特許第5984214号(P5984214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984214
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】折り取りスパウト
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20160823BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20160823BHJP
   B65D 25/42 20060101ALI20160823BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B65D33/38
   B65D75/58
   B65D25/42 D
   B65D51/22
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-245020(P2012-245020)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-91571(P2014-91571A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】赤荻 高広
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−018319(JP,A)
【文献】 登録実用新案第011621(JP,Z1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 25/42
B65D 51/22
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心を貫通する流路を有する筒部と該筒部の先端から弱化部を介して一体形成された折取部とを備え、該折取部により前記流路の先端が閉じられたスパウト本体と、該スパウト本体の筒部の先端側の外周を覆うカバーとを備えた折り取りスパウトであって、
前記カバーは、左右に分割された状態で形成される一対のカバー部材からなり、それぞれ、前記弱化部より下方に設けられたヒンジ部を介して前記スパウト本体と一体に形成され、
前記一対のカバー部材が、互いに係合して固定される係合部を備えるとともに、上方に折り曲げられ互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、前記スパウト本体の前記折取部を含むヒンジ部より上方を覆う形状に形成されていることを特徴とする折り取りスパウト。
【請求項2】
前記スパウト本体の弱化部より下方の筒部の外周面または前記カバー部材の内周面のいずれか、あるいは双方に、接触または近接する近接突出部が設けられ、
前記カバー部材が、互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、前記折取部と接触しない形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の折り取りスパウト。
【請求項3】
前記ヒンジ部が、前記スパウト本体と前記カバー部材とを切り取り分離可能な連結部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の折り取りスパウト。
【請求項4】
前記スパウト本体の前記折取部が、前記流路と直交する方向に延びる一対の操作腕を有し、
前記カバー部材の内面に、前記カバー部材が互いに固定されて一体のカバーを構成した際に前記一対の操作腕を収容する収容凹部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【請求項5】
前記収容凹部は、前記カバー部材が互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、前記操作腕のスパウト本体外周方向および上下方向にそれぞれ間隙を有して囲む形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の折り取りスパウト。
【請求項6】
前記スパウト本体が、前記流路を有する筒部と、容器に取り付けられる取付部と、該取付部の上部近傍に設けられたフランジ部とからなり、
前記ヒンジ部が、前記フランジ部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の先端が一体形成された折取部により閉じられた折り取りスパウトに関し、特にスパウト本体の外周を覆うカバーによりスパウト本体および折取部を保護した折り取りスパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心を貫通する流路を有する筒部を備え、該筒部の先端に一体形成された折取部により流路の先端が閉じられたスパウト本体を有する折り取りスパウトは周知である。
また、衛生面からスパウト本体に直接手を触れることを避けたるため、スパウト本体の筒部の先端側の外周を覆うカバーを設け、かつ、カバーの取外し動作と折取部の切り離し動作を同時に行うようにして使用者の利便性を向上した折り取りスパウトも公知である(例えば、特許文献1、2等参照。)。
