(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984385
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ウェットティシュー包装体及び蓋シール
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20160823BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K7/00 C
B65D83/08 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-287451(P2011-287451)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136393(P2013-136393A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】開原 加奈
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−126115(JP,A)
【文献】
実開昭60−179692(JP,U)
【文献】
米国特許第05664677(US,A)
【文献】
特開2001−027015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェットティシューを収納する包装袋と、該包装袋の使用時に上を向く面に設けた取出口と、該取出口を繰り返し開閉すべく前記包装袋と当接する部分は粘着面となっており前記取出口に当接する部分は非粘着面となっている蓋シールと、を備えるウェットティシュー包装体において、
前記蓋シールを開ける際の端である摘み部を巻き取り部材とし、
前記蓋シールを開ける際には該巻き取り部材を転がして蓋シールを巻き取るように開け、閉める際には前記巻き取り部材を逆向きに転がして蓋シールを戻すようにすることを特徴とするウェットティシュー包装体。
【請求項2】
前記蓋シールの粘着面の巻き取り方向の長さが、前記巻き取り部材の外周の長さよりも長いものであり、
前記蓋シールを巻き取って前記蓋シールを開けた状態で、前記蓋シールの粘着面の一部が前記蓋シールの表に粘着することにより、前記蓋シールを開けた状態を保持することを特徴とする請求項1に記載のウェットティシュー包装体。
【請求項3】
前記巻き取り部材は、外筒と該外筒に対して前記巻き取り部材の中心軸を中心として回転可能な芯部材との二重構造を有し、
前記外筒は前記蓋シールを巻き取るべく前記蓋シールに固定され、
前記芯部材は、使用者がそれを把持することができる形状を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウェットティシュー包装体。
【請求項4】
前記芯部材は、使用者の指先を挿入することができる形状を有し、
使用者が前記芯部材に指先を挿入して蓋シールの巻き取り方向に指を移動させることにより前記外筒が前記蓋シールを巻き取って開ける状態にし、逆方向に移動させることにより前記外筒が前記蓋シールを巻き戻して閉める状態にすることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のウェットティシュー包装体。
【請求項5】
ウェットティシューを収納する包装袋と、該包装袋の使用時に上を向く面に設けた取出口と、該取出口を繰り返し開閉すべく前記包装袋と当接する部分は粘着面となっており前記取出口に当接する部分は非粘着面となっている蓋シールと、を備えるウェットティシュー包装体の蓋シールであって、
前記蓋シールの摘み部を巻き取り部材とし、
前記蓋シールを開ける際には該巻き取り部材を転がして蓋シールを巻き取るように開け、閉める際には前記巻き取り部材を逆向きに転がして蓋シールを戻すようにすることを特徴とするウェットティシュー包装体の蓋シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運び用のウェットティシュー包装体及びそれを開閉するための蓋シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばアルコールなどの成分を含ませた使い捨てのティシューを持ち歩き、外出先などで汚れ落としや除菌目的に用いるもの、いわゆるウェットティシューが普及している。
こうした持ち運び用のウェットティシューの包装体としては、一部にアルミニウム等を用いた包装袋と、その包装袋の上部(使用時に上を向く面)に設けた取り出し口と、その取り出し口を繰り返し開閉する蓋シールと、を備える構成が知られている(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【0003】
ところで、この蓋シールについては、開封時に使用者がウェットティシューの取り出しの邪魔にならないようにするとともに、蓋シールの粘着面に薬液がついて粘着力を弱くすることを防止するための発明がなされている。
