特許第5984418号(P5984418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工工作機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5984418-測定器の校正方法 図000002
  • 特許5984418-測定器の校正方法 図000003
  • 特許5984418-測定器の校正方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984418
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】測定器の校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   G01B5/00 P
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-34700(P2012-34700)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-170918(P2013-170918A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】三菱重工工作機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼瀬 吉言
(72)【発明者】
【氏名】林 竜造
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−317159(JP,A)
【文献】 特開平8−122050(JP,A)
【文献】 特開平5−269649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向に移動させた測定子を、回転テーブルに取り付けられた被測定物の表面に接触させて、この接触時における前記測定子の位置を検出することにより、前記被測定物の形状を測定する測定器の校正方法において、
円筒状の校正用治具を前記回転テーブル上における任意の位置に載置して、この任意の位置に載置した前記校正用治具の中心位置を基準位置とし、
前記回転テーブルを一方向及び他方向に回転させることにより、前記基準位置に配置された前記校正用治具を、一方向及び他方向に同じ旋回角度で旋回させて、Z軸周りにおける前記回転テーブルの回転軸と直交するX軸を中心として、当該X軸Y軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めし、
X軸Y軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の外周面に対して、前記測定子をそれぞれ異なった位置で複数回接触させ、
前記測定子がX軸Y軸マイナス側に位置決めした前記校正用治具に接触したときに検出された当該測定子の中心位置、前記測定子の径、及び、前記校正用治具の径を用いて、X軸Y軸マイナス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置を求め、
前記測定子がX軸Y軸プラス側に位置決めした前記校正用治具に接触したときに検出された当該測定子の中心位置、前記測定子の径、及び、前記校正用治具の径を用いて、X軸Y軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置を求め、
X軸Y軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置におけるX座標の平均値と、X軸のY軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置におけるY座標の差分値とを、前記測定子の位置誤差とし、
前記位置誤差に応じて、前記測定子の位置を校正する
ことを特徴とする測定器の校正方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器の校正方法において、
前記校正用治具を、複数の異なった旋回角度で一方向及び他方向に旋回させ、
その複数の異なった前記旋回角度ごとに、前記測定子の位置誤差を求め、
前記旋回角度ごとに求めた前記位置誤差に応じて、前記測定子の位置を校正する
ことを特徴とする測定器の校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定子を被測定物の表面に接触させて、当該被測定物の形状を測定する測定器の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯車研削盤によって研削された歯車の加工精度は、その歯車研削盤とは別に設けた歯車測定機を使用して測定されていた。しかしながら、このように、歯車研削盤と歯車測定機とを別々に設けると、これらの間の歯車の移動や、それぞれの機械での歯車の着脱及び心出し等の段取りが必要となるため、作業性の低下を招いていた。
【0003】
そこで、近年、上述した作業性の向上を図ることを目的として、加工後の歯車を加工時の取付位置に取り付けたままの状態で、その加工精度を測定可能とした歯車研削盤が提供されている。そして、このような、歯車測定機能を有する歯車研削盤では、回転テーブルによる歯車の回転と、測定器による測定子の移動とを制御することにより、測定子を歯車の歯面に接触させて、当該歯車の歯形や歯厚を測定するようにしている。
【0004】
