特許第5984429号(P5984429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984429
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/26 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   B60T8/26 H
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-44835(P2012-44835)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180629(P2013-180629A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 宙夫
【審査官】 中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076501(JP,A)
【文献】 特開2008−201291(JP,A)
【文献】 特開2001−018777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダと、前輪および後輪の各車輪に設けられ、ホイールシリンダの液圧によって前記車輪に制動力を付与するブレーキと、前記マスタシリンダの液圧を各前記ホイールシリンダに配分するABSアクチュエータとを備える車両に適用されるブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキの制動力が前記車輪に付与されて、前記後輪に加わる荷重が増減を繰り返す過渡状態であるときに、前記後輪に加わる荷重を繰り返し演算し、当該荷重が極小値を取ると、前記後輪に設けられる前記ブレーキの前記ホイールシリンダの液圧を上げることにより、当該液圧が時間経過に伴って上昇するように、前記ABSアクチュエータを制御するEBD制御手段を含む、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記マスタシリンダの液圧を検出する液圧検出手段をさらに含み、
前記EBD制御手段は、前記液圧検出手段によって検出される液圧に基づいて、前記ABSアクチュエータを制御する、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、車輪がブレーキによってロックすると、車体の姿勢が不安定になり、また、ステアリング操作による車両の方向制御が困難になる。
【0003】
そのため、近年の車両には、各車輪のブレーキのホイールシリンダの液圧(ホイールシリンダ液圧)を制御するためのバルブなどを内蔵したABSアクチュエータが備えられている。そして、後輪のロックを防止するために、ABSアクチュエータによるEBD(Electronic Brake force Distribution)制御や、各車輪のロックを防ぐために、ABSアクチュエータによるABS(Antilock Brake System)制御が行われる。
【0004】
たとえば、ブレーキ操作時には、車両の前方への荷重移動が生じ、前輪に加わる荷重(フロント荷重)が増え、後輪に加わる荷重(リア荷重)が減る。そのため、後輪に付与される制動力(リア制動力)がリア荷重を超えやすく、リア制動力がリア荷重を超えると、後輪がロックする。そこで、リア制動力がリア荷重を超える前に、後輪のロックを防止するためのEBD制御が行われ、前輪および後輪への制動力の配分が変更されて、後輪のブレーキのホイールシリンダ液圧の上昇が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4244454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4は、ブレーキ操作時のリア荷重およびリア制動力の時間変化を示すグラフである。
【0007】
ブレーキペダルが瞬時に強く踏み込まれる急ブレーキ操作時には、図4に実線で示されるように、リア制動力が急峻に増加するとともに、前方への荷重移動により、リア荷重が初期荷重Aから最小荷重Bまで急峻に減少する。その後、リア荷重は、ばね系による車体の振動に伴って増減を繰り返す過渡状態を経て、初期荷重Aよりも小さく、かつ、最小荷重Bよりも大きい安定荷重Cでほぼ変化しない定常状態となる。
【0008】
リア荷重が定常状態となった後は、リア制動力を安定荷重C付近まで上げても、後輪がロックしない。しかしながら、急ブレーキ操作の初期時、つまりリア荷重が過渡状態であるときにおける後輪のロックを防止するため、EBD制御は、リア制動力が最小荷重Bを超える前に開始される。そのため、従来の車両では、急ブレーキ操作時にリア制動力が有効に利用されているとは言えない。
【0009】
本発明の目的は、後輪のロックを抑制できながら、後輪の制動力を有効に利用できる、ブレーキ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明に係るブレーキ制御装置は、マスタシリンダと、前輪および後輪の各車輪に設けられ、ホイールシリンダの液圧によって前記車輪に制動力を付与するブレーキと、前記マスタシリンダの液圧を各前記ホイールシリンダに配分するABSアクチュエータとを備える車両に適用される。前記ブレーキ制御装置は、前記ブレーキの制動力が前記車輪に付与されて、前記後輪に加わる荷重が増減を繰り返す過渡状態であるときに、前記後輪に加わる荷重を繰り返し演算し、当該荷重が極小値を取ると、前記後輪に設けられる前記ブレーキの前記ホイールシリンダの液圧を上げることにより、当該液圧が時間経過に伴って上昇するように、前記ABSアクチュエータを制御するEBD制御手段とを含む。
【0011】
