(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロッド部材が前記送出ラインの前記上流セクションを通過する過程にて、前記ロッド部材をプレ乾燥させる乾燥装置を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載のロッド部材の押出成形システム。
前記乾燥装置は、前記送出ラインの前記上流セクションにて、前記押出成型機と前記第1ローラコンベアとの間に確保されたプレ乾燥域と、前記プレ乾燥域を通過する前記ロッド部材に前記ロッド部材の下方から風を吹き付ける送風器とを含むことを特徴とする請求項2に記載のロッド部材の押出成形システム。
前記第1及び第2ローラコンベアにてローラが配置されるピッチは前記ロッド部材の外径以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のロッド部材の押出成形システム。
前記第2ローラコンベアにおけるローラのピッチは前記第1ローラコンベアにおけるローラのピッチよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のロッド部材の押出成形システム。
前記乾燥工程は、前記ロッド部材が前記第1ローラコンベアの上流に確保されたプレ乾燥域を送出される過程にて、前記ロッド部材の下方から前記ロッド部材に風を吹き付けることを特徴とする請求項7に記載のロッド部材の押出成形方法。
前記送出工程は、前記成形工程から受け取った前記ロッド部材を自身の外径以下の間隔にて、前記第1及び第2ローラコンベアの各ローラに順次接触させることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載のロッド部材の押出成形方法。
前記後段プロセスにて、前記第2ローラコンベアの各ローラが前記ロッド部材に接触する周期は、前記前段プロセスにて、前記第1ローラコンベアの各ローラが前記ロッド部材に接触する周期よりも短いことを特徴とする請求項9に記載のロッド部材の押出成形方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2のロッド部材は何れも樹脂材料から形成されているため、比較的高い保形性を有する。ここで、保形性は、ロッド部材が自重で変形しない程度にロッド部材の外形が保持される性質を表す。それ故、上述の制御装置はロッド部材の外形を保持しつつ、ロッド部材の外径を一定の範囲に制御するうえで有効であると考えられる。
【0006】
しかしながら、炭素熱源を提供するためのロッド部材は、主成分としての粒状の炭とバインダ等の添加物との混合物から形成されているため、混合物の混練性や押出成形機内での混合物の流動性を十分に確保するうえで、混合物の含水率は比較的高い。
【0007】
それ故、押出成形直後のロッド部材もまた、高い含水率を有しているので、ロッド部材はその外形を維持する保形性が低く、ロッド部材が押出成形機からそのまま移送コンベアに受け取られたとき、ロッド部材は塑性変形を受けてしまい、ロッド部材の外径を安定させることができない。
【0008】
一方、混合物の押出成形後、ロッド部材の保形性を担保するためにはロッド部材にある程度の硬さを与える必要がある。このため、押出成形機内における混合物の流れ易さを表す流動性は悪くならざるを得ず、押出成形機からのロッド部材の送出速度は変動し易い。このような送出速度の変動もまたロッド部材の塑性変形を引き起こし、ロッド部材の外径を変動させる要因となる。
【0009】
本発明の目的は、押出成形直後のロッド部材の含水率及び粘着性が高くても、ロッド部材の外径を許容範囲内に維持することができるロッド部材の押出成形システム及びその押出成形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は本発明におけるロッド部材の押出成形システムによって達成され、この押出成形システムは、
ロッド部材を成形して押し出す押出成形機と、
押出成形機から押し出されたロッド部材を受け取る送出ラインと、
送出ラインからロッド部材を受け取り、受け取ったロッド部材を移送する移送コンベアと、
ロッド部材が送出ライン上に規定された測定位置を通過するとき、ロッド部材の外径を測定し、測定結果を出力する測定装置と、
測定装置の測定結果に基づき、移送コンベアによるロッド部材の移送速度をフィードバック制御する制御装置と
