特許第5984192号(P5984192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984192
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】天然ガスの液化プロセス
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20160823BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20160823BHJP
   F25J 3/08 20060101ALI20160823BHJP
   C10L 3/06 20060101ALI20160823BHJP
   C10L 3/08 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F25J1/00 B
   F25J3/06
   F25J3/08
   C10L3/06
   C10L3/08
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-515273(P2014-515273)
(86)(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公表番号】特表2014-522477(P2014-522477A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】GB2012000502
(87)【国際公開番号】WO2012172281
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】1110096.3
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513310553
【氏名又は名称】ガスコンサルト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Gasconsult Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マウンダー,アンソニー,ドゥワイト
(72)【発明者】
【氏名】スキナー,ジェフリー,フレデリック
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−517561(JP,A)
【文献】 特表2006−513391(JP,A)
【文献】 特開2007−051788(JP,A)
【文献】 国際公開第01/044735(WO,A1)
【文献】 特表2009−504838(JP,A)
【文献】 特表2010−514871(JP,A)
【文献】 特表平08−507364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC F25J 1/00− 5/00
C10L 3/00− 3/12
DB等 DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガスまたは他のメタンリッチガスの液化プロセスであって、
−原料天然ガス(9)を、熱交換器(D)及び第1ガスエキスパンダー(E)によって、40〜100bar(4〜10MPa)の圧力において、−50℃〜−80℃の温度に冷却する工程であり、前記熱交換器は、前記原料天然ガス(9)を受け入れると共に、前記エキスパンダーの流出温度より高い流出温度を有する、工程と、
−前記エキスパンダーの流出ストリーム(11)を、前記熱交換器(D)の第1低温側流路において、前記原料天然ガス(9)の前記熱交換器への流入温度のすぐ下の温度に再加熱し、圧縮し、かつリサイクルする工程と、
−前記熱交換器(D)からの低温流出ストリーム(14)の一部またはすべてを、それが部分的に液化される第2エキスパンダー(F)内に通す工程と、
−前記第2エキスパンダー(F)の流出ストリーム(15)を蒸気留分及び液体留分に分離する工程と、
−前記液体留分(16)をLNG製品として使用するために捕集する工程と、
−前記蒸気留分(19)を、前記熱交換器(D)の第2低温側流路において、前記原料天然ガス(9)の前記熱交換器への流入温度のすぐ下の温度に再加熱する工程と、
−前記再加熱された蒸気留分を、圧縮後、一部(5)は前記第1エキスパンダーに、一部(4)は前記熱交換器にリサイクルする工程と、
を含むプロセスにおいて、
前記第2エキスパンダー(F)の流出ストリーム(15)の圧力が5〜15bar(0.5〜1.5MPa)である、
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記熱交換器が前記原料天然ガスのすべてを受け入れる、ことを特徴とするプロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記熱交換器が、前記原料天然ガスの少なくとも30%を受け入れる、ことを特徴とするプロセス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のプロセスにおいて、前記原料天然ガスが−60℃〜−70℃の温度に冷却される、ことを特徴とするプロセス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のプロセスの変形において、前記第1及び第2ガスエキスパンダー(E,F)が、5bar(0.5MPa)〜15bar(1.5MPa)の基本的に同じ流出圧力を有し、その両エキスパンダーからの流出ストリーム(19a)が、最終的な再加熱、圧縮及びリサイクルに先立って結合される、ことを特徴とするプロセス。