特許第5984203号(P5984203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984203有機EL素子のショート故障検出方法および検出回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984203
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】有機EL素子のショート故障検出方法および検出回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/08 20060101AFI20160823BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   H05B33/08
   H05B33/14 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-48600(P2012-48600)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-186946(P2013-186946A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】300022353
【氏名又は名称】NECライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】岩切 敏哉
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−040074(JP,A)
【文献】 特開2009−111035(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/070907(WO,A1)
【文献】 特開2011−204628(JP,A)
【文献】 特開2010−015539(JP,A)
【文献】 特開2009−016459(JP,A)
【文献】 特開2009−223145(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/064761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/08
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性のインピーダンス成分を有する有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止し、
通電が停止後の、前記有機EL素子の順方向電降下を検出し、
検出した順方向電圧降下に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する、
ことを特徴とする有機EL素子のショート故障検出方法。
【請求項2】
検出した順方向電圧降下が、基準電圧よりも高いときには、ショート故障が発生していないと判別し、
検出した順方向電圧降下が、基準電圧以下のときには、ショート故障が発生していると判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子のショート故障検出方法。
【請求項3】
容量性のインピーダンス成分を有する有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止する通電制御部と、
通電が停止後の前記有機EL素子の順方向電降下を検出する電圧検出部と、
検出した順方向電圧降下に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する判別部と、
を備える、ことを特徴とする有機EL素子のショート故障検出回路。
【請求項4】
前記判別部は、検出した順方向電圧降下が、基準電圧よりも高いときには、ショート故障が発生していないと判別し、検出した順方向電圧降下が、基準電圧以下のときには、ショート故障が発生していると判別する、
ことを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子のショート故障検出回路。
【請求項5】
前記通電制御部は、
前記有機EL素子に通電するデューティを制御する調光手段と、
通電中に電流を所定の期間、遮断する手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項3または4に記載の有機EL素子のショート故障検出回路。
【請求項6】
有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止する通電制御部と、
通電が停止後の前記有機EL素子の順方向電圧降下を検出する電圧検出部と、
検出した順方向電圧降下に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する判別部と、