また、上述したような、歯車研削盤では、歯車を高精度に測定するために、必要に応じて、回転テーブルや測定器等の駆動部を校正することが一般的となっており、例えば、特許文献1には、被測定物を取り付けるための回転テーブルの校正方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−249641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同様に、歯車測定機能を有する歯車研削盤では、歯車を高精度に測定するために、測定器を校正することも重要な要素となっている。一般的に、歯車研削盤においては、その直交3軸座標系の原点が、回転テーブルの中心となっているため、測定器の校正は、その測定子を回転テーブルの中心まで移動させ、測定子の中心と回転テーブルの中心とを一致させる必要がある。
【0007】
一方、大きな歯車を研削する大形歯車研削盤においては、加工対象物となる歯車が大きくなる分、これを取り付けるための回転テーブルも、大きなものとなっている。しかしながら、このような大形歯車研削盤に、上述した歯車測定機能を採用しようとすると、測定器と機械との間の干渉等の問題によって、測定器の移動範囲(測定範囲)に制限が生じるため、測定子の中心が回転テーブルの中心に届かない場合がある。
【0008】
また、このような問題を解決するため、測定器の移動範囲を拡大することも考えられるが、このような構成を採用すると、大形歯車研削盤の更なる大型化を招いてしまう。これにより、特に、歯車測定機能を有する大形歯車研削盤においては、測定器の校正が困難となっている。
【0009】
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、被測定物の大きさに関わらず、測定子の位置を、容易に、且つ、高精度に校正することができる測定器の校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する第1の発明に係る測定器の校正方法は、
互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向に移動させた測定子を、回転テーブルに取り付けられた被測定物の表面に接触させて、この接触時における前記測定子の位置を検出することにより、前記被測定物の形状を測定する測定器の校正方法において、
円筒状の校正用治具を前記回転テーブル上における任意の位置に載置して、この任意の位置に載置した前記校正用治具の中心位置を基準位置とし、
前記回転テーブルを一方向及び他方向に回転させることにより、前記基準位置に配置された前記校正用治具を、一方向及び他方向に同じ旋回角度で旋回させて、Z軸周りにおける前記回転テーブルの回転軸と直交するX軸を中心として、当該X軸Y軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めし、
X軸Y軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の外周面に対して、前記測定子をそれぞれ異なった位置で複数回接触させ、
前記測定子がX軸Y軸マイナス側に位置決めした前記校正用治具に接触したときに検出された当該測定子の中心位置、前記測定子の径、及び、前記校正用治具の径を用いて、X軸Y軸マイナス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置を求め、
前記測定子がX軸Y軸プラス側に位置決めした前記校正用治具に接触したときに検出された当該測定子の中心位置、前記測定子の径、及び、前記校正用治具の径を用いて、X軸Y軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置を求め、
X軸Y軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置におけるX座標の平均値と、X軸のY軸マイナス側及びY軸プラス側に位置決めした前記校正用治具の中心位置におけるY座標の差分値とを、前記測定子の位置誤差とし、
前記位置誤差に応じて、前記測定子の位置を校正する
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第2の発明に係る測定器の校正方法は、
前記校正用治具を、複数の異なった旋回角度で一方向及び他方向に旋回させ、
その複数の異なった前記旋回角度ごとに、前記測定子の位置誤差を求め、
前記旋回角度ごとに求めた前記位置誤差に応じて、前記測定子の位置を校正する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
従って、本発明に係る測定器の校正方法によれば、回転テーブル上における任意の位置に載置した校正用治具を、両方向に同じ旋回角度で旋回させて位置決めし、この位置決めした校正用治具に対して、測定子を接触させて、当該測定子の位置誤差を求めることにより、被測定物の大きさに関わらず、測定子の位置を、容易に、且つ、高精度に校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】歯車測定機能を有する大形歯車研削盤において、ワークの歯面を測定器により測定する様子を示した図である。
図2】本発明の一実施例に係る測定器の校正方法を示した概略図である。
