(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品が実装される基板の生産性を向上させるために、吸着ノズルの数を増やすことが考えられる。一方で、ロータリヘッドの小型化や軽量化も求められる。吸着ノズルの数を増やすと、ロータリヘッドの小型化が難しくなる。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、部品等を保持するための保持部を増やしながらも小型化を図ることができる実装ヘッドユニット、部品実装装置、基板の製造方法、及び回転駆動機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る実装ヘッドユニットは、本体部と、複数の保持部と、駆動機構とを具備する。
前記複数の保持部は、それぞれが長さ方向を有し、前記本体部に前記長さ方向と交わる方向で並ぶように回転可能にそれぞれ支持され、複数の部品を保持可能である。
前記駆動機構は、前記複数の保持部をそれぞれ回転させるために、隣り合う前記保持部で前記長さ方向における取付け位置が互いに異なるように、前記保持部ごとに取付けられる回転機構部を有する。
【0008】
この実装ヘッドユニットでは、複数の保持部をそれぞれ回転させるために、保持部ごとに回転機構部が取付けられる。回転機構部は、隣り合う保持部で長さ方向における取付け位置が互いに異なるように取付けられる。従って長さ方向と交わる方向で隣り合う保持部を十分に近づけながら、複数の保持部を本体部に設けることができる。この結果、本体部を大きくすることなく保持部の数を増やすことができる。すなわち部品等を保持するための保持部を増やしながらも実装ヘッドユニットの小型化を図ることができる。
【0009】
前記駆動機構は、前記複数の保持部に取付けられた複数の回転機構部のそれぞれを回転させる回転駆動部を有してもよい。
この実装ヘッドユニットでは、回転機構部が回転することで保持部が回転する。また複数の回転機構部のそれぞれを回転させる回転駆動部が設けられる。これにより、実装ヘッドユニットの小型化を図ることができる。
【0010】
前記複数の回転機構部は、複数のギアであってもよい。この場合、前記回転駆動部は、前記複数のギアのそれぞれと係合する駆動ギアであってもよい。
このように複数のギアのそれぞれを回転させる駆動ギアが設けられてもよい。これにより、実装ヘッドユニットの小型化を図ることができる。
【0011】
前記本体部は、回転軸を有する回転体であってもよい。この場合、前記複数の保持部は、前記回転体の外周部に支持されてもよい。また、前記駆動ギアは、前記複数の保持部に囲まれた領域に、前記回転軸と同軸で回転可能に配置されてもよい。
駆動ギアを回転体と同軸で回転可能なように配置することにより、実装ヘッドユニットの小型化を図ることができる。
【0012】
前記複数の保持部は、前記長さ方向が前記回転軸に対して斜めになるように支持されてもよい。また、前記実装ヘッドユニットは、さらに、前記複数の保持部のうち少なくとも1つの前記保持部の長さ方向が鉛直方向となるように、前記回転軸を前記鉛直方向に対して斜めに支持する支持体を具備してもよい。
回転軸が鉛直方向に対して斜めに支持されるので、上記した少なくとも1つの保持部が鉛直方向に配置されるとともに、他の保持部が鉛直方向に対して高い位置に配置される。高い位置に配置された保持部に対しては、部品の保持状態の確認等を容易に行うことが可能となる。
【0013】
前記複数の保持部は、前記部品を保持する端部と反対側の端部が、前記回転軸に近づくように前記回転体に斜めに支持されてもよい。この場合、前記複数のギアは、取付けられている前記保持部の長さ方向を軸としてそれぞれ回転してもよい。また、前記駆動ギアは、前記複数のギアのそれぞれと係合するために前記長さ方向と同じ方向で前記回転軸に対して斜めに配置されたテーパ係合面を有してもよい。
【0014】
前記複数のギアは、前記複数の保持部に対して、前記長さ方向における第1の取付け位置と、前記第1の取付け位置とは異なる第2の取付け位置とに、交互に取付けられてもよい。
このように複数のギアが第1及び第2の取付け位置にて交互に設けられてもよい。これにより複数の保持部に対する複数のギアの取付けが容易になる。また駆動機構の構成が複雑になるのを防ぐことができる。
【0015】
前記駆動ギアは、前記第1の取付け位置に配置されたギアと係合する第1の係合領域と、前記第2の取付け位置に配置されたギアと係合する第2の係合領域との間の中間点を歯幅の基準として前記テーパ係合面に形成された歯を有してもよい。
この実装ヘッドユニットでは、第1及び第2の係合領域の間の中間点を歯幅の基準として、テーパ係合面に歯が形成される。これにより、第1及び第2の取付け位置に交互に配置された複数のギアと駆動ギアとの係合状態を良好にすることができる。
【0016】
前記複数の保持部は、前記複数の部品を吸着可能な複数のノズルであってもよい。
【0017】
前記回転機構部は、モータであってもよい。
【0018】
本技術の一形態に係る部品実装装置は、支持ユニットと、本体部と、複数の保持部と、駆動機構とを具備する。
前記支持ユニットは、基板を支持する。
前記本体部は、前記支持ユニットに支持された前記基板上に移動可能である。
前記複数の保持部は、それぞれが長さ方向を有し、前記本体部に前記長さ方向と交わる方向で並ぶように回転可能にそれぞれ支持され、複数の部品を保持可能であり、当該保持した複数の部品を前記基板に実装することが可能である。
前記駆動機構は、前記複数の保持部をそれぞれ回転させるために、隣り合う前記保持部で前記長さ方向における取付け位置が互いに異なるように、前記保持部ごとに取付けられる回転機構部を有する。
【0019】
本技術の一形態に係る基板の製造方法は、基板を支持する支持ユニットと、前記基板に部品を実装する実装ヘッドユニットとを備えた部品実装装置による基板の製造方法である。
前記実装ヘッドユニットは、本体部と、複数の保持部と、駆動機構とを有する。
前記本体部は、前記支持ユニットに支持された前記基板上に移動可能である。
前記複数の保持部は、それぞれが長さ方向を有し、前記本体部に前記長さ方向と交わる方向で並ぶように回転可能にそれぞれ支持され、複数の部品を保持可能である。
前記駆動機構は、前記複数の保持部をそれぞれ回転させるために、隣り合う前記保持部で前記長さ方向における取付け位置が互いに異なるように、前記保持部ごとに取付けられる回転機構部を有する。
この基板の製造方法は、前記複数の保持部に複数の部品を保持させることを含む。
前記駆動機構の前記保持部ごとに取付けられた前記回転機構部により前記複数の保持部をそれぞれ回転させることで、前記複数の保持部に保持された前記複数の部品のそれぞれの向きが調整される。
