特許第5984202号(P5984202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984202
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】エアゾール式スプレー
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20160823BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20160823BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/02
   A61K8/31
   A61K8/33
   A61Q5/06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-42720(P2012-42720)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-177352(P2013-177352A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】八木 真和
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−256212(JP,A)
【文献】 特開2010−037270(JP,A)
【文献】 特開2004−059528(JP,A)
【文献】 特開2007−099683(JP,A)
【文献】 特開2011−093940(JP,A)
【文献】 特開2011−098932(JP,A)
【文献】 特開平06−199639(JP,A)
【文献】 特開平07−309728(JP,A)
【文献】 特開2006−199664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整髪料原液と噴射剤とが配合されているエアゾール式スプレーであって、
上記整髪料原液は、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体、およびアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体が配合されており、
上記噴射剤は、ジメチルエーテルおよび液化石油ガスを含み、かつ上記噴射剤の総量中のジメチルエーテルの割合が、45〜80質量%であることを特徴とするエアゾール式スプレー。
【請求項2】
アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の、整髪料原液における配合量が、0.5〜10質量%である請求項1に記載のエアゾール式スプレー。
【請求項3】
整髪料原液と噴射剤との合計量中の整髪料原液の割合が、45〜55質量%である請求項1または2に記載のエアゾール式スプレー。
【請求項4】
クリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の、整髪料原液における配合量が、0.5〜10質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール式スプレー。
【請求項5】
整髪料原液は、溶剤として低級アルコールが配合されている請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール式スプレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に良好な再整髪性および毛先のまとまりを付与し得るエアゾール式スプレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノニオン性高分子の1種であるアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体は、主にセット樹脂として、整髪料などの毛髪化粧料に使用されている(特許文献1)。
【0003】
アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体を配合したクリーム状やワックス状などの整髪料は、例えば、これを塗布した後の毛髪を手櫛などで動きを付けるなどの整髪した際の形状の作りやすさ、すなわち再整髪性を良好にでき、また、毛先のまとまりを良好にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−251930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クリーム状やワックス状などの整髪料の場合、適量を手に取って毛髪に塗布するなどする方法で使用されるが、このような使用方法では、部分的に多く塗布してしまうなど、毛髪全体に整髪料を均一に塗布することが難しい。
【0006】
他方、例えば、整髪料の剤型をエアゾール式スプレーにした場合には、毛髪全体へ均一に塗布することが容易である。
【0007】
ところが、エアゾール式スプレーに噴射剤として汎用されている液化石油ガスを用い、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体を配合した原液と混合した組成物を用いてエアゾール式スプレーを構成しようとすると、特に温度が低い場合に、上記共重合体の分離が生じやすい。そして、上記共重合体の分離が生じた組成物を用いたエアゾール式スプレーの場合には、上記共重合体による作用が十分に機能し得ないことが、本発明者らの検討により明らかとなった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、毛髪に良好な再整髪性および毛先のまとまりを付与し得るエアゾール式スプレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成し得た本発明のエアゾール式スプレーは、整髪料原液と噴射剤とが配合されており、上記整髪料原液は、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体が配合されており、上記噴射剤は、ジメチルエーテルおよび液化石油ガスを含み、かつ上記噴射剤の総量中のジメチルエーテルの割合が、45〜80質量%であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛髪に良好な再整髪性および毛先のまとまりを付与し得るエアゾール式スプレーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
液化石油ガス(LPG)は、種々の化合物が含まれた組成物であることから、単一の化合物の場合と異なり、エアゾール式スプレーに要求される噴射圧に応じたものの選択が可能であり、また、ジメチルエーテル(DME)などと異なり、スプレーを塗布した毛髪に過度に濡れたような感じを付与することもないことなどの理由から、エアゾール式スプレーの噴射剤として汎用されている。
【0012】
ところが、上記の通り、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体が配合された整髪料原液と、LPGとを配合してエアゾール式スプレーを構成すると、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の分離が生じてしまい、このようなエアゾール式スプレーでは、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の作用を十分に引き出し得ない。
