特許第5984293号(P5984293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984293融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984293
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 3/00 20060101AFI20160823BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F25D3/00 Z
   F24F3/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-187007(P2012-187007)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-44008(P2014-44008A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241946
【氏名又は名称】積水化学北海道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】吾孫子 正和
(72)【発明者】
【氏名】菅野 昇平
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−141108(JP,A)
【文献】 特開平08−219490(JP,A)
【文献】 特開2010−207741(JP,A)
【文献】 特開2003−314864(JP,A)
【文献】 特開2009−127982(JP,A)
【文献】 特開2009−174814(JP,A)
【文献】 特開2002−310583(JP,A)
【文献】 特開2010−197028(JP,A)
【文献】 特開2011−007029(JP,A)
【文献】 特開2002−115239(JP,A)
【文献】 特開2005−155932(JP,A)
【文献】 特開2000−230793(JP,A)
【文献】 特開2002−277125(JP,A)
【文献】 特開平10−292931(JP,A)
【文献】 特開2008−164251(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/069730(WO,A1)
【文献】 特開2014−044009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 3/00
F24F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雪山の冷熱を冷房熱源として利用する雪山貯蔵部に用いられる融雪速度調整システムであって、
雪山との間に空気層を密閉状態に形成可能に覆う保護シートと、
前記保護シートの内部と外部とを連通して、前記空気層に外気を直接供給する第1供給部と、
前記保護シートの内部と外部とを前記雪山直下の地盤内に埋設させる熱交換配管を介して連通し、前記空気層に外気を供給する第2供給部と、
を備え
前記第1供給部および前記第2供給部の供給量を調整する供給量制御手段が設けられていることを特徴とする融雪速度調整システム。
【請求項2】
前記第1供給部および前記第2供給部には、前記保護シートの内部から外部への流通を規制する逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項に記載の融雪速度調整システム。
【請求項3】
前記熱交換配管は、外周面に、長さ方向に沿って間隔をあけてリブが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の融雪速度調整システム。
【請求項4】
前記保護シートには、前記保護シート内の圧力の上昇に応じて、前記保護シートの内部から外部へ空気を流通させる放出弁が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の融雪速度調整システム。
【請求項5】
前記熱交換配管には、内部の結露水を排出する結露水排出部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の融雪速度調整システム。
【請求項6】
前記第2供給部には、外気を前記空気層に送風するための送気ファンが設けられ、
該送気ファンは、前記熱交換配管の上流側に位置するとともに、前記保護シートの外側に配置される外気取入れ部側に設けられていることを特徴とする請求項に記載の融雪速度調整システム。
【請求項7】
雪山との間に空気層を密閉状態に形成可能に覆う保護シートが設けられ、雪山の冷熱を冷房熱源として利用する雪山貯蔵部の融雪速度調整方法であって、
前記雪山の融雪時に、該保護シートの内部の前記空気層に外気を直接供給する工程と、
前記雪山の保温時に、前記保護シートの内部と外部とを前記雪山直下の地盤内を通過させて地盤と外気との間で熱交換をしてから、該外気を前記空気層に供給する工程と、
を有することを特徴とする融雪速度調整方法。
【請求項8】
外気温に応じて前記外気の供給量を調整することを特徴とする請求項に記載の融雪速度調整方法。
【請求項9】