図3】本発明の他の実施例に係る測定器の校正方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る測定器の校正方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1及び図2に示すように、大形の歯車研削盤(図示省略)には、円形の回転テーブル11がテーブル回転軸C周りに回転可能に支持されている。そして、回転テーブル11の上面には、歯車であるワーク(被加工歯車、被測定物、被測定歯車)W、及び、後述する、円筒状の校正用治具としての基準円筒30が取付可能となっている。なお、基準円筒30の半径は、長さRに形成されている。
【0016】
ここで、歯車研削盤における座標系は、互いに直交する3つの座標軸(X軸(基準軸)、Y軸、Z軸)からなる直交3軸座標系となっており、この直交3軸座標系の原点は、回転テーブル11の中心(テーブル回転軸C上)に設定されている。即ち、テーブル回転軸Cは、Z軸周りの回転軸を示すものとなっている。
【0017】
更に、歯車研削盤は、その機上において、加工後のワークWを加工時の取付位置に取り付けたままの状態で、その加工精度を測定可能とする歯車測定機能(歯車測定装置)を有するものであって、歯車測定用(座標測定用)の測定器21を備えている。
【0018】
つまり、歯車研削盤には、測定器21がX軸、Y軸、Z軸方向に移動可能に支持されている。また、測定器21の先端には、球状の測定子22が設けられており、この測定子22は、回転テーブル11上に取り付けられたワークWの歯面Wa、及び、回転テーブル11上に取り付けられた基準円筒30の外周面に接触可能となっている。そして、測定器21においては、測定子22がワークWの歯面Wa及び基準円筒30の外周面に対して、所定の接触圧で接触すると、その測定子22の中心位置(中心座標)が検出されるようになっている。なお、測定子22の半径は、長さrに形成されている。
【0019】
従って、ワークWの形状(歯形、歯すじ、ピッチ、歯厚等)を測定器21により測定する場合には、ワークWが取り付けられた回転テーブル11をテーブル回転軸C周りに回転させると共に、測定器21をX軸、Y軸、Z軸方向に移動させ、回転するワークWの歯面Waや、所定の回転角度(割り出し角度)に位置決めされたワークWの歯面Waに対して、測定子22を接触させる。そして、このように、測定子22をワークWの歯面Waに接触させると、その測定子22の中心位置が検出され、この検出結果に基づいて、ワークWの形状が測定される。
【0020】
また、測定器21を基準円筒30を用いて校正する場合には、基準円筒30が取り付けられた回転テーブル11をテーブル回転軸C周りに回転させると共に、測定器21をX軸、Y軸、Z軸方向に移動させ、テーブル回転軸C周りに旋回して位置決めされた基準円筒30の外周面に対して、測定子22を接触させる。そして、このように、測定子22を基準円筒30の外周面に接触させると、その測定子22の中心位置が検出され、この検出結果に基づいて、測定子22の位置が校正される。
【0021】
即ち、歯車研削盤では、加工前において、ワークWを回転テーブル11に取り付けていない状態で、予め、測定器21を基準円筒30を用いて校正しておき、加工後において、ワークWを加工時の取付位置に取り付けたままの状態で、その加工精度を、校正した測定器21により測定するようになっている。
【0022】
次に、測定器21の校正方法について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2に示すように、先ず、測定器21を移動させ、その測定子22の中心をX軸上に配置する。次いで、測定器21の校正用治具となる基準円筒30を、回転テーブル11上におけるX軸近傍の任意の位置に載置する。
【0024】
ここで、測定子22の中心及び基準円筒30の中心を、基準軸となるX軸上に配置することが好ましい。このように測定子22及び基準円筒30を配置することにより、測定子22の移動と基準円筒30の旋回とによる校正動作を、簡素で、且つ、容易に行うことができる。
【0025】
しかしながら、測定器21はX軸、Y軸、Z軸方向に移動可能に支持されているため、その測定子22の中心をX軸上に配置することは容易となる一方、基準円筒30は作業者の目視によって回転テーブル11上に載置されるため、その基準円筒30の中心をX軸上に配置することは困難となる。
【0026】
これにより、実際には、回転テーブル11上に載置された基準円筒30は、XY平面内において、その中心と回転テーブル11のテーブル回転軸Cとの間の軸間距離が長さLで、且つ、X軸に対する位相ずれがΔθとなるように配置されることになる。
【0027】
そこで、このように載置された基準円筒30の中心位置Ocを基準位置(旋回開始位置)とし、この基準位置に配置された基準円筒30を、左右両方向(一方向及び他方向)に同じ旋回角度φで旋回させて、X軸を中心とした左側(一方側)及び右側(他方側)のそれぞれに位置決めする。
【0028】
具体的には、回転テーブル11を所定の回転角度φで左回転させることにより、基準位置に配置された基準円筒30を、旋回角度φで左方向に旋回させて、X軸よりも左側(Y軸のマイナス側)に位置決めする。
【0029】
次いで、X軸上に配置した測定器21を移動させ、その測定子22を、X軸の左側に位置決めした基準円筒30の外周面に対して、それぞれ異なった位置で3回以上接触させる。このように、測定子22を基準円筒30に接触させると、各接触時における測定子22の中心位置OmL-1,OmL-2,OmL-3…が検出される。
【0030】
なお、図2においては、基準円筒30に対して、測定子22を異なった3箇所で接触させる様子を示しているが、以下、上記各接触時における測定子22の中心位置OmL-1,OmL-2,OmL-3…については、中心位置OmL-1,OmL-2,OmL-3のみを代表して記載する。
