(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984220
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】松葉杖保持器
(51)【国際特許分類】
A61H 3/02 20060101AFI20160823BHJP
A47G 25/12 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
A61H3/02 Z
A47G25/12 Z
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-544970(P2013-544970)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公表番号】特表2014-501140(P2014-501140A)
(43)【公表日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】AU2011001658
(87)【国際公開番号】WO2012083367
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月22日
(31)【優先権主張番号】2010905602
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】61/484,426
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511151640
【氏名又は名称】ゴー・フォワーズ・カンパニー・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】オドニュー,ボー
【審査官】
増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−044067(JP,A)
【文献】
米国特許第05639055(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第19953436(DE,A1)
【文献】
特開2006−021751(JP,A)
【文献】
独国特許発明第00455450(DE,C1)
【文献】
特開2005−118140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/02
A47G 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
松葉杖の端部を収容するための空洞を提供する本体と、前記本体に対して移動可能に取り付けられた複数の保持要素であって、前記松葉杖を直立位置に維持することを支援するように、前記松葉杖の端部が前記空洞に収容されるのに応答して第1の位置から第2の位置へ移動するように適合された複数の保持要素とを含み、
前記本体が、取付部を画定する第1の本体部分と第2の本体部分とを含み、前記保持要素が第1の本体部分に位置決め可能であり、前記第2の本体部分は、前記保持要素が前記取付部によって前記本体に枢着されるように、前記保持要素を取り付けるために前記第1の本体部分と係合させることができ、
前記第1の本体部分が、前記保持要素が前記松葉杖を保持するために上方へ延びることを可能にするスロットを含むことを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項2】
請求項1に記載の松葉杖保持器において、前記保持要素が、前記松葉杖の端部と係合する第1の部分と、前記松葉杖の端部から所定の距離をおいて前記松葉杖と係合する第2の部分とを含むことを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項3】
請求項2に記載の松葉杖保持器において、前記保持要素の1つの方向に傾くことによって前記保持要素の前記第2の部分の移動を引き起こし、前記保持要素の前記第1の部分を反対方向に移動させ、前記第1の部分が前記松葉杖の端部との係合を強められ、強化された保持力をもたらすように、前記保持要素が枢着されることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、各保持要素は、前記松葉杖が傾けられると前記松葉杖の端部を圧迫する回転レバーを提供し、前記空洞は、前記松葉杖の端部を適所に保持して各回転レバーの圧迫動作をもたらす当接部を提供するように適合されることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、各保持要素が、前記第1の位置から、垂直に延びる位置まで回転可能なように、前記空洞の周縁部に隣接して前記本体に枢着されることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