を具備し、
送出ラインを測定位置にて押出成型機側の上流セクションと移送コンベア側の下流セクションとに区分してみたとき、前記送出ラインは、
少なくとも測定装置の直上流にて上流セクションの一部を形成し、ロッド部材の送出を案内する第1ローラコンベアと
下流セクションを形成し、ロッド部材の送出を案内する第2ローラコンベアと
を含んでいる。
【0011】
上述の押出成形システムによれば、押出成形機にて押出成形されたロッド部材は押出成形機から第1ローラコンベア及び第2ローラコンベアを含む送出ラインに沿って送出され、この後、送出ラインから移送コンベアに受け取られ、移送コンベアにより更に後工程へ移送される。
一方、送出ラインに沿いロッド部材が送出される過程に、ロッド部材の外径が測定装置により測定され、ここでの測定結果にもとづき、移送コンベアによるロッド部材の移送速度がフィードバック制御される。
【0012】
上述したようにロッド部材は移送コンベアに受け取られる前に、送出ラインに沿って送出されるので、この送出過程にてロッド部材の表面のプレ乾燥が進行する。ここでのプレ乾燥にて、ロッド部材の表面は固化しない程度、即ち、移送コンベア上にてロッド部材の伸び又は縮みによってロッド部材にクラックが発生しない程度に乾燥される。
【0013】
それ故、ロッド部材の含水率が高くても、ロッド部材における外周の保形性が高められるとともに、特に、ロッド部材における外周の粘着性、特に送出ライン及び移送コンベアと接触するロッド部材の外周部位の粘着性を低減でき、ロッド部材が送出ラインから移送コンベアに受け取られても、ロッド部材は塑性変形による変形を受け難く、ここでの塑性変形に起因してロッド部材の外径が変化することはない。
【0014】
一方、押出成形機内での混合物の流動性が悪く、押出成形機からのロッド部材の送出速度が変動しても、前述したように移送コンベアの移送速度、即ち、ロッド部材の外径がフィードバック制御されるので、含水率及び粘着性が共に高いロッド部材であったとしても、ロッド部材の外径は許容範囲内に維持される。
【0015】
本発明は上述のシステムに対応した押出成形方法をも提供し、この押出成形方法もまた上述のシステムと同様な機能を発揮する。
本発明の押出成形システム及び方法の具体的な形態は後述の説明から明らかとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のロッド部材の押出成形システム及びその押出成形方法は、押出成形直後のロッド部材の含水率及び粘着性が共に高く、移送コンベアにおける移送速度のフィードバック制御だけではロッド部材の高精度な外径制御が困難であっても、ロッド部材の外径を許容範囲内に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すれば、ロッド部材の押出成形システムは押出成形機10を備え、この押出成形機10は混合物Mの供給を受ける。本実施形態の場合、混合物Mは主成分として粒状の炭、バインダ、炭酸カルシウム及び水を含む。バインダには例えばアルギン酸ナトリウム又はカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用可能であり、混合物Mの含水率は20〜60wt%以上である。
【0019】
押出成形機10は混合物Mを混練しながら円形のロッド部材Rとして押出成形し、成形されたロッド部材Rを押出成形機10の出口12から延びる水平な送出ラインDLに沿って送出する。本実施形態の場合、ロッド部材Rは
図2に示されるように中空形状をなし、センタ孔Hを有する。なお、ロッド部材Rは、ハニカム構造や格子構造等の中空形状を有していてもよいし、更には中実であってもよい。
【0020】
送出ラインDLの下流には移送コンベア14が水平に配置されており、この移送コンベア14と押出成形機10との間には送出ラインDLの長さに相当する所定の間隔が確保されている。それ故、移送コンベア14は送出ラインDLを介して押出成形機10に接続され、送出ラインDLの延長部を形成する。例えば、移送コンベア14はシリコーン製の平ベルトを有したベルトコンベアである。
【0021】
上述の移送コンベア14は送出ラインDLからロッド部材Rを受け取り、受け取ったロッド部材Rを送出方向と同一方向に移送する。
送出ラインDL上には測定位置MPが規定されており、この測定位置MPは送出ラインDLを押出成形機10側の上流セクションU