前記本体部が前記基板上に移動されて、前記複数の保持部により前記複数の部品が前記基板に実装される。
【0020】
本技術の一形態に係る回転駆動機構は、本体部と、複数の部材と、駆動機構とを具備する。
前記複数の部材は、それぞれが長さ方向を有し、前記本体部に前記長さ方向と交わる方向で並ぶように回転可能にそれぞれ支持される。
前記駆動機構は、前記複数の部材をそれぞれ回転させるために、隣り合う前記部材で前記長さ方向における取付け位置が互いに異なるように、前記部材ごとに取付けられる回転機構部と、前記複数の部材に取付けられた複数の回転機構部のそれぞれを回転させるために、前記複数の部材に対して共通して用いられる回転駆動部とを有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本技術によれば、部品等を保持するための保持部を増やしながらも小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
[部品実装装置の構成]
図1は、本技術の一実施形態に係る部品実装装置を示す模式的な正面図である。
図2は、
図1に示す部品実装装置100の平面図であり、
図3はその側面図である。
【0025】
部品実装装置100は、フレーム10と、図示しない電子部品を保持しこれを実装対象である回路基板(以下、単に基板という)Wに実装する実装ヘッドユニット150と、テープフィーダ90が搭載されるテープフィーダ搭載部20とを備える。また、部品実装装置100は、基板Wを保持して搬送する搬送ユニット16(
図2参照)とを備える。
【0026】
フレーム10は、底部に設けられたベース11と、ベース11に固定された複数の支柱12とを有する。複数の支柱12の上部には、図中X軸に沿って架け渡された例えば2本のXビーム13が設けられている。
【0027】
例えば2本のXビーム13の間には、Y軸に沿ってYビーム14が架け渡され、このYビーム14に実装ヘッドユニット150が接続されている。Xビーム13及びYビーム14には、図示しないX軸移動機構及びY軸移動機構が備え付けられ、これらによって実装ヘッドユニット150がX及びY軸に沿って移動可能とされている。X軸移動機構及びY軸移動機構は、典型的にはボールネジ駆動機構により構成されるが、ベルト駆動機構等の他の機構であってもよい。
【0028】
この実装ヘッドユニット150は、主に生産性の向上のため複数設けられる場合もあり、その場合、複数の実装ヘッドユニット150が独立してX及びY軸方向で駆動される。
【0029】
図2に示すように、テープフィーダ搭載部20は、部品実装装置100の前部側(
図2中下側)及び後部側(
図2中上側)の両方に配置されている。図中Y軸方向が部品実装装置100の前後方向となる。
【0030】
テープフィーダ搭載部20には、X軸方向に沿ってテープフィーダ90が複数配列されて搭載されるようになっている。例えば40〜70個のテープフィーダ90がこのテープフィーダ搭載部20に搭載可能である。本実施形態では、前部及び後部側でそれぞれ58個、合計116個のテープフィーダ90が搭載可能とされている。
【0031】
なお、テープフィーダ搭載部20が、部品実装装置100の前部側及び後部側の両方に設けられる構成としたが、これは、前部側及び後部側のいずれかに一方に設けられる構成であってもよい。
【0032】
テープフィーダ90は、Y軸方向に長く形成されている。テープフィーダ90の詳細は図示しないが、リールを備え、コンデンサ、抵抗、LED、ICパッケージング等の電子部品を収納したキャリアテープがそのリールに巻き付けられている。また、テープフィーダ90は、このキャリアテープをステップ送りで送り出すための機構を備えており、そのステップ送りごとに電子部品が1つずつ供給される。
【0033】
図2に示すように、テープフィーダ90のカセットの端部の上面には供給窓91が形成され、この供給窓91を介して電子部品が供給される。複数のテープフィーダ90が配列されることによってX軸方向に沿って形成される、複数の供給窓91が配列された領域が、電子部品の供給領域Sとなる。
【0034】
なお、1つのテープフィーダ90のキャリアテープには、多数の同じ電子部品が収納される。テープフィーダ搭載部20に搭載されるテープフィーダ90のうち、複数のテープフィーダ90にまたがって同じ電子部品が収容される場合もある。
【0035】
部品実装装置100のY軸方向での中央部に上記搬送ユニット16が設けられ、この搬送ユニット16はX軸方向に沿って基板Wを搬送する。例えば、
図2に示すように、搬送ユニット16上の、X軸方向におけるほぼ中央位置で搬送ユニット16に支持されている基板W上の領域が、実装領域Mとなる。実装領域Mは、実装ヘッドユニット150によりアクセスされて電子部品の実装が行われる領域である。
【0036】
図1に示すように、部品実装装置100は、電子部品を保持したノズルユニット70を側方から撮像する第1のカメラ52と、ミラー54を介して下方から撮像する第2のカメラ53とを備える。
【0037】
第1及び第2のカメラ52及び53とミラー54とは、支持台36に支持される。支持台36は、X軸移動機構及びY軸移動機構に接続されており、実装ヘッドユニット150と一体的に移動可能となっている。すなわち第1及び第2のカメラ52及び53等は、実装ヘッドユニット150と一体的に移動可能となっている。
【0038】
第1のカメラ52は、複数のノズルユニット70のうち、最も高い位置にあるノズルユニット70(
図1中、最も左側に位置するノズルユニット70)を側方から撮像することが可能な位置に配置されている。
【0039】
第2のカメラ53は、複数のノズルユニット70のうち、最も高い位置にあるノズルユニット70を、ミラー54を介して下側から撮像することが可能な位置に配置されている。なお、以降では、第1のカメラ52及び第2のカメラ53によって撮像されるノズルユニット70の位置を撮像位置と呼ぶ。
【0040】
撮像位置にて、第1及び第2のカメラ52及び53による撮像が実行されることで、撮像された画像をもとに、電子部品の吸着状態が認識される。例えばノズルユニット70に電子部品が正常に吸着されているか否かが認識可能である。またノズルユニット70に吸着された電子部品の向き等も認識される。例えばこの認識結果をもとに、ノズルユニット70が適宜自転されて、吸着された電子部品の向きが修正される。その他、吸着された電子部品が不良品であるかどうか等が認識されてもよい。
【0041】
第1のカメラ52及び第2のカメラ53は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等により構成される。
【0042】
