タンク筒壁S
1に、上記補助プランジャS
2の後限位置を規定する圧力解除孔16を開口するとともに、上記縦主筒部12の外側に、上記圧力解除孔16から縦主筒部12の下端側へ至る液体戻し流路P
Rを形成した。
【0009】
本手段では、
図1に示す如く、タンク筒壁S
1に開口した圧力解除孔16から縦主筒部12の下端側へ至る液体戻し流路P
Rを形成することを提案している。この構成により、補助プランジャS
2が後限位置まで後退したときにサブタンクS内の液体が液体戻し流路P
Rを経由して容器体100へ戻すことができる(
図4参照)。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ上記ノズル54内に蓄圧弁Aを設けている。
【0011】
本手段では、
図1に示すようにノズル54内に蓄圧弁Aを設けることを提案している。本発明では、
図5の如くトリガーの操作を停止した状態でも液体を噴出し続けることができることを特徴とするが、噴射対象に到達しないほど噴出圧力が弱まると、噴出した液体が無駄になり、またノズルの先端から液たれを生ずるおそれもある。上述の蓄圧弁Aを設けることで、これらの不都合を回避できる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段の何れかを有し、かつ
上記補助プランジャS
2の後退を制限するロック機構84を有し、
このロック機構84は、上記タンク筒壁S
1の後半部内に前後方向の回転軸の周りを回動自在にかつ後方抜出し不能に挿入された回転体84aと、この回転体84aと連結された回転摘み部84bと、回転体84aの前面と補助プランジャS
2との間に介在させたスペーサ84cとからなり、
上記回転体84a及びスペーサ84cの一方に前後方向の切割り90を穿設して、上記回転摘み部84bを非ロック位置へ回したときには回転体84a及びスペーサ84cの他方が上記切割り90内へ挿入されて、補助プランジャS
2の後退が可能となり、回転摘み部84bをロック位置へ回したときには上記回転体84a及びスペーサ84cの対向面が当接して補助プランジャS
2の後退を規制するように構成した。
【0013】
本手段では、
図5に示す如く、補助プランジャS
2の後退を適宜規制することができるロック機構84を設けることを提案する。このロック機構84は、前後方向定位置に固定された回転体84aと、回転体84aに連結した回転摘み部84bと、回転体84a及び補助プランジャS2の間に介在させたスペーサ84cとからなる。補助プランジャS2はスペーサ84cにより後退できない。しかしながら、回転体84a及びスペーサ84cの一方(図示例では前者)には、他方の挿入を可能とする切割り90を設けてあり、回転摘み部84bを非ロック位置へ回すと(
図8参照)、他方部材が切割り90内へ挿入可能となり、
図10の如く補助プランジャS
2の後退が可能となる。
【0014】
第5の手段は、第4の手段の何れかを有し、かつ
上記回転体84aは、前面開放の筒壁として形成され、その筒壁の周方向の一部にスリットを入れることで当該筒壁の筒穴90aとスリット90bとで上記切割り90を形成し、
上記スペーサ84cは、上記筒穴90a内へ嵌合可能な棒体98と、棒体98の側面に付設され上記スリット90b内に嵌合可能な邪魔板99とで構成されている。
【0015】
本手段では、回転体84a及びスペーサ84cの好適な形態を提案している。すなわち、回転体84aは、筒壁にスリットを穿設した形状であるので、簡易な構造とすることができる。
【0016】
第6の手段は、第5の手段を有し、かつ
上記回転体84aの前面から、上記スリット90b近傍に位置させて押圧突子92を前方突設し、回転体84aを回転させたときに上記押圧突子92が上記邪魔板99に当接可能に形成し、この当接状態で上記邪魔板99がスリット90b内へ嵌挿可能となる。
【0017】
本手段では、回転体84aから前方突設した押圧突子92が邪魔板99に当接したときに邪魔板99がスリット90b内へ挿入可能となるようにしている。従って利用者が当接時の感触により非ロック状態となったことを認識できる。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段に係る発明によれば、トリガー式液体噴出器1の本体4の縦主筒部12の上部後側にサブタンクSを形成したから、液体の連続噴出が可能となる。
第2の手段に係る発明によれば、タンク筒壁S
1に開口した圧力解除孔16から縦主筒部12の下端側へ至る液体戻し流路P
