(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記剥離層を、前記仮硬化状態で基材フィルムよりも伸展性の高い樹脂で構成し、転写用フィルムを伸展して被加飾対象に貼り付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の転写用フィルムによる加飾方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ハードコート剤を半硬化状態で塗布した転写フィルムは、高価であるといった問題点がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、転写用フィルムによる加飾にあたり、ハードコート層にクラックが発生せず且つ安価に製造できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明に係る転写用フィルムによる加飾方法は、基材フィルムに対して上層側に加飾印刷層、下層側に紫外線硬化樹脂からなる剥離層を形成し、前記加飾印刷層側を被加飾対象の表面に貼り付け、前記基材フィルムを剥離層から剥離させることで加飾を行う転写用フィルムによる加飾方法であって、転写用フィルムを被加飾対象に貼り付けた後に前記剥離層を硬化させて硬度を増加させることを特徴とする。
【0008】
基材フィルムに対して形成した紫外線硬化樹脂からなる剥離層を硬化前の伸展性の高い状態で前記被加飾対象側に貼り付けると、基材フィルムの変形に伴いクラックが生じることなく剥離層を伸展させることができる。その後、剥離層に所定エネルギーの紫外線を照射して硬度を増加させ、ハードコート層とする。このようにすれば、表面にクラック等が発生するのを防止できる。また、ハードコート剤を塗布した高価な市販の転写用フィルムを用いる必要がないので安価に加飾を行える。なお、通常の場合、基材フィルムを剥離してから、基材フィルムの上から紫外線照射して剥離層を硬化させているが、基材フィルムを特に離型性の優れた材料によって形成できれば、剥離してから紫外線照射しても良い。また、転写層の貼り付けは、転写層の下層に設けた接着層により行っても良いし、被加飾対象側に設けた接着層により行っても良い。また、前記加飾印刷層は、紫外線硬化樹脂及び有機溶剤系樹脂のいずれでも良い。紫外線硬化樹脂を用いた場合、剥離層と同様に硬化前の状態でも被加飾対象物に貼り付けることができる。有機溶剤系樹脂の場合、基材フィルムより伸展性の優れた材料により形成すれば、転写の際の基材フィルムの伸展に追従できるので、加飾印刷層にクラックが生じることがない。
【0009】
本願発明に係る転写用フィルムによる加飾方法は、前記加飾印刷層に、前記剥離層に用いた紫外線硬化樹脂の硬化条件と異なる紫外線の波長及び/又は照射エネルギーにより硬化する紫外線硬化樹脂を用い、当該加飾印刷層を選択的に硬化させるようにするのが好ましい。
【0010】
即ち、剥離層と加飾印刷層との硬化のための紫外線波長や照射エネルギーが異なれば、加飾印刷層の紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線を照射しても剥離層の紫外線硬化樹脂が硬化することはない。このため、特定波長やエネルギーの紫外線照射して加飾印刷層を硬化させた状態でも前記剥離層が硬化せず高い伸展性を保つことができるため、転写用フィルムを伸展させて貼り付けても、当該剥離層にクラックが生じることはない。
【0011】
本願発明に係る転写用フィルムによる加飾方法は、更に、前記剥離層及び/又は加飾印刷層を、前記仮硬化状態で基材フィルムよりも伸展性の高い樹脂で構成し、転写用フィルムを伸展して被加飾対象に貼り付けるようにするのが好ましい。
【0012】
例えば被加飾対象の湾曲面等に前記基材フィルムを伸展して貼り付ける場合、剥離層及び/又は加飾印刷層が基材フィルムよりも伸展性が高ければ当該基材フィルムの変形に追従して変形する。そして、被加飾対象側から本硬化させることで、湾曲面でもクラックを生じさせることなく加飾できる。
【0013】
