特許第5984491号(P5984491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984491ケーソン誘導管理システム及びこれを利用したケーソンの誘導管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984491
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ケーソン誘導管理システム及びこれを利用したケーソンの誘導管理方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/02 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   E02D23/02 D
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-104796(P2012-104796)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-231331(P2013-231331A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直幸
(72)【発明者】
【氏名】草刈 成直
(72)【発明者】
【氏名】山本 和哉
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−238914(JP,A)
【文献】 特開平08−020958(JP,A)
【文献】 特開昭64−039516(JP,A)
【文献】 特開2005−300347(JP,A)
【文献】 特開平02−070825(JP,A)
【文献】 特開2000−008389(JP,A)
【文献】 特開2008−014877(JP,A)
【文献】 特開2008−003042(JP,A)
【文献】 特開平03−281827(JP,A)
【文献】 特開2009−299413(JP,A)
【文献】 特開平10−060904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 23/00〜 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に据付けるためのケーソン誘導管理システムであって、
前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、システム全体の制御を行うシステム制御部とを含み、
該システム制御部は、前記複数の水位計により計測される枡の水位データに基づいて、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水を管理するために必要な情報を算出し、前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とにより計測される前記ケーソンの位置及び角度データに基づいて、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導するために必要な情報を算出し、
前記システム制御部は、平面視方向からの前記ケーソンを表す矩形と該矩形の端辺上に設定される2つの誘導点とを用いて前記ケーソンの現在の位置を示した現在位置図と、前記ケーソンが前記所定の位置にある場合の、前記2つの誘導点の位置を表す2つの目標点と前記矩形とを用いて前記所定の位置を示した目標位置図と、前記2つの誘導点と前記2つの目標点との夫々の距離と、前記現在位置図における前記矩形の4つの頂角部夫々の高さと、前記ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、前記ケーソンの現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図との、少なくとも1つを含む誘導情報を、表示部の画面に出力することを特徴とするケーソン誘導管理システム。
【請求項2】
前記システム制御部は、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報を、表示部の画面に出力することを特徴とする請求項1記載のケーソン誘導管理システム。
【請求項3】
前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うための無線通信手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のケーソン誘導管理システム。
【請求項4】
前記複数の水位計により計測された水位データを収集及び記録するデータ収録装置を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のケーソン誘導管理システム。
【請求項5】
水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に誘導する方法であって、
前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、システム全体の制御を行うシステム制御部とを利用し、
前記複数の水位計を用いて、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位を計測し、
前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とを用いて、前記ケーソンの位置及び角度を計測し、
前記システム制御部を用いて算出する情報を利用して、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水管理と、前記ケーソンの前記所定の位置への誘導とを行い、
前記システム制御部が表示部の画面に出力する、平面視方向からの前記ケーソンを表す矩形と該矩形の端辺上に設定される2つの誘導点とを用いて前記ケーソンの現在の位置を示した現在位置図と、前記ケーソンが前記所定の位置にある場合の、前記2つの誘導点の位置を表す2つの目標点と前記矩形とを用いて前記所定の位置を示した目標位置図と、前記2つの誘導点と前記2つの目標点との夫々の距離と、前記現在位置図における前記矩形の4つの頂角部夫々の高さと、前記ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、前記ケーソンの現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図との、少なくとも1つを含む誘導情報に基づいて、前記ケーソンを誘導することを特徴とするケーソンの誘導管理方法。
【請求項6】
前記システム制御部が表示部の画面に出力する、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報に基づいて、各枡への注水量を調整することを特徴とする請求項5記載のケーソンの誘導管理方法。
【請求項7】
無線通信手段を用いて、前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うことを特徴とする請求項5又は6記載のケーソンの誘導管理方法。
【請求項8】