DLと移送コンベア14側の下流セクションD
DLとに区分する。
【0022】
測定位置MPには測定装置16が配置されており、この測定装置16はロッド部材Rが測定位置MPを通過するとき、ロッド部材Rの外径を測定する。本実施形態の場合、測定装置16は送出ラインDLの下方に配置された光源16aと、この光源16aとの間に送出ラインDLを挟んで配置された外径センサ16bとを含む。
【0023】
光源16aは測定位置MPに向けてレーザ光を出射し、一方、外径センサ16bは光源16aから出射されレーザ光を受け取ることができる。この際、レーザ光は上流セクションU
DLと下流セクションD
DLとに間に確保された間隔を通過する。
なお、外径センサ16bは特に限定されないが、ロッド部材Rの外径を高精度に測定できることが望ましい。例えば、外径センサ16bは1/100mmよりも高い分解能を有しているのが望ましい。
【0024】
ロッド部材Rが送出ラインDL上を連続して送出されている状況にあるとき、ロッド部材Rは光源16aからのレーザ光の一部を遮り、外径センサ16bはレーザ光の残部のみを受け取る。それ故、外径センサ16bは、ロッド部材Rによって遮られたレーザ光の一部(陰の部分)に基づき、ロッド部材Rの外径D
Rを測定することができる。
【0025】
このようにして測定された外径D
R(測定結果)は外径センサ16b、即ち、測定装置16から制御装置18に与えられる。制御装置18は移送コンベア14を駆動するスピードコントロールモータ20に電気的に接続されており、スピードコントロールモータ20にはサーボモータ又はインバータモータを使用することができる。制御装置18は、外径D
Rに基づき、スピードコントロールモータ20を介して移送コンベア14の移送速度をフィードバック制御する。なお、フィードバック制御の詳細は後述する。
【0026】
移送コンベア14の下流には切断セクション22及びポスト乾燥セクション24が順次配置されている。切断セクション22はロッド部材Rを所定の長さ毎に切断し、ロッド部材Rから円筒形状の炭素熱源を形成する。一方、ポスト乾燥セクション24は切断セクション22から炭素熱源を受け取り、これら炭素熱源を乾燥処理する。このようなポスト乾燥処理後、炭素熱源は保管される。このような炭素熱源は本実施形態の場合、フィルタシガレットのための炭素熱源として使用される。この場合、炭素熱源の直径、即ち、ロッド部材Rの外径D
Rは6〜8mm程度である。
【0027】
本実施形態の場合、前述した送出ラインDLの上流セクションU
DLはプレ乾燥域A
Dと、コンベア域A
Cとに更に区分されている。プレ乾燥域A
Dは押出成形機10側に配置され、一方、コンベア領域A
Cは測定位置MP側に配置されている。プレ乾燥域A
Dにはプレ乾燥装置としての送風器26が備えられている。この送風器26は送出ラインDLの下方に配置され、送出ラインDLに向かう風を発生させる。
【0028】
上述の風はロッド部材Rに含まれる水分が急速に蒸発しない程度、つまり、ロッド部材Rの外表面が急速に乾燥するのを防ぐ程度の温度を有し、このような風がロッド部材Rに吹き付けられれば、風はロッド部材Rにおける外表面の粘着性を低減させる。なお、押出成形機10にて押出成形された直後のロッド部材Rは例えば20℃程度に冷却された状態にある。
【0029】
コンベア域A
Cは少なくとも測定装置16の直上流域、即ち、プレ乾燥域A
Dから測定装置16に亘って確保され、第1ローラコンベア28によって形成されている。第1ローラコンベア28は多数のローラを含み、これらローラは送出ラインDLに沿い所定の間隔、例えばピッチP
1を存して隣接し、回転自在に支持されている。
【0030】
一方、前述した下流セクションD
DLは第2ローラコンベア30によって形成されている。この第2ローラコンベア30もまた多数のローラを含み、これらローラは送出ラインDLに沿いピッチP
2を存して隣接し、回転自在に支持されている。
【0031】
図1から明らかなように、第2ローラコンベア30でのピッチP
2は第1ローラコンベア28でのピッチP
1よりも短い。前述したようにロッド部材Rの外径D
Rが6〜8mm程度である場合、第1ローラコンベア28の各ローラは例えば6〜8mmの直径を有し、これに対し、第2ローラコンベア30の各ローラは第1ローラコンベア28のローラ径よりも小さい直径、例えば2mm程度の直径を有する。
更に、本実施形態では、ピッチP