第2の発明に係る転写用フィルムは、基材フィルムに対して上層側に加飾印刷層、下層側に紫外線硬化樹脂からなる剥離層を形成し、前記加飾印刷層側を被加飾対象の表面に貼り付け、前記基材フィルムを剥離層から剥離させることで加飾を行う転写用フィルムにおいて、前記加飾印刷層に、前記剥離層に用いた紫外線硬化樹脂の硬化条件と異なる紫外線の波長及び/又は照射エネルギーにより硬化する紫外線硬化樹脂を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、転写層が仮硬化状態で本発明の転写用フィルムを被加飾対象に貼り付け、その後、転写層に紫外線を照射して本硬化することで、転写層の表面にクラック等が発生するのを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る転写用フィルムの構造を示す断面図であり、(a)は基材フィルムの剥離前の状態、(b)は転写用フィルムを製品表面に貼り付け、基材フィルム1を剥離した状態を示す。この転写用フィルム100は、表面に所定の凹パターン6が形成された基材フィルム1と、基材フィルム1の下層に設けたハードコート層(保護層)を兼用した剥離層2と、剥離層2の下層にインクジェット印刷等により形成した形状、模様、色彩又はこれらの結合からなる加飾印刷層3と、加飾印刷層3の下層に設けた接着層4とからなる。被加飾対象である製品Sには、接着層4を介して前記剥離層2と加飾印刷層3が貼り付けられて前記基材フィルム1の凹パターン6が転写された凸パターン7が形成されることから、この剥離層2及び加飾印刷層3を転写層5という。
【0017】
図2は、
図1に示した転写用フィルムによる加飾方法を示すフローチャートである。
【0018】
[ステップS1:基材フィルムの製造]
基材フィルム1は、剥離性の高いオレフィン系の樹脂からなり(詳細は後述)、その表面の前記凹パターン6は、基材フィルム1の厚み方向に形成される。この凹パターン6には、断面がV字形状や逆台形等も含まれるものとする。なお、基材フィルム1表面の凹パターン6以外の部分は凸パターン7として観念できるが、以下では便宜のため基材フィルム1表面の凹凸形状は凹パターン6として説明する。
【0019】
図3は、基材フィルムの製造方法の一例を示す説明図である。まず、
図3(a)に示すように、金属製のローラー51の表面に、剥離層2の表面に形成したい凸パターン52をヘアライン加工機等により形成する。
【0020】
続いて、
図3(b)に示すように、平面度の高いテーブル53の上に基材フィルム1の素材54を塗布する。基材フィルム1は、離型性の高いオレフィン系の樹脂からなる。例えば、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂(EVA樹脂)、ポリオレフィン系軟質樹脂(TPO樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)等を挙げることができる。これらのオレフィン系樹脂の中でも、発明者らによる試作研究により、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)が基材フィルム1として最も好ましい剥離性を持つことがわかった。なお、当該基材フィルム1の厚さは50〜250μmが好ましく、100〜180μmがより好ましい。
【0021】
次に、
図3(c)に示すように、前記ローラー51をテーブル53に塗布した基材フィルム1の素材54の上を転がし、ローラー面の凸パターン52を基材フィルム1の凹パターン6として転写する。これにより、
図3(d)に示すように、所定の凹パターン6が基材フィルム1の表面に形成される。続いて、この凹パターン6を形成した基材フィルム1を架橋させ、
図3(e)に示すような所定の凹パターン6を有する基材フィルム1が完成する。
【0022】
[ステップS2:剥離層の形成]
基材フィルム1に対する下層側に前記剥離層2を形成する。剥離層2には、透明の紫外線硬化型(UV硬化型)の樹脂系材料が用いられる。特に、ハードコート層を兼用する場合、主成分がポリマー型アクリレートやウレタンアクリレートを用いるのが好ましい。
【0023】
剥離層2に用いる他のアクリレート系樹脂として、例えばウレタン系メタアクリレート、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビスフェノールAD系、水添加型ビスフェノールA系、ダイマー酸変性系等からなるエポキシ系アクリレートまたはエポキシ系メタアクリレート、ポリエステル系アクリレート、ポリエステル系メタアクリレート、シリコーン系アクリレート、シリコーン系メタアクリレート、アルキッド系アクリレート、アルキッド系メタアクリレート等を用いることもできる。
【0024】