また部品実装装置100は、実装領域Mまで搬送されて来た基板Wの正確な位置を検出するための図示しない基板カメラを有する。基板Wの正確な位置が検出された後、実装ヘッドユニット150が電子部品の実装動作を開始する。基板カメラは、X軸移動機構及びY軸移動機構に接続されており、実装ヘッドユニット150と一体的に移動可能となっている。
【0043】
後でも詳しく説明するが、実装ヘッドユニット150は、Yビーム14のY軸移動機構に接続された支持体30と、この支持体30に支持された主の回転軸となる基軸35と、基軸35の下端部に取付けられたターレット50とを備える。また、実装ヘッドユニット150は、ターレット50の外周部に接続された複数のノズルユニット70を備えている。ノズルユニット70は、例えば16本設けられている。ノズルユニット70の数は限定されない。
【0044】
なお、支持体30はX軸移動機構に接続されていてもよく、この場合、Y軸移動機構が、X軸移動機構及び実装ヘッドユニット150を、Y軸方向に沿って移動させる。
【0045】
実装ヘッドユニット150は、上述のようにX及びY軸方向に移動可能とされており、それらのノズルユニット70は、供給領域Sと実装領域Mとの間で移動し、また、実装領域M内で実装を実行するために実装領域M内でX及びY軸方向に移動する。
【0046】
実装ヘッドユニット150は、ターレット50を回転させながら、複数のノズルユニット70に、1工程で連続して複数の電子部品をそれぞれ保持させる。また、複数のノズルユニット70に吸着された複数の電子部品は、連続して1つの基板Wに実装される。この際、複数のノズルユニット70のそれぞれが回転(自転)され、複数のノズルユニットに保持された複数の電子部品のそれぞれの向きが適宜調整される。
【0047】
搬送ユニット16は、典型的にはベルトタイプのコンベヤであるが、これに限られず、ローラタイプ、基板Wを支持する支持機構がスライドして移動するタイプ、あるいは非接触式等、何でもよい。搬送ユニット16は、ベルト部16aと、X軸方向に沿って敷設されたガイドレール16bとを有する。ガイドレール16bが設けられることにより、搬送される基板WのY軸方向のずれが規制されながら搬送される。
【0048】
ベルト部16aには、図示しない昇降機構が接続されている。ベルト部16aに基板Wが載置され、その状態で、実装領域Mにおいてベルト部16aが上昇することで、基板Wがそのベルト部16aとガイドレール16bとの間に挟まれるようにして支持される。この場合、ベルト部16a及びガイドレール16bは基板の支持ユニットとして機能する。つまり、この支持ユニットは、搬送ユニット16の一部の構成を含む。
【0049】
[実装ヘッドユニットの構成]
図4は、本実施形態に係る実装ヘッドユニット150の構成を示す断面図である。
図5は、主にターレット50及び複数のノズルユニット70を示す斜視図である。なお
図4では、電子部品の吸着のために供給されるエアの供給路等の図示が省略されている。
【0050】
図4を参照して、上述したように、実装ヘッドユニット150は、支持体30と、支持体30に支持された基軸35と、基軸35の下端部に取付けられたターレット50とを備える。ターレット50の外周部には複数のノズルユニット70が支持される。
【0051】
本実施形態では、回転軸としての基軸35及びターレット50が本体部に相当する。この基軸35及びターレット50を主として、回転軸を有する回転体が構成される。
【0052】
図4に示すように、支持体30は、基軸35を鉛直方向(Z軸方向)に対して斜めに支持する。支持体30は、基軸35の上部側をベアリング38により回転可能に支持する。基軸35の、支持体30の下部側には、プーリ22が固定されている。プーリ22には、図示しないが、ベルトを介してモータが接続されている。これにより、基軸35が回転駆動される。
【0053】
ターレット50は、取付孔55aが形成された本体55を有する。取付孔55aに基軸35が挿入されて固定される。これにより基軸35及びターレット50が、その基軸35を回転の中心軸として一体的に回転可能となっている。
【0054】
ターレット50の本体55は、基軸35の方向に沿って支持体30が位置する方(上方)に向けて、径が小さくなるような形状を有している。従って、本体55の外周面55bはテーパ状になっている。本体55の外周部には、外周面55bに沿った複数の支持孔55cが形成されている。支持孔55cに、ノズルユニット70が回転可能に取付けられる。
【0055】
複数のノズルユニット70は、本実施形態において、供給領域Sに供給される複数の電子部品を保持可能な複数の保持部に相当する。
【0056】
ノズルユニット70は、ノズル71と、このノズル71の外周を覆うノズルホルダ73とを備える。ノズルホルダ73は、そのノズルホルダ73の両端部において、図示しないベアリングを介してターレット50に回転可能に接続されている。
【0057】
ノズル71の先端部714には、図示しない孔が形成される。先端部714の孔のサイズは、例えば1mm×1mmより小さいサイズの電子部品を保持することができるようなサイズとなっている。孔は複数設けられていてもよい。
【0058】
図5に示すように、ノズル71の上部には、コイルバネ76が配置されている。例えば、図示しないノズル駆動ユニットの押圧ローラによって、ノズル71の上端部72が、そのコイルバネ76の付勢力に抗して押し下げられる。ノズル71がノズルホルダ73内を移動して下降すると、コイルバネ76が縮められる。押圧ローラによる押圧が解除されると、コイルバネ76の戻り力により、ノズル71は上昇する。ノズル駆動ユニットとしては、例えば特開2005−150638に示されるような公知の機構が用いられればよい。
【0059】
複数のノズルユニット70は、それぞれが長さ方向Lを有し、ターレット50にその長さ方向Lと交わる方向で並ぶように回転可能にそれぞれ支持される。本実施形態では、長さ方向Lと交わる方向は、本体55の上面55dの平面方向に相当する。
【0060】
本実施形態に係る上面55dは、基軸35に向けて傾斜しているが、この形状に限定されない。すなわち複数のノズルユニット70が並んで配列される方向(長さ方向Lと交わる方向)は限定されない。配列される方向と長さ方向Lとが直行してもよいし、そうでなくてもよい。
【0061】
複数のノズルユニット70は、基軸35を中心とした円周上に等間隔で取付けられる。複数のノズルユニット70は、それぞれの長さ方向Lが、基軸35の方向に対して斜めになるように、ターレット50の外周部に支持される。複数のノズルユニット70は、基軸35を中心としてその長さ方向Lが放射状に広がるような向きに取付けられる。
【0062】
具体的には、