また、カバーをスパウト本体と一体に形成して製造・組立を容易とした折り取りスパウトも公知である(例えば、特許文献3等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−62752号公報(全頁、全図)
【特許文献2】特開2009−46184号公報(全頁、全図)
【特許文献3】特開2010−18319号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載されるような公知の折り取りスパウトにおいてはカバー(キャップ12、キャップ3)がスパウト本体(口部材10、スパウト2)と別部材となっているため、部品点数が増加し製造・組立の工数も増えるとともに、カバー(キャップ12、キャップ3)が折取部(ねじ切り用突部18、封止部材15)に嵌め込まれて固定される構造となっているため、カバー(キャップ12、キャップ3)を嵌め込む際に(ねじ切り用突部18、封止部材15)に力がかかり、弱化部(薄肉部24、薄肉部16)が損傷して密封性が損なわれる虞があるという問題があった。
また、搬送時や保管時にカバー(キャップ12、キャップ3)に外力が加わった際にも、折取部(ねじ切り用突部18、封止部材15)に力がかかり、弱化部(薄肉部24、薄肉部16)が損傷して密封性が損なわれる虞があるという問題があった。
【0005】
特許文献3に記載されるような公知の折り取りスパウトにおいては、カバー(蓋部材20)がスパウト本体(注出口部材10)と一体となっており、製造・組立は容易となるものの、カバー(蓋部材20)が折取部(密封部材3)を介して一体に形成されているため、カバー(蓋部材20)を組み立てる際に折取部(密封部材3)に力がかかり、弱化部(密封部材3と筒部4の接続部)が損傷して密封性が損なわれる虞があるという問題があった。
また、折取部(密封部材3)の一部がカバー(蓋部材20)の外に露出しているため、搬送時や保管時に直接折取部(密封部材3)に外力が加わり、弱化部(密封部材3と筒部4の接続部)が損傷して密封性が損なわれる虞があるという問題があった。
さらに、カバー(蓋部材20)に外力が加わった際にも、ヒンジ部(連結部5)を介して折取部(密封部材3)に力がかかり、依然として弱化部(密封部材3と筒部4の接続部)が損傷して密封性が損なわれる虞があるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、前述したような公知の折り取りスパウトの問題を解決するものであって、製造・組立が容易で、かつ、使用者の利便性を向上しつつ、組立時や搬送時、保管時に弱化部が損傷して密封性が損なわれることを防止する折り取りスパウトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本請求項1に係る発明は、中心を貫通する流路を有する筒部と該筒部の先端から弱化部を介して一体形成された折取部とを備え、該折取部により前記流路の先端が閉じられたスパウト本体と、該スパウト本体の筒部の先端側の外周を覆うカバーとを備えた折り取りスパウトであって、前記カバーは、左右に分割された状態で形成される一対のカバー部材からなり、それぞれ、前記弱化部より下方に設けられたヒンジ部を介して前記スパウト本体と一体に形成され、前記一対のカバー部材が、互いに係合して固定される係合部を備えるとともに、上方に折り曲げられ互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、前記スパウト本体の前記折取部を含むヒンジ部より上方を覆う形状に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された折り取りスパウトの構成に加えて、前記スパウト本体の弱化部より下方の筒部の外周面または前記カバー部材の内周面のいずれか、あるいは双方に、カバー部材のスパウト本体側に、前記カバー部材が上方に折り曲げられ互いに係合した際に接触または近接する近接突出部が設けられ、前記カバー部材が、互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、前記折取部と接触しない形状に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された折り取りスパウトの構成に加えて、前記ヒンジ部が、前記スパウト本体と前記カバー部材とを切り取り分離可能な連結部であることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された折り取りスパウトの構成に加えて、前記スパウト本体の前記折取部が、前記流路と直交する方向に延びる一対の操作腕を有し、前記カバー部材の内面に、前記カバー部材が互いに固定されて一体のカバーを構成した際に前記一対の操作腕を収容する収容凹部が設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
