(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の前処理は、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正のいずれか、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1から
図3を参照して、第1実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。
【0010】
<装置構成>
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを含んで構成されている。
【0011】
[架台装置]
架台装置10は、被検体EをX線でスキャンして検出データを収集する装置である。架台装置10は、X線発生部11と、X線検出部12と、回転体13と、高電圧発生部14と、架台駆動部15と、X線絞り部16と、絞り駆動部17と、データ収集部18と、架台側記憶部19とを有する。
【0012】
X線発生部11は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成されている。発生したX線は被検体Eに対して曝射される。X線検出部12は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成されている。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データ(以下、「検出データ」という場合がある)をX線検出素子で検出し、その検出データを電流信号として出力する。X線検出部12は、たとえば、検出素子が互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)にそれぞれ複数配置された2次元のX線検出器(面検出器)が用いられる。複数のX線検出素子は、たとえば、スライス方向に沿って320列設けられている。このように多列のX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元の撮影領域を撮影することができる(ボリュームスキャン)。なお、スライス方向は被検体Eの体軸方向に相当し、チャンネル方向はX線発生部11の回転方向に相当する。
【0013】
回転体13は、X線発生部11とX線検出部12とを被検体Eを挟んで対向するよう支持する部材である。回転体13は、スライス方向に貫通した開口部13aを有する。架台装置10内において、回転体13は、被検体Eを中心とした円軌道で回転するよう配置されている。
【0014】
高電圧発生部14は、X線発生部11に対して高電圧を印加する。X線発生部11は、当該高電圧に基づいてX線を発生させる。架台駆動部15は、回転体13を回転駆動させる。X線絞り部16は、所定幅のスリット(開口)を有し、スリットの幅を変えることで、X線発生部11から曝射されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。絞り駆動部17は、X線発生部11で発生したX線が所定の形状となるようX線絞り部16を駆動させる。
【0015】
データ収集部18(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部12(各X線検出素子)からの検出データを収集する。また、データ収集部18は、収集した検出データ(電流信号)をアナログの電圧信号に変換し、この電圧信号をデジタル信号に変換する。そして、データ収集部18は、デジタル信号に変換された検出データを架台側記憶部19に送信する。
【0016】
架台側記憶部19は、RAMやROM等の半導体記憶装置によって構成される。架台側記憶部19は、架台装置10に設けられ、データ収集部18から送信された検出データを記憶する。架台側記憶部19は、少なくとも1回の再構成処理に用いる投影データに対応する検出データを記憶することが可能な容量を有する。
【0017】
[寝台装置]
寝台装置30は、撮影対象の被検体Eを載置・移動させる装置である。寝台装置30は、寝台31と寝台駆動部32とを備えている。寝台31は、被検体Eを載置するための寝台天板33と、寝台天板33を支持する基台34とを備えている。寝台天板33は、寝台駆動部32によって被検体Eの体軸方向及び体軸方向に直交する方向に移動することが可能となっている。すなわち、寝台駆動部32は、被検体Eが載置された寝台天板33を、回転体13の開口部13aに対して挿抜させることができる。基台34は、寝台駆動部32によって寝台天板33を上下方向(被検体Eの体軸方向と直交する方向)に移動させることが可能となっている。
【0018】
[コンソール装置]
コンソール装置40は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10と通信可能に接続され、架台装置10によって収集された検出データから被検体Eの内部形態を表す画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する機能等を有している。コンソール装置40は、処理部41と、監視部42と、制御部43と、スキャン制御部44と、表示制御部45と、表示部46と、入力部47とを含んで構成されている。
【0019】