図4等に示すように、複数のノズルユニット70は、電子部品を保持するノズル71の先端部714の反対側の上端部72が、基軸35に近づくように支持される。ノズル71の先端部714は、基軸35から遠ざかる位置に配置される。この結果、ノズル71の先端部714は、基軸35を中心とした円(第1の円とする)の周上に配置される。反対側の上端部72は、基軸35を中心とした円であって、第1の円よりも半径が小さい円の周上に配置される。
【0063】
基軸35は、複数のノズルユニット70のうち少なくとも1つのノズルユニット70の長さ方向が鉛直方向(Z軸方向)となるように、支持体30に支持される。複数のノズルユニット70のうち、そのノズルユニット70の長さ方向LがZ軸方向に沿って配置されたものが、基板Wに電子部品を実装するために選択されたノズルユニット70Aである。
【0064】
ターレット50の回転により任意の1つのノズルユニット70Aが選択される。選択されたノズルユニット70Aがテープフィーダ90の供給窓91にアクセスして電子部品を吸着して保持し、実装領域Mまで移動して下降することにより、電子部品が基板Wに実装される。
【0065】
以降では、長さ方向LがZ軸方向に沿って配置されるノズルユニット70Aの位置を、ノズル動作位置と呼ぶ。ノズル動作位置に配置されたノズルユニット70Aにより電子部品の吸着、及び基板への電子部品の実装が行われる。本実施形態では、ターレット50に対してノズル動作位置の略180度反対側の位置に、上記した撮像位置が配置される。
【0066】
本実施形態では、基軸35が鉛直方向に対して斜めに支持されるので、撮像位置に配置されるノズルユニット70は、鉛直方向に対して高い位置に配置される。高い位置に配置されたノズルユニット70に対しては、第1及び第2のカメラ52及び53による撮像が容易となり、部品の保持状態の確認等を容易に行うことができる。またノズルユニット70が最も高い位置に配置されるので、当該ノズルユニット70を撮像する第1及び第2のカメラ52及び53の取付け等も容易となる。第1及び第2のカメラ52及び53の取付け位置を選択する範囲も大きくなり、取付け位置を適宜設定することで部品実装装置100の小型化を実現することが可能となる。
【0067】
[駆動機構の構成]
本実施形態に係る実装ヘッドユニット150は、複数のノズルユニット70のそれぞれを自転可能とするための駆動機構を有する。この駆動機構について詳しく説明する。
図6〜
図10は、駆動機構の構成を詳しく説明するための模式的な図である。
【0068】
駆動機構200は、複数のノズルユニット70をそれぞれ回転させるために、ノズルユニット70ごとに取付けられる回転機構部としてのギア201を有する。複数のギア201は、自身が取付けられているノズルユニット70の長さ方向Lを軸としてそれぞれ回転する。従ってギア201が回転することで、ノズルユニット70がその長さ方向Lを軸として自転する。複数のギア201はそれぞれ略等しい形状を有し、それぞれ同じ数の歯を有する。
【0069】
図4等に示すように、複数のギア201は、隣り合うノズルユニット70で長さ方向Lにおける取付け位置が互いに異なるように取付けられる。本実施形態では、複数のギア201は、複数のノズルユニットに対して、長さ方向Lにおける第1の取付け位置311と、第1の取付け位置311とは異なる第2の取付け位置321とに、ジグザグ状にずれるように交互に取付けられる。すなわち複数のギア201は、基軸を中心として並ぶ複数のノズルユニット70に対して、千鳥状に取付けられる。
【0070】
説明の便宜上、
図6に示すように、複数のノズルユニット70に順に番号を付す。付された番号が奇数となるノズルユニット70には、第1の取付け位置311にてギア201が取付けられる。
図5に示すように、第1の取付け位置311は、ノズルユニット70の長さ方向Lにおいて、ターレット50の本体55の上面55dに近い位置である。以後、第1の取付け位置311に取付けられたギア201を第1のギア211と記載する場合がある。
【0071】
付された番号が偶数となるノズルユニット70には、第2の取付け位置321にてギア201が取付けられる。
図5に示すように、第2の取付け位置321は、ノズルユニット70の長さ方向Lにおいて、ターレット50の本体55の上面55dから、第1のギア211分離れた位置である。第2の取付け位置321は、取付けられたギア201が、隣りの第1のギア211と干渉し合わない位置である。第2の取付け位置321に取付けられたギア201を第2のギア221と記載する場合がある。
【0072】
このように複数のギア201が千鳥状に取付けられるので、ノズルユニット70の配列密度を高めることができる。この結果、ターレット50を大きくすることなくノズルユニット70の数を増やすことができる。すなわち電子部品を保持するためのノズルユニット70を増やしながらも実装ヘッドユニット150の小型化を実現することができる。
【0073】
また本実施形態では、ノズルユニット70ごとに取付けられるギア201が、いわゆるシザーズギアの構成を有する。すなわちギア201は、第1の歯車201aと、第1の歯車201aに対して長さ方向Lで隣接する第2の歯車201bと、図示しない付勢部材とを有する。付勢部材としては、コイルスプリング等が用いられる。
【0074】
第1及び第2の歯車201a及び201bは互いに略同一な形状を有する。従って第1及び第2の歯車201a及び201bは同じ数の歯を有する。第2の歯車201bは、第1の歯車201aに対して移動可能(回転可能)ように設けられており、付勢部材により第1の歯車201aに対して周方向の一方側に弾性付勢されている。従って、第1及び第2の歯車201a及び201bにより、これらと係合するギアの歯が挟み込まれる。
【0075】
シザーズギアとしての構成等は限定されない。例えば第1の歯車201aはノズルユニット70に固定され、第2の歯車201bはノズルユニット70に対して移動可能であってもよい。あるいは第1及び第2の歯車201a及び201bが、ともにノズルユニット70に対して移動可能に取付けられてもよい。また付勢部材による付勢方向は、典型的には、ノズルユニット70の自転方向と逆の方向である。しかしながらこれらも限定されず、適宜設定されてもよい。
【0076】
駆動機構200は、複数のノズルユニット70に取付けられた複数のギア201をそれぞれ回転させる回転駆動部を有する。本実施形態では、複数のギア201のそれぞれと係合する駆動ギア250が、回転駆動部として動作する。
【0077】
図4に示すように、基軸35における、支持体30で支持された位置と、ターレット50が接続された位置との間であって、基軸35の外周面には、外筒40が接続されている。外筒40は、ベアリング43及び44を介して基軸35に接続されており、外筒40が基軸35に対して回転可能となっている。
【0078】
外筒40には、例えば図示しないプーリ及びベルトによる回転駆動ユニットが接続されている。ベアリング43及び44を保持するカラー46は、例えば、基軸35と外筒40との間に配置されている。