、前記保持要素は、前記松葉杖が前記空洞から垂直に持ち上げられると前記第1の位置へ戻るように移動すべく適合されることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、前記保持要素が、前記第1の位置に付勢されるように釣り合わせられることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、前記空洞が、前記保持要素を収容するためのスロット部であって、当該スロット部に前記保持要素が収容されたときに前記空洞が円形断面となるスロット部を含むことを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、各保持要素が、前記松葉杖の端部のゴムチップのショルダ部より上で前記松葉杖を保持するように配置されることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、前記保持要素の第1の対が、第1の面での前記松葉杖の回転を防止するように配置され、前記保持要素の第2の対が、第2の面での前記松葉杖の回転を防止するように配置され、前記第2の面が前記第1の面に対して実質的に垂直であることを特徴とする松葉杖保持器。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の松葉杖保持器において、前記第1の本体部分の前記スロットが十字構造であることを特徴とする松葉杖保持器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は松葉杖保持器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、支えないと転倒または倒れ込んでしまう人を支えることを支援する多数の異なる種類の松葉杖または補助器具に関することは認識されるであろう。本発明は松葉杖を特に参照して考察されるが、一対の松葉杖、歩行用杖または単一の松葉杖など、支持具の複数の組合せがあることは認識されよう。
【0003】
松葉杖保持器は一般に、1つまたは複数の松葉杖を収容するための中空の垂直に延びるシリンダを支持する基部を含む。十分な支持を提供するために、シリンダは典型的に空気中に延び、1つまたは複数の松葉杖を直立位置に保持するのに適した断面を有する。
【0004】
こうした背景およびそれに関連する問題および難局に対し、本発明は開発された。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載される好ましい実施形態の第1の態様によれば、松葉杖の端部を収容するための空洞を提供する本体と、本体に対して移動可能に取り付けられた複数の保持要素であって、松葉杖を直立位置に維持することを支援するように、松葉杖の端部が空洞に収容されるのに応答して第1の位置から第2の位置へ移動するように適合された複数の保持要素とを含む松葉杖保持器が提供される。
【0006】
好ましくは保持要素が、松葉杖の端部と係合する第1の部分と、松葉杖の端部から所定の距離をおいて松葉杖と係合する第2の部分とを含む。
【0007】
保持要素の1つの方向に傾くことによって保持要素の第2の部分の移動を引き起こし、保持要素の第1の部分を反対方向に移動させ、第1の部分が松葉杖の端部との係合を強められ、強化された保持力をもたらすように、好ましくは保持要素が枢着される。
【0008】
好ましくは、各保持要素は、松葉杖が傾けられると松葉杖の端部を圧迫する回転レバーを提供し、空洞は、松葉杖の端部を適所に保持して各回転レバーの圧迫動作をもたらす当接部を提供するように適合される。
【0009】
好ましくは、各保持要素は、第1の位置から、垂直に延びる位置まで回転可能なように、空洞の周縁部に隣接して本体に枢着される。
【0010】
好ましくは、保持要素は、松葉杖が空洞から垂直に持ち上げられると第1の位置へ戻るように移動すべく適合される。
【0011】
好ましくは、保持要素は、第1の位置に付勢されるように釣り合わせられる。
【0012】
好ましくは、空洞は、保持要素を収容して実質的に円形断面の効果的に空洞であるものを形成するスロット部を含む。
【0013】
好ましくは保持要素の第1の対は、第1の面での松葉杖の回転を防止するように配置され、保持要素の第2の対は、第2の面での松葉杖の回転を防止するように配置され、第2の面は第1の面に対して実質的に垂直である。
【0014】
本明細書に記載される好ましい実施形態の第2の態様によれば、松葉杖の端部を空洞内に収容するステップを含む松葉杖を保持する方法が提供され、松葉杖の空洞内への移動により松葉杖は複数の保持要素と当接し、保持要素を第1の位置から第2の位置へ移動させ、第2の位置において保持要素は松葉杖を直立位置に維持することを支援する。
【0015】