特許文献1にあっては、開封時、蓋シールが所定の位置で止まり、且つ取出口方向に倒れてこないようにするため、蓋シールに固定端、封止部、ヒンジ部を有する。
また、特許文献2にあっては、開封時、蓋を立った状態にするため、蓋シールのシールストッパー間に、蓋起立用切り込みを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−017037号公報
【特許文献2】特開平09−117387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、蓋シールが複雑な構造となる。特許文献2では、切り込み部は非粘着性の部材とする必要があるため、非接着性の樹脂層を形成する加工を要する。
一方で、特許文献1,2とも、開封時に蓋シールの粘着部がすべて空気中にさらされるため、ほこりの付着などによりシール粘着力を低下させる懸念がある。
また、蓋シール側の平面性が高いのに対し、包装袋のフィルムはそうでないので、蓋を閉める際にフィルムのしわが入りやすいという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、包装袋に収納するウェットティシューにおいて、ウェットティシューを取出す際、蓋シールが邪魔にならず、また、シール粘着力を低下させない構造であり、且つ、蓋を閉める際に、フィルムのしわが入りにくいウェットティシュー包装体及び蓋シールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
ウェットティシューを収納する包装袋と、該包装袋の使用時に上を向く面に設けた取出口と、該取出口を繰り返し開閉すべく前記包装袋と当接する部分は粘着面となっており前記取出口に当接する部分は非粘着面となっている蓋シールと、を備えるウェットティシュー包装体において、
前記蓋シールを開ける際の端である摘み部を巻き取り部材とし、
前記蓋シールを開ける際には該巻き取り部材を転がして蓋シールを巻き取るように開け、閉める際には前記巻き取り部材を逆向きに転がして蓋シールを戻すようにすることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、蓋シールが巻き取り部材により巻き取られるので、ウェットティシューを取出す際、蓋シールが邪魔にならない。また、蓋シールの粘着面を巻き取るので、粘着面にほこり、薬液などが付着することを防止でき、蓋シール粘着力の低下を防止できる。さらに、蓋シールを閉める際には、巻き取られた蓋シールを巻き戻すことにより閉めるので、ローラーに似た働きにより、包装袋のフィルムがしわになることを防止できる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のウェットティシュー包装体において、
前記蓋シールの粘着面の巻き取り方向の長さが、前記巻き取り部材の外周の長さよりも長いものであり、
前記蓋シールを巻き取って前記蓋シールを開けた状態で、前記蓋シールの粘着面の一部が前記蓋シールの表に粘着することにより、前記蓋シールを開けた状態を保持することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を有することは無論のこと、特に、蓋シールを巻き取って開けた状態において、巻き取り部材を固定することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のウェットティシュー包装体であって、
前記巻き取り部材は、外筒と該外筒に対して前記巻き取り部材の中心軸を中心として回転可能な芯部材との二重構造を有し、
前記外筒は前記蓋シールを巻き取るべく前記蓋シールに固定され、
前記芯部材は、使用者がそれを把持することができる形状を有することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、使用者が芯部材を把持して蓋シールの巻き取り方向に芯部材を移動させることにより前記外筒が前記蓋シールを巻き取って開ける状態にし、逆方向に移動させることにより前記外筒が前記蓋シールを巻き戻して閉める状態にすることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれか一項に記載のウェットティシュー包装体であって、
前記芯部材は、使用者の指先を挿入することができる形状を有し、
使用者が前記芯部材に指先を挿入して蓋シールの巻き取り方向に指を移動させることにより前記外筒が前記蓋シールを巻き取って開ける状態にし、逆方向に移動させることにより前記外筒が前記蓋シールを巻き戻して閉める状態にすることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から3までのいずれか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、使用者は一本の指による往復運動で蓋シールの開け閉めを行うことができる。
