(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示す構成図である。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ11、装置本体12、表示部21、装置本体12に接続され操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体12に取り込むための入力装置22を有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、後述するインターフェース部20を介して接続されてもよい。なお、超音波診断装置1は、図示していない位置検出部を有していてもよい。
【0012】
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子と、整合層と、複数の圧電振動子の背面側に設けられるバッキング材とを有する。複数の圧電振動子は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子である。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、後述する走査部13における超音波送信ユニット131から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。超音波プローブ11を介して被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波(以下、送信超音波と呼ぶ)は、被検体内の生体組織における音響インピーダンスの不連続面で反射される。圧電振動子は、反射された超音波を受信し、エコー信号を発生する。エコー信号の振幅は、超音波の反射に関する不連続面を境界とする音響インピーダンスの差に依存する。また、送信超音波が移動している血流、および心臓壁等の表面で反射された場合のエコー信号の周波数は、ドプラ効果により、移動体(血流および心臓壁の表面)の超音波送信方向の速度成分に依存して偏移する。
【0013】
以下、超音波プローブ11は、1次元アレイにより2次元走査するプローブとして説明する。なお、超音波プローブ11は、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブであってもよい。また、超音波プローブ11は、メカニカル4次元プローブに限定されず、2次元アレイプローブであってもよい。
【0014】
整合層は、被検体Pに対する超音波の送受信を効率よくするために、複数の圧電振動子の超音波放射面側に設けられる。バッキング材は、圧電振動子の後方への超音波の伝搬を防止する。
【0015】
なお、超音波プローブ11は、所定位置を基準とした超音波プローブ11の位置情報を取得する位置センサを有していてもよい。所定位置とは、例えば、超音波診断装置1の装置本体12の位置である。なお、所定位置は、後述する入力装置22を介した操作者の指示により、適宜調整可能である。例えば入力装置22から入力を受けたときの超音波プローブ11の位置を所定位置として定義してもよい。なお、所定位置は、被検体の体表面に初めに当接される位置であってもよい。
【0016】
位置検出部は、位置センサから出力されたプローブ位置情報を用いて、所定位置を基準とした超音波プローブ11の位置と、超音波プローブ11の向きとを検出する。具体的には、位置検出部は、所定位置を基準とした絶対座標系上に超音波プローブ11の位置と向きを決定する。以下、絶対座標系上における超音波プローブ11の位置と向きとを総称して、プローブ座標と呼ぶ。位置検出部は、プローブ座標を後述する画像生成ユニット143などに出力する。
【0017】
装置本体12は、走査部13と、断層像データ発生部14と、縦横比計算部15と、レイアウト選択部16と、シネメモリ17と、画像合成部18と、記憶部19と、インターフェース部20と、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)23とを有する。
【0018】
図2は、走査部13の構成の一例を示す図である。走査部13は、超音波送信ユニット131と超音波受信ユニット132とを有する。超音波送信ユニット131は、後述するCPU23による制御のもとで、超音波プローブ11における複数の圧電振動子各々に駆動信号を供給する。
【0019】
具体的には、超音波送信ユニット131は、パルス発生器131Aと送信遅延回路131Bと、パルサ回路131Cとを有する。パルス発生器131Aは、所定のレート周波数frHz(周期:1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。発生されたレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路131Bに送られる。送信遅延回路131Bは、複数のチャンネルごとに、送信超音波をビーム状に収束し、かつ送信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、送信遅延時間と呼ぶ)を、各レートパルスに与える。送信超音波の送信方向または送信遅延時間(以下、送信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶部19に記憶される。記憶部19に記憶された送信遅延パターンは、後述するCPU23により超音波の送信時に参照される。パルサ回路131Cは、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11の振動子ごとに電圧パルス(駆動信号)を印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。