を備え
前記電圧検出部は、有機EL素子のアノードとカソードの一方に接続されたベースと、他方に接続されたエミッタ又はコレクタを備えるトランジスタを備え、
前記判別は、該トランジスタのオン・オフに基づいて、ショート故障の有無を判別する、ことを特徴とする有機EL素子のショート故障検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子のショート故障検出方法および検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光モジュールとして、複数個の有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を組み込んだ有機ELパネルが照明器具に使用されている。かかる有機EL素子は、有機材料の薄膜に電界をかけて発光させるデバイスである。この薄膜の厚さにはばらつきがあり、局所的に抵抗が低い箇所があるため、その箇所で電気的に短絡、すなわちショートが生じ易い。かかるショートは、完全なショート状態(有機EL素子のフォワード電圧Vf=0V)ではなく、ある程度のインピーダンスを有する。
【0003】
通常、有機EL素子が点灯したときの明るさは、その駆動電流の大きさに比例するから、照明器具には、その明るさを一定に維持するために定電流源が使用される。このため、有機EL素子がショートすると、有機EL素子に一定の電流が常に流れるが、そのショートした箇所に電流が集中して、その有機EL素子は発熱する。このため、ショートした有機EL素子を速やかに取り替えるために、または有機ELパネルに電流を流さなくすることによって発熱を抑え、安全性を確保するためにも、ショート故障を検出する必要がある。
【0004】
たとえば、有機EL素子に供給する駆動電流を制御する素子駆動トランジスタをその線形領域で動作させ、このときの発光輝度またはカソード電流を観察して、有機EL素子のショートを検出する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−64806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の検出方法では、有機EL素子の固有の特性、たとえばV−I特性、温度特性、ショート時のインピーダンス値のばらつきによって、発光輝度またはカソード電流にばらつきが生じ、その固有の特性を考慮しなければ、有機EL素子のショート故障を検出することができないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、有機EL素子の固有の特性のばらつきにかかわらず、有機EL素子のショート故障を検出することができる方法と検出回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る有機EL素子のショート故障検出方法は、
容量性のインピーダンス成分を有する有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止し、
通電が停止後の、前記有機EL素子の順方向電降下を検出し、
検出した順方向電圧降下に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の観点に係るショート故障検出回路は、
容量性のインピーダンス成分を有する有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止する通電制御部と、
通電が停止後の前記有機EL素子の順方向電降下を検出する電圧検出部と、
検出した順方向電圧降下に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する判別部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通電が停止されたときの有機EL素子の順方向電圧の値にしたがって有機EL素子のショート故障を検出するから、有機EL素子の固有の特性のばらつきを考慮する必要がないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るショート故障検出回路を備える照明器具の回路図である。
図2図1の回路図の概略ブロック図である。
図3】(a)は、正常な有機EL素子に発生するフォワード電圧Vfと時間tとの関係を示し、(b)は有機EL素子を流れる順方向電流Ifと時間tとの関係を示す。
図4】(a)は、ショート故障した有機EL素子に発生するフォワード電圧Vfと時間tとの関係を示し、(b)は有機EL素子を流れる順方向電流Ifと時間tとの関係を示す。
図5図1、2に示す照明器具の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係るショート故障検出回路を備える照明器具について説明する。
【0013】
