(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984304
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ピストンストロークの制御装置を有する投与ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 13/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
F04B13/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-557656(P2012-557656)
(86)(22)【出願日】2011年3月16日
(65)【公表番号】特表2013-522531(P2013-522531A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】IT2011000074
(87)【国際公開番号】WO2011114365
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年2月5日
(31)【優先権主張番号】RM2010A000119
(32)【優先日】2010年3月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512215255
【氏名又は名称】エタトロン ディー.エス. エスピーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】プロワッティ ド マルシス, ロベルト
【審査官】
佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−013307(JP,A)
【文献】
特開昭61−031678(JP,A)
【文献】
特開昭48−087408(JP,A)
【文献】
特開2006−093410(JP,A)
【文献】
特開2005−286163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量ポンプと、定量ポンプのピストン(3)のピストンストロークを制御し、かつ電機子を有する電磁石(1)を備える制御装置と、を備えるシステムにおいて、ポンプ部分は、前記ポンプ部分が、センサであると同時にアクチュエータであるように、前記電磁石(1)の測定および制御によって管理され、この目的のために、前記電磁石(1)が、固定プレートおよび前記ピストン(3)に固定された可動プレート(2)を備え、この場合、前記ピストンの各変位には、前記プレート間の様々な距離、したがって、前記電磁石自体のインピーダンスの様々な値が対応するようになっており、前記電磁石が、前記定量ポンプのマイクロコントローラ電子カードと接続され、該マイクロコントローラ電子カードが、インダクタンスの変動によって引き起こされる、前記電磁石のインピーダンス(Z)の値の変動を制御することによって、前記ピストン(3)の位置をリアルタイムで検出するように設計され、
前記インピーダンスにおける電流の漸進的変動を表す式であって、前記電磁石(1)の等価電気回路を示すことが可能である式は、
i(t)=(V/R)*[l−e−(R/L)t]
であり、ここで、Rは、前記電機子の純粋な抵抗であり、Lは、前記電磁石(1)のインダクタンスであり、当該インダクタンスは前記プレート(2)の変位に合わせて時間と共に変化するため、前記プレートに固定された前記ピストン(3)の変位に合わせて時間と共に変化し、Vは、印加される定電圧であり、eは、2.7182と同等であるネイピア数である、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電磁石のインダクタンスの各変動と、前記ピストンストローク、したがって、定量ポンプの様々な容量とを関連付けるように前記マイクロコントローラ電子カードをプログラムするために、プレート(2)を引き付けたり、解放したりする断続的な磁場を発生させる一連のパルスを前記電磁石(1)に印加することが考えられており、前記プレート(2)が、前記ピストン(3)に固定され、さらに該ピストン(3)が、前記定量ポンプのダイヤフラム(4)に固定されているため、前記プレート(2)が、ポンプボディ(5)内において前記ダイヤフラム(4)を変位させ、その結果、薬剤は、前記ポンプが取り付けられたシステムに送出され、これにより、前記マイクロコントローラ電子カードによって検出されるインダクタンスの各値に、正確なピストンストロークが対応付けられ、該正確なピストンストロークの値が、前記マイクロコントローラ電子カード自体のメモリに格納されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記定量ポンプの容量を一定に保つために、前記マイクロコントローラ電子カードが、前記定量ポンプ自体の最初の起動時にインダクタンスを測定するためのパルスを送信し、これにより、前記ピストンストロークと、前記電磁石のインダクタンス自体とが相互に関連付けられ、前記最初のパルスが、前記ピストン(3)に全ストロークを行わせるように設計されており、この場合、前記マイクロコントローラ電子カードが、前記電磁石(1)の電流を1ミリ秒の間隔で測定することができ、それ自身の内部メモリに、前記ピストンストロークと共に前記値を格納し、同時に、前記電磁石のインダクタンスを得ることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記マイクロコントローラ電子カードが、該マイクロコントローラ電子カードの内部メモリに含まれ、かつ前記ピストンストロークと関係付けられたインダクタンスの値と、インダクタンスの検出された値との比較にもとづいて、前記電磁石に対する衝撃電流を一定の周波数に調節することによって、前記ピストンストロークを調節するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マイクロコントローラ電子カードが、前記ピストン(3)を変位させるために、前記電磁石(1)に要求される電流を調節することによって、前記ピストンストロークを調節するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マイクロコントローラ電子カードが、不足負荷の状態を検出するために、すなわち、前記制御装置の通常作動中に前記定量ポンプのポンプボディ(5)内に添加液がないことを検出するために、前記ピストン(3)の変位の速度を検証して評価するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置が、過負荷の状態を検出するために、すなわち、前記制御装置の通常作動中の前記ポンプの供給ラインの可能的な閉塞または過度の圧力を検出するために、前記ピストン(3)の変位の速度を検証して評価するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記マイクロコントローラ電子カードによって収集された情報の遠隔取得、および/または、前記定量ポンプ自体の作動への介入のために、コンピュータまたは他の同様の電子装置を接続するためのシリアルポートを備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記マイクロコントローラ電子カードが、前記インダクタンスの値とストローク中の前記ピストン(3)がとる位置との関係を設定し、使用者によって行われる設定にもとづいて、どの位置でピストンストロークが遮断されるのかを決定するように設計され、これにより、1ミリメートルの100分の1の精度で、前記ピストンストロークを制御する可能性、したがって、添加液の各1回の注入のためのポンプ容量を制御する可能性が得られることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記マイクロコントローラ電子カードが、エネルギーの任意の無駄な浪費を防止するために、前記電磁石(1)に対する電流を制御し、電流の正確な量をもってして該電磁石(1)のソレノイドを駆動し、前記インピーダンスの計算によって前記ピストン(3)の前記ピストンストロークの前進を制御し、ポンプ容量を制御するための任意の機械的システムがなくとも、電子回路のキャリブレーションによって設定することのできる正確に規定された位置における前記ピストン(3)の前記ピストンストロークの遮断を決定することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記定量ポンプの注入量を瞬間的に変更するように前記ピストンストロークを制御するために、前記マイクロコントローラ電子カードが、所定の行程端に到達したか否かを決定し、リアルタイムで前記電磁石(1)に生じていることを制御し、前記インピーダンスを計算し、前記ピストンストロークが停止すべき正確な点を決定し、前記電磁石(1)のソレノイドが、アクチュエータの機能を行うことに加えて、センサとしても機能することを実現することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記定量ポンプが、基本的に、3つの基本的部材、すなわち、前記マイクロコントローラ電子カード、前記電磁石(1)、および前記ピストン(3)を有するポンプボディによって構成され、前記電磁石(1)が、前記マイクロコントローラ電子カードによって適切に駆動され、前記電磁石(1)が、パルスモードで、ばねによって引き戻される前記ピストン(3)を駆動することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記マイクロコントローラ電子カードが、徐々に電圧を増加させながら、前記電磁石(1)を駆動し、その一方で同時に、前記マイクロコントローラ電子カードが、考えられる最大ストロークにおける前記ピストン(3)の位置に直接関連する、インピーダンスの対応する値を得るために、前記電磁石のソレノイドを流れる電流を測定し、前記マイクロコントローラ電子カードのインターフェースを介して操作者が直接設定することのできる電位差測定調節またはデジタル調節によって、1ミリメートルの100分の1の精度で、前記ピストンの正確な停止点、すなわち、その最大ストロークを選択し、これにより、コストの掛かる特定の機械的調節または追加センサおよび電子的フィードバックの補助がなくても、前記電磁石の各1回の駆動によって注入される添加液の量を、極めて高い精度で変更することが可能であることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本的に、液体を計量供給するための電磁駆動定量ポンプの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