【0020】
超音波受信ユニット132は、プリアンプ132A、図示していないアナログディジタル(Analog to digital(以下、A/Dと呼ぶ))変換器、受信遅延回路132B、加算器132Cを有する。プリアンプ132Aは、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体Pからのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された受信エコー信号をディジタル信号に変換する。受信遅延回路132Bは、ディジタル信号に変換された受信エコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、受信遅延時間と呼ぶ)を与える。エコー信号の受信方向または受信遅延時間(以下、受信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶部19に記憶される。記憶部19に記憶された受信遅延パターンは、後述するCPU23により超音波の受信時に参照される。加算器132Cは、遅延時間が与えられた複数のエコー信号を加算する。この加算により、超音波受信ユニット132は、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号(RF(radiofrequency)信号ともいう)を発生する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される。この総合的な指向性により、超音波ビーム(いわゆる「超音波走査線」)が決まる。
【0021】
図3は、断層像データ発生部14の構成の一例を示す図である。断層像データ発生部14は、Bモード処理ユニット141と、ドプラ処理ユニット142と、画像生成ユニット143とを有する。断層像データ発生部14は、断層像データを発生する。断層像データとは、後述するローデータおよび後述する超音波画像のデータである。
【0022】
Bモード処理ユニット141は、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。包絡線検波器は、走査部13から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモード処理ユニット141は、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線および各超音波送受信における深さごとの信号値(Bモードデータ)を発生する。
【0023】
なお、超音波プローブ11がメカニカル4次元プローブである場合や2次元アレイプローブである場合、Bモード処理ユニット141は、被走査領域におけるアジマス(Azimuth)方向、エレベーション(Elevation)方向、深さ方向(以下レンジ(Range)方向と呼ぶ)にそれぞれ対応付けて配列された複数の信号値からなる3次元Bモードデータを発生してもよい。レンジ方向とは、走査線上の深さ方向である。アジマス方向とは例えば、1次元超音波振動子の配列方向に沿った電子走査方向である。エレベーション方向とは、1次元超音波振動子の機械的揺動方向である。なお、3次元Bモードデータは、複数の画素値または複数の輝度値などを、走査線に沿って、アジマス方向、エレベーション方向、レンジ方向にそれぞれ対応付けて配列させたデータであってもよい。また、3次元Bモードデータは、被走査領域において予め設定された関心領域(Region Of Interest:以下ROIと呼ぶ)に関するデータであってもよい。また、Bモード処理ユニット141は、3次元Bモードデータの代わりにボリュームデータを発生してもよい。以下、Bモード処理ユニット141で発生されるデータをまとめて、Bモードデータ呼ぶ。
【0024】
ドプラ処理ユニット142は、図示していないミキサー、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:以下LPFと呼ぶ)、速度/分散/Power演算デバイス等を有する。ミキサーは、走査部13から出力された受信信号に、送信周波数と同じ周波数f
0を有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数f
dの成分の信号と(2f
0+f
d)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f
0+f
d)の信号を取り除く。ドプラ処理ユニット142は、高い周波数成分(2f
0+f
d)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数f
dの成分を有するドプラ信号を発生する。
【0025】
なお、ドプラ処理ユニット142は、ドプラ信号を発生するために、直交検波方式を用いてもよい。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。ドプラ処理ユニット142は、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数f
dの成分を有するドプラ信号を発生する。ドプラ信号は、例えば、血流、組織、造影剤によるエコー成分である。
【0026】