この剥離層2は、インクジェット印刷により形成するのが好ましいが、コーター、グラビア印刷、スクリーン印刷により形成しても良い。剥離層2の厚さはバインダーを含んだ状態で10μm〜50μm程度、乾燥後の仮硬化状態で5μm〜15μmである。
【0025】
[ステップS3:剥離層の仮硬化]
剥離層2として例えばポリマー型アクリレートを用いる場合、ドライヤーにより70℃の温度で5分間加熱することで仮硬化が可能であり、その際の引張伸度(JIS K7127)は約50%である。なお、自然乾燥により仮硬化させても良い。仮硬化時の硬度は、鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4 塗料一般試験法、塗膜の機械的性質、引っかき硬度(鉛筆法))でF程度となる。即ち、ポリマー型アクリレートからなる剥離層2は、仮硬化状態で鉛筆硬度がF程度であるため基材フィルム1に対して高い剥離性を有し、且つ、引張伸度も高いために転写用フィルム100の伸展性、柔軟性の向上に貢献する。
【0026】
[ステップS4:加飾印刷層の形成]
仮硬化させた剥離層2の表面であって基材フィルム1に対する上層側に加飾印刷層3を形成する。加飾印刷層3は、紫外線硬化型のインクを用いてインクジェットにより描画された印刷描画層と、この印刷描画層の彩度を上げる白トナーをインクジェット印刷した白押さえ層とからなる。前記UVインクには、イソボルニルアクリレート(約50重量%)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(約20重量%)変性アミンアクリレートオリゴマー(約10〜25重量%)を主成分としたものを用いることで、高い引張伸度を得ることができる。加飾印刷層3の厚みは、5〜40μmが好ましく、20〜30μmがより好ましい。
【0027】
なお、加飾印刷層3は、インクジェットの他、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法、オフセット印刷法、熱転写印刷法等を用いて形成しても良い。なお、印刷デザインの内容によっては、白押さえ層は省略可能である。白押さえ層は、スクリーン印刷により形成しても良い。加飾印刷層3のUVインクは、主波長380nm付近で硬化する特性を有するものとし、硬化に必要なエネルギーは、300mJ/cm
2である。
【0028】
[ステップS5:加飾印刷層の仮硬化]
加飾印刷層3は、剥離層2の表面に形成後、インクジェットプリンタに内蔵された主波長が380nmのLEDによる紫外線照射を300mJ/cm
2の低エネルギーで行い、硬化させる。仮硬化の状態でインクの引張伸度(JIS K7127)は、100%程度となる。仮硬化時の硬度は、鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4 塗料一般試験法、塗膜の機械的性質、引っかき硬度(鉛筆法))でF〜H程度となる。
【0029】
ここで、加飾印刷層3に紫外線照射した場合、当該加飾印刷層3が薄いため紫外線が透過して剥離層2に至ることになるが、LEDによる紫外線照射が波長380nmで且つ低エネルギーで行われるため、剥離層2の硬化は促進されず、仮硬化状態が維持される。なお、加飾印刷層3に用いる材料や粘度によっては、この時点で硬化させなくても良く、製品Sに対して貼り付けた後に上記条件の紫外線を照射して硬化させても良い。
【0030】
[ステップS6:接着層の形成]
硬化させた加飾印刷層3の表面に接着層4を形成する。接着層4には、例えば主要成分がシクロヘキサノンからなるものを用いる。その他、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂を用いることもできる。接着層4の厚さは、貼り付ける製品Sの樹脂の種類により異なるが、一般的な厚さとしては5〜30μm程度とする。
【0031】
[ステップS7:転写用フィルムの製品への貼り付け]
次に、転写用フィルム100を製品Sに貼り付ける。製品Sへの貼り付けは、例えばIML(In-Mold Lamination)技術により行う。IMLにおいては、転写用フィルム100を所定の金型内に配置し、金型を閉じた状態で製品S表面に転写用フィルム100を貼り付ける。なお、転写用フィルム100の貼り付けには、IMLの他、ロール式又はアップダウン式の熱転写や真空プレス転写等を用いても良い。
【0032】
転写層5は、本硬化前であれば平面方向に1.5〜2.0倍程度の高い伸展性を有するので、転写用フィルム全体の伸びは、基材フィルム1の伸びに依存することになる。上記の通り、基材フィルム1はPP樹脂又はPE樹脂が好適な材料であり、その厚さは例えば140μm程度であるから、20〜30%の引張伸度が期待できる。