処理部41は、架台装置10(架台側記憶部19)から送信された検出データに対して所定の処理を行う。処理部41は、前処理部41aと、コンソール側記憶部41bと、再構成処理部41cとを含んで構成されている。
【0020】
前処理部41aは、検出データに対して所定の前処理を行い、投影データを作成する。具体的には、前処理部41aは、架台装置10(X線検出部12)で検出された検出データに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等のいずれか、又はそれらの組み合わせによる前処理を行うことで投影データを作成する。前処理部41aは、投影データをコンソール側記憶部41bに送信する。
【0021】
コンソール側記憶部41bは、RAMやROM等の半導体記憶装置によって構成される。コンソール側記憶部41bは、前処理部41aから送信された投影データを記憶する。また、コンソール側記憶部41bは、再構成処理部41cで再構成処理された画像データを記憶する。
【0022】
再構成処理部41cは、前処理部41aで作成された投影データ(コンソール側記憶部41bに記憶された投影データ)に対して再構成処理を行い、画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を作成する。たとえば、再構成処理部41cは、制御部43の制御に基づき、コンソール側記憶部41bから投影データを読み出して再構成処理を行う。断層画像データの再構成には、たとえば、2次元フーリエ変換法、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を採用することができる。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補間処理することにより作成される。ボリュームデータの再構成には、たとえば、コーンビーム再構成法、マルチスライス再構成法、拡大再構成法等、任意の方法を採用することができる。上述のように多列のX線検出器を用いたボリュームスキャンにより、広範囲のボリュームデータを再構成することができる。
【0023】
監視部42は、架台側記憶部19における検出データの記憶量、及び処理部41の動作を監視する。本実施形態において、監視部42は、処理部41の動作として再構成処理部41cの動作を監視する。
【0024】
「検出データの記憶量」とは、架台側記憶部19に書き込まれた(書き込まれる)検出データの量である。たとえば、監視部42は、架台側記憶部19の容量をモニタリングすることにより記憶量の監視を行う。
【0025】
「処理部41の動作」とは、処理部41が行う各種処理(前処理、再構成処理等)である。処理部41がデータ(検出データ、投影データ)を処理している場合、監視部42は、「処理部41が動作している」と判断する。一方、処理部41がデータを処理していない場合(待機状態になっている場合)、監視部42は、「処理部41は動作していない」と判断する。
【0026】
制御部43は、架台装置10、寝台装置30およびコンソール装置40の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。たとえば、制御部43は、スキャン制御部44を制御することで、架台装置10に対して予備スキャン及びメインスキャンを実行させ、検出データを収集させる。また、制御部43は、表示制御部45を制御することで、コンソール側記憶部41bに記憶された画像データ等に基づき、CT画像を表示部46に表示させる。
【0027】
本実施形態における制御部43は、監視部42が、架台側記憶部19の記憶量が所定量になり、且つ処理部41の動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。本実施形態において、制御部43は、監視部42が、架台側記憶部19の記憶量が所定量になり、且つ再構成処理部41cの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40(前処理部41a)へ所定量の検出データを送信させる。
【0028】
「所定量」とは、架台側記憶部19に記憶される検出データに対して予め設定されたデータ量である。1枚の断層画像データを作成するために必要な検出データのデータ量や1つのボリュームデータを作成するために必要な検出データのデータ量は、所定量の一例である。これらのデータ量は、X線CT装置1の構成やスキャンモード等により予め予測することが可能である。監視部42は、架台側記憶部19に記憶される検出データが予め設定されたデータ量に達した場合に、記憶量が所定量になったと判断する。
【0029】
また、「所定の区切り」とは、処理部41の動作の単位である。区切りは、予め設定することが可能である。たとえば、再構成処理部41cが1枚の画像データを作成するために行う再構成処理を1つの区切りとすることができる。監視部42は、再構成処理部41cが1枚の画像データの作成が完了したかどうかを監視する。具体例として、320列のX線検出素子を用いて被検体Eに対して1回転のスキャンを行った場合について述べる。この場合、1列目のX線検出素子で検出された検出データに基づく画像データI
1を作成するための再構成処理R
1から320列目のX線検出素子で検出された検出データに基づく画像データI
320を作成する再構成処理R