前記ケーソンに設置するデータ収録装置を用いて、前記複数の水位計が計測したデータを収集及び記録することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載のケーソンの誘導管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソン誘導管理システムと、これを利用したケーソンの誘導管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーソンを水中等の所定の位置に据付ける際には、一般的に、浮上状態で水中ポンプによりケーソンの枡への注水を行い、ケーソンを所定の重量にして安定させ、所定の位置へケーソンを曳航、誘導した後、更に注水を行ってケーソンを沈降させ、据付を行う方法が用いられる。この際、ケーソンを目標とする位置に可能な限り正確に据付けることが要求されるため、作業管理者は、ケーソンの枡への注水管理を行い、又、トランシットや喫水計を用いてケーソンの傾斜等を計測し、この計測結果に基づいて、トランシーバー等を用いて、ケーソンをクレーンで吊り下げている場合にはクレーンの操作者に対して指示を出し、ケーソンの誘導を行っていた。更に、GPSシステムを利用してケーソンの位置管理を行い、所定の位置に誘導する方法も用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−238914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような方法では、ケーソンの動揺が大きい場合、トランシットや喫水計による計測結果に基づいて、トランシーバー等を用いて誘導を行うと、計測をした時と実際にケーソンの位置を調整する時とでタイムラグが生じ、ケーソンを所定の位置に正確に誘導することが困難になる。更に、GPSシステムを利用した方法においては、トランシットにより直接計測する方法よりも誘導の精度が低くなり、又、利用できる衛星数の増減により位置情報の受信が不安定になってしまう場合がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ケーソンを所定の位置に正確に据付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に据付けるためのケーソン誘導管理システムであって、前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、システム全体の制御を行うシステム制御部とを含み、該システム制御部は、前記複数の水位計により計測される枡の水位データに基づいて、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水を管理するために必要な情報を算出し、前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とにより計測される前記ケーソンの位置及び角度データに基づいて、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導するために必要な情報を算出するケーソン誘導管理システム。
【0008】
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンに設けられている注水用の枡毎に設置される、例えば、水圧センサー等の複数の水位計を有しており、これらの水位計を利用して、ケーソンの全ての枡の水位を計測する。そして、水位計により計測した水位データは、据付けるケーソン上以外の任意の既設構造物、例えば、既設のケーソン上に設置される、システム全体の制御を行うシステム制御部に送信される。システム制御部は、この水位データに基づいて、ケーソンの全ての枡への注水を管理するために必要な情報を算出する。そして、これらの情報を参照しながら、ケーソンの各枡への注水量を調整することとすれば、作業員がケーソン上で直接水位を計測する必要がなくなり、安全にケーソンの水位管理を行うものとなる。
【0009】
又、本項に記載のケーソン誘導管理システムは、例えば、既設のケーソン上に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションを有している。トータルステーションは、目標物にレーザー光等を照射してその反射光を検知し、距離と角度とを同時に計測する機器である。そして、この2台のトータルステーションにより、据付を行うケーソン上に設置される2台の全方向ミラーを追尾して、角度と距離との計測を行う。更に、据付を行うケーソン上に二軸傾斜計を有しており、この二軸傾斜計によるケーソンの傾斜量の計測結果が、システム制御部に送信される。そして、システム制御部は、2台のトータルステーションによる計測結果と、二軸傾斜計による計測結果とを併せて、リアルタイムにケーソンの位置及び角度データを算出し、このケーソンの位置及び角度データに基づいて、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報を算出する。このため、これらの情報を参照して、ケーソンを誘導することとすれば、リアルタイムに更新される情報に基づいて、ケーソンを所定の位置に正確に誘導するものとなる。
【0010】
なお、システム全体の制御を行うシステム制御部は、入力や操作を受け付けるための入力操作部と、算出した各情報を表示するための表示部とを含むものであり、例えば、パーソナルコンピュータを用いて構築される。この場合には、マウスやキーボードが入力操作部であり、パーソナルコンピュータに接続されたディスプレイが表示部である。又、表示部は複数接続されていてもよく、ケーソンの全ての枡への注水を管理するために必要な情報と、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報とを、別々の表示部に同時に表示させてもよい。
【0011】
)上記(1)項において、前記システム制御部は、平面視方向からの前記ケーソンを表す矩形と該矩形の端辺に設定される2つの誘導点とを用いて前記ケーソンの現在の位置を示した現在位置図と、前記ケーソンが前記所定の位置にある場合の、前記2つの誘導点の位置を表す2つの目標点と前記矩形とを用いて前記所定の位置を示した目標位置図と、前記2つの誘導点と前記2つの目標点との夫々の距離と、前記現在位置図における前記矩形の4つの頂角部夫々の高さと、前記ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、前記ケーソンの現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図との、少なくとも1つを含む誘導情報を、表示部の画面に出力するケーソン誘導管理システム(請求項1)
【0012】
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な誘導情報として、必要十分な内容を表示部の画面に出力するものである。具体的に説明すると、現在位置の平面視方向からのケーソンを矩形として表示させ、更にその矩形の端辺上に設定される2つの誘導点を表示させて、ケーソンの現在位置図とする。2つの誘導点は、例えば、既設のケーソンに対向する面に該当する矩形の端辺と、この端辺に向かい合う端辺との、夫々の中央部付近に設定される。又、所定の据付位置にある場合のケーソンを平面視方向からの矩形として表示させ、更にその矩形の端辺上に現在位置図における誘導点と同様に設定される2つの目標点を表示させて、ケーソンの目標位置図とする。これら現在位置図と目標位置図とを同時に表示させることで、ケーソンの現在位置と目標誘導位置との位置関係が、直感的に把握されるものとなる。
【0013】
更に、現在位置図に設定されている2つの誘導点と、目標位置図に設定されている2つの目標点との夫々の距離を表示させる。例えば、現在位置図や目標位置図を正面視した場合の、上下方向と左右方向との夫々の方向に分解して、2つの誘導点と2つの目標点との夫々の距離を表示させる。この距離表示を確認しながら、ケーソンの誘導を行うことで、ケーソンがより正確に目標位置に誘導されることとなる。