【0079】
外筒40におけるターレット50側の端部に形成されたフランジ40aにおいて、この外筒40と駆動ギア250とがボルト41により固定されている。これにより、外筒40と駆動ギア42とが一体的に回転する。
【0080】
このように本実施形態では、複数のノズルユニット70に囲まれた領域に、基軸35と同軸で回転可能なように、駆動ギア250が配置される。ターレット50の回転軸である基軸35と同軸に駆動ギア250が配置されるので、例えばモータ等の駆動源を1つだけ用いて、ターレット50と駆動ギア250とをともに回転させることが可能な構成を容易に実現することができる。その結果、実装ヘッドユニット150の小型化を図ることができる。
【0081】
図7は、駆動ギア250と、第1及び第2のギア211及び221との位置関係を説明するための模式的な斜視図である。
図8はその平面図であり、
図9及び
図10は、断面図である。
【0082】
図7に示すように、駆動ギア250は、複数のギア201とそれぞれ係合するためのテーパ係合面251を有する。上述したように、複数のギア201は、それぞれが取付けられているノズルユニット70の長さ方向Lを軸として回転する。従って駆動ギア250のテーパ係合面251は、長さ方向Lと同じ方向で基軸35に対して斜めに配置される。
【0083】
図7及び
図9に示すように、駆動ギア250のテーパ係合面251の第1の係合領域260が、ノズルユニット70の第1の取付け位置321に配置された第1のギア211と係合する。第1の係合領域260は、テーパ係合面251の下側の領域であり、ターレット50の上面55dに近い領域である。テーパ係合面251の周囲にわたる第1の係合領域260と、複数のノズルユニット70にそれぞれ取付けられた複数の第1のギア211とが係合される。
【0084】
図7及び
図10に示すように、駆動ギア250のテーパ係合面251の第2の係合領域270が、ノズルユニット70の第2の取付け位置321に配置された第2のギア221と係合する。第2の係合領域270は、テーパ係合面251の上側の領域であり、ターレット50の上面55dから離れた領域である。テーパ係合面251の周囲にわたる第2の係合領域270と、複数のノズルユニット70にそれぞれ取付けられた複数の第2のギア221とが係合される。
【0085】
このように、複数のノズルユニット70に千鳥状に配置された第1及び第2のギア211及び221が、駆動ギア250の第1及び第2の係合領域260及び270にそれぞれ係合される。従って
図8に示すように、第1のギア211の回転範囲と、第2のギア221の回転範囲とが重なるほどの距離まで、ノズルユニット70を十分に近づけて配置することができる。この結果、ターレット50を大きくすることなくノズルユニット70の数を増やすことができる。これにより実装ヘッドユニット150の小型化を実現することができる。
【0086】
図11及び
図12は、駆動ギア250のテーパ係合面251に形成される歯について説明するための模式的な図である。
【0087】
例えば
図11(A)に示すように、テーパ係合面251が1点鎖線で示す水平方向と平行となるように、駆動ギア250となる部材250aの中心軸O(回転軸)が傾けられる。部材250aの中心軸Oは、2点鎖線で図示されている。
【0088】
水平方向に配置されたテーパ係合面251に対して、同じ水平方向で刃900が進入することで、歯切りが行われる。ここでは一般的な平歯車を形成するための刃900が用いられるとする。歯切りは、部材250aの中心軸Oを回転させながら、順次行われる。これによりテーパ係合面251に歯が形成された駆動ギア250が作られる。
【0089】
図11(B)は、
図11(A)に示す方法で歯切りが完了した駆動ギア250の模式的な平面図である。
図11(B)に示すテーパ係合面251の色が付されている部分が刃900により切削された切削部分252である。切削部分252に挟まれた部分が歯253となる。
図11(B)に示す1点鎖線は、水平方向で進入した刃900の進入方向を示している。この進入方向で、テーパ係合面251の面方向に沿って切削可能な複数の刃により、一度の工程で歯切りが行われ、複数の歯253が形成されてもよい。
【0090】
図12は、
図11(B)に示す駆動ギア250のテーパ係合面251を拡大した拡大図である。
図12に示すように、この駆動ギア250では、形成される歯253の歯幅が、駆動ギア250の上面254から下面255にかけて大きくなる。すなわち第1のギア211と係合する第1の係合領域260と、第2のギア221と係合する第2の係合領域270とにおいて、歯253の歯幅が異なる。この結果、場合によっては、第1及び第2のギア211及び221のそれぞれと駆動ギア250との係合のために調整等が必要となる可能性がある。
【0091】
例えば第2の係合領域270の上面254側においては、隣り合う歯が干渉してしまうような事態が発生する可能性がある。また第1の係合領域260の下面255側においては、歯幅が広くなりすぎて、第1のギア211との係合に影響が生じる可能性があり得る。
【0092】
そこで、駆動ギア250の歯を形成するための他の実施例についても説明する。なお上記で説明した歯切り工程により本実施形態に係る駆動ギア250が適宜製作されてもよい。
【0093】
図13は、他の実施例により製作された駆動ギア250を模式的に示す斜視図である。
図14は、本実施例による駆動ギア250の製作方法を説明するための図である。
【0094】
この実施例では、第1の取付け位置311に配置された第1のギア211と係合する第1の係合領域260と、第2の取付け位置321に配置された第2のギア221と係合する第2の係合領域270との間の中間点300を歯幅の基準としてテーパ係合面251に歯が形成される。
【0095】
中間点300を歯幅の基準とするとは、第1の係合領域260に形成される歯253の歯幅、及び第2の係合領域270に形成される歯の歯幅を、それぞれ中間点300の歯幅と略等しくなるように、歯切り工程を実行することを意味する。
【0096】
このように、第1及び第2の係合領域260及び270の間の中間点300を歯幅の基準として、テーパ係合面251に歯253が形成される。これにより、第1及び第2の取付け位置311及び321に交互に配置された第1及び第2のギア211及び221と駆動ギア250との噛み合わせのばらつきを十分に押さえることができ、これらのギアの係合状態を良好にすることができる。
【0097】
また