前輪および後輪の各車輪には、ブレーキが設けられている。マスタシリンダの液圧は、ABSアクチュエータにより、各ブレーキのホイールシリンダに配分される。そして、ブレーキのホイールシリンダの液圧により、ブレーキから車輪に制動力が付与される。
【0012】
そして、ブレーキの制動力が車輪に付与されて、後輪に加わる荷重(リア荷重)が増減を繰り返す過渡状態であるときには、ABSアクチュエータの制御により、時間経過に伴って、後輪に設けられるブレーキのホイールシリンダの液圧が上げられる。これにより、過渡状態の初期時には、後輪の制動力(リア制動力)が相対的に小さく抑えられ、リア加重の過渡状態から定常状態に近づくにつれて、リア制動力が上昇する。その結果、後輪のロックを抑制できながら、リア制動力を有効に利用できる。
【0013】
また、リア制動力を有効に利用できるので、車両の走行全般で前輪のブレーキへの負荷を減らすことができる。その結果、前輪のブレーキの温度上昇を抑制できるので、前輪のブレーキのフェード現象が生じることを抑制できる。また、前輪のブレーキの寿命を長くすることができる。
【0014】
ブレーキ制御装置は、マスタシリンダの液圧を検出する液圧検出手段を備えていてもよい。この場合、EBD制御手段は、液圧検出手段によって検出される液圧に基づいて、ABSアクチュエータを制御してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、後輪のロックを抑制できながら、後輪の制動力を有効に利用することができる。その結果、車両の制動距離を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置の構成を図解的に示す図である。
図2図2は、EBD制御中に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、ブレーキ操作時の後輪に加わる荷重および後輪に付与される制動力の時間変化を示すグラフである。
図4図4は、従来の車両におけるブレーキ操作時のリア荷重およびリア制動力の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置の構成を図解的に示す図である。
【0019】
ブレーキ制御装置1は、左右の前輪2FL,2FRおよび左右の後輪2RL,2RRの4つの車輪を備える車両に適用される。
【0020】
車輪2FL,2FR,2RL,2RRには、それぞれブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRが設けられている。ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRは、それぞれホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRを備えている。また、各車輪2FL,2FR,2RL,2RRには、その回転速度を検出するための車輪速センサ5FL,5FR,5RL,5RRが設けられている。
【0021】
車両の車室内には、運転者の足で操作されるブレーキペダル6が設けられている。ブレーキペダル6は、マスタシリンダ7と一体的に設けられたブレーキブースタ8に連結されている。
【0022】
ブレーキペダル6が踏み込まれると、そのブレーキペダル6に入力された踏力がブレーキブースタ8に伝達される。ブレーキブースタ8に伝達された踏力は、ブレーキブースタ8の働きによって増幅(倍力)され、ブレーキブースタ8からマスタシリンダ7に入力される。マスタシリンダ7では、ブレーキブースタ8から入力される力(増幅された踏力)に応じた液圧(マスタシリンダ液圧)Pmが発生する。
【0023】
マスタシリンダ液圧Pmは、ABSアクチュエータ9に伝達される。ABSアクチュエータ9には、各ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRの液圧を制御するためのバルブやブレーキフルードをマスタシリンダ7に戻すためのポンプなどが内蔵されている。マスタシリンダ7からABSアクチュエータ9に伝達された液圧は、各ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRに分配されて伝達される。そして、ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRの液圧(ホイールシリンダ液圧)により、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRからそれぞれ車輪2FL,2FR,2RL,2RRに制動力が付与される。
【0024】
ABSアクチュエータ9の制御のために、CPUおよびメモリを含む構成のABS−ECU11が設けられている。
【0025】
ABS−ECU11には、車輪速センサ5FL,5FR,5RL,5RRが接続されており、車輪速センサ5FL,5FR,5RL,5RRの検出信号が入力される。また、ABS−ECU11には、マスタシリンダ液圧Pmを検出するためのマスタシリンダ液圧センサ12が接続されており、マスタシリンダ液圧センサ12の検出信号が入力される。
【0026】
ABS−ECU11は、車輪速センサ5FL,5FR,5RL,5RRの検出信号およびマスタシリンダ液圧センサ12の検出信号に基づいて、ABSアクチュエータ9を制御することにより、ABS(Antilock Brake System)制御およびEBD(Electronic
Brake force Distribution)制御を実現する。
【0027】
車両の制動時(ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動時)には、車両の前方への荷重移動が生じ、前輪2FL,2FRに加わる荷重(以下「フロント荷重」という。
)が増え、後輪2RL,2RRに加わる荷重(以下「リア荷重」という。)Prが減る。そのため、前輪2FL,2FRに比べて、後輪2RL,2RRがロックしやすい。
【0028】