速度/分散/Power演算デバイスは、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、自己相関演算器等を有する。MTIフィルタは、発生されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。自己相関演算器は、MTIフィルタによって血流情報のみが抽出されたドプラ信号に対して、自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等を算出する。速度/分散/Power演算デバイスは、複数のドプラ信号に基づく血流の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等に基づいて、カラードプラデータを発生する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。
【0027】
また、ドプラデータとBモードデータとをまとめてローデータ(Raw Data)と呼ぶ。なお、ローデータは、エコー信号のうち、送信超音波の高調波成分によるBモードデータ、および被検体内の生体組織に関する弾性データであってもよい。Bモード処理ユニット141およびドプラ処理ユニット142は、発生したローデータを画像生成ユニット143に出力する。なお、Bモード処理ユニット141およびドプラ処理ユニット142は、発生したローデータを後述する縦横比計算部15に出力してもよい。また、Bモード処理ユニット141およびドプラ処理ユニット142は、発生したローデータを後述するシネメモリ17に出力することも可能である。
【0028】
画像生成ユニット143は、図示していないディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下DSCと呼ぶ)を有する。画像生成ユニット143は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、ローデータからなる超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換することである。画像生成ユニット143は、座標変換処理に続けて補間処理を、DSCに対して実行する。補間処理とは、隣り合う走査線信号列におけるローデータを用いて、走査線信号列間にデータを補間する処理である。
【0029】
画像生成ユニット143は、ローデータに対して座標変換処理と補間処理とを実行することにより、表示画像としての超音波画像を生成する。なお、画像生成ユニット143は、生成した超音波画像に対応するデータ(以下、画像データと呼ぶ)を記憶する画像メモリを有していてもよい。画像生成ユニット143は、画像データを後述する縦横比計算部15および画像合成部18に出力する。以下、Bモードデータを用いて発生された超音波画像をBモード画像と呼ぶ。また、ドプラデータを用いて発生された超音波画像をドプラ画像と呼ぶ。以下の説明において、Bモード画像およびドプラ画像をまとめて断層像と呼ぶ。
【0030】
なお、画像生成ユニット143は、図示していない位置検出部から出力されたプローブ座標から決まる被検体の断面の位置情報を、発生された超音波画像に付帯させてもよい。予め他の医用画像装置で発生しておいたボリュームデータを後述する記憶部19に記憶させておくことで、画像生成ユニット143は、このボリュームデータと被検体の断面の位置情報とから、生成された超音波画像の断面位置に対応する医用画像を生成してもよい。
【0031】
縦横比計算部15は、後述する表示部21で表示されている超音波画像の表示枠のサイズを取得する。具体的には、縦横比計算部15は、例えば、2画像並列表示を実行する指示が入力装置22を介して操作者により入力されると、表示されている超音波画像の表示枠の縦の長さと横の長さとを取得する。2画像並列表示を実行する指示とは、例えば、2つの医用画像を並列させて表示する画像並列表示モードの入力ボタンの操作である。なお、画像並列表示モードは、2画像に限定されない。画像並列表示モードは、任意の枚数で、画像を並列させることが可能である。なお、入力装置22を介して入力される情報は、2画像並列表示を指示する情報の代わりに、同時に並列表示される画像の枚数(以下、同時表示枚数と呼ぶ)であってもよい。また、同時表示枚数は、2枚に限定されない。以下、説明を簡単にするために、入力装置22を介して入力される同時表示枚数は、2枚であるものとする。なお、縦横比計算部15は、画像生成ユニット143で生成された超音波画像の表示枠のサイズを取得してもよい。また、縦横比計算部15は、超音波画像に替えて画像生成ユニット143が生成する医用画像の表示サイズを取得してもよい。なお、上記医用画像は、後述するレイアウトの設定において、用いられてもよい。
【0032】
縦横比計算部15は、表示サイズの横の長さに対する表示サイズの縦の長さの比(以下、縦横比と呼ぶ)を計算する。なお、縦横比計算部15は、縦の長さの比に対する横の長さの比を計算してもよい。縦横比計算部15は、計算した縦横比を後述するレイアウト設定部16に出力する。なお、縦横比計算部15は、縦横比として、超音波画像の表示枠のサイズにおける縦方向の画素数と横方向の画素数とを取得してもよい。このとき、縦横比計算部15は、縦横比として、横方向の画素数に対する縦方向の画素数の比を計算する。超音波画像が拡大表示されている場合、縦横比計算部15は、拡大表示されている超音波画像の表示領域に対して、縦横比を計算する。
【0033】
レイアウト設定部16は、図示していないメモリに、同時表示枚数に対応する閾値(以下、同時表示閾値と呼ぶ)を記憶する。レイアウト設定部16は、同時表示枚数が入力装置22を介して入力されると、同時表示枚数に対応した同時表示閾値を、メモリから読み出す。レイアウト設定部16は、縦横比と同時表示閾値とを比較する。なお、同時表示閾値は、後述する記憶部19に記憶されてもよい。
【0034】
