【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に据付けるためのケーソン誘導管理システムであって、前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、システム全体の制御を行うシステム制御部とを含み、該システム制御部は、前記複数の水位計により計測される枡の水位データに基づいて、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水を管理するために必要な情報を算出し、前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とにより計測される前記ケーソンの位置及び角度データに基づいて、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導するために必要な情報を算出するケーソン誘導管理システ
ム。
【0008】
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンに設けられている注水用の枡毎に設置される、例えば、水圧センサー等の複数の水位計を有しており、これらの水位計を利用して、ケーソンの全ての枡の水位を計測する。そして、水位計により計測した水位データは、据付けるケーソン上以外の任意の既設構造物、例えば、既設のケーソン上に設置される、システム全体の制御を行うシステム制御部に送信される。システム制御部は、この水位データに基づいて、ケーソンの全ての枡への注水を管理するために必要な情報を算出する。そして、これらの情報を参照しながら、ケーソンの各枡への注水量を調整することとすれば、作業員がケーソン上で直接水位を計測する必要がなくなり、安全にケーソンの水位管理を行うものとなる。
【0009】
又、本項に記載のケーソン誘導管理システムは、例えば、既設のケーソン上に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションを有している。トータルステーションは、目標物にレーザー光等を照射してその反射光を検知し、距離と角度とを同時に計測する機器である。そして、この2台のトータルステーションにより、据付を行うケーソン上に設置される2台の全方向ミラーを追尾して、角度と距離との計測を行う。更に、据付を行うケーソン上に二軸傾斜計を有しており、この二軸傾斜計によるケーソンの傾斜量の計測結果が、システム制御部に送信される。そして、システム制御部は、2台のトータルステーションによる計測結果と、二軸傾斜計による計測結果とを併せて、リアルタイムにケーソンの位置及び角度データを算出し、このケーソンの位置及び角度データに基づいて、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報を算出する。このため、これらの情報を参照して、ケーソンを誘導することとすれば、リアルタイムに更新される情報に基づいて、ケーソンを所定の位置に正確に誘導するものとなる。
【0010】
なお、システム全体の制御を行うシステム制御部は、入力や操作を受け付けるための入力操作部と、算出した各情報を表示するための表示部とを含むものであり、例えば、パーソナルコンピュータを用いて構築される。この場合には、マウスやキーボードが入力操作部であり、パーソナルコンピュータに接続されたディスプレイが表示部である。又、表示部は複数接続されていてもよく、ケーソンの全ての枡への注水を管理するために必要な情報と、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報とを、別々の表示部に同時に表示させてもよい。
【0011】
(
2)上記(1
)項において、前記システム制御部は、平面視方向からの前記ケーソンを表す矩形と該矩形の端辺
上に設定される2つの誘導点とを用い
て前記ケーソンの現在の位置を示した現在位置図と、前記ケーソンが前記所定の位置にある場合の、前記2つの誘導点の位置を表す2つの目標点と前記矩形とを用い
て前記所定の位置を示した目標位置図と、前記2つの誘導点と前記2つの目標点との夫々の距離と、前記現在位置図における前記矩形の4つの頂角部夫々の高さと、前記ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、前記ケーソンの現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図との、少なくとも1つを含む誘導情報を、表示部の画面に出力するケーソン誘導管理システム
(請求項1)。
【0012】
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な誘導情報として、必要十分な内容を表示部の画面に出力するものである。具体的に説明すると、現在位置の平面視方向からのケーソンを矩形として表示させ、更にその矩形の端辺上に設定される2つの誘導点を表示させて、ケーソンの現在位置図とする。2つの誘導点は、例えば、既設のケーソンに対向する面に該当する矩形の端辺と、この端辺に向かい合う端辺との、夫々の中央部付近に設定される。又、所定の据付位置にある場合のケーソンを平面視方向からの矩形として表示させ、更にその矩形の端辺上に現在位置図における誘導点と同様に設定される2つの目標点を表示させて、ケーソンの目標位置図とする。これら現在位置図と目標位置図とを同時に表示させることで、ケーソンの現在位置と目標誘導位置との位置関係が、直感的に把握されるものとなる。
【0013】
更に、現在位置図に設定されている2つの誘導点と、目標位置図に設定されている2つの目標点との夫々の距離を表示させる。例えば、現在位置図や目標位置図を正面視した場合の、上下方向と左右方向との夫々の方向に分解して、2つの誘導点と2つの目標点との夫々の距離を表示させる。この距離表示を確認しながら、ケーソンの誘導を行うことで、ケーソンがより正確に目標位置に誘導されることとなる。