車両の制動時に、後輪2RL,2RRがロックするような条件が成立すると、EBD制御が行われる。EBD制御では、ABS−ECU11により、ABSアクチュエータ9が制御されて、軽荷重となる後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が前輪2FL,2FRのブレーキ3FL,3FRのホイールシリンダ液圧よりも低く抑えられるように、各ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRへの液圧の配分が変更される。これにより、後輪2RL,2RRのロックが防止される。
【0029】
そして、EBD制御中に、車輪2FL,2FR,2RL,2RRのいずれかの車輪がロックするような条件が成立すると、EBD制御が終了されて、ABS制御が行われる。ABS制御では、ABS−ECU11により、ABSアクチュエータ9が制御されて、各車輪2FL,2FR,2RL,2RRの車輪スリップ率が閾値以下となるように、各ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRへの液圧の配分が変更される。これにより、車輪2FL,2FR,2RL,2RRのロックを防止することができる。
【0030】
車輪スリップ率は、ABS−ECU11により、車輪速センサ5FL,5FR,5RL,5RRの検出信号に基づいて演算される。すなわち、車輪速センサ5FL,5FR,5RL,5RRの検出信号に基づいて、まず、各車輪2FL,2FR,2RL,2RRの車輪速を演算する。また、各車輪速の平均値に基づいて、車両の車体速が演算によって推定される。そして、車輪2FL,2FR,2RL,2RRごとに、車体速から車輪速を減算して得られる値が車体で除されることにより、車輪スリップ率(=(車体速−車輪速)/車体速)が演算される。
【0031】
図2は、EBD制御中に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
EBD制御が開始されると、ABS−ECU11により、図2に示す処理が実行される。
【0033】
まず、マスタシリンダ液圧センサ12の検出信号に基づいて、マスタシリンダ液圧Pmが取得される(ステップS1)。
【0034】
次に、マスタシリンダ液圧の微分演算により、マスタシリンダ液圧の変化速度(液圧変化速度)dPm/dtが求められる(ステップS2)。
【0035】
その後、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動によって過渡的に変化するリア荷重Prが演算される(ステップS3)。リア荷重Prは、マスタシリンダ液圧Pmおよび液圧変化速度dPm/dtをパラメータとする関数f(Pm,dPm/dt)にsinωtを乗じた値から時間の経過に伴う減衰量g(t)を減じるか、または、マスタシリンダ液圧Pmおよび液圧変化速度dPm/dtをパラメータとする関数f(Pm,dPm/dt)にsinωtを乗じた値から時間の経過に伴う減衰率r(t)を乗じることにより、近似値として演算することができる。すなわち、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動によって過渡的に変化するリア荷重Prは、次の式(1)または式(2)のいずれかに従って、近似値として演算することができる。
【0036】
Pr=f(Pm,dPm/dt)・sinωt−g(t) ・・・(1)
【0037】
Pr=f(Pm,dPm/dt)・sinωt・r(t) ・・・(2)
【0038】
その後、時間変化に伴うリア荷重Prの極小値が検出されたか否かが判断される(ステップS4)。リア荷重Prの極小値が検出されるまで、ステップS1〜S3が繰り返されて、リア荷重Prが繰り返し演算される。
【0039】
リア荷重Prの極小値が検出されると(ステップS4のYES)、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が所定圧だけ上げられる(ステップS5)。
【0040】
つづいて、EBD制御が終了か否かが判断される(ステップS6)。EBD制御が終了でなければ、ステップS1〜S5の処理が再び実行される。
【0041】
ブレーキペダル6から足が放されるか、または、ABS制御の開始条件が満たされると、EBD制御が終了となる。EBD制御が終了されると(ステップS6のYES)、図2に示される処理が終了する。
【0042】
図3は、ブレーキ操作時の後輪に加わる荷重および後輪に付与される制動力の時間変化を示すグラフである。
【0043】
ブレーキ操作時には、後輪2RL,2RRに付与される制動力(以下「リア制動力」という。)が増加するとともに、車両における前方への荷重移動により、リア荷重Prが初期荷重Aから最小荷重Bまで減少する。その後、リア荷重Prは、サスペンションのスプリングなどのばね系による車体の振動に伴って増減を繰り返す過渡状態を経て、安定荷重Cでほぼ変化しない定常状態となる。
【0044】
ブレーキ操作時には、後輪2RL,2RRのロックを防止するため、リア制動力が最小荷重Bを超える前に、EBD制御が開始される。その後、リア荷重Prが極小値を取ると、これに応答して、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が所定圧だけ上げられることにより、リア制動力が1段階上昇する。その後さらに、リア荷重Prが極小値を取ると、これに応答して、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が所定圧だけ上げられることにより、リア制動力が1段階上昇する。
【0045】
このようにして、EBD制御では、リア荷重Prが定常状態になるまで、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が時間経過に伴って上昇するように、ABSアクチュエータ9が制御される。これにより、リア荷重Prの過渡状態の初期時には、リア制動力が相対的に小さく抑えられ、リア加重の過渡状態から定常状態に近づくにつれて、リア制動力が上昇する。その結果、後輪2RL,2RRのロックを抑制できながら、リア制動力を有効に利用できる。
