特許第5984549号(P5984549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984549
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ホールクロップ収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01F 15/08 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   A01F15/08 R
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-160137(P2012-160137)
(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-18147(P2014-18147A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田内 努
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−134351(JP,U)
【文献】 実開昭62−128738(JP,U)
【文献】 実開平05−055848(JP,U)
【文献】 米国特許第05813204(US,A)
【文献】 米国特許第04425753(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの駆動力によって回転する第一プーリーと、
当該第一プーリーの駆動力を第二プーリー側に伝達させるベルトと、
当該ベルトに接離可能に設けられるクラッチプーリーと、
当該クラッチプーリーをベルト側に押圧させることによって第二プーリーに駆動力を伝達させ、当該第二プーリーの回転力によって収穫物をロール状に成形するロール成形部と、
当該ロール成形部で成形されたロール状の収穫物を成形室から排出させるゲートと、
当該ゲートを開閉させることによって移動するクラッチワイヤーに一端側が接続され、他端側が前記クラッチプーリーをベルトに接離させる側に接続されたダンパーと、
前記ゲートを開放させることによって前記クラッチワイヤーに接続されたダンパーを介して前記クラッチプーリーをベルトから退避させてロール成形部の駆動を停止させる駆動停止手段と、
当該開放されたゲートを閉めることによって、前記クラッチワイヤーに接続されたダンパーを介して前記クラッチプーリーをベルト側に徐々に押圧させて前記ロール成形部を駆動させる駆動加速手段と、
を備えてなることを特徴とするホールクロップ収穫機。
【請求項2】
前記駆動加速手段が、ゲートが所定の角度閉じた状態で、タイマーを駆動させてエンジンを加速させるようにしたものである請求項1に記載のホールクロップ収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールクロップ収穫機に関するものであり、より詳しくは、後部チャンバーを開けることによってロール成形部の駆動を停止させ、また後部チャンバーを閉めることによってロール成形部を駆動させるようにしたものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のホールクロップ収穫機の構造を図7に示す(特許文献1など)。
【0003】
図7において、符号81は茎桿細断部であり、図示しない刈取装置によって刈り取られた稲や麦などの収穫物を搬送させて数センチ単位に細断するものである。また、符号82は、攪拌混合部であり、細断された収穫物を後方のロール成形部83に向けて放出するものであり、株元や穂先、茎近傍などで細断された収穫物を攪拌させるようにしたものである。この攪拌混合部は、図面の奥行き方向に段違いに二カ所設けられており、それぞれに設けられた攪拌羽根を逆向きに回転させることによって、株元、穂先、茎近傍で細断された収穫物を混合させるようになっている。また、符号83は、ロール成形部であり、攪拌混合された収穫物を成形室内でロール状に成形するようにしたものである。このロール成形部83は、円弧状のガイドに沿って複数の成形バー84が無端状に周回するようになっており、これによって細断された収穫物をロール状に成形できるようにしている。
【0004】
ところで、このようなホールクロップ収穫機でロールを成形する場合、後部チャンバー85を開けて、そのロールを後方に排出させるようにしているが、従来では、この後部チャンバー85を開けた際に成形バー84が常に周回した状態となっているため、後部チャンバー85の隙間に入り込んだ収穫物が成形バー84によって掻き出されてしまい、それらが圃場に落ちて無駄になってしまうという問題が指摘されていた。
【0005】