Rを形成したから、サブタンクS内の圧力を調整することができる。
第3の手段に係る発明によれば、ノズル54内に蓄圧弁Aを設けたから、液体の噴出圧力が安定する。
第4の手段に係る発明によれば、補助プランジャS
2の後退を規制するロック機構84を設けたから、サブタンクを用いる場合とそうでない場合とを使い分けることができる。
第5の手段に係る発明によれば、回転体84aは筒壁にスリットを穿設した形状であるので、簡易な構造とすることができる。
第6の手段に係る発明によれば、押圧突子92が邪魔板99に当接したときの感触により、非ロック状態となったことを利用者が容易に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1乃至
図5は、本発明トリガー式液体噴出器の第1実施例を示し、図中1はトリガー式液体噴出器を示す。説明の便宜上、このトリガー式液体噴出器の基本的構造を先に説明し、特徴部分を後で説明する。また
図1の左方を前部、右方を後部、手前を右部、その反対側を左部として説明する。
【0021】
トリガー式液体噴出器1は、装着キャップ2と、本体4と、連結部材50と、ノズル54と、主プランジャ58と、トリガー62と、本体カバー64とを備えている。尚、これら各部材は特に断らない限り合成樹脂材で形成することができる。
【0022】
装着キャップ2は、容器体100の口頸部102外周に螺着してトリガー式液体噴出器1を容器体100に装着固定するもので、本体4の下部に回動可能に連設されている。図示例では、装着キャップ2の上端部を小内径部として、この小内径部の内側に下向きの係合段部2aを形成し、この係合段部2aと容器体100の口頸部102との間に、後述する本体4のフランジ32a及びパッキン41を挟持するように設けている。
【0023】
本体4は、本体部6と、インテイク30とを組み付けて構成している。
【0024】
上記本体部6は、上端を閉塞した下端開口の連結筒部8を備え、連結筒部8の頂板10の後部偏心位置に基端を開口した有頂の縦主筒部12を上方に起立し、また、縦主筒部12の上端部に基端を開口した射出筒部20を前方へ延設している。また、射出筒部20下側の縦主筒部分前面より、前面を開口したシリンダ筒部22を前方へ突設している。このシリンダ筒部22の後壁下部は上記頂板10と連続しており、この連続部分に第1通気孔24を開口している。シリンダ筒部22の後端部で囲まれた縦主筒部12の筒壁部分の中央部からは、先端開口の筒状突部26を前方突出しており、その筒壁部分の外周部の一部に第1オリフィスO
1を開口している。
【0025】
インテイク30は、上記連結筒部8内に、連結筒部8の頂板10と隙間をあけて嵌合させた有頂の大径筒部32と、大径筒部32の頂壁33の後部偏心位置を貫通して上方に起立させ、縦主筒部12内に嵌着した小径筒部34とを備えている。図示例では小径筒部34の回りの頂壁部分を陥没させて環状陥没部Rとし、この環状陥没部R内に上記縦主筒部12の下端部を挿入している。
【0026】
また図示例では小径筒部34の上端部内には第1逆止弁36を設けており、また小径筒部34より上方の縦主筒部分内には、第2逆止弁40を内蔵した補助筒部38を嵌合している。補助筒部38の上端部は、縦主筒部12の上端部に付設した係合凸部13の下面に突き当てている。そして本実施形態では、小径筒部34と補助筒部38とで縦流路Pvを画成している。もっともこの構造は適宜変更することができ、例えば小径筒部34及び補助筒部38を連続させても構わない。小径筒部34内下部には吸上げ用のパイプ42の上端を嵌着して下端を容器体100内に垂下している。
【0027】
また大径筒部32の頂壁33には第2通気孔44を穿設し、主プランジャ58を押し込んだ際に外部と容器体100内とが、上記第1通気孔24及び第2通気孔44を介して連通し(
図2参照)、負圧化した容器体100内に外気が導入される如く構成している。
【0028】
さらに、大径筒部32の外周より突設したフランジ32a上面に装着キャップ2上端のフランジ状頂壁を当接させて本体部6に対して装着キャップを回動可能に装着している。フランジ32aの下側にはパッキン41を設けている。
【0029】
上記本体部6は、第1逆止弁36上方の縦流路P
V内と、上記射出筒部20で画成された射出流路P
Jとを連通する第2オリフィスO
2を備えている。
【0030】