前記保護シート内の圧力の上昇に応じて、前記保護シートの内部から外部へ空気を放出することを特徴とする請求項又はに記載の融雪速度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪山を利用した冷熱貯蔵設備に用いられる融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、雪の保存方法として、雪を雪山状に造成し、雪山全体を藁や籾殻からなるチップ等の断熱材で覆うことが知られており、このような雪山を夏期の使用時まで保存し、夏期に融雪水等を利用することが行われている。この場合、雪の自然融解量を減らすためには断熱材の厚さを大きくする必要があるが、厚くすると、夏期の使用時に十分な融雪量(冷熱量)が得られなくなってしまう。また、断熱材の厚さを夏期に調整する方法も実施されているが、雪山内部の不均一な融雪により、空洞が生じている場合があり、不安定な作業となり、作業効率が低下していた。
【0003】
そこで、上述した断熱材を被覆する保存によるものではなく、内部に空気が供給されるバルーンで雪山を覆う構成の貯蔵設備が例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1には、積み上げた雪山の側面および上面を、樹脂等の多数のバルーンを密接して配置することによって被覆し、バルーン内の空気を給排気することにより、雪山の融解速度を制御しつつ、雪山の冷熱を冷房熱源として利用する冷熱装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のバルーンを用いた雪山の貯蔵設備では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1では、多数のバルーンを互いに密接させる構成により雪山を覆っており、個々のバルーンに空気を給排気するので、構造が複雑であり、設備費が大きくなるという問題があった。
また、特許文献1では、多数のバルーンのそれぞれに供給する空気量を可変し、バルーン内の空気温度やバルーン厚さを調整することで、バルーン全体の断熱性能を調整し、雪山の融解速度を制御している。また、同時に多数のバルーン内の空気層を介して雪山温度を管理する必要があるうえ、個々のバルーンの内圧も一定に保持する必要があるため、複数の温度センサをもってしてもバルーン内に供給する空気量の管理が難しく、精度の高い管理ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡単、かつ低コストとなる構造により、雪山に接する空気層に対して直接、外気を供給することで、融雪速度を容易に、かつ精度良く調節することができる融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る融雪速度調整システムでは、雪山の冷熱を冷房熱源として利用する雪山貯蔵部に用いられる融雪速度調整システムであって、雪山との間に空気層を密閉状態に形成可能に覆う保護シートと、保護シートの内部と外部とを連通して、空気層に外気を直接供給する第1供給部と、保護シートの内部と外部とを雪山直下の地盤内に埋設させる熱交換配管を介して連通し、空気層に外気を供給する第2供給部と、を備え、第1供給部および第2供給部の供給量を調整する供給量制御手段が設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る融雪速度調整方法では、雪山との間に空気層を密閉状態に形成可能に覆う保護シートが設けられ、雪山の冷熱を冷房熱源として利用する雪山貯蔵部の融雪速度調整方法であって、雪山の融雪時に、保護シートの内部の空気層に外気を直接供給する工程と、雪山の保温時に、保護シートの内部と外部とを雪山直下の地盤内を通過させて地盤と外気との間で熱交換をしてから、外気を空気層に供給する工程と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明では、雪山を空気層を設けて覆う保護シートの内部に、直接、または熱交換配管を介して外気を供給することで、保護シート内の圧力を一定に保持することができる。そして、外気の供給手段として、直接供給する第1供給部と、熱交換配管を通過させてから供給する第2供給部と、を選択し、かつその保護シート内の送風量を変えることで、空気層の温度を調整することができる。第2供給部では、例えば常温以上の外気が雪山直下の融雪水によって冷えた地盤内に埋設されている熱交換配管内を通過することで、その低温土壌と外気との間で熱交換が行われ、冷却された低温の外気を保護シート内に供給することができる。これにより空気層の温度を低く保つとともに、雪山の融雪速度を遅らせることが可能となる。
【0010】
例えば夏期において、融雪水の冷熱を冷房熱源として利用する際には、外気を前記第1供給部により直接、保護シート内に供給し、雪山の融雪を促進させることができる。
一方、外気温が高い場合に雪山を保存する際には、外気を前記第2供給部の熱交換配管中を通過させ、雪山直下の地盤内で熱交換された低温の外気を保護シート内に供給し、空気層の温度を低温に調整することで、融雪速度を遅らせることが可能となり、雪山の長期保存が可能となる。また、例えば冬期や春先などに雪山を保存する際には、低温の外気を前記第1供給部により直接、保護シート内に供給し、保護シートの内圧を一定に保つとともに、その空気層の温度も低温に維持し、雪山の融雪の促進を抑制することができる。