そこで、後部チャンバー85を開動作させる際に、成形バー84の動作を停止させ、また、後部チャンバー85を閉動作させる際には、成形バー84の再び周回駆動させるようにすることも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−142049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このように後部チャンバー85を閉動作させる際に、再びタイトバーを周回駆動させる場合、次のような問題を生じる。
【0008】
すなわち、通常、成形バー84を周回駆動させる場合、図8に示すように、エンジンの駆動力によって第一プーリー91を回転させ、そこからベルト93や第二プーリー92を介してロール成形部のタイトバーを周回させるようにしているが、このとき、後部チャンバーを閉じることによって、例えば、クラッチプーリー94をベルト93に押圧させ、これによってエンジンの駆動力を伝達させるようにすることを考えると、高速回転しているエンジンの駆動力が急激に第二プーリー92側に伝達されてしまい、ベルト93が激しく摩耗したり、あるいは、ロール成形部などが急激に動き出すことによって機械的な不具合を生じる可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、後部チャンバーを開動作させることによってロール成形部の駆動を停止させるとともに、後部チャンバーを閉めることによってロール成形部を再び駆動させる際に、エンジンからの駆動力を滑らかに伝達させられるようにしたホールクロップ収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、駆動源からの駆動力によって回転する第一プーリーと、
当該第一プーリーの駆動力を第二プーリー側に伝達させるベルトと、
当該ベルトに接離可能に設けられるクラッチプーリーと、
当該クラッチプーリーをベルト側に押圧させることによって第二プーリーに駆動力を伝達させ、当該第二プーリーの回転力によって収穫物をロール状に成形するロール成形部と、
当該ロール成形部で成形されたロール状の収穫物を成形室から排出させるゲートと、
当該ゲートを開閉させることによって移動するクラッチワイヤーに一端側が接続され、他端側が前記クラッチプーリーをベルトに接離させる側に接続されたダンパーと、
前記ゲートを開放させることによって前記クラッチワイヤーに接続されたダンパーを介して前記クラッチプーリーをベルトから退避させてロール成形部の駆動を停止させる駆動停止手段と、
当該開放されたゲートを閉めることによって、前記クラッチワイヤーに接続されたダンパーを介して前記クラッチプーリーをベルト側に徐々に押圧させて前記ロール成形部を駆動させる駆動加速手段とを備えるようにしたホールクロップ収穫機を構成する。
【0011】
このように構成すれば、ゲートを開放させることによってロール成形部の駆動が停止するので収穫物が無駄に圃場に落下してしまうことがなくなるとともに、ゲートを閉めた際には徐々にロール成形部が駆動するので、急激な駆動力を伝達させる場合と比べて、機械的な不具合の発生を防止することができるとともに、クラッチプーリーの押圧力によって第二プーリーを停止させたり、あるいは、徐々に第二プーリーを加速させて回転させることができるため、ベルトの摩耗を防止することができるとともに、急激な駆動力の伝達を防止して、機械的な不具合の発生を防止することもできる。
【0012】
また、このような態様の一態様として、駆動加速手段が、ゲートが所定の角度閉じた状態で、タイマーを駆動させてエンジンを加速させるように構成する。
【0013】
このように構成すれば、クラッチプーリーを用いない場合においても、急激なロール成形部の駆動を防止することで、機械的な不具合の発生を防止することができるようになる。また、エンジンをアイドリング状態にすることで、燃費の無駄を防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駆動源からの駆動力によって回転する第一プーリーと、当該第一プーリーの駆動力を第二プーリー側に伝達させるベルトと、当該ベルトに接離可能に設けられるクラッチプーリーと、当該クラッチプーリーをベルト側に押圧させることによって第二プーリーに駆動力を伝達させ、当該第二プーリーの回転力によって収穫物をロール状に成形するロール成形部と、当該ロール成形部で成形されたロール状の収穫物を成形室から排出させるゲートと、当該ゲートを開閉させることによって移動するクラッチワイヤーに一端側が接続され、他端側が前記クラッチプーリーをベルトに接離させる側に接続されたダンパーと、前記ゲートを開放させることによって前記クラッチワイヤーに接続されたダンパーを介して前記クラッチプーリーをベルトから退避させてロール成形部の駆動を停止させる駆動停止手段と、当該開放されたゲートを閉めることによって前記クラッチワイヤーに接続されたダンパーを介して前記クラッチプーリーをベルト側に徐々に押圧させて前記ロール成形部を駆動させる駆動加速手段とを備えるようにしたので、ゲートの開けた際の無駄な収穫物の落下を防止することができるとともに、ゲートを閉めた際には徐々にロール成形部を駆動させて、機械的な不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態におけるホールクロップ収穫機の概要を示す図
