【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1を
図1乃至
図7に基づいて説明する。
まず、
図1を用いてダイ供給装置11の構成を概略的に説明する。
【0016】
ダイ供給装置11は、マガジン保持部22(トレイタワー)、パレット引き出しテーブル23、XY移動機構25、突き上げ機構28(
図2参照)等を備え、パレット引き出しテーブル23を部品実装機(図示せず)に差し込んだ状態にセットされる。
【0017】
ダイ供給装置11のマガジン保持部22内に上下動可能に収納されたマガジン(図示せず)には、ウエハ張設体30を装着したウエハパレット32と、トレイ部品を積載したトレイパレットとが多段に混載され、生産中にマガジンからウエハパレット32又はトレイパレットがパレット引き出しテーブル23上のピックアップ位置に引き出されるようになっている。
【0018】
図3に示すように、ウエハ張設体30は、ウエハを碁盤目状にダイシングして形成したダイ31を貼着した伸縮可能なダイシングシート34を、円形の開口部を有するダイシングフレーム33に接着等により固定し、該ダイシングフレーム33の開口部内で該ダイシングシート34を内側・外側の両エキスパンドリング44,45(
図6参照)で挟み込んでエキスパンドしたものであり、該ダイシングフレーム33がパレット本体35にねじ止め等により取り付けられている。
【0019】
突き上げ機構28(
図2参照)は、突き上げポット37をウエハパレット32のダイシングシート34下方の空間領域をXY方向に移動させるように構成されている。そして、ダイシングシート34のうちのピックアップ(吸着)しようとするダイ31の貼着部分をその下方から突き上げポット37の突き上げピン39(
図4、
図5参照)で局所的に突き上げることで、当該ダイ31の貼着部分をダイシングシート34から部分的に剥離させてダイ31をピックアップしやすい状態に浮き上がらせるようにしている。
【0020】
この突き上げ機構28は、サーボモータ(図示せず)を駆動源として突き上げ機構28全体が上下動するように構成されている。ダイピックアップ動作時には、突き上げ機構28が上昇して突き上げポット37の上面がウエハパレット32のダイシングシート34にほぼ接触する所定のシート吸着位置まで上昇すると、ストッパ機構(図示せず)によって突き上げ機構28の上昇が止まり、更に上昇動作を続けると、突き上げポット37の上面から突き上げピン39(
図4、
図5参照)が上方に突出して、ダイシングシート34のうちのピックアップしようとするダイ31の貼着部分を突き上げるようになっている。この場合、駆動源となるサーボモータの回転量を調整することで、突き上げピン39の突き上げ高さ位置(突き上げ量)を調整できるようになっている。
【0021】
図1に示すように、XY移動機構25には、吸着ヘッド41とカメラ42とが組み付けられ、該XY移動機構25によって吸着ヘッド41とカメラ42が一体的にXY方向に移動するように構成されている。吸着ヘッド41には、ダイシングシート34上のダイ31を吸着する吸着ノズル43(
図4、
図5参照)が上下動するように設けられている。カメラ42は、ダイシングシート34上のダイ31を上方から撮像してその撮像画像を画像処理することで、吸着ノズル43で吸着しようとするダイ31の位置を認識できるようになっている。
【0022】
ダイ供給装置11の制御コンピュータ(図示せず)は、ダイシングシート34上のダイ31のうち、吸着しようとするダイ31をカメラ42で撮像して得られた画像を処理して該ダイ31の位置を認識して、該ダイ31の突き上げ位置及び吸着位置を決定し、
図5に示すように、ダイシングシート34のうちのピックアップ(吸着)しようとするダイ31の貼着部分をその下方から突き上げポット37の突き上げピン39で局所的に突き上げることで、当該ダイ31の貼着部分をダイシングシート34から部分的に剥離させてダイ31をピックアップしやすい状態に浮き上がらせながら、該ダイ31を吸着ノズル43に吸着してピックアップする。
【0023】
尚、部品実装機の吸着ノズル(図示せず)でダイシングシート34上のダイ31を吸着するようにしても良い。また、マガジンからトレイパレットがパレット引き出しテーブル23上のピックアップ位置に引き出された場合は、該トレイパレットに積載されたトレイ部品が部品実装機の吸着ノズルで吸着される。
【0024】
図1に示すように、パレット引き出しテーブル23の両側のうちのマガジン保持部22に近い位置には、ウエハパレット32上の外側のエキスパンドリング45を検知対象物とする対物センサである透過型の光センサ46,47(投光素子と受光素子)が、ウエハパレット32の引き出し方向と直角の方向に対向するように設置され、