【0011】
そして、本発明では、前記第1供給部および第2供給部の選定に加え、それぞれの送風量を変更することで、空気層を所望の温度に容易に調整することができる。そのため、保護シートの外部の気象条件に応じて、適宜な融雪速度調整を行うことができる。
【0012】
また、本発明では、保護シート内に対して外気を供給する方法となるので、複数の仕切られた空気層に対して空気を送るような複雑な制御が不要となり、構造が簡単となることから、設備のコストを低減することができる。
【0014】
また、本発明に係る融雪速度調整方法では、外気温に応じて外気の供給量を調整することが好ましい。
【0015】
本発明によれば、第1供給部および第2供給部による外気の供給量を、保護シート内の温度や内圧等に応じて制御することで、融雪速度を精度良く、かつ無段階で調整することができる。そして、上記保護シート内の温度や圧力等をセンサによる検出値に基づいて自動でコントロールすることができ、作業員による調整、操作を少なくすることができ、コストの低減を図ることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る融雪速度調整システムでは、第1供給部および第2供給部には、保護シートの内部から外部への流通を規制する逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0017】
この場合、保護シート内に供給した空気が逆止弁によって保護シートの外部に抜けることがないので、保護シートの内圧が保持され、一定量で空気層が維持され、空気層の温度調整を安定させることができる。
【0018】
また、本発明に係る融雪速度調整システムでは、熱交換配管は、外周面に、長さ方向に沿って一定間隔をあけて環状リブが形成されていることが好ましい。
【0019】
この場合、複数の環状リブによって熱交換配管の外周面の表面積が大きくなり、雪山直下の地盤内の融雪水に対する接触面積が増大することから、熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る融雪速度調整システムでは、保護シートには、保護シート内の圧力の上昇に応じて、保護シートの内部から外部への空気の流通させる放出弁が設けられていることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る融雪速度調整方法では、保護シート内の圧力の上昇に応じて、保護シートの内部から外部へ空気を放出することが好ましい。
【0022】
本発明では、直射日光等によって保護シートの内圧が上昇した場合に、空気層の空気を保護シートの外部に放出させることができる。
【0023】
また、本発明に係る融雪速度調整システムでは、熱交換配管には、内部の結露水を排出する結露水排出部が設けられていることが好ましい。
【0024】
この場合には、熱交換配管内で熱交換によって生じる結露水を結露水排出部よって熱交換配管の管外に排出することができ、管内に結露水が溜まることに伴う熱交換効率の低下を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係る融雪速度調整システムでは、第2供給部には、外気を空気層に送風するための送気ファンが設けられ、送気ファンは、熱交換配管の上流側に位置するとともに、保護シートの外側に配置される外気取入れ部側に設けられていることが好ましい。
【0026】
この場合には、送気ファンが外気取入れ部側に配置されているので、前記送気ファンによって送り込まれる外気とともに熱交換配管内の結露水を結露水排出部に誘導することが可能となり、効率よく結露水を排出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法によれば、簡単、かつ低コストとなる構造により、雪山に接する空気層に対して直接、外気を供給することで、融雪速度を容易に、かつ精度良く調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態による融雪速度調整システムの全体構成を示す図である。
図2図1の融雪速度調整システムを模式的に示した図である。
図3】融雪速度調整方法を説明するための図であって、(a)は雪山の保存時を示す図、(b)は雪山の冷熱利用時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態による融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法について、図面に基づいて説明する。
【0030】
図1における符号1は、本実施の形態による融雪速度調整システムであって、冬場に積み上げて形成した雪山2の冷熱を冷房熱源として利用し、図示しない建物にその冷熱を送るための雪山貯蔵部Pに用いられる。
なお、雪山2としては、除雪による雪を利用することができ、冷熱の利用目的に応じた大きさで積み上げられる。
【0031】
具体的に融雪速度調整システム1は、雪山2との間に空気層Eを密閉状態に形成可能に覆う保護シート3と、保護シート3の内部(前記空気層E)と外部とを連通して、空気層Eに外気(第1外気R1)を直接供給する第1送気ファン4(第1供給部)と、保護シート3の内部と外部とを雪山直下の地盤G内に埋設させる熱交換配管6を介して連通し、空気層Eに外気(第2外気R2)を熱交換利用によって間接的に供給する間接送気部5(第2供給部)と、を備えている。
