(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左右の天板は、該左右の天板と前記左右の外側板の上側の一部が中央部で2つに切り離され、該中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ該端部よりも該中央部の幅が厚くなるように、夫々前記胴部の内側に折り込まれた状態において、該左右の天板の夫々における両端部が、前記左右の外側板と前記前後の外側板との境界線に沿って折り曲げ可能な第4の折り目が形成され、
前記トイレとしての形態において、前記胴部の内側へ折り込まれた前記前後の天板が、さらに、前記左右の外側板と前記前後の外側板との境界線に沿って折り曲げられた前記左右の天板の夫々における両端部の面を、前記前後の外側板とで挟むことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納箱兼用簡易トイレ。
【背景技術】
【0002】
近年、震災等の災害を経験し、震災に備える意識が高まっている。震災時には、上下水道、電気、道路等のライフラインが損なわれる場合があり、上下水道が損なわれた場合、その復旧には3〜4日程度かかることが想定されるため、食料、飲料に加えて、簡易トイレを確保することが重要となる。
従来、用いられてきた簡易トイレとして、仮設のプレハブ式トイレやおまる等がある。しかし、プレハブ式トイレは、コストが高く、設置スペースを要するため、設置場所や設置数も限られたものとなる。このため、震災等の非常時において、使用を必要とする被災者の数に対してトイレの数が不足し易い。また、おまるは、不使用時の保管にスペースをとり、使用に際しては使い心地が悪く、しかも使用後の汚物の処理が煩雑化する。そこで、近年、災害等の非常用の簡易トイレとして、大量供給が可能で、不使用時の保管スペースを有効活用でき、使用後の処理も簡単な紙製の簡易式トイレが提案されている。
【0003】
従来、紙製の簡易トイレとしては、例えば、次の特許文献1〜3に開示されたものがある。
特許文献1に記載の簡易トイレは、例えば、
図8(a)、
図8(b)に示すように、前後左右の外側板からなる胴部51と、底部52と、前後の外側板に連設された略U字形状の天板フラップ53F,53Bと、左右の外側板に連設された天板53L,53Rを備えている。
そして、特許文献1に記載の簡易トイレでは、
図8(d)に示すように、胴部51の下側開口を底部52で塞ぎ、内部に品物を収納した状態において、
図8(e)に示すように、前後の天板フラップ53F,53Bを、収容する品物の上に被せ、次いで、
図8(f)に示すように、左右の天板53L,53Rのうち一方の天板53Rを前後の天板フラップ53F,53Bの上に被せ、次いで、他方の天板53Lの先端縁に設けられた差込片53L1を一方の天板53Rと外側板との境界部に設けられた差込孔に差込むことにより収納箱形態を形成する(
図8(g)参照)。また、収納箱形態において、
図8(h)に示すように、左右の天板53L,53R及び前後の天板フラップ53F,53Bを開き、品物を取り出した後、
図8(i)に示すように、左右の天板53L,53Rを胴部51の内側へ折り曲げて、左右の天板53L,53Rの先端側を底部52に支持させ、次いで、
図8(j)に示すように、前後の天板フラップ53F,53Bを折り曲げて先端の差込片53F1,53B1を左右の天板に設けられた差込孔(符号省略)に差込むことで、便座部を形成し、次いで、前側の天板フラップ53Fに形成されている突片53F2を起立させることで金隠しを形成することによりトイレ形態を形成する(
図8(k)参照)。このように、特許文献1に記載の簡易トイレは、収納箱形態とトイレ形態とを選択的に変更可能に構成されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の簡易トイレは、例えば、
図9に示すように、板状体に複数の折り目形成線を形成し、折り目形成線又は折り目形成線と板状体の周辺に囲まれる領域を、折り目形成線を境に折り返して立体に形成しうる本体61を備え(
図9(a)参照)、本体61の上面には孔62及び蓋体63a,63bを形成して便座壁64a,64bの役を担わせたアーチ型簡易トイレ形状(
図9(b)参照)を形成するように構成されている。
【0005】
また、特許文献3に記載の簡易トイレは、例えば、
図10に示すように、一枚の板紙を打ち抜き成形するように形成された折り畳み式簡易便器であって、互いに相対峙する前後一対の側壁70L,70R,71L,71Rと左右一対の側壁72L,72Rとを有する筒型の胴体73を、少なくとも2つの上下方向折り目に沿って折り畳んだものと、左右一対の側壁72L,72Rの各々の上縁に設けた横方向折り目を介して夫々の側壁から上方に連続的に延長する左右一対の折り曲げ可能な中央開口付き便座形成パネル74L,74Rとを備え(