図7に示すように、引き出し機構によりマガジン内のウエハパレット32をパレット引き出しテーブル23上のピックアップ位置へ引き出す際に、該ウエハパレット32上の外側のエキスパンドリング45が光センサ46,47の検知エリア(光軸)を通過し、その通過の際に光センサ46,47の光軸が外側のエキスパンドリング45で遮られて受光側の光センサ47(受光素子)の出力がオンからオフに切り替わるように構成されている。この光センサ46,47は、パレット引き出しテーブル23上にトレイパレットが引き出される場合には、該トレイパレット上のトレイ部品の載置状態の正常/異常を監視する光センサとしても用いられる。
【0025】
ダイ供給装置11の制御コンピュータ(図示せず)は、引き出し機構によりマガジン内のウエハパレット32をパレット引き出しテーブル23上のピックアップ位置へ引き出す際に、光センサ46,47の検出結果とウエハパレット32の移動量との関係に基づいて外側のエキスパンドリング45の外径Rout を計測する。具体的には、引き出し機構によりマガジン内のウエハパレット32をパレット引き出しテーブル23上のピックアップ位置へ引き出す際に、該ウエハパレット32上の外側のエキスパンドリング45が光センサ46,47の検知エリア(光軸)を通過し、その通過の際に光センサ46,47の光軸が外側のエキスパンドリング45で遮られて受光側の光センサ47の出力がオンからオフに切り替わるため、受光側の光センサ47の出力がオフに切り替わった位置から再びオンに切り替わる位置までのウエハパレット32の移動量が外側のエキスパンドリング45の外径Rout に相当する(
図7参照)。このウエハパレット32の移動量は、引き出し機構を駆動するモータ等の駆動源の動作量(制御量)等により検出される。
【0026】
外側のエキスパンドリング45の外径Rout の計測値と内側・外側の両エキスパンドリング44,45の合計幅Wとに基づいて次の(1)式により内側のエキスパンドリング44の内径Rinを算出する。
Rin=Rout −W×2 ……(1)
ここで、内側・外側の両エキスパンドリング44,45の合計幅Wは、予め定数としてダイ供給装置11の制御コンピュータの記憶装置(図示せず)に記憶されている。
【0027】
尚、予め、上記(1)式により外側のエキスパンドリング45の外径Rout をパラメータとして内側のエキスパンドリング44の内径Rinを算出するテーブルを作成して、そのテーブルを制御コンピュータの記憶装置に記憶しておき、外側のエキスパンドリング45の外径Rout の計測後に、このテーブルを参照して外側のエキスパンドリング45の外径Rout の計測値に対応する内側のエキスパンドリング44の内径Rinを求めるようにしても良い。この際、必要に応じて補間補正により内側のエキスパンドリング44の内径Rinを算出すれば良い。
【0028】
以上のようにして計測した内側のエキスパンドリング44の内径Rinに基づいて突き上げポット37が該内側のエキスパンドリング44の内縁と干渉しないように該突き上げポット37の水平方向(XY方向)の移動範囲を設定する。
【0029】
以上説明した本実施例1によれば、マガジン内のウエハパレット32をピックアップ位置へ引き出す際に、該ウエハパレット32上の外側のエキスパンドリング45を光センサ46,47で検出して、その光センサ46,47の検出結果とウエハパレット32の移動量との関係に基づいて外側のエキスパンドリング45の外径を計測するようにしているため、外側のエキスパンドリング45の外径計測値と内側・外側の両エキスパンドリング44,45の合計幅とに基づいて内側のエキスパンドリング44の内径を算出することができる。これにより、ウエハパレット32に、内側のエキスパンドリング44の内径等のデータを記録した情報記録部が設けられていなくても、内側のエキスパンドリング44の内径を自動的に計測することができ、突き上げ動作時に突き上げポット37が内側のエキスパンドリング44と干渉して破損することを防止できると共に、内側のエキスパンドリング44の内径等のデータを作業者が入力する作業を行う必要がなくなり、生産性を向上できる。
【0030】
尚、本発明は、内径計測専用の光センサを新たに設けても良いが、本実施例1のように、マガジン内に、ウエハパレット32とトレイパレットとを混載している場合は、トレイパレット上のトレイ部品の載置状態の正常/異常を監視するために光センサ46,47が設置されているため、この光センサ46,47を使用して内側のエキスパンドリング44の内径を計測することができ、内径計測専用の光センサを新たに設ける必要がない。
【実施例2】
【0031】
次に、
図8を参照して本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一の部分については前記実施例1と同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分を説明する。
【0032】