好ましくは、各保持要素は、松葉杖によって見られるような空洞の有効深さを拡大するように松葉杖を保持するとき上方へ延びるように配置される。
【0016】
本明細書に記載される好ましい実施形態の第3の態様によれば、ロッド要素の端部を収容するための空洞と、空洞がロッド要素を収容するとき第1の位置から第2の位置へ移動し、空洞に収容されるとロッド要素を直立位置に維持することを支援するように適合された複数の保持要素と、を含むロッド要素用の保持器が提供される。
【0017】
好ましくは、各保持要素は、ロッド要素によって見られるような空洞の有効深さを拡大するようにロッド要素を保持するとき上方へ延びるように配置される。
【0018】
考察されるように、
(i)有利な保持機構を提供する松葉杖保持器、
(ii)簡単に使用可能であり、松葉杖を必要とする人々に、家庭、病院および他の環境でさらなる独立性を提供する松葉杖保持器、
(iii)見て美しい形状を有し、松葉杖の迅速な挿入および取外しを可能にする松葉杖保持器、および
(iv)有利な保持機構を提供する一方、比較的少ない部品数でも簡単に作製される松葉杖保持器、
を含むいくつかの利点を提供する本発明の複数の好ましい構成があると考えられる。
【0019】
本発明の他の態様、好ましい形状および利点は、詳細な説明、図面および請求項を含む本明細書から明らかになることは認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のより深い理解を促すために、ここでいくつかの好ましい実施形態を添付の図面を参照して記載する。
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態による松葉杖保持器の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した松葉杖保持器の2つの断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した松葉杖保持器の1つの断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した松葉杖保持器のいくつかの断面図であり、図面は松葉杖保持器の動作を示す働きをする。
【
図5】
図5は、松葉杖が松葉杖保持器に挿入される直前の、
図1に示した松葉杖保持器の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した松葉杖保持器の部分的に分解した図である。
【
図7】
図7は、
図1に示した松葉杖保持器の2つの断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示した松葉杖保持器の2つの別の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2の好ましい実施形態による方法の説明図である。
【
図13】
図13は、本発明の別の好ましい実施形態による別の松葉杖保持器を示す。
【
図14】
図14は、本発明の別の好ましい実施形態による別の松葉杖保持器を示す。
【
図15】
図15は、本発明の別の好ましい実施形態によるさらに別の松葉杖保持器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態のそれぞれは特別に記載されており、本発明はいずれか1つの実施形態のいずれか特有の特徴または要素に限定されていると解釈されるべきではないことは認識されよう。本発明はまた、複数の実施形態または実施形態に関連して記載される変形の何らかの特徴に限定されていると解釈されるべきではない。
【0023】
図1を参照すると、本発明の第1の好ましい実施形態に従う松葉杖保持器10が示されている。松葉杖保持器10は、松葉杖12の容易な挿入および取外しを可能にする比較的低い断面形状を有し、松葉杖12を直立に有利に保持する保持機構を提供する。
【0024】
松葉杖保持器10は、病室のベッドまたは椅子の隣、浴室、リハビリ室およびジム、待合室などで有利に使用できるスタンドを提供すると考えられている。松葉杖保持器10は、家庭および病院環境の両方で、松葉杖を取り寄せる難しさを低減すると考えられている。松葉杖保持器10は、松葉杖を必要とする人々に、さらなる独立性を有利に提供すると考えられている。
【0025】
図1および2に示されるように、松葉杖保持器10は、松葉杖12の端部18を収容する空洞16を提供する本体14を含む。複数の保持要素22が本体14に移動可能に取り付けられている。保持要素22は、松葉杖12の端部18が収容されるのに応答して、松葉杖20を直立に維持することを補助するように第1の位置24から第2の位置26へ移動するように適合される。
【0026】
第1の位置24において、保持要素22は概ね水平方向に延び、各保持要素22の第1の部分28が空洞16の上に延び、各保持要素22の第2の部分30が空洞16から離して配置される。