連結部材50は、上記射出筒部20の先端外周に装着筒部50aを嵌合させて射出筒部20の先端に装着しており、連結部材50を介して射出筒部20の先端にノズル54を連結している。装着筒部50a先端に射出筒部20先端面を被覆する基板50bを備える。また上記基板50bの前面からは、小径シリンダ周壁50c及びこの小径シリンダ周壁50cを囲む支持筒部50dを内外2重筒状に前方突出している。この小径シリンダ周壁50c内方の基板50b部分には透孔52を設け、この透孔52を介して射出流路P
J内とノズル54先端の噴出口とを連通している。
【0031】
ノズル54は、連結部材50に回動可能に連結した、
図1に示す如き正面視略六角形をなし、ノズル54の裏面中心部に形成した嵌合凹部D内に、上記支持筒部50dに嵌合している。またノズル54の前面中央部には蓋板嵌合用凹部54aを凹設している。また、蓋板嵌合用凹部54a内には、蓋板56を開閉可能に嵌合している。この蓋板56の上端部は、蓋板嵌合用凹部54aの側面から突設した軸部54bに枢着させている。
【0032】
このノズル54の内部には蓄圧弁Aを形成している。すなわち、ノズル54は嵌合凹部Dの前面の外周部から弁筒部54c及び弁筒部54cを囲む大径シリンダ周壁54dを後方突出する。この大径シリンダ周壁54dは、上記小径シリンダ周壁50cより大径であるものとする。またノズル54は、蓄圧弁A形成用の蓄圧弁体57を内蔵している。蓄圧弁体57は、垂直板状の栓部57aの外周部から、前半部に透孔を有する周壁を突出し、この周壁の後半部で形成する小径ピストン部57bとし、周壁の中間部から前外方へテーパ状の大径ピストン部57cを突出してなる。上記栓部57aは上記弁筒部54c内へ、後方への離脱可能に挿入されている。また小径ピストン部57bは上記小径シリンダ周壁50c内に、大径ピストン部57cは上記大径シリンダ周壁54d内にそれぞれ液密に嵌合されている。そして栓部57aの後面と基板50bの前面対応部分との間には第3スプリング55が介装させ(図示例では基板50bより前部側へ突出した突条部材の外周に第3スプリング55を介在させ)ており、蓄圧弁体57を前方に付勢させている。この蓄圧弁体57は、射出筒部20からの液体の噴出圧力が一定以上となると、大径シリンダ周壁54dと小径シリンダ周壁50cとの径差により後退し、蓄圧弁Aが開くように構成している。
【0033】
主プランジャ58は、前端閉塞の筒状であるとともに、その前半部に比べて後半部が大径であり、後半部に形成した摺動部58aを、シリンダ筒部22内周面及び筒状突部26の外周面に液密に嵌合している。主プランジャ58の前半部と筒状突部26の後部との間には第1スプリング60を介装している。そして主プランジャ58は、摺動部58aが第1通気孔24を閉塞する状態から後方への押し込みが可能に装着されている。
【0034】
トリガー62は、前板62aの両側より一対の側板62bを延設し、前板62aと側板62bの下端には底板62cを延設しており、上記連結部材50の両側に、前板62a上方に突出した両側板62bの上端部をそれぞれ枢着して、前後揺動可能に装着されている。また、主プランジャ58の先端部をトリガー62の上部に連係させて、トリガー62の引き込みにより主プランジャ58の押し込みが可能に、押し込んだ状態から第1スプリング60の弾性復元力で元の状態に復元するトリガーにより、主プランジャ58を元の状態に引き戻すよう構成されている。
【0035】
本体カバー64は、本体4の上面、両側面、後面を被覆して本体4に嵌着固定している。
【0036】
本発明においては、上記縦主筒部12の上部後側にサブタンクSを設けている。このサブタンクSは、タンク筒壁S
1と、補助プランジャS
2と、スプリング保持具S
3と、第2スプリングS
4と、嵌合筒部S
5とで構成されている。
【0037】
上記タンク筒壁S
1は、縦主筒部12の上部後面側から後方突出している。タンク筒壁S
1で囲まれる縦主筒部の筒壁部分には、タンク筒壁S
1内と縦流路P
Vとを連通させる第3オリフィスO
3を開口している。また図示例では、この筒壁部分の中央側にプランジャ当接用の環状凸部14を形成している。上記タンク筒壁S
1の前半部には圧力解除孔16を開口している。これについては後述する。
【0038】
上記補助プランジャS
2は、タンク筒壁S
1内に液密に嵌合されている。図示の補助プランジャS
2は、両端部を大外径とした摺動筒部70の前端部に、タンク筒壁内部を仕切る前壁72の外周部を連結してなり、この前壁72の前面外周部に環状溝74を形成している。もっともこの構造は適宜変更することができる。
【0039】
上記スプリング保持具S