【0032】
保護シート3は、雪山Sの融解を遅らせる断熱材(遮熱材)の機能を有する材料であって、非浸水性で可撓性を有する薄肉の樹脂シートを用いることができ、積み上げた雪山2の上面および側面のすべてを所定の空間(上記、空気層E)をあけて覆うことが可能な大きさのものが用いられている。この保護シート3は、1枚ものでもよいし、複数に分割されたものであってもよいが、その場合、互いの連結部が接着又は溶着により気密に接続される。
また、保護シート3の外周縁部3aは、全周にわたって図示しないアンカーにより地盤Gに対して気密状態で設けられている。そして、保護シート3の内部の空気層Eには、所定の内圧が保持されるように一定の空気が給排気されている。
【0033】
図2に示すように、第1送気ファン4は、保護シート3に対して気密に貫通して配置されている。第1送気ファン4の第1吹出し部41には、保護シート3の内部から外部への流通を規制する逆止弁(図示省略)が設けられている。
【0034】
間接送気部5は、保護シート3の内部と外部とを連通するとともに、雪山直下の地盤G内に埋設された前記熱交換配管6と、この熱交換配管6の前記外部側の端部(上流側端部)に設けられた外気取入れ部7と、熱交換配管6の外気取入れ部7の下流側の位置で保護シート3の外部に配置された第2送気ファン8と、熱交換配管6の前記内部側の端部(下流側端部)に設けられた第2吹出し部9と、を備えている。
【0035】
熱交換配管6は、外気を雪山直下の冷却された地中内を通過させて保護シート3内に送るための管材であって、例えば下水道等で多く利用されている硬質塩化ビニル製管が用いられ、その外周面には長さ方向に沿って一定間隔をあけて環状リブ6aが形成されている。すなわち熱交換配管6は、上流側端部6bが保護シート3の外部の地上に向けて突出し、下流側端部6cが保護シート3の内部に配設されており、配管長さ方向の中間部分が地盤G内で延在方向を略水平に向けて埋設されている。
なお、地盤G内に埋設される部分の熱交換配管6は、直線であることに限定されず、雪山Sの直下の平面領域において蛇行させて配置されていてもよい。
【0036】
また、熱交換配管6には、管内に発生する結露水を排出するための結露水排出管11(結露水排出部)が設けられている。これにより、熱交換配管6内で熱交換によって生じる結露水を結露水排出管11によって熱交換配管6の管外に排出することができ、管内に結露水が溜まることに伴う熱交換効率の低下を防止することができる。
さらに、第2送気ファン8が外気取り入れ部7側に配置されているので、第2送気ファン8によって送り込まれる外気とともに熱交換配管6内の結露水を結露水排出管11に誘導することが可能となり、効率よく結露水を排出することができる利点がある。
【0037】
第2吹出し部9は、保護シート3の内部に配置され、保護シート3の内部から熱交換配管6を介して外部(外気取入れ部7側)への流通を規制する逆止弁(図示省略)が設けられている。
【0038】
また、保護シート3には、この保護シート3内の空気層Eから外部へ空気を流通させる放出弁12が設けられている。この放出弁12は、保護シート3内の圧力が設定圧力よりも大きくなった場合等に保護シート3の内部の空気を外部に放出して、前記保護シート3内の圧力を適正に保つものである。
【0039】
また、図1に示すように、本実施の形態の融雪速度調整システム1では、第1送気ファン4および間接送気部5の供給量を調整する供給量制御部10(供給量制御手段)が設けられている。具体的に供給量制御部10は、第1送気ファン4と第2送気ファン8に接続され、保護シート3内に設けられた温度センサ13で検出した温度に応じて、第1送気ファン4による供給手段と、第2送気ファン8による供給手段と、のいずれかが選択されるとともに、選択された一方の送気ファン4(又は8)による空気層Eに供給される送風量を制御している。ここで、温度センサ13の数量、取り付け位置などは、任意に設定することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、供給量制御部10によって自動的に第1送気ファン4、又は第2送気ファン8のオンオフ操作がなされ、及び送風量が設定されるが、自動であることに制限されることはない。例えば、供給量制御部10では、送気ファン4、8の選定とその送風量がモニタ等で表示する制御がなされ、その制御結果(表示結果)に基づいて作業員が手動で送気ファン4、8をオンオフ操作するような方法であってもよい。
【0041】
また、供給量制御部10は、保護シート3内に設けられた図示しない圧力センサの検出に応じて前記送気ファン4、8の送風量と、前記放出弁12と、をバランスよく制御することも行われている。
【0042】
以上説明した本実施形態による融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法によれば、以下の作用効果を奏する。
図1および図2に示すように、本実施の形態では、雪山2を空気層Eを設けて覆う保護シート3の内部に、直接、または熱交換配管6を介して外気を供給することで、保護シート3内の圧力を一定に保持することができる。そして、外気の供給手段として、直接供給する第1送気ファン4と、熱交換配管6を通過させてから供給する間接送気部5(第2送気ファン8)と、を選択し、かつその保護シート3内の送風量を変えることで、空気層Eの温度を調整することができる。