図10(a)参照)、組立てに際し左右一対の便座形成パネル74L,74Rの各々を横方向折り目に沿って相対峙する側壁の方に水平に折り曲げたときに夫々の便座形成パネル74L,74Rが左右の側壁72L,72Rを架橋するように構成されている(
図10(b)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、紙製の簡易トイレは、陶器製のトイレやプラスチック製のおまるに比べて、耐加重性が弱く、便座に座るとぐらついて、座り心地が悪くなり易いといった課題がある。便座のぐらつきを抑え、座り心地を良くするには、便座部を臀部がフィットし易い形状に形成することが望まれる。
しかるに、特許文献1に記載の簡易トイレは、トイレとしての形態において便座部の面が平坦であるため、臀部を便座部にフィットさせることが難しい。
【0008】
一方、特許文献2、3に記載の簡易トイレは、トイレとしての形態において便座部は、中央部が両端部に比べて低くなるように傾斜が設けられている。
しかし、特許文献2、3に記載の簡易トイレは、トイレとして使用しない場合は、板状に折り畳まれた形態で保管されるように構成されており、内部に物資を収納することができない。また、特許文献2、3に記載の簡易トイレは、板状の形態から展開して組み立て状態では、上部が開口し、しかも、上部の面は中央部が両端部に比べて低くなるように傾斜して、平坦にはならないため、内部に物資を収容する箱として用いようとしても、物資が外部に出てしまい易く保管に適さず、しかも複数段積み重ねることができず、輸送にも適さない。
【0009】
このように、紙製の簡易トイレにおいて便座部に傾斜を持たせると、収納箱としての機能が損なわれ、一方、便座部を平坦にすると座り心地が悪くなる。このため、従来の紙製の簡易トイレには、内部に物資を収容し、保管、輸送に適した収納箱としての形態と、用便を行うためのトイレとしての形態とに変更でき、且つ、トイレとしての形態で使用する際に、座り心地良く使用できるものが存在しなかった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、紙製の簡易トイレにおいて、内部に物資を収容し、保管、輸送に適した収納箱としての形態と、用便を行うためのトイレとしての形態とに変更でき、且つ、トイレとしての形態で使用する際に、座り心地を良くすることが可能で、しかも、座り心地の良い状態を安定的に維持可能な収納箱兼用簡易トイレ及び収納箱兼用簡易トイレセットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明による収納箱兼用簡易トイレは、収納箱とトイレとに使用形態を変更可能な段ボール紙製の収納箱兼用簡易トイレであって、前後左右の外側板により形成された四角筒形の胴部と、該胴部の下側開口を塞ぐ底部と、前記前後左右の外側板に夫々連設され、該前後左右の外側板との境界線上に前記胴部の内側へ折り曲げ可能な第1の折り目が形成された前後左右の天板とを備えた箱本体部と、前記箱本体部とは別体に準備された1組の段ボール紙製の便座用パーツとを有し、前記収納箱としての形態は、前記箱本体部における前記前後左右の天板を前記第1の折り目で前記胴部の内側に折り曲げて該胴部の上側開口を塞ぐことによって形成され、前記トイレとしての形態は、上部が開口した箱状に形成された台座部と、該台座部の上に装着された、開口を有する便座部とで形成され、前記台座部は、前記箱本体部における前記胴部と前記底部と前記前後左右の天板とが用いられ、前記左右の天板と前記左右の外側板の上側の一部が、夫々中央部で2つに切り離され、該中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ該端部よりも該中央部の幅が厚くなるように、夫々前記胴部の内側に折り込まれ、前記前後の天板が夫々前記胴部の内側に折り込まれて、少なくとも両側の辺縁部を介して該胴部の内側に折り込まれた前記左右の天板を固定するように構成され、前記便座部は、前記便座用パーツが用いられ、該各便座用パーツはU字形状に形成された便座本体部と該便座本体部の両側端に形成された挿し込み部を有し、前記便座本体部が前記台座部の上に載置され、前記挿し込み部を前記左右の外側板に形成された挿し込み穴に挿し込むように構成されたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の収納箱兼用簡易トイレにおいては、前記左右の天板は、中央部を縦断する仮想線上に、2つに切り離し可能な第1のミシン目が形成され、前記左右の外側板は、上側の一部における中央部を縦断する仮想線上に、前記第1のミシン目に続く第2のミシン目が形成されるとともに、該第2のミシン目の終端と該左右の外側板の上側角部近傍とを結ぶ仮想線上に、前記胴部の内側へ折り曲げ可能な第2の折り目が形成され、前記前後の天板は、前記前後の外側板との境界線の近傍であって該境界線と平行な仮想線上に、前記胴部の内側へ折り曲げ可能な第3の折り目が形成されているのが好ましい。