例えば、レイアウト設定部16は、縦横比が同時表示閾値以上である場合、記憶部19に予め記憶された複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。複数の表示レイアウトとは、例えば、左右並列に並べたn画像の表示(nは2以上の整数)、上下並列に並べたm画像の表示レイアウト(mは2以上の整数)などである。特定の表示レイアウトとは、例えば、左右並列2画像を表示する表示レイアウト(以下、左右並列レイアウトと呼ぶ)である。レイアウト設定部16は、設定した左右並列レイアウトを記憶部19から画像合成部18に出力させる指示を、後述するCPU23に出力する。
【0035】
また、レイアウト設定部16は、縦横比が同時表示閾値未満である場合、予め記憶部19に記憶された複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを設定する。特定の表示レイアウトとは、例えば、上下並列2画像を表示する表示レイアウト(以下、上下並列レイアウトと呼ぶ)である。レイアウト設定部16は、設定した上下並列レイアウトを記憶部19から画像合成部18に出力させる指示を、後述するCPU23に出力する。
【0036】
なお、上記説明は、縦横比が横の長さに対する縦の長さの比である場合の説明である。縦横比として、縦の長さに対する横の長さの比を用いた場合、上記説明は以下のようになる。
【0037】
レイアウト設定部16は、縦横比が同時表示閾値以上である場合、複数の表示レイアウトから上下並列レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。レイアウト設定部16は、設定した上下並列レイアウトを記憶部19から画像合成部18に出力させる指示を、後述するCPU23に出力する。レイアウト設定部16は、縦横比が同時表示閾値未満である場合、記憶部19に記憶された複数の表示レイアウトから左右並列レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。レイアウト設定部16は、設定した左右並列レイアウトを記憶部19から画像合成部18に出力させる指示を、後述するCPU23に出力する。
【0038】
なお、レイアウト設定部16は、断層像のサイズと断層像の同時表示枚数とに基づいて、特定の表示レイアウトを設定することも可能である。断層像のサイズとは、例えば、断層像の表示枠の縦の長さと横の長さとである。具体的には、レイアウト設定部16は、縦の長さと横の長さとのうち短い方の長さを特定する。レイアウト設定部16は、短い方の長さの方向(縦または横)に関して、入力された同時表示枚数に亘って複数の断層像を並列表示させる表示レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。
【0039】
なお、レイアウト選択部16は、予め記憶された複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを選択する動作に替えて、縦横比と同時表示枚数の情報に基づき特定の表示レイアウトを都度計算して生成する動作を行っても構わない。
【0040】
また、レイアウト設定部16は、断層像における方位角または画像幅と、断層像の視野深度と、同時表示枚数とに基づいて、特定の表示レイアウトを設定することも可能である。まず、断層像における方位角と、断層像の視野深度と、同時表示枚数とに基づいて、特定の表示レイアウトを設定することについて説明する。レイアウト設定部16は、断層像が扇形の形状を有するBモード画像である場合、断層像の視野深度と方位角とを走査部13から取得する。レイアウト設定部16は、視野深度が大きく方位角が小さい場合、左右並列レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。また、レイアウト設定部16は、視野深度が小さく方位角が大きい場合、上下並列レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。
【0041】
次に、断層像における画像幅と、断層像の視野深度と、同時表示枚数とに基づいて、特定の表示レイアウトを設定することについて説明する。画像幅とは、例えば超音波プローブ11が振動子を1次元に直線的に配列させたリニアプローブである場合、断層像の幅に相当する。レイアウト設定部16は、断層像の視野深度と画像幅とを走査部13から取得する。レイアウト設定部16は、視野深度が大きく画像幅が小さい場合、左右並列レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。また、レイアウト設定部16は、視野深度が小さく画像幅が大きい場合、上下並列レイアウトを、複数の断層像を表示させるためのレイアウトとして設定する。
【0042】
シネメモリ17は、例えばフリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリに記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0043】
画像合成部18は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報および目盛等を合成する。画像合成部18は、合成された超音波画像を表示部21に出力する。画像合成部18は、記憶部19から出力された特定の表示レイアウトに従って、縦横比の計算に用いられた超音波画像と、画像生成ユニット143で生成された超音波画像とを並列表示した並列画像を発生する。例えば、縦横比の計算に用いられた超音波画像は、リアルタイムで表示または更新されている超音波画像のうち、入力装置22を介してフリーズ操作された時の超音波画像である。画像生成ユニット143で生成された超音波画像とは、例えば、リアルタイムで表示または更新されている超音波画像である。なお、画像合成部18は、記憶部19から出力された特定の表示レイアウトに従って、縦横比の計算に用いられた超音波画像(リアルタイムで更新されている超音波画像)とシネメモリ17に記憶された画像とを並列表示した並列画像を発生してもよい。この時、シネメモリに記憶された画像は、シネ表示(ループ再生)される。