本請求項5に係る発明は、請求項4に記載された折り取りスパウトの構成に加えて、前記収容凹部が、前記カバー部材が互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、前記操作腕のスパウト本体外周方向および上下方向にそれぞれ間隙を有して形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された折り取りスパウトの構成に加えて、前記スパウト本体が、前記流路を有する筒部と、容器に取り付けられる取付部と、該取付部の上部近傍に設けられたフランジ部とを有し、前記ヒンジ部が、前記フランジ部に設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本請求項1に係る発明の折り取りスパウトによれば、一対のカバー部材が弱化部より下方に設けられたヒンジ部を介してスパウト本体と一体に形成されているため、組立時、上方に折り曲げて互いに係合する際に、折取部や弱化部に一切力が加わらず、弱化部が損傷することが防止され、密封性が損なわれることはない。
また、カバー部材が上方に折り曲げられ互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、スパウト本体の折取部を含むヒンジ部より上方を覆う形状に形成されていることにより、搬送時や保管時に、折取部や弱化部に外部から直接力が加わることがなく、意図しない外力により弱化部が損傷することを防止することができる。
【0011】
本請求項2に記載の構成によれば、スパウト本体の弱化部より下方の筒部の外周面または前記カバー部材の内周面のいずれか、あるいは双方に、接触または近接する近接突出部が設けられていることにより、互いに固定されて一体のカバーを構成した一対のカバー部材がスパウト本体に対して固定され、あるいは、ごく僅かしか移動せず、折取部や弱化部がカバー部材とは接触しない状態とすることができる。
このことで、搬送時や保管時にカバー部材に外力が加わっても、折取部や弱化部に力が伝わることはなく、意図しない外力により弱化部が損傷することを確実に防止することができる。
本請求項3に記載の構成によれば、スパウト本体とカバー部材とが切り取り分離可能な連結部で接続されているため、使用時には連結部を破断することでカバー部材を容易に取り外すことが可能となり、利便性が向上する。
また、このことにより、使用者の手指がスパウト本体に触れる機会を減らすことができ、衛生的に使用することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、折取部が流路と直交する方向に延びる操作腕を有することにより、使用時に折取部を捩じって弱化部を破断させて切り離す際に、大きな力を加えることが可能となり、容易に折取部を切り離すことができ、利便性が向上する。
また、カバー部材の内面に操作腕を収容する収容凹部が設けられていることにより、カバー部材が互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、操作腕とも接触しない状態とすることができるため、搬送時や保管時にカバー部材に外力が加わっても、折取部や弱化部に力が伝わることはなく、意図しない外力により弱化部が損傷することを確実に防止することができる。
【0012】
本請求項5に記載の構成によれば、使用時にカバー部材を取り外す動作によって、カバー部材の収容凹部内に収容された操作腕も同時に捩じられるため、容易に折取部を切り離すことができ、利便性が向上する。
また、このことにより、使用者の手指がスパウト本体に触れる機会をさらに減らすことができ、衛生的に使用することが可能となる。
さらに、切り離された折取部は、操作腕が収容凹部内に収容されたままカバー部材と分離することがないため、不要となったカバー部材および折取部の廃棄処理が容易となる。
本請求項6に記載の構成によれば、スパウト本体のフランジ部より上方の筒部全体が互いに固定されて一体のカバーを構成したカバー部材により覆われるため、搬送時や保管時に筒部全体を保護することが可能となり、筒部の外周部の破損による使用時の不具合を防止することができる。
また、スパウト本体の流路中心からヒンジ部までの半径方向の距離の設定の自由度が高く、カバー部材を機能的に最適な形状とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立前の正面図。
図2】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立前の平面図。
図3】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立前の底面図。
図4】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立後の斜視図。
図5】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立後の平面図。
図6】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立後の側面半断面図。
図7】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの組立後の正面半断面図。
図8図6のA−A断面図。
