特許第5984579号(P5984579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984579
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   B60H1/00 102H
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-183210(P2012-183210)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-40176(P2014-40176A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】野村 梨紗
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−296580(JP,A)
【文献】 特開2009−023564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内外の空気を導入するための導入口、及び前記車室内に空気を吹き出すための吹出口を有し、前記導入口と前記吹出口との間に壁部に沿った空気流路を形成するケーシングと、
前記空気流路に配され、内部を流れる低温冷媒との熱交換によって空気を冷却する蒸発器と、
前記空気流路の前記蒸発器の下流側に配され、前記蒸発器を流通した空気との熱交換によってガス冷媒を凝縮する凝縮部、前記凝縮部で凝縮された液冷媒を過冷却する過冷却部を有し、前記凝縮部及び前記過冷却部を流れる冷媒との熱交換によって空気を加熱する室内凝縮器と、
前記空気流路の前記蒸発器と前記室内凝縮器との間に配され、開動作により、空気を前記室内凝縮器に流通させる凝縮器への流路を形成するとともに閉動作により、前記室内凝縮器をバイパスして空気を流すバイパス流路を形成するダンパと
を備え、
前記過冷却部は、前記凝縮器への流路を流れる空気の主流が流通する前記室内凝縮器の主流領域に配され
前記室内凝縮器は、前記過冷却部及び前記凝縮部が前記凝縮器への流路に面して並んで区画して位置付けられたコア部を有することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空気の主流は、前記ダンパと前記壁部との間を流通して前記室内凝縮器に至り、且つ、少なくとも前記ダンパ及び前記壁部の一方の前記凝縮器への流路を形成する側の面に沿う方向に流れることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記過冷却部は、少なくとも前記ダンパ及び前記壁部の一方の前記面に沿う方向に位置付けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関し、詳しくは、HVAC(Heating Ventilation & Air Conditioning)ユニットを備えた電気自動車に好適な車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用空調装置のHVACユニットには、車室内外の空気を導入するための導入口、車室内に空気を吹き出すための吹出口、導入口と吹出口との間に壁部に沿った空気流路を形成するケーシング、すなわち送風ダクトを備えている。
そして、空気流路には、内部を流れる低温冷媒との熱交換によって空気を冷却する蒸発器が配され、空気流路の蒸発器の下流側には、蒸発器を流通した空気との熱交換によってガス冷媒を凝縮し、空気を加熱する室内凝縮器が配されている。これら蒸発器及び室内凝縮器は圧縮機やレシーバ等の他の構成機器とともに冷凍サイクルを構成している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、HVACユニットに配される室内凝縮器を凝縮部と、凝縮部で凝縮された後の液冷媒を冷却する過冷却部(サブクール部)とから構成したものが開示されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2962019号公報
【特許文献2】特開2006−336909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の室内凝縮器では、凝縮部と過冷却部との熱伝導率の違い、すなわち流通される空気と凝縮部、過冷却部のそれぞれの熱交換効率の違いについて格別な配慮がなされていない。従って、空調装置の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置の消費エネルギ低減について依然として課題が残されている。特に電気自動車においては、限られた蓄電容量の中で電力消費量を低減しながら効率的な空調装置の運転が求められている。
【0006】