【0013】
また、本発明の収納箱兼用簡易トイレにおいては、前記左右の天板は、該左右の天板と前記左右の外側板の上側の一部が中央部で2つに切り離され、該中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ該端部よりも該中央部の幅が厚くなるように、夫々前記胴部の内側に折り込まれた状態において、該左右の天板の夫々における両端部が、前記左右の外側板と前記前後の外側板との境界線に沿って折り曲げ可能な第4の折り目が形成され、前記トイレとしての形態において、前記胴部の内側へ折り込まれた前記前後の天板が、さらに、前記左右の外側板と前記前後の外側板との境界線に沿って折り曲げられた前記左右の天板の夫々における両端部の面を、前記前後の外側板とで挟むのが好ましい。
【0014】
また、本発明による収納箱兼用簡易トイレセットは、上記本発明のいずれかの収納箱兼用簡易トイレの収納箱としての形態において、内部にトイレ関連用品を収納してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙製の簡易トイレにおいて、内部に物資を収容し、保管、輸送に適した収納箱としての形態と、用便を行うためのトイレとしての形態とに変更でき、且つ、トイレとしての形態で使用する際に、座り心地を良くすることが可能で、しかも、座り心地の良い状態を安定的に維持可能な収納箱兼用簡易トイレ及び収納箱兼用簡易トイレセットが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明の収納箱兼用簡易トイレは、収納箱とトイレとに使用形態を変更可能な段ボール紙製の収納箱兼用簡易トイレであって、収納箱としての形態は、前後左右の外側板により形成された四角筒形の胴部と、胴部の下側開口を塞ぐ底部と、前後左右の外側板に夫々連設され、前後左右の外側板との境界線上に胴部の内側へ折り曲げ可能な第1の折り目が形成された前後左右の天板とを備えた箱本体部と、箱本体部とは別体に準備された1組の段ボール紙製の便座用パーツとを有し、収納箱としての形態は、箱本体部における前後左右の天板を第1の折り目で胴部の内側に折り曲げて胴部の上側開口を塞ぐことによって形成され、トイレとしての形態は、上部が開口した箱状に形成された台座部と、台座部の上に装着された、開口を有する便座部とで形成され、台座部は、収納箱としての形態における胴部と底部と前後左右の天板とが用いられ、左右の天板と左右の外側板の上側の一部が、夫々中央部で2つに切り離され、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込まれ、前後の天板が夫々胴部の内側に折り込まれて、少なくとも両側の辺縁部を介して胴部の内側に折り込まれた左右の天板を固定するように構成され、便座部は、便座用パーツが用いられ、各便座用パーツはU字形状に形成された便座本体部と便座本体部の両側端に形成された挿し込み部を有し、便座本体部が台座部の上に載置され、挿し込み部を左右の外側板に形成された挿し込み穴に挿し込むように構成されている。
【0018】
本発明の収納箱兼用簡易トイレのように構成すれば、左右の天板と左右の外側板の上側の一部を切り離さず、左右の天板と左右の外側板を第1の折り目に沿って折り込んで胴部の上部開口を塞ぐことによって、内部に物資を収納でき、輸送、積み重ねが可能な収納箱としての形態を形成でき、また、左右の天板と左右の外側板の上側の一部を中央部で2つに切り離し、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込むことで、便座用パーツを装着したときに、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部を形成したトイレ形態を形成できる。