前記定量ポンプは、各サイクルにおいて送出される液体について容積測定型の調節を行うことによって、様々な種類の添加液を計量供給するために使用されている。このような定量ポンプは、産業用途および家庭用途の双方の多くの場面で広く使用されている装置である。これらの用途として、例えば、
飲用水の処理、
公共の水プールおよび私的な水プール、
洗車設備、
洗濯場、
電気設備、
化学産業、
冷却塔、
滴下施肥、
農業食品産業、
他、
が挙げられる。
【0003】
一般的な定量ポンプの作動の詳細に入る前に、計量供給が、いわゆるポンプボディ内にある機械部材(「膜」と呼ばれている)を脈動させることによって行われること、および、この機械部材が、ピストンに押されて、計量供給される液体を、目的に合わせて用意された、ポンプボディの供給路に注入することに留意すべきである。この場合、計量供給される液体は、この液体が注入される導管に存在する逆圧に打ち勝ちながら、処理されるシステムに誘導される。
【0004】
したがって、計量供給される液体を処理される液体と効果的に混合させるために必要な力を与えるべき主要な部材は、ピストンである。ピストンは、周期的に、吸入管からポンプボディ内に液体を吸い込み、この液体を供給管に注入する膜を動かすように設計された構成要素を構成している。
【0005】
前記ピストンは、電磁石によって駆動される。したがって、電磁石は、ポンプの基本的な部分である。電磁石は、電機子を収容した固定部分と、ピストンに固定された可動部分(「プレート」と呼ばれる)から構成されている。
【0006】
プレートが、実質的に、電磁石の磁束に向かう接近部材(closing element)を構成しており、前記磁束は、前記プレートを、電磁石の留まっている固定部分の方に引き戻すように機能し、このようにして、変位が引き起こされることに留意すべきである。
【0007】
したがって、言い換えれば、仕事を得て、液体を移動させるために、電磁石は、機械的エネルギーへの電気エネルギーの変換を可能にする。
【0008】
したがって、定量ポンプの電気的特性および機械的特性は、前記電磁石が、どのように設計、駆動、および制御されるかによって決まる。ポンプ内にある電子カードは、電磁石に電気エネルギーを供給し、最良の方法で、電磁石に供給される電気エネルギーを管理するものに他ならない。
【0009】
このように、定量ポンプの効率が高ければ高いほど、前記制御がよりよく行われることは明らかである。このことは、処理されるシステムにおいて行われる計量供給が成立するときは常に、最小限の電気エネルギー消費で、前記計量供給を連続して行う必要があるため、極めて重要な要因である。
【0010】
実際、用途によっては、各注入時に少量の液体を供給する定量ポンプが必要であり、したがって、処理を行うために必要とされる体積を計量供給することができるためには、多数の注入が必要とされる。前記目標は、ピストンストロークを調節して、一定の注入を行わせることによって達成することができる。前述のストロークの調節によって、適切に液体の体積を計量供給することができる。このように、本発明は、入力変数が、本発明の場合、電磁石に供給される電流であり、制御される変数に帰着させることのできる適切な物理量、すなわち、注入体積の制御にもとづいて、フィードバックによるシステムによって調節される閉ループ調節システムの分野に入る。
【0011】
定量ポンプは、時間と共に進歩してきたが、電磁石の進化および様々な駆動および制御のシステムの研究に追随してきた。前記研究の目標は、以下の欠点を防止することであった。
【0012】
エネルギーの浪費。これは、過去には、システムの逆圧に打ち勝つために、どれほどの力が必要であろうとも、持続時間が一定である電圧パルスが、電磁石に印加されていたという事実に起因していた。実際、処理される液体の存在するシステムの圧力が低ければ低いほど、その結果として、前記逆圧に打ち勝つために必要なスラストが小さくなるため、エネルギーの浪費は大きくなる。
【0013】
機器の過剰な加熱、特に、電磁石の過剰な加熱。これは、過去には、供給されるエネルギーが、先のポイントで説明した内容に関係がある打ち勝つ力にもとづいて制御されなかったという事実に起因していた。これに伴って、中長期にわたる電機子の抵抗の増加による性能の低下が結果的に生じていた。
【0014】
耐用年数の低下。これは、電子部品および電磁石の双方の中〜高作動温度によって引き起こされていた。
【0015】
所望のポンプ容量を得るために、ピストンストロークのキャリブレーションのための機械的手段を有する必要性。この結果、電磁石内にシムワッシャを導入する必要があった。
【0016】
機械的にのみピストンストロークを限定し、したがって、機器に供給される電気エネルギーを比例的に減少させることなく、注入量を減少させる、ストロークの調節のための機械的なシステムを備える必要性。この事実は、同じ注入ならば、プロダクトの供給が最小の場合でも、エネルギー消費のレベルが一定であることを含意している。この種の機器は、高レベルの効率性によって特徴付けられない。
