【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様によると、使用中異なる圧力で保持され、チャンバのうちの1つから他のチャンバにイオンを伝送するため穴により相互接続される2つのチャンバと、使用中穴を通る流量およびチャンバ間の流量を変化させるように、穴の領域を変化させる手段または第1の装置とを備える、質量スペクトロメータが提供される。
【0009】
少なくとも1つまたは両方のチャンバは、チャンバを異なる圧力で保持するため、真空ポンプに接合されることが望ましい。1つまたは両方のチャンバは、真空チャンバを含むことが望ましい。しかし、1つまたは両方のチャンバが真空チャンバ内にハウジングを有する、他の望ましさがより少ない実施形態が考えられる。例えば、本発明の実施形態による装置を、イオン移動度スペクトロメータへの入口、および/または真空チャンバ内に設置されたガス衝突セルまたは反応セルに設置してもよい。
【0010】
望ましい実施形態によると、穴は2つの真空チャンバの間に差動ポンピング開口部を備える。実施形態によると、穴は2つのチャンバの間のガス制限開口部を備える。
【0011】
質量スペクトロメータは、穴が広い領域を有するとき、穴へ、および穴を通してイオンが伝送され、穴が相対的に小さい領域を有するとき、穴への、および穴を通したイオンの伝送が妨げられるように構成されるのが望ましい。
【0012】
穴の領域が広いときチャンバ間の大量のガス流量を可能にするのが望ましく、穴の領域が小さいときチャンバ間の少量のガス流量を可能にするのが望ましい。
【0013】
第1の時間にチャンバ間のガスの流動を可能にするように望ましくは穴の領域が設定され、第2の時間にチャンバ間のガスの通過を実質的に妨げまたは減少させるよう、穴が望ましくは閉鎖または縮小されるように、穴の領域を変化させるよう構成されるのが望ましい。
【0014】
穴の領域が、繰り返し拡大および縮小または変化させられるのが望ましい。
【0015】
穴の領域が、連続したまたは周期的な方法で繰り返し拡大および縮小または変化させられるのが望ましい。
【0016】
質量スペクトロメータが、イオンが穴を通しておよび他のチャンバ内へ通過するように、望ましくはイオンを穴へ誘導または集束するよう用意される、チャンバのうちの1つの中のイオンガイドをさらに備えるのが望ましい。
【0017】
質量スペクトロメータが、穴へおよび穴を通してイオンを発する第2の装置を備えることが望ましい。第2の装置は、穴が相対的に広い領域であるとき、イオンが穴を通して発せられ、穴が相対的に広い領域である、または閉鎖されているとき、イオンが望ましくは穴を通して発せられないように穴と同期されるのが望ましい。
【0018】
第2の装置は、パルスイオン源またはイオントラップを備えるのが望ましい。
【0019】
2つのチャンバは、壁によって離隔されるのが望ましく、穴が壁内にオリフィスを備えるのが望ましい。
【0020】
壁は通常、均一の厚さを有するのが望ましいが、その一部で減少した厚さを有するのが望ましく、オリフィスが前記減少した厚さを有する壁の一部を貫通して設けられるのが望ましい。
【0021】
穴がチャンバ間の壁内にオリフィスを備えるのが望ましく、質量スペクトロメータがさらにオリフィス閉鎖部材を備えるのが望ましく、量を変化させることによりオリフィスを覆い、従って変化する量に対応することにより穴の領域を変更するように、オリフィス閉鎖部材がオリフィスに対して移動可能である。
【0022】
オリフィス閉鎖部材は、プレートにより形成されるのが望ましい。
【0023】
オリフィス閉鎖部材が少なくとも1つの開口部および非開口部分を備えるのが望ましく、穴の領域を拡大するように開口部が相対的によりオリフィスと整列される位置と、穴の領域を縮小するように開口部がよりオリフィスと整列されない異なる位置との間を移動可能であるように、オリフィス閉鎖部材が用意および適合される。
【0024】
オリフィス閉鎖部材が少なくとも1つの開口部および非開口部分を備えるのが望ましく、穴を閉鎖するように非開口部分がオリフィスを覆う位置と、ガスおよび/またはイオンが穴を通過できるように、開口部がオリフィスと少なくとも部分的に整列される異なる位置との間を移動可能であるように、オリフィス閉鎖部材が用意および適合される。
【0025】
オリフィス閉鎖部材は、位置へ回転されまたは回転可能であることが望ましい。実施形態によると、位置の間を移動するように、オリフィス閉鎖部材を連続したまたは段階的方法で軸の周辺を回転してもよい。
【0026】
他の実施形態によると、穴が絞りによって提供され、絞り内の穴が直径において変動可能である。
【0027】
他の実施形態によると、穴が変形可能な導管により設けられ、導管は導管を通る穴の領域を縮小するように圧縮可能または変形可能である。
【0028】
本発明の態様によると、穴およびチャンバ間を通るガス流量を変化させるように、穴の領域を変化させるステップを含む、2つのチャンバが、チャンバのうちの1つから他のチャンバにイオンを伝送するため穴により相互接続される、異なる圧力で保持される質量スペクトロメータ内の2つのチャンバの間のガスの流動を制御する方法が提供される。
【0029】
本発明は、前述の方法を含む質量分析方法も提供する。
【0030】
実施形態によると、質量スペクトロメータはさらに、下記を有してもよい。(a)(i)エレクトロスプレーイオン化(”ESI”)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(”APPI”)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(”APCI”)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(”MALDI”)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(”LDI”)イオン源、(vi)大気圧イオン化(”API”)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(”DIOS”)イオン源、(viii)電子衝撃(”El”)イオン源、(ix)化学イオン化(”CI”)イオン源、(x)電界イオン化(”Fl”)イオン源、(xi)電界脱離(”FD”)イオン源、(xii)誘導結合プラズマプラズマ(”ICP”)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(”FAB”)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(”LSIMS”)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