また、本発明の収納箱兼用簡易トイレのように、前後の天板が夫々胴部の内側に折り込まれて、少なくとも両側の辺縁部を介して胴部の内側に折り込まれた左右の天板を固定するように構成すれば、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部を形成するように、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込んだときの状態が安定する。
その結果、紙製の簡易トイレにおいて、内部に物資を収容し、保管、輸送に適した収納箱としての形態と、用便を行うためのトイレとしての形態とに変更でき、且つ、トイレとしての形態で使用する際に、座り心地を良くすることが可能で、しかも、座り心地の良い状態を安定的に維持可能となる。
【0019】
また、本発明の収納箱兼用簡易トイレにおいては、好ましくは、左右の天板は、中央部を縦断する仮想線上に、2つに切り離し可能な第1のミシン目が形成され、左右の外側板は、上側の一部における中央部を縦断する仮想線上に、第1のミシン目に続く第2のミシン目が形成されるとともに、第2のミシン目の終端と左右の外側板の上側角部近傍とを結ぶ仮想線上に、胴部の内側へ折り曲げ可能な第2の折り目が形成され、前後の天板は、前後の外側板との境界線の近傍であって境界線と平行な仮想線上に、胴部の内側へ折り曲げ可能な第3の折り目が形成されている。
左右の天板に、中央部を縦断する仮想線上に、2つに切り離し可能な第1のミシン目を形成し、左右の外側板に、上側の一部における中央部を縦断する仮想線上に、第1のミシン目に続く第2のミシン目を形成するとともに、第2のミシン目の終端と左右の外側板の上側角部近傍とを結ぶ仮想線上に、胴部の内側へ折り曲げ可能な第2の折り目を形成すれば、左右の天板と左右の外側板の上側の一部を、夫々中央部で2つに切り離し、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に、第1の折り目と第2の折り目とで2段階に折り込むことを具現化できる。
また、前後の天板に、前後の外側板との境界線の近傍であって境界線と平行な仮想線上に、胴部の内側へ折り曲げ可能な第3の折り目を形成すれば、前後の天板を、夫々胴部の内側に、第1の折り目と第3の折り目とで2段階に折り込んで、台座部における便座パーツを載置する面を確保できるとともに、少なくとも両側の辺縁部を介して、胴部の内側に折り込まれた左右の天板を固定することを具現化できる。
【0020】
また、本発明の収納箱兼用簡易トイレにおいては、好ましくは、左右の天板は、左右の天板と左右の外側板の上側の一部が中央部で2つに切り離され、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込まれた状態において、左右の天板の夫々における両端部が、左右の外側板と前後の外側板との境界線に沿って折り曲げ可能な第4の折り目が形成され、トイレとしての形態において、胴部の内側へ折り込まれた前後の天板が、さらに、左右の外側板と前後の外側板との境界線に沿って折り曲げられた左右の天板の夫々における両端部の面を、前後の外側板とで挟むように構成する。
左右の天板に、左右の天板と左右の外側板の上側の一部が中央部で2つに切り離し、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込んだ状態において、左右の天板の夫々における両端部が、左右の外側板と前後の外側板との境界線に沿って折り曲げ可能な第4の折り目を形成すれば、左右の天板を胴部の内側へ折り込んだときに、第4の折り目で左右の外側板と前後の外側板との境界線に沿って折り曲げることで、左右の天板の端部の前後の天板との干渉を回避でき、左右の天板を胴部の内側へ折り込み易くなるとともに、胴部の内側へ折り込まれた前後の天板が、左右の外側板と前後の外側板との境界線に沿って折り曲げられた左右の天板の夫々における両端部の面を、前後の外側板とで挟むことで、左右の天板の夫々における両端部の面が前後の天板で保持され、前後の天板の両側の辺縁部によって胴部の内側に折り込まれた左右の天板が固定されるのと相俟って、より一層、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部を形成するように、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込んだ状態を安定させることができる。
【0021】
また、本発明の収納箱兼用簡易トイレセットは、上記本発明のいずれかの収納箱兼用簡易トイレの収納箱としての形態において、内部にトイレ関連用品を収納する。
このようにすれば、保管、輸送を行うための収納箱としての形態から、トイレとしての形態に変更して使用する際に、例えば、トイレの便座内の開口部に装着するための排泄物収納袋、排泄物を固化する薬剤、消臭剤、トイレットペーバー等、簡易トイレとともに使用することが必要となる物資を、別途、探すことなく、収納箱の内部から取り出して、すぐに使用することができる。