【0017】
米国特許出願公開第20090206184号明細書から、アクセサリチャネル内を摺動し、かつニードル弁とは異なる可動ピストンの変位を検出するセンサを用いた燃料インジェクタの制御に関する、燃焼室への注入のためのシステムが知られている。このシステムの目的は、任意の動作不良(オンまたはオフの位置での遮断)の場合、ノズル、インジェクタ、または燃焼室の幾何学的構造が劣化した場合、注入パルスの形状を変更する必要がある場合に、インジェクタの動作を制御するために、アクセサリピストンの変位の信号を監視して処理することである。米国特許出願公開第20090206184号明細書では、ピストンの変位が、ピストン自体の2つの端部間に存在する圧力差に従属する。すなわち、上端部の圧力は、注入システムの上流に発生する供給圧力に従属し、底端部の圧力は、関連する幾何学的構造によってその体積が決まる「予備注入」室の圧力に従属する。前述した圧力差は、明らかに、供給圧力、供給周波数、およびインジェクタの状態によって決まる。事実、インジェクタの3つの状態を区別することができる。すなわち、この3つの状態というのは、閉じた状態(「オフ」)、中間の状態(「遮断」)、開いた状態(「オン」)である。これらは、それぞれ、以下の状態として規定される。オフ:ノズルは、ニードルによって閉じられており、予備注入室は、供給源と連通しており、摺動可能なピストンの端部は、同一の圧力にさらされている。遮断:ノズルは、依然として閉じられており、供給ダクトは、幾何学的に閉じられており、これにより、予備注入室と供給源とが分離されている。オン:ノズルへの流路は、開放されており、予備注入室は、供給源と連通しておらず、可動ピストンは、ノズルのポートが開くことによって発生する負圧に従って下方に変位する。
【0018】
本発明は、米国特許出願公開第20090206184号明細書の注入システムに記載されているものと比べて、一連の大幅な相違を有する。この注入システムでは、インジェクタまたは行われる制御のタイプに関係なく、供給ポンプが、完全に、インジェクタから分離されている。事実、本発明では、ポンプ作動および注入作動は、通電制御される磁石、ピストン、およびダイヤフラムを備える同一の装置によって行われる。ダイヤフラムは、液体をダクトへ押しやり、ダクトの開/閉は、もっぱら流体力学的効果のために作動する特定のバルブによって保証される。
【0019】
さらに、米国特許出願公開第20090206184号明細書は、注入条件の変化に応じて変位する補助ピストンによって得られる制御装置について記載している。この変位は、特定のセンサによって検出される。変位のデータは、上流の供給条件を修正し、予備注入室の体積および圧力を元に戻すために処理される。
【0020】
その代わりとして、本発明によれば、ポンプピストンの位置の変動に応じて磁石の電気回路自体に生じるインピーダンスの変動を測定することによって、ピストン自体の位置を決定し、このことから、流体の所定の流速を保証すために関連するエネルギーを制御することが可能である。言い換えれば、他の可動部材の間接的測定を用いる必要なく、装置の電気的特性を測定することによって、装置の変位の制御を行うことが可能である。
【0021】
最後に、米国特許出願公開第20090206184号明細書では、特定の構造における補助ピストンの位置は、追加アクチュエータによって補正することができる。センサによって検出される変位のデータは、この場合、予備注入室の体積および圧力を元に戻すためにも処理される。その代わりとして、本発明では、磁石の電気回路のインピーダンスの測定を処理することによって、ポンプピストンの位置を変動させ、したがって、流体の所定の流速を保証することが可能である。このように、予備注入室の追加アクチュエータを用いることなく、ポンプピストンに直接作用することによって、装置の変位の制御を行うことが可能である。
【0022】
結論として、2つのシステムに類似点を見出そうとするならば、次のように言うことができる。米国特許出願公開第20090206184号明細書の注入システムでは、互いに異なる部材として、ポンプ装置、インジェクタ、補助ピストン、運動センサ、および補助ピストンのアクチュエータが考えられ、ポンプ部材に対して追加された装置(センサ+アクチュエータ)を用いて検出された信号にもとづいて制御が行われる。これに対して、本特許明細書に記載された革新的なシステムは、磁石の測定および電気的制御によって、ポンプ装置のみを管理する。すなわち、ポンプアセンブリは、追加の部材をもたない、センサ兼アクチュエータなのである。
【0023】
さらに、国際公開第2007/007365号パンフレットから、インダクタンスの変動に関係して、電流のカーブに対応する変動を発生させ、電子回路が行う解析によって、プレートと電磁石の芯との接触点を特定する定量ポンプが知られている。このように、装置が、ピストンの行程端(end−of−travel)を特定し、このようにして、電磁石の駆動を中断することができ、これにより、エネルギーの無駄な浪費が防止され、したがって、製品の性能を脅かす熱の無駄な浪費が防止される。
【0024】