又、ケーソンの現在位置図における、矩形として表されたケーソンの4つの頂角部夫々の高さを表示させることで、ケーソンが着底するまでの高さを管理するものとなる。
又、ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、側面視方向から表した側面傾斜図とを表示させることで、ケーソンの傾斜量が把握される。そして、これらの正面傾斜図及び側面傾斜図と、ケーソンを平面視方向から示した現在位置図とで、ケーソンの現在の状態が三面方向から示されることになる。
【0014】
)上記()項において、前記システム制御部は、前記ケーソンに設けられた各枡への注水量を調整する際に指標となる、隣接する枡間の水位差と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するケーソン誘導管理システム。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、システム制御部が、水位計により計測する全ての枡の水位データに基づいて、隣接する全ての枡間の水位差を算出する。この枡間の水位差を確認しながら、注水量の調整を行うことで、水位差から生じる水圧による各枡を隔てている壁部の損傷を、未然に防止することになる。
又、システム制御部は、二軸傾斜計により計測するケーソンの傾斜量に基づいて、ケーソンの高さ方向の勾配量を算出する。そして、このケーソンの勾配量を確認しながら、注水作業を行うこととすれば、ケーソンが常に水平状態を保つように、注水量が調整されるものとなる。
【0015】
)上記()()項において、前記システム制御部は、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導する際に指標となる、前記ケーソンの現在の位置から前記所定の位置までの距離と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するケーソン誘導管理システム。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報として、ケーソンの現在の位置から所定の位置までの距離と、ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するものである。すなわち、ケーソンを所定の位置に誘導するための、ケーソンの緯度及び経度方向に係る情報を、ケーソンの現在の位置から所定の位置までの距離で表し、ケーソンの高さ方向に係る情報を、ケーソンの勾配量で表すものである。これにより、現在のケーソンの状態を、緯度方向、経度方向、高さ方向の3方向に係る数値で示すことになるため、ケーソンを所定の位置に誘導するための情報を、具体的な内容で提供するものとなる。
【0016】
)上記()から()項において、前記システム制御部は、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報を、表示部の画面に出力するケーソン誘導管理システム(請求項2)。
【0017】
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンに設けられた全ての枡への注水管理に必要な注水管理情報として、必要十分な内容を表示部の画面に出力するものである。具体的に説明すると、ケーソンに設けられた全ての枡の水位は、ケーソンを平面視した場合の枡の並び方に対応するように各枡の水位を表示させ、又、隣接する枡間の水位差は、各枡の水位の表示の間に、夫々対応する枡間の水位差を表示させる。このように表示させることで、ケーソンに設けられている各枡と、表示されている水位や水位差との対応が、直感的に把握されるものとなる。
【0018】
又、現在の注水量を保った状態で、システム制御部に入力された予測時間が経過した場合の、各枡の予測水位を表示させる。この予測水位を目安にすることで、注水を停止するタイミングが予測されるものとなる。
更に、平面視したケーソンを矩形として捉え、その矩形の4つの頂角部夫々の高さを、例えば、4つの頂角部のうちの1つを基準位置とした、相対的な高さで表示させる。又、上記と同様に矩形として捉えたケーソンの、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部までの勾配量を、夫々表示させる。これらの表示内容を参照することで、ケーソンが常に水平状態を保つように、注水量が調整されるものとなる。
【0019】
(6)上記()から(5)項において、前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うための無線通信手段を備えるケーソン誘導管理システム(請求項3)。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソン上に設置される複数の水位計や二軸傾斜計と、任意の場所に設置されるシステム制御部との通信を、無線で行う無線通信手段を備えているものである。無線通信手段には、例えば、無線LANが用いられ、水位計や二軸傾斜計等で計測したデータは、無線通信手段を介してシステム制御部に送信される。これにより、ケーソンから離れた場所において、ケーソンの各枡の水位データやケーソンの傾斜量が取得されるため、ケーソンの全ての枡への注水管理や、ケーソンの所定位置への誘導を、ケーソンから離れた位置で安全かつ正確に行うものとなる。
【0020】
(7)上記()から(6)項において、前記複数の水位計により計測された水位データを収集及び記録するデータ収録装置を備えるケーソン誘導管理システム(請求項4)。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンの全ての枡に設置される複数の水位計が計測した水位データを収集及び記録するための、ケーソン上に設置されるデータ収録装置を備えるものである。これにより、複数の水位計で計測した水位データが、データ収録装置に集約されることになるため、水位データがシステム制御部に送信される際に、複数の水位計により異なるタイミングで計測された水位データが、不定の順序で送信されるようなことはなく、複数の水位計により略同じタイミングで計測された水位データが、纏められて送信されることになる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置を備えることとすれば、システム制御部側のみに無線通信手段を備えることで、無線による通信を確立するものとなる。
【0021】
(8)水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に誘導する方法であって、前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、システム全体の制御を行うシステム制御部とを利用し、前記複数の水位計を用いて、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位を計測し、前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とを用いて、前記ケーソンの位置及び角度を計測し、前記システム制御部を用いて算出する情報を利用して、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水管理と、前記ケーソンの前記所定の位置への誘導とを行うケーソンの誘導管理方法。
【0022】