なお、本発明の収納箱簡易トイレにおいては、収納箱としての形態において、上記のようなトイレ間連用品に限らず、非常時において使用が求められる、保存食料、飲料水、電灯、ラジオ等の物資を収納しても勿論よい。
更には、日常一般の物資の収納に使用する段ボールを、本発明の収納箱簡易トイレとして構成してもよい。このようにすれば、非常時であるか否かにかかわらず、随時、容易に簡易トイレを得ることが可能となり、災害時に使用することが求められる簡易トイレを、意識することなく備蓄することができるようになる。
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる収納箱兼用簡易トイレにおけるトイレ形態の外観を概略的に示す斜視図である。
図2は第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレにおける収納箱形態の外観を概略的に示す斜視図である。
図3は第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレにおける箱本体部の展開図である。
図4は第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレにおける便座部を構成する便座パーツの展開図である。
図5は第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレにおける収納箱形態からトイレ形態へ形態を変更する手順を示す説明図である。
図6は第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレの台座部における胴部の内側に折り込んだ左右の天板を、前後の天板を胴部の内側に折り込んで固定した状態を、左右の天板を正面にして示す斜視図である。
図7は第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレの台座部における胴部の内側に折り込んだ左右の天板を、前後の天板を胴部の内側に折り込んで固定した状態を、上方から示す斜視図である。
【0023】
第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレ1は、
図1に示すトイレと
図2に示す収納箱とに使用形態を変更可能な段ボール紙製の収納箱兼用簡易トイレであり、箱本体部10と、箱本体部10とは別体に準備された便座用パーツ21とを有して構成されている。
箱本体部10は、
図3に示す前後左右の外側板11F,11B,11L,11Rを折り曲げることにより形成された四角筒形の胴部11と、胴部11の下側開口を塞ぐ底部12と、前後左右の外側板11F,11B,11L,11Rに夫々連設され、前後左右の外側板との境界線上に胴部の内側へ折り曲げ可能な第1の折り目F1F,F1B,F1L,F1Rが形成された前後左右の天板13F,13B,13L,13Rとを備えて構成されている。なお、第1実施形態では、底部12は、
図3に示す前後左右の底板12F,12B,12L,12Rを胴部11の内側に折り曲げることによって形成されている。なお、
図3中、11Xは、四角筒形の胴部11を形成する際に、図示しない接着剤等を介して後側の外側板11Rに接合させるための、右側の外側板13Rに連設する接合部である。
【0024】
左右の外側板11,11Rには、上側の一部における中央部を縦断する仮想線上に、後述する第1のミシン目M1L,M1Rに続く第2のミシン目M2L,M2Rが形成されるとともに、第2のミシン目M2L,M2Rの終端と左右の外側板11L,11Rの上側角部近傍とを結ぶ仮想線上に、胴部11の内側へ折り曲げ可能な第2の折り目F2LF,F2LB,F2RF,F2RBが形成されている。
また、左右の外側板11L,11Rには、後述する便座用パーツ21の挿し込み部21bを挿し込み可能な挿し込み穴HLF,HLB,HRF,HRBが形成されている。
前後の天板13F,13Bには、前後の外側板11F,11Bとの境界線の近傍であって境界線と平行な仮想線上に、胴部11の内側へ折り曲げ可能な第3の折り目F3F,F3Bが形成されている。
左右の天板13L,13Rには、中央部を縦断する仮想線上に、2つに切り離し可能な第1のミシン目M1L,M1Rが形成されている。