3は、タンク筒壁S
1の外面に嵌合させた保持筒部76の後端面をスプリング受板78で閉塞してなる。このスプリング受板78の適所(図示例では中心部)には空気逃がし孔80を開口している。
【0040】
上記嵌合筒部S
5は、上記タンク筒壁S
1の外側の縦主筒部分から後方へ、タンク筒壁S
1と同心状に突設している。この嵌合筒部S
5と保持筒部76との対応箇所に、相互に係合するスプリング保持具S
3抜け留め用の係合手段C
1、C
2を設けている。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0041】
上記第2スプリングS
4は、上記補助プランジャS
2の前壁72とスプリング受板78との間に介装されている。この第2スプリングS
4の弾性力は、トリガー62を後方にひいたときの第2逆止弁40上方の縦流路P
V部分内の圧力上昇により補助プランジャS
2が後退するように設定する。これによりシリンダ筒部22から第2逆止弁40上方へ供給された液体の一部をサブタンクS内に溜めることができる。
【0042】
好適な一実施例として、第2逆止弁40上方へ供給された液体のうち約50%が直接噴出され、残り50%がサブタンクS内に入るように設計することができる。後述の如くトリガーを数回作動させることで、サブタンクS内に液体を大量に溜めることができる。
【0043】
また上記本体4は、上記圧力解除孔16から装着キャップ2の内部へ至る液体戻し流路P
Rを備えている。図示の液体戻し流路P
Rは、第1間隙部g
1と、第2間隙部g
2と、第3間隙部g
3とで構成している。
【0044】
上記第1間隙部g
1は、上記保持筒部76の前半部を大内径として、この大内径部分及び保持筒部76より前方の嵌合筒部分の各内面とタンク筒壁部分の外面との間に形成している。
【0045】
また図示例では連結筒部8の後壁部8aを、頂板10の上方へ延設して、嵌合筒部S
5の前部下側へ連結させている。
【0046】
上記第2間隙部g
2は、上記連結筒部8の後壁部8aと縦主筒部12の後壁部との間の空間として形成される。この空間は、後壁部8aの延長部分の周方向両側で閉塞され、外部に対して遮断されている。
【0047】
また図示例では上記環状陥没部Rの後壁部は大径筒部32の後壁部と共通する連続壁部としており、この連続壁部は縦主筒部12の後壁部から離間している。
【0048】
第3間隙部g
3は、上記環状陥没部Rの後壁部と縦主筒部12の後壁部との間に形成されている。
【0049】
上記構成によれば、
図2に示す如く、トリガー式液体噴出器を容器体100の口頸部102に装着するとともに蓋板56を開いて、トリガー62を後方へ引くと、主プランジャ58が第1スプリング60の弾性力に抗して後退してシリンダ筒部22内の液体が第1オリフィスO
1から縦流路P
V内に入り、第2逆止弁40を押し上げる。第2逆止弁40を通過した液体の一部は、射出筒部20を通り、蓄圧弁Aを開弁させ、この蓄圧弁Aを通過してノズル54から前方へ噴出される。また残りの液体は、第3オリフィスO
3を通過し、サブタンクS内に入る。このとき補助プランジャS
2は、第2スプリングS
4の弾性力に抗して後退する。
【0050】
次にトリガー62を解放すると、
図3に示すように、第1スプリング60の弾性復元力により主プランジャ58が前進して、第1逆止弁36が開きかつ第2逆止弁40が閉じる。これにより容器体100の液体が第1逆止弁36及び第1オリフィスO
1を経てシリンダ筒部22内に入る。
【0051】
他方、サブタンクS内では第2スプリングS
4の弾性復元力により補助プランジャS
2が前進し、サブタンクS内の液体が第3オリフィスO
3、第2オリフィスO
2、射出筒部20、蓄圧弁Aを通過してノズル54から噴出される。
【0052】
すなわち、本発明の構成ではトリガー62を後方へ引くときだけでなく、トリガー62が前方へ復帰するときでも液体が噴出することとなり、連続噴射が可能となる。
【0053】
再びトリガー62を操作しなければ上記補助プランジャS
2は前限位置(
図1に示す位置)まで前進するが、この説明では、補助プランジャS
2が前限位置に到達する前にトリガーを引く動作を繰り返すものとする。そうすると、補助プランジャS
2は、或る一定の巾で後退と前進とを繰り返しながら、全体としては後方へ移動していく。補助プランジャS
2が後退し、圧力が高まり過ぎると、サブタンクSが破損する恐れがある。
【0054】
そこで本発明では、タンク筒壁S