【0044】
なお、並列画像における2種の超音波画像は、モードの異なる超音波画像であってもよい。例えば、縦横比の計算に用いられた超音波画像は、入力装置22を介してフリーズ操作されたときのBモード画像であって、画像生成ユニット143で生成された画像は、ドプラ画像であってもよい。画像合成部18は、発生した並列画像を、後述する表示部21に出力する。
【0045】
なお、画像合成部18は、特定の表示レイアウトに従って、縦横比の計算に用いられた超音波画像と被検体に関する複数の医用画像のうち操作者により選択された医用画像とを並列表示した並列画像を発生してもよい。医用画像とは、例えば、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置などの他の医用画像診断装置により発生された被検体の過去の医用画像である。なお、画像合成部18は、記憶部19から出力された特定の表示レイアウトに従って、縦横比の計算に用いられた超音波画像と、縦横比の計算に用いられた超音波画像の断面位置に対応する医用画像とを並列表示した並列画像を発生してもよい。生成された超音波画像と同じ断面の医用画像は、後述するインターフェース部20を介して、他の医用画像診断装置、または医用画像保管通信システム(Picture Archiving and Communication System:以下、PACSと呼ぶ)からダウンロードされてもよい。
【0046】
記憶部19は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターンおよび複数の送信遅延パターン、本超音波診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、断層像データ発生部14で発生されたローデータおよび超音波画像、縦横比の計算に関するアルゴリズム、複数の表示レイアウト、他の医用画像診断装置により発生された被検体に関する複数の医用画像およびボリュームデータ、生成された超音波画像の断面位置に対応する被検体の過去の複数の医用画像、記憶されたボリュームデータと被検体断面の位置情報とを用いて生成された超音波画像の断面位置に対応する医用画像を発生するアルゴリズム、同時表示閾値などを記憶する。
【0047】
インターフェース部20は、入力装置22、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。装置本体12によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、インターフェース部20とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。なお、インターフェース部20は、ネットワークを介して、図示していない他の医用画像診断装置で取得された被検体に関する医用画像を、ダウンロードすることも可能である。
【0048】
表示部21は、画像合成部18の出力に基づいて、Bモード画像およびドプラ画像などの超音波画像、または並列画像などを表示する。なお、表示部21は、表示された画像に対して、ブライトネス、コントラスト、ダイナミックレンジ、γ補正などの調整および、カラーマップの割り当てを実行してもよい。
【0049】
入力装置22は、インターフェース部20に接続され操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体12に取り込む。入力装置22は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を後述するCPU23に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチコマンドスクリーンでもよい。この場合、入力装置22は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU23に出力する。また、操作者が入力装置22の終了ボタンまたはフリーズボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、装置本体12は一時停止状態となる。
【0050】
入力装置22は、所定位置の調整、画像並列表示モードの指示、同時表示枚数などを、装置本体12に入力する。入力デバイスは、例えば、画像並列表示モードを入力するための釦を有する。
【0051】
CPU23は、操作者により入力装置22を介して入力されたBモードとドプラモードとの選択、フレームレート、被走査深度、送信開始・終了に基づいて、記憶部19に記憶された送信遅延パターン、受信遅延パターンと装置制御プログラムとを読み出し、これらに従って装置本体12および超音波プローブ11を制御する。例えば、CPU23は、記憶部19から読み出した縦横比の計算に関するアルゴリズムに従って、縦横比計算部15を制御する。CPU23は、レイアウト選択部16により複数の表示レイアウトから選択された特定の表示レイアウトを、記憶部19から読み出す。CPU23は、読み出した特定の表示レイアウトを、画像合成部18に出力する。
【0052】
(画像並列表示機能)