320まで320の区切りがあることになる。監視部42は、各再構成処理が完了する都度、所定の区切りがついたと判断する。
【0030】
図2A及び
図2Bは、再構成処理R
k(k=1〜n。kは、再構成処理の区切りを示す。nは、検出データのデータ量によって決まる値)と架台側記憶部19からコンソール装置40への検出データの送信(検出データの書き込み)とのタイミングを示す図である。横軸は時間Tを示す。たとえば、再構成処理R
1の途中(時間t´)でコンソール装置40へ検出データの書き込みWがなされると、再構成処理部41cは、再構成処理R
1を一旦止めなければならない。そして、再構成処理部41cは、検出データの書き込みWが終わった後、再構成処理R
1を再開する。つまり、処理の中断が生じる(
図2A参照)。一方、本実施形態において、制御部43は、再構成処理R
1と再構成処理R
2との間(時間t)に書き込みWを行うよう架台側記憶部19を制御する。つまり、本実施形態の構成によれば、処理(所定の区切りにおける処理)に中断が生じることはない(
図2B参照)。なお、検出データの書き込みWが完了した後、制御部43は、再構成処理部41cに対して再構成処理R
2を行わせる。再構成処理R
2の対象となる投影データは、たとえば、直前の書き込み(書き込みW)に基づく検出データに対応するデータである。
【0031】
スキャン制御部44は、X線スキャンに関する各種動作を制御する。たとえば、スキャン制御部44は、X線発生部11に対して高電圧を印加させるよう高電圧発生部14を制御する。スキャン制御部44は、回転体13を回転駆動させるよう架台駆動部15を制御する。スキャン制御部44は、X線絞り部16を動作させるよう絞り駆動部17を制御する。スキャン制御部44は、寝台31を移動させるよう寝台駆動部32を制御する。
【0032】
表示制御部45は、画像表示に関する各種制御を行う。たとえば、レンダリング処理部41dにより作成されたMPR画像を表示部46に表示させる制御を行う。
【0033】
表示部46は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。たとえば、表示部46の表示画面には、ボリュームデータをレンダリング処理して得られるMPR画像が表示される。
【0034】
入力部47は、コンソール装置40に対する各種操作を行う入力デバイスとして用いられる。入力部47は、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック等により構成される。また、入力部47として、表示部46に表示されたGUI(Graphical User Interface)を用いることも可能である。
【0035】
<動作>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、監視部42が処理部41の動作として再構成処理部41cの動作を監視する場合について述べる。
【0036】
X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S10)。
【0037】
X線検出部12で検出された検出データは、データ収集部18で収集される。データ収集部18は、収集した検出データを順次、架台側記憶部19に送信する。架台側記憶部19は、検出データを一旦記憶する(S11)。
【0038】
監視部42は、架台側記憶部19における検出データの記憶量を監視する(S12)。また、監視部42は、再構成処理部41cの動作を監視する(S13)。なお、S12及びS13は同時に行われることが望ましい。
【0039】
ここで、監視部42は、検出データの記憶量が所定量になり、且つ再構成処理部41cの動作に所定の区切りがついたと判断した場合(S14でYの場合)、判断結果を制御部43に送る。
【0040】
逆に、検出データの記憶量が所定量になっていない場合、或いは、再構成処理部41cの動作に所定の区切りがついていない場合には、監視部42は、架台側記憶部19及び再構成処理部41cの監視を継続する(S14でNの場合)。
【0041】
制御部43は、監視部42の判断結果に基づいて、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる(S15)。
【0042】
前処理部41aは、S15で送られた検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する。作成された投影データは、制御部43の制御に基づき、コンソール側記憶部41bに送られる。再構成処理部41cは、コンソール側記憶部41bに記憶された投影データを再構成処理することで画像データを作成する。
【0043】
なお、処理部41、監視部42、制御部43、スキャン制御部44及び表示制御部45は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの図示しない処理装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)や、又はHDD(Hard Disc Drive)などの図示しない記憶装置とによって構成されていてもよい。記憶装置には、処理部41の機能を実行するための処理プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、監視部42の機能を実行するための監視プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、制御部43の機能を実行するための制御プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、スキャン制御部44の機能を実行するためのスキャン制御プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、表示制御部45の機能を実行するための表示制御プログラムが記憶されている。CPUなどの処理装置が、記憶装置に記憶されている各プログラムを実行することで各部の機能を実行する。