図14に示すように、第1のギア211と駆動ギア250との軸間距離D1と、第2のギア221と駆動ギア250との軸間距離D2とは異なる。すなわち第1及び第2の係合領域260及び270において、駆動ギア250のピッチ円直径(PCD:Pitch Circle Diameter)が互いに異なる。軸間距離(あるいはピッチ円直径)が異なるので、第1及び第2のギア211及び221のそれぞれの歯数や形状等を調整する必要が生じる可能性がある。
【0098】
しかしながら、テーパ係合面251に、中間点300の歯幅を基準として歯253が形成されることで、軸間距離の差による影響等を抑えることができる。中間点300に近接する位置に第1及び第2のギア211及び221がそれぞれ配置されることで、当該影響等を十分に抑えることができる。この結果、第1及び第2のギア211及び221として、同じ歯数の略等しい形状を有するギアを用いることができる。すなわち第1及び第2のギア211及び221において、駆動ギア250とのギア比を一定にすることが可能となる。この結果、駆動ギア250の回転に基づいて、第1及び第2のギア211及び221がそれぞれ同じ角度だけ回転するので、第1及び第2のギア211及び221の回転動作を制御することが容易となる。このことは後述する電子部品の向きの修正に有用である。
【0099】
本実施形態では、中間点300が、テーパ係合面251の略中央になるように設定されている。これにより中間点300の歯幅を基準とした歯253を簡単に形成することができる。また第1及び第2のギア211及び221の駆動ギア250に対する噛み合わせのばらつきを抑えやすくなる。しかしながら、当該中間点300の位置は限定されない。例えばテーパ係合面251の任意の位置に中間点300が位置するように、第1及び第2の係合領域260及び270がそれぞれ配置されてもよい。
【0100】
基準となる中間点300の歯幅の大きさは適宜設定されてよい。駆動ギア250の径、ギア比、テーパ係合面251の角度、第1及び第2のギア211及び221の径等の種々の条件をもとに設定されればよい。
【0101】
[実装ヘッドユニットの動作(基板の製造方法)]
本実施形態に係る実装ヘッドユニットの動作を説明する。
図15及び
図16は、実装ヘッドユニットによる電子部品の吸着及び実装動作を説明するための模式的な図である。
図15及び
図16に示すような動作により、部品実装装置100に供給された基板Wに電子部品が実装され、基板Wが製造される。
【0102】
図15及び
図16では、ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Aを基準として、右回りにノズルユニット70B〜70Hの符号が付せられる。
【0103】
図15は、実装ヘッドユニット150による電子部品の吸着動作を説明するための図である。まず、搬送ユニット16における実装領域Mで基板Wが位置決めされて保持される。実装ヘッドユニット150は、X軸移動機構及びY軸移動機構によって水平面内で移動することにより、電子部品の供給領域Sへ向かう。
【0104】
実装ヘッドユニット150が供給領域Sへ到達すると、
図15(A)に示すように、ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Aにより電子部品の吸着が行われる。ノズル駆動ユニットの押圧ローラによって、ノズルユニット70Aのノズル71が押し下げられる。ノズルユニット70Aに適宜負圧エアが供給され、その負圧力によりノズル71に電子部品が吸着される。
【0105】
次に、実装ヘッドユニット150は、ターレット50を基軸35を中心に所定の角度だけ回転させ、次の(隣の)ノズルユニット70Hをノズル動作位置400に移動させる(
図15(B))。ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Hにより、次の電子部品が吸着される。
【0106】
続いて、同様に、ターレット50の回転と、ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70G及びFによる電子部品の吸着が行われる(
図15(C)(D))。
【0107】
図15(E)に示すように、ターレット50が略180度回転されると、最初に電子部品を吸着したノズルユニット70Aが、撮像位置500に配置される。撮像位置500に配置されたノズルユニット70Aが第1及び第2のカメラ52及び53により撮像されて、電子部品の吸着状態が認識される。
【0108】
本実施形態では、
図6や
図7等に示すように、複数のノズルユニット70に取付けられた複数の第1及び第2のギア211及び221が、駆動ギア250にそれぞれ係合されている。従ってターレット50が回転しノズルユニット70が移動される(以下、ノズルユニットの公転と記載する場合がある)場合、公転の角度に応じて各ノズルユニット70が自転する。
【0109】
従って、撮像位置500での撮像及び吸着状態の認識は、認識対象となる電子部品がノズルユニット70の公転によりどれだけ回されているか(どれだけ自転されているか)を考慮にいれて行われる。特に、吸着された電子部品の向きを認識する場合には、ノズルユニット70の自転角度の把握は重要となる。この自転角度の情報が適宜用いられて、電子部品の向きを修正するための情報が算出される。算出された修正情報をもとに実装される電子部品の向きが修正されることで、高精度の実装処理が実現される。
【0110】
ノズルユニット70の公転にともなう自転角度の情報は、例えばターレット50を回転させるための基軸35の回転角度、ノズル動作位置400にて実装を行う他のノズルユニット70を自転させるための駆動ギア250の回転角度等の情報をもとに算出される。
【0111】
例えば基軸35の回転角度に応じたノズルユニット70の自転角度が予め定められてもよい。例えばターレット50が回転する際には駆動ギア250は回転しないような設計であれば、公転角度に対する自転角度はギア比をもとに簡単に算出される。基軸35の回転にともなって駆動ギア250が逆方向に回転するような設計であっても、その相対的な回転角度が一定であれば公転にともなう自転角度は算出可能である。
【0112】
図5等に示すように、第1及び第2のギア211及び221が、シザーズギアの構成を有する。これにより自転角度の算出等も高精度に実行可能である。
【0113】
図15(E)に示す状態では、まだ電子部品の実装のために自転されたノズルユニット70がないので、180度の公転角度に応じた自転角度(例えば90度等)の情報が適宜算出されて用いられればよい。
【0114】
なお
図15(E)に示す状態では、ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Eによる吸着動作と、撮像位置500に配置されたノズルユニット70Aへの撮像動作とがともに行われる。従って、部品吸着動作が行われている間に部品認識動作が行われるので、部品認識のための時間を設定する必要がない。この結果、部品実装装置100による部品実装を短時間で実行することが可能となる。