【0013】
本発明では、整髪料原液と噴射剤とを配合して形成されるエアゾール式スプレーに係る噴射剤にLPGと共にDMEを使用し、その組成を適正にすることで、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の分離を抑制し、その作用を十分に引き出し得るようにして、毛髪に良好な再整髪性および毛先のまとまりを付与することが可能で、かつ毛髪に均一に塗布できるエアゾール式スプレーの提供を可能としている。
【0014】
本発明のエアゾール式スプレーは、整髪料原液と噴射剤とが配合されたものであり、これがエアゾール式容器に充填されて使用される。
【0015】
本発明のエアゾール式スプレーに係る整髪料原液には、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体が配合されている。アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の使用によって、毛髪に良好な再整髪性と毛先のまとまりとを付与することが可能となる。
【0016】
整髪料原液におけるアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の配合量は、その使用による効果を良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪料原液に配合するアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の量が多すぎると、DMEによるアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の分離抑制の効果が小さくなる虞がある。よって、整髪料原液におけるアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の配合量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0017】
また、整髪料原液には、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体が配合されていることが好ましい。アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体は、エアゾール式スプレー中において、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の分離を引き起こすことなく、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体による作用(毛髪に良好な再整髪性と毛先のまとまりとを付与する作用)をより高める作用を有している。
【0018】
整髪料原液におけるアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の配合量は、その使用による効果を良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪料原液に配合するアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の量が多すぎると、べたつきが生じやすくなり、処理後の毛髪の再整髪性を高める効果が小さくなる虞がある。よって、整髪料原液におけるアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の配合量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0019】
整髪料原液には、溶剤として低級アルコールが配合されていることが好ましい。低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコールなどの炭素数が7以下のアルコールが挙げられる。整髪料原液には、これらの低級アルコールのうち1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、エタノールを使用することがより好ましい。
【0020】
整髪料原液における低級アルコールの配合量は、例えば、60〜99質量%とすることが好ましい。
【0021】
また、整髪料原液は、水を含有していてもよい。整髪料原液における水の含有量(配合量)は、例えば、0.01〜20質量%であることが好ましい。
【0022】
本発明の整髪料原液には、上記の各成分以外にも、例えば通常の毛髪化粧料に配合されている各種の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。このような配合成分としては、例えば、炭化水素、高級アルコール、エステル、多価アルコール、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体およびアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体以外の高分子、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、シリコーン類、植物抽出物、酸化防止剤、香料などが挙げられる。
【0023】
炭化水素としては、例えば、軽質流動イソパラフィン、軽質パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、セレシン、ワセリンなどが挙げられる。高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコールなどが挙げられる。エステルとしては、例えば、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、トリカプリル酸グリセリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、イソステアリン酸コレステリル、N−ミリストイル−N−メチルアミノプロピオン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル〔PPGは「ポリプロピレングリコールの略であり、その後の数値(3)はオキシプロピレングリコールの平均付加モル数である〕などが挙げられる。
【0024】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体およびアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体以外の高分子としては、例えば、アクリル酸/アクリル酸アミド/アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド共重合体などが挙げられる。
【0025】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのモノアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムなどのジアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのベンザルコニウム型4級アンモニウム;などが挙げられる。