【0044】
また、上記では、監視部42がコンソール装置40内に設けられた構成について説明を行ったが、監視部42の位置はこれに限られない。たとえば、監視部42は、架台装置10内に設けられていてもよい。或いは、監視部42は、架台装置10及びコンソール装置40それぞれに設けられていてもよい。その場合、架台側の監視部は、架台側記憶部19における検出データの記憶量を監視する。そして、記憶量が所定量になった場合、架台側の監視部は、制御部43に信号(検出データを送信することが可能である旨を示す信号)を送る。一方、コンソール側の監視部は、処理部41(たとえば、再構成処理部41c)の動作を監視する。そして、処理部41の動作に所定の区切りがついた場合、コンソール側の監視部は、制御部43に信号(検出データを受信することが可能である旨を示す信号)を送る。制御部43は、双方の監視部からの信号を受け取った場合に、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0045】
また、ここでは、再構成処理部41cの動作を監視する例について述べたが、これに限られない。たとえば、再構成処理部41cの動作を監視する代わりに、前処理部41aの動作を監視して、それが一区切りついた段階で検出データの送信を行う構成であってもよい。すなわち、監視部42は、処理部41の動作として前処理部41aの動作を監視する。制御部43は、監視部42が、架台側記憶部19の記憶量が所定量になり、且つ前処理部41aの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0046】
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0047】
本実施形態のX線CT装置1は、被検体EをX線でスキャンして検出データを収集する架台装置10と、架台装置10と通信可能に接続されるコンソール装置40とを含む。X線CT装置1は、架台側記憶部19と、処理部41と、監視部42と、制御部43とを有する。架台側記憶部19は、架台装置10に設けられ、検出データを記憶する。処理部41は、コンソール装置40に設けられ、検出データに対して所定の処理を行う。監視部42は、架台側記憶部19における検出データの記憶量、及び処理部41の動作を監視する。制御部43は、監視部42が、記憶量が所定量になり、且つ処理部41の動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0048】
具体的には、処理部41は、前処理部41aと、コンソール側記憶部41bと、再構成処理部41cとを有する。前処理部41aは、検出データに対して所定の前処理を行い、投影データを作成する。コンソール側記憶部41bは、投影データを記憶する。再構成処理部41cは、記憶された投影データに対して再構成処理を行い、画像データを作成する。監視部42は、処理部41の動作として再構成処理部41cの動作を監視する。制御部43は、監視部42が、記憶量が所定量になり、且つ再構成処理部41cの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0049】
このように、架台側記憶部19における記憶量が所定量になり、且つ処理部41(再構成処理部41c)の動作に所定の区切りがついたと判断した場合に、制御部43は、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。よって、処理部41(再構成処理部41c)の動作を中断させることがない。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1によれば、検出データを効率よく処理することができる。
【0050】
また、本実施形態のX線CT装置1における処理部41は、前処理部41aを有する。前処理部41aは、検出データに対して所定の前処理を行い、投影データを作成する。監視部42は、処理部41の動作として前処理部41aの動作を監視する。制御部43は、監視部42が、記憶量が所定量になり、且つ前処理部41aの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0051】
このように、前処理部41aの動作に所定の区切りがついた場合に所定量の検出データの送信を行うことで、前処理部41aの動作を中断させることがない。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1によれば、検出データを効率よく前処理することができる。また、検出データの全てが一度に前処理部41aに送られることがないため、前処理部41aの処理負担を軽減できる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、