図2】同形態における茎桿細断部を示す図
図3】同形態における攪拌混合部を示す図
図4】同形態におけるロール成形部を示す図
図5】同形態における動力伝達系統の原理を示す図
図6】同形態における駆動停止手段および駆動加速手段の機構を示す図
図7】従来例におけるホールクロップ収穫機の概要を示す図
図8】クラッチプーリーを接離させる状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
この実施の形態におけるホールクロップ収穫機1は、刈取装置で刈り取られた収穫物を細断してロール状に成形できるようにしたものであって、図1に示すように、刈り取られた稲や麦などの収穫物を細断する茎桿細断部2と、この茎桿細断部2によって細断された収穫物を攪拌させる攪拌混合部3と、この攪拌混合部3にて攪拌された収穫物を後方へと搬送させる搬送部4と、この搬送部4によって後方に搬送された収穫物をロール状に成形するロール成形部5などを備えて構成されている。そして、このような構成において、特徴的には、ロール成形部5によって成形したロールを圃場に排出させる際に、後部チャンバー52の開動作に伴ってロール成形部5の駆動を停止させるとともに、今度は、後部チャンバー52の閉動作に伴って、エンジン60である駆動源からの駆動力を徐々に伝達させてロール成形部5を駆動させるようにしたものである。以下、本実施の形態におけるホールクロップ収穫機1の全体の概要を説明する。
【0018】
まず、茎桿細断部2は、コンバインで収穫された収穫物を数センチ単位に細断するものであって、図2に示すように、平行に設けられた一対のカッター軸21a、21bのうち、一方のカッター軸21aに一対一組となった多数組の補助ディスクカッター22を所定ピッチごとに配置するとともに、このカッター軸21aに対向するカッター軸21bに主ディスクカッター23を取り付け、その主ディスクカッター23を補助ディスクカッター22の隙間に入り込ませるよう構成されている。そして、それぞれのカッター軸21a、21bを互いに内向きに回転させることで茎桿を細断させ、その直下に設けられた攪拌混合部3に向けて落下させるようにしている。
【0019】
この攪拌混合部3は、図3に示すように、茎桿細断部2で細断された収穫物を攪拌させて後方に放出させるようにしたものであって、段違いに設けられた左右一対の回転円盤31の上面に複数の攪拌羽根32を起立させ、それぞれを逆向きに回転させることによって、落下物を攪拌させて後方に放出させるようにしている。この攪拌混合部3は、その下方に設けられた水平な駆動軸33に一対の傘歯車34を取り付け、この駆動軸33を回転させることによって、それぞれの回転円盤31を逆向きに回転させるようになっている。
【0020】
搬送部4は、図1に示すように、攪拌混合部3から後方へ放出された収穫物を、後方のロール成形部5に向けて搬送するものであって、駆動ローラー41や複数のフリーローラー42に巻き付けられた無端状のベルトを周回させて、収穫物を後方に搬送させるようになっている。このうち、中央付近のフリーローラー42mは、前後のフリーローラー42fや駆動ローラー41よりも上方に位置しており、これによって無端状のベルトに傾斜を形成できるようにしている。
【0021】
ロール成形部5は、図1図4に示すように、搬送部4から搬送されてきた収穫物をロール状に成形するものであって、前部チャンバー51と、この前部チャンバー51の後上端部に取り付けられたヒンジによって開閉可能に設けられた後部チャンバー52とを有し、これら前部チャンバー51や後部チャンバー52によって囲まれた成形室でロールを成形できるようにしている。これらの各チャンバー51、52を構成する両側壁51w、52w(図4参照)の内側には、複数の鎖歯車53がそれぞれ対向する位置に取り付けられており、また、その鎖歯車53に周回された鎖56の内側には、円弧状をなすガイド板54が取り付けられている。このガイド板54は、前部チャンバー51側に設けられる前部ガイド板54fと、後部チャンバー52側に設けられる後部ガイド板54bとに分断されており、前部チャンバー51と後部チャンバー52とを閉じた場合に、連続したC字状をなすガイド縁54e(図4参照)を成形できるようになっている。このように側壁51w、52wに設けられたガイド板54のガイド縁54eには、複数の成形バー55が接触できるような状態に取り付けられており、その成形バー55の両端部に鎖56を連結させることによってガイド縁54eに沿って周回できるようになっている。この成形バー55は、一の鎖歯車軸を駆動させることによってC字状をなすように周回し、後部チャンバー52を開けた際には、前部ガイド板54fと後部ガイド板54bのガイド縁54eに沿って周回できるようになっている。