本実施例2では、ダイシングシート34上のダイ31を撮像するカメラ42を使用して、画像処理技術により内側のエキスパンドリング44の内径を計測するものであり、まず、内側のエキスパンドリング44の内周縁の3箇所をカメラ42で撮像して、それらの撮像画像をダイ供給装置11の制御コンピュータ(画像処理手段)で処理して、内側のエキスパンドリング44の内周縁の3箇所の位置を画像処理により認識し、認識した内側のエキスパンドリング44の内周縁の3箇所の位置に基づいて該内側のエキスパンドリング44の内径を算出するようにしている。
【0033】
図8に示すように、カメラ42の撮像画像には、内側のエキスパンドリング44とダイシングシート34とが部分的に写っているため、ダイ供給装置11の制御コンピュータで撮像画像を処理して輝度(明暗度)が変化する位置を内側のエキスパンドリング44の内周縁と認識する。例えば、1つの撮像画像の中に、内側のエキスパンドリング44の内周縁と交差する1本のシークラインを作成し、このシークライン上の輝度の変化パターンを求めて、輝度がステップ的に変化する位置(点)を内側のエキスパンドリング44の内周縁と認識し、その位置のXY座標(X1 ,Y1)を求める。このような画像処理を内側のエキスパンドリング44の内周縁の3箇所で行うことで、内側のエキスパンドリング44の内周縁の3箇所(3点)の位置のXY座標(X1 ,Y1)、(X2 ,Y2)、(X3 ,Y3)を求める。これら3点(X1 ,Y1)、(X2 ,Y2)、(X3 ,Y3)を通る円は一義的に決まるため、3点(X1 ,Y1)、(X2 ,Y2)、(X3 ,Y3)を通る円の中心座標と直径を算出し、この円を内側のエキスパンドリング44の内周縁と認識して、その内径(円の直径)を求める。このような画像処理による内側のエキスパンドリング44の内径の計測は、ダイ供給装置11の制御コンピュータによって自動的に行われる。
【0034】
尚、内側のエキスパンドリング44の内周縁と交差するシークラインの作成は、ダイ供給装置11の制御コンピュータによって自動的に行っても良いし、作業者が制御コンピュータの表示装置(図示せず)に表示された撮像画像を見ながら手動操作でシークラインの位置を指定するようにしても良い。また、内側のエキスパンドリング44の内周縁の4箇所以上の点を画像処理により認識し、認識した4箇所以上の点に最も近接する円の中心座標と直径を算出し、この円を内側のエキスパンドリング44の内周縁と認識して、その内径(円の直径)を求めるようにしても良い。
【0035】
以上説明した本実施例2でも、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0036】
次に、
図9を参照して本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一の部分については前記実施例1と同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分を説明する。
【0037】
本実施例3では、上方に位置する計測対象点までの高さを計測するレーザセンサ等の非接触式の高さ計測センサ51を突き上げ機構28(又は突き上げポット37)に設け、高さ計測センサ51が突き上げポット37と一体的に水平方向(XY方向)に移動するように構成している。
【0038】
内側のエキスパンドリング44の内径を計測する場合は、高さ計測センサ51でウエハパレット32の下端の高さを計測しながら、その計測対象点が内側のエキスパンドリング44の内周縁を横切るように該高さ計測センサ51を水平方向に移動させ、該高さ計測センサ51の計測値がステップ的に変化する位置を内側のエキスパンドリング44の内周縁の位置と判定する処理を該内側のエキスパンドリング44の内周縁の少なくとも3箇所で行い、該内側のエキスパンドリング44の内周縁の少なくとも3箇所の位置に基づいて、前記実施例2と同様の手法で、該内側のエキスパンドリング44の内径を算出する。尚、高さ計測センサ51の水平方向の位置(XY座標)の認識は、突き上げポット37(突き上げピン39)の水平方向の位置を認識する機能を用いて行われる。
【0039】
以上説明した本実施例3でも、前記実施例1とほぼ同様の効果を得ることができる。
尚、本実施例3では、高さ計測センサ51を突き上げポット37と一体的に水平方向に移動するように構成しているため、突き上げポット37を移動させる突き上げ機構28を利用して高さ計測センサ51を水平方向に移動させることができ、高さ計測センサ51専用の移動機構を設ける必要がない。但し、本発明は、高さ計測センサ51専用の移動機構を設ける構成としても良い。
【0040】
また、ウエハパレット32上の外側のエキスパンドリング45を検出する対物センサは、光センサに限定されず、超音波センサ、赤外線センサ等であっても良い。
【0041】
その他、本発明は、上記各実施例1〜3に限定されず、例えば、ダイ供給装置11の構成やウエハパレット32の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。