1,P
2はロッド部材Rの外径D
R以下に設定されている。
【0032】
本実施形態の場合、送出ラインDLに沿うコンベア域A
C及び下流セクションD
DLの長さは同一(例えば120mm程度)であり、第2ローラコンベア30におけるローラの数は第1ローラコンベア28におけるローラの数よりも多い。このことは、第2ローラコンベア30が第1ローラコンベア28に比べてロッド部材Rに対して多数の支持点を提供し、しかも、これら支持点間の間隔(ピッチP
2)は第1ローラコンベア28での支持点間の間隔(ピッチP
1)よりも小さいことを意味する。
【0033】
このように第2ローラコンベア30は第1ローラコンベア28に比べて多数の支持点にてロッド部材Rを支持できるから、測定位置MPにてロッド部材Rの直径が測定された後、ロッド部材Rの外径変動を効果的に抑制でき、移送コンベア14の移送速度に対する高精度なフィードバック制御を可能にするうえで好適する。
【0034】
第1及び第2ローラコンベア28,30の各ローラは例えば、JIS規格SUS316、SUS304等のステンレス鋼によって形成されている。特に、SUS316はSUS304に比べて耐食性に優れているので、第1及び第2ローラコンベア28,30のローラに好適する。
【0035】
更に、ローラは、ロッド部材Rの粘着を低減するコーティングを有していてもよく、このコーティングには例えばフッ素コーティング、シリコーンコーティング、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)、又は、これらコーティングの組合せを用いることができる。一方、ローラが上述のコーティングを有する場合、ローラは上述のステンレス鋼以外に、ロッド部材Rが粘着し難い樹脂材料、例えばポリアセタール樹脂(POM)、ポリエーテルケトン樹脂(PEEK)によって形成されていてもよい。
【0036】
上述したシステムによる押出成形方法について以下に説明する。
押出成形機10が駆動されれば、押出成形機10は混合物Mからロッド部材Rを押出成形し、このロッド部材Rを送出ラインDLに沿って送出させる(成形工程)。一方、押出成形機10の駆動と同時に、移送コンベア14また駆動される。このとき、移送コンベア14の移送速度はロッド部材Rの送出速度に一致している。
【0037】
この後、ロッド部材Rの送出はプレ乾燥域A
Dを経て、第1ローラコンベア28により案内され(送出工程の前段プロセス)、更に、測定装置16での外径D
Rの測定(測定工程)を経て第2ローラコンベア30により案内され(送出工程の後段プロセス)、最終的に、移送コンベア14に引き継がれる(移送工程)。
【0038】
前述したように混合物Mの含水率、即ち、押出成形直後のロッド部材Rの含水率は比較的高く、この時点でのロッド部材Rの保形性は低い。このため、ロッド部材Rが押出成形機10から移送コンベア14に直接受け取られれば、移送コンベア14上にてロッド部材Rは塑性変形してしまい、ロッド部材Rの真円性が保証されない。
【0039】
しかしながら、本実施形態では、押出成形機10と移送コンベア14との間に前述の送出ラインDLが確保されているので、押出成形直後のロッド部材Rは移送コンベア14に受け取られるまでに送出ラインDLに沿って送出される。このようなロッド部材Rの送出過程は、ロッド部材Rにおける外周面のプレ乾燥を進行させ、ロッド部材Rの保形性を高め、ロッド部材Rにおける外表面の粘着性を低減する。
【0040】
本実施形態では、送出ラインDLの上流セクションU
DLは、ロッド部材Rの乾燥を促進させるプレ乾燥域A
Dを含み、このプレ乾燥域A
Dは押出成形機10に隣接して配置されている。それ故、押出成形直後のロッド部材Rは先ずプレ乾燥域A
Dを通過し、この際、送風器26の風がロッド部材Rに下方から吹き付けられる(乾燥工程)。このような風はロッド部材Rの下半分の周面領域、即ち、ロッド部材Rの底部のプレ乾燥を促進させることから、ロッド部材Rの底部の保形性は特に高くなる。
【0041】
一方、風の吹き付けは、特にロッド部材Rにおける下半分の周面領域に対して、プレ乾燥を促進させるものの、ここでのプレ乾燥はロッド部材Rの局所的な固化、つまり、ロッド部材Rの不均一な収縮をもたらすものでもなく、ロッド部材Rにクラックが発生してしまうことはない。
それ故、プレ乾燥域A