【0027】
第1の部分28は、松葉杖12が空洞16に挿入されるとき、松葉杖12の端部18の下面32と係合するように適合される。第1の部分28は複数の突出部34を含み、複数の突出部34は各保持要素22のそれぞれの長さから横方向に外方へ延びる。松葉杖12が空洞16の中にさらに挿入されるとき、突出部34は松葉杖12の端部18の下面32に当接する。松葉杖12およびその下面32が空洞16に挿入されるにつれ、突出部34は下面32に沿って外方へ移動する。
【0028】
松葉杖12の端部18が挿入され続けると、突出部34は松葉杖12の端部18の縁36に到達する。さらなる挿入により第1の部分28は続けて縁36を越えて移動され、松葉杖12の端部18の側部38に当接する。松葉杖12の端部18が空洞16に完全に押し込まれると、突出部34は端部18の側部38に当接しそれをわずかに圧迫して松葉杖12を適所に保持するようにする。
【0029】
松葉杖12を適所に保持するとき、各保持要素22の第2の部分30は、松葉杖12の端部18から所定距離40離れて松葉杖12と係合する。
図2に示されるように、第2の部分30は、端部18に設けられたゴムチップ44の上の松葉杖12のアルミ製ロッド部分42と係合するように適合される。
【0030】
実施形態においては、各保持要素22は、各保持要素22の各第1の部分28と第2の部分30との間の位置46で本体14に回転可能に取り付けられる。この枢着は、保持要素22が結果としてそれぞれ回転レバー48を提供し、松葉杖が前後に傾けられるとき松葉杖12のゴムチップ44の外縁部50(側部38)を圧迫するので有利であると考えられる。
【0031】
図3に示されるように、保持要素54の1つに向かう方向52に傾けることにより、保持要素54の第2の部分56は、空洞16の中心軸58から離れるように移動される。これにより保持要素54の第1の部分60は反対方向に、空洞16の中心軸58の方へ移動される。これは、第1の部分60を松葉杖12の外縁部50とより強く係合させ、強化された保持力をもたらすように有利に働く。
【0032】
強化された保持力をもたらすために、反対側の保持要素62と空洞16の内壁とが、(逆向きの力を提供するように)松葉杖12の端部18を保持する当接部64を提供し、その結果、保持要素54が強化された保持力をもたらすべく作動できることは認識されよう。
【0033】
図4〜6に示されるように、松葉杖保持器10は、第1の面68に配置された、松葉杖12の第1の面68での回転を防止する保持要素22の第1の対66を含む。さらに松葉杖保持器10は、第1の面68と実質的に垂直な第2の面72に配置された、第2の面72での松葉杖12の回転を防止する保持要素22の第2の対70を含む。
【0034】
保持要素22の第1の対66を有利に設けることによって、松葉杖保持器10は、第1の面68の前方および逆方向の両方における傾斜の防止を有利に支援することができる。同様に、保持要素22の第2の対70を設けることによって、松葉杖保持器10は、第2の面72の前方および逆方向の両方における傾斜の防止を有利に支援することができる。第1の面68と第2の面72との間に配置される垂直面74において、松葉杖12を傾けることによってもたらされる傾斜動作の成分は、保持要素22の第1の対66と第2の対70とが協働して松葉杖12の傾斜を防止するように、第1の面68と第2の面72との間で共有される。
【0035】
図6に示されるように、第1の部分28は、松葉杖12がいずれかの方向に傾けられると保持要素22の第1の対66と第2の対70とが協働して傾斜を防止するように保持要素22を移動させる横方向に延びる部分76を有利に含む。
【0036】
横方向に延びる部分76は、松葉杖12のアルミ製ロッド部分42の周囲にぴったり一致する凹部78を含む。保持要素22の凹部78が、ロッド部分42の周囲のかなりの部分に有利に延在する。
【0037】
図5および6を参照すると、松葉杖保持器10の本体14は、第1の部分80と第2の部分82を含む。第2の部分82は、第2の部分82を通って第1の部分80の中に延びる締結具を収容する複数の穴を含む。第1の部分80は、締結具を固定するための対応する雌ねじ部を有する複数の締結用穴84を含む。第1の部分80と第2の部分82は、保持要素22を枢着するための溝の形状の取付け部88を画定する。
【0038】
保持要素22は第1の部分80に位置付けることが可能である。第2の部分82は、保持要素22を適所に取り付けるように第1の部分80と係合させて結合具を用いて固定することが可能であり、この時保持要素22は溝によって本体14に枢着されている。
【0039】
図5に示されるように、第1の部分80は、保持要素22が松葉杖12を保持するために直立して延びることを可能にするために、空洞16を横切って延びる2つのスロット90を含む。スロット90は十字構造を形成するように配置され、十字構造を介して保持要素22は直立して延びることができる。