【0018】
請求項
5記載の発明は、ウェットティシューを収納する包装袋と、該包装袋の使用時に上を向く面に設けた取出口と、該取出口を繰り返し開閉すべく前記包装袋と当接する部分は粘着面となっており前記取出口に当接する部分は非粘着面となっている蓋シールと、を備えるウェットティシュー包装体の蓋シールであって、
前記蓋シールの摘み部を巻き取り部材とし、
前記蓋シールを開ける際には該巻き取り部材を転がして蓋シールを巻き取るように開け、閉める際には前記巻き取り部材を逆向きに転がして蓋シールを戻すようにすることを特徴とする。
【0019】
請求項
5記載の発明によれば、蓋シールが巻き取り部材により巻き取られるので、ウェットティシューを取出す際、蓋シールが邪魔にならない。また、蓋シールの粘着面を巻き取るので、粘着面にほこり、薬液などが付着することを防止でき、蓋シール粘着力の低下を防止できる。さらに、蓋シールを閉める際には、巻き取られた蓋シールを巻き戻すことにより閉めるので、ローラーに似た働きにより、包装袋のフィルムがしわになることを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、蓋シールが巻き取り部材により巻き取られるので、ウェットティシューを取出す際、蓋シールが邪魔にならない。また、蓋シールの粘着面を巻き取るので、粘着面にほこり、薬液などが付着することを防止でき、蓋シール粘着力の低下を防止できる。さらに、蓋シールを閉める際には、巻き取られた蓋シールを巻き戻すことにより閉めるので、ローラーに似た働きにより、包装袋のフィルムがしわになることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】蓋シールが閉じている状態(a)及び開いている状態(b)を示す斜視図である(実施形態1)。
【
図2】蓋シールが閉じている状態(a)及び開いている状態(b)を示す斜視図である(実施形態2)。
【
図3】A−Aの鉛直面における断面を描いた図である(実施形態2)。
【
図4】芯部材40(c)、筒状部材30(b)、それらが合体した状態(a)を示す斜視図である(変形例1)。
【
図5】取り外し可能な巻き取り部材を示す斜視図である(変形例2)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態(実施形態1、2)であるウェットティシュー包装体(及び蓋シール)を詳細に説明した後に変形例1、2、3について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0023】
(実施形態1:巻き取り部材が円筒形状)
本発明の実施形態1のウェットティシュー包装体について、
図1に基づいて説明する。
図1は蓋シールが閉じている状態(a)及び開いている状態(b)を示す斜視図である。
包装袋1は、例えば合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等のうちのいずれか又はそれらの組合せ)からなり、その内側にはアルミなどが用いられる。アルコール等の薬液を含ませたティシュー7の保持のためである。包装袋1は、例えば熱を加えることにより溶融して結合する性質(ホットシール)の積層フィルムを用いて加工され、ホットシールによって密封構造となる。特に、ポリプロピレンが熱により溶融し結合する性質がある。
図1(a)に描かれたウェットティシュー包装体における包装袋1がホットシールによって密封される部分は、下部エンドシール2、上部エンドシール3、そして、描かれていない底面側の部分の3箇所である。上部エンドシール3は、下部エンドシール2に比べて溶融して結合する部分が広く設けられており、吊るし孔4がその中心部にあけられている。吊るし孔4は、店頭に陳列される際に用いられる。
【0024】
ウェットティシュー7を用いる際には、
図1(a)のように、蓋シール6が貼られた面を上にして置かれる。包装袋1の上面(使用の際に上となる面)の中央には取出口5があけられている。取出口5からは内容物のウェットティシュー7の最上部の一枚が取出せるようになっており、一枚取出すと、次の一枚が取出しやすくなるように、複数枚のウェットティシュー7が収納される。
取出口5を繰り返し開閉し、閉める状態にあっては密封状態を保持する蓋シール6が設けられる。蓋シール6は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂による単層または多層構造を有し、包装袋1と当接する面に粘着面8を有する。蓋シール6は、取出口5を十分に覆う大きさを有し、取出口5に当たる部分、すなわちウェットティシュー7に当たる部分は粘着層を有しない面(非粘着面)であり、その周囲の包装袋1に接する面が粘着層を有する面(粘着面8)である。
【0025】