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のプロセスにおいて、前記原料ストリーム及び/または圧縮機排出ストリーム及び/またはリサイクルストリームの任意の一部分またはすべてが、例えば臭化リチウム(LiBr)のような吸収式冷凍サイクルを用いて冷却される、ことを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のプロセスにおいて、吸収式冷凍システムに必要な熱が、プロセスの圧縮機への動力供給用として用いることができるガスエンジンまたはタービンの排熱によって供給される、ことを特徴とするプロセス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のプロセスにおいて、原料ストリーム及び/またはリサイクルストリームの何れかの前記のような冷却が、原料ガスからの二酸化炭素及び/または他の不純物の除去と組み合わされる、ことを特徴とするプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタンリッチガスの液化方法に関し、更に具体的には、但し排他的にではなく、液化天然ガス(liquefied natural gas:LNG)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスの液化は、実際には、
−液体冷媒の蒸発
−膨張機(エキスパンダー)におけるガスの仕事膨張
によって行うことができる。
【0003】
液体冷媒の蒸発はその動力要求量が最低であるので、広く用いられているカスケードLNGプロセス及び混合冷媒LNGプロセスの基礎になっている。
【0004】
エキスパンダーに基づくLNG設備は、簡素であり、コンパクトであり、軽量であり、かつ、液体冷媒の購入/予備処理/貯蔵を避けることができる。これらの特性は、安全上の観点から炭化水素の在庫量を少なくしたい特にオフショアの小型の施設にとって魅力的である。しかし、エキスパンダープロセスはいくつかの欠点を有する。すなわち、
−近年までエキスパンダーの容量に制限があり、かつ経験が限られていること、
−動力要求量が高いこと、
−内部のガス流量が高いので、ラインの必要直径が大きくなること、
などである。
【0005】
エキスパンダーに基づく殆どのプロセスについて、作業流体(通常窒素)はエキスパンダー出口において気相のままである。
【0006】
エキスパンダー内において原料ガスそのものが部分的に液化されて、2相の排出流れになると、その液化によって内部の(リサイクル)ガス流量が減少し、動力要求量が低減される。
【0007】
液化エキスパンダーによるLNG製造は新規のアイディアではない(Bocquetに付与された米国特許第2,903,858号明細書)。
【0008】
本出願の発明者は、動力要求量を低くし得るプロセスを先に開示した(英国特許第2393504B号明細書及び米国特許第7,234,321号明細書)。このプロセスにおいては、液化エキスパンダーが、原料天然ガスから生成される単一の混合冷媒を含む予備冷却回路に接続される
【0009】
最近の他の文献は、並列/リサイクルガスエキスパンダーによって予備冷却し、これに液化エキスパンダーが後続する方式を開示している。例えば、
−国際公開第01/44735号パンフレット(Mintaその他)は、「1600psiaより高い」圧力に圧縮された原料ガスからの−112℃の加圧液化天然ガス(PLNG)の製造を記載しており、
−米国特許出願公開第2006/0213222号明細書(Whitesell)は、「約1500psig〜約3500psig」の圧力でプロセスに流入するか、あるいはプロセス内でその圧力に圧縮される原料ガスからのLNGの製造を記載している。
【発明の概要】
【0010】
上記の2件の特許文献の内容に対して、本出願の進歩性は、約−161℃の大気圧LNGの実際の製造を可能にする2つのエキスパンダー(予備冷却エキスパンダー及び液化エキスパンダー)に対する運転条件を特定する点にある。更に、上記の特許文献における特徴である非常に高圧の原料ガスはもはや必要でない。
【0011】
この結果、プロセスが簡素化され、熱効率が改善され、更に、原料ガスが40bar(4MPa)程度の低い圧力であっても適用可能な広範囲の適用可能性が実現される。
【0012】
本発明は、そのフローの構成が簡単であること、動力消費が低いこと、及び、液体冷媒の貯蔵と使用とに依拠していないことのために、比較的小さいガス田、特にオフショアのガス田からのLNGの製造を容易にする。液化プロセスそのものは、全体的に、例えば冷媒の予備処理用としてのプロセス処理塔を必要としない。プロセス処理塔は、このような運転条件の下では、運転を容易ならざるものにする可能性が高いのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、天然ガスまたは他のメタンリッチガスの液化プロセスが提供される。一般的に40bar(4MPa)〜100bar(10MPa)の圧力の原料ガスが、前記のエキスパンダーに基づくプラントの構成によって液化され、約1bar(0.1MPa)/−161℃のLNG製品が生成される。このプロセスは次の工程、すなわち、
