(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光路補正部材は、前記第1の光束の進行方向である光軸方向と、前記光軸方向及び前記回折格子の格子ベクトルの方向と直交する変位方向とで形成される平面内において前記第1の光束の進行方向を調整する
請求項1に記載の変位検出装置。
前記被測定部材がチルトして進行方向が傾いた前記第1の光束と、前記被測定部材がチルトしていない時における通常の進行方向の前記第1の光束と、を前記平面内において前記光軸方向に延ばした際、進行方向が傾いた前記第1の光束と通常の進行方向の前記第1の光束が交わる仮称点の近傍に前記光路補正部材の焦点位置が位置する
請求項2又は3に記載の変位検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の変位検出装置の実施の形態例について、
図1〜
図10を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
また、以下の説明において記載される各種のレンズは、単レンズであってもよいし、レンズ群であってもよい。
【0016】
1.変位検出装置の第1の実施の形態例
まず、本発明の変位検出装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成を
図1〜
図6に従って説明する。
【0017】
1−1.変位検出装置の構成例
図1は、変位検出装置の構成を示す概略構成図、
図2は、変位検出装置の要部を示す説明図、
図3は、変位検出装置における相対位置情報出力手段の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
本例の変位検出装置1は、回折格子を用いて、被測定面における垂直な方向の変位を検出することができる変位検出装置である。
図1に示すように、変位検出装置1は、光源2と、光源から出射される光を2つの光束に分割する光束分割部3と、回折格子4と、反射部の一例を示すミラー6と、受光部8とを有している。また、変位検出装置1は、戻り用反射部を示す第1の戻り用反射ミラー5Aと、第2の戻り用反射ミラー5Bと、第1の光路補正部材7Aと、第2の光路補正部材7Bと、被測定部材9の被測定面の直交する方向、すなわち高さ方向の相対位置情報(変位情報)を出力する相対位置情報出力手段10を備えている。
【0019】
光源2には、可干渉光源として、例えばレーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、ガスレーザ、固体レーザ、発光ダイオード等が挙げられる。
【0020】
光源2として、可干渉距離が長い光源を用いると、被測定部材9の被測定面のチルト等による物体光と参照光の光路長差の影響を受けにくくチルト許容範囲が広くなる。また、光源2の可干渉距離が短くなるほど、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぐことができ、高精度な計測をすることができる。
【0021】
さらに、光源2として、シングルモードのレーザを用いると、波長を安定させるために、光源2の温度をコントロールすることが望ましい。また、シングルモードのレーザの光に、高周波重畳などを付加して、光の可干渉性を低下させてもよい。さらに、マルチモードのレーザを用いる場合も、ペルチェ素子等で光源2の温度をコントロールすることで、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぎ、さらに安定した計測が可能になる。
【0022】
この光源2から出射された光は、偏光ビームスプリッタである光束分割部3に入射する。なお。光源2と光束分割部3の間には、コリメートレンズ等からなるレンズ11が配置されている。レンズ11は、光源2から出射された光を平行光にコリメートする。そのため、光束分割部3には、レンズ11により平行光にコリメートされた光が入射される。
【0023】
光束分割部3は、コリメートされた光を物体光である第1の光束L1と、参照光である第2の光束L2に分割する。第1の光束L1は、被測定部材9に照射され、第2の光束L2は、ミラー6に照射される。また、光束分割部3は、例えば、光源2からの光のうち、s偏光を反射し、p偏光を透過する。
【0024】
また、光源2と光束分割部3との間に偏光板を設けてもよい。これにより、それぞれの偏光に対して直行した偏光成分としてわずかに存在する漏れ光、ノイズを除去することができる。
【0025】
光束分割部3によって分割された2つの光束L1及びL2のうち第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第1の照射スポットP1に入射する。被測定部材9は、第1の照射スポットP1に入射した第1の光束L1を反射し回折格子4に入射させる。
【0026】
さらに、被測定部材9と対向する位置には、ミラー6が配置されている。ミラー6には、光束分割部3によって分割された第2の光束L2が照射される。第2の光束L2は、ミラー6の反射面における反射側第1の照射スポットS1に入射する。ミラー6は、被測定部材9と同様に、入射した第2の光束L2を反射し回折格子4に入射させる。
【0027】
回折格子4は、透過型の回折格子である。この回折格子4で回折された第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面における第1の照射スポットP1と異なる第2の照射スポットP2に入射する。また、被測定部材9は、回折格子4によって回折され、かつ第2の照射スポットP2に入射した第1の光束L1を反射し、第1の戻り用反射ミラー5Aに入射させる。被測定部材9と第1の戻り用反射ミラー5Aとの間には、第1の光路補正部材7Aと、第1の位相板12が配置されている。
【0028】
同様に、回折格子4で回折された第2の光束L2は、ミラー6の反射面における反射側第1の照射スポットS1と異なる反射側第2の照射スポットS2に入射する。そして、ミラー6は、回折格子4によって回折され、かつ反射側第2の照射スポットS2に入射した第2の光束L2を反射し、第2の戻り用反射ミラー5Bに入射させる。また、ミラー6と第2の戻り用反射ミラー5Bとの間には、第2の光路補正部材7Bと、第2の位相板13が配置されている。
【0029】
第1の位相板12及び第2の位相板13は、それぞれ1/4波長板等から構成されている。
図1Bに示すように、第1の光路補正部材7A及び第2の光路補正部材7Bは、所定の方向のみに曲率を有するシリンドリカルレンズから構成されている。また、第1の光路補正部材7A及び第2の光路補正部材7Bの詳細な構成については、後述する。