ここまでは、従来のウェットティシュー包装体と同様である。本願発明の要となるのは、筒状部材10(巻き取り部材)である。蓋シール6を閉じている状態から開こうとすると、その端を摘む必要がある。その摘み部を本願発明では、筒状部材10(巻き取り部材)としたものである。筒状部材10は、合成樹脂により作ることができる。例えば、ブロー成型、またはインジェクション、ブローインジェクション等の製法によりパーツとして成型し蓋シール6との間で溶融して結合するなどの方法で組み上げることが可能である。筒状部材10(巻き取り部材)の外側の一部には蓋シール6の端を差し込むための溝を構成するようにして組み立ての精度を高めることができる。
【0026】
≪単なる円筒≫
筒状部材10(巻き取り部材)は、最も簡単な構造としては、単なる円筒形状とすることができる。その場合、人間の手の指を挿入し、その円筒内で指が自由に滑ることができる余裕をもたせる。
図1(a)に示すように、筒状部材10の円筒内部に指を横から挿入して、蓋シール6を開く方向に指をずらす。このとき、指の腹で下方向(包装袋1に向かう方向)への力をある程度加えながら、ローラーを転がすのと同様にして動かす。これにより蓋シール6の面と、包装袋1のフィルムの面とが同一の面として均され、包装袋1のフィルムがしわになることを防止できる。しわになることにより気密性がそがれ、アルコール等の薬液が揮発してしまうことを防止することになる。
【0027】
このとき、筒状部材10を動かす(転がす)ことにより、蓋シール6が筒状部材10に巻き取られることになる。筒状部材10の外周の長さよりも、蓋シール6の粘着面の長手方向長さが十分に長ければ、筒状部材10が1回転したときに蓋シール6の粘着面が蓋シール6の表に当接する位置に達することになる。したがって、その時点以降、さらに筒状部材10を転がすことで粘着面は蓋シール6の表の面に接着され、蓋シール6の開いた状態を保持できる。
【0028】
なお、筒状部材10の外周面(の一部)に粘着層を設けることにより、蓋シール6の粘着面に頼ることなく、筒状部材10を蓋シール6の表の面に粘着することができ、それにより蓋シール6の開いた状態を保持できる。
図1(b)は、蓋シール6を開いた状態を示している。ここでは、蓋シール6は筒状部材10に巻き取られている。そして、筒状部材10は、蓋シール6の粘着面により、あるいは筒状部材10それ自身の外周面に設けられた粘着層により、開いた状態で固定されている。これにより使用者は、筒状部材10から手指を離して、ウェットティシュー7を取出すことが可能となる。
【0029】
蓋シール6を閉める際には、筒状部材10に使用者が指を挿入し、開けるときとは逆の方向に指をずらしていくことで筒状部材10を動かして(転がして) 、元の位置に筒状部材10を戻すようにすれば、包装袋1を形成するフィルムにしわが入らず、内容物の乾燥を防止できる。
【0030】
筒状部材10の内壁は指との間でよく滑るような材質を用いるか、すべり摩擦を小さくする加工が施されるのが望ましい。よく滑ることにより、操作者は楽に動かすだけで、蓋シール6を巻き取ることができる。
指一本で操作する場合について説明したが、指2本、たとえば親指と人差し指(または中指)を用いて筒状部材の両側から指をいれて筒状部材10を転がすこととしてもよい。
【0031】
≪二重筒構造≫
筒状部材10の構造を単なる円筒形状とせずに、二重筒構造としてもよい。特に図解はしないが、外筒と内筒とがすりあうような構成とし、たとえば内筒の外壁に輪状溝、外筒の内壁に輪状突起を設けて、一旦はめたら容易には外れないようにする。そして輪状突起と輪状溝とがすりあうようにして相互に共通の中心軸を回転軸として回転できるようにする。このように構成された筒状部材の場合には、使用者は、指と筒状部材10の内壁との間で滑らせることを意識することなく、内筒をしっかり指で保持しつつ移動させて筒状部材10を転がすことが可能となる。
なお、ここで内筒の外壁に輪状突起を設けて、外筒の内壁に輪状溝を設けることとしてもよい。また、この輪状突起、輪状溝の組合せは、1組ではなく、複数組としてもよい。
【0032】
≪多角形形状≫
上述した円筒形状の代わりに、例えば、その断面を八角形、六角形、四角形、三角形などの多角形形状とする筒とすることもできる。その場合には、使用者は縁(辺)を意識した転がし方をすることができる。
【0033】
(実施形態2)
次に、実施形態2のウェットティシュー包装体について、
図2及び
図3に基づいて説明する。
図2は、蓋シールが閉じている状態(a)及び開いている状態(b)を示す斜視図である。
図3は、
図2(a)のA−Aを含む鉛直面における断面図である。
なお、以下の説明において、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
実施形態2にあっては、筒状部材20は、蓋シール6が閉まっている状態において、上部エンドシール3に位置している。そして、蓋シール6はエンドシール3の近傍まで延びている。したがって、実施形態1における蓋シール6よりも長手方向に長いものである。この2点だけが実施形態1と異なる点であって、他の点においては実施形態1と同じである。実施形態2では、蓋シール6が閉まっている状態における筒状部材20が上部エンドシール3に位置することとしたので、かさばらない。