又、ケーソンの現在位置図における、矩形として表されたケーソンの4つの頂角部夫々の高さを表示させることで、ケーソンが着底するまでの高さを管理するものとなる。
又、ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、側面視方向から表した側面傾斜図とを表示させることで、ケーソンの傾斜量が把握される。そして、これらの正面傾斜図及び側面傾斜図と、ケーソンを平面視方向から示した現在位置図とで、ケーソンの現在の状態が三面方向から示されることになる。
【0014】
(
3)上記(
2)項において、前記システム制御部は、前記ケーソンに設けられた各枡への注水量を調整する際に指標となる、隣接する枡間の水位差と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するケーソン誘導管理システム。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、システム制御部が、水位計により計測する全ての枡の水位データに基づいて、隣接する全ての枡間の水位差を算出する。この枡間の水位差を確認しながら、注水量の調整を行うことで、水位差から生じる水圧による各枡を隔てている壁部の損傷を、未然に防止することになる。
又、システム制御部は、二軸傾斜計により計測するケーソンの傾斜量に基づいて、ケーソンの高さ方向の勾配量を算出する。そして、このケーソンの勾配量を確認しながら、注水作業を行うこととすれば、ケーソンが常に水平状態を保つように、注水量が調整されるものとなる。
【0015】
(
4)上記(
2)(
3)項において、前記システム制御部は、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導する際に指標となる、前記ケーソンの現在の位置から前記所定の位置までの距離と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するケーソン誘導管理システム。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報として、ケーソンの現在の位置から所定の位置までの距離と、ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するものである。すなわち、ケーソンを所定の位置に誘導するための、ケーソンの緯度及び経度方向に係る情報を、ケーソンの現在の位置から所定の位置までの距離で表し、ケーソンの高さ方向に係る情報を、ケーソンの勾配量で表すものである。これにより、現在のケーソンの状態を、緯度方向、経度方向、高さ方向の3方向に係る数値で示すことになるため、ケーソンを所定の位置に誘導するための情報を、具体的な内容で提供するものとなる。
【0016】
(
5)上記(
2)から(
4)項において、前記システム制御部は、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報を、表示部の画面に出力するケーソン誘導管理システム(請求項2)。
【0017】
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンに設けられた全ての枡への注水管理に必要な注水管理情報として、必要十分な内容を表示部の画面に出力するものである。具体的に説明すると、ケーソンに設けられた全ての枡の水位は、ケーソンを平面視した場合の枡の並び方に対応するように各枡の水位を表示させ、又、隣接する枡間の水位差は、各枡の水位の表示の間に、夫々対応する枡間の水位差を表示させる。このように表示させることで、ケーソンに設けられている各枡と、表示されている水位や水位差との対応が、直感的に把握されるものとなる。
【0018】
又、現在の注水量を保った状態で、システム制御部に入力された予測時間が経過した場合の、各枡の予測水位を表示させる。この予測水位を目安にすることで、注水を停止するタイミングが予測されるものとなる。
更に、平面視したケーソンを矩形として捉え、その矩形の4つの頂角部夫々の高さを、例えば、4つの頂角部のうちの1つを基準位置とした、相対的な高さで表示させる。又、上記と同様に矩形として捉えたケーソンの、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部までの勾配量を、夫々表示させる。これらの表示内容を参照することで、ケーソンが常に水平状態を保つように、注水量が調整されるものとなる。
【0019】
(6)上記(
2)から(5)項において、前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うための無線通信手段を備えるケーソン誘導管理システム(請求項3)。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソン上に設置される複数の水位計や二軸傾斜計と、任意の場所に設置されるシステム制御部との通信を、無線で行う無線通信手段を備えているものである。無線通信手段には、例えば、無線LANが用いられ、水位計や二軸傾斜計等で計測したデータは、無線通信手段を介してシステム制御部に送信される。これにより、ケーソンから離れた場所において、ケーソンの各枡の水位データやケーソンの傾斜量が取得されるため、ケーソンの全ての枡への注水管理や、ケーソンの所定位置への誘導を、ケーソンから離れた位置で安全かつ正確に行うものとなる。
【0020】
(7)上記(