【0030】
なお、本例では、第1の位相板12を第1の戻り用反射ミラー5Aと被測定部材9との間に配置し、第2の位相板13を第2の戻り用反射ミラー5Bとミラー6との間に配置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の位相板12を被測定部材9と光束分割部3の間に設け、第2の位相板13をミラー6と光束分割部3の間に設けてもよい。
【0031】
第1の戻り用反射ミラー5Aは、第1の光束L1に対して略垂直に配置されている。また、第2の戻り用反射ミラー5Bは、第2の光束L2に対して略垂直に配置されている。そのため、第1の戻り用反射ミラー5A及び第2の戻り用反射ミラー5Bは、第1の光束L1及び第2の光束L2を入射したときと同じ光路で被測定部材9及びミラー6に戻す。
【0032】
さらに、第1の戻り用反射ミラー5A及び第2の戻り用反射ミラー5Bは、第1の光束L1の光路長と、第2の光束L2の光路長が等しくなるように配置される。第1の戻り用反射ミラー5A及び第2の戻り用反射ミラー5Bを設けたことで、変位検出装置1を製造する際に、第1の光束L1の光路長と第2の光束L2の光路長や光軸の角度を調整し易くすることができる。その結果、気圧や湿度や温度の変化による光源2の波長変動の影響を受けにくくすることができる。
【0033】
また、第1の戻り用反射ミラー5Aによって被測定部材9に戻された第1の光束L1は、被測定部材9の第2の照射スポットP2で反射して、再び回折格子4に入射する。そして、第1の光束L1は、回折格子4によって2回目の回折が行われる。2回目の回折が行われた第1の光束L1は、被測定部材9に反射されて、光束分割部3に戻る。なお、第2の光束L2も第1の光束L1と同様に、回折格子4及びミラー6を介して光束分割部3に戻る。
【0034】
また、回折格子4は、被測定部材9の被測定面に対して略直角、すなわち回折格子4の回折面と被測定部材9の被測定面で形成される角度がほぼ90°となるように配置されている。
【0035】
なお、回折格子4における被測定部材9に対する配置する精度は、変位検出装置1に要求する測定精度によって種々設定されるものである。すなわち、変位検出装置1に高い精度を要求する場合、回折格子4を被測定部材9の被測定面に対して90°±0.5°の範囲に配置することが好ましい。これに対し、回折格子を被測定部材の被測定面に対して90°から±2°の範囲で配置しても、変位検出装置1を工作機械等の低精度の測定に用いる場合には、十分である。
【0036】
ここで、
図2を参照して本例の変位検出装置1の要部について説明する。
図2には、変位検出装置1の要部を示す説明図である。
【0037】
図2に示すように、回折格子4は、被測定部材9に対して略垂直に配置されている。そのため、被測定部材9の第1の照射スポットP1に入射角θaで入射した第1の光束L1は、回折格子4に対して入射角π/2−θaで入射する。さらに、第1の光束L1は、被測定部材9の第2の照射スポットP2に入射角θbで入射する。
【0038】
また、回折格子4の格子ピッチΛは、回折角が回折格子4への入射角とほぼ等しくなるように設定されることが好ましい。すなわち、回折格子4の格子ピッチΛは、上述したように被測定部材9への一回目の入射角をθa、二回目の入射角をθb、波長をλとすると、次の式1を満たす。
[式1]
Λ=nλ/(sin(π/2−θa)+sin(π/2−θb))
なお、nは、正の次数である。
【0039】
回折格子4への入射角と回折角が等しくなる場合、第1の照射スポットP1と第2の照射スポットP2は、回折格子4に対して対称に構成することができる。そして、式1は、次の式2と示すことができる。
[式2]
2Λsinθ=nλ
なお、θは、回折格子4への入射角及び回折角である。
すなわち、ブラッグ条件を満たすことができ、回折格子4によって回折される回折光を強めることが可能となる。
【0040】
また、角度θ2で被測定部材9に入射した第1の光束L1は、上述したように、被測定部材9により反射され、第1の光路補正部材7A及び第1の位相板12を介して第1の戻り用反射ミラー5Aに入射する(
図1A参照)。そして、第1の戻り用反射ミラー5Aで反射されて、行きと同じ光路をたどり、再び被測定部材9の第2の照射スポットP2に入射角θbで入射される。
【0041】
さらに、被測定部材9によって反射した第1の光束L1は、回折格子4に角度π/2−θbで再び入射する。なお、第1の光束L1における2回目の回折は、式2の条件により回折角π/2−θaで回折される。そして、回折格子4によって回折された第1の光束L1は、再び被測定部材9の第1の照射スポットP1に入射角θaで入射される。そのため、被測定部材9によって反射された戻りの第1の光束L1の光路が、光束分割部3によって分割された行きの第1の光束L1の光路と重なり合う。
【0042】
また、
図2に示すように、被測定部材9が高さ方向にxだけ移動すると、被測定部材9の測定面に照射される第1の光束L1は、第1の照射スポットP1から第1の照射スポットP1’に移動する。また、被測定部材9の第1の照射スポットP1’に反射された第1の光束L1は、回折格子4の回折位置T1から回折位置T1’に移動する。さらに、回折格子4によって1回目の回折が行われた第1の光束L1は、被測定部材9の第2の照射スポットP2から第2の照射スポットP2’に移動する。
【0043】
すなわち、第1の光束L1は、光路AP1T1P2Eから光路AP1’T1’P2’Eと変わる。ここで、被測定部材9が高さ方向にxだけ移動しても被測定部材9に対する第1の光束L1の入射角は、変化しないため、角度θ1=角度θ2=角度θ3が成り立つ。また、被測定部材9における第1の照射スポットP1から高さ方向へ垂直に延ばした線、いわゆる垂線と、被測定部材9が高さ方向へxだけ移動したときの第1の光束L1の光路AP1’T1’P2’Eが交わる点をHとする。さらに、被測定部材9における第2の照射スポットP2から高さ方向へ垂直に延ばした線、いわゆる垂線と、被測定部材9が高さ方向へxだけ移動したときの第1の光束L1の光路AP1’T1’P2’Eが交わる点をGとする。
【0044】
ここで、第1の照射スポットP1から第1の照射スポットP1’までの長さと、第1の照射スポットP1’から点Hまでの長さは等しい。さらに、回折格子4は、被測定部材9に対して略垂直に配置されているため、第1の照射スポットP1から高さ方向へ略垂直に延びる垂線と回折格子4の回折面が平行である。そのため、第1の照射スポットP1から回折位置T1までの長さと、点Hから回折位置T1’までの長さは、等しくなる。