本発明は上述の事情に基づいてなされ、その目的とするところは、空調能力及び空調効率の向上、ひいては消費エネルギ低減を実現することができる車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の車両用空調装置は、車室内外の空気を導入するための導入口、及び車室内に空気を吹き出すための吹出口を有し、導入口と吹出口との間に壁部に沿った空気流路を形成するケーシングと、空気流路に配され、内部を流れる低温冷媒との熱交換によって空気を冷却する蒸発器と、空気流路の蒸発器の下流側に配され、蒸発器を流通した空気との熱交換によってガス冷媒を凝縮する凝縮部、凝縮部で凝縮された液冷媒を過冷却する過冷却部を有し、凝縮部及び過冷却部を流れる冷媒との熱交換によって空気を加熱する室内凝縮器と、空気流路の蒸発器と室内凝縮器との間に配され、開動作により、空気を室内凝縮器に流通させる凝縮器への流路を形成するとともに閉動作により、室内凝縮器をバイパスして空気を流すバイパス流路を形成するダンパとを備え、過冷却部は、凝縮器への流路を流れる空気の主流が流通する室内凝縮器の主流領域に配され、室内凝縮器は、過冷却部及び凝縮部が凝縮器への流路に面して並んで区画して位置付けられたコア部を有する
【0008】
具体的には、空気の主流は、ダンパと壁部との間を流通して室内凝縮器に至り、且つ、少なくともダンパ及び壁部の一方の凝縮器への流路を形成する側の面に沿う方向に流れる。
好ましくは、過冷却部は、少なくともダンパ及び壁部の一方の凝縮器への流路を形成する側の面に沿う方向に位置付けられる
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過冷却部が室内凝縮器の主流領域に配されることにより、室内凝縮器を流通する空気を過冷却部の液冷媒と積極的に熱交換させることができる。主流の空気を凝縮部を流れるガス冷媒よりも過冷却部を流れる液冷媒と積極的に熱交換させることにより、一般に液体は気体よりも分子間力が強く、熱容量も大きいため、熱伝導率が高くなることから、また、主流は流れ全体において流速が速い領域であることから、室内凝縮器全体の熱交換効率が向上し、空調装置の動力又は電力一定条件下では、吹出口から吹き出される空気温度を短時間で効率的に加熱することができる。一方、空調装置の吹出空気温度一定条件下では、空調装置の消費動力又は消費電力を効果的に低減することができる。従って、空調装置の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置の消費エネルギ低減を実現することができる。
しかも、室内凝縮器は、過冷却部及び凝縮部が凝縮器への流路に面して並んで区画して位置付けられたコア部を有することにより、過冷却部が凝縮器への流路に面して位置付けられ、カウンターフロー等のマルチフロータイプであって、熱交換のコア部の正面と背面とに区画されたパス割りが行われている室内凝縮器であっても、過冷却部に主流を最初に流通させることができるため、空調装置の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置の消費エネルギ低減を更に確実に実現することができる。
【0010】
具体的には、空気の主流は、ダンパと壁部との間を流通して室内凝縮器に至り、且つ、少なくともダンパ及び壁部の一方の凝縮器への流路を形成する側の面に沿う方向に流れる。
また、過冷却部が少なくともダンパ及び壁部の一方の凝縮器への流路を形成する側の面に沿う方向に位置付けられることにより、ダンパが凝縮器への流路を全開とするときは主流を壁部に沿わせて過冷却部に導き、一方、ダンパが凝縮器への流路を閉塞する閉方向に動作するときはダンパと壁部との間で偏向された主流を少なくともダンパ及び壁部の一方の凝縮器への流路を形成する側の面に沿わせて過冷却部に導くことができる。従って、空気流路の形状、壁部の形状、ダンパの開度、空気流路における室内凝縮器の設置状況にかかわらず、主流を過冷却部に確実に導くことができるため、空調装置の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置の消費エネルギ低減を確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用空調装置のHVACユニットの縦断面図である。
図2図1の室内凝縮器を模式的に示した斜視図である。
図3図1の空調装置の温度調節時における主流の流れを示した図である。
図4図1の空調装置の冷房出力最大時における主流の流れを示した図である。
図5】本発明の変形例に係る室内凝縮器をコア部の背面から模式的に示した斜視図である。
図6図5の室内凝縮器をコア部の正面から模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る車両用空調装置1のHVACユニット2の縦断面図である。HVACユニット2は、車両の車室内前方側に搭載され、車両のエンジンルームと車室内とを区画するファイヤーウォールの車室内側面に固定されている。
HVACユニット2は、内部に壁部4に沿った空気流路6を形成するケーシング8を備え、空気流路6は車室内外の空気を導入するための導入口10と、車室内に空気を吹き出すための吹出口12との間に形成されている。
【0014】