さらに、本発明は、インピーダンスを計算するために使用される、電流の測定を考えているが、国際公開第2007/007365号パンフレットに示されているものとは異なり、プレートの到着点、したがって、行程端を遮断することに限定されず、インダクタンスの値とストローク中のピストンがとる位置との関係を設定し、使用者が入力した設定にもとづいて、どの位置でピストンストロークを遮断するのかを決定する。本発明によって、100分の1の正確さで、ピストンストロークを制御することが、したがって、添加液の各1回の注入のためのポンプ容量を制御することが可能である。
【0025】
独国実用新案第202005013089号明細書は、装置に仕事を適切に行わせるために必要なエネルギー量を決定するために、ピストンストロークの制御を行う電子定量ポンプに関する。前記文献の分析から、この電子定量ポンプは、機械的システムによってピストンストロークを調節し、光学センサに補助されて、使用者が設定するストロークを検出し、制御信号を用いて電磁石を駆動する電子回路にデータを送信し、ポンプが行うべき仕事と同等のエネルギー含量を有することが帰結する。
【0026】
独国実用新案第202005013089号明細書と異なり、本発明は、エネルギーの無駄な浪費を防止し、これをピストンストロークを制御するための機械的なシステムに取っておくために、電磁石への電流を制御することに限定されず、正確な電流量でソレノイドを駆動し、インピーダンスの計算によってその前進を制御し、電子回路のキャリブレーションによって設定することのできる明確に定義された位置でのその遮断を決定する。言い換えれば、本発明では、ポンプ容量は機械的には制御されず、すべてが、電磁石を駆動し、ピストンの行程端を制御し、したがって、100分の1の正確さでポンプ容量を決定する電子システムに委ねられている。
【0027】
国際公開第03/023226号パンフレットは、医薬品を人体に注入するための電磁石定量ポンプについて記載している。この電磁石定量ポンプでは、装置には、バッテリーからエネルギーが供給され、装置は、供給電源と接続されていない。このため、前記文献に記載された発明は、電気エネルギーの最低限の使用による正確な計量供給を保証し、バッテリーの耐用年数を長くするとう利点を有するシステムに関する。
【0028】
国際公開第03/023226号パンフレットの分析から、スイッチおよび信号の起動によってポンプにエネルギーが供給される瞬間、アキュムレータとして機能するコンデンサは、所定の期間、充電されており、制御回路が、制御信号34およびスイッチによって、ポンプが供給する注入の開始を決定するソレノイドを駆動するまで、前記状態のままであり続けることを理解することができる。原理は、ありふれたものに思われるかもしれないが、実際は、「スマート」にコンデンサの充電/放電が制御され、駆動の瞬間に、ポンプの適切な作動に必須の最小エネルギーが引き出され、かなりのエネルギーの節約が達成される。
【0029】
結論として、国際公開第03/023226号パンフレットに記載されたシステムは、ソレノイドに使用されるエネルギーの適切な量を決定するために、電圧、および電流の漸進的変動を制御する。
【0030】
国際公開第03/023226号パンフレットと異なり、本発明は、瞬間的にポンプの注入量を修正するための、ストロークの制御にもとづいている。適切な場合には、本発明は、行程端に到達したか否かを決定することに限定されずに、磁石に生じていることにもとづいてリアルタイムで制御が行われ、インピーダンスが計算され、ピストンストロークが停止すべき正確な位置が決定される。本発明に特有の特徴によれば、ソレノイドは、アクチュエータの機能を行うだけでなく、システムのセンサの機能も行う。
【発明の概要】
【0031】
本発明の主な目的は、低エネルギー消費で高性能の、新しい、最新世代の定量ポンプを提案することによって、先に列挙したすべての欠点を克服することである。
【0032】
上記内容は、本発明によれば、電磁石のインピーダンスの値(有利なことに、例えば動作温度、機械的磨耗、および供給電圧などの外的要因に対して感受性の低い量である)の制御にもとづくストロークの革新的な調節(注入量の動的変動)を提案することによって、達成される。
【0033】
上記の種類の定量ポンプは、電流性能を改善し、エネルギー消費のレベルを最小限にまで引き下げ、同時に、磨耗しがちである機械的な装置を用いることなく、もっぱら電磁石の幾何学的形状によって決まる物理量の測定によるピストンストロークの制御にもとづいて正確な計量供給を保証することによって、既存の機器と交換できるように設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】本発明の主題を形成し、かつ電磁石が取り付けられた定量ポンプの軸方向断面図および空隙を示している拡大詳細図である。
【
図1B】電磁石を示している
図1Aの拡大詳細図を示している。
【
図2】コイルに電位差が印加される瞬間における、芯に対するプレートの変位中の位置を示している。前記変位が「ピストンストローク」として規定され得る。ピストンストロークが変動するとき、電磁石のインダクタンスの値が変化する。
【
図3】コイルに電位差が印加される瞬間における、芯に対するプレートの変位中の位置を示している。前記変位が「ピストンストローク」として規定され得る。ピストンストロークが変動するとき、電磁石のインダクタンスの値が変化する。