図4から
図6を参照して、第2実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態においては、監視部42が、前処理部41a及び再構成処理部41c双方の動作を監視する場合について述べる。なお、第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する場合がある。
【0053】
[コンソール装置]
第1実施形態と同様、コンソール装置40は、処理部41と、監視部42と、制御部43と、スキャン制御部44と、表示制御部45と、表示部46と、入力部47とを含んで構成されている。
【0054】
監視部42は、第1実施形態と同様、架台側記憶部19における検出データの記憶量を監視する。また、監視部42は、処理部41の動作として前処理部41a及び再構成処理部41cの動作を監視する。
【0055】
制御部43は、監視部42が、架台側記憶部19の記憶量が所定量になり、且つ前処理部41a及び再構成処理部41cのそれぞれの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0056】
本実施形態における「所定の区切り」とは、前処理部41aの動作の単位、及び再構成処理部41cの動作の単位である。たとえば、多列のX線検出素子で検出された検出データのうち、1列の検出データに基づく投影データ(1枚の画像データに対応する)を作成するために前処理部41aが行う前処理を1つの区切りとすることができる。同様に、1枚の画像データを作成するために再構成処理部41cが行う再構成処理を1つの区切りとすることができる。監視部42は、前処理部41aが1列の投影データの作成が完了したか、及び再構成処理部41cが1枚の画像データの作成が完了したかどうかを監視する。
【0057】
図5Aから
図5Cは、前処理P
k(k=1〜n。kは、前処理の区切りを示す。nは、検出データのデータ量によって決まる値)及び再構成処理R
kと架台側記憶部19からコンソール装置40への検出データの送信(検出データの書き込み)とのタイミングを示す図である。横軸は時間Tを示す。たとえば、前処理P
3及び再構成処理R
1の途中(時間t´)で検出データの書き込みWがなされると、前処理部41a及び再構成処理部41cは、前処理P
3及び再構成処理R
1を一旦止めなければならない。そして、再構成処理部41cは、検出データの書き込みWが終わった後、前処理P
3及び再構成処理R
1を再開する。つまり、処理の中断が生じる(
図5A参照)。一方、本実施形態において、制御部43は、前処理P
2と前処理P
3との間且つ、再構成処理R
1が行われていない間(時間t)に書き込みWを行うよう架台側記憶部19を制御する。つまり、本実施形態によれば、前処理及び再構成処理(所定の区切りにおける処理)に中断が生じることはない(
図5B参照)。なお、検出データの書き込みWが完了した後、制御部43は、前処理部41a及び再構成処理部41cそれぞれに対して前処理P
3及び再構成処理R
1を行わせる。前処理P
2の対象となる検出データは、たとえば、直前の書き込み(書き込みW)によるデータである。また、再構成処理R
1の対象となる投影データは、たとえば、前処理P
2以前の書き込みに基づく検出データに対応するデータである。
【0058】
なお、コンソール装置40の処理性能を最大限に活用して各処理を行う場合には、前処理P
kのタイミングと再構成処理R
kのタイミングとをずらすことが望ましい。この場合であっても、制御部43は、たとえば、前処理P
2と前処理P
3との間且つ、再構成処理R
1が行われていない間(時間t
a及び時間t
bの少なくとも一方の時間)に書き込みWを行うよう架台側記憶部19を制御することができる。よって、前処理及び再構成処理(所定の区切りにおける処理)に中断が生じることはない(
図5C参照)。
【0059】
<動作>
次に、
図6を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、監視部42が処理部41の動作として前処理部41a及び再構成処理部41cの動作を監視する場合について述べる。
【0060】
X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S20)。
【0061】
X線検出部12で検出された検出データは、データ収集部18で収集される。データ収集部18は、収集した検出データを順次、架台側記憶部19に送信する。架台側記憶部19は、検出データを一旦記憶する(S21)。
【0062】
監視部42は、架台側記憶部19における検出データの記憶量を監視する(S22)。また、監視部42は、前処理部41aの動作を監視する(S23)。更に、監視部42は、再構成処理部41cの動作を監視する(S24)。なお、S22〜S24は同時に行われることが望ましい。
【0063】
ここで、監視部42は、検出データの記憶量が所定量になり、且つ前処理部41a及び再構成処理部41cのそれぞれの動作に所定の区切りがついたと判断した場合(S25でYの場合)、判断結果を制御部43に送る。
【0064】
逆に、検出データの記憶量が所定量になっていない場合、或いは、前処理部41a及び再構成処理部41cの少なくとも一方の動作に所定の区切りがついていない場合、監視部42は、架台側記憶部19、前処理部41a、及び再構成処理部41cの監視を継続する(S25でNの場合)。