【0031】
そして、基準円筒30の半径R、測定子22の半径r、及び、測定子22の中心位置OmL-1,OmL-2,OmL-3を用いて、X軸の左側に位置決めした基準円筒30の中心位置OcLを求める。
【0032】
同様に、回転テーブル11を所定の回転角度φで右回転させることにより、基準位置に配置された基準円筒30を、旋回角度φで右方向に旋回させて、X軸よりも右側(Y軸のプラス側)に位置決めする。
【0033】
次いで、X軸上に配置した測定器21を移動させ、その測定子22を、X軸の右側に位置決めした基準円筒30の外周面に対して、それぞれ異なった位置で3回以上接触させる。このように、測定子22を基準円筒30に接触させると、各接触時における測定子22の中心位置OmR-1,OmR-2,OmR-3…が検出される。
【0034】
なお、図2においては、基準円筒30に対して、測定子22を異なった3箇所で接触させる様子を示しているが、以下、上記各接触時における測定子22の中心位置OmR-1,OmR-2,OmR-3…については、中心位置OmR-1,OmR-2,OmR-3のみを代表して記載する。
【0035】
そして、基準円筒30の半径R、測定子22の半径r、及び、測定子22の中心位置OmR-1,OmR-2,OmR-3を用いて、X軸の右側に位置決めした基準円筒30の中心位置OcRを求める。
【0036】
次いで、基準円筒30の中心位置OcL,OcRを用いて、測定子22におけるX軸方向の位置誤差ΔX及びY軸方向の位置誤差ΔYを求める。即ち、中心位置OcL,OcRにおけるX座標の平均値が位置誤差ΔXとなり、中心位置OcL,OcRにおけるY座標の差分値が位置誤差ΔYとなる。
【0037】
そして、位置誤差ΔX,ΔYは、XY平面内における測定子22の校正値となるため、位置誤差ΔX,ΔYに応じて、測定子22の位置を校正することにより、ワークWの形状を測定子22によって高精度に測定することができる。
【0038】
また、上述したように、校正値となる位置誤差ΔX,ΔYは、基準円筒30を旋回させることにより求められるものであるため、基準円筒30の旋回精度、即ち、回転テーブル11の回転精度(位置決め精度)が、そのまま、測定器21の校正精度に影響を与えることになる。つまり、回転テーブル11の回転精度を向上させることにより、位置誤差ΔX,ΔYの演算精度を向上させることができるが、回転テーブル11の回転精度を向上させるにも限界がある。
【0039】
そこで、旋回角度φを段階的に変更しながら、その複数の異なった旋回角度φごとに位置誤差ΔX,ΔYを求めた後、それらを平均化しても構わない。
【0040】
例えば、図3に示すように、先ず、基準円筒30を、3つの異なった旋回角度φ1,φ2,φ3で旋回させて位置決めした後、これら旋回角度φ1,φ2,φ3における中心位置OcL1,OcR1、中心位置OcL2,OcR2、中心位置OcL3,OcR3を求める。
【0041】
次いで、中心位置OcL1,OcR1を用いて位置誤差ΔX1,ΔY1を求め、また、中心位置OcL2,OcR2を用いて位置誤差ΔX2,ΔY2を求め、更に、中心位置OcL3,OcR3を用いて位置誤差ΔX3,ΔY3を求める。
【0042】
そして、位置誤差ΔX1,ΔX2,ΔX3及び位置誤差ΔY1,ΔY2,ΔY3を、それぞれ平均化して、最終的な位置誤差ΔX,ΔYを求める。
【0043】
これにより、回転テーブル11の回転においては、回転角度φが変わると、その回転角度φ内で、回転角度誤差が発生し、更に、この回転角度誤差にもばらつきが生じるため、複数の異なった回転角度(旋回角度)φ1,φ2,φ3を設定することにより、当該各回転角度φ1,φ2,φ3内の回転角度誤差を容易に抽出することができる。そして、位置誤差ΔX1,ΔX2,ΔX3及び位置誤差ΔY1,ΔY2,ΔY3を、それぞれ平均化することにより、上記各回転角度誤差も平均化されるため、最終的な位置誤差ΔX,ΔYに対して、各回転角度誤差の影響を極力小さくすることができる。この結果、位置誤差ΔX,ΔYの演算精度、即ち、測定器21の校正精度を更に向上させることができる。
【0044】
従って、本発明に係る測定器21の校正方法によれば、回転テーブル11上における任意の位置に載置した基準円筒30を、左右両方向に同じ旋回角度φで旋回させて、X軸の左右両側で位置決めし、この2つの位置で位置決めした基準円筒30に対して、測定子22を接触させて、測定子22の位置誤差ΔX,ΔYを求めることにより、回転テーブル11及びこの回転テーブル11に取り付けられるワークWの大きさに関わらず、測定子22の位置を、容易に、且つ、高精度に校正することができる。
【0045】
また、基準円筒30を、複数の異なった旋回角度φ1,φ2,φ3で段階的に旋回させることにより、測定子22の位置誤差ΔX,ΔYに対して、回転テーブル11の回転角度誤差の影響を十分に小さくすることができる。これにより、測定子22の位置を更に高精度に校正することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、測定子を、回転テーブルによって回転する被測定物に接触させながら、その被測定物の三次元形状を測定する三次元測定機の校正方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
11 回転テーブル
21 測定器
22 測定子
30 基準円筒
W ワーク
C テーブル回転軸
r 測定子の半径
R 基準円筒の半径
φ 旋回角度
Oc,OcL,OcR 基準円筒の中心位置
OmL,OmR 測定子の中心位置
ΔX,ΔY 位置誤差
図1
図2
図3