【
図4】コイルに電位差が印加される瞬間における、芯に対するプレートの変位中の位置を示している。前記変位が「ピストンストローク」として規定され得る。ピストンストロークが変動するとき、電磁石のインダクタンスの値が変化する。
【
図5】コイルに電位差が印加される瞬間における、芯に対するプレートの変位中の位置を示している。前記変位が「ピストンストローク」として規定され得る。ピストンストロークが変動するとき、電磁石のインダクタンスの値が変化する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、以下の詳細な説明および添付図面の参照からよりよく理解されるが、添付図面は、非限定的例としてのみ、本発明の好ましい実施形態を示している。
【0036】
本発明に係る定量ポンプは、基本的に、3つの基本的な部材、すなわち、電子カード、電磁石、およびポンプボディによって構成されている。
【0037】
システムの中核は、電磁石である。電磁石は、電子カードによって適切に管理され、好ましくは0〜360パルス/分の範囲のパルスモードで、ばねによって引き戻されるピストンを駆動する。
【0038】
本発明の根底にある進歩的なアイデアは、少しずつ電圧を増加させながら、電磁石を駆動し、その一方で同時に、前記電子システムが、考えられる最大ストロークにおけるピストンの位置に直接関連する、ソレノイドのインピーダンスの対応する値を得るために、ソレノイドを流れる電流を測定することにある。電子カードのインターフェースを介して操作者が直接設定することのできる電位差測定調節またはデジタル調節によって、100分の1の正確さで、ピストンの正確な停止点、すなわち、その最大ストロークを選択することができる。その結果、記載したポンプは、コストの掛かる特定の機械的調節または追加センサおよび電子的フィードバックの補助がなくても、電磁石の各1回の駆動によって注入される添加液の量を、極めて高い精度で変更することができる。
【0039】
記載した定量ポンプの作動について、電磁石1の可動部分(「プレート」2と呼ばれる)が、電磁石の芯に存在する磁束に接近するまで、変位させられ、これにより、プレート2に固定されたピストン3の変位が引き起こされることが考えられている。すでに述べたように、前記変位は、「ストローク」として規定される。
【0040】
電気的観点から、前記電磁石は、強磁性物質に収容された(所定の幾何学的形状の)巻線によって構成されたインダクタに他ならない。この場合、プレート2の変位に応じて閉じる傾向のある空隙が存在する。
【0041】
前記空隙は、電磁石の固定部分と可動部分との間の距離(L1、L2、L3、L4)である。この距離は、「ストローク」と一致している。可動部分(ピストンに固定されたプレート)が変位すると同時に、インダクタ自体の機械的特性が変動するため、特に、文字通り「磁気抵抗」として規定される物理的パラメータが変動するため、インダクタンスの値が変動する。
【0042】
上述した内容を考慮するなら、プレート2の変位、したがって、ピストン3の変位と、前記変位の関数としてのインダクタンスの変動との関係を正確に決定することが可能である。この理由は、関連する量を、インダクタに典型的な量、すなわち、巻線の巻数、鉄芯の断面、空隙の長さなどに帰着させることができ、したがって、数学的に計算することができるからである。
【0043】
このため、本発明は、電磁石1のインダクタンスの測定(したがって、もっぱら製品の幾何学的形状のみによって決まる物理的パラメータ、および、いかなるタイプのドリフトの影響も受けない構造的パラメータの測定)と、ピストン3の変位とを関係付ける可能性にもとづいている。
【0044】
電磁石のインピーダンスは、巻線を構成する銅に典型的な抵抗係数、巻数から帰結する誘導係数、および鉄自体の幾何学的形状によって特徴付けられることが知られている。
【0045】
機器の作動は、定電圧(V=一定)における電磁石のインピーダンスZ=V/Iの測定、および、例えば1ミリメートルの行程を得るように構成された、電磁石に供給される典型的なパルスの持続時間と等しい所定最大時間、例えば100msの間の1ミリ秒ごとの瞬間電流(I)の測定によって特徴付けられる。こうして、変位に対応する瞬間インピーダンスの100個の値が得られ、その結果、その100分の1の測定が行われる。
【0046】
すでに述べた内容について、上記ポイントにおいて言及されたインピーダンスにおける電流の漸進的変動を表す式(これによって、電磁石の等価電気回路を示すことが可能である)は、以下の通りである。
i(t)=(V/R)*[l−e
−(R/L)t]
この場合、
Rは、電機子の純粋な抵抗であり、
Lは、電磁石のインダクタンスであり(プレートの変位に合わせて時間と共に変化する)、
Vは、印加される定電圧であり、
eは、ネイピア数であり、2.7182と同等である。
【0047】
抵抗Rは、あらゆる場合に補正することのできる、温度の関数としての些細な変動を除いて、実際には一定であり続ける。極めて高い精度でストロークを調節することを望むならば、電磁石1の抵抗Rの値を補正し、電磁石1のインピーダンスをより正確に測定するために、温度センサを挿入すれば十分である。