【0045】
同様に、第2の照射スポットP2から第2の照射スポットP2’までの長さと、第2の照射スポットP2’から点Gまでの長さは等しく、回折位置T1から第2の照射スポットP2までの長さと、回折位置T1’から点Gまでの長さは、等しい。その結果、第1の光束L1の光路長は、被測定部材9が高さ方向に変位しても、常に一定となる。すなわち、第1の光束L1の光路長は、変化しない。そして、被測定部材9が高さ方向に変位すると、第1の光束L1が回折格子4に入射する位置だけが変化する。
【0046】
ここで、回折格子4は、被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されているため、回折位置T1と回折位置T1’の間隔は、被測定部材9の移動量xの2倍の2xとなる。すなわち、回折格子4上を移動する第1の光束L1の移動量は、被測定部材9を移動した際の2倍の2xとなる。そのため、被測定部材9が高さ方向へxだけ移動すると、第1の光束L1は、2Kxの位相が加わる。Kは、2π/Λで示される波数である。また、本例の変位検出装置1によれば、第1の光束L1を行きと帰りで2回回折している。そのため、2回回折された第1の光束L1には、4Kxの位相が加わる。
【0047】
なお、ミラー6は、固定されているため、第2の光束L2の光路は変化しない。
【0048】
また、
図1Aに示すように、光束分割部3は、被測定部材9及びミラー6から反射されて戻ってきた第1の光束L1及び第2の光束L2を重ね合わせて、受光部8に照射する。すなわち、本例で示す光束分割部3は、光を分割する光束分割部としての役割と、第1の光束と第2の光束を重ね合わせる光束結合部としての役割を有している。さらに、光束分割部3と受光部8との光路上には、例えば1/4波長板等からなる受光側位相板17が配置されている。
【0049】
ここで、光束分割部3から被測定部材9及び回折格子4を介して光束分割部3に戻るまでの光路長と、光束分割部3からミラー6及び回折格子4を介して光束分割部3に戻るまでの光路長は、略等しく設定されている。すなわち、第1の光束L1と第2の光束L2の光路長を等しく設定したため、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長変動があったとしても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。その結果、気圧補正や湿度補正、温度補正を行う必要がなく、周囲環境に関わらず安定した測定を行うことができる。
【0050】
受光部8は、光を分割する無偏光ビームスプリッタ16と、第1の偏光ビームスプリッタ18と、第2の偏光ビームスプリッタ19とを有している。
【0051】
第1の偏光ビームスプリッタ18における光の出射口側には、第1の受光素子33と、第2の受光素子34が設けられている。第2の偏光ビームスプリッタ19は、第1の偏光ビームスプリッタ18に対して45度傾くように配置されている。また、第2の偏光ビームスプリッタ19における光の出射口側には、第3の受光素子35と、第4の受光素子36が設けられている。
【0052】
これら第1の偏光ビームスプリッタ18及び第2の偏光ビームスプリッタ19は、s偏光成分を有する干渉光を反射させ、p偏光成分を有する干渉光を透過させて、光を分割するものである。
【0053】
そして、受光部8には、相対位置情報出力手段10が接続されている。
図3に示すように、相対位置情報出力手段10は第1の差動増幅器61aと、第2の差動増幅器61bと、第1のA/D変換器62aと、第2のA/D変換器62bと、波形補正処理部63と、インクリメンタル信号発生器64とを有している。
【0054】
第1の差動増幅器61aには、第1の受光素子33及び第2の受光素子34が接続されており、第2の差動増幅器61bには、第3の受光素子35及び第4の受光素子36が接続されている。また、第1の差動増幅器61aには、第1のA/D変換器62aが接続されており、第2の差動増幅器61bには、第2のA/D変換器62bが接続されている。そして、第1のA/D変換器62a及び第2のA/D変換器62bは、波形補正処理部63と接続している。
【0055】
1−2.光路補正部材の構成
次に、
図4〜
図6を参照して第1の光路補正部材7A及び第2の光路補正部材7Bの詳細な構成について説明する。
図4及び
図5は、被測定部材9がチルトした状態を示す説明図、
図6は、第1の光路補正部材7Aの作用について示す説明図である。
【0056】
まず、
図4に示すように、第1の照射スポットP1と第2の照射スポットP2における高さ方向の位置が異なる方向、例えば第1の照射スポットP1が第2の照射スポットP2よりも高さ方向で高くなる方向に被測定部材9が傾いた場合について説明する。ここで、被測定部材9の傾き角度δθが1度程度の場合、sinθ=θとおくことができる。そのため、回折角θ’を求める公式sinθ’=λ/Λ−sinθは、θ’=λ/Λ−θと近似でできる。
【0057】
そして、被測定部材9が角度δθで傾いた場合、被測定部材9で反射される第1の光束L1の方向が角度2δθで変化する。そのため、回折格子4への入射角は、θ―δ2θとなる。このとき、回折格子4によって回折される回折角θ’は、上述した近似式よりθ’+2δθとなる。この第1の光束L1が再び被測定部材9に入射し反射されると、第1の光束L1の進行方向が再び2δθ変化する。そのため、被測定部材9によって再び反射する角度は、傾く前と傾く後ともθ’のままで変化しない。
【0058】
そのため、被測定部材9が第1の照射スポットP1と第2の照射スポットP2における高さ方向の位置が異なる方向に傾いても、第1の光束L1の位置が略平行にシフトするだけで進行方向は変化しない。その結果、第1の戻り用反射ミラー5Aに入射する角度は、垂直のままであるため、第1の光束L1における行きと戻りの光路にずれが生じないため、干渉信号に変化は、生じない。
【0059】
次に、第1の照射スポットP1と第2の照射スポットP2を結ぶ線と略平行な線Oを中心に被測定部材9が傾いた場合について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5に示すように、被測定部材9が線Oを中心に傾いた場合、第1の光束L1の進行方向は、変化する。ここで、被測定部材9が傾いていないときの第1の光束L1の進行方向を光軸方向Zとする。また、光軸方向Zと直交し、かつ回折格子4の格子ベクトルの方向Kと直交する方向を第1の方向Xとし、光軸方向Z及び第1の方向Xと直交する方向を第2の方向Yとする。なお、第1の方向Xは、本発明の変位方向を示している。