【0115】
図15(F)〜(H)に示すように、ノズル動作位置400における電子部品の吸着動作と、撮像位置500におけるノズルユニット70の撮像動作が順次行われる。
図15(H)に示す状態では、ノズルユニット70B〜70Eは、まだ部品認識が済んでいない。
【0116】
図16は、実装ヘッドユニット150による電子部品の実装動作を説明するための図である。電子部品の吸着動作が完了すると、実装ヘッドユニット150は、X軸移動機構及びY軸移動機構によって実装領域M上に移動する。
【0117】
図16(A)に示すように、ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Aのノズル71が、ノズル駆動ユニットの押圧ローラによって押圧されて下降する。ノズル71に吸着されている電子部品が基板W上の所定の実装位置に載置される。この際、撮像位置500では、ノズルユニット70Eの撮像動作が実行される。
【0118】
次に、実装ヘッドユニット150は、隣りのノズルユニット70Hに保持された電子部品が実装される位置まで、X軸移動機構及びY軸移動機構により移動する。この移動途中、あるいは移動後、ターレット50を回転させて、その別のノズルユニット70Hをノズル動作位置400に配置する。ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Hにより電子部品の実装が実行される(
図16(B))。これとともに、撮像位置500では、ノズルユニット70Dへの撮像動作が実行される。
【0119】
以後、
図16(C)及び(D)に示すように、ノズル動作位置400における電子部品の実装動作と、撮像位置500におけるノズルユニット70への撮像動作が順次行われる。
【0120】
図16(E)に示すように、ターレット50が略180度回転されると、最初に電子部品を実装したノズルユニット70Aが、撮像位置500に配置される。このノズルユニット70Aが第1及び第2のカメラ52及び53により撮像されて、ノズル71の状態が確認される。これにより正常に実装処理が実行されたか否かが判定される。例えばノズル71に電子部品が吸着したままである場合等は、実装処理が正常に行われなかったと判定される。その他、ノズル71の変形等の不具合等が検出されてもよい。
【0121】
なお
図16(E)に示す状態では、ノズル動作位置400に配置されたノズルユニット70Eによる実装動作と、撮像位置500に配置されたノズルユニット70Aへの撮像動作がともに行われる。以後、
図16(F)〜(H)に示すように、ノズル動作位置400における電子部品の実装動作と、撮像位置500におけるノズルユニット70への撮像動作が順次行われる。
図16(H)に示す状態では、ノズルユニット70B〜70Eは、まだノズル状態の確認が済んでいない。
【0122】
電子部品の実装動作が完了すると、実装ヘッドユニット150は、X軸移動機構及びY軸移動機構によって供給領域S上に移動する。そして、
図15の吸着動作が再び行われる。
図15(A)〜(D)において、ノズルユニット70B〜70Eの、ノズル状態の確認が実行されればよい。
【0123】
以上のようにして、基板Wに所定の複数の電子部品が実装されると、基板Wは、搬送ユニット16により、部品実装装置100の外部へ搬出される。本実施形態では、実装ヘッドユニット150を供給領域Sと実装領域Mとの間を移動させながら、電子部品の吸着及び実装動作を一連の動きの中で実行可能である。例えば部品認識のために実装ヘッドユニット150を撮像のための領域に移動させて停止させるといったことが不要である。この結果、部品実装処理を短時間で実行することができる。
【0124】
以上、本実施形態に係る実装ヘッドユニット150では、複数のノズルユニット70をそれぞれ回転させるために、ノズルユニット70ごとにギア201が取付けられる。ギア201は、隣り合うノズルユニット70で長さ方向Lにおける取付け位置が互いに異なるように取付けられる。従って長さ方向Lと交わる方向で隣り合うノズルユニット70を十分に近づけながら、複数のノズルユニット70をターレット50に設けることができる。この結果、ターレット50を大きくすることなくノズルユニット70の数を増やすことができる。すなわち電子部品等を保持するためのノズルユニット70を増やしながらも実装ヘッドユニット150の小型化を図ることができる。
【0125】
本実施系形態では、複数のギア201が第1及び第2の取付け位置311及び321にて交互に設けられる。従って、ノズルユニット70に対するギア201の取付け位置は2種類であるので、複数のノズルユニット70への複数のギア201の取付け作業が容易になる。すなわち複数のノズルユニット70に対して、多くの異なる取付け位置に複数のギア201を取付ける場合よりも取付け作業が簡単になる。また駆動機構200の構成が複雑になるのを防ぐことができる。なお、取付け位置がいろんな異なる位置に設定されても構わない。
【0126】
<変形例>
本技術に係る実施形態は、上記で説明した実施形態に限定されず種々変形される。
【0127】
上記実施形態では、ターレットの外周面がテーパ状になっており、ターレットの回転軸に対してノズルユニットが斜めに支持された。しかしながらターレットの回転軸とノズルユニットが互いに平行となるように設定されてもよい。そして回転軸及び複数のノズルユニットの長さ方向がともに鉛直方向となるように設定されてもよい。この場合、複数のノズルユニットに囲まれた領域に、係合面の方向が鉛直方向となる駆動ギアが配置されてもよい。
【0128】
上記では、ターレットの外周部に複数のノズルユニットが配置され、ターレットが回転することで複数のノズルユニットによる電子部品の吸着及び実装動作が実行された。すなわち本実施形態では、実装ヘッドユニットとしてロータリヘッドが用いられた。しかしながら実装ヘッドユニットとして、リニアヘッドが用いられてもよい。例えば移動可能な本体部にX軸方向に沿って複数のノズルユニットが支持される。複数のノズルユニットには、回転機構部としてプーリ等がノズルユニットごとに取付けられる。プーリ等は、隣り合うノズルユニットで長さ方向における取付け位置が互いに異なるように取付けられる。これらのプーリがベルト等を有する回転駆動部によりそれぞれ回転される。これにより複数のノズルユニットがそれぞれ自転可能となる。このような構成であっても、複数のノズルユニットの配列密度を高めることができる。
【0129】