Dの下流にて、ロッド部材Rが第1ローラコンベア28に進入し、ロッド部材Rの底部が第1ローラコンベア28の各ローラに支持されても、ロッド部材Rは塑性変形を受けることがなく、ロッド部材Rの真円性が担保される。
【0042】
この後、ロッド部材Rが測定位置MPを通過する際、ロッド部材Rの外径D
Rが測定装置16によって測定され、ロッド部材Rの送出は第1ローラコンベア28から第2ローラコンベア30に引き継がれる。
【0043】
前述したように第1及び第2ローラコンベア28,30での各ローラのピッチP
1,P
2がロッド部材Rの外径D
R以下であるので、ロッド部材Rが送出ラインDLに沿って送出されるとき、ロッド部材Rは自身の外径D
R以下の間隔にて、第1及び第2ローラコンベア28,30の各ローラに順次接触する。
【0044】
それ故、ロッド部材Rが第1及び第2ローラコンベア28,30上を移動する際、ロッド部材Rがローラ間に落ち込んだり、又は、蛇行したりすることもなく、ロッド部材Rの直進性が保証され、ロッド部材Rは第1及び第2ローラコンベア28,30上をスムーズに移動することができる。
【0045】
この点、ロッド部材Rにおける外表面の粘着性が高く且つロッド部材R自体が軟らかいことに加えて、上述のピッチP
1,P
2がロッド部材Rの外径D
Rよりも大きければ、ロッド部材Rがローラ間に落ち込んだり、又は、蛇行したりする可能性が高くなり、ロッド部材Rのスムーズな移動は保証されない。
【0046】
この後、ロッド部材Rの送出は第2ローラコンベア30から移送コンベア14に引き継がれ、移送コンベア14により後段の切断セクション22及びポスト乾燥セクション24に向けて移送され、前述の切断及びポスト乾燥処理を受ける。
【0047】
上述したようにロッド部材Rは底部の外周面のみが硬化しない程度にプレ乾燥されているだけであるので、ロッド部材Rの横断面でみてロッド部材R内の水分量の分布が大きく偏ることもない。それ故、後段のポスト乾燥セクション24にて炭素熱源がポスト乾燥処理を受けても、炭素熱源にクラックが発生したり、また、炭素熱源の真円度が低下したりすることもない。
【0048】
移送コンベア14のベルトはシリコーンから形成され、一方、第1及び第2ローラコンベア28,30の各ローラは前述のステンレス鋼から形成されているので、これらベルト及びローラに対するロッド部材Rの粘着性は低い。それ故、ロッド部材Rが第1及び第2ローラコンベア28,30のローラや移送コンベア14のベルトに付着し難いので、ロッド部材Rは第1及び第2ローラコンベア28,30及び移送コンベア14にて引っ掛かることなく、これらコンベア28,30,14を円滑に通過することができる。
【0049】
また、前述したようにコンベア域A
C及び下流セクションD
DLの長さ、また、ピッチP
1,P
2の大小関係から導かれるように、第2ローラコンベア30は第1ローラコンベア28に比べて多くのローラを含み、ロッド部材Rを多数の支持点にて支持できる。このことは、第2ローラコンベア30の各ローラがロッド部材Rに接触する周期が第1ローラコンベア28の各ローラがロッド部材Rに接触する周期により短いことを意味し、ロッド部材Rの安定した送出に寄与する。
【0050】
特に、第2ローラコンベア30は、ロッド部材Rの外径D
Rが測定された直後のロッド部材Rの送出に使用されるため、移送コンベア14の移送速度に関し、後述するフィードバック制御を高精度で実施可能にするためには、第2ローランベア30によるロッド部材Rの安定した送出が重要になる。
【0051】
次に、
図3を参照しながら、前述の制御装置18によるフィードバック制御(制御工程)に関して説明する。
先ず、押出成形機10及び移送コンベア14が駆動されているか否かが判別され(ステップS1)、ここでの判別結果が真(Yes)の場合、測定装置16にて測定されたロッド部材Rの外径D
Rが読み込まれる(ステップS2)。
【0052】
この後、外径D
Rが最大許容径D
MAX以上か否かが判別され(ステップS3)、ここでの判別結果が真の場合、以下の式により、最大許容径D
MAXからの外径D
Rの偏差ΔDが算出される(ステップS4)。
ΔD=D
R−D
MAX
【0053】
一方、ステップS3の判別結果が偽(No)である場合、外径D
Rが最小許容径D
MIN以下か否かが判別され(ステップS5)。ここでの判別結果が真の場合、以下の式により、最小許容径D
MINからの外径D
Rの偏差ΔDが算出される(ステップS6)。
ΔD=D
MIN−D
R