【0048】
このようにして、インダクタンスLの変動は、電流の漸進的変動を変更し、電磁石1の幾何学的構造と数学的に関係していることが分かる。このため、定電圧における各電磁石の電流を単純にサンプリングし、ただ1度、最初の通電時に各電磁石のインピーダンスを測定することによって、これを特徴付けることが可能であり、サンプリングした値は、電磁石の作動条件のすべてにおいて繰り返される。これにより、先に言及した理由によって、ピストン3およびピストン3に固定されたプレート2の変位が示される。
【0049】
本発明によれば、インピーダンスの測定は、電磁石1に加えられる力が、システムの逆圧によっては決まらずに、注入される液体の量を決定するピストンによって行われるべきストロークによって決まる限り、機器が接続されているシステムの圧力の影響を受けないし、前記圧力の変動の影響も受けない。
【0050】
瞬間的にインピーダンスを測定することによって、さらに、送出される液体の流出を容易にするために、そのストロークの特定の位置でプレートを遮断すること、または、変位の長いパルスを維持することが可能であり、これにより、特に、粘性の液体が処理される場合に、水力効率が増加する。
【0051】
したがって、各電磁石は、インピーダンスの値が、ストロークと相互に関連付けられた、それ自身の表によって特徴付けられ、また、マイクロコントローラによって管理される。
【0052】
本発明に特有の特徴によれば、電磁石1は、電子マイクロコントローラカードと接続される。電子マイクロコントローラカードは、リアルタイムで、ピストン3の位置を、電磁石1のインピーダンスの値の変動の関数として検出し、これにより、要求に応じて、前記ピストン3のストロークを調節し、その結果、ポンプによって瞬間的に注入される液体の量を調節するように設計されている。ピストン3のストロークが大きければ大きいほど、定量ポンプの容量が大きくなる。
【0053】
プレート2に固定されたピストン3がストロークしている間、電磁石1のインピーダンスは変動する。なぜならば、ストロークの変動に対応して、電磁石の磁気回路の磁気抵抗が変動し、したがって、電磁石のインダクタンスが変動するからである。このことから、本発明によれば、先に述べたように、インピーダンスを制御することによって、ストロークが制御されると推論することができる。
【0054】
純粋に例示のために記載された実施形態の例では、工場におけるテスト工程で機器を最初に起動するとき、電子回路は、最初のパルスを供給し、これにより、ピストン3にその全ストロークを行わせて、1ミリ秒の間隔で行われる、電磁石1の電流および電圧の測定によって、それ自身の内部メモリに、ピストンのストロークの実際の値と共に、対応するインダクタンスの値を格納する。
【0055】
インダクタンスが、ストロークの些細な変動を決定することのできる物理的および機械的な特質に関するいくつかの量が変動する場合にのみ、変動する量ならば、ポンプには、ポンプ自体のライフサイクル中に行われるさらなるキャリブレーションが必要であることは明らかである。
【0056】
この場合、マイクロコントローラは、外部入力として、定量ポンプの正確な容量に関連する、ピストンストロークの所望の位置を受信し、断続的な磁場を発生させることができるように一連のパルスを供給するようにして、電磁石と接続された電源回路を管理する。このような磁場は、プレート2を引き付けたり、解放したりする。プレート2は、ピストン3に固定されており、ピストン3は、同様に、ダイヤフラム4に固定されている。プレート2は、ポンプボディ5内においてダイヤフラム4を変位させ、その結果、液剤が、水溶液に向かって送出される。
【0057】
ピストンの変位、したがって、プレートの変位中の各時間、電磁石のインピーダンスは、逐一変動し、したがって、これを検出することによって、行われるストロークが決定される。これにより、装置のマイクロコントローラにピストン自体の停止点を特定する可能性が与えられる。
【0058】
ポンプがリセットされると、ポンプ容量が、例えば要求される必要を満たすことができるようにするために、電子回路は、定量ポンプを適切に作動させるために予測される、許容できるレベルの大気温度内で、前記要求の関数としての電流を管理する。
【0059】
このようにして、有利にも、定量ポンプに求められる仕事に必要な分よりも多くのエネルギーが消費されることが回避される。また、性能のレベルは、長期間変わらず、計量供給および装置の耐用年数に有益な効果を発揮し続ける。
【0060】
前記制御装置を備える定量ポンプは、同様に、シリアルポートを介して、ポンプ自体の作動への介入を可能にするリモートコンピュータと接続されてもよい。
【0061】
これまでに記載した装置を使用する第1の利点は、定量ポンプが有効に行わなければならない仕事の関数として、したがって、定量ポンプが注入しなければならない液体の量の関数として、ピストンストローク3を調節することができることによって示される。これは、エネルギーの観点から節約になる(前記仕事に有効的に必要なレベルに限定される)だけではなく、経時的に一定である正確な計量供給が、添加液の無駄な浪費を防止するという事実により、経済的観点から使用者にとっても節約になることを含意している。
【0062】