図2に示すように、本実施の形態に係る備える照明器具10は、定電流回路12と、有機ELパネル14と、制御部18と、ショート故障検出回路20とを備える。
【0014】
定電流回路12は、図1に示すように、たとえば、商用電源等の交流電源12aに接続され、有機ELパネル14を駆動するための定電流を生成して出力する。定電流回路12には、たとえば、LED用の定電流回路を使用することができる。また、定電流回路12は、後述のPWM調光を行うためにオン・オフするスイッチ16を含む。
【0015】
有機ELパネル14は、図1に示すように、4個の有機EL素子14aを含む。4個の有機EL素子14aは互いに直列接続されている。各有機EL素子14aは、電気エネルギーを光エネルギーに変換する有機材料からなる有機発光ダイオード(OLED)から構成される。有機ELパネル14のアノードは、定電流回路12の電流流出端に接続され、カソードは、定電流回路12の電流流入端に接続されている。有機ELパネル14は、定電流回路12から供給される定電流が流れることにより、発光する。
【0016】
スイッチ16は、MOSトランジスタ、IGBT等の半導体スイッチから構成され、定電流回路12の内部に配置されている。このスイッチ16は、有機ELパネル14に接続され、制御部18の制御に従って、電流路を接続・切断する。
【0017】
制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、メモリなどから構成され、メモリに記憶されたプログラムを実行して後述する点灯処理とショート故障検出処理とを実行する。点灯処理とショート故障検出処理の詳細については後述する。
【0018】
ショート故障検出回路20は、図2に示すように、フォワード電圧検出部22,論理和回路24,直流電圧源26,および表示部28を備える。
【0019】
フォワード電圧検出部22は、図1に示すように、4つの抵抗22aと、4つのPNP型トランジスタ22bとを含む。各抵抗22aの一端は対応する有機EL素子14aのカソードに、その他端は、対応するトランジスタ22bのベースに接続されている。各トランジスタ22bのエミッタは、対応する有機EL素子14aのアノードに接続され、そのコレクタは論理和回路24の対応する、後述の抵抗R1の一端に接続されている。
【0020】
論理和回路24は、有機EL素子14a毎に、抵抗R1〜R4と、抵抗R5と、NPN型の第1のトランジスタ24aと、NPN型の第2のトランジスタ24bとを含む。
【0021】
各抵抗R1の他端は、対応する第1のトランジスタ24aのベースおよび対応する抵抗R3の一端に接続されている。各トランジスタ24aのコレクタは、対応する抵抗R4の一端および対応する抵抗R2の一端に接続され、そのエミッタは対応する抵抗R3の他端に接続されると共に接地されている。また、各抵抗R4の他端には、直流電圧源26から電源電圧VDDが印加される。
【0022】
各第2トランジスタ24bのベースは、対応する抵抗R2の他端に接続され、そのコレクタには、例えば、直流電圧源26からの電源電圧VDDが印加されている。また、そのエミッタは、抵抗R5を介して接地されている。
【0023】
4つの第2トランジスタ24bのエミッタには、ショート故障検出回路20の出力端子TAが共通に接続されている。
【0024】
出力端子TAは制御部18に接続され、制御部18は、出力端子TAの電圧により、ショート故障の有無を検出し、表示部23に電圧の有無を表示させる。表示部23は、電圧の有無を示すことができれば、たとえば表示の代わりにアラーム音による警報でもよい。
【0025】
直流電圧源26は、交流電源12aに接続され、交流電圧を整流して、一定電圧、例えば、5Vの電源電圧VDDを生成し、論理和回路24に印加する。
【0026】
表示部28は、LED等から構成され、制御部18の制御に従って、有機ELパネル14にショート故障があると点灯する。
【0027】
ここで、有機EL素子14aの特性を、図3、4を参照して説明する。
【0028】
図3(a)、(b)は、正常な有機EL素子14aに発生するフォワード電圧Vfと時間tとの関係、および有機EL素子14aを流れる順方向電流Ifと時間tとの関係を示す。
【0029】
図3(a),(b)に示すように、有機EL素子14aへの通電をタイミングTで停止して、有機EL素子14aを流れる電流Ifを0にしても、順方向の電圧降下は、その順方向電圧Vfよりわずかに小さい値Vf’になるだけであり、0にはならない。この特性は、有機EL素子46が容量性のインピーダンス成分を有することによる。
【0030】
一方、図4(a)、(b)に示すように、ショート故障を起こした、有機EL素子14aへの通電をタイミングTで停止し、流れる電流を0にすると、その順方向の電圧降下は、Vf’ではなく、ほぼ0になる。この特性は、ショート故障が生じた有機EL素子14aは、容量性ではなく、抵抗性のインピーダンス成分を有することによる。
【0031】