【0060】
例えば、被測定部材9が線Oを中心に矢印+の方向へ傾いた場合、第1の光束L1の進行方向は、光軸方向Zと第1の方向Xで形成される平面M1内において第1の方向Xの+側、すなわち光線(a)の方向へ傾く。また、被測定部材9が線Oを中心に矢印−方向へ傾いた場合、第1の光束L1の進行方向は、平面M1内において第1の方向Xの−側、すなわち光線(b)の方向へ傾く。
図5に示す方向へ第1の光束L1の進行方向が傾いた場合、第1の戻り用反射ミラー5Aへの入射角度が垂直から変化する。その結果、第1の光束L1における行きと戻りの光路にずれが生じるおそれがある。
【0061】
そのため、本例の変位検出装置1では、被測定部材9と第1の戻り用反射ミラー5Aの間に第1の光束L1の光路を補正する第1の光路補正部材7Aを設けている。
【0062】
図6は、第1の光路補正部材7A及び第1の戻り用反射ミラー5Aを平面M1から見た説明図である。
図6に示すように、第1の光路補正部材7Aは、平面M1内において曲率を有している。すなわち、第1の光路補正部材7Aは、第1の光束L1を第1の方向Xのみ集光することができるシリンドリカルレンズである。
【0063】
また、
図5に示すように、進行方向が傾いた第1の光束L1を平面M1において光軸方向Zへ延ばした場合、ほぼ全ての光束は、仮想点Qの近傍で交わる。そして、
図6に示すように、第1の光路補正部材7Aの焦点位置は、仮想点Qとほぼ一致する。すなわち、第1の光路補正部材7Aの焦点Fbは、第1の光路補正部材7Aから仮称点Qまでの距離とほぼ等しくなるように設定される。
【0064】
そのため、第1の光路補正部材7Aに入射した第1の光束L1は、第1の光路補正部材7Aによって集光され、光路が補正される。そして、第1の光束L1は、第1の光路補正部材7Aを通過すると、第1の戻り用反射ミラー5Aに対して垂直に入射する。したがって、第1の戻り用反射ミラー5Aによって反射された第1の光束L1は、行きの光路と同じ光路を通って被測定部材9へ戻ることができる。
【0065】
また、
図1に示すように、固定されて、面が傾きにくいミラー6側にも第2の光路補正部材7Bを配置させている。これにより、第1の光束L1と第2の光束L2の光路で生じる収差を等しくすることができる。その結果、第1の光束L1と第2の光束L2を干渉させるときの波面の差をなくし、大きな干渉信号を得ることができる。
【0066】
これにより、本例の変位検出装置1によれば、光路を補正する光路補正部材を設けたことで、被測定部材9の測定面が傾いた場合でも、干渉信号が変化し難く、安定した測定を行うことができる。
【0067】
なお、本例では、第1の光路補正部材7Aとしてシリンドリカルレンズを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。第1の光路補正部材7Aとしては、第1の光束L1を第1の方向Xへのみ集光させることができる光学素子ならなんでもよい。
【0068】
1−3.変位検出装置の動作
次に、
図1〜
図6を参照して、本例の変位検出装置1の動作について説明する。
【0069】
図1に示すように、光源から出射した光は、レンズ11によりコリメートされて平行光となる。そして、レンズ11によりコリメートされた平行光は、光束分割部3に入射する。光束分割部3に入射した光は、第1の光束L1と第2の光束L2に分割される。ここで、光束分割部3は、光のうちs偏光を反射し、p偏光を透過する。そのため、光束分割部3を透過したp偏光による第1の光束L1は、被測定部材9の被測定面の第1の照射スポットP1に入射角θで入射する。そして、第1の光束L1は、被測定部材9によって反射された回折格子4の回折位置T1に入射角π/2−θで入射する。
【0070】
回折格子4に入射した第1の光束L1は、回折格子4によって回折される、そして、回折された第1の光束L1は、再び被測定部材9に入射する。次に、再び被測定部材9に入射した第1の光束L1は、被測定部材9で反射されて、第1の位相板12及び第1の光路補正部材7Aを介して第1の戻り用反射ミラー5Aに照射される。
【0071】
第1の光束L1は、第1の光路補正部材7Aを通過することで
図5及び
図6に示すように、光路が補正される。また、第1の光路補正部材7Aと第1の戻り用反射ミラー5Aとの間には、1/4波長板である第1の位相板12が配置されている。この1/4波長板である第1の位相板12の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45度傾けられている。そのため、、第1の光束L1は、第1の位相板12を通過することで、p偏光から円偏光に変換される。そして、第1の光束L1は、第1の戻り用反射ミラー5Aで反射されて、第1の光路補正部材7A及び第1の位相板12を介して、行きと同じ光路で被測定部材9へ照射される。このとき、第1の光束L1は、再び第1の位相板12を通過することで、円偏光から行きと直交した直線偏光、すなわちs偏光となる。
【0072】
被測定部材9へ入射した第1の光束L1は、行きと同じ光路をたどり、回折格子4によって回折され、さらに被測定部材9で反射される。被測定部材9で再び反射された第1の光束L1は、光束分割部3に照射される。
【0073】
一方、ミラー6に照射された第2の光束L2は、ミラー6で反射されて、回折格子4に照射される。そして、第1の光束L1と同様に、第2の光束L2は、回折格子4によって回折されて、再びミラー6に入射する。次に、第2の光束L2は、ミラー6によって再び反射されて、第2の位相板13及び第2の光路補正部材7Bを介して第2の戻り用反射ミラー5Bに照射される。
【0074】
第2の光束L2は、第2の光路補正部材7Bを通過することで、第1の光束L1と同様に、光路が補正される。また、第2の光路補正部材7Bと第2の戻り用反射ミラー5Bとの間には、1/4波長板である第2の位相板13が配置されている。この1/4波長板である第2の位相板13の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45度傾けられている。そのため、、第2の光束L2は、第2の位相板13を通過することで、s偏光から円偏光に変換される。そして、第2の光束L2は、第2の戻り用反射ミラー5Bで反射されて、第2の光路補正部材7B及び第2の位相板13を介して、行きと同じ光路でミラー6へ照射される。このとき、第2の光束L2は、再び第2の位相板13を通過することで、行きと直交した直線偏光、すなわちp偏光となる。
【0075】