(”DESI”)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射線イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、(xviii)サーモスプレーイオン源、(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(”ASGDI”)イオン源、および(xx)グロー放電(”GD”)イオン源からなる群から選択されるイオン源、および/または(b)1つまたは複数の連続したまたはパルスイオン源、および/または(c)1つまたは複数のイオンガイド、および/または(d)1つまたは複数のイオン移動分離装置、および/または1つまたは複数の電界非対称イオン移動度スペクトロメータ装置、および/または(e)1つまたは複数のイオントラップ、または1つまたは複数のイオントラッピング区域、および/または(f)(i)衝突誘起解離(”CID”)断片化装置、(ii)表面誘起解離(”SID”)断片化装置、(iii)電子移動解離(”ETD”)断片化装置、(iv)電子捕捉解離(”ECD”)断片化装置、(v)電子衝突または電子衝撃解離断片化装置、
(vi)光誘起解離(”PID”)断片化装置、(vii)レーザ誘起解離断片化装置、(viii)赤外線誘起解離装置、(ix)紫外線誘起解離装置、(x)ノズルスキマーインタフェース断片化装置、(xi)インソース断片化装置、(xii)インソース衝突誘起解離断片化装置、(xiii)熱または温度源断片化装置、(xiv)電界誘起断片化装置、(xv)磁界誘起断片化装置、(xvi)酵素切断または酵素分解断片化装置、(xvii)イオン−イオン反応断片化装置、(xviii)イオン−分子反応断片化装置、(xix)イオン−原子反応断片化装置、(xx)イオン−準安定イオン反応断片化装置、(xxi)イオン−準安定分子反応断片化装置、(xxii)イオン−準安定原子反応断片化装置、(xxiii)付加イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン反応のイオン−イオン反応装置、(xxiv)付加イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン反応のイオン−分子反応装置、(xxv)付加イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン反応のイオン−原子反応装置、(xxvi)付加イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン反応のイオン−準安定イオン反応装置、(xxvii)付加イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン反応のイオン−準安定分子反応装置、(xxviii)付加イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン反応のイオン−準安定原子反応装置、および(xxix)電子イオン化解離(”EID”)断片化装置からなる群から選択される1つまたは複数の衝突セル、断片化セル、または反応セル、および/または(g)(i)四重極質量分析計、(ii)2Dまたは直線状四重極質量分析計、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析計、(iv)ペニングトラップ質量分析計、(v)イオントラップ質量分析計、(vi)磁場型質量分析計、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(”ICR”)質量分析計、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(”FTICR”)質量分析計、(ix)静電気またはオービトラップ質量分析計、(x)フーリエ変換静電気またはオービトラップ質量分析計、(xi)フーリエ変換質量分析計、(xii)飛行時間型質量分析計、(xiii)直交加速飛行時間型質量分析計、および(xiv)線形加速飛行時間型質量分析計からなる群から選択される質量分析計、および/または(h)1つまたは複数のエネルギー分析器または静電エネルギー分析器、および/または(i)1つまたは複数のイオン検出器、および/または(j)(i)四重極質量フィルタ、(ii)2Dまたは直線状四重極イオントラップ、(iii)ポールまたは3D四重極イオントラップ、(iv)ぺニングイオントラップ、(v)イオントラップ、(vi)磁場型質量フィルタ、(vii)飛行時間型質量フィルタ、および(viii)ウイーンフィルタからなる群から選択される1つまたは複数の質量フィルタ、および/または(k)イオンパルス化装置またはイオンゲート、および/または(I)実質的に連続したイオンビームをパルスイオンビームに変換する装置。
【0031】
質量スペクトロメータはさらに、下記のいずれかを有してもよい。(i)外側の樽状の電極および同軸の内側のスピンドル状の電極を備え、動作の第1の様式でイオンがCトラップに伝送され、それからオービトラップ(RTM)質量分析計に注入され、動作の第2の様式でイオンがCトラップに伝送され、それから衝突セルまたは電子移動解離装置に伝送され、少なくともいくばくかの量のイオンが断片イオンに断片化され、断片イオンがそれからオービトラップ(RTM)質量分析計に注入される前にCトラップに伝送される、Cトラップおよびオービトラップ(RTM)質量分析計、および/または(ii)複数の電極を備え、それぞれが開口部を有し、それを通して使用中イオンが伝送され、イオンパスの長さに沿って電極の離間が増加し、イオンガイドの上流区域内の電極の開口部が第1の直径を有し、イオンガイドの下流区域内の電極の開口部が第1の直径より小さい第2の直径を有し、使用中ACまたはRF電圧の逆相が連続する電極に印加される、積層リングイオンガイド。
【0032】
質量スペクトロメータの2つ以上の真空区域を離隔する穴を生成し、穴の物理的寸法が時間と共に変化されうるのが、望ましい実施形態の目的である。これは、穴を通る時間平均ガス流量の減少を可能にする。
【0033】
望ましい実施形態の付加的な特徴は、可能な限り薄い穴を提供することである。
【0034】
本発明の望ましい実施形態で、イオントラップのようなイオン貯蔵装置が穴の上流に設けられることが望ましい。イオン貯蔵装置を、穴が開放されているまたは最大寸法のときに穴を通してイオンを輸送し、穴が閉鎖されているまたは寸法が縮小したときにイオンを蓄積、またはそうでなければ通過を防ぐよう使用してもよい。
【0035】
例示のみの目的で、種々の本発明の実施形態を、例示の目的のための他の取り合わせと共に以下の添付の図を参照して記載する。