1の適所(図示例ではタンク筒壁の前半部)に圧力解除孔16を設けている。補助プランジャS
2の前壁72が圧力解除孔16より後退すると、サブタンクS内の液体が圧力解除孔16から液体戻し流路P
Rを経由して容器体100側へ戻される(
図4参照)。従って補助プランジャS
2が
図4に示す位置(後限位置)よりも後退することがない。
【0055】
図4の状態からトリガーの操作を停止すると、
図5に示す如く、補助プランジャS
2が前進する。この補助プランジャS
2が後限位置から前限位置へ移動するまでノズル54からの液体の噴出が続くので、長時間の液体の噴出が可能となる。補助プランジャS
2が前限位置に近づき、液体の噴出圧力が一定値未満になると蓄圧弁Aが閉じる。
【0056】
以下本発明の他の実施形態を説明する。この説明において第1実施形態と同じ構成に関しては解説を省略する。
【0057】
本実施形態では、補助プランジャS
2の後退を規制するロック機構84を設けている。
【0058】
このロック機構84は、
図6に示す如く、回転体84aと、回転摘み部84bと、スペーサ84cとで構成されている。
【0059】
図7は、上記ロック機構84を拡大して示している。
この
図7に示す通り、上記回転体84aは、前面開口で回転筒部86と、回転筒部の後面を閉塞する当接壁部88とで形成する。当接壁部の中央部からは連結棒94を突出しており、この連結棒は空気逃がし孔80を通って後方へ突出している。こうすることで当接壁部88をスプリング受板78に係止可能としている。空気逃がし孔80と連結棒94との間には隙間を確保する。図示例の連結棒94は本体カバー64を貫通している。図面中64aは貫通孔である。
【0060】
図8には、
図7のVIII−VIIIの方向にみた回転体84a及びスペーサ84cの形状を、
図9には、
図8に示す構造からスペーサ84cを省略して回転体84aのみの前面形状をそれぞれ描いている。
上記回転筒部86の筒壁には
図6に示す如く前後方向のスリット90bを穿設しており、
図9に示す如く、このスリット90bと回転筒部86の筒穴90aとで上記切割り90を形成する。
【0061】
また回転筒部86の前面からは、
図9に示す如く、上記スリット90bと隣接させて押圧突子92を前方突出している。
【0062】
上記回転摘み部84bは、上記連結棒94を嵌着するための嵌合穴95を有する。図示の回転摘み部84bは、リング状板部96Cの内周部及び外周部から内周壁部96A及び外周壁部96Bをそれぞれ前方突出し、その内周壁部の内面で上記嵌合穴95を形成している。しかしその構造は適宜変更することができる。
【0063】
上記スペーサ84cは、前後方向の棒体98と、棒体98の外面から側外方へ突出する邪魔板99とを具備する。上記棒体98は、上記筒穴90a内へ、また邪魔板99はスリット90b内へそれぞれ嵌合可能である。好適な図示例では、スペーサ84cは補助プランジャS
2の一部として補助プランジャの前壁72から一体的に後方へ突出している。
【0064】
図示例ではスリット90b及び邪魔板99をそれぞれ一対設けているが、その構造は適宜変更することができる。
【0065】
上記構成において、
図6の状態では、回転体84aの切割り90とスペーサ84cとは向きが異なっている(
図8参照)。従ってスペーサ84cが切割り90内に挿入されることはなく、補助プランジャS
2は後退しない。
【0066】
次に
図10の如く回転摘み部84bを回転させると、回転体84aの切割り90とスペーサ84cとは向きが同じとなり(
図11参照)、
図12に示す如く補助プランジャS
2の後退が可能となる。
【0067】
図13は、回転摘み部84bを回転させる過程の途中図であり、押圧突子92が回転体84aとともに矢示の方向に回転する。押圧突子92が邪魔板99に突き当たり、さらにスペーサ84cとともに回転して
図11の状態に至る。利用者は、上記突き当たりの感触によりロックが解除されたことを認識できる。なお、スペーサ84cを補助プランジャS
2と一体に成形したときには、スペーサ84cとともに補助プランジャS
2もタンク筒壁S
1内で回転する。
【0068】
図14は、上記スペーサ84cの変形例を示している。この例では、スペーサ84cを補助プランジャS
2とは別体に成形し、補助プランジャS
2と回転体84aとの間に挿入させている。好適な図示例では、スペーサ84cの棒体98の前端部に鍔部98bを形成して、この鍔部98b内を補助プランジャS
2内に嵌め込み、鍔部98bの後面に第2スプリングS
4の前端部を当接している。