詳しくは、ケーシング8には、導入口10として、ケーシング8内に車室外の空気を導入するための外気導入口10Aと、ケーシング2内に車室内の空気を導入するための内気導入口10Bとが形成され、ケーシング8には、これら導入口10A,10Bからケーシング8内に空気を導入するための送風ファン14が内設されている。
また、ケーシング8には、吹出口12として、フット用吹出口12A、フェイス用吹出口12B、デフロスタ用吹出口12Cが形成されている。
【0015】
これら吹出口12A,12B,12Cは、フェイス・フット切替ダンパ16A、フット・デフロスタ切替ダンパ16Bによって開閉される。なお、図1及び後述する図3図4では、フット用吹出口12Aはフェイス・フット切替ダンパ16Aによって開放され、フェイス用吹出口12B、デフロスタ用吹出口12Cは、フェイス・フット切替ダンパ16A、フット・デフロスタ切替ダンパ16Bによって閉塞されている。
【0016】
空調装置1の図示しない操作パネルを乗員が操作することによって、各ダンパ16A,16Bが開閉され、各吹出口12A〜12Cから設定された温度の空気の吹き出しが行われ、特にデフロスタ用吹出口12Cから高温の空気を吹き出させることにより車両のフロントガラスの着霜等を除去可能である。
また、ケーシング2内の空気流路6には、空気の流れ方向から順に、蒸発器18、室内凝縮器20が配置されている。蒸発器18及び室内凝縮器20は、何れも図示しない圧縮機、レシーバ、膨張機、室外熱交換器等の他の構成機器とともに冷媒回路であるヒートポンプ回路22を構成している。
【0017】
蒸発器18は、その内部を流れる低温冷媒との熱交換によって空気を冷却している。
室内凝縮器20は、空気流路6の蒸発器18の下流側に配され、その内部を流れる高温冷媒との熱交換によって蒸発器18を流通した空気を加熱する一方、冷媒を凝縮する。
詳しくは、室内凝縮器20は、高温のガス冷媒を凝縮する凝縮部24と、凝縮部24で凝縮された液冷媒を過冷却する過冷却部26とを有して構成され、凝縮部24及び過冷却部26を流れる冷媒との熱交換によって蒸発器18を流通した空気を加熱している。
【0018】
また、空気流路6の蒸発器18と室内凝縮器20との間にはダンパ28が配置されている。空調装置1の操作パネルを乗員が操作することによって、各吹出口12A〜12Cから設定された温度の空気の吹き出しが行われるが、この空気の温度調整にはダンパ28の開閉が利用される。
詳しくは、ダンパ28は蒸発器18を流通した空気と室内凝縮器20を流通した空気とを混合させて各吹出口12A〜12Cに導くエアミックスダンパであって、ダンパ28を開動作させることにより、空気を室内凝縮器20に流通させる流路30が形成される。一方、後述する図3に示されるように、ダンパ28を閉動作させることにより、室内凝縮器20をバイパスして空気を流すバイパス流路32が形成される。
【0019】
図2は本実施例の室内凝縮器20を模式的に示した斜視図である。室内凝縮器20において熱交換が行われる熱交換のコア部34は凝縮部24と過冷却部26との2箇所に区画されている。
先ず、ヒートポンプ回路22から導入された高温のガス冷媒は、矢印で示すように、コア部34の下部に位置する凝縮部24に流入されて蒸発器18を流通した後の低温空気との熱交換により凝縮される。次に、凝縮された冷媒はレシーバドライヤ36で気液分離された後、液冷媒のみが汲み上げられ、コア部34の上部に位置する過冷却部26に流入されて蒸発器18を流通した後の低温空気との熱交換により冷却され、同時に低温空気が加熱される。このように、コア部34に過冷却部26を設けて冷媒の凝縮、過冷却を段階的に行うことにより、冷凍サイクルのCOPが向上することが一般に知られている。
【0020】
ここで、本実施例の過冷却部26は、流路30を流れる蒸発器18を流通した直後の主流38が流通する室内凝縮器20の主流領域40に配置されている。室内凝縮器20における主流領域40は、その位置が空気流路6の形状、壁部4の形状、ダンパ28の開度、空気流路6における室内凝縮器20の設置状況(レイアウト、傾斜角度等)によって偏向される主流38の流路に左右され、本実施例の場合にはコア部34の上部に位置付けられている。主流38は、ダンパ28と壁部4との間を流通して室内凝縮器20に至り、且つ、少なくともダンパ28及び壁部4の一方の流路30を形成する側の面に沿う方向に流れ、剥離流やその境界の境界層流に比して速い流速を有する流れである。
【0021】
図1は空調装置1の暖房出力最大時を示しており、ダンパ28が流路30を全開とし、バイパス流路32を全閉としている。このとき、蒸発器18を流通した後の主流38は流路30に全て流入し、主流領域40に位置づけられた過冷却部26を流通する。
図3は空調装置1の温度調節時における主流38の流れを示しており、ダンパ28が流路30を半開(50%開度)とし、バイパス流路32を半閉(50%開度)とする中間位置となっている。このとき、蒸発器18を流通した後に流路30に流入する主流36は、ダンパ28と、これに対向する流路30の壁部4とによって偏向され、図1の暖房出力最大時に比して主流38が上側に若干移動する。
【0022】