−最初のステップにおいて、第1熱交換器によって、かつ第1仕事エキスパンダー内において、原料ガス及びリサイクルガス(以下に述べる)を冷却する工程であって、その熱交換器は、−50℃〜−80℃、好ましくは−60℃〜−70℃の流出温度を有し、そのエキスパンダーは、前記熱交換器の流出温度より低い流出温度を有し、かつ、そのエキスパンダーの流出ストリームは、前記熱交換器の低温側流路において再加熱され、続いて、上記のリサイクルガスの一部を形成するために再圧縮される、工程と、
−前記第1熱交換器からの前記冷却された流出ストリームを、部分的に、その流出ストリームが本質的に凝縮される第2熱交換器の高温側流路内に通し、かつ部分的に、第2仕事エキスパンダー内に通す工程であって、その第2エキスパンダーは第2熱交換器の低温流出流体より低い流出温度を有し、その第2エキスパンダーの流出ストリームはかなりの量の液体(通常10〜15重量%)を含み、そのエキスパンダーの流出流体は蒸気留分と液体留分とに分離され、蒸気留分は前記第2及び第1熱交換器の低温側流路において再加熱され、続いて、再圧縮され、上記のリサイクルガスの一部としてプロセスの流入側に戻される、工程と、
−上記の分離された液体及び第2熱交換器の高温側流路から凝縮された液体(両者共通常約−120℃)の圧力をほぼ大気圧に低下させ、放出されたフラッシュガスを上記の熱交換器における別の低温側流路内において再加熱し、かつ、液体をLNG製品として使用するために取り出す工程と、
を含む。
【0014】
リサイクルガスの圧縮動力に対する最低の要求量が、機械的仕事の抜き取りを、第2エキスパンダーのほぼ出口において10bar(1MPa)を超える圧力範囲に集中させることから得られることが見出された。この利点は、2つのエキスパンダーからの流出圧力を約10bar(1MPa)に均等化できる点にあり、第1熱交換器を3流路構成に縮減できる。
【0015】
殆どの既存のLNG製造は、熱交換器内においてLNG製品を形成するように天然ガスを冷却しかつ凝縮させるために、液体の冷媒の蒸発に依拠しているが、本発明は、適度な動力要求量を備えた液化プロセスであって、必要な冷却の大部分が、原料ガスそのものの仕事膨張によって供給されるプロセスを含んでいる。従って、極低温用の液体冷媒、あるいは窒素のような他の二次作業流体は必要でない。この方法で、低い温度レベルにおいてエネルギーが抜き取られ、これによって、結果的に熱力学的な効率が改善される。その結果、前記仕事エキスパンダーからの低温ガスの再加熱によって冷却される熱交換器内の凝縮によって形成されるLNGに加えて、LNGのかなりの部分が、直接、仕事抜き取りエキスパンダーにおいて形成される。
【0016】
次に、本発明を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態によるプロセスを示すフローシートである。
図2図2は、本発明の別の実施形態によるプロセスを示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の基本的な運転上の特徴を示す。正確なフローシートは原料ガスの仕様に応じて変化するであろうが、一般的にこのフローシートの基本要素を含むであろう。圧力に言及する場合は、本明細書においては単位として「bar」を用いるが、この「bar」は絶対圧力である。
【0019】
原料天然ガス(ストリーム1)は予備処理段階Aを通して供給される。予備処理段階Aにおいては、CO、HS、水蒸気及び水銀蒸気のような、固結するか、あるいは他の態様で下流側の液化プロセスと干渉する成分が、予備処理ガス(ストリーム2)における適切なかつ従来の最大の濃度になるのに必要な程度まで除去される。
【0020】
ストリーム2はリサイクルガス(ストリーム3)の一部(ストリーム4)と混合され、ストリーム6を形成する。ストリーム6は、熱交換器Bの流路を通過し、通常−20℃〜−60℃の範囲、好ましくは−30℃〜−50℃の範囲の温度でストリーム7として流出する。この温度は、通常、最終のLNG製品用の仕様に適合するために、必要かつ十分なNGLを凝縮するのに十分な程度に低い。セパレータCにおいて凝縮されるあらゆる炭化水素がストリーム8として取り出される。Cからの流出蒸気(ストリーム9)は熱交換器D内の流路において更に冷却され、−50℃〜−80℃、好ましくは−60℃〜−70℃の範囲の温度においてストリーム10として流出する。リサイクルガスの残余の部分(ストリーム5)はガスエキスパンダーEにおいて冷却され、ストリーム10の温度より低い温度の流出ストリーム11として流出する。
【0021】
場合によっては、予備処理された原料ガスの一部またはすべてを、予備処理段階Aからストリーム2aを経由して流出させ、リサイクルガスのストリーム3がストリーム4及び5に分割される点の上流側でリサイクルガスのストリーム3に合流させることができる。この方式は、天然ガスの原料ストリーム1が僅少量の重質炭化水素しか含まない場合に有用であり得る。このような場合は、予備処理された原料ガスを全リサイクルガスと混合することができ、その結果得られた混合物を、続いて、ストリーム6としての熱交換器Bへの供給用と、ストリーム5としてのガスエキスパンダーEへの供給用とに分割することができる。
【0022】
ストリーム11の圧力は、通常、約15bar(1.5MPa)となるであろう。ストリーム11は熱交換器Dにおける第1低温側流路に流入し、ストリーム12として流出する。ストリーム12は、続いて熱交換器Bにおける第1低温側流路を通過し、ストリーム6の温度のすぐ下の温度で流出する(ストリーム13)。ストリーム4の流量とストリーム5の流量との比率は、熱交換器B及びDの合成した高温側及び低温側の間の温度の接近がそれらの全長にわたって一様になるように制御される。