また、左右の天板13L,13Rには、左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部が中央部で2つに切り離され、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部11の内側に折り込まれた状態において、左右の天板13L,13Rの夫々における両端部が、左右の外側板11L,11Rと前後の外側板11F,11Bとの境界線に沿って折り曲げ可能な第4の折り目F4LF,F4LB,F4RF,F4RBが形成されている。
【0025】
各便座用パーツ21は、
図4に示すように、U字形状に形成された便座本体部21aと、便座本体部21aの両側端に形成された挿し込み部21bを有している。
図4中、21cは、便座本体部21aの側部である。便座本体部21aと側部21cとの境界上には、側部21cを紙面の奥側へ折り曲げ可能な折り目(符号省略)が、また、側部21cと挿し込み部21bとの境界線上には、挿し込み部21bを紙面の奥側へ折り曲げ可能な折り目(符号省略)が、夫々形成されている。
【0026】
そして、第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレでは、収納箱としての形態は、
図2に示すように、箱本体部10における前後左右の天板13F,13B,13L,13Rを第1の折り目F1F,F1B,F1L,F1Rに沿って胴部11の内側へ折り曲げて胴部11の上側開口を塞ぐことによって形成されるように構成されている。なお、収納箱の内部には、物資とともに、好ましくは、一組の便座用パーツ21を収納する。収納箱の内部に一組の便座用パーツ21を収納しておけば、トイレとしての形態を形成する場合に、別途、便座用パーツを準備する手間が省ける。
【0027】
また、トイレとしての形態は、
図1に示すように、上部が開口した箱状に形成された台座部15と、台座部15の上に装着された、開口を有する便座部20とを備えて形成されるように構成されている。
台座部15は、
図2に示す箱本体部10における胴部11と、底部12と、前後左右の天板13F,13B,13L,13Rとが用いられている。
そして、トイレとしての形態では、
図3に示す左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部が、夫々中央部で2つに切り離され、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部11の内側に折り込まれ、前後の天板13F,13Bが夫々胴部11の内側に折り込まれて、両側の辺縁部13F
E,13B
Eを介して胴部11の内側に折り込まれた左右の天板13L,13Rの表面に圧接するとともに、左右の外側板11L,11Rと前後の外側板11F,11Bとの境界線に沿って折り曲げられた左右の天板13L,13Rの夫々における両端部の面を、前後の外側板11F,11Bとで挟むことにより、左右の天板13L,13Rを固定するように構成されている。
【0028】
便座部20は、
図4に示した便座用パーツ21で構成されている。そして、便座用パーツ21の便座本体部21aを台座部15の上に載置し、挿し込み部21bを左右の外側板11L,11Rに形成された挿し込み穴HLF,HLB,HRF,HRBに挿し込むことで、台座部15の上に装着されるように構成されている。
【0029】
このように構成された第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレの使用形態を、
図5を用いて説明する。
まず、収納箱として使用する場合は、胴部11の内部に物資を収納し、前後左右の天板13F,13B,13L,13Rを夫々第1の折り目に沿って胴部11の内側に折り曲げて、胴部11の上部開口を塞ぐ。これにより、物資の輸送、積み重ね、保管が可能となる。
図5(a)はそのときの状態を示している。
【0030】
また、トイレとして使用する場合は、まず、
図5(a)に示した収納箱の前後左右の天板13F,13B,13L,13Rを開き、胴部11の内部に収納された物資を取り出した後、
図5(b)に示すように、左右の天板13L,13Rと左右の外側板11F,11Rの上側の一部を、夫々中央部に形成された第1のミシン目M1L,M1R、第2のミシン目M2L,M2Rに沿って2つに切り離す。
次に、
図5(c)に示すように、左右の外側板11,11Rにおける2つに切り離された上側の一部を第2の折り目F2LF,F2LB,F2RF,F2RBに沿って胴部11の内側へ折り曲げるとともに、左右の天板13L,13Rを第1の折り目F1L,F1Rに沿って胴部11の内側へ折り曲げる。これにより、2つに切り離された左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部が中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、便座本体部21aを載置する面を形成して、夫々胴部11の内側に折り込まれる。