【0022】
これらの各部を駆動させる動力伝達系統の原理について図5を用いて説明する。これらの各部を駆動させる駆動源としては、共通のエンジン60が用いられる。このエンジン60の回転軸には第一プーリー61が取り付けられており、その駆動力を用いて、ベルト63を介して第二プーリー62を回転させる。この第二プーリー62の回転軸はミッションの入力軸となっており、そのミッションの出力軸の駆動力をロール成形部5の鎖歯車軸53xまで伝達させてロール成形部5を駆動させるようになっている。この出力軸の駆動力は、茎桿細断部2のカッター軸21a、21bや、攪拌混合部3の駆動軸33、搬送部4の駆動ローラー41に伝達され、これによって、エンジン60からの駆動力で各部を駆動させるようにしている。すなわち、第一プーリー61からベルト63を介して伝達された駆動力によって、ロール成形部5、茎桿細断部2、攪拌混合部3、搬送部4を駆動させるようにしている。
【0023】
このような構成において、本実施の形態では、図6に示すように、後部チャンバー52の開動作に伴ってエンジン60からの駆動力を遮断して第二プーリー62の駆動を停止させる駆動停止手段6aと、後部チャンバー52を閉動作するに伴って、エンジン60からの駆動力を徐々に増加させて第二プーリー62側に伝達させる駆動加速手段6bとを備えるようにしている。
【0024】
このうち駆動停止手段6aは、後部チャンバー52の開動作に伴って第一プーリー61と第二プーリー62との間に設けられたクラッチ機構をOFFにして、第二プーリー62の駆動を停止させる。このクラッチ機構は、第一プーリー61と第二プーリー62の間に張架されたベルト63にクラッチプーリー64を接離させるように構成されており、このクラッチプーリー64をベルト63から離間させる(あるいは、押圧力を低減させる)ことによって、ベルト63のテンションを緩めて駆動力の伝達を遮断できるようにしている。具体的には、後部チャンバー52を開けると、この後部チャンバー52に取り付けられていたクラッチワイヤー65がダンパー66(緩和手段)を介して引っ張られ、これに伴って、L字金具67の上端部をゆっくり引っ張られるように回転させる。すると、このL字金具67の回転によってクラッチアーム68が回転し、その他端側に垂下するように設けられた垂下部材69や連結アーム70が前方へと押し出される。この連結アーム70の前方にはテンションアーム71が連結されており、下端側が軸支された連結アーム70を前方へ押し出すことによって、下端側の軸支されたテンションアーム71が前方へと押し出される。これによってそのテンションアーム71の上端側に設けられたクラッチプーリー64がベルト63から離れ、テンションが緩められて第一プーリー61からの駆動力が遮断される。このように第一プーリー61からの駆動力が遮断されると、ロール成形部5の成形バー55の駆動が停止させられ、その隙間などに入り込んでいた収穫物が圃場に落下することを防止することができる。このとき、茎桿細断部2や攪拌混合部3や搬送部4の駆動も同時に停止させられるため、攪拌混合部3や搬送部4から収穫物が放出されることも防止することができる。
【0025】
一方、駆動加速手段6bは、後部チャンバー52の閉動作に伴ってクラッチ機構を徐々にONの状態にして、第二プーリー62を回転させる。具体的には、後部チャンバー52を閉めると、この後部チャンバー52に取り付けられていたクラッチワイヤー65がダンパー66を介して押圧され、これに伴って、L字金具67の上端部がその押圧方向に回転する。このとき、後部チャンバー52を閉じる速度が早かったとしても、ダンパー66を介してその速度が緩和されるため、L字金具67がゆっくりと回転するようになる。このようにL字金具67が回転すると、それに伴ってクラッチアーム68が回転し、その他端側に設けられていた垂下部材69や連結アーム70を後方に引き戻されるようになる。そして、これに伴って、その前方に設けられていたテンションアーム71が後方へと引き戻され、その上端側に取り付けられていたクラッチプーリー64がベルト63側に徐々に押圧されるようになる。なお、このとき、エンジン60がフルスロットルの状態であると、ベルト63とプーリーとの間に滑りを生じてしまう。このため、図5に示すように、後部チャンバー52の閉ボタンの押下を電気信号で検知し、エンジン60をアイドリング状態にする。このとき、閉ボタン押下による入力信号により、エンジンコントロールユニットが電子制御によってアクチュエータに出力し、アイドリング状態にする。そして、後部チャンバー52が所定の角度まで閉じた状態で、タイマーを駆動させ、エンジンコントロールユニットが電子制御してアクシュエータに出力し、エンジン60をフルスロットルの状態まで徐々に加速させる。そして、この動作とともにクラッチプーリー64をベルト63に押圧させて、ベルト63と第一プーリー61との滑りを軽減させるようにする。