画像並列表示機能とは、同時表示枚数に対応する同時表示閾値と超音波画像の縦横比とに基づいて複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを選択し、選択された特定の表示レイアウトに従って、縦横比の計算に用いられた超音波画像と選択された医用画像とを並列表示させる機能である。以下、画像並列表示機能に関する処理(以下、画像並列表示処理と呼ぶ)を説明する。
【0053】
図4は、画像並列表示処理の手順を示すフローチャートである。
被検体Pに超音波が送信され、被検体の断層の超音波画像(以下、断層像と呼ぶ)が発生される(ステップSa1)。発生された断層像が表示部21に表示される。入力装置22を介して、操作者により画像並列表示モードおよび同時表示枚数が入力される(ステップSa2)。この時、同時表示される医用画像が入力装置22を介して選択されてもよい。表示された断層像の表示枠の縦横比が計算される(ステップSa3)。計算された縦横比と入力された同時表示枚数と同時表示閾値とに基づいて、複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトが設定される(ステップSa4)。設定された特定の表示レイアウトに従って、表示された断層像と選択された医用画像とが、表示部21に表示される(ステップSa5)。
【0054】
図5は、ステップSa5の処理において、特定の表示レイアウト(上下並列レイアウト)で表示部21に表示された2枚の断層像の一例を示す図である。
図5の上下並列レイアウトにおいて、上段の超音波画像は、リアルタイムで更新される画像を示している。
図5の上下並列レイアウトにおいて、下段の超音波画像は、フリーズ操作された時の超音波画像を示している。
【0055】
(変形例)
第1の実施形態との相違は、表示部21で表示された超音波画像が入力装置22を介して拡大表示された場合、拡大表示された超音波画像の表示枠のサイズを用いて、縦横比を計算することにある。
【0056】
入力装置22は、表示部21に表示されたひとつの断層像を拡大表示するための指示(ZOOM:以下、拡大表示指示と呼ぶ)を入力する。なお、入力装置22は、拡大表示指示に加えて、表示部21に表示されたひとつの断層像の表示領域を移動する指示(PAN:以下、表示領域移動指示と呼ぶ)を入力してもよい。
【0057】
表示部21は、拡大表示指示の入力を契機として、表示された断層像を拡大表示する。表示部21は、表示領域移動指示の入力を契機として、表示された断層像の表示領域を移動させる。
【0058】
縦横比計算部15は、拡大表示された断層像(以下、拡大表示画像と呼ぶ)が表示部21で表示されている場合であって、2画像並列表示を実行する指示が入力装置22を介して入力されると、拡大表示画像の表示枠のサイズを取得する。なお、縦横比計算部15は、表示領域を移動させた断層像(以下、表示領域移動画像と呼ぶ)が表示されている場合であって、2画像並列表示を実行する指示が入力装置22を介して入力されると、表示領域移動画像の表示サイズを取得してもよい。以下、説明を簡単にするために、拡大表示画像に対して縦横比計算部15が実行する処理について説明する。
【0059】
具体的には、縦横比計算部15は、表示部21で表示されている拡大表示画像の表示枠の縦の長さと横の長さとを取得する。縦横比計算部15は、取得した横の長さと縦の長さとを用いて縦横比を計算する。縦横比計算部15は、計算した縦横比を後述するレイアウト選択部16に出力する。
【0060】
(画像並列表示機能)
第1の実施形態における画像並列表示機能との差異は、
図4のフローチャートにおいて、ステップSa1の処理とステップSa2の処理との間に、以下の処理が挿入されることと、ステップSa3の処理が、以下のように変更されることにある。
【0061】
ステップSa1の処理とステップSa2の処理との間に挿入される処理は、入力装置22を介して、断層像を拡大表示させる処理である。
【0062】
ステップSa3の処理は、拡大表示された断層像の表示枠の縦横比が計算される処理に変更される。
【0063】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、表示されている断層像の表示枠の縦横比と同時表示枚数とに基づいて、複数の表示レイアウトから並列表示に最適な特定の表示レイアウトを設定し、設定された特定の表示レイアウトに従って、複数の断層像を表示することができる。これにより、画像並列表示モードを操作者が選択すれば、操作者は追加の細かな指示を入力する必要がなくなり、操作性が大幅に向上する。加えて、操作者の指示により拡大された断層像の表示領域を維持したままで、複数の断層像を表示することができる。
【0064】
本超音波診断装置1によれば、画像並列表示モードにおけるプリセットを変更することなしに、画像並列表示の最適な表示レイアウトを選択することができる。このため、様々な部位を観察する整形外科およびリウマチ科において、超音波診断による検査効率が向上する。加えて、本超音波診断装置1によれば、操作者によるボタン操作等が少ないため、超音波診断装置1の操作に熟練していない操作者であっても、熟練者と同様な画像並列表示を実行することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
第1の実施形態との相違は、断層像データ発生部14で発生された画像データまたはローデータに基づいて、表示部21で表示される断層像の一部を表示領域として決定し、決定された表示領域の縦横比と同時表示枚数とに基づいて、複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを設定し、設定された特定の表示レイアウトに従って、決定された表示領域で断層像を表示することにある。