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、据付けるケーソンに設けられている注水用の枡毎に、水圧センサー等の水位計を設置し、全ての枡の水位の計測を行う。又、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションに、予めケーソン上に設置した2台の全方向ミラーの夫々を捕捉させ、ケーソンまでの距離と角度の計測を行う。更に、ケーソン上に二軸傾斜計を設置し、ケーソンの傾斜計側を行う。そして、これらの計測データを、据付けるケーソン上以外の任意の既設構造物、例えば、既設のケーソン上に設置したシステム制御部に送信し、システム制御部により、各計測データに基づいた、ケーソンの注水管理を行うために必要な情報と、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報とを算出する。このように算出した、ケーソンの注水管理を行うために必要な情報を参照しながら、ケーソンの各枡への注水量を調整するため、作業員がケーソン上で直接水位を計測することなく、安全にケーソンの水位管理を行うものとなる。更に、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報を参照してケーソンを誘導するため、リアルタイムに更新される情報に基づいて、ケーソンを所定の位置に正確に据付けるものとなる。
【0023】
)上記(8)項において、前記システム制御部が表示部の画面に出力する、平面視方向からの前記ケーソンを表す矩形と該矩形の端辺に設定される2つの誘導点とを用いて前記ケーソンの現在の位置を示した現在位置図と、前記ケーソンが前記所定の位置にある場合の、前記2つの誘導点の位置を表す2つの目標点と前記矩形とを用いて前記所定の位置を示した目標位置図と、前記2つの誘導点と前記2つの目標点との夫々の距離と、前記現在位置図における前記矩形の4つの頂角部夫々の高さと、前記ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、前記ケーソンの現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図との、少なくとも1つを含む誘導情報に基づいて、前記ケーソンを誘導するケーソンの誘導管理方法-(請求項5)
【0024】
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、システム制御部によって、必要十分な内容の誘導情報を、システム制御部に接続している表示部の画面に出力し、この誘導情報に基づいて、ケーソンを所定の位置に誘導するものである。具体的に説明すると、現在位置の平面視方向からのケーソンを矩形として表示し、更にその矩形の端辺上に設定する2つの誘導点を表示して、ケーソンの現在位置図とする。又、所定の据付位置にある場合のケーソンを、平面視方向からの矩形として表示し、更にその矩形の端辺上に現在位置図における誘導点と同様に設定する2つの目標点を表示して、ケーソンの目標位置図とする。そして、現在位置図と目標位置図とを同時に表示することで、ケーソンの現在位置と目標誘導位置との位置関係が、直感的に把握されるものとなる。
【0025】
更に、現在位置図に設定する2つの誘導点と、目標位置図に設定する2つの目標点との夫々の距離を、例えば、現在位置図や目標位置図を正面視した場合の、上下方向と左右方向との夫々の距離に分解して表示する。この表示した距離を確認しながら、ケーソンの誘導を行うことで、ケーソンをより正確に目標位置に誘導するものとなる。
又、ケーソンの現在位置図における、矩形として表したケーソンの4つの頂角部夫々の高さを表示することで、ケーソンが着底するまでの高さ方向の管理を行うものとなる。
又、ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、側面視方向から表した側面傾斜図とを表示することにより、ケーソンの傾斜量が把握される。そして、これらの正面傾斜図及び側面傾斜図と、ケーソンを平面視方向から示した現在位置図とで、ケーソンの現在の状態を三面方向から示すことになる。
【0026】
10)上記()項において、前記システム制御部が算出する、隣接する枡間の水位差と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを指標として、前記ケーソンに設けられた各枡への注水量を調整するケーソンの誘導管理方法。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソンの各枡に設置した水位計により計測した水位データに基づいて、システム制御部により、隣接する各枡間の水位差を算出する。そして、各枡間の水位差を確認しながら注水量の調整を行うことで、各枡を隔てている壁部が、水位差から生じる水圧によって損傷されることを未然に防止するものとなる。
又、本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソン上に設置した二軸傾斜計により計測したケーソンの傾斜量に基づいて、システム制御部によりケーソンの勾配量を算出する。そして、このケーソンの勾配量を確認しながら注水量の調整を行うため、常にケーソンが水平状態を維持するように、注水量を調整するものとなる。
【0027】
11)上記()(10)項において、前記システム制御部が算出する、前記ケーソンの現在の位置から前記所定の位置までの距離と、前記ケーソンの高さ方向の勾配量とを指標として、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導するケーソンの誘導管理方法。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、2台のトータルステーションにより計測するケーソンの距離及び角度データと、ケーソン上に設置した二軸傾斜計により計測するケーソンの傾斜量とに基づいて、システム制御部により、ケーソンの現在の位置からケーソンを据付ける所定位置までの距離及びケーソンの勾配量を算出する。そして、これらの情報を確認しながらケーソンの誘導を行うため、より正確にケーソンを誘導することとなる。
【0028】
12)上記()から(11)項において、前記システム制御部が表示部の画面に出力する、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報に基づいて、各枡への注水量を調整するケーソンの誘導管理方法(請求項6)。
【0029】
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、システム制御部によって、必要十分な内容の注水管理情報を、システム制御部に接続している表示部の画面に出力し、この注水管理情報に基づいて、ケーソンの注水管理を行うものである。具体的に説明すると、例えば、ケーソンを平面視した場合の枡の並び方に対応するように、各枡を表す複数の矩形を並べて表示する。そして、それらの矩形内に対応する枡の水位を表示し、各矩形の間に対応する枡間の水位差を表示する。このような表示により、ケーソンに設けられている各枡と、表示している水位や水位差との対応が、直感的に把握されるものとなる。
又、システム制御部に任意の時間を入力し、現在の各枡への注水量を保った状態で、入力した任意の時間が経過した場合の、各枡の予測水位を表示する。そして、この予測水位を目安にすることで、注水を停止するタイミングを予測するものとなる。
更に、平面視したケーソンを矩形として捉え、この矩形の4つの頂角部夫々の高さを、例えば、4つの頂角部のうちの1つを基準位置とした相対的な高さで表示する。又、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部までの、夫々の勾配量を表示する。そして、これらの表示内容を参照しながら、注水量の調整を行うことで、ケーソンが常に水平状態を保つように注水量を調整するものとなる。
【0030】