【0026】
このように上記実施の形態によれば、エンジン60からの駆動力によって回転する第一プーリー61と、当該第一プーリー61の駆動力を第二プーリー62側に伝達させるベルト63と、当該ベルト63に接離可能に設けられるクラッチプーリー64と、当該クラッチプーリー64をベルト63側に押圧させることによって第二プーリー62に駆動力を伝達させ、当該第二プーリー62の回転力によって収穫物をロール状に成形するロール成形部5と、当該ロール成形部5で成形されたロール状の収穫物を成形室から排出させる後部チャンバー52と、当該後部チャンバー52を開閉させることによって移動するクラッチワイヤー65に一端側が接続され、他端側が前記クラッチプーリー64をベルト63に接離させる側に接続されたダンパー66と、前記後部チャンバー52を開放させることによって前記クラッチワイヤー65に接続されたダンパー66を介して前記クラッチプーリー64をベルト63から退避させてロール成形部5の駆動を停止させる駆動停止手段6aと、当該開放された後部チャンバー52を閉めることによって前記クラッチワイヤー65に接続されたダンパー66を介して前記クラッチプーリー64をベルト63側に徐々に押圧させて前記ロール成形部5を駆動する駆動加速手段6bとを備えるようにしたので、後部チャンバー52の開放時に収穫物が無駄に圃場に落ちてしまうようなことがなくなる。また、後部チャンバー52の閉動作に伴って徐々に駆動力がロール成形部5に伝達されるので、急激に駆動力を伝達させる場合と比べて、機械的な不具合の発生をも防止することができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0028】
例えば、上記実施の形態では、クラッチプーリー64をベルト63から接離させてエンジン60からの駆動力を遮断させ、また、駆動力を徐々に伝達させるようにしたが、他のクラッチ機構を用いて駆動力を遮断あるいは徐々に伝達させるようにしてもよい。このようなクラッチとしては、例えば、摩擦クラッチや流体クラッチなどを用いることができる。しかしながら、例えば、噛み合いクラッチなどを用いた場合、エンジン60がフルスロットル状態でクラッチをONにすると、急激に駆動力が伝達されてクラッチに破損を生じてしまう。このため、例えば、後部チャンバー52の開動作に伴ってエンジン60を停止させ、その状態でクラッチをONにしてエンジン60の回転数を徐々に増加させるようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施の形態では、ダンパー66を用いてクラッチプーリー64の接離動作を緩和させるようにしたが、これに限らず、後方チャンバーを閉じる際の速度を緩和させてクラッチプーリー64を接離させるようなものであれば、どのようなものを用いるようにしてもよい。
【0030】
さらに、上記実施の形態では、後部チャンバー52を開閉させてロール成形部5の駆動を制御するようにしたが、後部チャンバー52を開閉させる場合に限らず、板状の扉であるゲートを開閉させてロールを排出させる場合についても適用することができる。
【0031】
また、上記実施の形態では、第一プーリー61と第二プーリー62の間にクラッチプーリー64を入れるようにしたが、駆動源によって駆動するプーリーとロール成形部5側を駆動するプーリーの間にクラッチプーリーを入れるようにするものであれば、これらのプーリーの名称に拘泥されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
1・・・ホールクロップ収穫機
2・・・茎桿細断部(21a、21b・・・カッター軸、22・・・補助ディスクカッター、23・・・主ディスクカッター)
3・・・攪拌混合部(31・・・回転円盤、32・・・攪拌羽根、33・・・駆動軸、34・・・傘歯車)
4・・・搬送部(41・・・駆動ローラー、42、42f、42m・・・フリーローラー)
5・・・ロール成形部(51・・・前部チャンバー、52・・・後部チャンバー、51w、52w・・・側壁、53・・・鎖歯車、54・・・ガイド板、54f・・・前部ガイド板、54b・・・後部ガイド板、55・・・成形バー、56・・・鎖)
6a・・・駆動停止手段、6b・・・駆動加速手段(60・・・エンジン、61・・・第一プーリー、62・・・第二プーリー、63・・・ベルト、64・・・クラッチプーリー、65・・・クラッチワイヤー、66・・・ダンパー、67・・・L字金具、68・・・クラッチアーム、69・・・垂下部材、70・・・連結アーム、71・・・テンションアーム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8