【0033】
特に、本発明に係る転写用フィルム100を製品Sの湾曲部(又はコーナー部)に貼り付ける場合、前記基材フィルム1自体が伸展性を有すること及び前記転写層5が仮硬化状態で高い引張伸度を有することから、当該転写用フィルム100が全体として高い伸展性、柔軟性を持つことになる。このため、
図4(a)に示すように、製品Sの湾曲部(又はコーナー部)に沿って転写用フィルム100を伸展して貼り付けても、転写層5が基材フィルム1の変形や伸びに追従するので、湾曲部に無理なく貼り付けることができる。
【0034】
[ステップS8:基材フィルムの剥離]
次に、基材フィルム1を剥離層2から剥離する。基材フィルム1は剥離性、伸展性を有するため、
図4(b)に示すように、剥離層2から剥離し易く、また、剥離した後も再利用が可能である。基材フィルム1を再利用する際は、付着したゴミや剥離層2の成分等をクリーナー等で除去するのが好ましい。
【0035】
[ステップS9:剥離層の本硬化]
基材フィルム1の剥離後、剥離層2の本硬化を行う。剥離層2の紫外線による本硬化は、例えば上記ポリマー型アクリレートの場合、高圧水銀ランプ(80W/cm)により行う。高圧水銀ランプの主波長は365nmであり、254nm、313nm、405nm、436nmの波長成分が強く出るので、ポリマー型アクリレートからなる剥離層2の硬化に好適である。紫外線照射のエネルギー条件は、500mJ/cm
2である。
【0036】
なお、剥離層2の硬化に適する紫外線波長及びエネルギーが実現できるのであれば、LED、水銀ランプ、メタルハライドランプ等も使用できる。この本硬化により、前記剥離層2はハードコート層として機能する。
【0037】
また、必要に応じて、加飾印刷層3に特定波長の紫外線を照射して仕上げ硬化させても良い。加飾印刷層3の仕上げ硬化には、主波長が380nmのLEDランプを用いる。また、本硬化における紫外線照射のエネルギー条件は、300mJ/cm
2以上とする。
【0038】
以上の転写用フィルム100によれば、製品Sに貼り付けた後に剥離層2を本硬化させるので転写層5にクラック等が生じるのを防止できる。このため、品質の高い加飾を行える。また、ハードコート剤を塗布した高価な市販の転写用フィルムを用いる必要がないので安価に加飾を行える。更に、基材フィルム1の凹パターン6に沿って剥離層2の表面に凸パターン7が形成されるので、微細な凸パターン7を簡単に表現できる。これにより、製品S表面に対して高いレベルの加飾が行えるようになる。また、転写用フィルム100が高い伸展性、柔軟性を備えているので、製品Sの湾曲部分やコーナー部分にも自然に貼り付けが可能である。また、基材フィルム1は再利用できるので、転写用フィルム100の生産効率が良くなる。
【0039】
なお、
図5に示すように、基材フィルム1の表面に離型層61を形成しても良い。特に、離型性が若干劣るポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)を用いる際に有効である。離型性のある別の素材を積層すると前記凹パターン6が埋もれてしまうため、離型層61はレーザ等による表面改質層として設けるのが好ましい。
【0040】
また、基材フィルム1は、剥離層2を本硬化した後に剥離しても良い。基材フィルム1はPE、PPからなり、その厚さは50μm〜150μm程度であるから、基材フィルム1は十分に紫外線を透過する。このため、基材フィルム1の上から紫外線を照射しても、剥離層2の本硬化が可能である。
【0041】
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態2に係る転写用フィルムを示す断面図である。この転写用フィルム200では、実施の形態1の剥離層2と加飾印刷層3(印刷描画層)とを同じ層に形成することで転写層205とした点に特徴がある。具体的には、基材フィルム1に対してインクジェットにより加飾印刷層231を直接描画し、実施の形態1と同様の方法で硬化させる。UVインクは実施の形態1と同じものを用いる。続いて、描画した加飾印刷層231のインクの上から剥離層2を塗布し、上記実施の形態1と同様の方法で仮硬化させる。これにより、転写層205が仮硬化状態の転写用フィルム200となる。基材フィルム1は上記実施の形態1と同じ材料からなり、且つ、転写層205は本硬化前の状態であるから、転写用フィルム200は高い伸展性、柔軟性を備えたものとなる。