また、胴部11の内側へ折り込む際に、左右の天板13L,13Rの夫々における両端部を、第4の折り目F4LF,F4LB,F4RF,F4RBに沿って折り曲げる。
次に、前後の天板13F,13Bを、第3の折り目F3F,F3Bに沿って胴部11の内側へ折り曲げるとともに、第1の折り目F1F,F1Bに沿って胴部11の内側へ折り曲げる。これにより、前後の天板13F,13Bは、胴部11の内側に折り込まれ、両側の辺縁部13F
E,13B
Eを介して、胴部11の内側に折り込まれた左右の天板13L,13Rの表面に圧接するとともに、左右の外側板11L,11Rと前後の外側板11F,11Bとの境界線に沿って折り曲げられた左右の天板13L,13Rの夫々における両端部の面を、前後の外側板11F,11Bとで挟み、左右の天板13L,13Rを固定する。
これにより、トイレの台座部15が完成する。
図6、
図7は完成した台座部を示している。
【0031】
次に、
図4に示した便座用パーツ21の側部21cを、折り目に沿って紙面の奥側へ折り曲げ、
図5(d)に示すように、便座本体部15aを台座部15の上面に載置し、挿し込み部21bを左右の外側板11L,11Rに形成された挿し込み穴HLF,HLB,HRF,HRBに挿し込み、台座部15の上に装着する。
これにより、
図5(e)に示すように、トイレの形態が完成する。
なお、実際のトイレ使用時には、
図5(e)に示すトイレの形態に形成した本実施形態の簡易トイレに、さらに、例えば、吸水性物質等を入れた排泄物収納袋(不図示)を便座部20の開口部から内部に入れるとともに、袋の開口端近傍を折り返して便座部20を覆うようにするのが好ましい。
【0032】
なお、簡易トイレとしての役目を果たし終えた後は、上記の排泄物収納袋の開口を縛る。次いで、便座パーツ21を台座部15から取り外すとともに、排泄物収納袋を台座部15から一旦取り出す。次いで、胴部11の内側へ折り込まれていた前後の天板13F,13B、左右の天板13LF,13LB,13RF,13RB及び左右の外側板11L,11Rにおける上側の一部を拡げ、
図5(b)に示した状態に復帰させる。次いで、排泄物収納袋を便座パーツ21とともに胴部11の内部に収納し、箱本体部10における前後左右の天板13F,13B,13L,13Rを第1の折り目F1F,F1B,F1L,F1Rに沿って胴部11の内側へ折り曲げて胴部11の上側開口を塞ぐ。これにより、使用済みの汚物を、外部を汚染することなく、保管、収納した状態で、汚物処理施設まで運搬できる。
【0033】
本実施形態の収納箱兼用簡易トイレによれば、左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部を切り離さず、左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rを第1の折り目F1L,F1Rに沿って折り込んで胴部11の上部開口を塞ぐことによって、内部に物資を収納でき、輸送、積み重ねが可能な収納箱としての形態を形成でき、また、左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部を中央部で2つに切り離し、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部11の内側に折り込むことで、便座用パーツ21を装着したときに、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部20を形成したトイレ形態を形成できる。
また、本実施形態の収納箱兼用簡易トイレによれば、前後の天板13F,13Bを夫々胴部11の内側に折り込んで、両側の辺縁部13F
E,13B
Eを介して胴部11の内側に折り込まれた左右の天板13L,13Rを固定するように構成したので、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部20を形成するように、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部11の内側に折り込んだ状態が安定する。
この点について、さらに詳述する。左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部を中央部で2つに切り離し、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部11の内側に折り込んだとき、左右の天板13L,13Rは、