2)から(6)項において、前記複数の水位計により計測された水位データを収集及び記録するデータ収録装置を備えるケーソン誘導管理システム(請求項4)。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンの全ての枡に設置される複数の水位計が計測した水位データを収集及び記録するための、ケーソン上に設置されるデータ収録装置を備えるものである。これにより、複数の水位計で計測した水位データが、データ収録装置に集約されることになるため、水位データがシステム制御部に送信される際に、複数の水位計により異なるタイミングで計測された水位データが、不定の順序で送信されるようなことはなく、複数の水位計により略同じタイミングで計測された水位データが、纏められて送信されることになる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置を備えることとすれば、システム制御部側のみに無線通信手段を備えることで、無線による通信を確立するものとなる。
【0021】
(8)水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に誘導する方法であって、前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、システム全体の制御を行うシステム制御部とを利用し、前記複数の水位計を用いて、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位を計測し、前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とを用いて、前記ケーソンの位置及び角度を計測し、前記システム制御部を用いて算出する情報を利用して、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水管理と、前記ケーソンの前記所定の位置への誘導とを行うケーソンの誘導管理方
法。
【0022】
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、据付けるケーソンに設けられている注水用の枡毎に、水圧センサー等の水位計を設置し、全ての枡の水位の計測を行う。又、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションに、予めケーソン上に設置した2台の全方向ミラーの夫々を捕捉させ、ケーソンまでの距離と角度の計測を行う。更に、ケーソン上に二軸傾斜計を設置し、ケーソンの傾斜計側を行う。そして、これらの計測データを、据付けるケーソン上以外の任意の既設構造物、例えば、既設のケーソン上に設置したシステム制御部に送信し、システム制御部により、各計測データに基づいた、ケーソンの注水管理を行うために必要な情報と、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報とを算出する。このように算出した、ケーソンの注水管理を行うために必要な情報を参照しながら、ケーソンの各枡への注水量を調整するため、作業員がケーソン上で直接水位を計測することなく、安全にケーソンの水位管理を行うものとなる。更に、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報を参照してケーソンを誘導するため、リアルタイムに更新される情報に基づいて、ケーソンを所定の位置に正確に据付けるものとなる。
【0023】
(
9)上記(8
)項において、前記システム制御部が表示部の画面に出力する、平面視方向からの前記ケーソンを表す矩形と該矩形の端辺
上に設定される2つの誘導点とを用いて前記ケーソンの現在の位置を示した現在位置図と、前記ケーソンが前記所定の位置にある場合の、前記2つの誘導点の位置を表す2つの目標点と前記矩形とを用い
て前記所定の位置を示した目標位置図と、前記2つの誘導点と前記2つの目標点との夫々の距離と、前記現在位置図における前記矩形の4つの頂角部夫々の高さと、前記ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、前記ケーソンの現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図との、少なくとも1つを含む誘導情報に基づいて、前記ケーソンを誘導するケーソンの誘導管理方法-
(請求項5)。
【0024】
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、システム制御部によって、必要十分な内容の誘導情報を、システム制御部に接続している表示部の画面に出力し、この誘導情報に基づいて、ケーソンを所定の位置に誘導するものである。具体的に説明すると、現在位置の平面視方向からのケーソンを矩形として表示し、更にその矩形の端辺上に設定する2つの誘導点を表示して、ケーソンの現在位置図とする。又、所定の据付位置にある場合のケーソンを、平面視方向からの矩形として表示し、更にその矩形の端辺上に現在位置図における誘導点と同様に設定する2つの目標点を表示して、ケーソンの目標位置図とする。そして、現在位置図と目標位置図とを同時に表示することで、ケーソンの現在位置と目標誘導位置との位置関係が、直感的に把握されるものとなる。
【0025】
更に、現在位置図に設定する2つの誘導点と、目標位置図に設定する2つの目標点との夫々の距離を、例えば、現在位置図や目標位置図を正面視した場合の、上下方向と左右方向との夫々の距離に分解して表示する。この表示した距離を確認しながら、ケーソンの誘導を行うことで、ケーソンをより正確に目標位置に誘導するものとなる。
又、ケーソンの現在位置図における、矩形として表したケーソンの4つの頂角部夫々の高さを表示することで、ケーソンが着底するまでの高さ方向の管理を行うものとなる。
又、ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、側面視方向から表した側面傾斜図とを表示することにより、ケーソンの傾斜量が把握される。そして、これらの正面傾斜図及び側面傾斜図と、ケーソンを平面視方向から示した現在位置図とで、ケーソンの現在の状態を三面方向から示すことになる。
【0026】
(
10)上記(