【0040】
取付け部88は、各保持要素22から延びる回転部94を保持できるように、空洞16の周囲92の外側に間隔を空けて配置される。
図6に示されるように、回転部94は各保持要素22の本体から外方へ横方向に延びる延在部を含む。回転部94は、第2の部分30の端部より第1の部分28の端部から離されると有利である。回転部94のこの間隔は、松葉杖12が松葉杖保持器10から取り外されたとき、保持要素22を、垂直に延びる位置から第1の位置24へ移動するように付勢すべく有利に働く。これは以下で
図7を参照してさらに詳しく記載される。
【0041】
松葉杖保持器10からの松葉杖12の取外しが
図7に記載される。最初、松葉杖12は、収容位置96から始まる。この後、松葉杖12は上方へ位置98まで持ち上げられる。この地点で松葉杖12のゴムチップ44のショルダ部100が保持要素22の傾斜部102と当接する。これにより全ての保持要素22が外側へ移動され、その結果、その質量中心が回転部94によって提供された回転の支点を越えて移動し、保持要素22が垂直に延びる位置104から外側へ移動し、
図2に示される後退した第1の位置24へ落ちて戻る。従って回転部94および質量中心の位置を制御することによって、保持要素22は、松葉杖12が空洞16から垂直に持ち上げられたとき、第1の位置24へ付勢されるように釣り合わせられる。当然のことながら、これは、松葉杖保持器10の保持機構を手動でセットし直す必要がないので有利である。松葉杖保持器10は、松葉杖12が取り外されると保持要素22を第1の位置24へ自動的に戻るように移動させるべく有利に構成される。
【0042】
図6に示されるように、空洞の壁は、松葉杖12が直立位置に保持されているとき、保持要素22の第1の部分28を収容するための2つのスロット部106を含む。松葉杖12が直立位置に保持されているとき、保持要素22の第1の部分28の表面108と空洞16が、松葉杖12によって見られるような、実質的に円形断面の効果的な空洞を形成するようにスロット部106は成形される。これは、松葉杖12が傾けられたとき、回転レバーとして作動する各保持要素22の圧迫動作をもたらすように当接部を提供することを支援するように有利に働く。
【0043】
当然のことながら、第2の部分30は、松葉杖12を保持しているとき、保持要素22の質量中心が回転部94によってもたらされる回転部から内側に離されているので、空洞16の中心軸58(松葉杖12の長手軸110)に向かって付勢される。
【0044】
考察されるように、各保持要素22の第2の部分30は、松葉杖12の端部18のゴムチップ44のショルダ部より上で松葉杖12を保持するように配置される。従来型のゴムチップ端部を容易に収容するために、保持要素22は、この実施形態では、約67cmの長さである。そのような長さは、従来型の松葉杖を保持するのと同時に、都合のよいサイズの基部を提供するように有利に働く。勿論、基部は公知の手段で重み付けされる。
【0045】
図8に示されるように、松葉杖保持器10によって提供される有利な保持機構は、松葉杖を相当な距離持ち上げる必要なく、松葉杖の挿入を可能にする。この実施形態では、松葉杖12は、松葉杖12を挿入するために、およそ40mmの距離112だけ持ち上げる必要がある。松葉杖12を取り外すために、松葉杖12を40mmだけ持ち上げ、松葉杖12をわずかに横に移動させ、保持要素22の全てを後退位置に戻すように迅速に促すことも可能である。
【0046】
図9は本発明のさらに好ましい実施形態に従う方法114を示す。ブロック116において、方法114は、松葉杖120の端部118を、松葉杖保持器122の空洞121の中に収容するステップを含む。ブロック124において、松葉杖120が空洞122の中に移動することにより松葉杖120は複数の保持要素126と当接し、保持要素126は第1の状態128から移動される。
図10および11に示されるように、保持要素126は上方へ中間位置まで移動し、そこで保持要素22は松葉杖120のゴム端部130と当接する。次に保持要素はゴム端部130に沿って移動し、最終的にゴム端部130より上の位置132で松葉杖20と当接する。松葉杖120が傾けられると、保持要素126はゴム端部130の基部で圧迫作用を有利に提供し、圧迫作用が松葉杖120を直立位置に維持することを支援する。ブロック134において、方法114は、松葉杖120の重みが自然な傾き動作を提供することにより、松葉杖120を有利に直立に保持する。
【0047】
空洞121の深さを考慮する場合、保持要素126の供給は、松葉杖120によって見られるような空洞121の有効深さを拡大するように有利に働く。さらにゴム端部130より上で松葉杖120を係合することによって、非常にわずかな傾斜の結果、有利なレバー動作が提供されることによって比較的大きな圧迫力がもたらされ、松葉杖122を適所に保持する。
【0048】