(13)上記()から(12)項において、無線通信手段を用いて、前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うケーソンの誘導管理方法(請求項7)。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソン上に設置される複数の水位計や二軸傾斜計と、任意の場所に設置されるシステム制御部との通信を、無線通信手段を用いて行うものである。無線通信手段として、例えば、無線LANを用いることができる。これにより、水位計で計測した水位データや二軸傾斜計で計測したケーソンの傾斜量等を、無線通信手段を介して、ケーソンから離れた場所に設置するシステム制御部に送信するものとなるため、ケーソンの全ての枡への注水管理や、ケーソンの所定位置への誘導を、ケーソンから離れた位置で安全かつ正確に行うものとなる。
【0031】
(14)上記()から(13)項において、前記ケーソンに設置するデータ収録装置を用いて、前記複数の水位計が計測したデータを収集及び記録するケーソンの誘導管理方法(請求項8)。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソンの全ての枡に設置される複数の水位計が計測した水位データを、ケーソン上に設置されるデータ収録装置を用いて、収集及び記録するものである。これにより、複数の水位計で計測した水位データを、データ収録装置に集約することになるため、水位データをシステム制御部に送信する際に、複数の水位計により異なるタイミングで計測した水位データを、不定の順序で送信するようなことはなく、複数の水位計により略同じタイミングで計測した水位データを、纏めて送信するものとなる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置を使用することとすれば、システム制御部側のみに無線通信手段を設置することで、無線による通信を行うものとなる。
【発明の効果】
【0032】
本発明はこのように構成したので、ケーソンを所定の位置に正確に据付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システムを概略的に示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システムの、ケーソン誘導に係るシステム画面の一例を示したものである。
図3】本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システムの、ケーソンの注水管理に係るシステム画面の一例を示したものである。
図4】本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システムを用いて、ケーソンの誘導を行う手順の一例を示したフローチャ−トである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10を用いて、新設ケーソン12の注水管理や既設ケーソン14に隣接する目標位置への誘導を行う様子を、平面視方向から概略的に示したものである。ケーソン誘導管理システム10は、図示のように、新設ケーソン12上に、二軸傾斜計18と、新設ケーソン12に設けられている枡22毎に設置される複数の水位計20と、複数の水位計20の全てに接続されているデータ収録装置28とを備えている。又、既設ケーソン14上に、自動追尾機能を有する2台のトータルステーション16と、システム全体の制御を行うシステム制御部24とを備えており、システム制御部24には、システム制御部24が算出する情報を表示するための監視モニター26が接続されている。更に、新設ケーソン12と既設ケーソン14との双方に、無線通信手段30を備えている。
【0035】
次に、ケーソン誘導管理システム10の各構成要素について詳細に説明する。2台のトータルステーション16は、夫々、新設ケーソン12上に設置された2台の全方向ミラー16aを追尾し、距離及び角度の計測を行い、二軸傾斜計18は、新設ケーソン12の傾斜量を計測する。又、複数の水位計20は、各々が設置されている枡22の水位を計測するものであり、例えば、水圧センサー等が用いられる。そして、水位計20が計測した水位データは、データ収録装置28に全て送信され、データ収録装置28により収集及び記録される。又、システム制御部24は、上記のように計測された各計測データを取得し、これらの計測データに基づいて、枡22への注水管理や、新設ケ−ソン12の誘導に必要な各情報を算出し、監視モニター26に表示する。このため、システム制御部24には、例えば、パーソナルコンピュータ等が用いられ、マウスやキーボードによる操作が可能となっている。
【0036】
又、無線通信手段30には、例えば、無線LAN等が用いられ、新設ケーソン12に設置される各装置と、既設ケーソン14に設置される各装置との無線による通信を確立するものである。図示の例では、複数の水位計20により計測された水位データは、データ収録装置28に集約されるため、各枡22の水位データは、複数の水位計20の各々からではなく、データ収録装置28から送信される。又、データ収録装置28が無線通信機能を有しているのであれば、新設ケーソン12には無線通信手段30を設置せずに、新設ケーソン12に設置される各装置と既設ケーソン14に設置される各装置との通信を、データ収録装置28と既設ケーソン14に設置される無線通信手段30とを介して行ってもよい。
【0037】
なお、図1に示す例では、水中に沈められているシンカー48に端部が固定されている4本のワイヤ52を、新設ケーソン12に固定されている4台のウィンチ40により、巻取り或いは繰出すことで、浮上している状態の新設ケーソン12の位置を調整する。4台のウィンチ40の操作は、既設ケーソン14上の管理室50内において、監視モニター26に表示される誘導情報システム画面SD1(図2参照)を確認しながら、ウィンチ遠隔装置44を用いて作業管理者により行われる。
【0038】
又、新設ケーソン12の各枡22への注水量は、4台の水中ポンプ42により、水中の水を枡22内へ注水、或いは、枡22内の水を水中へ排水することにより調整される。4台の水中ポンプ42の操作は、管理室50内において、監視モニター26に表示される注水管理情報システム画面SD2(図3参照)を確認しながら、ポンプ遠隔装置46を用いて作業管理者により行われる。
なお、図1の例では、新設ケーソン12に20個の枡22が設けられており、5個の枡22毎に4つの注水グループに分けられている。そして、同じ注水グループの5つの枡22は、内部が水路により接続されており、注水された水を注水グループ内で共有している。このため、少なくとも4台の水中ポンプ42を用いることにより、水中ポンプ42の配置を変更せずに、4つの注水グループに分かれた全ての枡22への注水量が調整されることになる。
【0039】
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10が、システム制御部24により監視モニター26に表示させる、誘導情報システム画面SD1の一例を説明する。誘導情報システム画面SD1は、新設ケーソン12を既設ケーソン14に隣接する目標位置に誘導するための、各情報を示すものである。まず、目標位置図TLは、新設ケーソン12を据付ける目標位置を示したものであり、目標位置に据付けた状態のケーソンを、平面視方向からの矩形で表現している。又、目標位置図TLには、新設ケーソン12を誘導する際の指標とするために設定される、目標点TP1及びTP2が、矩形の端辺上(図2では右側端辺の中央と左側端辺の中央)に表示されている。目標位置図TLの矩形と目標点TP1及びTP2との表示位置や大きさは、少なくとも本システム画面を確認しながらの新設ケーソン12の誘導作業中は固定されており、目標位置に係る情報が変更されるようなことがない限り、誘導情報システム画面SD1内で変化することはない。なお、目標位置の位置情報は、2台のトータルステーション16と目標位置との位置関係等に基づいて、予めシステム制御部24に入力、或いは、システム制御部24により算出されるものとする。