すなわち、
図3の断面図に描かれるように、包装袋1の厚さは、内容物であるウェットティシューの厚さとほぼ同じ程度であり、筒状部材20の外径の分だけ、全体の寸法が大きくなることを回避することができる。上部エンドシール3の部分は、包装袋のフィルムを重ねて結合してあるのみであり、薄い部分だからである。このことは、持ち運び、運搬の際にかさばることを防止できることにもつながる。
【0035】
(変形例1:芯部材)
変形例1について、
図4を参照しつつ説明する。
図4は、芯部材40(
図4の(c))、筒状部材30(
図4の(b))、それらが合体した状態(
図4の(a))を示す斜視図である。実施形態1において、二重筒構造を提案したが、二重筒における内筒を芯部材40に置き換えたものがこの変形例1である。すなわち、筒状部材30と芯部材40とは、
図4の(a)に示すように、互いにすりあうように、筒状部材30の内壁と芯部材40の外壁とが接する。そして、これら二つの部材は互いにすべりあって共通の中心軸を回転の軸として、回転可能な構成となっている。
【0036】
図4の(b)に示すように、筒状部材30はほぼ円筒形状の部材であり、合成樹脂の射出成型、ブロー成型、ブローインジェクション成型などで作製する。
図4(c)に示す芯部材40も同様の製法によって作製する。芯部材40は円柱状の部分の両端に把持部材41,42を設けた構成となっており、把持部材を含めて芯部材40全体が一体成型される。把持部分41、42には、
図4(a),(c)に示すように、線状突起または線状溝を設けて滑り止めとしている。
使用者は、両手で、または慣れてくれば片手の二つの指、たとえば人差し指と中指とではさみの形をつくってその二つの指で把持部材41,42を押さえながら移動し、筒状部材30を転がす。
実施形態1の二重筒構造において上述した輪状突起、輪状溝の構成を変形例1の筒状部材30の内壁と芯部材40の外壁との間に適用してもよい。
他の構成は、実施形態1または実施形態2と同様である。
【0037】
(変形例2:取り外し可能な筒状部材)
図5を参照しつつ変形例2:取り外し可能な筒状部材70について説明する。筒状部材70を使用者が取り付け、取り外し可能なものとして、取り外し時に上部エンドシール近傍に収納箇所を設けて収納するものである。蓋シール6の摘み部には、例えば三角柱の形の結合部71を(例えば溶融させて結合することにより)設ける。筒状部材70は、ここでは単なる円筒とするが、上述した他の変形例であってもよい。筒状部材70の外壁の一部に結合受け部72を設ける。結合受け部72は、ここでは三角柱の結合部71がちょうど挿入できる形状の切欠き部である。
図5に示すように筒状部材70を横からスライドさせて蓋シール6の摘み部の結合部71と結合させる。
この結合は、何度でも取り付け、取り外し可能とする。そして、結合部71と同じものを上部エンドシールの一部にも設けて、筒状部材70を用いないときに上部エンドシールに収納可能とする。これにより移動時、運搬時、持ち運び時などにかさばらないものとなる。
【0038】
この取り外し可能な筒状部材を、使用者が取り外し可能なものとせずに、一旦、嵌めたらはずせないものとして、最終組み立てを使用者に行わせるべく、商品引渡しの段階では、上部エンドシールの一部に(例えば粘着により)取り付けておくこととしてもよい。また、この取付け、取り外しのための構造は、筒状部材のみならず、後述する円柱形状の部材についても同様に適用可能である。
【0039】
(変形例3:円柱と心棒)
筒状部材を筒とせずに、円柱としその中心軸に太くて丈夫な心棒を両側に突出させた形状にして、上述の筒状部材の代わりに用いることもできる。その場合、二つの指ではさみの形を作って円柱の両側に突出した心棒の部分を指の腹で押さえつつ、滑らせて円柱を転がすことで蓋シール6を巻き取り、巻き戻して、開閉する。
ここで、円柱を蓋シールの摘み部に取り付ける仕方は、溶融による結合などの固着が最も望ましいが、蓋シールの摘み部の表の面に粘着するのみであっても、本願発明の作用効果を奏し得る。また、円柱の代わりに多角柱でもよい。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態1、実施形態2及び変形例1,2,3に限定されるものではなく、具体的な構造について適宜変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 包装袋
2 下部エンドシール
3 上部エンドシール
4 吊るし孔
5 取出口
6,60 蓋シール
7 ウェットティシュー
8 粘着面
10 筒状部材(実施形態1)
20 筒状部材(実施形態2)
30 筒状部材(変形例1)
40 芯部材(変形例1)
41,42 把持部材(変形例1)
70 筒状部材(変形例2)
71 結合部
72 結合受け部