上記実施形態では、回転機構部としてギアが用いられ、このギアが駆動ギアにより回転させられることでノズルユニットが回転した。回転機構部の他の例として、ノズルユニットごとにモータが取付けられてもよい。モータが作動することでノズルユニットがそれぞれ回転してもよい。モータが、隣り合うノズルユニットで長さ方向における取付け位置が互いに異なるように取付けられることで、ノズルユニットの配列密度を高めることができる。その他、ノズルユニットにトルクを発生させることが可能な機構が、回転機構部として適宜用いられてよい。
【0130】
上記実施形態では、複数のギアが、複数のノズルユニットに対して、1つずつ長さ方向でジグザグ状、つまり、上、下、上、下、・・・と配置されたが、このような形態に限られない。複数のギアは、ノズルユニットの長さ方向で、上、中、下、上、中、下、・・・、あるいは、上、中、下、中、上、・・・というように、長さ方向で3段階の高さで配置されてもよい。その他、隣り合うギアが互いに干渉することなく動作可能であるのなら、その取付け位置が限定されない。
【0131】
ターレット、ノズルユニット及び駆動機構等の構造は、上記実施形態に限られず、適宜その設計の変更が可能である。
【0132】
上記実施形態では、実装ヘッドユニットが、電子部品の実装時、基板の実装面に実質的に平行な面内(X−Y面内)で移動する構成であったが、基板がその面内で移動する構成であってもよい。あるいは、実装ヘッドユニット及び基板の両方が、その面内で移動する構成であってもよい。
【0133】
例えば支持体により基軸の上部及び下部がそれぞれ支持されてもよい。このような両持ち支持構造が採用されることで、実装ヘッドユニットの構造の簡単化、コンパクト化、及び、高剛性化を実現することができる。
【0134】
上記実施形態では、実装ヘッドユニットのノズルユニットをそれぞれ回転させるための駆動機構について説明した。しかしながら上記で説明した技術が、実装ヘッドユニット以外のデバイス等に用いられてもよい。
【0135】
例えば本体部に対して、回転可能に複数の部材がそれぞれ支持される。複数の部材は、それぞれが長さ方向を有し、本体部に長さ方向と交わる方向で並ぶように支持される。複数の部材は、例えば部品等を搬送するための搬送機構の一部として、ベルト等を回転させるために用いられる。あるいは、複数の部材のそれぞれ取付けられた部品を回転させるために用いられる。その他、複数の部材の用途は限定されない。
【0136】
これらの複数の部材をそれぞれ回転させるために、駆動機構が用いられる。駆動機構は、隣り合う部材で長さ方向における取付け位置が互いに異なるように、部材ごとに取付けられる回転機構部と、複数の部材に取付けられた複数の回転機構部のそれぞれを回転させるために、複数の部材に対して共通して用いられる回転駆動部とを有する。このような構成を有する装置が、本実施形態に係る回転駆動機構として用いられてもよい。
【0137】
このような回転駆動機構では、長さ方向と交わる方向で隣り合う部材を十分に近づけながら、複数の部材を本体部に設けることができる。この結果、本体部を大きくすることなく部材の数を増やすことができる。すなわち部材を増やしながらも回転駆動機構の小型化を図ることができる。
【0138】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0139】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)本体部と、
それぞれが長さ方向を有し、前記本体部に前記長さ方向と交わる方向で並ぶように回転可能にそれぞれ支持され、複数の部品を保持可能な複数の保持部と、
前記複数の保持部をそれぞれ回転させるために、隣り合う前記保持部で前記長さ方向における取付け位置が互いに異なるように、前記保持部ごとに取付けられる回転機構部を有する駆動機構と
を具備する実装ヘッドユニット。
(2)(1)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記駆動機構は、前記複数の保持部に取付けられた複数の回転機構部のそれぞれを回転させる回転駆動部を有する
実装ヘッドユニット。
(3)(2)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記複数の回転機構部は、複数のギアであり、
前記回転駆動部は、前記複数のギアのそれぞれと係合する駆動ギアである
実装ヘッドユニット。
(4)(3)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記本体部は、回転軸を有する回転体であり、
前記複数の保持部は、前記回転体の外周部に支持され、
前記駆動ギアは、前記複数の保持部に囲まれた領域に、前記回転軸と同軸で回転可能に配置される
実装ヘッドユニット。
(5)(4)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記複数の保持部は、前記長さ方向が前記回転軸に対して斜めになるように支持され、
前記実装ヘッドユニットは、さらに、
前記複数の保持部のうち少なくとも1つの前記保持部の長さ方向が鉛直方向となるように、前記回転軸を前記鉛直方向に対して斜めに支持する支持体を
具備する実装ヘッドユニット。
(6)(5)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記複数の保持部は、前記部品を保持する端部と反対側の端部が、前記回転軸に近づくように前記回転体に斜めに支持され、
前記複数のギアは、取付けられている前記保持部の長さ方向を軸としてそれぞれ回転し、
前記駆動ギアは、前記複数のギアのそれぞれと係合するために前記長さ方向と同じ方向で前記回転軸に対して斜めに配置されたテーパ係合面を有する
実装ヘッドユニット。
(7)(6)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記複数のギアは、前記複数の保持部に対して、前記長さ方向における第1の取付け位置と、前記第1の取付け位置とは異なる第2の取付け位置とに、交互に取付けられる
実装ヘッドユニット。
(8)(7)に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記駆動ギアは、前記第1の取付け位置に配置されたギアと係合する第1の係合領域と、前記第2の取付け位置に配置されたギアと係合する第2の係合領域との間の中間点を歯幅の基準として前記テーパ係合面に形成された歯を有する
実装ヘッドユニット。
(9)(1)から(8)のうちいずれか1つに記載の実装ヘッドユニットであって、
前記複数の保持部は、前記複数の部品を吸着可能な複数のノズルである
実装ヘッドユニット。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の実装ヘッドユニットであって、
請求項1に記載の実装ヘッドユニットであって、
前記回転機構部は、モータである
実装ヘッドユニット。