図13および14は、本発明のさらに別の好ましい実施形態による松葉杖保持器136を示す。松葉杖保持器136は床の高さに目立たないように有利に置かれる一方、一対の松葉杖を使用できる状態で直立位置に保持すると考えられる。
【0049】
松葉杖保持器136は、長さ320mm×幅220mmを計測する楕円状プラスチックドームを形成し、最も厚い地点で40mmであり、その縁部において床の高さまで先細状に下がる。ドームは一対の松葉杖を収容するための2つの横並びになった空洞を有する。空洞はそれぞれ、松葉杖を適所に保持するように働く機構を保持する。
【0050】
機構の固定アームは、松葉杖の基部が空洞に入り、ゴムグリップの上の松葉杖のアルミ製チューブの周りで松葉杖の重みを使用して固定されると起動される。
【0051】
松葉杖が完全に挿入されると、固定アームは松葉杖を使用できる状態で垂直位置に保持する。松葉杖を解放し引き抜くために、松葉杖は空洞からただ持ち上げられ、固定アームは後退し、ドームのハウジング内へ戻り見えなくなる。
【0052】
松葉杖保持器136は、一対の松葉杖を立てる医学的な保健医療補助器具を提供すると考えられている。松葉杖は実際に使用されない時、危険かつ不便である。病室のベッドまたは椅子の隣、浴室、リハビリ室またはジム、待合室等など専門的な環境で松葉杖保持器136を使用することは、看護および人手を軽減すると考えられている。重要なことに、松葉杖保持器136は、松葉杖を使用する人々にさらなる独立性を提供するとも考えられている。
【0053】
松葉杖保持器136はまた、ベッド脇に、浴室に、食堂の椅子、テレビを視聴する椅子(television chair)の隣に、または戸外のテラスなどに配置することによって家庭で使用されてもよい。家庭での使用は介護人に息抜きを提供し、松葉杖を使用する人々にある程度の独立性を与えるはずである。当然のことながら、松葉杖保持器136はまた、数個の利用例に言及するだけだが、職場、レストラン、美容サロン、および待合室など、商業施設での利用も見出せるであろう。
【0054】
安全性および利便性の観点から、松葉杖保持器136は、患者が腕を通せるように立っている松葉杖を有利に提供し、松葉杖は通常位置において、一番近いコーナーに立てかけられることも床に危険極まりなく横たわることもない。
【0055】
図15は、単一の松葉杖または歩行用杖のための、松葉杖保持器138の形状をとった本発明のさらに好ましい実施形態を示す。松葉杖保持器138は3つの保持要素140と、松葉杖を収容するための凹部142とを含む。保持要素140は凹部142の中心に対して、約120度の角度を付けて配置される。保持要素140は倒された位置から延伸位置まで移動可能であり、延伸位置で保持要素140は、締付け動作を適用することによって松葉杖の傾斜を防止するように適合される。
【0056】
締付け動作を提供するために、保持要素は、凹部142の底面より上の設定距離のところで、松葉杖保持器138の本体に枢着される。延伸位置にあるとき、保持要素140の第1の端部は松葉杖のシャフトを3点で保持し、保持要素140の反対の第2の端部はシャフトの下端を保持して傾斜の防止を支援する。
【0057】
松葉杖保持器138が歩行用杖用である実施形態において、この装置は、19mmのシャフトおよび38mmのゴム端部の寸法を有する歩行用杖を収容し保持するように構成されることは認識されよう。
【0058】
本発明のいくつかの好ましい実施形態をここに記載してきたが、これら実施形態は、
(i)有利な保持機構を提供する松葉杖保持器、
(ii)簡単に使用可能であり、松葉杖を必要とする人々に、家庭、病院および他の環境でさらなる独立性を提供する松葉杖保持器、
(iii)見て美しい形状を有し、松葉杖の迅速な挿入および取外しを可能にする松葉杖保持器および、
(iv)有利な保持機構を提供する一方、比較的少ない部品数でも簡単に作製される松葉杖保持器、
の例を提示していることは認識されよう。
【0059】
当然のことながら、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更および等価形態が実現されてもよい。これは、添付の請求項の範囲内での修正を、全ての修正、代替的構成および等価物とともに含む。
【0060】
本発明を図面に示した特定の実施形態に限定する意図はない。本発明は出願人およびその完全な範囲を与えられた発明にとって有益に解釈されるべきである。
【0061】
本明細書において、特定の特徴の存在は、別の特徴の存在を除外しない。用語「含む」、「包含する」、および「有する」は、排他的な意味ではなく、包括的に解釈されるべきである。
【0062】
本明細書中のいずれの考察も本発明の背景を説明するように意図されることは認識されよう。考察した材料が、従来技術の原理部分またはいずれか特定の国または地域の関連する一般的な知識を形成した場合、承認として理解されるべきではない。