このように、有機EL素子14aを流れる電流を瞬間的に0にすると、有機EL素子16aがショートしている場合は、順方向電圧降下がほぼ0になり、正常な場合は、ほぼ順方向電圧Vfを維持する。
【0032】
従って、有機EL素子10に流れる電流を瞬時的に遮断し、そのときの順方向電圧降下を測定すれば、その有機EL素子10が正常か、ショート故障を起こしているかを判別することが可能である。
【0033】
次に、ショート故障検出回路20によるショート故障検出動作について説明する。
【0034】
ここで、各有機EL素子14aの印加電圧は、対応するPNP型トランジスタ22bの
ベースエミッタ間に印加される。
【0035】
ここで、有機EL素子14aが正常であるとすると、有機EL素子を電流がながれているか否かにかかわらず、その順方向の電圧はほぼVfである。このため、対応するPNPトランジスタ22bのベースエミッタ間には、逆バイアス電圧が印加され、対応するトランジスタ22bはオンし続ける。
【0036】
このオンにより、対応する第1のトランジスタ24aもオンする。これにより、出力段のトランジスタ24bのベース電圧はグランドレベルとなり、トランジスタ24bはオフする。
【0037】
一方、ショート故障を起こした有機EL素子14aの通電中の順方向の電圧は、ほぼ順方向電圧Vfに等しい。このため、正常な有機EL素子14aと同様に、対応する出力段トランジスタ24bはオフとなる。
【0038】
しかし、ショート故障を起こした有機EL素子14aへの通電が停止すると、その順方向の電圧降下は、ほぼ0となる。このため、対応するPNPトランジスタ22bのベースエミッタ間に逆バイアス電圧を印加することができず、対応するトランジスタ22bはオフする。すると、対応する第1トランジスタ24aもオフする。このため、これにより、出力段のトランジスタ24bのベース電圧はほぼVDDとなり、トランジスタ24bはオンする。
【0039】
4つのトランジスタ24bのエミッタはワイヤードオア接続されているため、1つでもオンしたトランジスタ24bが存在すると、その電圧は、ほぼVDDとなる。
【0040】
従って、ショート故障した有機EL素子14aが存在しない場合、通電の有無にかかわらず、出力端子TAの電圧はグランドレベルとなる。これに対し、1個でもショート故障した有機EL素子14aが存在すると、通電が停止した状態では、出力端子TAの電圧はVDDとなる。
【0041】
次に、上記のショート故障検出回路20の動作を前提に、図5を参照して、図1図2に示す照明器具10の動作を説明する。
【0042】
照明器具10の電源をオンすると、定電流回路12は有機ELパネル14の有機EL素子14aの直列回路に通電を開始する。これにより、各有機EL素子14aは点灯する。
【0043】
一方、制御部18は、電源がオンされると、図5のフローに示す処理を開始し、図示せぬ調光つまみの操作などによって指示された調光度に従ったデューティ比で、スイッチ16をオン・オフする。即ち、有機ELパネル14をPWM制御する。
【0044】
例えば、制御部18は、調光度が高い(明るい)が指示されている場合には、スイッチ16をオンする期間の割合を大きくして、有機EL素子14aに供給される電流(エネルギー)の総量を大きくし、調光度が低い(暗い)が指示されている場合には、スイッチ16をオンする期間の割合を小さくして、有機EL素子14aに供給される電流(エネルギー)の総量を小さくする(ステップS1)。
【0045】
制御部18は、上述の点灯動作を行いつつ、ショート故障検出のタイミングになったか否かを判別する(ステップS2)。
【0046】
ショート故障の検出のタイミングとは、PWM調光を行うためにオン・オフを繰り返すスイッチ16がオフのタイミングである。
【0047】
ショート故障検出のタイミングになっていないと判別すると(ステップS2;No)、処理は、ステップS1にリターンし、PWM制御を継続する。
【0048】
一方、制御部18は、ショート故障検出のタイミングになったと判別すると(ステップS2;Yes)、スイッチ16はオフであり、有機EL素子14aに流れる電流は0になる(ステップS3)。
【0049】
すると、前述したように、正常な有機EL素子14aは、印加電圧がほぼVfを維持し、一方、ショート故障している有機EL素子14aの印加電圧は、ほぼ0となる。
【0050】
この差により、前述したように、出力端子TAに電圧が発生する。
【0051】
制御部18は、出力端子TAに現れる電圧を判別し、ほぼグランドレベルであれば、故障なし、ほぼVDDであれば、少なくとも1つのショート故障が存在すると判別する(ステップS4)。ショート故障なしと判別した場合(ステップS4;No)、制御部18は、処理をステップS1に戻し、点灯動作を継続する。
【0052】
一方、制御部18は、ショート故障ありと判別した場合(ステップS4;Yes)には、表示部28を点灯し(ステップS5)、ショート故障が発生したことを報知する。
【0053】