ミラー6は、第1の光束L1における光束分割部3から回折格子4を介して第1の戻り用反射ミラー5Aまでの光路長と、第2の光束L2における光束分割部3から回折格子4を介して第2の戻り用反射ミラー5Bまでの光路長と等しくなるように配置されている。そのため、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長変動があったとしても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。
【0076】
さらに、第1の光束L1及び第2の光束L2を共に回折格子4に入射させて回折させている。これにより、温度変化によって回折格子4の回折角に変化が起きても、第1の光束L1及び第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。
【0077】
上述したように、第1の光束L1は、第1の位相板12によって行きと直交した直線偏光、すなわちs偏光となっており、第2の光束L2は、第2の位相板13によって行きと直交した直線偏光p偏光となっている。したがって、第1の光束L1は、光束分割部3で反射されて受光部8に照射され。また、第2の光束L2は、光束分割部3を透過して受光部8に照射される。
【0078】
光束分割部3と受光部8の間には、1/4波長板である受光側位相板17が配置されている。また、この受光側位相板17の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45度傾けられている。光束分割部3によって重ね合わされた第1の光束L1及び第2の光束L2は、受光側位相板17を通過することで、互いに逆回りの円偏光の光束となる。この互い逆回りの円偏光は、同一光路上にあるため、重ね合わされることにより、2つの光束L1、L2の位相差にしたがって回転する直線偏光の光束Laとみなすことができる。
【0079】
光束Laは、無偏光ビームスプリッタ16に照射される。無偏光ビームスプリッタ16は、光束Laを2つの光に分割する。無偏光ビームスプリッタ16を反射した光束Laは、第1の偏光ビームスプリッタ18に入射し、無偏光ビームスプリッタ16を透過した光束Laは、第2の偏光ビームスプリッタ19に入射する。
【0080】
上述したように、第1の偏光ビームスプリッタ18に入射した光束Laは、2つの逆回りの円偏光の第1の光束L1と第2の光束L2が重ね合わされたものである。そのため、第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の偏光ビームスプリッタ18に対してそれぞれp偏光成分とs偏光成分を有することになる。したがって、第1の偏光ビームスプリッタ18を透過した第1の光束L1及び第2のL2を同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。よって、第1の光束L1と第2の光束L2を第1の偏光ビームスプリッタ18よって干渉させることができる。
【0081】
同様に、第1の偏光ビームスプリッタ18によって反射される第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の偏光ビームスプリッタ18に対して同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。そのため、第1の偏光ビームスプリッタ18によって干渉させることができる。
【0082】
第1の偏光ビームスプリッタ18を透過した第1の光束L1及び第2の光束L2との干渉光は、第1の受光素子33によって受光される。また、第1の偏光ビームスプリッタ18で反射された第1の光束L1及び第2の光束L2との干渉光は、第2の受光素子34によって受光される。
【0083】
さらに、第1の偏光ビームスプリッタ18に入射される直線偏光の偏光方向は、被測定部材9が高さ方向にΛ/4だけ移動すると180度回転する。ここで、第1の受光素子33と第2の受光素子34は、互いに90度異なる偏光方向の成分を取りだしている。そのため、第1の受光素子33と第2の受光素子34とによって光電変換される信号は、180度位相の異なる信号となる。
【0084】
また、第2の偏光ビームスプリッタ19に入射した光束Laは、第2の偏光ビームスプリッタ19によって、偏光方向が互いに直交する2つの成分に分割される。この直線偏光のs偏光成分は第2の偏光ビームスプリッタ19によって反射され、第3の受光素子35に受光される。また、p偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ19を透過し、第4の受光素子36によって受光される。
【0085】
また、第3の受光素子35と第4の受光素子36とで光電変換される信号は、180度位相が異なる。
【0086】
ここで、
図2に示すように、被測定部材9が高さ方向にxだけ移動すると、被測定部材9の測定面に照射される第1の光束L1は、照射スポットP1から照射スポットP1’に移動する。また、被測定部材9に反射された第1の光束L1は、回折格子4の回折位置T1から回折位置T1’に移動する。ここで、回折格子4は、被測定部材9の被測定面に対して略直角に配置されているため、回折位置T1と回折位置T1’の間隔は、照射スポットP1と照射スポットP1’の間隔の2倍の2xとなる。すなわち、回折格子4上を移動する第1の光束L1の移動量は、被測定部材9を移動した際の2倍の2xとなる。
【0087】
また、本例の変位検出装置1によれば、第1の光束L1を行きと帰りで2回回折している。そのため、第1の光束L1には、4Kxの位相が加わる。したがって、4回の光の明暗を受光部8によって得ることができる。
【0088】
このとき、被測定部材9が第1の受光素子33で得られる信号I
1、第2の受光素子34で得られる信号I
2、第3の受光素子35で得られる信号I
3及び第4の受光素子36で得られる信号は、例えば下記式3のようになる。
[式3]
ここで、δは、初期位相を示しており、I0は、被測定部材9から戻ってくる第1の光束L1の光量、Irは、ミラー6から戻ってくる第2の光束L2の光量を示している。
【0089】
なお、本実施形態では、第1の偏光ビームスプリッタ18に対して、第3の受光素子35と第4の受光素子36に受光される光束を分割する第2の偏光ビームスプリッタ19を45度傾けて配置している。このため、第3の受光素子35と第4の受光素子36において得られる信号は、式3に示すように、第1の受光素子33と第2の受光素子34において得られる信号に対し、90度位相がずれている。
【0090】
したがって、第1の受光素子33、第2の受光素子34、第3の受光素子35及び第4の受光素子36から得られる信号をsin信号及びcos信号として用いることによりリサージュ信号を取得することができる。そして、このリサージュ信号から