【0066】
図6は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。
表示領域決定部24は、断層像データ発生部14から出力された断層像の画像データに基づいて、断層像の表示領域を決定する。
例えば、表示領域決定部24は、生成された断層像における複数の画素値各々を第1の閾値と比較する。表示領域決定部24は、第1の閾値より小さい画素値を有する複数の画素を特定する。表示領域決定部24は、断層像の縦方向に平行に並ぶ複数の画素からなる複数の列(以下、複数の画素列と呼ぶ)ごとに、特定された画素が断層像の下端から連続して続く長さ(または画素数)を特定する。表示領域決定部24は、複数の画素列にそれぞれ対応する複数の長さのうち最も短い長さを断層像の縦方向の長さから差分する。表示領域決定部24は、断層像の上端から差分した長さの位置を、断層像の表示領域の下端として決定する。表示領域決定部24は、断層像の左右端を表示領域の左右端とし、断層像の上端を表示領域の上端として決定する。
【0067】
表示領域決定部24は、断層像のうち表示領域に含まれる複数の画素を、断層表示像として、シネメモリ17、記憶部19、表示部21に出力する。表示領域決定部24は、断層像のうち表示領域に含まれない画素を削除する。なお、表示領域決定部24は、断層像の表示領域に含まれない画素を、非表示領域として、記憶部19に記憶させてもよい。この時、表示領域決定部24は、断層表示像と非表示領域とを結合させることにより、元の断層像を発生させることも可能である。
【0068】
また、表示領域決定部24は、画素値の代わりに輝度値、または色相に関する値を用いてもよい。このとき、表示領域決定部24は、第1の閾値とは異なる第2の閾値を用いる。なお、表示領域決定部24は、走査線上のローデータと上記第1、第2の閾値とは異なる第3の閾値とを比較することにより、画像並列表示モードで表示される断層像のローデータに対する表示領域を決定することも可能である。
【0069】
なお、表示領域決定部24は、断層像の横軸に平行に並ぶ複数の画素からなる複数の行(以下、複数の画素行と呼ぶ)ごとに、特定された画素が断層像の左端から連続して続く長さ(または画素数)を特定する。表示領域決定部24は、複数の画素行にそれぞれ対応する複数の長さのうち最も短い長さを断層像の横軸の長さから差分する。表示領域決定部24は、断層像の左端から差分した長さの位置を、断層像の表示領域の左端として決定してもよい。
【0070】
また、表示領域決定部24は、複数の画素行ごとに、特定された画素が断層像の右端から連続して続く長さ(または画素数)を特定する。表示領域決定部24は、複数の画素行にそれぞれ対応する複数の長さのうち最も短い長さを断層像の横軸の長さから差分する。表示領域決定部24は、断層像の右端から差分した長さの位置を、断層像の表示領域の右端として決定してもよい。
【0071】
縦横比計算部15は、表示領域決定部24で決定された断層像の表示領域のサイズを取得する。縦横比計算部15は、表示領域の横の長さに対する表示領域の縦の長さの比(縦横比)を計算する。
【0072】
記憶部19は、第1乃至第3の閾値のうち、表示領域を決定する方法に応じた閾値を記憶する。
【0073】
(画像並列表示機能)
画像並列表示機能とは、発生された断層像データまたはローデータに基づいて、表示部21で表示される断層像の一部を表示領域として決定し、決定された表示領域の縦横比と同時表示枚数とに基づいて、複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを設定し、設定された特定の表示レイアウトに従って、決定された表示領域で断層像を表示する機能である。以下、画像並列表示機能に係る処理について説明する。
【0074】
図7は、第2の実施形態に係り、発生された断層像のデータに基づいて、断層像の一部を表示領域として決定し、決定された表示領域の縦横比と、画像の同時表示枚数とに基づいて、複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを選択する手順を示すフローチャートである。
【0075】
被検体Pに超音波が送信され、断層像のデータが発生される(ステップSb1)。発生された断層像のデータに基づいて、断層像の一部が表示領域として決定される(ステップSb2)。入力装置22を介して、操作者により画像並列表示モードおよび同時表示枚数が入力される(ステップSb3)。この時、同時表示される医用画像が入力装置22を介して選択されてもよい。決定された表示領域のサイズを用いて、表示領域の縦横比が計算される(ステップSb4)。表示領域の縦横比と入力された同時表示枚数と同時表示閾値とに基づいて、複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトが設定される(ステップSb5)。設定された特定の表示レイアウトに従って、断層像と選択された医用画像とが、表示部21に表示される(ステップSb6)。
【0076】
(変形例)
第2の実施形態との相違は、予め記憶部19に記憶されたノイズ画像に対する断層像データ発生部14で発生された超音波画像の比(Signal to Noise ratio:以下、S/N比と呼ぶ)を、画素ごとに計算し、計算されたS/N比と第4の閾値とを用いて表示領域を決定することにある。
【0077】