図7に示すように、左右の外側板11L,11Rに対し、端部から中央部に向かうにしたがって左右の外側板11L,11Rから離れる向きに傾斜し、左右の天板13L,13Rの間隔は、左右の天板13L,13Rと左右の外側板11L,11Rの上側の一部を切り離さずに、左右の天板13L,13Rを第1の折り目F1L,F1Rに沿って胴部11の内側に折りこんだ場合に比べて狭められる。そして、左右の天板13L,13Rの間隔が狭められた状態で、前後の天板13F,13Bを夫々胴部11の内側に折り込むと、両側の辺縁部13F
E,13B
Eが、左右の天板13L,13Rをより強い力で圧接するようになる。その結果、左右の天板13L,13Rが強く固定され、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部20を形成するように、胴部11の内側に折り込んだ状態が安定する。
しかも、本実施形態の収納箱兼用簡易トイレによれば、左右の天板13L,13Rの夫々における両端部に、左右の外側板11L,11Rと前後の外側板11F,11Bとの境界線に沿って折り曲げ可能な第4の折り目F4LF,F4LB,F4RF,F4RBを形成したので、左右の天板13L,13Rを胴部11の内側へ折り込んだときに、第4の折り目F4LF,F4LB,F4RF,F4RBで左右の外側板11L,11Rと前後の外側板11F,11Bとの境界線に沿って折り曲げることで、左右の天板13L,13Rの夫々における両端部の前後の天板13F,13Bとの干渉を回避でき、左右の天板13L,13Rを胴部11の内側へ折り込み易くなるとともに、胴部11の内側へ折り込まれた前後の天板13F,13Bが、左右の外側板11L,11Rと前後の外側板11F,11Bとの境界線に沿って折り曲げられた左右の天板13L,13Rの夫々における両端部の面を、前後の外側板11F,11Bとで挟むことで、左右の天板13L,13Rの夫々における両端部の面が前後の天板13F,13Bで保持される。このため、前後の天板13F,13Bの両側の辺縁部13F
E,13B
Eによって胴部11の内側に折り込まれた左右の天板13L,13Rが固定されるのと相俟って、より一層、着座部位が深く凹んだ、座り心地のよい便座部20を形成するように、中央部よりも端部が高くなるように傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように、夫々胴部の内側に折り込んだ状態を安定させることができる。
その結果、本実施形態の収納箱兼用簡易トイレによれば、内部に物資を収容し、保管、輸送に適した収納箱としての形態と、用便を行うためのトイレとしての形態とに変更でき、且つ、トイレとしての形態で使用する際に、座り心地を良くすることが可能で、しかも、座り心地の良い状態を安定的に維持可能となる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の収納箱兼用簡易トイレは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態の収納箱兼用簡易トイレでは、1組の便座パーツ21を夫々別体に形成したが、便座パーツ21における本体部21aのU字形状の先端同士を折り曲げ可能な折り目を備えて一体的に形成してもよい。
【0035】
また、例えば、便座パーツ21における本体部21aのU字形状の先端部の幅が細くなるように形成してもよい。このようにすれば、便座パーツ21の挿し込み部21bを、左右の外側板13L,13Rに形成された挿し込み穴HLF,HLB,HRF,HRBに挿し込んで、便座パーツ21を台座部15に装着するとき、便座パーツ21の台座部15における密着度が向上し、台座部15への便座パーツの装着強度が向上する。
【課題】物資の収容、保管、輸送に適した収納箱とトイレとに形態変更でき、トイレ使用の際に座り心地良い状態を安定的に維持可能な紙製収納箱兼用簡易トイレ及びそのセットの提供。
【解決手段】胴部11F、11Rと底部と前後左右の板とを備えた箱本体部と、箱本体部とは別体の便座用パーツ21とを有し、トイレ形態は、台座部15と、その上に装着された便座部20とで形成され、台座部は、左右の天板と左右の外側板の上側の一部が、中央部で2つに切り離され、中央部よりも端部が高くなる傾斜が付き且つ端部よりも中央部の幅が厚くなるように胴部の内側に折り込まれ、前後の天板が胴部の内側に折り込まれて、両側の辺縁部を介して左右の天板を固定し、便座部は、便座用パーツの便座本体部21aが台座部の上に載置され、挿し込み部21bを左右の外側板に形成された挿し込み穴HRF,HRBに挿し込むように構成されている。