図9】本発明の1実施形態である折り取りスパウトの折取部切り離し後の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、中心を貫通する流路を有する筒部と該筒部の先端から弱化部を介して一体形成された折取部とを備え、該折取部により前記流路の先端が閉じられたスパウト本体と、該スパウト本体の筒部の先端側の外周を覆うカバーとを備えた折り取りスパウトであって、カバーは、左右に分割された状態で形成される一対のカバー部材からなり、それぞれ、弱化部より下方に設けられたヒンジ部を介してスパウト本体と一体に形成され、一対のカバー部材が、互いに係合して固定される係合部を備えるとともに、上方に折り曲げられ互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、スパウト本体の折取部を含むヒンジ部より上方を覆う形状に形成され、製造・組立が容易で、かつ、使用者の利便性を向上しつつ、組立時や搬送時、保管時に弱化部が損傷して密封性が損なわれることを防止するものであれば、具体的な形状、構造、材質等は、いかなるものであっても良い。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の1実施形態である折り取りスパウト100の構成について、図面に基づいて説明する。
本発明の1実施形態である折り取りスパウト100は、図1乃至図3(組立前の状態)および図4乃至図8(組立後の状態)に示すように、スパウト本体110と、該スパウト本体110とヒンジ部となる連結部171で連結された左右一対のカバー部材160とからなり、図1乃至図3に示す組立前の形状で、射出成形等により一体に形成されている。
スパウト本体110は、筒部120と、該筒部120の先端から弱化部121を介して一体形成された折取部150と、パウチ等の容器に取り付けられる取付部130と、該取付部130の上部近傍に設けられたフランジ部140とから構成され、スパウト本体110の中心には流路111が設けられ、折取部150により流路111の先端が閉じられている。
【0016】
折取部150は、流路111と直交する方向、かつ、左右一対のカバー部材160と直交する方向(図1の表裏方向、図2、3の図示上下方向)に延びる一対の操作腕151を有しており、この操作腕151を捩じることで弱化部121が破断して折取部150が筒部120から切り離され、流路111の先端が開放されるように構成されている。
筒部120の外周面には、使用時にチューブ等の取付部材等と連結するためのネジ部122が設けられるとともに、使用目的に応じてチューブ等の密着・抜け止めのためのリング状の突起123が適宜形成される。
【0017】
左右一対のカバー部材160は、それぞれ、スパウト本体110のフランジ部140に設けられた2本の連結部171を介して一体形成されている。
該連結部171は、後述するように、組立時にはヒンジ部として働き、使用時には破断されてカバー部材160がスパウト本体110から分離される。
それぞれのカバー部材160には、組立時に互いに固定されて一体のカバーを構成するための係合部161が設けられている。
【0018】
それぞれのカバー部材160は、図4乃至図8に示すように、互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、スパウト本体110の連結部171より上方の筒部120および折取部150を覆う形状に形成されている。
また、カバー部材160の内周面は、近接突出部として段差部162を有する形状に形成されている。
この段差部162が、互いに固定されて一体のカバーを構成した際に筒部120の外周面と接触または近接することによって、カバー部材160がスパウト本体110に対して固定され、あるいは、ごく僅かしか移動せず、折取部150とは一切接触しない。
なお、本実施形態では、筒部120の外周面に設けられたネジ部122も、それぞれのカバー部材160の内周面と近接し、近接突出部として機能する。
【0019】
また、それぞれのカバー部材160には、図6図8に示すように、折取部150の操作腕151を収容する収容凹部163が設けられており、該収容凹部163は、互いに固定されて一体のカバーを構成した際に、操作腕151のスパウト本体110の外周方向および上下方向にそれぞれ間隙を有して囲む形状に形成されている。
【0020】
次に、本発明の1実施形態である折り取りスパウト100の動作・作用について説明する。
折り取りスパウト100は、図1乃至図3に示すように、左右一対のカバー部材160が左右方向に水平に延びた状態で射出成形等により製造される。
この状態から、連結部171をヒンジ部として屈曲させることで左右一対のカバー部材160が上方に折り曲げられ、それぞれの対向する係合部161が互いに係合し固定されて一体のカバーを構成するように組み立てられる。
【0021】
組立後、連結部171は屈曲した状態であるため、図4乃至図7に示すように、互いに係合し固定されて一体のカバーを構成する左右一対のカバー部材160は、スパウト本体110の折取部150を含む連結部171より上方を覆う状態となる。
この時、図6乃至図8に示すように、スパウト本体110の筒部120および折取部150は、段差部162およびネジ部122を除いて、カバー部材160の内周面との間に間隔を有した状態となる。