これは、ダンパ28に対向する流路30の壁部4が図3で見て左斜上傾斜をなす形状を有し、更に、ダンパ28が閉方向に動作することによってダンパ28が壁部4と平行に傾斜することにより、流路30が左斜上傾斜の流路形状となることによる。しかし、この場合であっても主流領域40、すなわち過冷却部26がコア部34の上部に位置付けられていることにより、主流38が過冷却部26を引き続き流通している。
【0023】
図4は空調装置1の冷房出力最大時における主流38の流れを示しており、ダンパ28が流路30を全閉とし、バイパス流路32を全開としている。このとき、蒸発器18を流通した後の主流38は全てバイパス流路32に流入する。ダンパ28の開度が図3の中間位置から図4の全閉位置にかけて変化する中途においても、流路30が左斜上傾斜の流路形状となることにより、流路30を流通する主流38は過冷却部26を引き続き流通することとなる。
【0024】
以上のように本実施例の車両用空調装置1は、過冷却部26が室内凝縮器20の主流領域40に配されることにより、室内凝縮器20を流通する空気を過冷却部26の液冷媒と積極的に熱交換させることができる。主流38の空気を凝縮部24を流れるガス冷媒よりも過冷却部26を流れる液冷媒と積極的に熱交換させることにより、一般に液体は気体よりも分子間力が強く、熱容量も大きいため、熱伝導率が高くなることから、また、主流38は流れ全体において流速が速い領域であることから、室内凝縮器20全体の熱交換効率が向上し、空調装置1の動力又は電力一定条件下では、吹出口12A〜12Cから吹き出される空気温度を短時間で効率的に加熱することができる。一方、空調装置1の吹出空気温度一定条件下では、空調装置1の消費動力又は消費電力を効果的に低減することができる。従って、空調装置1の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置1の消費エネルギ低減を実現することができる。
【0025】
本発明は、上述の実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、上記実施例では、コア部34の上部に過冷却部26が位置付けられているが、これに限らず、過冷却部26がコア部34の主流領域40に位置付けられるのであれば、コア部34の下部であっても良いし、中間部であっても良い。
具体的には、過冷却部26は、少なくともダンパ28及び壁部4の一方の流路30を形成する側の面に沿う方向に位置付けられ、より詳しくは、ダンパ28の開閉に応じて流路形状が変化する流路30の延長線上に位置付けられれば良い。
【0026】
これにより、ダンパ28が流路30を全開とするときは主流38を壁部4に沿わせて過冷却部26に導き、一方、ダンパ28が流路30を閉塞する閉方向に動作するときはダンパ28と壁部4との間で偏向された主流38を少なくともダンパ28及び壁部4の一方に沿わせて過冷却部26に導くことができる。従って、空気流路6の形状、壁部4の形状、ダンパ28の開度、空気流路6における室内凝縮器20の設置状況にかかわらず、主流38を過冷却部26に確実に導くことができるため、空調装置1の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置1の消費エネルギ低減を確実に実現することができる。
【0027】
また、上記実施例では、1パスのサブクールタイプの室内凝縮器20を採用しているが、室内凝縮器20の仕様はこれに限定されない。
具体的には図5及び図6に示されるように、カウンターフロー等のマルチフロータイプであって、コア部34の正面34Aと背面34Bとに区画された3箇所の凝縮部24と、正面34Aに区画された過冷却部26とを有する室内凝縮器42にも適用可能である。この場合、ヒートポンプ回路22から導入された高温のガス冷媒は、矢印で示すように、コア部34の背面34Bの上部に位置する凝縮部24に流入され、次に背面34Bの下部に位置する凝縮部24に流入される。
【0028】
次に、冷媒が正面34Aの下部に位置する凝縮部24に流入されることにより、蒸発器18を流通した後の低温空気との熱交換により凝縮される。次に、凝縮された冷媒はレシーバドライヤ36で気液分離された後、液冷媒のみが汲み上げられ、正面34Aの上部に位置する過冷却部26に流入されて蒸発器18を流通した後の低温空気との熱交換により冷却され、同時に低温空気が加熱される。このように、過冷却部26を流路30に面した正面34Aに位置付けることにより、過冷却部26に蒸発器18を流通した直後の主流38を最初に流通させることができるため、空調装置1の空調能力及び空調効率の向上、ひいては空調装置1の消費エネルギ低減を更に確実に実現することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用空調装置
4 壁部
6 空気流路
8 ケーシング
12 吹出口
12A フット用吹出口(吹出口)
12B フェイス用吹出口(吹出口)
12C デフロスタ用吹出口(吹出口)
10 導入口
10A 外気導入口(導入口)
10B 内気導入口(導入口)
18 蒸発器
20 室内凝縮器
24 凝縮部
26 過冷却部
28 ダンパ
30 流路
32 バイパス流路
38 主流
40 主流領域
図2
図5
図6
図1
図3
図4