9)項において、前記システム制御部が算出する、隣接する枡間の水位差と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを指標として、前記ケーソンに設けられた各枡への注水量を調整するケーソンの誘導管理方法。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソンの各枡に設置した水位計により計測した水位データに基づいて、システム制御部により、隣接する各枡間の水位差を算出する。そして、各枡間の水位差を確認しながら注水量の調整を行うことで、各枡を隔てている壁部が、水位差から生じる水圧によって損傷されることを未然に防止するものとなる。
又、本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソン上に設置した二軸傾斜計により計測したケーソンの傾斜量に基づいて、システム制御部によりケーソンの勾配量を算出する。そして、このケーソンの勾配量を確認しながら注水量の調整を行うため、常にケーソンが水平状態を維持するように、注水量を調整するものとなる。
【0027】
(
11)上記(
9)(
10)項において、前記システム制御部が算出する、前記ケーソンの現在の位置から前記所定の位置までの距離と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを指標として、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導するケーソンの誘導管理方法。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、2台のトータルステーションにより計測するケーソンの距離及び角度データと、ケーソン上に設置した二軸傾斜計により計測するケーソンの傾斜量とに基づいて、システム制御部により、ケーソンの現在の位置からケーソンを据付ける所定位置までの距離及びケーソンの勾配量を算出する。そして、これらの情報を確認しながらケーソンの誘導を行うため、より正確にケーソンを誘導することとなる。
【0028】
(
12)上記(
9)から(
11)項において、前記システム制御部が表示部の画面に出力する、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報に基づいて、各枡への注水量を調整するケーソンの誘導管理方法(請求項6)。
【0029】
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、システム制御部によって、必要十分な内容の注水管理情報を、システム制御部に接続している表示部の画面に出力し、この注水管理情報に基づいて、ケーソンの注水管理を行うものである。具体的に説明すると、例えば、ケーソンを平面視した場合の枡の並び方に対応するように、各枡を表す複数の矩形を並べて表示する。そして、それらの矩形内に対応する枡の水位を表示し、各矩形の間に対応する枡間の水位差を表示する。このような表示により、ケーソンに設けられている各枡と、表示している水位や水位差との対応が、直感的に把握されるものとなる。
又、システム制御部に任意の時間を入力し、現在の各枡への注水量を保った状態で、入力した任意の時間が経過した場合の、各枡の予測水位を表示する。そして、この予測水位を目安にすることで、注水を停止するタイミングを予測するものとなる。
更に、平面視したケーソンを矩形として捉え、この矩形の4つの頂角部夫々の高さを、例えば、4つの頂角部のうちの1つを基準位置とした相対的な高さで表示する。又、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部までの、夫々の勾配量を表示する。そして、これらの表示内容を参照しながら、注水量の調整を行うことで、ケーソンが常に水平状態を保つように注水量を調整するものとなる。
【0030】
(13)上記(
9)から(12)項において、無線通信手段を用いて、前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うケーソンの誘導管理方法(請求項7)。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソン上に設置される複数の水位計や二軸傾斜計と、任意の場所に設置されるシステム制御部との通信を、無線通信手段を用いて行うものである。無線通信手段として、例えば、無線LANを用いることができる。これにより、水位計で計測した水位データや二軸傾斜計で計測したケーソンの傾斜量等を、無線通信手段を介して、ケーソンから離れた場所に設置するシステム制御部に送信するものとなるため、ケーソンの全ての枡への注水管理や、ケーソンの所定位置への誘導を、ケーソンから離れた位置で安全かつ正確に行うものとなる。
【0031】
(14)上記(
9)から(13)項において、前記ケーソンに設置するデータ収録装置を用いて、前記複数の水位計が計測したデータを収集及び記録するケーソンの誘導管理方法(請求項8)。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソンの全ての枡に設置される複数の水位計が計測した水位データを、ケーソン上に設置されるデータ収録装置を用いて、収集及び記録するものである。これにより、複数の水位計で計測した水位データを、データ収録装置に集約することになるため、水位データをシステム制御部に送信する際に、複数の水位計により異なるタイミングで計測した水位データを、不定の順序で送信するようなことはなく、複数の水位計により略同じタイミングで計測した水位データを、纏めて送信するものとなる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置を使用することとすれば、システム制御部側のみに無線通信手段を設置することで、無線による通信を行うものとなる。