記憶部19は、ノイズ画像を記憶する。ノイズ画像とは、超音波を被検体に送信せずに、受信処理のみを実行することによって発生される画像である。なお、ノイズ画像は、正規乱数を用いることにより作成されたホワイトノイズに関する画像であってもよい。記憶部19は、第4の閾値を記憶する。第4の閾値は、後述する表示領域決定部24で断層像の表示領域を決定するために用いられる。なお、ノイズ画像は、インターフェース部20を介して、ネットワークを経由して接続されたPACSなどから、読み込まれてもよい。読み込まれたノイズ画像は、記憶部19に記憶される。
【0078】
表示領域決定部24は、記憶部19に記憶されたノイズ画像を読み出す。表示領域決定部24は、読み出されたノイズ画像に対する超音波画像のS/N比を、画素ごとに計算する。具体的には、表示領域決定部24は、同一座標を有する画素ごとに、ノイズ画像の画素値に対する超音波画像の画素値の比を計算する。表示領域決定部24は、画素ごとに、S/N比を第4の閾値と比較する。表示領域決定部24は、超音波画像において、第4の閾値より小さいS/N比に関する複数の画素を特定する。以降の処理は、第2の実施形態と同一なため説明を省略する。
【0079】
なお、表示領域決定部24は、超音波画像の画素値の代わりに、表示部21に表示された超音波画像の輝度値を用いることも可能である。この時、表示領域決定部24は、ノイズ画像の画素値の代わりに、表示部21に表示されたノイズ画像の輝度値を用いる。また、表示領域決定部24は、超音波画像の画素値の代わりに、超音波画像のローデータを用いることも可能である。また、表示領域決定部24は、画素ごとにS/N比を比較する代わりに、例えば3画素×3画素などのブロックごとにS/N比の比較を行ってもよい。比較の対象となるS/N比の値は例えばブロック中心のS/N比の値であってもよいし、ブロック内の各画素のS/N比の平均値であってもよい。
【0080】
(画像並列表示機能)
第2の実施形態における表示並列表示機能との相違は、断層像データまたはローデータとのノイズ画像のデータとに基づいて画素ごとにS/N比を計算し、S/N比と第4の閾値とを用いて表示領域を決定することにある。
【0081】
第2の実施形態における画像並列表示機能との差異は、
図7のフローチャートにおいて、ステップSb2の処理の詳細が以下のように変更されることにある。ステップSb2の処理は、断層像のデータとノイズ画像のデータとに基づいて、断層像の表示領域を決定する処理に変更される。
【0082】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、断層像データ発生部14で発生された画像データまたはローデータに基づいて、表示部21で表示される断層像の表示領域を決定し、決定された表示領域の縦横比と同時表示枚数とに基づいて、複数の表示レイアウトから特定の表示レイアウトを選択することができる。これにより、診断に有用な信号が表示されていない領域を除外することができ、表示画面を有効に使用することができる。加えて、操作者が超音波画像の表示領域を指定および調整する必要がないため、画像並列表示モードに対する操作性が向上する。さらに、操作者にとって、最も比較がしやすい超音波画像の大きさと表示レイアウトで、例えば、2画像並列表示を提供することができる。
【0083】
加えて、本超音波診断装置1によれば、ノイズ画像を用いて超音波画像の画素ごとにS/N比を計算し、計算されたS/N比と閾値を用いて、表示領域を決定することができる。これにより、超音波診断装置ごとのノイズ特性に左右されずに、超音波診断装置ごとのノイズ特性を考慮した定量的な表示領域の決定が可能となる。以上のことから、本超音波診断装置1によれば、操作者の操作を介さずに超音波画像の表示範囲を決定でき、かつ操作者にとって最適な画像並列表示を提供することができる。
【0084】
以上のことから、画像並列表示モードにおいて、操作者の細かな操作を要求することがないため、画像並列表示モードにおける操作性が向上し、かつ操作者にとって最適な表示レイアウトを提供することができる。さらに、画像並列表示モードに用いられる複数の画像を縮小することなく、かつ視野幅を削ることもないため、操作者が所望する領域を、表示画面上に表示することができる。また、操作者が所望する超音波画像の表示領域が検査の状況に合わせて大きく変わることに対応して、操作者の指示なしに表示領域を変更することが可能となる。
【0085】
また、第1の実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置25で実現する場合には、例えば
図1の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。この時、画像並列表示機能に関する処理については、第1の実施形態における
図4のステップSa1における「被検体に超音波を送信し、断層像のデータを発生」という処理は、「記憶部に記憶された断層像のデータを読み出し」という処理に変更される。また、第2の実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置26で実現する場合には、例えば
図6の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。この時、画像並列表示機能に関する処理については、第2の実施形態における
図7のステップSb1における「被検体に超音波を送信し、断層像のデータを発生」という処理は、「記憶部に記憶された断層像のデータを読み出し」という処理に変更される。また、医用画像処理装置において、超音波診断装置から出力された断層像のデータなどを読み込んで、上記処理を実行することも可能である。
【0086】
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。