【0040】
又、現在位置図12Lは、新設ケーソン12の現在位置を、平面視方向から矩形で示したものであり、目標位置図TLの目標点TP1及びTP2と同じように設定される、誘導点NP1及びNP2と共に表示される。現在位置図12Lの矩形の大きさは固定されているが、矩形の表示位置や表示角度は、現在の新設ケーソン12と据付の目標位置との、実際の位置関係の変化に対応して、目標位置図TLを基準として相対的にリアルタイムに変化していく。新設ケーソン12と目標位置との実際の位置関係は、2台のトータルステーション16等の計測結果に基づいて、システム制御部24により算出される。更に、現在位置図12Lには、新設ケーソン12の上面部の四隅夫々をA〜Dとした場合の、現在の夫々の高さを示す四隅標高FHが、2台のトータルステーション16や二軸傾斜計18の計測結果に基づいて、矩形の対応する頂角部に表示されている。なお、図2の例では、現在位置図12Lの矩形の、図中右下の頂角部をAとして、時計回りにA〜Dを設定したものとする。
【0041】
又、誘導情報システム画面SD1の上部に表示されている、誘導量GP1及びGP2は、新設ケーソン12を誘導する際の目安となる、現在位置図12Lの誘導点NP1から目標位置図TLの目標点TP1までの距離、及び、誘導点NP2から目標点TP2までの距離を、夫々示すものである。これらの距離は、誘導情報システム画面SD1内での上下方向をX方向、左右方向をY方向として、X方向の距離とY方向との距離とに分解されて、新設ケーソン12を誘導する方向を示す矢印と共に表示されている。なお、これらの距離及び矢印の方向は、2台のトータルステーション16等の計測結果に基づいて、システム制御部24により算出されるものである。
【0042】
更に、誘導情報システム画面SD1の左下部に表示されている、側面傾斜図CI1は、新設ケーソン12を側面視した場合の現在の傾斜量を、側面視したケーソンを示す矩形と共に示したものである。なお、ここでの側面視とは、現在位置図12Lにおける右側或いは左側から、新設ケーソン12を見た状態を示している。このため、側面傾斜図CI1では、傾斜量を表示する方向を、現在位置図12Lの矩形の右側端辺(A−D)を見る方向と、現在位置図12Lの矩形の左側端辺(B−C)を見る方向とで、選択ができるようになっている。同様に、誘導情報システム画面SD1の右下部に表示されている、正面傾斜図CI2は、新設ケーソン12を正面視した場合の現在の傾斜量を、正面視したケーソンを示す矩形と共に示したものであり、傾斜量を表示する方向を、現在位置図12Lの矩形の下側端辺(A−B)を見る方向と、現在位置図12Lの矩形の上側端辺(D−C)を見る方向とで、選択ができるようになっている。
なお、図中の符号14Lは、既設ケーソン14を示したものである。
【0043】
続いて、図3を参照して、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10が、システム制御部24により監視モニター26に表示させる、注水管理情報システム画面SD2の一例を説明する。注水管理情報システム画面SD2は、新設ケーソン12の全ての枡22の、注水管理を行うための各情報を示すものである。図中の符号12Iで示す矩形は、平面視方向からの新設ケーソン12を示す矩形であり、その方向は、図2の現在位置図12Lや目標位置図TLの矩形の方向と統一されている。又、新設ケーソン12を示す矩形12Iの内部に表示されている複数の矩形22Lは、新設ケーソン12に設けられている枡22の配置を示すものである。図3の例では、図1の新設ケーソン12と同様に、20個の枡22が設けられているものとして、矩形22Lを表示している。枡22の配置を示す複数の矩形22Lは、新設ケーソン12を平面視した場合の複数の枡22の配置に対応するように、並べられて表示される。そして、各矩形22Lの内部には、枡22に設置されている水位計20により計測した、対応する枡22の現在の水位が表示されている。更に、各矩形22Lの間に、矩形22Lが対応する夫々の枡22間の水位差LGを表示している。なお、枡22の配置を示す矩形22Lの各々に、上述した注水グループ毎に異なる色を着けてもよく、又、枡22間の水位差LGに、その値の大きさに対応した色を着けるようにしてもよい。
【0044】
又、新設ケーソン12を示す矩形12Iの4つの頂角部には、新設ケーソン12の上面部の四隅の高さを、図3の例では左下隅の高さを基準位置として示した、相対的な高さFSが表示されている。そして、矩形12Iの左側及び下側に表示されている、勾配量SL1及びSL2は、新設ケーソン12の図中上下方向及び左右方向の傾斜量を、各々示したものである。なお、これらの相対的な高さFSや勾配量SL1及びSL2は、二軸傾斜計18等の計測結果に基づいて算出される。
更に、注水管理情報システム画面SD2の右側には、全ての枡22の現在の水位22CLが、枡22の断面をイメージした図と共に、枡22の配置を示す複数の矩形22Lと同じ配置で示されている。現在の水位22CLの表示内容は、各矩形22Lの内部に表示する水位と同様である。又、現在の水位22CLの上側には、現在の注水量を維持した状態で、符号TIで示す箇所で入力された任意の時間が経過した場合の、予測水位22ELが表示されている。
【0045】
次に、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10を用いて、新設ケーソン12の注水管理及び誘導を行う場合の、新設ケーソン12の据付の手順の一例を、図4のフローチャートに従って説明する。なお、ケーソン誘導管理システム10の構成や位置関係については図1を、ケーソン誘導管理システム10が出力する各システム画面については図2及び図3を、夫々参照されたい。
S10:据付を行う新設ケーソン12の事前測量をする。すなわち、新設ケーソン12の曳航を行う前に、新設ケーソン12の出来形測定を行い、新設ケーソン12の大きさ等を正確に把握する。これらの測定結果は、必要に応じてケーソン誘導管理システム10のシステム制御部に入力される。
【0046】
S20:新設ケーソン12や既設ケーソン14に、ケーソン誘導管理システム10の各構成要素や、ケーソンを誘導する際に必要となる装置の艤装を行う。すなわち、新設ケーソン12に、2台のトータルステーション16が追尾照準するための2台の全方向ミラー16a、二軸傾斜計18、複数の水位計20、データ収録装置28、無線通信手段30、ウィンチ40、ワイヤ52等を設置する。又、既設ケーソン14に、2台のトータルステーション16、システム制御部24、監視モニター26、無線通信手段30等を設置する。
S30:上記S20において設置した、各計測機器のキャリブレーションを行う。更に、各装置が正常に動作することを確認してもよい。
【0047】
S40:新設ケーソン12を、据付の目標位置近辺まで曳航する。この際、新設ケーソン12の大きさや、曳航する距離等に合わせて、浮上した状態の新設ケーソン12を曳航船にて曳航する方法、新設ケーソン12を大型起重機にて吊り下げた状態で曳航する方法等が用いられる。