【0026】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)ステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(3)ソルビット、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0027】
シリコーン類としては、例えば、ジメチコノール、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、dl−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エリソルビン酸などが挙げられる。
【0028】
本発明のエアゾール式スプレーに係る噴射剤には、DMEとLPGとを併用する。DMEの使用によって、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の分離を抑制することができる。また、噴射剤にDMEのみを使用した場合、噴射圧の調整が難しく、また塗布後の毛髪が過度に濡れた感じとなりやすいが、DMEとともにLPGを使用することで、こうした問題を回避することができる。
【0029】
本発明のエアゾール式スプレーに係る噴射剤の総量中のDMEの割合は、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の分離を抑制する観点から、45質量%以上とし、50質量%以上とすることが好ましい。ただし、噴射剤中のDMEの配合量が多くなり過ぎると、LPGによる上記の効果が小さくなる虞がある。よって、噴射剤の総量中のDMEの割合は、80質量%以下とし、60質量%以下とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明のエアゾール式スプレーでは、良好な整髪機能と良好な噴射性(毛髪への塗布性)とを両立させる観点から、整髪料原液と噴射剤との合計量中の整髪料原液の割合を、30質量%以上とすることが好ましく、45質量%以上とすることがより好ましく、また、70質量%以下とすることが好ましく、55質量%以下とすることがより好ましい。
【0031】
本発明のエアゾール式スプレーは、エアゾール容器からスプレーを毛髪に適量噴射する方法で使用することができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例などにおいて、「%」は「質量%」を意味している。また、エアゾール式スプレーの配合量としては、全体で100%となるように各成分の配合量を%で示し、後記の表1〜表3中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0033】
実施例1〜13および比較例1〜7
実施例1〜13および比較例1〜7のエアゾール式スプレーに係る整髪料原液を表1〜表3に示す組成で調製し、これらの整髪料原液と噴射剤とを表1〜表3に示す組成で混合し、これらをエアゾール容器に充填して、実施例1〜13および比較例1〜7のエアゾール式スプレーを得た。
【0034】
実施例1〜13および比較例1〜7のエアゾール式スプレーを用いて処理した毛髪の
再整髪性および毛先のまとまり具合を評価した。
【0035】
1名の被験者の毛髪を、シャンプー〔ミルボン社製「DEESSE’S S」(商品名)〕を用いて洗浄し、水で洗い流した後にトリートメント〔ミルボン社製「DEESSE’S SF」(商品名)〕を塗布し、更に水で洗い流した後にドライヤーで乾燥させた。
【0036】
その後、上記被験者の頭部の半分の毛髪に基準品〔ミルボン社製「NIGELLE Lightfog」(商品名)〕を4秒間噴射してまんべんなく塗布し、同時に、残りの半分の毛髪に実施例および比較例のうちのいずれか1種のエアゾール式スプレーを4秒間噴射してまんべんなく塗布した。更に、上記基準品を噴射した毛髪の毛先部分(約10cm)に上記基準品を1秒間噴射して塗布し、同時に、実施例および比較例のいずれか1種のエアゾール式スプレーを噴射した毛髪の毛先部分(約10cm)には、同じエアゾール式スプレーを1秒間噴射して塗布した。
【0037】
基準品、並びに実施例および比較例のいずれか1種のエアゾール式スプレーで処理した後の毛髪を、握り込むようにして手で形(動き)を形成し、その状態を専門の評価者5名が、下記の基準に従って点数付けした。
【0038】
<再整髪性(形の作りやすさ)の評価基準>
基準品で処理した毛髪に比べて、形が作りやすい ・・・2点、
基準品で処理した毛髪に比べて、やや形が作りやすい ・・・1点、
基準品で処理した毛髪に比べて、形が作り難い ・・・0点。
【0039】
<毛先にまとまり具合の評価基準>
基準品で処理した毛髪に比べて、毛先にまとまりがある ・・・2点、
基準品で処理した毛髪に比べて、毛先にややまとまりがある ・・・1点、
基準品で処理した毛髪に比べて、毛先がまとまらない ・・・0点。
【0040】
再整髪性の評価結果および毛先のまとまり具合の評価結果の両者について、それぞれ上記評価者5名の点数を合計し、以下の基準に従って、エアゾール式スプレーにより処理した毛髪の再整髪性および毛先のまとまり具合を評価した。
【0041】
10点 ・・・ ◎、
8〜9点 ・・・ ○、
7点 ・・・ △、
6点以下 ・・・ ×。
【0042】
次のエアゾール式スプレーによる処理は、被験者の毛髪を上記の方法で洗浄および乾燥させてから行った。これらの結果を表1〜表3に併記する。
【0043】
また、実施例1〜13および比較例1〜7のエアゾール式スプレー(整髪剤原液と噴射剤との混合物)の安定性を評価した。エアゾール式スプレーの安定性は、各混合物をそれぞれ別の透明ボトルに入れ、これらのボトルを5℃の環境下で24時間保管し、保管後の混合物での分離の有無を、混合物に沈殿物が生じていたり白濁していたりするか否かを目視観察することによって評価した。これらの結果も表1〜表3に併記する。表1〜表3では、保管後に混合物が白濁していなかった場合は「○」で示し、保管後に混合物が白濁すると共に沈殿物が生じていた場合は「沈殿」、混合物が白濁していた場合は「白濁」、混合物がやや白濁していた場合は「やや白濁」と記載する。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
表1〜表3に示す通り、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体を配合した整髪料原液と、DMEおよびLPGを含む噴射剤とを配合し、DMEの配合量を適性にした実施例1〜13のエアゾール式スプレーでは、処理後の毛髪の再整髪性および毛先のまとまり具合が良好である。また、実施例1〜13のエアゾール式スプレーでは、低温での配合成分(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体)の分離が抑えられている。
【0048】
これに対し、DMEの配合量が不適な比較例1〜7のエアゾール式スプレーでは、処理後の毛髪の再整髪性および毛先のまとまり具合が劣っている。また、比較例1〜7のエアゾール式スプレーでは、配合成分の分離が認められており、そのためにアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体の機能が十分に引き出し得なかったものと推測される。