図3Bに示すような位相角θを求めることができる。
【0091】
これらの受光素子によって得られる信号は、相対位置情報出力手段10によって演算され、被測定面の変位量がカウントされる。
【0092】
図3に示すように、例えば、本例の相対位置情報出力手段10では、まず、第1の受光素子33と第2の受光素子34で得られた位相が互いに180度異なる信号を第1の差動増幅器61aによって、差動増幅し、干渉信号の直流成分をキャンセルする。
【0093】
そして、この信号は、第1のA/D変換器62aによってA/D変換され、波形補正処理部63によって信号振幅とオフセットと位相が補正される。この信号は、例えばA相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64において演算される。
【0094】
また同様に、第3の受光素子35及び第4の受光素子36で得られた信号は、第2の差動増幅器61bによって差動増幅され、第2のA/D変換器62bによってA/D変換される。そして、波形補正処理部63により信号振幅とオフセットと位相とが補正され、A相と位相が90度異なるB相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64から出力される。
【0095】
こうして得られた2相のインクリメンタル信号は、図示しないパルス弁別回路等により正逆の判別が行われ、これにより、被測定部材9の高さ方向の変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出できる。
【0096】
また、図示しないカウンタによってインクリメンタル信号のパルス数をカウントすることにより、第1の光束L1と第2の光束L2の干渉光強度が上述の周期の何周期分変化したのかを計測できる。これにより、被測定部材9の変位量が検出される。
【0097】
なお、本例の相対位置情報出力手段10の出力する相対位置情報は、上述の2相のインクリメンタル信号であってもよいし、それから算出された変位量、変位方向を含む信号であってもよい。
【0098】
例えば、回折格子4の格子ピッチΛを0.5515μm、波長λを780nm、回折格子4の入射角及び回折角を45°に設定したとき、被測定部材9が高さ方向に0.5515μm移動する例について説明する。
【0099】
被測定部材9が高さ方向に0.5515μm移動すると、第1の光束L1は、回折格子4上を0.5515μmの2倍、すなわち2ピッチ分移動する。さらに、第1の光束L1は、2回回折されるため、4回の光の明暗を受光部8によって得ることができる。すなわち、得られる信号の1周期は、0.5515μm/4=0.1379μmとなる。
【0100】
2.変位検出装置の第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置について
図7,
図8を参照して説明する。
図7は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図8は、光源周りの構成を示す説明図である。
【0101】
この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101は、光ヘテロダイン法を用いたものである。そして、この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1が異なる点は、光源及び受光部の構成である。そのため、ここでは、光源及び受光部周りの構成について説明し、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0102】
図7及び
図8に示すように、変位検出装置101は、光源102と、光束分割部3と、回折格子4と、ミラー6と、2つの戻り用反射ミラー5A,5Bと、2つの光路補正部材7A,7Bと、受光部111と、を有している。また、変位検出装置101は、被測定部材9の高さ方向の相対位置情報(変位情報)を出力する相対位置情報出力手段である信号処理回路112を有している。
【0103】
図8に示すように、光源102は、軸ゼーマンレーザからなり、周波数の異なる互いに逆周りの円偏光の光線が出射される。光源102から出射された光は、1/4波長板103に入射する。そして、この1/4波長板103を通過することで、光源102から出射された光は、互いに直交する直線偏光となる。1/4波長板103の出射側には、第1の偏光ビームスプリッタ104が配置されている。直線偏光となった光は、この第1の偏光ビームスプリッタ104によって分割される。
【0104】
例えば、直線偏光となった光のうち周波数f
0を有するp偏光からなる第1の光束L1は、偏光ビームスプリッタ104を透過する。そして、第1の光束L1は、第1の集光レンズ105Aによって集光されて、第1の偏波保持ファイバ106Aに入射する。また、直線偏光となった光のうち周波数f
rを有するs偏光からなる第2の光束L2は、偏光ビームスプリッタ104を反射する。そして、第2の光束L2は、第2の集光レンズ105Bによって集光されて、第2の偏波保持ファイバ106Bに入射する。
【0105】
第1の偏波保持ファイバ106Aの出射端では、出射光がp偏光となるように偏波軸をあわせてある。また、第2の偏波保持ファイバ106Bの出射端では、出射光がs偏光となるように偏波軸を合わせてある。
【0106】
図7に示すように、第1の偏波保持ファイバ106A及び第2の偏波保持ファイバ106Bの出射端側には、第2の偏光ビームスプリッタ108が配置されている。また、第1の偏波保持ファイバ106Aと第2の偏光ビームスプリッタ108の間には、第1のコリメートレンズ107Aが配置されており、第2の偏波保持ファイバ106Bと第2の偏光ビームスプリッタ108の間には、第2のコリメートレンズ107Bが配置されている。
【0107】
第1の偏波保持ファイバ106Aを伝播した第1の光束L1は、第1の偏波保持ファイバ106Aから出射されると、第1のコリメートレンズ107Aによって平行光にコリメートされる。そして、平行光にコリメートされた第1の光束L1は、第2の偏光ビームスプリッタ108に入射する。
【0108】
また、第2の偏波保持ファイバ106Bを伝播した第2の光束L2は、第2の偏波保持ファイバ106Bから出射されると、第2のコリメートレンズ107Bによって平行光にコリメートされる。そして、平行光にコリメートされた第2の光束L2は、第2の偏光ビームスプリッタ108に入射する。
【0109】