なお、ステップS5の判別結果が偽の場合、ステップS1以降のステップが繰り返して実施され、また、ステップS1の判別結果が偽の場合、
図3の制御ルーチンは終了する。
【0054】
制御装置18は、上述の偏差ΔDに基づき、移送コンベア14の移送速度を増加又は減少させるための速度制御量ΔVを算出し(ステップS7)、この後、速度制御量ΔVをサーボモータ20に向けて出力する(ステップS8)。
【0055】
従って、サーボモータ20は速度制御量ΔVに基づき、移送コンベア14の移送速度を変化させる。具体的には、外径D
Rが最大許容径D
MAXを超えていれば、移送コンベア14の移送速度は増加される。この場合、移送コンベア14は押出成形機10から送出されたロッド部材Rを引っ張りながら移送し、これにより、ロッド部材Rの外径D
Rはロッド部材Rの塑性変形を伴い減少される。
【0056】
逆に、外径D
Rが最小許容径D
MINを下回っていれば、移送コンベア14の移送速度は減少される。この場合、移送コンベア14は押出成形機10からのロッド部材Rの送出速度を制動させるように働き、ロッド部材Rの外径D
Rはロッド部材Rの塑性変形を伴い増加させる。
ロッド部材Rにおける外径D
Rの変動は押出成形機10からのロッド部材Rの送出速度が変動することで発生するが、上述したように外径D
Rがフィードバック制御される結果、外径D
Rは最大許容径D
MAXと最小許容径D
MINとの間の許容範囲に維持される。
【0057】
上述のフィードバック制御は、押出成形機10の駆動速度、即ち、混合物Mの混練速度を変更させないので、混練条件が一定となり、ロッド部材Rの嵩密度や硬度の安定に寄与する。このことは、ロッド部材Rに前述の後工程としてポスト乾燥処理が実施されても、ロッド部材Rにおける外径D
Rの変動が抑制されることを意味する。
【0058】
この結果、ロッド部材Rの外径D
Rが安定して維持され、ロッド部材Rの外観に係る品質が担保される。
また、フィードバック制御の実施にあたり、移送コンベア14のベルト及び第1及び第2ローラコンベア28,30の各ローラは、前述したようにロッド部材Rが粘着し難い材料から形成され、一方、ロッド部材Rの底部は予め乾燥処理され、底部の保形性は高い。
【0059】
それ故、フィードバック制御の実施に伴い、押出成形機10と移送コンベア14との間、即ち、送出ラインDL上でのロッド部材Rの送出速度が変動しても、第1及び第2ローラコンベア28,30の各ローラは速度変動に追従して回動でき、安定したフィードバック制御の実施を可能にする。
【0060】
更に、第2ローラコンベア30の各ローラの直径は第1ローラコンベアの各ローラの直径よりも小さいので、第2ローラコンベア30における各ローラの慣性質量は小さい。それ故、第2ローラコンベア30の各ローラは第1ローラコンベア28の各ローラに比べて、ロッド部材Rの送出速度の変動に良好に追従して回転するので、上述のフィードバック制御によるロッド部材Rの外径D
Rの増加又は減少は主として測定装置16の上流にて表れ、フィードバック制御の応答性は高い。
【0061】
本発明は上述の一実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、
図4に示されるように測定装置16は第1及び第2ローラコンベア28,30の直上に配置されていてもよい。この場合、光源16a及び外径センサ16bはロッド部材Rの送出ラインDLを挟み且つ水平方向に互いに離間して配置されている。
【0062】
このような測定装置16によれば、第1ローラコンベア28(上流セクションU
DL)と、第2ローラコンベア30(移送コンベア14側の下流セクションD
DL)との間にて、即ち、レーザ光の通過を許容する間隔を確保する必要がない。それ故、
図4から明らかなように第1及び第2ローラコンベア28,30は互いに連続することができ、ロッド部材Rの送出をより安定させることができる。
【0063】
また、本発明の実施に際し、乾燥装置、即ち、送風器26は必ずしも必要ではないが、送風器26によるロッド部材Rの強制的な乾燥は送出ラインDLを短縮させるうえで大きく寄与する。このことから、送風器26に加えて例えば第1ローラコンベア28の下方にも別の送風器を配置し、この別の送風器からの風をロッド部材Rに吹き付けるようにしてもよい。
また、第2ローラコンベア30の各ローラは第1ローラコンベア28の各ローラの直径と同一の直径を有していてもよい。