S50:新設ケーソン12に設けられている各枡22に対して、水中ポンプ42により注水を行う。この際、システム制御部24により監視モニター26に表示される、図3で示すような注水管理情報システム画面SD2において、各枡22の水位や各枡22間の水位差を確認しながら、各枡22間の水位差が過度に大きくなることのないようにバランス良く注水を行い、据付時の計画注水量の8割程度の注水量となるように、各枡22の水位を調整する。こうすることで、新設ケーソン12は、水流等の影響により大きく移動することのない安定した重量を有しながらも、据付の目標位置近辺で浮上した状態となる。なお、水中ポンプ42の操作は、監視モニター26と同じく既設ケーソン14上の管理室50に設置されている、ポンプ遠隔装置46を用いて行う。
【0048】
S60:浮上した状態の新設ケーソン12を、据付の目標位置まで誘導する。新設ケーソン12の位置調整は、ワイヤ52をウィンチ40により巻取り或いは繰出すことで行われる。この際、システム制御部24により監視モニター26に表示される、図2で示すような誘導情報システム画面SD1において、新設ケーソン12の現在位置から目標位置までの距離や、新設ケーソン12の傾斜量等を確認しながら、ウィンチ40を操作して誘導を行う。なお、ウィンチ40の操作は、管理室50に設置されているウィンチ遠隔装置44を用いて行う。
S70:上記S60において、新設ケーソン12を目標位置まで誘導した後に、再度、新設ケーソン12の各枡22に対して、水中ポンプ42により注水を行う。この際、注水管理情報システム画面SD2において、各枡22の水位や各枡22間の水位差を確認しながら、各枡22間の水位差が過度に大きくなることのないようにバランス良く注水を行い、据付時の計画注水量、或いは、その場で適切と判断される注水量となるように調整を行う。
【0049】
S80:上記S70において注水を行い、新設ケーソン12の重量を増加させることで、新設ケーソン12が着底し、沈設された状態となる。
S90:沈設した状態の新設ケーソン12の出来形測定を行い、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されているか否かの判定を行う。そして、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていると判定した場合(YES)は、S110へ移行し、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていないと判定した場合(NO)は、S100へ移行する。
【0050】
S100:上記S90において、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていないと判定した場合は、水中ポンプ42を用いて新設ケーソン12の各枡22から排水を行う。この際、注水管理情報システム画面SD2において、各枡22の水位や各枡22間の水位差を確認しながら、各枡22間の水位差が過度に大きくなることのないようにバランス良く排水を行う。そして、各枡22の水位を下げ、新設ケーソン12の重量を減らすことで、新設ケーソン12を再度浮上させる。その後、S60へ復帰する。
S110:上記S90において、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていると判定した場合は、新設ケーソン12の据付が完了となる。
【0051】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、図1に示すように、新設ケーソン12に設けられている注水用の枡22毎に設置される、例えば、水圧センサー等の複数の水位計20を有しており、これらの水位計20を利用して、新設ケーソン12の全ての枡22の水位を計測する。そして、水位計20により計測した水位データは、新設ケーソン12上以外の任意の既設構造物、図1の例では既設ケーソン14上に設置されている、システム全体の制御を行うシステム制御部24に送信される。システム制御部24は、この水位データに基づいて、新設ケーソン12の全ての枡22への注水を管理するために必要な情報を算出する。そして、これらの情報を参照しながら、新設ケーソン12の各枡22への注水量を調整することとすれば、作業員が新設ケーソン12上で直接水位を計測する必要もなく、安全に新設ケーソン12の水位管理を行うことができる。
【0052】
又、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、図1の例では既設ケーソン14上に設置されている、自動追尾機能を有する2台のトータルステーション16を有している。そして、この2台のトータルステーション16により、新設ケーソン12上に設置される2台の全方向ミラー16aを追尾して、角度と距離との計測を行う。更に、新設ケーソン12上に二軸傾斜計18を有しており、この二軸傾斜計18による新設ケーソン12の傾斜量の計測結果が、システム制御部24に送信される。そして、システム制御部24は、2台のトータルステーション16による計測結果と、二軸傾斜計18による計測結果とを併せて、リアルタイムに新設ケーソン12の位置及び角度データを算出する。更に、この新設ケーソン12の位置及び角度データに基づいて、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するために必要な情報を算出する。このため、これらの情報を参照して、新設ケーソン12を誘導することとすれば、リアルタイムに更新される情報に基づいて、新設ケーソン12を所定の位置に正確に誘導することが可能となる。
【0053】
なお、ケーソン誘導管理システム10全体の制御を行うシステム制御部24は、入力や操作を受け付けるための入力操作部と、算出した各情報を表示するための表示部とを含むものであり、図1の例では、パーソナルコンピュータを用いて構築されている。この場合には、マウスやキーボード(図示省略)が入力操作部であり、システム制御部24に接続された監視モニター26等が表示部である。又、表示部は、図1の監視モニター26のように複数接続されていてもよく、こうすることにより、新設ケーソン12の全ての枡22への注水を管理するために必要な情報や、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するために必要な情報等の、システム制御部24により算出する様々な情報を、別々の表示部に同時に表示させることができるため、新設ケーソン12の誘導を、より効率よく行うことができる。
【0054】
更に、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、水位計20により計測する全ての枡22の水位データに基づいて、システム制御部24により、隣接する全ての枡22間の水位差を算出するものである。このため、算出された各枡22間の水位差を確認しながら、注水量の調整を行うこととすれば、各枡22を隔てている壁部が、水位差から生じる水圧によって損傷されることを、未然に防止することが可能となる。
又、新設ケーソン12上に設置した二軸傾斜計18により計測する、新設ケーソン12の傾斜量に基づいて、システム制御部24により、新設ケーソン12の高さ方向の勾配量を算出することとすれば、勾配量を確認しながら注水作業を行うことができるため、新設ケーソン12が常に水平状態を保つように、注水量を調整することが可能となる。
【0055】