第2の利点は、電子制御カードを介して、1ミリメートルの100分の1のオーダーの精度で、ストローク中のピストン3の位置を知ることができる点にある。
【0063】
第3の利点は、マイクロコントローラのプログラミング中にピストンストローク3を設定することができるという事実によって示される。これは、結果的に、さらなるに2重の利点、すなわち、ピストンストロークの適切な規定に必要な機械的なキャリブレーション手段の省略、および、前記省略による経済的な節約を含意している。製品の同一の構成を用いて、技術的特性の異なる定量ポンプを製造することができる。
【0064】
本発明のさらなる利点は、これまでに記載した電磁石を備える定量ポンプが、従来の定量ポンプが仕事を行う温度よりも低い温度で仕事を行い、これにより、過剰な加熱が防止されることである。これは、機械的手段によっては、電磁石に与えられるエネルギーを減少させずに、ピストンストロークの制限は行われないが、ピストンストロークの制限が、前記エネルギーを制限することによってのみ、行われるという事実からくる。
【0065】
定量ポンプのさらなる利点は、新しいシステムに適した以下に規定する2つの機能を実現する可能性に由来する。
1.「不足負荷(UNDERLOAD)」:装置の通常作動中におけるポンプボディ内の液体または添加液の不在の検出、
2.「過負荷(OVERLOAD)」:装置の通常作動中におけるポンプの供給ラインの可能的な閉塞または過度の圧力の検出。
【0066】
前記状況(不足負荷および過負荷)は、ピストンの位置およびその変位の速度の双方を電子装置の側で評価することができることによって、検出することができる。
【0067】
不足負荷の場合に、ポンプボディ内に液体または添加液がないことによって、ピストンの変位の速度が大幅に増加し、マイクロコントローラは、インダクタンスの変動をリアルタイムで制御することによって、前記状況を検出し、プログラミングステップで入力される設定にもとづいて、即座にまたは所定数のパルスの後に警戒状態の信号を伝達する。不足負荷の場合、システムには、プログラムされた明確な期間の間に所定数の注入を行う供給を開始させる再注入の手続きを考えることができる。
【0068】
過負荷機能は、電子装置のマイクロコントローラが、既知のタイプの適切な外部装置(流量センサ)の有無に関係なく、計量供給の欠如を検出することを可能にする。部分的であろうと全体的であろうと、ポンプの供給ラインの閉塞によって、ピストンの変位の速度は遅くなる。どれくらい遅くなるかは、閉塞の度合いの関数として決まる。ポンプの電子回路は、前記データを得て、所定の期間が経過すると、自身の状態を警戒状態に設定し、これにより、過負荷の状態を示す。
【0069】
本出願人の名義で提出された、「POMPA DOSATRICE DOTATA DI MEZZI DI AUTOREGOLAZIONE DELLA POTENZA ASSORBITA」(「吸収電力を自己調節するための手段を備える定量ポンプ」)という名称の伊国特許第1343207号明細書には、スイッチによってピストンストロークを制御し、行程端の近傍におけるコイルへのエネルギー供給を取り止め、これにより、エネルギーの無駄な浪費をなくす定量ポンプが記載されていることに留意すべきである。
【0070】
さらに、本出願人によってイタリアで提出された、「DISPOSITIVO DI CONTROLLO DELLA CORSA DEL PISTONE DI UNA POMPA DOSATRICE」(「定量ポンプのピストンのストロークを制御するための装置」)という名称の特許出願第RM2009A000537号明細書には、単にピストンの行程端を制御するのではなく、コンデンサのプレート間の距離にもとづいて、瞬間的にピストンの位置を検証し、電子カードによって制御を行うことによって、計量供給される添加液の正確な量を規定して確定する、電磁石と接続された容量センサを備える定量ポンプが記載されている。
【0071】
ちょうど今言及したこれらの技術的解決策と異なり、本発明は、ピストン3の位置の制御の基礎を、電磁石1のインダクタンスの測定に置いている。このようにして、行程端スイッチおよび容量センサが省略される。
【0072】
言い換えれば、電磁石1は、ポンプのアクチュエータの機能を行うことに加えて、さらに、ピストン3の位置、したがって、ポンプの容量を検出して管理する誘導センサとしても機能する。
【0073】
最後に、電子的な定量ポンプの他の手続きが、電磁石を流れる電流の制御によって、同じ目標を達成しようとしていたことが知られている。しかしながら、得られた結果は、適切かつ十分なポンプの作動を実現するものではなかった。
【0074】
本発明について、好ましい実施形態に関連して、説明および例示を行ってきたが、当業者が、産業上の本特許権の保護の範囲を逸脱することなく、この好ましい実施形態を修正および/または変更することができることは明らかである。例えば、電磁石に関して、適当なサイズの巻線および様々な幾何学的形状を有する芯を考えることができ、また、効率および熱損失の低減に対して有益な効果をもって、磁場の分散を最小化する解決策を考えることができる。
【符号の説明】
【0075】
1.電磁石
2.プレート
3.ピストン
4.ダイヤフラム
5.ポンプボディ