【0023】
ストリーム10の大部分は、引き続いて、第2ガスエキスパンダーFを通過し(ストリーム14)、そのエキスパンダーFから、3bar(0.3MPa)〜20bar(2MPa)、好ましくは5bar(0.5MPa)〜15bar(1.5MPa)の圧力で、かつ、部分的に液化された状態でストリーム15として流出する。ストリーム15は、続いて気液セパレータGに流入する。セパレータGからの液相部分(ストリーム16)は、続いて、通常弁またはタービンのような減圧装置Hにおいて減圧される。Hからの流出分(ストリーム17)は、通常大気圧かまたはそれに近い圧力であり、LNGタンクIに送られる。製品LNGの窒素含有量を低減したい場合には、従来型の窒素ストリッピング塔(図示なし)を用いることができるが、この場合、通常、再沸用としてはストリーム16の顕熱を利用する。
【0024】
任意選択的なかつ好ましい方式として、ストリーム10の一部が、ストリーム23として熱交換器Jの高温側流路を通過し、その熱交換器Jにおいて、セパレータGからの蒸気(ストリーム18)との間接熱交換によって液化され、ストリーム24として流出する。ストリーム24は、続いて、通常弁またはタービンのような減圧装置Kによって減圧される。Kからの流出分は、ストリーム25aとして破線で示されるように気液セパレータGに導かれるか、あるいは、好ましくは、ストリーム25bとしてLNGタンクIに導かれる。この第2の選択方式は、リサイクルガス中の窒素の蓄積を低減するのに役立つ。ストリーム18は、熱交換器Jの第1低温側流路において加熱されてストリーム19として流出する。ストリーム19は、続いて、熱交換器Dの第2低温側流路において更に加熱され、ストリーム20として流出する。ストリーム20は、続いて、熱交換器Bの第2低温側流路において更に加熱され、ストリーム6の温度より僅かに低い温度で、ストリーム21として流出する。
【0025】
ストリーム13及び21はリサイクル圧縮機Nにおいて圧縮され、その圧縮機Nからの流出ストリーム34は、通常、冷却器Oにおいて冷却水によって冷却される。圧縮機Nはインタクーラを備えた多段構成とすることができる。ストリーム13及び21は、同じ圧力ではないので、異なる圧縮機段に流入させることになるであろう。Oからの流出ストリームが、上記のリサイクルガスのストリーム3を形成する。
【0026】
Hを通してのストリーム16のフラッシング及びKを通してのストリーム24のフラッシングによって、原料ガスの窒素含有量の殆どと共に主としてメタンを含む蒸気が発生するであろう。通常、この蒸気(ストリーム26)は、任意選択的に、タンクI内への熱の漏入によって生じる蒸発蒸気と組み合わされて、熱交換器Jの第2低温側流路内で加熱され、ストリーム27を形成する。ストリーム27は、続いて、熱交換器Dの第3低温側流路内で加熱されてストリーム28になり、最後に、熱交換器Bの第3低温側流路内で加熱されて、ストリーム6の温度より僅かに低い温度でストリーム29として流出する。ストリーム29の圧力が確実に大気圧以下に低下しないようにするため、ストリーム26に、従来型のブースタブロワ(これも図示なし)を設けることができる。ストリーム29は、通常燃料ガスとして用いることができる。
【0027】
ストリーム29の一部またはすべて(ストリーム30)は、任意選択的に、リサイクルガスに戻すために低圧圧縮機Lにおいて圧縮することができる。これはストリーム31として流出する。このストリーム31は冷却器Mにおいて冷却され、その冷却器Mからの流出分(ストリーム32)がストリーム21に合流してストリーム22を形成する。ストリーム22は、続いて、この任意選択が用いられない場合の単独のストリーム21の代わりに、リサイクル圧縮機Nの吸い込み側に流入する。別の任意選択として、リサイクルガス(ストリーム33)を、通常ガスタービンの燃料用として、好適な点において圧縮機Nから引き抜く方式がある。ストリーム29またはストリーム33は、最終的に燃料として燃焼するのに先立って、予備処理段階Aにおける吸着剤の再生用としてのストリッピングガスとして利用することが好都合である場合がある。
【0028】
図2は、本発明の別の好ましい実施形態を示すが、この実施形態においては、エキスパンダーE及びFが、基本的に、3bar(0.3MPa)〜20bar(2MPa)、好ましくは5bar(0.5MPa)〜15bar(1.5MPa)の同じ流出圧力を有する。エキスパンダーEからの流出ストリーム(ストリーム11)は、続いて、ストリーム19と結合され、ストリーム19aを形成する。ストリーム19aは図1のストリーム19の位置で熱交換器Dに流入する。この場合、熱交換器B及びDはただ3つの流路のみを有し、これによって、熱交換器の構造と、プラントの運転とが簡素化される。
【0029】
殆どの用途において、ストリーム2及び3は大気温度に近い温度を有するであろうことが予期されるが、この温度レベル以下に冷却することが有利である場合がある。これらのストリーム、及び、任意選択的に圧縮機のインタクーラ及びアフタクーラからの流出ストリームを、機械的な冷凍サイクルによって、あるいは、通常、臭化リチウム(LiBr)を用いる吸収式冷凍システムによって冷却することが可能である。臭化リチウムは、ガスタービン、ガスエンジンまたはコンバインドサイクル、あるいは他の何らかの適切な設備の排気ガスからの熱供給を受け取ることができる。
図1
図2