間接送気部5では、例えば常温以上の第2外気R2が雪山直下の融雪水によって冷えた地盤G内に埋設されている熱交換配管6内を通過することで、その低温土壌と外気との間で熱交換が行われ、冷却された低温の外気を保護シート3内に供給することができる。これにより空気層Eの温度を低く保つとともに、雪山2の融雪速度を遅らせることが可能となる。
【0043】
図3(a)に示すように、外気温が高い場合に雪山2を保存する際には、図2に示すように、外気を第2送気ファン8から熱交換配管6中を通過させ、雪山直下の地盤G内で熱交換された低温の外気を保護シート3内に供給し、空気層Eの温度を低温に調整することで、融雪速度を遅らせることが可能となり、雪山2の長期保存が可能となる。また、例えば冬期や春先などに雪山2を保存する際にも、低温の外気を第1送気ファン4により直接、保護シート3内に供給し、保護シート3の内圧を一定に保つとともに、その空気層Eの温度も低温に維持し、雪山2の融雪の促進を抑制することができる。
また、図3(b)に示すように、夏期において、融雪水の冷熱を冷房熱源として利用する際には、外気を第1送気ファン4により直接、保護シート3内に供給し、雪山2の融雪を促進させることができる。
【0044】
そして、第1送気ファン4および間接送気部5(第2送気ファン8)の選定に加え、それぞれの送風量を変更することで、空気層Eを所望の温度に容易に調整することができる。そのため、保護シート3の外部の気象条件に応じて、適宜な融雪速度調整を行うことができる。
【0045】
また、本実施の形態では、保護シート3内に対して外気を供給する方法となるので、複数の仕切られた空気層に対して空気を送るような複雑な制御が不要となり、構造が簡単となることから、設備のコストを低減することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、図1に示すように、供給量制御部10によって第1送気ファン4および間接送気部5(第2送気ファン8)による外気の供給量を、保護シート3内の温度や内圧に応じて制御することで、融雪速度を精度良く、かつ無段階で調整することができる。そして、上記保護シート3内の温度や圧力をセンサによる検出値に基づいて自動でコントロールすることができ、作業員による調整、操作を少なくすることができ、コストの低減を図ることが可能となる。
【0047】
また、保護シート3内に供給した空気が前記逆止弁によって保護シート3の外部に抜けることがないので、保護シート3の内圧が保持され、一定量で空気層Eが維持され、空気層Eの温度調整を安定させることができる。
【0048】
さらに、熱交換配管6の外周面に長さ方向に沿って一定間隔をあけて環状リブ6aが形成されているので、これら複数の環状リブ6aによって熱交換配管6の外周面の表面積が大きくなり、雪山直下の地盤内の融雪水に対する接触面積が増大することから、熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0049】
また、保護シート3に放出弁12が設けられているので、直射日光等によって保護シート3の内圧が上昇した場合に、空気層Eの空気を保護シート3の外部に放出させることができる。
【0050】
上述のように本実施の形態による融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法では、雪山2に接する空気層Eに対して直接、外気を供給することで、融雪速度を容易に、かつ精度良く調節することができる。
【0051】
以上、本発明による融雪速度調整システム、および融雪速度調整方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の本実施の形態では、熱交換配管6として、外周面に一定間隔ごとに環状リブ6aを有する硬質塩化ビニルを採用しているが、このような構成であることに制限されることはなく、例えば環状リブ6aが一定間隔でないものでもよいし、リブが環状であることにも限定されることはない。さらに、リブ自体を省略した配管であってもかまわない。
【0052】
また、本実施の形態では第1送気ファン4が保護シート3を貫通して配置されているが、この位置に限定されることはない。例えば、保護シート3と地面との間に第1送気ファン4を配置することも可能である。また、第1送気ファン4を保護シート3の外部に配置し、第1送気ファン4に接続する配管の吹出し端部を保護シート3の内部に配置させるようにしてもよい。
【0053】
また、雪山2の形状、大きさ等については、任意に設定することができ、この雪山2に対応して第1供給部と第2供給部の位置、構成を決定すればよい。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 融雪速度調整システム
2 雪山
3 保護シート
4 第1送気ファン(第1供給部)
5 間接送気部(第2供給部)
6 熱交換配管
6a 環状リブ
7 外気取入れ部
8 第2送気ファン
9 第2吹出し部
10 供給量制御部(供給量制御部)
11 結露水排出管(結露水排出部)
12 放出弁
13 温度センサ
41 第1吹出し部
E 空気層
図1
図2
図3