【0065】
制御部43は、監視部42の判断結果に基づいて、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる(S26)。
【0066】
前処理部41aは、S26で送られた検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する。作成された投影データは、制御部43の制御に基づき、コンソール側記憶部41bに送られる。再構成処理部41cは、コンソール側記憶部41bに記憶された投影データを再構成処理することで画像データを作成する。
【0067】
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0068】
本実施形態のX線CT装置1における処理部41は、前処理部41aと、コンソール側記憶部41bと、再構成処理部41cとを有する。前処理部41aは、検出データに対して所定の前処理を行い、投影データを作成する。コンソール側記憶部41bは、投影データを記憶する。再構成処理部41cは、記憶された投影データに対して再構成処理を行い、画像データを作成する。監視部42は、処理部41の動作として前処理部41a及び再構成処理部41cの動作を監視する。制御部43は、監視部42が、記憶量が所定量になり、且つ前処理部41a及び再構成処理部41cのそれぞれの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。
【0069】
このように、架台側記憶部19における記憶量が所定量になり、且つ前処理部41a及び再構成処理部41cの動作に所定の区切りがついたと判断した場合に、制御部43は、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。よって、前処理部41a及び再構成処理部41cのそれぞれの動作を中断させることがない。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1によれば、検出データを効率よく処理することができる。
【0070】
(変形例1)
上記実施形態では、架台側記憶部19からコンソール装置40へ検出データを書き込む際に処理部41の動作が中断される場合について説明を行った。一方、コンソール側記憶部41bから再構成処理部41cへの投影データの書き込みにより、再構成処理が中断される可能性もある。
【0071】
そこで、本変形例における監視部42は、コンソール側記憶部41bの記憶量を監視する。そして、監視部42がコンソール側記憶部41bの記憶量が所定量になり、且つ再構成処理部41cの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、制御部43は、コンソール側記憶部41bから再構成処理部41cへ所定量の投影データを送信させる。
【0072】
更に、コンソール側記憶部41bから再構成処理部41cへの投影データの書き込みにより、前処理部41aでの前処理も中断される可能性がある。よって、監視部42がコンソール側記憶部41bの記憶量が所定量になり、且つ前処理部41a及び再構成処理部41cのそれぞれの動作に所定の区切りがついたと判断した場合、制御部43は、コンソール側記憶部41bから再構成処理部41cへ所定量の投影データを送信させることも可能である。
【0073】
このように、コンソール側記憶部41bから再構成処理部41cへの投影データの送信タイミングを制御することにより、再構成処理部41cに対する投影データの書き込みにより、前処理や再構成処理が中断されることがない。すなわち、本変形例のX線CT装置1によれば、投影データを効率よく再構成処理することができる(検出データを効率よく前処理することができる)。
【0074】
(変形例2)
架台側記憶部19の構成や検出データの収集頻度によっては、架台側記憶部19の最大の記憶容量を超えて検出データの書き込みが行われる可能性がある。この場合、記憶できない検出データは消失してしまう。従って、監視部42は、架台側記憶部19の記憶容量を超える場合(たとえば、複数回のスキャンを行う場合に、次のスキャンによる検出データを記憶できるだけの記憶容量が架台側記憶部19に無いと判断した場合)、その判断結果を制御部43に送信する。制御部43は、判断結果に基づいて、処理部41における処理の実行中であっても検出データをコンソール装置40に送信させる。このような構成を採用することで、本変形例に係るX線CT装置1は、収集した検出データが消失する可能性のある場合のみ、処理部41の動作を中断させる。よって、それ以外の場合、X線CT装置1は、検出データを効率よく処理することができる。
【0075】
<実施形態に共通の効果>
以上述べた少なくともひとつの実施形態のX線CT装置1によれば、架台側記憶部19における記憶量が所定量になり、且つ処理部41の動作に所定の区切りがついたと判断した場合に、制御部43は、架台側記憶部19からコンソール装置40へ所定量の検出データを送信させる。よって、実施形態のX線CT装置1は、処理部41の動作を中断させることがないため、検出データを効率よく処理することができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。