その後、点灯動作を停止しても、あるいは、継続しても、任意である。
【0054】
本実施形態の照明器具10によれば、有機EL素子14aへの通電を停止することによって、通常の点灯処理にほとんど影響を与えることなく、ショート故障が生じていない有機EL素子の非通電時の順方向印加電圧と、ショート故障が生じている有機EL素子の非通電時の順方向印加電圧とが相違するという有機EL素子の特性を利用して、有機ELパネルのショート故障の有無を検出することができる。
【0055】
また、調光用のスイッチング機能を利用して、有機EL素子への通電を遮断しているので、ショート故障専用に電流を遮断するための構成を設ける必要がなく、回路構成上も効率が高い。
【0056】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0057】
例えば、図1、2で示した回路構成は例示であり、同様の機能が得られるならば、任意に変更可能である。
【0058】
例えば、有機EL素子14を4個直列接続した例を示したが、有機EL素子の数は任意である。
【0059】
また、調光機能を利用して、電流を遮断したが、他の構成により、有機ELパネル14に流れる電流を遮断してもよいし、有機ELパネル14に流れないようにバイパスさせてもよい。
【0060】
また、有機EL素子14aの、非通電時の印加電圧を、並列に接続されたトランジスタ22bのベースエミッタ電圧により検出する構成を例示したが、他の検出手法を使用してもよい。
【0061】
また、論理和回路24により、少なくとも1つの有機EL素子14aにショート故障が存在するときに、出力端子TAの電圧を制御するようにしたが、個々の有機EL素子14用の出力端子を設けてもよい。この場合は、例えば、各第2のトランジスタ24bのエミッタに、出力端子を個別に接続すればよい。
【0062】
有機ELパネルを発光素子として使用する例を示したが、有機ELダイオードを複数個配列した構成でもよい。
【0063】
また、点灯動作中に、ユーザが認識できない程度の期間通電を停止してショート故障の有無を判別する例を説明したが、点灯時、消灯時などのみに、ショート故障を判別するようにしてもよい。
【0064】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0065】
(付記1)
有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止し、
通電が停止後の、前記有機EL素子の順方向の印加電圧を検出し、
検出した印加電圧に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する、
ことを特徴とする有機EL素子のショート故障検出方法。
【0066】
(付記2)
検出した印加電圧が、基準電圧よりも高いときには、ショート故障が発生していないと判別し、
検出した印加電圧が、基準電圧以下のときには、ショート故障が発生していると判別する、
ことを特徴とする付記1に記載の有機EL素子のショート故障検出方法。
【0067】
(付記3)
有機EL素子に通電し、続いて、通電を停止する通電制御部と、
通電が停止後の前記有機EL素子の順方向の印加電圧を検出する電圧検出部と、
検出した印加電圧に基づいて、有機EL素子にショート故障が発生しているか否かを判別する判別部と、
を備える、ことを特徴とする有機EL素子のショート故障検出回路。
【0068】
(付記4)
前記判別部は、検出した印加電圧が、基準電圧よりも高いときには、ショート故障が発生していないと判別し、検出した印加電圧が、基準電圧以下のときには、ショート故障が発生していると判別する、
ことを特徴とする付記3に記載の有機EL素子のショート故障検出回路。
【0069】
(付記5)
前記通電制御部は、
前記有機EL素子に通電するデューティを制御する調光手段と、
通電中に電流を所定の期間、遮断する手段と、
を備える、ことを特徴とする付記3または4に記載の有機EL素子のショート故障検出回路。
【0070】
(付記6)
前記電圧検出部は、有機EL素子のアノードとカソードの一方に接続されたベースと、他方に接続されたエミッタ又はコレクタを備えるトランジスタを備え、
前記判別手段は、該トランジスタのオン・オフに基づいて、ショート故障の有無を判別する、ことを特徴とする付記3乃至5のいずれか1つに記載の有機EL素子のショート故障検出回路。
【符号の説明】
【0071】
14 有機ELパネル
14a 有機EL素子
16 スイッチ(通電制御部)
18 制御部(判別部、判別手段)
20 ショート故障検出回路
22 フォワード電圧検出部(電圧検出部)
22a 第1の抵抗
22b PNP型トランジスタ(トランジスタ)
24 論理和回路
24a 第1のNPN型トランジスタ
24b 第2のNPN型トランジスタ
TA 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5