また、折取部150の操作腕151も、外周方向および上下方向にそれぞれ所定の間隙を有してカバー部材160の収容凹部163に囲まれた状態となる。
【0022】
このため、組立動作中に左右一対のカバー部材160を上方に折り曲げる際、どちらか一方のカバー部材160が大きく曲げられても、近接突出部であるカバー部材160の内周面の段差部162および筒部120の外周面のネジ部122が設けられていることによって、折取部150に接触することはなく、折取部150や弱化部121に一切力が加わらず、弱化部121が損傷することが防止され、密封性が損なわれることはない。
【0023】
また、組立後の搬送時や保管時、カバー部材160に意図しない外力が加わっても、互いに固定されて一体のカバーを構成した一対のカバー部材160はスパウト本体110に対して固定され、あるいは、ごく僅かしか移動しないため、折取部150や弱化部121がカバー部材160と接触することはなく、弱化部121が損傷することが防止され、密封性が損なわれることはない。
【0024】
このように組立てられた折り取りスパウト100の使用時には、使用者が互いに固定されて一体のカバーを構成した一対のカバー部材160をそのまま捩じることによって連結部171が破断するとともに、カバー部材160の収容凹部163に囲まれた折取部150の操作腕151も当該捩じられた方向に力を受け、折取部150が捩じられて弱化部121も破断する。
【0025】
そして、図8に示すように、互いに固定されて一体のカバーを構成した一対のカバー部材160を上方から取外すことにより、流路111の先端が開放した筒部120を露出させて使用可能な状態となる。
この時、折取部150の操作腕151が、外周方向および上下方向にそれぞれカバー部材160の収容凹部163に囲まれているため、折取部150は、互いに固定されて一体のカバーを構成した一対のカバー部材160と分離することがないため、容易に取外すことができるとともに、不要となったカバー部材160および折取部150の廃棄処理が容易となる。
また、折取部150の破断、カバー部材160と破断した折取部150の除去の一連の作業中に、使用者の手指がスパウト本体110の筒部120に触れることなく、流路111の先端が開放した筒部120を露出させて使用可能な状態とすることができ、衛生的に使用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の折り取りスパウトは、パウチの注出口として好適であるが、パウチ以外の容器にも使用可能であり、スパウト以外の容器口部に本発明と同様の構造を適用してもよい。
上記実施形態では、連結部171を左右2箇所ずつ設けたが、1箇所、あるいは、3箇所以上であってもよい。
また、連結部171をフランジ部140に設けたが、折取部150を含む筒部120の上方の必要箇所を覆うことが可能であれば、筒部120の任意の箇所に設けてもよい。
【0027】
また、それぞれのカバー部材160が組立時に互いに固定されて一体のカバーを構成するための係合部161をそれぞれ4箇所ずつ設けたが、この数は限定されず、その具体的な係合構造も公知の適宜の構造が採用可能である。
上記実施形態の係合部161は、一対のカバー部材160が一旦係合した後は係合解除せずに使用して廃棄することを想定しているため、係合解除のための構成は不要であるが、一対のカバー部材160を後に分離するような使用法が想定される場合は、係合部161に係合解除のための構成を付加してもよい。
【0028】
例えば、使用時にカバー部材160の係合部161の係合を一旦解除し、折取部150のみを分離して流路111の先端が開放した筒部120を露出させて使用可能な状態とし、使用を一旦中止して再びカバー部材160の係合部161を係合させてカバーとして使用すること等が考えられる。
このような使用が想定される場合は、連結部171を破断されないヒンジ部としてもよく、折取部150の操作腕151が外周方向および上下方向にそれぞれカバー部材160の収容凹部163に囲まれている構成も不要である。
【0029】
また、カバー部材160の内周面の段差部162、および、筒部120の外周面に設けられたネジ部122を近接突出部としたが、筒部120の外周面またはカバー部材160の内周面、あるいは、その両方に単純な突起物を設けたり、リブ状突起壁を設けてもよく、組立後から使用までの保管・搬送時の破損の可能性が低い場合は、近接突出部そのものを省略してもよい。
以上のように、本発明の折り取りスパウトは、本実施形態に限定されず、様々な構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 ・・・折り取りスパウト
110 ・・・スパウト本体
111 ・・・流路
120 ・・・筒部
121 ・・・弱化部
122 ・・・ネジ部
130 ・・・取付部
140 ・・・フランジ部
150 ・・・折取部
151 ・・・操作腕
160 ・・・カバー部材
161 ・・・係合部
162 ・・・段差部(近接突出部)
163 ・・・収容凹部
171 ・・・連結部(ヒンジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9