【0042】
転写用フィルム200を製品Sの表面に貼り付けた後、基材フィルム1を剥離し、剥離層2を実施の形態1と同様の条件で本硬化させる。剥離層2及び印刷描画層231は、本硬化によりハードコート層として機能する。また、転写層205の表面に凸パターン7が現れる。更に、剥離層2の表面には、一部印刷描画層231が露出した状態になるので、実施の形態1による加飾と異なる美感を備えたものとなる。なお、上記剥離層2に実施の形態1の着色剤を混合して着色を施しても良い。
【0043】
なお、上記実施の形態1及び2では離型層2を仮硬化するようにしたが、離型層2の粘度や材料によっては仮硬化することなく高い伸展性を保持できる。係る場合は、上記仮硬化の工程を省略し、剥離層2の材料を印刷若しくは塗布したままで硬化前の剥離層2として使用できる。更に、剥離層2に対して加飾印刷層3を積層形成すれば、基材フィルム1と加飾印刷層3との間で剥離層2が保持されるので、仮硬化をしなくても転写フィルムのハンドリングを容易に行える。
【0044】
また、上記実施の形態から、以下のように発明を特定することもできる。
第1の発明に係る転写用フィルムは、基材フィルムの表面に製品表面を加飾する転写層を備えた転写用フィルムであって、前記基材フィルムが、前記転写層との界面に沿って剥離可能な離型性を有すると共にその表面に厚さ方向の凹凸が形成され、前記転写層が、基材フィルムよりも伸展性の高い樹脂からなることを特徴とする。
【0045】
転写用フィルムを製品の表面に貼り付け、前記基材フィルムを前記界面に沿って転写層から剥離させると、当該転写層の表面に基材フィルムの凹凸に対応する凹凸が転写される。これにより、製品表面に凹凸形状の加飾を容易に施すことができる。また、転写層は基材フィルムより高い伸展性を有するので、製品に貼り付ける際に転写用フィルムの変形や伸びに追従して変形する。このため、曲面を有する製品であっても、転写用フィルムを確実に貼り付けられるので、きれいな加飾ができるようになる。また、上記基材フィルムは剥離後も再利用できるので、微小凹凸形状を有する高価な基材フィルムを有効利用できる。なお、前記転写層は、ハードコート層を兼用した剥離層とインクジェットによる加飾印刷層との組み合わせから構成されても良いし、無色又は着色した剥離層のみから構成されても良いし、インクジェットによる加飾印刷層のみから構成されても良い。また、前記基材フィルムは、紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂に対して離型性が高いとされる材料により形成するか又は離型性を改善できる表面改質を施したものとする。
【0046】
第2の発明に係る転写用フィルムは、第1の発明において、更に、前記転写層は、前記基材フィルムとの界面に沿って剥離可能な剥離層と、当該剥離層の下層に設けた加飾層とからなることを特徴とする。
【0047】
剥離層を設けることで基材フィルムと剥離層との界面で当該基材フィルムをきれいに剥離できる。このため、基材フィルムの凹凸形状が目論見通りにきれいに転写される。また、剥離層の下層の加飾層が剥離層を通じて見える。このため、製品の加飾性がより向上する。
【0048】
第3の発明に係る転写用フィルムは、第1又は第2の発明において、更に、前記転写層は、仮硬化状態であることを特徴とする。
【0049】
仮硬化状態の樹脂は本硬化の状態よりも伸展性が高いため、その結果、転写用フィルム全体の伸展性が向上する。転写層の本硬化前に転写用フィルムを製品の表面に貼り付けるようにすれば、曲面を有する製品であっても、転写用フィルムが柔軟に変形して確実に貼り付けられる。貼り付け後、転写層を本硬化させてから前記基材フィルムを剥離することで、凹凸形状のきれいな加飾が実現できる。
【0050】
第4の発明に係る転写用フィルムは、第1から第3のいずれかの発明において、更に、前記基材フィルムは、オレフィン系樹脂からなることを特徴とする。
【0051】
即ち、基材フィルム自体をオレフィン系の樹脂により形成することで高い離型性が得られる。このため、転写層との剥離性が高くなり、基材フィルムの凹凸形状が目論見通りにきれいに転写される。
【0052】
第5の発明に係る転写用フィルムの基材フィルムは、製品表面を加飾する転写層を形成する基材フィルムであって、前記基材フィルムが、前記転写層との界面に沿って剥離可能な離型性を有すると共にその表面に厚さ方向の凹凸が形成されていることを特徴とする。