第1の光束L1は、第2の偏光ビームスプリッタ108を透過し、光束分割部3に入射する。また、第2の光束L2は、第2の偏光ビームスプリッタ108によって反射されて光束分割部3に入射する。
【0110】
なお、光束分割部3を透過した第1の光束L1は、被測定部材9で反射されて回折格子4に入射する。そして、第1の光束L1は、回折格子4で回折されて、被測定部材9で再び反射されて、第1の光路補正部材7Aに入射する。第1の光路補正部材7Aに入射した第1の光束L1は、第1の光路補正部材7Aによって光路が補正されて、第1の位相板12を介して第1の戻り用反射ミラー5Aに入射する。そして、第1の光束L1は、第1の戻り用反射ミラー5Aで反射されて、行きと同じ光路で再び光束分割分3に戻る。
【0111】
また、光束分割分3を反射した第2の光束L2は、ミラー6で反射されて回折格子4に入射する。そして、第2の光束L2は、回折格子4に回折されて、ミラー6で再び反射される。反射された第2の光束L2は、第2の光路補正部材7B及び第2の位相板13を介して第2の戻り用反射ミラー5Bに入射する。そして、第2の光束L2は、第2の戻り用反射ミラー5Bで反射されて、行きと同じ光路で再び光束分割分3に戻る。
【0112】
なお、回折格子4、第1の戻り用反射ミラー5A、第2の戻り用反射ミラー5B、ミラー6、第1の光路補正部材7A、第2の光路補正部材7B及び2つの位相板12,13の構成と働きは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同一であるため、ここでは、その説明は、省略する。
【0113】
光束分割部3は、戻ってきた第1の光束L1及び第2の光束L2、すなわち2回回折された第1の光束L1及び第2の光束L2を重ね合わせ、受光部111に照射する。また、光束分割部3と受光部111の光路上には、集光レンズ109と偏光板110が配置されている。集光レンズ109は、受光部111の受光面でビームの大半を受光できるようにビームの径を絞る。
【0114】
受光部111は、集光レンズ109及び偏光板110を通過して干渉した光束Laを受光する。この受光部111には、信号処理回路112が接続されている。
【0115】
受光部111で得られる干渉信号は、例えば、下記式4で示される。
[式4]
ここで、I0は、被測定部材9から戻ってくる第1の光束L1の光量、I
rは、ミラー6から戻ってくる第2の光束L2の光量を示しており、tは時間を示している。
【0116】
受光部111で得られた干渉信号は、信号処理回路112へ送信され、信号処理回路112によって被測定部材9の被測定面の高さ方向の相対位置情報(変位情報)が演算される。ここで、軸ゼーマンレーザである光源102における周波数差f
0−f
rは、数MHz程度であるため、式4で示される干渉信号は、ピンフォトダイオード等で容易に検出することができる。また、一定の周波数をもつ信号のため、信号処理回路112では、信号の振幅情報を用いずに位相差4Kxを検出することが可能となる。
【0117】
その結果、この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101によれば、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1のようにsin信号及びcos信号から位相角を求める方法よりも遙かに微弱な信号でも位相差4Kxを検出することができる。これにより、被測定部材9の測定面の反射率が低い場合は、被測定部材9の測定面が粗い場合でも、確実に被測定部材9の変位を検出することが可能となる。
【0118】
さらに、受光部111として信号に増幅作用をもつAPD(アバランシェフォトダイオード)を用いれば、さらに反射率の低い面を有する被測定部材でも測定することができる。
【0119】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置101によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0120】
3.変位検出装置の第3の実施の形態例
次に、第3の実施の形態例にかかる変位検出装置について
図9を参照して説明する。
図9は、第3の変位検出装置にかかる光源周りの構成を示す説明図である。
【0121】
この第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201は、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と同じく、光ヘテロダイン法を用いたものである。この第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201と第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101が異なる点は、光源周りの構成である。そのため、ここでは、光源周りの構成について説明し、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0122】
図9に示すように、この第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201では、光源202として可干渉光源が用いられる。また、光源202からは、周波数f
0の光が出射する。
【0123】
光源202と、第1の偏波保持ファイバ106A及び第2の偏波保持ファイバ106Bの間には、音響光学変調器(AOM)204が配置されている。この音響光学変調器204には、ドライバ203が接続されている。また、音響光学変調器204は、ドライバ203によって周波数f
1の電気信号で駆動されている。そして、音響光学変調器204は、光源202から照射された光に、ドライバ203から印加された周波数f
1を加える。
【0124】
また、音響光学変調器204の出射側からは、周波数f
0の光と、周波数f
0から周波数f
1だけシフトした周波数f
0+f
1の光が出射される。周波数f
0の光は、第1の集光レンズ205Aを介して第1の偏波保持ファイバ106Aに入射し、周波数f
0+f
1の光は、第2の集光レンズ205Bを介して第2の偏波保持ファイバ106Bに入射する。
【0125】
また、この第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201における受光部111で得られる干渉信号は、例えば下記式5で示される。
[式5]
なお、tは、時間を示している。
【0126】
音響光学変調器204でシフトされる周波数f