【0046】
また、リア制動力を有効に利用できるので、車両の走行全般で前輪2FL,2FRのブレーキ3FL,3FRへの負荷を減らすことができる。その結果、ブレーキ3FL,3FRの温度上昇を抑制できるので、ブレーキ3FL,3FRのフェード現象が生じることを抑制できる。また、前輪2FL,2FRのブレーキ3FL,3FRの寿命を長くすることができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0048】
前述の実施形態では、リア荷重Prが近似的に演算され、リア荷重Prの極小値が検出されると、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が所定圧だけ上げられる手法を取り上げた。
【0049】
しかしながら、この手法に限らず、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が2以上の状態に分けられて、それらの状態ごとに、リア荷重Prの過渡状態が調べられ、これに基づいて、EBD制御における時間と後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧との関係を定めたマップが作成されてもよい。そして、各状態ごとのマップがメモリに記憶されて、EBD制御では、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態に応じたマップが参照されて、時間経過に応じた後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が得られるように、ABSアクチュエータ9が制御されてもよい。
【0050】
たとえば、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第1ブレーキ状態、第2ブレーキ状態、第3ブレーキ状態および第4ブレーキ状態に分けられてもよい。ブレーキペダル6が操作されたときに、マスタシリンダ液圧が第1液圧閾値未満かつ液圧変化速度が第1速度閾値未満であれば、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第1ブレーキ状態であると判別される。マスタシリンダ液圧が第1液圧閾値よりも大きい第2液圧閾値未満かつ液圧変化速度が第1速度閾値よりも大きい第2速度閾値未満であって、マスタシリンダ液圧が第1液圧閾値未満かつ液圧変化速度が第1速度閾値未満でなければ、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第2ブレーキ状態であると判別される。マスタシリンダ液圧が第2液圧閾値よりも大きい第3液圧閾値未満かつ液圧変化速度が第2速度閾値よりも大きい第3速度閾値未満であって、マスタシリンダ液圧が第2液圧閾値未満かつ液圧変化速度が第2速度閾値未満でなければ、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第3ブレーキ状態であると判別される。マスタシリンダ液圧が第3液圧閾値以上または液圧変化速度が第3速度閾値以上であって、マスタシリンダ液圧が第3液圧閾値未満かつ液圧変化速度が第3速度閾値未満でなければ、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第4ブレーキ状態であると判別される。
【0051】
そして、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第1ブレーキ状態であるときには、第1マップが参照されて、第2ブレーキ状態と比較して、リア荷重Prの緩やかな変化に応じて、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が上昇され、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第2ブレーキ状態であるときには、第2マップが参照されて、第3ブレーキ状態と比較して、リア荷重Prの緩やかな変化に応じて、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が上昇され、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第3ブレーキ状態であるときには、第3マップが参照されて、第4ブレーキ状態と比較して、リア荷重Prの緩やかな変化に応じて、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が上昇され、ブレーキ3FL,3FR,3RL,3RRの作動状態が第4ブレーキ状態であるときには、第4マップが参照されて、リア荷重Prの変化に応じて、後輪2RL,2RRのブレーキ3RL,3RRのホイールシリンダ液圧が上昇されるとよい。
【0052】
また、リア荷重Prが近似的に演算されるとしたが、たとえば、車両に車体の上下方向変位を検出する車高センサが設けられて、車高センサの検出信号に基づいて、リア荷重Prが推定されてもよい。
【0053】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 ブレーキ制御装置
2FL 前輪
2FR 前輪
2RL 後輪
2RR 後輪
3FL ブレーキ
3FR ブレーキ
3RL ブレーキ
3RR ブレーキ
4FL ホイールシリンダ
4FR ホイールシリンダ
4RL ホイールシリンダ
4RR ホイールシリンダ
7 マスタシリンダ
9 ABSアクチュエータ
11 ABS−ECU(EBD制御手段)
12 マスタシリンダ液圧センサ(液圧検出手段)
図1
図2
図3
図4