又、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、2台のトータルステーション16により計測する新設ケーソン12の距離及び角度データと、新設ケーソン12上に設置した二軸傾斜計18により計測する新設ケーソン12の傾斜量とに基づいて、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するために必要な情報として、新設ケーソン12の現在の位置から所定の位置までの距離と、新設ケーソン12の高さ方向の勾配量とを算出するものである。すなわち、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するための、新設ケーソン12の緯度及び経度方向に係る情報を、新設ケーソン12の現在の位置から所定の位置までの距離で表し、新設ケーソン12の高さ方向に係る情報を、新設ケーソン12の勾配量で表すものである。これにより、現在の新設ケーソン12の状態を、緯度方向、経度方向、高さ方向の3方向に係る数値で示すことになるため、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するための情報を、具体的な内容で提供することが可能となり、これらの情報を確認しながら新設ケーソン12の誘導を行うことで、より正確に新設ケーソン12を誘導することができる。
【0056】
更に、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、新設ケーソン12に設けられた全ての枡22への注水管理に必要な注水管理情報として、図3に示す注水管理情報システム画面SD2のような、必要十分な内容を表示部の画面に出力することとしてもよい。具体的に説明すると、新設ケーソン12に設けられた全ての枡22の水位は、新設ケーソン12を平面視した場合の枡22の並び方に対応するように、各枡22の配置を示す矩形22Lを並べて、その内部に表示させる。又、隣接する枡22間の水位差は、並べて表示されている各矩形22Lの間に、夫々対応する枡22間の水位差を、符号LGで示すように表示させる。このように表示させることで、新設ケーソン12に設けられている各枡22と、注水管理情報システム画面SD2に表示されている水位や水位差との対応を、直感的に把握することができる。
【0057】
又、注水管理情報システム画面SD2では、現在の注水量を保った状態で、図中の符号TIで示す予測水位を表示させる時間に入力された時間が経過した場合の、各枡22の予測水位22ELを、各枡22の現在の水位22CLと共に表示させてもよい。この予測水位22ELを目安にすれば、適切なタイミングで注水を停止させることができる。
更に、平面視した新設ケーソン12を矩形12Iとして表示させ、その矩形12Iの4つの頂角部夫々の高さFSを、図3の例では左下の頂角部を基準位置とした、相対的な高さで表示させる。又、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部まで(図3では左下の頂角部から左上の頂角部及び右下の頂角部まで)の、夫々の勾配量SL1及びSL2を表示させる。そして、これらの表示内容を参照しながら、注水量の調整を行うことで、新設ケーソン12が常に水平状態を保つように、容易に注水量を調整することができる。
【0058】
更に、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するために必要な誘導情報として、図2に示す誘導情報システム画面SD1のような、必要十分な内容を表示部の画面に出力することとしてもよい。具体的に説明すると、現在位置の平面視方向からの新設ケーソン12を矩形として表示させ、更にその矩形の端辺上に設定される2つの誘導点NP1及びNP2を表示させて、新設ケーソン12の現在位置図12Lとする。2つの誘導点NP1及びNP2は、図2の例では、既設ケーソン14に対向する面に該当する矩形の右側端辺と、右側端辺に向かい合う左側端辺との、夫々の中央部付近に設定されている。又、据付の目標位置にある状態の新設ケーソン12を平面視方向からの矩形として表示させ、更にその矩形の端辺上に現在位置図12Lにおける誘導点NP1及びNP2と同様に設定される2つの目標点TP1及びTP2を表示させて、新設ケーソン12の目標位置図TLとする。そして、これらの現在位置図12Lと目標位置図TLとを同時に表示させることで、新設ケーソン12の現在位置と目標誘導位置との位置関係を、直感的に把握することができる。
【0059】
更に、現在位置図12Lに設定されている2つの誘導点NP1及びNP2と、目標位置図TLに設定されている2つの目標点TP1及びTP2との夫々の距離を表示させる。図2の例では、図中の上下方向と左右方向との夫々の方向に分解して、2つの誘導点NP1及びNP2と、2つの目標点TP1及びTP2との夫々の距離を、誘導量GP1及びGP2として表示させている。これらの誘導量GP1及びGP2の表示を確認しながら、新設ケーソン12の誘導を行うことで、新設ケーソン12をより正確に目標位置に誘導することができる。
又、新設ケーソン12の現在位置図12Lにおける、矩形として表された新設ケーソン12の4つの頂角部夫々の高さを、四隅標高FHとして表示させることで、新設ケーソン12が着底するまでの高さ管理を、容易に行うことができる。
【0060】
又、新設ケーソン12の現在の傾斜量を側面視方向から表した側面傾斜図CI1と、正面視方向から表した正面傾斜図CI2とを表示させることで、新設ケーソン12の傾斜量を容易に把握することができる。
そして、これらの側面傾斜図CI1及び正面傾斜図CI2と、新設ケーソン12を平面視方向から示した現在位置図12Lとで、新設ケーソン12の現在の状態が三面方向から示されることになる。すなわち、2台のトータルステーション16と二軸傾斜計18との計測結果から、新設ケーソン12の現在の状態を三次元的に表示することが可能となる。
【0061】
又、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、新設ケーソン12上に設置されている複数の水位計20や二軸傾斜計18と、既設ケーソン14上に設置されているシステム制御部24との通信を、無線で行う無線通信手段30を備えているものである。無線通信手段30には、例えば、無線LANが用いられ、水位計20や二軸傾斜計18等で計測したデータは、無線通信手段30を介してシステム制御部24に送信される。これにより、新設ケーソン12から離れた位置の既設ケーソン14上において、新設ケーソン12の各枡22の水位データや新設ケーソン12の傾斜量を取得することが可能となり、新設ケーソン12の全ての枡22への注水管理や、新設ケーソン12の所定位置への誘導を、新設ケーソン12から離れた位置で安全かつ正確に行うことができる。
【0062】
更に、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10は、新設ケーソン12の全ての枡22に設置される複数の水位計20が計測した水位データを収集及び記録するための、新設ケーソン12上に設置されるデータ収録装置28を備えるものである。これにより、複数の水位計20で計測した水位データが、データ収録装置28に集約されることになるため、水位データがシステム制御部24に送信される際に、複数の水位計20により異なるタイミングで計測された水位データを、不定の順序で送信するようなことはなく、複数の水位計20により略同じタイミングで計測された水位データを、纏めて送信することが可能となる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置28を備えることとすれば、システム制御部24側のみに無線通信手段30を備えることで、無線による通信を確立することができる。
【符号の説明】
【0063】
10:ケーソン誘導管理システム、12:新設ケーソン、14:既設ケーソン、16:トータルステーション、18:二軸傾斜計、20:水位計、22:枡、24:システム制御部、28:データ収録装置、30:無線通信手段、LG:枡22間の水位差、FS:基準位置からの四隅の相対的な高さ、SL1、SL2:勾配量、22CL:枡22の現在の水位、22EL:枡22の予測水位
図1
図2
図3
図4