1は、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101における光源102の周波数差f
0−f
rの数MHzよりも大きな数十MHzの値にすることができる。また、検出可能な被測定面の変位速度は、周波数f
1と周波数f
0−f
rに比例する。そのため、この第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201では、被測定部材9のより速い変位を検出することが可能となる。さらに、音響光学変調器204でシフトされる周波数f
1の値によっては、受光部111として、ピンフォトダイオードよりも応答周波数が高く、増幅作用をもつAPD(アバランシェフォトダイオード)を用いることもできる。
【0127】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1及び第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置201によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1や第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
4.変位検出装置の第4の実施の形態例
次に、第4の実施の形態例にかかる変位検出装置について
図10を参照して説明する。
図10は、第4の変位検出装置にかかる光源周りの構成を示す説明図である。
【0129】
この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301は、光導波路を用いた擬似的な光ヘテロダイン法を用いたものである。この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301と第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101が異なる点は、光源周りの構成である。そのため、ここでは、光源周りの構成について説明し、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0130】
図10に示すように、この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301は、光源302と、駆動回路303と、光導波部材304を有している。光源302は、可干渉光源であり、例えばレーザダイオード等が挙げられる。
【0131】
光導波部材304は、Y字状に分岐する光導波路304bと、一対の電極からなる光変調器304aとを有している。光変調器304aは、2つの分岐した光導波路304bのうち片側の光導波路に配置されている。この光変調器304aには、駆動回路303から所定の電圧V
msin(ω
mt+φ
0)が印加される。ここで、V
mは、変調電圧であり、ω
mは角周波数を示している。また、φ
0は、図示しない位相調整回路で調整される位相である。
【0132】
光導波路304bとしては、例えば誘電体材料であるLiNbO
3等を用いて作成される。また、この光導波路304bには、例えばレンズ等を用いて光源302から光が入射する。なお、光源302がレーザダイオードの場合では、光導波部材304を直接、光源302に接着し、光源302の出射端と光導波路304bの入射部とを直接、接触させてもよい。
【0133】
光導波路304bに入射された光は、物体光である第1の光束L1と、参照光である第2の光束L2に分割される。第1の光束L1は、2つの分岐した光導波路304bのうち光変調器304aが設けられた光導波路304bを通過する。第1の光束L1の位相は、光変調器304aによって電圧V
msin(ω
mt+φ
0)が印加されることで、変調される。そして、変調された第1の光束L1は、第1の偏波保持ファイバ106Aへ入射する。なお、参照光である第2の光束L2は、2つの分岐した光導波路304bのうち光変調器304aが設けられていない光導波路304bを通過する。そして、第2の光束L2は、変調されることなく、第2の偏波保持ファイバ106Bへ入射する。
【0134】
ここで、物体光である第1の光束L1の振幅E
0及び参照光である第2の光束L2の振幅E
rは、例えば下記式6のように示される。
[式6]
E
0=E
1cos(ω
0t+m
psin(ω
mt+φ
0)+φ
1)
E
r=E
2cos(ω
0t+φ
2)
ここで、m
pは位相変調指数を示しており、ω
0は光源302から出射された光の角周波数を示している。また、φ
1及びφ
2は、初期位相を示している。さらに、tは、時間、E
1及びE
2は電場の振幅を示している。
【0135】
また、この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301における受光部111で得られる干渉信号は、例えば下記式7で示される。
[式7]
ここで、V
DETは、受光部111で得られる電圧振幅を示しており、J
1(m
p)はベッセル関数である。
【0136】
この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301においても、上述した第2及び第3の実施の形態例にかかる変位検出装置101、201と同様に位相差4Kxを検出することができる。また、光変調器304aによって印加される電圧の角周波数ω
mは、数十MHz以上に設定することが可能であるため、高速の変位にも適用かのうである。
【0137】
また、光導波部材304に設けられる光導波路304bは、非常に小型に形成することができるため、第2及び第3の施の形態例にかかる変位検出装置101、201よりも装置を大幅に小型化することが可能である。
【0138】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1や、第2及び第3の実施の形態例にかかる変位検出装置101、201と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置301によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101や第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201と同様の作用効果を得ることができる。
【0139】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、光源から照射される光は、気体中だけでなく、液体中又は真空中の空間を飛ばして光を供給するようにしてもよい。